10/02/15 23:17:21 a5Vc0MNO0
2月14日
デート帰りの電車は少し混んでいた。乗車率120%ほどの車内で、私たちは並んで立っている。
「今日楽しかったね」
「ああ 特に昼飯食ったとこの店員さん シャツにケチャップついてんだもんなー」
京ちゃんは思い出したように笑い出す。私にとって一番楽しいのは京ちゃんとこうやって笑いあう時間。
映画館では話すことはできないし、ランチでは彼が食事に集中し、雑貨屋さんでは私が品物に目を奪われる。
「おかしかったよね」
「教えてあげたら恥ずかしそうにしてたよな」
頭一つ分高い位置から発せられる彼の言葉はまるで私に降り注いでくるよう。
いまは私の、私だけのために。
京ちゃんと一緒にいるだけで私は幸せ。大きな手で包みこまれているようにほっとする。暖かくて、穏やか。
私が唯一、私でいられる人。私のすべてをさらけ出せる人。
京ちゃんにも同じ気持ちでいてほしい。