10/02/15 23:19:48 a5Vc0MNO0
ふと目を覚ますと電車は止まっていた。見回すと乗客は私たちだけになっていた。
京ちゃんはまだ寝息を立てている。
(まさか…)
駅名を確認すると、降りるべき駅はとうに過ぎていた。
「京ちゃ…」
慌てて京ちゃんを起こそうとして、やめた。
(もう少しこのままでいよう)
終着駅まで遠くない。どうせなら終着駅まで行って折り返そう。その方が京ちゃんと長くいられる。
再び京ちゃんの肩に頭を預けようとした時だった。
「守るよ」
京ちゃんの寝言だった。次の言葉を待ってみたが、京ちゃんはそれ以上何も言わなかった。
京ちゃんの言葉を勝手に解釈した私は、少しの間だけ京ちゃんに唇を重ねた。
不意に車内の明るさが増した気がして、恥ずかしさを覚えた。
振り返ってみると空には星が輝いていた。
星空に照らされたこの電車は、私たちをどこに連れて行ってくれるのだろう。
(きっと…きっと素敵な場所…)
そう願いながら、私はそっと瞼を閉じた。
おわり みやながさき