09/10/30 01:12:40 Nb6GQwfk
たまに、ふと振り返る。
美琴の最近の癖だった。何気なく、後ろを振り向く。
振り返って、人の姿が無いことを確認すると何事も無かったかのように向き直る。
人気のない公園で、美琴は自販機を前にぼんやりしていた。
ここで、あの少年と決して長くはない会話をして、どれだけの時間が流れただろうか。秋が、少しずつ終わりに近づいている。
今年の六月からちょくちょく顔を合わせていたあの少年とのやり取りが、自分にとって一つの日常だったのだと
美琴は近頃になって、ようやく気づいた。
美琴はぽつりと呟いた。
「……何でよ」
唇がわずかに震えている。
「何で、今頃になって……」
俯くと、雫が零れ落ちて地面を濡らした。
袖で拭うと、自販機に硬貨を入れた。
『ありゃ?……なんか素直だな。あの御坂が自販機に硬貨を――』
美琴は、はっとして振り返った。
いるはずのない、少年の声を、幻を見たような気がして――
「早く、帰ってきなさいよ……!あのバカあああ――ッ!!」
自販機に思い切り、久しぶりに回し蹴りを入れた。
……なんか上条さんが死んじゃったみたいに見えるかな。