「泉こなたを自殺させる方法」を考える33at ANICHARA2
「泉こなたを自殺させる方法」を考える33 - 暇つぶし2ch88:噬い裂け肉叢20
09/11/10 21:14:33 XflCxEk2
「ある寒い地方ではな、家族に死期が近づいている者がいると、若い連中がその人を家から見えるできるだけ遠い場所に運ぶんだ。
極寒の中をランプひとつだけ持たせてな。連れてきた者たちは家に戻って遥か遠くのランプの灯をずっと見ているわけだ。
やがて油がなくなって灯が消える。すると今まで火を怖がって近づけなかった熊やら狼やらがその人を襲うんだ。
灯が消えたのを合図に家族は猟銃を持って一斉に飛び出す。するとそこには口の周りを血だらけにした猛獣がいる。
そいつをな、撃ち殺すんだよ。殺して持って帰って食べるのさ。生で食べるのか焼いて食べるのは知らないけどな。
これがその地方の供養なんだよ。死人を食った獣を食うことで、家族の魂を自分たちの体に取り込むんだよ。
つまり先立った者の魂がそれを喰らった家族の中で永遠に生き続けるんだ。どうだ? 美しい話だろ?
まあ昨夜はそうやって獣を介さずに直接かなたを食べたわけだがな。間接的な直接的かの違いだけだ」
「そんな話、関係ないよ。こじつけでしょ……? お母さんを食べたのを供養だとか言って―」
そうじろうは小説家だ。
モノを書くことを生業にしている以上、彼の想像力や妄想力は他人よりも優れているハズだし、従って辻褄合わせも巧いに違いない。
全く関係ない地方の供養話を持ち出した時点で、こなたはこれがその場しのぎのウソだと思った。
「本当の話だ。別に信じてくれなくてもいい。でもな、かなたを食べる事は立派な供養になる。それだけは分かってくれ」
「分からないよ!!」
声を限りにこなたは叫んだ。
「………………」
一向に理解を示そうとしない娘を愛しく思いながら、彼は小さく息を吐く。
「こなたの気持ちは分からないでもないさ。でも、肉自体は旨かっただろ?」
かなたの死にさほど悲しみを感じていないらしいそうじろうは、すぐに人肉の味に話を戻そうとする。
この点だけはこなたも否定はできない。
あれが母親の肉だと分かっていたら箸をつけなっただろうが、知らなかったとはいえ彼女は貪るように食してしまったのだ。
旨かった、というのも偽らざる感想である。
「大腿筋や上腕二頭筋が特に美味なんだ。人間の肉ってのは赤身の部分に旨味成分が多くてな。これは牛や豚と同じだな」
「やめてよ……」
「こなたに是非食べさせてやりたいところがあるんだ。視神経……これは珍味中の珍味だぞ。量が少なくて貴重なんだ。
昨夜はゆーちゃんがいたから勿体なくて出せなかったが、今度一緒に食べよう。塩をまぶしてからだと―」
「やめてよッッ!!」
父親の異常な嗜好を娘は頑なに拒んだ。
侮蔑と憤りと悔恨の念を込めてこなたは叫ぶ。
自分が母親の一部分を食べてしまったことへの後悔もあった。
その原因はそうじろうにある。
彼がこのような狂った嗜好を持たなければ済んだ話である。
「そんなに否定するなよ。美味しかったなら素直に美味しかったと言えばいいんだ。それがかなたの為だろ?」
「お母さんの為、お母さんの為って……結局は自分の為なんでしょ!? お父さんだって人を食べるのは悪いことだって思ってるんでしょ!?
だからそうやって話をすり替えて誤魔化してるんだ!!」
「じゃあこなたはどうだったんだ? 昨日、あれを食べてどう思った? 旨かったか? 不味かったか?」
「それは…………」
「そういうもんなんだよ。牛や豚は良くてなんで人間は駄目なんだ。それは差別じゃないのか? 熊や鷲だって人間を食べるんだ。
人間が人間を食べたって不思議じゃないだろ」
「………………」
おかしい。気持ち悪い。狂っている。
こなたの感情はそうでも、理路整然とそうじろうが間違っていると諭す方法が見つからない。
ともすれば彼の方が正しい事を言っているようにも思えてしまう。
こなたは何も返せなかった。
再び沈黙が場を支配する。
が、やがて忘れていた喉の違和感を思い出し、こなたは無意識的にそこを掻き毟っていた。
「こなた……まだ症状が出てるのか……?」
それに気付いたそうじろうが怪訝そうな表情になる。
「大丈夫だと思ったんだがな―」
彼は意味深な言葉を続けた。
「なんかヘンなんだ。昨日からやたら水が欲しくなるし、痛いような痒いような感じがするんだ。
ゆーちゃんがあんな風になったのも…………あの料理の所為なんでしょ…………?」
喉に爪を食いこませながらこなたが問うた。
すぐに答えを返さないそうじろうだったが、ここまで喋っておいて今さら隠す必要はないと思いなおし、
「そうだ」
短く、ハッキリと言った。

89:噬い裂け肉叢21
09/11/10 21:16:02 XflCxEk2
「人肉は他のどんな食べ物よりも旨いが依然性が強くてな。一度でも口にしてしまうと、また味わいたくなってくるんだ」
麻薬みたいなものだ、と彼は付け足した。
「それでも我慢すると今度は強い飢餓感に襲われる。この時、野菜なんかよりも肉を異常に欲するようになる。
喉が渇くのは水が欲しいんじゃなくて、血を啜りたいっていう症状の現れだろう」
そんなバカな、とこなたは思ったが言葉にならない。
振り返ってみれば確かに自分もそうだった。
昼休み、柊姉妹の弁当箱に詰まっていたハンバーグが欲しくてたまらなかった。
抑えようとしても抑えられなかった。
加工された肉にまるで獣のように食らいつく自分を、彼女は朧げながら記憶していた。
「時おり首のあたりに違和感を覚えたりするんだが、これは子供に特有の症状だ。
こなたももう18歳だから問題ないと思っていたが……そうか、まだか…………」
そうじろうは腕を組んで唸ったが、特に悪びれる様子もない。
「なんで…………?」
「おそらく生態系のバランスを保つために、人間がいつの間にか宿した特性なんだろうな。
人間が人間を食べる時っていうのを考えると、他に食糧がない環境が考えられる。
ないと言っても牛や豚が絶滅してるんじゃなくて、ごく僅かだが生き残っているハズなんだ。
そういう状況下で人が人を喰らうと、飢餓感に突き動かされてまた人を食いたくなる。
そうやって人間は自ら個体数を減らしていくんだろうな。人間は食物連鎖の頂点に立つ存在だからな。
その数が増えすぎるとバランスが崩れるんだ。考えてみるとうまくできてると思うよ。生物っていうのは―」
「そうじゃなくて…………」
額に脂汗をびっしょり掻いてこなたが遮った。
「なんでそうなるって分かってて私たちに食べさせたの…………?」
今のこなたにはもはや父の狂行を断じる気力は残っていない。
彼女にできるのは嘆き悲しむことだけだ。
「俺が人肉食に目覚めたのが18歳の時だったからさ。こなたにも同じように”人そのもの”の旨さを味わって欲しかったんだ」
彼は小さく息を吐いた。
「目覚めたといっても願望に目覚めただけで実際に食べたのはもっと後だぞ? 俺はまだかなた以外の肉は食べたことがないからな」
つまり機会があれば別の人間も喰らってやろうという考えている証拠だ。
「お父さんは……私と同じ年で人を食べたいって思ったの?」
「う~ん、ちょっと違うな。たとえば包丁で指先を切ったり、棘が刺さったりして血が出るだろ? そういう時どうする?」
「…………舐める、かな。ひどかったら絆創膏貼るけど」
「だろ? 俺もそうだった。でもある時、自分の血が旨いことに気がついたんだよ。不思議なものだよな。
こんなに旨いものが体の中にいくらでもあるのに、自分自身はその味を自由に楽しめないんだから。
だからあの頃はよく態と指を切ったりしてたな。もともと体内にあるものを飲むんだから健康にも問題はないし」
そうじろうが言うには指先などの末端から出血するものより、心臓に近い部分から出る血の方が美味だという。
「俺の時はそこまで症状は出なかったからな。依存性があるっていっても軽いものだった。どうも個人差があるみたいだな。
18ならいけると思ったんだが……やはり成人してからでないと無理なのかもしれないな」
そう言いながら彼は再び袋の肉を愛撫しはじめた。
「ま、それでも抑えられない時はあるんだけどな。今だってこの袋を引き裂いて齧りつきたいくらいさ」
恍惚の表情を浮かべる父を見て、こなたの頭にある考えが浮かぶ。
(まさか…………)
絶望的な想像である。
さすがにそんな事があるわけがない、と彼女は何度も何度も頭を振る。
「お父さん……もしかしてお母さんを…………?」
「なんだ? どうした?」
「お母さんを食べたくて……殺したんじゃないの…………?」
「なっ!? バカなことを言うな!!」
突然、そうじろうが顔を真っ赤にして激怒した。
「かなたは病気だったんだ。お前を産んだ後の肥立ちが悪くて亡くなったんだ。俺が殺したんじゃない!」
先ほどまでとは一転、彼は滾るような目でこなたを睥睨する。
その反応がまた疑わしく、こなたに更なる疑義を抱かせる。
「本当だ。かなたは……かなたは体が弱くてな…………」
娘相手に激怒した自分を悔いてか、そうじろうは目を伏せて力なく零した。
しかしこなたはそれを言葉通りには受け止められない。
母親が病弱である話はそうじろうを通してしか知らない。
こなたが何も知らないのをいいことに、幼い頃からそうじろうがウソを吹き込んでいる可能性もなくはない。


90:噬い裂け肉叢22
09/11/10 21:17:35 XflCxEk2
もしそうであれば彼女に真実を暴く術はない。
彼の証言が真実である保証は既にないのだ。

―かなたの肉を黙って料理に出した時点で。

この男は狂っている。
己の嗜好を満たすために人ならざる行いをした。
死んだ人間の肉を食べた、と彼は語っている。
しかし本当は殺した人間の肉を食べたかもしれないのだ。
「信じてくれないかもしれないが、あまりゆーちゃんには食べさせたくなかったんだよ」
こういう副作用があるからだ、と彼は言った。
「首の違和感も飢餓感も一時的なものだとは思うが……」
「だから……」
こなたが口を挟む。
「だから病院に連れて行こうとしなかったんだね……?」
「ああ。医者に診せたらすぐに分かるだろうからな…………」
「…………………」
病院にも行けないようなことをしたのか、とこなたは怒鳴り散らしたくなった。
「騒ぎになったらゆーちゃんも可哀想だしな」
「そんなのお父さんの勝手だよ」
こなたは吐き捨てるように言った。
「ああ、そうだな…………」
悔恨しているのか悦に入っているのか、そうじろうは肉塊への愛撫を止めない。
その手つきを見ていたこなたは、袖に見え隠れする白い物体を認めた。
「お父さん、それ…………?」
「これか」
視線に気付いた彼はそっと袖を捲くった。
手頸から肘にかけて包帯を巻いてある。
幾重にも巻かれたそれはうっすら赤く染まっていた。
「…………」
「…………」
「…………どうしたの?」
理由を話したがらないそうじろうに焦れ、こなたがイラついた口調で問うた。
「まぁ、その、ちょっとゆーちゃんにな…………」
場の雰囲気に似合わず彼は照れ笑いを浮かべる。
大事をとって学校を休んだゆたかは、午前中は自室で眠っていたらしい。
そうじろうも容態が安定しているのを確認して執筆にかかった。
ところが昼を過ぎた頃、台所で不審な物音がした。
何事かとそうじろうが覗くと、昨夜のようにゆたかが冷蔵庫の食材を饕(むさぼ)り食っていた。
床に散らばる肉や野菜。
それらを悉く食い荒らしたゆたかは、しかし満腹感を得ることができない。
その時、視界に入ってきたそうじろうに彼女は飛びかかった。
咄嗟の行動に彼は反射的に身を庇う。
それがまずかった。
無意識に前に突き出した腕にゆたかが噛みついたのだ。
体躯からは想像もつかないほどの閉顎力で、そうじろうの腕を食い千切ろうとしたのだ。
激痛に耐えかねた彼はゆたかを振り払った。
そのつもりはなかったが、彼女は壁に叩きつけられて昏倒した。
血が溢れるのも厭わず、そうじろうはすぐにゆたかを部屋に運び込み動きを封じたという。
「いや、心配ない。ゆーちゃんの反応は正常なものだ。さっきも言ったが依存性の為せる業だし、
いずれは俺みたいに辛抱できるようになる。酒や煙草みたいなものなんだ。まあ、ゆーちゃんには刺激が強かったかもしれないな」
あるいは早かったかもしれない、と言い直して彼は微苦笑した。
その様子を想像したこなたは、有名なホラーアクションゲームを思い出した。
ウイルスによってゾンビと化した人々や動物を倒してクリアを目指すゲームだ。
ゆたかもあの悍(おぞ)ましいバケモノと同じようにそうじろうを襲ったのだろうか。
(私も…………?)
そんな風になるのだろうか、とこなたは思った。
心当たりがあるだけにその可能性を否定できない。
「黙っていたのは悪かったが、そういうわけなんだ。こなたもいずれは――」

91:噬い裂け肉叢23
09/11/10 21:19:04 XflCxEk2
そうじろうが言いかけた時、ドン! と何か重い物を叩きつけたような音が響いた。
「な、なにっ!?」
恐怖に支配されかけていたこなたは、突然の物音にビクリと体を震わせた。
この状況では些細な変化すら恐ろしく感じられる。
「なにか倒れたのかもしれないな……ちょっと見てくる」
開き直ったように見えた彼もやはり気まずさを感じていたのか、跳ねるように立ち上がった。
私も、と同じく動きかけたこなたを制し、そうじろうは足早に部屋を出て行く。
「………………」
残されたこなたは今になって全身に汗を掻いている自分に気付く。
冷や汗だけではない。
これには興奮によるものも少なからず含まれている。
越えてはいけない一線を越えてしまいそうな自分に対する緊張も。
「…………」
この部屋にはこなた独りだ。
そして目の前には容器に押し込められたかなたの肉塊がある。
慾しくなったのだ。
先ほどまでそうじろうを忌み嫌い、人肉を食べる事を徳義に悖るとさえ思っていた彼女が。
それを管理する者がいなくなった途端、飢餓感が理性を押しのけるように襲ってきたのだ。
(食べたい……よ……お母さんの肉…………)
容器に手を伸ばした彼女はすんでのところで思い留まる。
(駄目だ……そんなの……!)
朦朧とした意識は今や劣勢となった理性をどうにか援護する。
しかしもはや風前の灯。
昨夜、依存性のある肉を食べてしまい、そうじろうから人肉の魅力を叩きこまれた今、彼女の内を支配するのもは主に飢餓感。
永遠に満たされない空腹を満たそうと、こなたは再び容器に手をかける。
「駄目……ここで食べたら…………!!」
いずれはこれにも慣れ、衝動を抑えられるようになるとそうじろうは言っていた。
その言葉を信じ、こなたは必死に耐えた。
辛抱すればいい。
一度でも誘惑に負けてしまえばそれで終わりだ。
ゆたかのように獣の如く食肉を漁りたくはない。
(ゆーちゃん……大丈夫かな……?)
かなたの肉を見ないようにして、こなたは拘束されたゆたかを思い起こした。
どちらかと言えば長身で体格も悪くないそうじろうが、不意を衝かれたとはいえ包帯を巻くほどの怪我を負ったのだ。
あの傷を見れば彼がゆたかを拘束したくなる気持ちも分からなくはない。
「こな――!!」
何かが倒れる音に混じって、そうじろうの声がした。
「お父さんッ!?」
悲鳴に近いその叫びに、こなたは弾かれるようにして部屋を飛び出した。
キッカケが欲しかった。
こうすればごく自然な形で”かなた”から離れることができる。
一時の解放感。
だが――。
「………………ッッ!?」
現実はいつも辛辣だ。
常に人の期待を裏切り、幸福の後に絶望の種を蒔く。
「……ゆーちゃん…………」
廊下にゆたかがいた。
ロープで縛られていたハズの彼女はくちゃくちゃと何かを咀嚼している。
―こなたは見た。
どぶどぶと鮮血を流しながら痙攣するそうじろうを。
ゆたかはその上に馬乗りになって、首周りの肉を噛み千切っている。
彼女が嚥下する瞬間、その口で塞がれていたそうじろうの傷口が露になり、喉元から真っ赤なシャワーが放物線を描く。
「………………」
赤い噴水で喉の渇きを癒したゆたかは、再びその噴き出し口めがけて歯を突き立てる。
そうじろうはもうピクリとも動かない。
肉を喰われ、血を吸われ、彼はもはやこの世の者ではない。

92:噬い裂け肉叢24
09/11/10 21:20:14 XflCxEk2
「ゆーちゃ…………」
発音しかけてこなたは口を噤んだ。
ゆたかは誘惑に克てなかったのだ。
突き上げる食欲が拘束を解き、自分を抑えつけた男を食ったのだ。
不意にゆたかが赤黒い顔を上げた。
両の目が違う方向を向いているが、彼女はたしかにこなたを凝視している。
「えへへ……」
彼女はこうなる前の少女特有の笑みを浮かべた後、そうじろうの首の付け根の肉を噛み切った。
ガリッ、という厭な音とともにそうじろうの頭が僅かに動く。
その首の下はどこにも繋がっていなかった。
歪(いびつ)なボールは右に左に揺れながら転がり、狙いすましたようにこなたの脚下で止まった。
食欲は旺盛でも―あるいは旺盛だからか―動く物には注意を向けるらしい。
不規則な軌道を描くそうじろうの頭部を目で追っていたゆたかは、それが止まった先のこなたを再び見つめた。
が、今度は先ほどと違って微笑まない。
縄張りを侵された獣のように、血走った眼がこなたを睥睨する。
「ゆーちゃん…………?」
暫くしてこなたは悟った。
ゆたかの視線は敵意の表れ。
彼女はおそらくそうじろうの頭も食すつもりなのだろう。
(私が横取りすると思ってるんだね……それで睨んでるんだ…………)
こなたは笑った。
(こんなのってないよ……お父さん……私もゆーちゃんも何もしてないのにさ)
こなたは嗤った。
もう自分には何も残っていない。
意識はまだあっても、これもまもなく飢餓感とそこから来る食欲に吹き飛ばされる。
そうなった後はゆたか同様、ただ食べ続けるだけの日々を送るのだ。
「もう、いいや…………」
こなたはがくりと膝をついた。
漫画にもアニメにもゲームにも興味を持たず、食欲を満たすために喰らう。
それも永遠に、だ。
かなたを喰い、そうじろうを喰われ、可愛がっていたゆたかまでもが餓鬼に身を堕とした今。
こなたには何も残っていなかった。
「生きる意味なんてないよ……どうやって……生きていけばいいの…………?」
彼女は父の頭をそっと持ち上げた。
瞬間、食糧を奪われまいとゆたかが四つ這いで迫ってくる。
自分の知っている顔ではなくなったゆたかを見ながら、こなたは逃げようとも防ごうともしなかった。
いっそ、このまま喰われてしまったほうが幸せかもしれない。
全てに諦観したこなたは思った。
(ゆーちゃんはどうするのかな……? こんなになってこの先独りで…………)
死を覚悟してもなお、ゆたかを気遣うこなたの心はまだ清らかだ。
満たされない彼女はこの家を飛び出し、肉を求めて彷徨うのだろうか。
誰彼の区別なく襲いかかり、それを喰らうのだろうか。
(でも私にはどうにもできないよ、ゆーちゃん……)
ゆたかの顔が目の前にある。
(ごめんね……ゆーちゃん…………ごめ…………)
左肩に激痛が走ったが、こなたは複雑な笑みを浮かべて天井を仰いだ。



93:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/10 21:54:22 0M8VeTBh
支援

94:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/10 21:58:33 fUddOu/J
支援です。

95:JEDI_tkms1984
09/11/10 22:06:04 XflCxEk2
 支援下さった方、ありがとうございます。
申し訳ないのですが……今夜はここまでです。
(なぜかいつもこの最後の最後で書き込めなくなるんですよね……)
明日か明後日の投下で完結します。


>>74

 ありがとうございます。
面映い気持ちです。
参考というほどではありませんが、一文がやたら長くて回りくどい時は歴史小説、
暗喩が多用している時は海外小説の影響を受けているものと思います。


96:JEDI_tkms1984
09/11/12 21:24:29 S4iIlpaj
 皆さん、こんばんは。
ただ今より投下します。

97:噬い裂け肉叢25
09/11/12 21:25:36 S4iIlpaj









 肉を引き千切る感触と軟骨を噛み砕く音に、こなたは我に返った。
視界が真っ赤に染まっている。
鼻腔を容赦なく貫く血液の臭い。
舌の上に僅かに残る食感。
それら全てが一時的に彼女の意識を支配していた。
ふと視線を下におろす。
両腕をもぎ取られたゆたかがあった。
たおやかな白い肌は醜く傷口を露にしており、そこから溢れ出る血液は既に凝固が始まっている。
彼女の手には指が1本も無かった。
切断面にはくっきりと歯型が残っている。
さらに視線をずらし、その胴体を見たこなたは卒倒しそうになった。
乱暴に引き裂かれた腹部から腸が飛び出している。
ぽっかり空いた穴の中に臓器はほとんど見当たらない。
ただ腥(なまぐさ)い体液で満たされているのみである。
「うっ…………」
その下には首のないそうじろうがある。
こなたの記憶の中の彼はかろうじて原形を保っていたが、今は5つに分かれた肉塊でしかない。
「はは…………」
こなたは口の端を歪めて笑った。
その拍子に歯の隙間から毛髪が滑り落ちた。
「わたしが……わたしがやったんだ…………」
聞く者のいない呟きは空気を通して自分に返ってくる。
長く息を吐きながら、こなたは自分の腹をさすった。
大きく膨れている。
こうなった理由は分かっている。
「お父さん……」
返事はない。
「ゆーちゃん…………」
返事は―ない。
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!」
こなたは突然立ち上がった。
「いやだああぁぁぁぁあぁッッッ!!」
喚き散らしながら廊下を駆ける。
飛び散った血液に足をとられて翻筋斗(もんどり)打って倒れる。
「ううぅぅ…………」
痛みはなかった。
左肩に受けた傷が疼くこともない。
ただ彼女は錯乱していた。
あのままゆたかの牙を受け容れて死ぬ覚悟を決めた自分が、よもや最後の最後で人肉が引き起こす発作に負け、
反対に彼女を噬(く)い裂いてしまうとは思わなかったのだ。
こなたに生きたいという意思はない。
辛辣な現実の連続に未来への希望を持てなくなっているのだ。
最愛の母の肉を喰らってしまったこともある。
人として、してはならない行為に及んでしまった後悔。
恐らく一生抜け切ることはないであろう依存性。
「いやだ……ゆーちゃんみたいになりたくないよ…………」
決してゆたかを貶しているのではない。
だがあの姿にだけはなりたくはなかった。
人を喰った時点で人は人ではなくなるのだ。
それを間近で見てしまったこなたに、生への希望が生まれるハズがない。

98:噬い裂け肉叢26
09/11/12 21:26:35 S4iIlpaj
仮に目に見えて変化がなかったとしても、依存性は残る。
そうじろうがそうであったように、人肉への愛慕の情は消し去れないのだ。
(分かってる……分かってるけど…………!!)
ゆらりと立ち上がったこなたは食べ物を求めている自分に気付く。
飢餓感だ。
空腹を通り越して無限の食慾が湧いてしまっている。
(死にたいよ―)
そう願っているのに、体は肉を求めている。
喰う行為が生に繋がっているのに、彼女は死にたいと願っている。
この矛盾を彼女は死ぬまで繰り返す。
「そんなの嫌だッッ!!」
こなたは叫んだ。
言語能力は失われていない。
しかし思考は殆ど欲望に食い荒らされている。
「嫌だよ、そんなの……お腹空いたよ……嫌だよ…………」
こなたの体は本人の意思とは無関係に振り返り、2つの肉塊に向けて歩を進めている。
(だ……め…………)
このままではあの屍肉を喰らうことになる。


―死にたい。

―食べたい。

―もうイヤだ。

―食べたい。


「…………ダメだッッ!!」


あと数歩で求める肉塊という距離になって、こなたは最後の力を振り絞ってその場から離れた。
だがあくまで一時しのぎでしかない。
これが彼女にできる最後の抵抗。
時間が経てば再び飢餓感に襲われ、そうなれば今度こそそれを抑えることはできない。
重い足を引きずりながら、こなたは洗面台にやって来た。
(そうだ……死んじゃえばいいんだ!)
こなたの瞳に僅かに光が戻った。
(簡単なことじゃん!!)
いたずらを思いついた子供のように、こなたは満面の笑みを浮かべた。
自分の考えが正しいことを確信しつつ、彼女は洗面台の鏡を見つめた。
彼女が求めるものはここにあった。
死にたいという願いと、食べたいという欲求を同時に満たす方法。


―自分を食べてしまえばいい。



99:噬い裂け肉叢27
09/11/12 21:28:09 S4iIlpaj


「はは……ははは…………」
肩を震わせてこなたは自分を嘲笑い―。
忌々しい左腕に噛みついた。
(………………ッッ!!)
顎に強く力を込めると、激痛とともに血の味が口内いっぱいに広がった。
こなたはその味に酔った。
かなたよりも、そうじろうよりも、ゆたかよりも―。
誰の肉よりも旨かった。
溢れ出す血液は喉を潤す最高級のジュース。
鉄分を多く含んだ飲料はどろりと舌の上に残り、その余韻をいつまでも楽しませてくれる。
新鮮な肉は至高の食材。
やや硬く小振りではあるものの、歯ごたえのある生肉は本来ならば適度に満腹中枢を刺激してくれる。
2度、3度と食い千切っていくと焦げ茶色の骨が露になる。
こなたは恍惚の表情で抉り取られた左腕を見つめていた。
人肉には一種の麻酔作用があるようで、彼女はいつの間にか痛みを感じなくなっていた。
感じなくなったのは痛みだけではない。
もはや味も分からなくなっていた。
痛みも、味も。
自分が今、していることすら彼女は理解できなくなっている。
しかし体だけは予めプログラムされていたかのように咀嚼と嚥下を繰り返している。









 ―肘の辺りを噛み切ったところで、こなたの体は動かなくなった。









   終



100:JEDI_tkms1984
09/11/12 21:30:41 S4iIlpaj
 以上で終わりです。
きっと最初で最後のカニバリズム作品。
お読み下さりありがとうございました。
またお会いしませう。

101:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/13 23:47:59 CEplSd+s
こなちゃん死んじゃったの?(´;ω;`)

102:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/15 06:46:22 HxVEWrRN
>>100
乙!
面白かったです。
自分を食べて自殺とは斬新だな!

103:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/15 11:50:22 fMpbfhK3
マリーアントワネット「お腹が空いたのなら、お菓子を食べればいいじゃない」
こなた「お腹が空いたのなら、自分を食べればいいじゃん!」

104:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/16 00:07:05 IaJfYSHM
こなた「そうだ、自殺しよう」

105:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/16 21:03:02 +6R0dvyD
死んでも死んでもまだ足りないか

106:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 00:14:22 BizUn/Oe
このカニバ小説、もしや関よしみの「愛の食卓」から影響を受けて書いたのかな

いや、ストーリーは全然違うんだがオチが似てるもんで…

107:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 00:39:36 9d/Lru7W
グレゴリー辺りの影響じゃね?

それはそうと、避難所でデフォ北見つけてびっくらけ
おみゃーさん、作家も画家も止めて、JEDIの太鼓持ちに転向か?
別に構わないけど、未完のまま四面楚歌放るんなら、一言コメ欄で伝えてあげれば?
何か待ち焦がれてる人居るじゃん

108:デフォ北
09/11/17 01:44:40 3MccKg/K
>>107
すみません…

 長々と準備してきた文化祭が先週終わったので、
今週の提出物の山を超えれば、土曜日から漸く書けます

 更新頻度が明らかに遅いために未完と疑われるのは重々承知しているのですが、
四面楚歌は本当に完結させるつもりです
結末までのプロットが完成しました
今後少々汚い展開になることが予想されますので、食事中はマズいですね

 12月初めにまた考査があるので、その周辺期間はひとまず勉学に勤しみます
新作SSもまだ完成には程遠いですが、時間の許す限り執筆致しております

109:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 07:20:52 9mkC7EeG
てか『太鼓持ち』とかいちいち挑発的な単語を使う意味が分からんのだけど。

110:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 15:28:15 JJvMfpgO
死なない

111:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 15:38:51 lxgBxerN
おまいらキチガイ過ぎる…

112:グレゴリー
09/11/17 18:17:14 Ll1jZDQ1
もはやコテを名乗る資格もないと思い、沈没していた私ですが
今回は名乗ることをお許しいただきたい。

>>100 JEDI氏のカニバリズム作品を読みました。
人肉食という行為に宗教的な理由をこじつけ、倫理的な逃避を図っていた
私の作品の登場キャラたちと違い、本能に根付く自然的な欲求という
正当性を打ち出したJEDI氏の解釈に脱帽w

自身がssを書いたことのある人間にとって、氏の多産ぶりと表現力に
賞賛の言葉を送ることは不思議ではありません。



113:JEDI_tkms1984
09/11/17 22:46:06 gsx/0kNZ
>>106

 残念ながら関よしみ作品に着想を得たわけではないのですが、あの人の描く漫画は面白いですよね。
ホラー漫画誌によく掲載されてますが、人間の愚かさとか自然の脅威を主題にした作品には色々と考えさせられます。
『異常な嗅覚を持った少女』シリーズが特に好きでしたね。
他に三家本礼や日野日出志や御茶漬海苔作品も好きなのですが……。
少し前、PS2版を引っ張り出したらギャラリーモードの8ページに僕の信奉する漫画家のCGを見つけました。
なぜこんなところに……と首を捻ったものですが、その漫画家の作風を真似たSSを執筆中です。
年末にはお披露目できると思います。


>>108

 楽しみにしております。
完成を急ぐのもアリですが、じっくりと時間をかけて見応えのある作品を練り上げられるのもよろしいかと。
ご自身のペースで執筆なさって下さい。


>>112

 お読み下さりありがとうございます。
このSS、グレゴリーさんの作品に影響を受けて書いております。
かなり前になりますが「ヴァレンシュタイン.デイ」が投下された際、
いずれカニバリズムSSを投下したい、旨のコメントをしたのですがそれを漸く果たせた想いです。
「噬い裂け肉叢」は貴方なくしては書けなかったと言って差し支えありません。


114:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/18 00:45:39 y6Pr98Aq
懐かしいな、バレンシュタイン・ディ
中尉との三者合作はどうなったよ?

115:神奈川版シリーズ作者
09/11/18 09:16:45 K/SqpA+5
>>113
私、神奈川版「麾く煉獄」を書いたものだけど、話の追加で遺産相続でかがみたちが
乱入するのを書いていいでしょうか?具体的にそうじろうはゆいやゆたかたちとは
血のつながりすらなかったと書こうと思うけど。

どうでしょうか?

116:JEDI_tkms1984
09/11/18 22:41:50 +Gm8gdmW
>115

 僕は一向に構いません。
SS書きとしては下地に使っていただけるのは大変ありがたいものです。
遠慮なさらずどんどん使ってください。

117:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/19 20:56:53 JfM4dEOf
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118:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 00:55:12 Vakkfi1k
新作投下やらグレゴリー氏の再来やらうつ☆すた派生作品やら
活性化してていいかんじですなあ。
>>41
今更だけどこれはいい!
上でも誰か触れてたけど、夢から覚めた後の畳み掛けは鳥肌。
でももっと作りこめそうだなーと思う。

そして、大分さんの絵、何か新作来ないかなーとか思ったり。

119:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:38:24 MWqi/lEK
            ___
          . . :´: : : : : : :ミ: 、
       / : : : : : : : :\ : : : \
      /: : : : :′: : : : : : :ヽ : : : ヽ
      .′: : : :|: : : : : : : : : : : : : : : .
      |: :| : : :イ: : : ト: : : : : : !: i:. :|    将来池沼が生まれて小説みたいに虐待されます
      |ノ:|: _/イト: : ト廴ヽ: : :|ヽ:. : :!      
    /}:ハ: !       \、|: |: :ト:|
       |: : :V. へ  ,  へ  :ソ: l:. :|リ    あう~あう~♪
     ル'| : :.} xx __ xx.  }: : :| }ノ`ヽ
       |人:{人  (,,_,|   イ: : :ル'   {
      V ` \丁  ∥ _.ノ}:/ }   }
       }  >―r―‐<  /  / /
       | /   ミ厂 ̄{彡  `ヽノ   !
      ノ_}  个i′  `ー‐、 ∨  {
       [_ノ  {ニ }池 沼  i}  ヽ二}
      {   厂 r‐y‐、  '|   `T′
      丶__ノ   ヽ. ノ   人    /
       |           >r
      ノ             廴

120:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:43:07 MWqi/lEK
                     へ、__   , ,  , . - '"/
                   ,. - '. : : : : : : : : ̄:`.く、ゞ、, : : -='、
                /: : : ; : i: : : : : : : : : : : : : :`ヽヽヽ; : : : :丶
              /: : : : : :i: ハ: :ハ; : 、: : : : :i : : : : ヽヽヽ;.: : : : i
             /: : : :.i: : : |: i:::.`; :|弋: 丶: : : : i : : : : : ',`, `;.;.: : i:|
            /: :i: : :.|: : : ハ;::::::::.'.:| ::\: :.i:.i:::i: ||: :,ノ: : ハ `, i::::. ::i:|
            ,': /|:.i: :.|: : :i !i::::::::::::::i;=ニゞ、!: : i:|ソ: : :ノ::| |:i .i|: ::. :|
           ノノ i|: :ハ: : | ,!=、:::::::: "刺ミ,ヾ,y; : |: ://::::i, u ノi:ハ,: !
          ノ    |: i:::i: :.|i!逝i} ::::::::. {殺ツ,ノソi,:.rニ;'::::::ハ:丶':i|  ヾ
              |: i:::::i: ハ`去'    `- '  i 'ソ .}::.ノ! .レ'ソ
               !:|i:::::i:.! i ,,, '    '''    ,、// | !
          ___  !| V 'i i   弋フ、   ノ;/"    `'
    i-- 、 /:::r'γつ`丶、  `\      / tっ,           嫁はノイローゼになり
    |:.:   ヽ;:::}' / /っ::::::::::ソ     ` ソヾ" ,/"::::::`ゞ,、
.    |:.:.    ソ, ',/っ:::::::::i、   ,/" / /.:: :: : //_'ゞ、
.     |:.:      `.  Y:::::::::i|::| ,バ":: ::i:/-,/:: ::,//:/¨ ¨ :ヾ
      i.::.     `.,.|:::::::::::':::|ハ:'. `. ::/=/:: :://.:/     :.|
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121:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:44:10 MWqi/lEK
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    /三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三\
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  | ::| | ::|└┴┘ |::|┃|: :j: Y xx    xx {:/:ノ::┃|::| └┴┘| ::| | ::|   自殺
  |: :| | ::|┌┬┐ |::|┃{八: ゝ_  {ヽ  /::: .:|:┃|::| ┌┬┐| ::| | ::|
  | ::| | ::|├┼┤ |::|┃ \{\{ >ァr‐七{ :リ::/ ┃|::| ├┼┤| ::| | ::|
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     ○    ●        ∫∬∫∬         ●    ○
     ○○  ●●      iiiii iii ii iiii       ●●  ○○
   [ ̄ ̄] [ ̄ ̄]     ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)    [ ̄ ̄] [ ̄ ̄]
    |_○_|  .|_○_|       |_____|     |_○_|  .|_○_|
 ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ 
(    )(    )(,    )(,,    )    ,,)(    )(    )(,    )

122:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:46:50 MWqi/lEK
: : : : : :/ : : : / /  ' : : : :| : }: : : : ヽ:ヽ
: : : : : l : : ; へ ⊥ ___; : : : ト :ヾ: : : : : | i:|
: : : : : |: :/ _ 二 ̄ ´ ': : :/ | }: : : : : |/:l
:/ : : : :V| ( ___ )    ∨゙ヽ.!ハ : : : 〃/
l : : : : i: :| ` ̄ ̄人   ((⌒`ヽ∧ : /イ/      池沼の娘を引き連れて死ぬまで不幸が続きます
l : : : : |: |⊂ニ⊃ (0__)  ` ー=fヘ∨ノ |
: : : : : l: l               ⊂⊃ ヽ: : |
: : : : : l l       /:|      }_ノ: :|
: : : : : :||丶     ` ′     ノ: : : : :|
i: : : : : :|      、      _.. イ: : : /: :/
|、: : : : :|   ーァ‐`‐一(´ 0ノ : : /l: /
 ヽ : : :!、  /}⌒i\: :ノT:´ : : /

123:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:58:24 MWqi/lEK
他スレに散々場違いな作品を投稿して荒らしておいて

もうそちらには関与しないから自分所にはちょっかい出すなって

さすがキチガイは言うことが違うなすげえ面の皮だぜ

他人を食い物にしてきた人でなしには何の血が流れてるんだ

お前の一生に不幸と災いの報いが来ることを祈ってるから

お前が愛する人間を失うことを願っているから

難病と障礙でのたうち回った末に

失意と不幸のどん底で自殺することを祈っているから

決して陽の当たるところ畳の上で死ねないことを祈っているから

124:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 22:43:15 3EONfMjH
最近の糞神奈川じゃなくて、前の神奈川ってまだいるの?

125:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 04:32:23 rNdfMW4K
クソーッ、ダイミョウザザミが倒せん!
ソロプレイじゃ無理なのか?

126:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 08:14:20 W2A8CYGk
下位?上位?G級?

127:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 10:38:52 QVxCIPQ1
避難所の大分とか言う奴のSSもくだらんな

128:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 11:05:57 nl1si6Cc
お前等目が肥えすぎ^^

129:お祭り大好き@お腹いっぱい
09/11/22 00:03:11 OG+YOTng
ただ今、ネットいじめの加害者を自殺させるプロジェクトが進行中w

ネット掲示板2チャンネルに学生名指しで中傷の書き込みした神戸大院生停学
スレリンク(news板)l50
2ちゃんねるで同級生を強姦魔扱いにして自首退学させる…神戸大学院生
スレリンク(news板)l50

130:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 00:37:17 KReccuUk
加担したら加害者と同レベルかなぁ。
被害者が自殺に追い込んだ、ってんならまだ共感できるけど、
無関係な人が加担すんのはどうかな。
行為の先後が悪を正義に変えるほどの重要性を持つとは思えないし。

てか、旧帝レベルでコレか。
「学歴関係ないよね」とか言われちゃう他の旧帝生が不憫ではあるけれども。

131:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 00:45:46 J7xhNIU4
死ねキチガイども

132:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 14:56:34 SJtNHPz6

うるさい!こなた死ね


          _,-,ニ二ニ=、
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.   l: : : : :,レ、: : :ヾ、  /、`Y/:l:l: : l
    /: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
   /: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、   l  ll: : l
  /: : /    ヽヾヽ: : lヽ  l  /l: : l
  /: : /      l \ヾ、: l ヽ  l //l: :/
 /: : :l       l ハ ヾ、l、、l  l////l

133:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 17:50:55 TGCzN88Y
てか、四面楚歌更新されてるね。乙

134:グレゴリー
09/11/25 11:34:46 IjQVi6UG
ちょうど一年前に書いた「女たちの陰謀」の続編のアイデアが湧いてきたのです。奇しくも前作と同じクリスマスに披露できるかもしれない。


135:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/25 19:25:30 D8+tCsbN
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね


136:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/26 05:42:19 LXZvy25P
ぽんぽんおはどうなったんだ
管理人は死んだのか
好きだったのになぁ

137:泉こなた(=ω=.) ◆jeB1vEWJ9Q
09/11/26 06:38:11 GX+SaW+8
あっぷぷぇ!
\(=ω=.)/

138:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/28 18:40:23 XRvIFucf
>>134
よぉ~お、ガンガンと中尉元気ぃ?

139:グレゴリー
09/11/28 19:05:23 Y/s9gt2x
>>134
中尉のことは分からないがガンガンは元気だと思う。
テンションの低さが俺らのデフォでね。
合作だとかオフ会だとか騒いでた割にはすぐにテンションが下がってしまって。
この、すぐに死人のような無気力さになってしまうテンションの低さといかに
戦うかが俺の人生の目的になってしまっている。

140:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/28 21:09:51 XnKSvesL
またオフ会やらないの
作品は書いてないが参加はしたい

141:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/29 11:06:53 hXZFhBJg
こなた「かがみん、つかさぁ」
みゆき(呼び捨てですか……でも私だけ)
こなた「あ、そうだみゆきさん」
みゆき(さん付けなんですね……)
みゆき「はい、何でしょう?」
みさお「おっ、ちびっ子じゃんよ」
みゆき(!?こなたさんに悪口を?それとも渾名?
     高校一年からの付き合いからの私でさえ、こなたさんの事は慎みを以って泉さんと呼んでいるのに)
こなた「どったの?みさきち」
みゆき(みさきち……ですか。仲良さそうですね。私の事は、さんづけなのに。
     私の方が付き合い長いんですよ?それと、私に言いかけた事ってなんですか?)
みさお「いやさ、来月のクリスマスなんだけど、一緒に遊びにでもいかねぇ?
     柊と妹も来れんだろ?」
かがみ「いいわよ」
つかさ「んー、私は家族と過ごすね」
かがみ「やっぱ止めた。私はつかさと過ごしたいから」
みゆき(このジョック、私だけ省きやがりましたね。これだから体育会系は……)
こなた「いいよー、むふふな事しようねー」
みゆき(!?こなたさん、私と過ごして下さい……)
あやの「あ、泉ちゃんだー」
こなた「あ、峰岸さんだー」
みゆき(……泉ちゃんとは、馴れ馴れしいですね、付き合い浅いくせに。
     ですが、苗字にさん付けで呼ばれてるんですか。私は名前にさん付けですので、
     私の方が上位ですね)
こなた「峰岸さんもクリ……あ、峰岸さんは彼が居るのかー。
     峰岸さん可愛いもんね。まさに歩く萌え属性」
あやの「そんな事ないよー。泉ちゃんの方が可愛いわ」
みゆき(ええ、その言には全身全霊を持って同意致します。ですが……歩く萌え属性は私だったはず。
     こなたさん、あんまりです)
みゆき「あの、泉さん。先ほど私に言いかけた事は?」
こなた「ああ、クリスマスの誘いだったんだけど、ごめんね。
    みさきちと過ごす事になったから」
みゆき(……え!?あのジョック、絶対に許せません。ジョックだけじゃない、
     峰岸さんもつかささんもかがみさんも、一人残らず許しません。
     でも、四人も殺めるより、一人だけ殺める方が早い。それに、確実です)



かがみ「駄目よ、火事が酷くて回れないわ」
つかさ「ゆきちゃんとこなちゃんが中に居るのに」
みさお「ちびっ子、今助けに行ってやる」
あやの「駄目よ、危ないわ」
みさお「離せ、くそあのファッキンメガネ!!死にたきゃ一人で死ねよ!
     ちびっ子を巻き込んでじゃねぇ!!」

みゆき「聞くに堪えない罵声が、こちらまで届いてきますね。
     ですが、これで泉さんは私のもの……。一緒に死ねれば、貴方達の手は届きません」
こなた「ならないよ。みさきち以外の人間と添い遂げるくらいなら、一人で死んでやる」
みゆき「……。どうして!?どうして私の気持ちに気付いてくれないんですか!?
     どうして日下部さんなんですか!?」
こなた「この前クリスマスで一緒に過ごした時、肌重ねたんだ。面白半分でレズってみたけど、
     それで分かったよ。私とみさきちは相性がいいって。
     だから、みさきちと付き合う事にした」
みゆき「そんな……」
こなた「じゃあね、みゆきさん。私はみゆきさんの手にはかからない。勝手に死ぬよ。
    だから私は、みゆきさんのモノなんかにはならない」
みゆき「……あんまりです」
こなた「じゃあね。えいっ」
みゆき「いやあああああああああああああああああああ」

142:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/29 15:17:37 N8MeNv6y
「つかさのたくらみ」更新しました。(下から3P分)

URLリンク(www34.atwiki.jp)

じわじわ進めたいです。

143:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/30 00:14:45 XcoLrIep
ヤケクソとかどれくらいっぷりだよw

144:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/01 12:09:39 hvok3Eh9
はっきりって全く面白くないよどこを評価すればいいのこれ
時間をかけて練ってこれならあんた才能ないよ

145:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/02 12:01:57 zdXj77/m
俺は好きだけどね
よく見ると細かいところに笑いをさそう小道具があったりするし
焦らず展開を楽しもうぜ

146:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/03 03:31:24 Ug1J0Lbq
たで食う虫も好き好き

147:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/03 14:57:37 es6Wn/c/
昔のスレからwiki未収録の分を追加、「お駄賃」

148:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/04 20:32:34 g1bkRNJs
ゲロってエロいんだな

149:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/04 22:52:20 mGExaLWh
可愛い女の子がゲロ吐くの萌え ?

150:グレゴリー
09/12/04 23:22:42 Njnrj8UM
グロはいかかでしょ?
今書いてるssは全編を通して、信じられないくらいのグロですw

なんとかクリスマスまでに圧倒的な残虐グロスプラッターの血の雨を
降らせたいぜ

151:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 16:19:14 BVgqz57O
楽しみにしているよ、 Mr.グレゴリー ?

152:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 19:28:07 8mTo3/1g
>>147
体液フェチって感じなのか

153:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 19:32:36 L7cuihLW
殺す方法
1、う●こを食わす
2、らきすたをグロアニメにする
3、からだのあかを食わす

154:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 23:23:25 BVgqz57O

自動小銃で目と目の間を撃ち抜く

155:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 00:08:01 22NVoz7p
痛い


156:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 11:53:12 uLqNYQ/Y
一瞬で死ぬからつまらん
誰かに見せつけるならともかくも

157:師匠
09/12/06 12:19:00 9cdczN26
皆さん、こんにちは。
懲りずにまた書いたので今夜、投下させていただきます。
よろしくお願いします。

158:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 12:50:23 zKw2oBKw
いらんわボケ

159:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 15:13:25 zx4nfcjj
>>157
うざ
黙って投下すればいいのに
懲りずにとか前置きが必要なら投下する必要ないんじゃない?

160:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 17:33:37 jBgYZ99A

>>156

お、 何か暗殺術に詳しそうだな。

161:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 21:40:54 KPseZcKX
師匠さんって何書いた人だったっけ?


162:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 22:54:22 y/IvbUy9
たぶん幸せのゴールASの人

163:並行世界1
09/12/06 23:11:32 9cdczN26
《1》
1月14日(月曜日)夕方
 1月もなかば、やっと年明けのドタバタも落ち着いてきた。そんなある日の出来事だった。
 私は、担任の桜庭先生に頼まれ、遅くまで手伝いをしていた。
「受験生なのに遅くまで悪かったな」
「いえ、私の事は気にしないで下さい。今のところ、志望校も合格圏ですし」
「おお、そうだったな。じゃ、また近々頼むわ」
「えっ! は、はい……」
 し、しまった。
 桜庭先生の性格を考慮に入れて、ヘタな事は言わない方が良かったと私は思ったが、後の祭りだった。
「んじゃな、柊。気をつけて帰れよ」
「は、はい……」
 桜庭先生が去った後、教室で私は1人、帰り支度をしていた。
「ったく、口は禍のもととは、良く言ったもんよ」
 その時だった……私以外、誰もいない教室の空気が張り詰めた感じがした。
 なんなのよ、この感じ……。教室に今まで感じた事のない、異様な空気が漂う。
「誰?」
 私は、人の気配を感じ辺りを見まわす。
 そして、教室の出入口に目を向けた瞬間、信じられない人物が目に映った。
「わ、私……?」
 そこに立っていたのは、紛れもない自分自身だったのだ。
 もう1人の私は、ゆっくりと私に近づいてきた。
「驚いているようね? ま、自分がもう1人いるんだから無理もないけど」
「な、なんなのよアンタ……なんで、私がもう1人いるわけ?」
 私は、突然起きた異常な出来事に少し気が動転していた。
「落ち着いて聞いて、私は正真正銘のあなたであって、あなたではないの」
「はっ? 言ってる意味が、わかんないんだけど?」
「立ち話もなんだから、座って話しましょ」
 そう言って、誰かの席に腰を降ろすもう1人の私。
 私も警戒しながら、それに倣(なら)う。
「順を追って、話すわね……」
 私は、思わず唾を呑む。
「並行世界は、知ってるわよね?」
「並行世界? ……ああ、パラレルワールドの事ね?」
「そう……ある時空から分岐し、それに並行して存在する別の時空、もしもの世界……。」
「要するに私の存在する世界も現実で、アナタの存在する世界も現実って事よね?」
 私は、もう1人の私の話を素早く理解した。
「その通りよ。私は、この世界の時間で見て、1年後の並行世界から来たの」
「アナタは、この世界とは別世界の私だけど、未来の私ってわけね?」
 1年後の自分。未来から来た私は、なんだか悲しい目をしている。
 私なのに私ではないような……そんな悲しい目。
「信じてくれるかしら?」
「にわかには信じ難いけど、実際に私の目の前にいるんだから、信じられなくても信じるわよ」
「助かるわ。今度の私は、話がわかるようで……」

164:並行世界2
09/12/06 23:12:18 9cdczN26
 未来から来た私……あーなんか、ややこしいから未来から来た私の事は『未来かがみ』でいいわね! 
 未来かがみは、これが初めての並行世界ではないような口振りだった。
「今度の私?」
「ええ、この世界で6回目よ」
「な、6回目って……」
 未来かがみは、一体なにが目的なのよ?
「そ、それでアナタの目的は、なんなのよ?」
 目的を聞かれた未来かがみの頬には、一筋の涙が伝っていた。
「こなた……」
「え?」
「私はこなたの……こなたの『自殺』を止める為に並行世界を彷徨っているの」
 私は、耳を疑った。
「こなたが、自殺? あはははは、冗談にも程があるわよ。あのこなたが自殺なんてするわけないでしょ?」
 私は、未来かがみの話しを笑い飛ばした。
 しかし、未来かがみの目は真剣だった。
「本当よ。今から1週間後、こなたは……自殺する」
 私は、未来かがみの真剣な眼差しに悪寒が走った。
「う、嘘よ! そんなの絶対に嘘に決まってる」
「私が、嘘を言っているように見える?」
「うっ……」
 嘘は、言っていない……。それは、未来かがみの眼を見ればわかる。
「私は、こなたの死を目(ま)の当りにしたショックで、時空を移動できる力を手に入れたの」
「見たの……こなたが、死ぬところを?」
「……ええ」
 その問いに答えた未来かがみは、悲しく……そして寂しい眼をした。
「ごめん……嫌な事、聞いて」
 しまったぁ! 今の質問は、未来かがみに対して無神経だったわね。
「いいわよ……別に」
 その言葉とは、裏腹に未来かがみの表情は最悪だった。
 うわっ、空気重! 話、変えなきゃ……。
「でも、なんで5回も失敗するのよ?」
「それは『時間』が私を邪魔するからよ」
「時間?」
「そう……時間は、物事を変えようとしても本来の出来事に近い形に戻そうとする力が働くみたいなの」
 私は、それを聞いて1つの疑問が頭に浮かび上がった。
「ちょっと待ってよ! アンタの話、根本的におかしくない?」
「何がよ?」
「だって、それぞれ違う並行世界なのに、なんで毎回こなたが自殺するのよ? こなたが自殺しない並行世界
だって存在するはずでしょ?」
「ダメなのよ……」
「ダメ?」
「どうも私が移動できる並行世界は、こなたが自殺する世界だけみたいなの……。そこに行き着くまでの過程は
違うけど、最終的には自殺の結末が待っているのみ」

165:並行世界3
09/12/06 23:13:04 9cdczN26
 私は、驚愕した!
 未来かがみの言う通りであれば、この世界でもこなたの自殺がほぼ確定してしまった事になる。
「じゃあ、この世界でもこなたは自殺しちゃうの?」
「恐らくは……だから、どうしてもこの世界の時間に逆らうしかない」
「ど、どうすればいいのよ?」
「時間の力は、強大な物……それを変えるのは、並大抵の事では不可能!」
「私、こなたを救えるなら、なんだってするわ!」
「その言葉、本当ね?」
 私は、未来かがみの問いに無言で頷いた。
「じゃあ、自分の気持ちに素直になりなさい。私が言えるのは、ここまでよ」
「えっ、何よそれ?」
「悪いけど、核心は教えてあげられないの」
 なるほど、この世界の時間のせいね……。
 未来かがみは、この世界においてはイレギュラーな存在!
 あまり干渉し過ぎれば、時間がそれを排除しようとする力が働く恐れがある。
「わかった。出来る限りの事は、やってみるわ」
「たのむわ……。こなたの自殺を止める鍵は、あなたが握っているはず」
「うん……」
「あなただけが頼りよ。そして、私にこなたが自殺しない未来を見せて。私の世界では、もうそれは叶わない事
だから……」
 そうよ、そうなのよ! 如何に、この世界でこなたの自殺を止められたとしても未来かがみの世界には、
なんら影響はない。それが、並行世界の悲しい因果……。
 それでも、それを実現しようとする未来かがみ……なんだか、心(むね)が痛い。
「ませてよ、私は柊かがみ! こなたの1番の親友よ」
「ふふ、頼もしいわね」
 未来かがみは、初めて私に笑みを見せた。
「アンタも沈んだ顔より、笑った顔の方がカワイイよ」
「ぷっ、それって自分で自分を褒めてるのと一緒よ?」
「え、まぁ……そうなるわね」
 私は、頬をポリポリと掻く。少し、顔が赤くなっていたかも知れない。
「それじゃ私は一旦、自分の世界に戻るけど……くれぐれも、行動の選択には気をつけて!」
 そう言いながら、未来かがみは椅子から立ち上がった。
「ええ……わかってるわ」
 返答しながら、私も立ち上がる。
 不意に未来かがみが、左手を差し出してきた。
「健闘を祈るわ」
「ええ、まかせて」
 私と未来かがみは、誓いの握手を交わして別れた。
 自分の左手で、自分の左手に握手するのは、何か変な感じだった。
 別れ際、携帯電話の番号を聞かれたので教えてあげた。
 さて、まかせてとは言ったもののどうすればいいのよ?
 私は色々な思考を巡らせながら家路についた。

166:並行世界4
09/12/06 23:13:44 9cdczN26
《2》
「あ、お姉ちゃん。お帰りぃー、遅かったね?」
 帰る早々、玄関で妹のつかさとバッタリ出くわした。
「お、つかさ。ただいまぁー」
「何かあったの? むずかしい顔して」
 普段、お人好しで、天然キャラの傾向があるつかさだが、結構気がつくところがある。
 私も感情が顔に出やすいというのもあると思うけど……。
「んー、大した事じゃないの。桜庭先生にまた、頼まれ事されそうでね」
 私は、つかさに本当の事を言わなかった。
 あまり他言すれば、この世界の時間に影響する可能性があったからだ。
「ふーん、お姉ちゃんも大変だね」
「まあねー」
 私は、軽い返事をしながら自分の部屋に向かう。
 制服から部屋着に着替えながらも、こなたの事が頭に浮かんできてしまう。
 あのこなたが、本当に自殺なんてするのかしら?
 着替え終わった私は、ベッドに身を投げ、頭を悩ませていた。
「お姉ちゃん、入るよぉー」
 つかさが、部屋に入ってきた。
「えへへっ、ご飯できたよぉー」
「あ、もうそんな時間? すぐに行くよ」
「うん、今日はね。お姉ちゃんの大好物のパスタだから早く来ないと伸びちゃうよ」
 つかさは、そう言って部屋を出て行った。
 帰宅時間が、夕飯近くになっていた事すらも気づかなかったわ。
 あーもう! 悩んでたって、どうする事もできないし……。
 明日、こなたの様子を見てからじゃないと。
 とにかく何があっても私が、なんとかするっきゃない!
 私は、こなたの一番の親友なんだから。
 それにしても私、パスタって大好物だったかしら……?
 その夜は、夕飯を食べた後、お風呂に入って早々に眠りに就いた。

《3》
1月15日(火曜日)朝
 私とつかさは、糟日部駅前で、こなたが来るのを待っていた。
 いつもの事ながら、こなたのヤツは遅い! もう遅刻ギリギリじゃない。
 ヤキモキしている私の横で、つかさは携帯電話をイジくっている。
「こなちゃん、遅いねぇ?」
「まったくよ! いつもの事ながらアイツは……」
 そう言いかけた時、私のツインテールがギュッと後ろに引っ張られた。
 犯人はわかっている……。こんな事をするのはアイツぐらいしかいない。
「やほー。つかさ他1名」
「略すな! つーか、むしろ文字数多いし」
 やっぱり、こなただ。
「ったく、子供みたいな事すなっ!」
「おぉ、朝からツンが全開ですな、かがみん」
「うっさい!」
 なんの変哲もない、いつもの日常。
 バスの中でも、3年B組の前で別れるのも、いつもと一緒、何も変わらない……。
 ますます、未来かがみの話が信じられなくなってくるわ。

167:並行世界5
09/12/06 23:14:25 9cdczN26
《4》
 そして、昼休み……。
 私は、いつものようにお弁当を持って、こなた達のいる3年B組に向かう。
「おーすっ、こなたー」
「めーすっ、かがみん。嫁が、なかなか来ないから寂しかたよぉー」
「誰が嫁だ!」
 私は、左手に持っていたお弁当をこなたの頭上にトスッと置いて軽くツッコミを入れる。
「いやいや、かがみは俺の嫁! これは、今や常識なのだよ」
「バカッ! 恥ずかしい事、言ってないでサッサとお弁当食べるわよ」
「恋人との会話より、食欲を優先する強欲なかがみんであった……」
「なんだそれ、イヤミかぁ? んー?」
 私は、後ろから右腕でこなたの首を絞め、左の拳を蟀(こめ)谷(かみ)にグリグリと押しつけてやった。
 こなたの後頭部に顔を近づけたので、あの長い髪が私の鼻を擽(くすぐ)る。
 なんか甘くて良い香り……あ、チョココロネの匂いか……。
「ギブギブッ、かがみん、ギブだってばぁ!」
「あ、ごめん」
 私は、こなたからパッと手を離した。
 甘い香りに気をとられ、左の拳をこなたの蟀谷に押しつけいるのをすっかり忘れていた。
「痛いよぉ、かがみん」
「ごめんごめん。ボーッとしてたわ」
「ううぅ、かがみん凶暴伝説は本当だったのか!」
「だから、謝ってるだろ! 大体、変なナレーションをつける、アンタが悪いんじゃない」
 その時、私のお腹がグウゥッと鳴った。恥(はず)っ……!
「かがみんの腹時計は、正確であった……」
「貴様、懲りんヤツだな! また、やられたいのか?」
「はわぁ、嘘うそ」
「そう言えば、つかさとみゆきは、どうしたのよ?」
 私は、2人でトイレにでも行っているのかと思っていたが、それにしては戻って来るのが遅い。
「今頃、気づいたのかね? かがみんや」
「いや、トイレにでも行ってるのかなぁって、思ってたんだけど」
「みゆきさんは、黒井先生にお手伝いを頼まれて職員室なのだよ」
「つかさは?」
「つかさは、お手伝いを頼まれたみゆきさんのお手伝い」
「それでアンタは、その2人を手伝わずにココでボーッとしてたわけか?」
 私は、すかさずイヤミを言う。さっきのお返しよ! にひひっ。
「失敬な! 最初、私が手伝おうとしたら、つかさが『昼休みにこなちゃんが、いなかったら、お姉ちゃんが
寂しがるから……』って、言ってね」
 我が妹、やはり妙なところに気がつく。
「ふぅーん。っていうか、そのつかさのモノマネ、妙に似てるからやめろっ」
 そんな私のツッコミに、えへっと舌を出して戯(おど)けるこなたが、ちょっと可愛く見えたりする。

168:並行世界6
09/12/06 23:15:11 9cdczN26
 ふと、こなたがチョココロネに、まったく手をつけていない事に気づく。
 はは~ん……さては『代わってくれたつかさに悪いし、かがみが来るまでこれは食べられないよ』って感じ?
 結構、カワイイとこあるじゃない。
「あ、これは2つ目だよ。今なんか、勝手な想像してたみたいだけど?」
 はいはい、そうですね! ……ってコイツ、人の心が読めるのか?
 こなたの場合、本当にそれがありそうだから怖い。
「うっさい! 何も想像しとらんわ。それより、ホントにお腹空いたわよぉ早く食べましょ?」
「そだね」
 私は、こなたの机にお弁当を広げ食べ始めた。
 でも、つかさとみゆきがいないのは今の私にとって好都合だった。
「ねぇ、こなた……」
「んー、何?」
「アンタさぁ……この頃、なんか悩みとかない?」
 私の質問に、こなたは首を傾げている。
「うぅーん、……特にないけど、なんで?」
「いや、何かあるかなぁって、思っただけだけど」
「ふぅーん。……あっ! 1つあるかも?」
「えっ、なになに?」
 私は、身を乗り出してこなたに顔を近づける。
 危な! 顔、近づけ過ぎてキスするとこだったわ……。
「それがさ、この間ゲ〇ズでポイントを何に交換しようか迷っちゃってさぁ。まだ悩み中なんだよねぇー」
 なんだ、そんな事か……。
「あ! 今、『なんだ、そんな事か』って思ったでしょ?」
 だから、心を読むなっつーの!
「いや、思ってねぇーよ」
 本当に悩みとかないのかぁ? じゃあ、何が原因なのよ? これから、何かが起こるって事?
 私は、そう思いながら、お弁当の焼き鮭を口に運んだ。うん、美味しい。
 その後、黒井先生の手伝いを終えたつかさとみゆきが戻って来て、一緒に昼食に加わった。
 放課後、帰宅時もいつもと変わらない。
 でも、何かあるはず! そう、こなた風に言えば、『こなた自殺フラグ』ってヤツが。
 それは、絶対に立ててはいけないフラグ……私は、それを見極めなければならない。
 一体、どんな選択肢が待っているのか……それは、まったくの未知だ。

つづく

169:並行世界7
09/12/07 20:10:43 /h8TFquy
《5》
 刻み行く時間に、こなただけ足りない。
 失った心の欠片を探して、時空を彷徨う……逢いたい。

 こなたに逢いたい……。

1月17日(木曜日)夕方
 私は、また来てしまった……過去の世界に。
 この過去の世界において、私は柊かがみであって、柊かがみではない。
 なぜなら、この世界は過去とは言え、私の世界とはリンクしていない別世界。
 要するにこの過去の世界は、無数にある『並行世界』の1つにしか過ぎない。
 時空を飛び越え、過去を改変しても私の世界には、なんの影響も及びはしない。
 それでも私は、見たい! こなたが、自殺しない未来を……。

 過去かがみに会ってから、この世界の時間で3日が経っている。
 何か、進展はあったのだろうか? 学校も終わっている時間。
 とりあえず私は、過去かがみの携帯電話に連絡をしてみる事にした。
 公衆電話の受話器を取り、10円を入れてボタンをプッシュしようとしたその時、いきなりムギュゥッと私の
ツインテールが後ろに引っ張られた。
 えっ? これって犯人、わかってるけど……ヤバイッ、絶対にヤバイッ!
 バッ、と振り返ったそこには……。
「やほー、かがみん」
 あちゃー、やっぱりこなた。
 違う時空の私が、この時空のこなたに会っちゃダメでしょぉぉぉぉ!
 マズイッ、なんとか誤魔化さないと。
 私は、咄嗟(とっさ)にポケットから一応用意していた変装用の眼鏡を取り出して装着した。
 そして、ド○フの替歌と変な踊りで、この場をやり過ごそうとした。
「め、め、めがねの大爆笑ぅー」
 気が動転していたのかも知れない……いつもの私なら、こんな事は絶対にやらない。
「何やってんの? かがみん」
「わっ私は、ただの通りすがりで、かがみんなんかじゃ……」
「いや、どう見てもかがみんじゃん。それに何その替歌と踊り? つまんないけど」 
 ガーンッ、はずしたぁ。しかも、誤魔化しきれてない!
 寒い、私の周りだけ気温が絶対零度近くまで下がったようだわ。
 くっ……こうなったら、この世界のかがみになりきってやるわ!
「バレちゃ、しょうがないわね。何を隠そう、私はかがみだったのよ」
「いや、それは最初からわかってるし」
「うっさい! で、あんたこそこんなところで何してんのよ?」
「私は、今からゲ○ズに行くとこだーよぉ」
「なんだぁ? また、フィギュアかぁ?」
「今日は違うよ。ほらぁ、この前、言ってたポイント」
「ポイント?」
 この前って言われても、全然わかんないわよ。
 察するにこなたは、ポイントを何かの景品と交換しようとしてるのかしら?
 それとも、ポイント2倍の日とか……。

170:並行世界8
09/12/07 20:11:17 /h8TFquy
「ああ、あれね?」
「そうそう、交換する景品がやっと決まってさ」
 ビンゴ! 適当に話、合わせればイケそうね。
 なんとかやり過ごして、早くこなたから逃げないと。
「へぇ、良かったじゃない。じゃあ、私はこれで……」
 私は、この場を立ち去ろうとした。
 だが、こなたは私のツインテールをまたしても引っ張った。
「なっ、いいかげんにしろよ」
 私のツインテールは、馬の手綱か?
「かがみん、冷たいじゃん。付き合ってよ」
「私、用事あるし……」
「かがみん、かがみん」
「何よ?」
 こなたは、私に寄り添って、耳打ちしてきた。なんなのよ、そのニヒヒッな目は?
「なんか、新しく大宮にスイーツ食べ放題のお店がオープンしたらしいよ」
 スゥウィィィィィィィィィィィィッツ。
 スイーツ、食べ放題、それは女のロマン! 行きたい。
 いやいや、それはダメでしょ。行ったらマズイでしょ。
「ス、スイーツ?」
「そ、行きたくない?」
「え、まあ、行ってみたいかも……」
 ええっ! ちょっと私、何言ってるの?
「じゃあ、決まりだね」
 結局、私は女のロマン方程式に勝てなかった。
 これは、女の子限定で無敵の方程式……抗う術はない。
 私は、自分にそう言い聞かせてこなたに付き合う事にした。って、ダメダメじゃん私!

《6》
 そして、ゲ○ズに到着した私達……。
 こなたは、早速ポイントを景品に交換するのかと思いきや、悠長に店内を物色し始めた。
 まったく、この悠長戦隊め!
「おい、ポイントを景品に交換する為に来たんじゃないのか?」
「いいじゃーん、別に。せっかく、来たんだから見てっても」
「ったく、しょうがないわね」
 私は、ボヤキながらも、実は久々にこなたとふれ合えて嬉しかったりする。
 さっきから、胸のドキドキが止まらない。こなた……やっぱ、カワイイよ。
「あ、かがみん。ラノベの新刊、出てるよ」
「え?」
 ああ、これ持ってるし、ラスト知ってるし。
 しかも、めちゃくちゃつまんなかったのよね。
「買わないの?」
 こなたは、そのライトノベルを私に差し出してきた。
「あーいや、今日はやめとくわ」
「あれ? かがみ、これすっごく楽しみにしてたよね?」

171:並行世界9
09/12/07 20:11:50 /h8TFquy
「えっ、そうだっけ?」
「うんうん、昨日もこれ、欲しがってたよね?」
 やばっ、そんな話になってたわけぇ!
 これは、買わないといけないような雰囲気……。


「ありがとうございましたー」
 結局、私は買いたくもない、つまらないライトノベルを買うハメになってしまった。
 レジスターのチンッという音が、妙にムカついた。
「よかったね、かがみん」
「う、うん……」
 全然、嬉しくなかった……。
「で、あんたは、何を買うのよ?」
「えっ? 私は、何も買わないよ。ポイントを景品に交換しに来ただけだし」
 こ、こいつは……。ちっくしょう! この怒りは、何処へぶつければ……。
 私が、震える左の拳を右手で押さえているのを余所に、こなたはポイントを景品に交換していた。
「お待たせ、かがみん」
 ポイントを景品に交換したこなたは、どこか嬉しそうに見えた。
 そんなにいい物なのか? ちょっと、中身が気になるかも。
「んじゃ、かがみ様の本命にレッツゴー」
「な、な……それじゃまるで、私が食い気しかないみたいじゃない」
「えぇー、だって、それに釣られて来たんじゃん」
「う、うるさいっ」
 私は、まったく否定できなかった。
 でも、こなた……本当の所は、あんたと一緒にいたいってのもあるんだぞ。

《7》
 そうこうしている内に、スイーツ食べ放題の店に到着した私達……。
 オープンしたてという事もあり、店内は中々混雑していた。
 メニューも豊富で、スイーツだけで50種類以上はある。
 例によって、1時間の時間制限と非常識な食べ残しは別途料金。こういう店じゃ常套ルールね。
「かがみん、準備はいい?」
「ええ、よくってよ」
 スーパーイナズマ……んじゃなくてぇ! これは、スイーツ食べ放題でしょ……これは。
 しかし、ショーケースに並んでいる50種類以上のスイーツは、見ていて圧巻だ。
 私は、それを片っ端から皿に乗せてゆく。
 ふと、こなたの皿を見ると私と同じくらいスイーツが乗せられていた。
「ちょっと、そんなに取ってあんた食べられるの?」
「ええー、かがみだって人の事、言えないじゃん」
「この程度なら、普通でしょ普通」
「かがみんの胃袋は、底なしの胃袋であった……」
「うっさい! 私と同じくらい取ってるあんたに言われとぉーないわっ」
 席に戻った私とこなたは、早速スイーツを口に運んだ。
 はむっ……パアァァッと、口の中にレモンの香りと甘さが広がって、至福が脳を満たす。
 美味しい! この、ひとことに限る。

172:並行世界10
09/12/07 20:12:32 /h8TFquy
 あれだけあった皿の上のスイーツも、あれよあれよの内に全て平らげてしまった。
 そして、私は勢いにまかせて2皿目を取りに行こうと立ち上がった。
 が、しかし……こなたが、私の腕を掴んだ。
「かがみん、やめた方がいいんじゃない?」
「なんでよ?」
 なぜか、こなたは私の2皿目を阻止してきた。
「ほら、ずっと前の話だけどさ……1皿目の勢いで取ったら最後、キツくなったじゃん」
「えっ、そんな事あったかしら?」
「もお、かがみん覚えてないの?」
 この世界のこなたとかがみは、前にもこういう店に行った事があるのか?
 とりあえず、話を合わせておいた方が良さそうね。
「ああ、あれね。でも、今日は大丈夫よ」
「ホントにぃー?」
「大丈夫、大丈夫」
 私は、心配するこなたを尻目に2皿目を強行した。
 取ってきた量は、1皿目と変わらない量だ。これくらい余裕よ。
「げっ、またそんなに取ってきたの?」
「もお、こなたは心配性ね。大丈夫よ」
 私は、スイーツを1つ、また1つと口に運ぶ。
 余裕だと思っていた……しかし、そんな思いも次第に遠い過去の物となった。
 そう、私の考えは甘かったのだ。
 如何に美味しいとはいえ、こうも甘い物が続くと流石(さすが)に辛い物があった。
「うぐっ……」
 辛そうにスイーツを口に運ぶ私をニヤニヤとこなたが見ている。
「だから、言ったじゃーん」
「うるさいっ、底なしの胃袋とか言ってたあんたにも責任があるんだから食べなさいよ」
「な、なんで私が!」
「問答無用! くらえ! グルメ・○・フォアッグラ」
「うぐっ」
 私は、嫌がるこなたの口にスイーツをいっぺんに2つ、無理矢理ねじり込んだ。
 こなたは、それを悪戦苦闘しながら必死に飲み込んだ。
「ひっ酷いよ、かがみん。しかもネタ古いし」
「お、結構余裕そうじゃん? ほれっ」
 私は、こなたのスキをついて、またしてもスイーツを2つねじり込んだ。
「むむっ……むぅごごっ」
 咽喉に閊(つか)えたのか、水でスイーツを流し込むこなた。ちょっと、調子に乗ってやり過ぎたわね。
「ぜぇーぜぇー……これは、新手のイジメですか? かがみさん」
「ごめん、ごめん。調子に乗り過ぎちゃった」
 こなたには悪いけど、これでなんとかイケそうだわ。ホントにごめんね……こなた。
 なんとか完食した私達は、別途料金なしで店を後にした。

173:並行世界11
09/12/07 20:13:07 /h8TFquy
《8》
 こなたは先程行なった私の暴挙により少々ご機嫌ナナメの様子だった。
「こなたー。機嫌直してよぉ」
「かがみんが、あんなヤツだと思わなかったよ」
「だから、ゴメンて謝ってるじゃない」
 こなたは、私の謝罪を無視してズカズカと前を歩いている。
 私は、その後を申し訳なさそうについて行く。その時! 急にこなたが、立ち止まった。
 あまりに急な事だったので、すぐ後ろを歩いていた私はこなたにぶつかってしまった。
「わっ! ちょっと、いきなり止まらないでよ」
 こなたは、そんな私の抗議を無視して、スッとどこかを指差した。
「プリクラッ」
「えっ?」
「プリクラ、一緒に撮ってくれたら許したげる」
 こなたの指差した方向は、ゲームセンターだった。
 えっ? そんなので許してくれるならお安い御用よ。
「プリクラ撮る! だから許して、こなた様」
「ふふぅーん、よかろう。ただし、もう1つ条件がある」
「条件、どんな?」
「それは、プリクラでのお楽しみ」
 こなたのヤツ……なんか企んでるわね。すっごく、嫌な予感がしてきた。
 私は、不安な気持ちを残したままプリクラの幕をくぐってカメラの前に立った。
「さあ、教えてもらおうかしら? その条件とやらを」
「ふふぅーんっ」
 こなたは、私の質問に答える気がないのか、プリクラにお金を投入している。
「ちょっと、いいかげん教えなさいよっ!」
 答えを言わないこなたに、シビレを切らした私が少し強い口調で問い質した。
 すると、こなたは自分の頬を指差してこう言った。
「ほっぺにチュウして」
「えっ?」
 なになに……今、なんと言いましたか? こなたさん。
「だからぁ、かがみんが私のほっぺにチュウしたプリクラが撮りたいの!」
「ちょ、ちょっと何、言ってんのよあんたは?」
「嫌なら許してあげないけど、いいのかなぁ?」
 いや、私は全然いいんだけど、むしろ私が望んでいる事だし。
 でも、過去かがみの手前……ねぇ。
 しかし、ここで、こなたの機嫌をとっておかねば、過去かがみとこなたの関係も悪くなってしまうわけで……。
「でぇーい! 南無三っ」
 私は、勢いにまかせてプリクラの撮影ボタンを押した。

 3、2、1……私は、意を決してこなたの『唇』にキスをした! 
 あれっ……ほっぺでいいんじゃなかったっけ? しまったぁ! 地金が出てしまった……。
「んむむっ? んー、んーっ!」
 予想外の出来事に始め、こなたは目を丸くしていたが、それはやがて切な瞳に変わった。
 とっくに撮影は終わっているのに私は、キスをやめなかった。
 こなたとずっと、こうしていたい……。

 好き……こなたが好きなの……。

「んっ……」
 重ねあった唇が、ゆっくりと離れる。
 どちらのとも言えない、唾液が糸を引て妖艶に光っている。

174:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/07 20:13:11 5NWihP/O
こなたを坊主にするのも良いかもなー

175:並行世界12
09/12/07 20:13:58 /h8TFquy
「かがみん……キス、上手いね」
「そ、そかな? 初めてだったんだけど……」
 私は、自分でも顔が真っ赤だとわかるくらいドキドキしていた。
 それは、こなたも同じようだ。
「プリクラ……そろそろ出てくるね」
「そ、そうね……」
 暫くして、印刷されたプリクラが出てきた。
 こなたは、それをハサミで切って半分を私にくれた。
 改めて見ると、かなり恥ずかしいプリクラだ。
「じゃあ……帰ろっか?」
「そ、そうね……」
 なんか、会話がぎこちない。
 帰りの電車の中でも、特に会話のないまま時が進んだ。
 キスの余韻で、未だに頭がボーッとしている……。

《9》
 気づくと私達は、駅のベンチに並んで座っていた。
 いつの間にか、乗り換えの駅に到着していたようだ。
 不意に隣に座っているこなたが、私に凭(もた)れ掛かってきた。
「ねぇ……なんであの時、ほっぺじゃなくて口にしたの?」
 好きだから! こなたの事が好きだからよ。……なんて、言えるわけもなく。
「わからない……身体が勝手に動いたから」
「へぇ、そんな不思議な事ってあるんだ……」
 暫しの沈黙が、流れる。何番線かに到着した電車の音が、酷く耳障りだった。
「……もっかいして」
「えっ?」
 私は、予想していなかったこなたの台詞に一瞬、耳を疑った。
「だって、あんな不意打ちが私のファーストキスなんて嫌だもん」
 そうだよね。あれは、ホントいきなりというか……キスの押し付けみたいな感じだったし。
 あれじゃ、こなたが納得しないのも無理ないよね。
「うん、わかった。もう1回……しよっか?」
 こなたは、その問いに無言で頷いた。
 ホームには、たくさんの人がいたが、そんな事はどうでもいい。
 あの時の二の舞は、もう嫌だ!
 私は、人目を気にせずこなたに口づけた……。
 さっきよりも長く……長く…………時間が止まったかの如く。
 ホームの雑音も聞こえない……ここは、私とこなただけの世界……。

 の、はずだった! キスをしている私の目に彼女が映るまでは……。

176:並行世界13
09/12/07 20:14:42 /h8TFquy
「かがみっ!」
 私は、思わずその名を口に出してしまった。
 過去かがみは、私の呼びかけに反応すらせず全力で走り去った。
 こなたの前で私達がはち合わせるのは、マズイッ!
 過去かがみの判断は、それで合っている……でも、過去かがみは泣いていた。
 くっ、どうする? ……追うしかないっ! 
「こなた、ごめん! 私、急用が出来た」
「ほへぇぇ?」
 私は、キスの余韻でまだボケボケしているこなたに一応謝ってからその場を後にした。
 中途半端だけど、ごめんね……こなた。

 駅を出た私は、脳をフル回転させ自分が行きそうなところを予測する。
 私の行きそうなところ……こっちか! 必ず、見つけてみせるわ。過去かがみ!

つづく

177:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/08 02:37:23 x8W5AglF
早急に続き希望
平行もの大好き

178:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/08 04:10:46 LzAS2bHr
そして私は閉口した

179:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/08 18:35:20 GdQ+ir9E
続きが楽しみです!
こなかが展開ですかw

180:並行世界14
09/12/08 19:31:38 l1SdaMIM
《10》
1月17日(木曜日)夜
 あれは、どういう事よ? こなたと未来かがみ……キス……してた。
 走って逃げて来ちゃったけど、私……何、やってんだろ?
 それになんで……なんで、さっきから涙が止まらないの?

 気づくと私は、誰もいない公園のベンチに座っていた。
 こんな事なら桜庭先生の手伝い断って、早く家に帰れば良かったなぁ……。
 そんな事を考えながら夜空を見上げてみる。
 ああ、星々が眩いばかりに輝いている……綺麗。

「こんなところにいたら、風邪ひくわよ」
 未来かがみ! ……追って来たのね。
「なんでここが……?」
「私は、あなたよ。あなたの行先を予測するなんて容易い事よ」
 何よそれ……。ふざけんじゃないわよっ! アンタに私の何がわかるっていうの?
「時間の力が、どうのって言ってたわりに随分な御身分じゃない? ……こなたとなんか遊んじゃってさっ」
 私は、なんか不貞腐れていた。
「…………」
 未来かがみは、何も言わなかった。それがまた、私を逆上させた。
「なんか、言いなさいよっ!」
 夜の公園にバチーンッという音が響き渡った。
 私は、思わず未来かがみに手をあげてしまったのだ。
「……私を殴りたければ、気の済むまで殴るがいいわ」
「うるさいっ!」
 私は、もう1度、未来かがみの頬を張った。
 やりたくてやったわけじゃない……身体が勝手に動いた。
 ジワジワと意味のわからない感情が湧き上がってくる。
「んぐっ……ふぐぅ……」
 涙が出てきた……。
 私、なんで怒ってるんだろ? なんで泣いてるんだろ?
「……かがみ」
 未来かがみが、泣いている私を優しく抱擁してくれた。
「ひぐっ……何よ、アンタに優しくされる覚えはないのよ」
「いいから……このままになさい」
 未来かがみは、悪態をつく私をさらに強く抱きしめてくれた。
 
 あったかい……。
 
 私は、未来かがみの胸に顔を埋めながらそんな事を思った。
「泣きたい時は、泣けばいい……我慢しないで泣きなさい」
 それを聞いた私は何かが、ふっ切れたように大声で泣いてしまった。
「うっうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ」
 あんなに大声で泣いたのは、幼稚園か小学生以来かも知れない。

181:並行世界15
09/12/08 19:32:14 l1SdaMIM
《11》
 どれだけ泣いたのか、泣き疲れた私はベンチに座っていた。
「少しは、落ち着いた? はいっ、コーヒーで良かったかしら?」
 未来かがみが、すぐそこの自動販売機で、温かい飲み物を買って来てくれた。
「あ、ありがとっ」
 私は、それをすぐには開けず、かじかんだ手を温めるように手の平で転がした。
 さっき、未来かがみを平手した手が、まだジンジンする。
「さっきは、その……殴ってゴメン」
「いいわよ……悪いのは、私の方だもの」
 そうは言ったものの、未来かがみの右頬は真っ赤に腫れ上がっていて痛々しい。
「隣……いいかしら?」
「あ、うん……」
 私の隣に座った未来かがみは、徐(おもむろ)に話出した。
「私ね、こなたの事……愛してたの」
「…………」
 私は、それを無言で聞いていた。
「でも、しょせんは女の子同士……叶わない恋だと思ってた。そんな私にもある日、転機が訪れた……こなたが
私に告白してくれたの。嬉しかった……私は、世界一の幸せ者だと思った。でもね、私がこなたにした返事は、
その気持ちとは真逆だったの」
「な、なんで!」
 私は、思わず声を荒げてしまった。
「自分の気持ちに素直になれなかったから……」
 未来かがみは、静かに言い放った。
「女の子同士、おかしい、普通じゃない……そんな世間の体(てい)が、私を曇らせたの」
 そう言った未来かがみの瞳は、酷く悲しそうだった。
「それをきっかけに、こなたとの距離も遠くなって。そして、こなたはそれを気に病んで、ついにこなたは……
こなたは……」
「もう、いいよっ!」
 私は、大声で未来かがみの話を制止した。
「もう……いいよ。そんな辛い話、しなくってさっ」
 未来かがみの気持ちはわかった。そして、私自身の気持ちも……。
 私、こなたの事……好きなんだ……愛してるんだ。
「今やっと、わかった。私もこなたの事、愛してるみたい」
 自分の気持ちに気づいた私は、なんだか未来かがみに対して、またムカッ腹が立ってきた。
「でもさっ! だからって、こなたとキスしたのは許せない」
 だから、だから……返してもらうわよ! 私は、思いっきり未来かがみの唇を奪った。
「んんぅーっ? んぅー……っ!」
 未来かがみがこなたにしたキスより長く……長く…………。


「……ぷはっ」
「けほっ、けほっ……ちょっと! あなた、何考えて……?」

182:並行世界16
09/12/08 19:32:55 l1SdaMIM
 私は、口元から垂れる唾液を手で拭いながら。
「返してもらったわよっ! こなたを」
 それを聞いた未来かがみは、ハッとして……その後、微笑した。
「ふふっ……なるほどね」
 続け様に私は、未来かがみに右の頬を突き出す。
「アンタ、私の頬を2回張りなさいよっ!」
「えっ、なんで?」
 私が、やった事への私のお返し……。
「いいから! じゃないと、私の気が済まないっ」
 始め未来かがみは躊躇していたが、私の気持ちを酌んでくれたのか、左手を振り被った。
「……わかった。でも、1発でいい……殴るこっちの手も痛いんだから!」
 次の瞬間、未来かがみの手が空を切る音、続いて手と頬がぶつかる音が響いた。
 いっ痛ぅぅーっ! 私、こんなに強く殴ったかしら?
 でも、そんな痛みとは裏腹に私の心は、清々しい気持ちでいっぱいだった。
 サンキュー……未来かがみ。
「ありがと、これで気持ちが楽になったわ」
「どういたしまして……ふふっ」
「えへへっ……」
 私達は、互いの気持ちを整理して、思わず笑みが零れてしまった。
 その後、私達はベンチに座り他愛もない話で笑い合った。
「あれ、やっぱ臭いよねぇ?」
「うんうん、臭い臭い」
 二人で大笑い……すっごく楽しかった。
 そんな話の途中、未来かがみは星空を指差して私に質問してきた。
「ねぇ、あそこの星が3つ並んだ星座、なんだかわかる?」
 3つ? ……ああ、オリオン座ね。
「オリオン座よ。誰でも知ってるわよ」
「正解、その左下で一際輝く星は?」
 これも初歩的な問題ね。
「シリウス、おおいぬ座の1等星」
「正解、じゃあ、シリウスの右にある星座はわかる?」
「えっ? シリウスの右……うぅーん」
 あんな所に星座なんてあったかしら?
「わからない?」
「ちょっと、覚えがないわ」
「マイナーな星座だからね」
「で、なんなのよ?」
「……うさぎ座」
「うさぎ座?」
「そう、あの星はまるで私……1人だと寂しくて死んじゃうの」
 未来かがみは、どこか寂しい眼をしていた。
「だから、私は並行世界を彷徨っているのかもね」
「1人じゃないわよ……」
 私は、未来かがみのそれを否定した。そして、星空を指差して……。
「こいぬ座の上、あの星座を忘れてない?」

183:並行世界17
09/12/08 19:33:33 l1SdaMIM
「ふたご座? それが何と……っ!」
 そこまで言いかけて、未来かがみも気づいたようだ。
「ふたご座は、こなたの生まれ星座……星になってアナタを見ているんだよ」
 それを聞いた未来かがみは、少しだけ笑っていた。
「あなたって、本当にポジティブね」
「まあね、差し詰め、あのふたご座はアナタのラッキースター……なんてね」
「略して『らきすた』ね……ふふっ」
 良かった……少しは、元気を取り戻してくれて。
 やっぱ未来かがみは、沈んだ顔より笑った顔の方がカワイイわよ。
「そうだ、これを渡しておくわ」
 未来かがみは、ポケットから包みを取り出して私に差し出した。
「何、これ?」
「あなたが、楽しみにしてたラノベよ」
「うそ、もしかしてあのラノベ? 貰っていいの?」
「うん、私それ、持ってるから……」
 ラッキー! あのふたご座は、私のらきすたでもあったのね。
 でも、このライトノベルを渡した時の未来かがみの苦笑がちょっと気になったけど……。
 ま、いっか! ラッキーは、ラッキーよ。
「そ、それとね……これ、なんだけど」
「んっ、何?」
 未来かがみが、ポケットから取り出したもう1つの物を見て私は、私は……。
 な、な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
「な、なんなのよぉぉぉぉ! これはっ?」
「プ、プリクラ……」
「プ、プリクラは、わかってんのよ! なんで……」
 なんで、こなたとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
「なんか、成り行きでこうなっちゃって……えへっ」
 えへっ……じゃないわよぉぉぉぉっ!
 な、なんだその舌出して、おでこにコツンッはぁぁぁぁ!
「あ、あのね……落ち着いて聞いてね。実は……」
 私は、未来かがみに事の経緯(いきさつ)を聞かされた。
「……と言うわけで。これは、その、不可抗力というか……」
 いやいや、不可抗力じゃないですからっ。ただ、アンタが暴走しただけですからっ。
「ったく、何が不可抗力よ。アンタが暴走しただけじゃない」
 私は、呆れて怒る気力も失せていた。
「いや、暴走というか、なんというか……」
 未来かがみは、恥ずかしそうに両手の人差し指を互いにチョンチョン突き合っている。
 なんかムカツクぞ! それっ。
「ああっ、もうこんな時間! 私、帰らないとっ」
 タイムトラベラーの未来かがみに時間はあまり関係ないのでは? と、私は思ったが呆れて何も言えなかった。
「じゃ、そんな事だから、話合わせといて」
 何がそんな事なのか……。
「はあぁ……」
 私は、額に手を当て、大きな溜息をついた

184:並行世界18
09/12/08 19:34:15 l1SdaMIM
「ちょっと、待ちなさいよっ」
「えっ……まだ、何か?」
 私の呼び止めにビクッとする未来かがみ。ちょっと、カワイイかも。
「これ、写ってんのアンタでしょ?」
 私は、プリクラを未来かがみの眼前に突き出した。
「そ、そうだけど……」
「だったらさっ、1枚くらい持って行きなさいよ」
 未来かがみは、思いがけない私の台詞にキョトンッとしている。
「ほら、どうしたのよ?」
「……かがみ」
 未来かがみは、嬉しそうにプリクラに手をかけた。次の瞬間……!
「1枚なんてケチくさい事、言ってないで! もっと、よこしなさいよっ」
 私からプリクラをひったくろうとする未来かがみ。
 しかし、私もプリクラを力の限り掴んでそれを阻止する。
「ふ、ふざけなさいよっ……」
「半分! いや、むしろあなたが1枚で十分よ」
「な、なんだとぉ! て、手を離しなさいよぉ」
「あ、あなたこそ離しなさいよっ」
 私達は、互いに引こうとしなかった。
 私達の背中には、闘志が炎となってあらわれていたに違いない。……多分。

《12》
 結局、プリクラが破れそうになったので、互いに引いて半分で折り合いがついた。
「サンキュー、またね」
 嬉しそうに自分の世界に戻る未来かがみ。
 あのプリクラを眺めてニヤける未来かがみが容易に想像できて、なんか腹が立つ。
 何はともあれ、今日は散々だった。

 ふと、プリクラを眺めてみる。
 しかし、改めて見ると、つくづく恥ずかしいプリクラだ。
 目を覆いたくなる……っていうか明日、こなたに会うのが気マズイ。
「どうするのよぉ、これぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 私の悲痛にも似た叫びが、夜の公園にこだました……。

つづく

185:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/08 23:43:07 GdQ+ir9E
乙です!
明日も楽しみですな~

186:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/09 12:30:22 C7OsODsj
作者のレベルが格段に向上している



187:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/09 18:37:22 0wp4vv2a
神奈川版「麾く煉獄」でココが分からないんだけど

①、凛は示談金目的でそうじろうを脅したのか?それとも復讐しに来ただけなの?
②、ゆい姉さんは示談が成立しかかっていたのに、警察に通報したの?
③、伸江は信用金庫を襲撃し、こなたの金を奪い、ヤクザを皆殺しにしたなぜ?
④、そうじろうは結局、自殺したの?
⑤、こうはこなたとは顔見知りなのに「汚い!あっちに行け!」と言ったの?

誰か詳しく教えてくれ

188:並行世界19
09/12/09 20:46:14 AaN2A3Bs
《13》
1月18日(金曜日)朝
 朝が来てしまった……。
 私は、つかさと一緒に糟日部駅前でこなたが来るのを待っていた。

 どんな顔してこなたに会えばいいのだろう?
 はあぁっ……と、ただブルーな溜息が出るばかりだった。

 確かに私は、自分の気持ちに気づいた。
 でも、昨日の出来事は私じゃなくて未来かがみのした事。
 プリクラも駅でのキスも……私ではない。そう考えると、なんか憂鬱。
「お姉ちゃん。なんか元気ないけど、どうしたの?」
 浮かない顔をした私を心配したのか、つかさが声をかけてきた。
「ううん、なんでもないよ。ちょっと、寝不足なだけ」
 嘘ではない。実は昨日の夜、色々考えてしまって眠りに就いたのが4時頃になってしまった。
「寝不足? なんか、こなちゃんみたいだね」
「ははっ……そ、そうね」
「あっ! お姉ちゃん、こなちゃん来たよ」
 こなた! 改札口からこなたが出て来るのが見えた。
 顔が、カアァッと熱を帯びるのが自分でもわかる。
 あぁっ、どうしよう、どうしよう……。
「ホントに大丈夫? お姉ちゃん」
 ソワソワする私を見て、つかさが心配してきた。
「だ、大丈夫よ。ホントになんでもないから」
 そ、そうよ。普通よ、普通でいいのよ! いつものように自然に振る舞えばいいじゃないっ。
「おはよう。こなちゃん」
「おっはよう。つかさ」
「あっ……こなた、おはよっ」
 声が上擦ってしまった。普通に普通にという気持ちが、裏目に出てしまったらしい。
 こなたは、私の方をチラッと見てすぐにプイッと目を逸らした。
 そして、そのまま私を無視して歩き始めた。あれっ? え、えっ……私、何かやったか?
「ちょ、ちょっと……こなっ」
「あ、かがみ。……いたの?」
 なっ! い、いたのって……。どうやら、こなたは機嫌が悪いようだ。
「こ、こなちゃん。どうしたの、怒ってるの?」
 つかさは、こなたの態度に驚いている様子だった。
「大丈夫だよ。つかさの事は、全然怒ってないから」
 という事は、やはり、私には怒っているのか?
「ちょっと、こなた。朝から何、怒ってんのよ?」
 私は、冗談混じりにこなたの背中をポンと叩いて聞いてみた。
「自分の胸に聞いてみたら?」
 私の方を見もしないで答えるこなた。
 一体、私が何をしたというのか……。
 私は、身に覚えのないこなたの仕打ちに困惑していた。

189:並行世界20
09/12/09 20:46:46 AaN2A3Bs
「お姉ちゃん。こなちゃんになんかしたの?」
「わ、私は別に……」
 身に覚えがないので、私はつかさの質問に答える事ができなかった。
「でも、こなちゃん怒ってたよ」
「いや、ホントに心当たりがないのよ……」
「じゃあ、なんで……あっ! こなちゃん、待ってよぉ」
 つかさは、私を置いて、先を行くこなたを追って行ってしまった。
 こなたのヤツ……一体、私が何したってのよ?
 バスの中でつかさは、私達をなんとか仲直りさせようと苦闘していたが、それも上手くはいかなかった。
 いつもは、休み時間になれば毎度の如く行っていた3年B組も今日は、なんだか行きづらくて行かなかった。

《14》
 そして、昼休み……。
「おうっ、柊ぃー。今日は、ちびっ子のところに行かねぇのか?」
 ほとんどの昼休みを3年B組で過ごす私が、今日はそこへ行かないのを不思議に思ったのか、日下部が話し
かけてきた。その隣には、いつものように峰岸もいる。
「う、うん……今日は、ちょっとね」
「どうしたの? 泉ちゃんとケンカでもしたの?」
 日下部の隣にいた峰岸が心配そうに聞いてきた。
 どうやら、峰岸には見透かされているようだ。
「いや、そんなんじゃないって」
 否定は、してみたもののバレバレだ。
「なんだぁ、柊ぃー。ちびっ子とケンカしたのかぁ?」
「う、うるさいっ。日下部には、関係ないだろっ」
 私は思わず、日下部を怒鳴ってしまった。
「うぅー、あやのぉ。柊が冷てぇよぉ」
 峰岸に泣きつく日下部。
 峰岸は、そんな日下部の頭をよしよしと撫でてなだめている。
「まぁまぁ、柊ちゃん。みさちゃんも悪気があって言ったわけじゃないから」
 確かに今のは、少しムキになり過ぎたかも知れない。
 峰岸はこういう時、良いストッパー役になってくれて助かる。
「そ、そうね……私が大人げなかったよ。日下部、怒鳴ったりして悪かったわね」
「うぅー……柊凶暴伝説」
 コイツ、言い返しづらい時によくもそんな事をっ!
「柊ちゃん……」
 峰岸は、私の肩にポンと手を置いて首を左右に振った。怒るなって、言いたいんでしょ?
「わかってるわよ。今のは、怒鳴った私が悪いんだし」
「だよなぁー」
 コイツ! 日下部は、基本的に友達思いのいい奴なのだが、こういうところがたまに癪にさわる。
「でも、柊ちゃん」
 峰岸が、真面目な顔で話を切り出した。
「泉ちゃんと本当にケンカしたなら、早く仲直りした方がいいんじゃないかしら?」
「そうだ、そうだぁ」
 私だって仲直りしたいけど、原因がわからないんじゃ……。
 それに日下部。『そうだ、そうだぁ』とか、いちいちいらんわっ。

190:並行世界21
09/12/09 20:47:20 AaN2A3Bs
「大体、柊は自分の気持ちに素直じゃねぇんだよ」
 自分の気持ちに素直……? そうか、わかった。
 未来かがみ! こなたが怒っている理由は、あの事だったんだ。
「日下部、峰岸。サンキュー」
 日下部と峰岸は、なんの事かわからないという顔をしていた。
 だが、今はそんな事を説明している余裕はない。一刻も早く、3年B組に行かなければ。
「こなたぁー」
 3年B組に到着した私は、昼食の真っ最中だったこなたの手を引いた。
「ちょ、ちょ、かがみっ?」
「お、お姉ちゃん。どうしたの?」
「か、かがみさん?」
 みんな驚いていたが、そんな事はおかまいなしだ。
「ちょっと、付き合ってもらうわよっ」
「ど、どこへ……?」
「いいから、ついて来なさいよっ」
 私は、嫌がるこなたの手を引いてズンズン歩き出した。向かった先は、屋上だ。
「ちょっ痛いよ、かがみ。離してよぉ」
 屋上に到着したところで、こなたは私の手を振り払った。
「一体、どういうつもり? かがっ!」
 こなたは、何かを言いかけていたが私は、それを自分の唇を重ねる事によって塞いだ。
 始め、私の唇から抗おうとしていたこなただったが、それも途中からしなくなった。
 このやり方は、少しズルイ方法だったかも知れない。
 でも、こなたと面と向かった時、自分の気持ちが抑え切れなかった。
「……こなた」
「ず、ズルイよ。かがみんは……ズルイよ」
 こなたは、私に抗議してきたが、その表情と言動に朝のようなトゲはない。
「昨日、駅に置いてけぼりにした事……怒ってるんでしょ?」
「う、うん……」
 やっぱり。昨日、未来かがみは一応謝ってから私を追って来たと言っていたが、置いてけぼりをくらった
こなたが、納得していないのでは? ……と私は、さっき思ったのだ。その考えは、間違ってはいなかったようだ。
「ごめんね、こなた。昨日の事は、なんかで埋め合わせするから許してよ」
「ホントに?」
「もちろんよ」
 それを聞いたこなたは、ニンマリと笑みを浮かべた。なんか嫌な予感。
「じゃあ今日さっ、私ン家に来てよ」
「別にいいけど……なんで?」
「ほら、テストも近いし。家でべんきょー……なんて」
 私は、こなたの額に手を当て、熱がないか確かめてみた。
「な、なんのつもり? かがみん」
「いや、めずらしくアンタがまともな事を言ってるから」
「ひどっ!」
「日頃が日頃だから。ごめん、ごめん」
 こなたは、こなたなりにちゃんと考えているようだ。
「そういう事ならいいわよ」
「さっすが、かがみん。心の友よ」

191:並行世界22
09/12/09 20:47:56 AaN2A3Bs
「じゃあ、教室に戻ってお昼にしましょうか?」
「って、かがみん。お昼休み、後10分もないよ」
 なぬぅー! 私、まだ全然お昼食べてないじゃないっ。
 その後、急いで教室に戻って掻き込む様にお弁当を食べたのは言うまでもない。

《15》
 放課後になり、私は帰り支度をしていた。
「かがみ様ぁー」
「だから、その呼び方やめろって」
 こなたが、私の教室まで迎えに来てくれた。
「あれ、つかさとみゆきは?」
「なんか、みゆきさんがつかさに用があるとかで、2人で先に帰ったよ」
 私は、すぐにピンときた。
 恐らく、2人の行動はつかさから事情を聞いたみゆきの計らい。
 昼休みに仲直りした私とこなたに気を遣っての事だ。
 みゆきが、つかさを連れて行かなければ、つかさもこなたの家に来ていたかも知れない。
 私とこなた。2人きりで仲を深めろという事だ。もちろん、変な意味ではなく……。
「そっか。じゃあ、私らだけで帰るか」
「ラーサー」
「また、古いネタを……。それわかる人、あんまりいないと思うぞ」
「ふっふっふっ、JとかWの活躍によって、結構知れ渡っているのだよ。かがみん」
「そ、そうなのか?」
 些(いささ)か疑問は残るが、私達はそんなこんなでこなたの家に到着した。
「あれっ?」
 戸を開けようとしたこなただったが、どうやら鍵が閉まっているようだ。
「お父さんもゆーちゃんもいないみたい」
「誰もいないの?」
「そうみたい。……ま、いいか」
 仕方なくこなたは、持っていた鍵で戸の鍵を開けた。
「お茶入れて来るから、先に私の部屋に行っててよ」
「あいよー。おじゃましまーす」
 私は、靴を脱いでこなたの部屋に向かった。
 こなたの部屋に入ってまず目に付くのは、棚に所狭しと並べられたフィギュア、漫画本、アニメDVDなどだ。
「相変わらずの部屋ね……」
 恐らくこなたは、この中の全てには目を通していないであろう。
「ったく、見もしないDVDや漫画なんて買って、どうするのかしら?」
「そんな事ないよ。一応、ひと通りは見てるよ」
「ヒャッ!」
 いきなり背後から声をかけられたので、驚いた私は思わず飛び退いて転んでしまった。
「いったぁー。ちょっと、脅かさないでよぉ」
「別に脅かしたつもりはないよ。それよりかがみん」
 なぜかこなたは、ニヤニヤしている。
「な、何よ。私が転んだのが、そんなにおかしいわけ?」
「いや、そうじゃなくて。パンツ、丸見えだよ」

192:並行世界23
09/12/09 20:48:32 AaN2A3Bs
 ハッ! 私は、あわてて乱れたスカートを直した。
「そんなところでドジッ子をアピールとは、かがみんもやるもんじゃのぉ」
「ば、ばかっ! アピールなんぞしとらんわっ」
 まったく、本当にコイツは女子高生なのか? ただの中年セクハラおやじにしか思えんっ。
「まあ、これでも食べて落ち着き給へ」
 こなたは、テーブルの上にお茶とお饅頭らしき物を置いた。それは、良く見ると埼玉銘菓だった。
「お、サンキュー。このお饅頭、美味しいよね」
 私は早速、そのお饅頭に手を出してみた。
「いただきまーす。はむっ」
 うまい、うますぎる! 十〇石饅頭。……なんてね。
「んじゃ、糖分も補給したし。始めるわよ」
「ええーっ」
「ええーっじゃない! 文句言わずにやれっ」
「うぅー」
 渋々、勉強を始めるこなた。
 しばらくしてこなたが、わからないところを聞いてきた。
「かがみ、ここわかんない」
「んー、どれどれ。あー、これはここをこうして……こうすればできるわよ」
「すごーい! かがみんは、天才だね」
「天才なんかじゃないわよ。これは、日々の努力」
「じゃあ、かがみんは努力の天才だね」
 私は、少し困った顔をしてこなたにこう切り返した。
「私だって、わからない問題ぐらいあるわよ。でもね、それは日々の努力で克服できるものなのよ。こなた
だって努力次第で、やればできる子なんだから……」
「えーっえ、え、え! そんなー。お姉様」
「なんだそれ? また、ゲームか漫画のネタかぁ? ふざけてないで、ちゃんとやれっ」
 丸めたノートでこなたの頭を軽く叩いてやった。
 頭のてっぺんからちょこんと出たアホ毛が、ポヨヨーンと揺れてちょっと可愛い。
「うぅー、ノリ悪いよぉ。かがみん」
「うっさい! 今は勉強中だ。勉強をやれっ」
「ぶぅーっ」
 文句をブツクサ言いながら勉強に打ち込むこなたも、これまた可愛かったりする。

《16》
 そして時間は過ぎ……。
「かがみ。今日は、これくらいにしない? 私、もう……」
「はいはい。アンタにしては、頑張った方ね」
 私は、教科書とノートを閉じ、重ね合わせた上でトンッと端を合わせた。
 こなたはというと、いつものように『疲れたぁー』とか言って、その場に寝そべるのかと思いきや、机の引き
出しをアサっていた。
「何してんのよ? こなた」
「んっ、ちょっとね」
 こなたは、引き出しから何か袋を持ち出してきた。そして、それを私に差し出した。
「はい、かがみにプレゼント」
「えっ、私に?」


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