09/10/30 01:11:40 Nb6GQwfk
>>210
禁断症状というか、全然帰国しなくて連絡つかなくなったら
今月号の大王みたいに疲労困憊になっても探したりするんじゃないか?
いない。
『あいつ』がいない。
どれだけ街を歩いても。裏通りを探しても。
いつもなら『またかよ』とか。
ふらりと現れて『よー、御坂』なんて声をかけてくるのに。
――あの少年がいないのだ。
「……あいつが、いない」
ベッドに身を預けた御坂美琴は力なく呟いた。
全身に疲労が重く圧し掛かり、それでも他人には悟られぬよう虚勢を張り続けた。
美琴は数ヶ月前に起きた、真夏の悪夢のときのように奔走した。
能力を使える限り使った。体が動く限り動かし続けた。
あの少年の携帯にメールを送っても、何の返信もない。通話にも出ない。
少年の寮の電話番号を調べ上げて電話をかけたり、部屋に向かい隣室や管理人にも行方を尋ねた。
街中を歩いた。一つ一つの学区の様々な場所を回り、聞き込みをして、監視カメラの記録を片端
から調べ上げた。
そんな美琴を見て、ルームメイトの白井黒子は風紀委員(ジャッジメント)の権限を用いた調査を
提案したが、美琴は首を縦には振らなかった。
少年がとある日を堺に出国した後、帰国した記録や目撃証言も一つもなかったし、美琴自身これ以上の
調査に意味はないとほぼ断定していたのだ。
学園都市の外部となれば能力を用いても手は届かないし、世界のどの国を調べればよいのか皆目見当も
つかなかった。
それでも調査を断念するのに時間が掛かったのは、気持ちの問題だろう。
そして、美琴は普段通りの生活に戻った。