「泉こなたを自殺させる方法」を考える33at ANICHARA2
「泉こなたを自殺させる方法」を考える33 - 暇つぶし2ch50:JEDI_tkms1984
09/11/06 21:31:46 +1RdE++d
 今日はここまでです。
次回は明後日の投下となります。
ではまた。

51:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/06 23:40:58 KE2f5Aq/
丁度いいタイミングで解けたな。

52:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/06 23:55:36 tk5nVG7Z
乙!
いつもすばらしい小説をありがとうございます!
毎日のようにあなたの小説を読み返させていただいております。

この話は何だか展開が読めちゃう感じだけど、それも敢えてなのかな?
それともどんでん返しが来るのかな?
続きが気になるところです。

そして最後に、お誕生日おめでとうございます!

53:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/07 01:41:42 Ik+xoIY6
まだ11月も初旬だというのに、まだハロウィンが終わったばかりだというのに、
何故かイルミが飾られクリスマス一色な街の中、皆様はどうお過ごしでしょうか?

こなたさんは、もう11月だというのに未だ未だ5月気分です。
ええ、メイシックってやつです。
彼女には夏も秋も冬さえないんです。常に春爛漫。

願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃

学に疎いつかささんは仰いました。
「難しくて何言ってるか分からない」と。
学に劣るみさおさんは答えられませんでした。
「西行って事しか知らねー。意味まではわっかんねー」と。
代わりにかがみさんが答えました。
「春の満月の日に桜の下で死にたいってだけの退屈な歌」と。
国語が得意なあやのさんが指摘しました。
「でも如月って2月。春じゃないよね」と。
博識なみゆきさんが説明します。
「陰暦ですので、今で言えば3月下旬から4月上旬にあたります」と。
死に死に死に死んで死の終わりに暗いこなたさんは別の解釈を提出します。
「いつも春って意味だよ」と。
常に春爛漫、翻せば常にメイシック。
だから5人は言い放ちました。
「季節は大切にしたい。春を望まない。次に冬が来ても─
寄り添えば寒くないよ?」と。
「ああ、そういえば、世間では11月6日だったっけ。
次は12月だったけ。次は冬なんだっけ」
今気付いたようにこなたさんは言いました。
でもこなたさんは分かっていました。
「世間ではその次は1に還るのか。世間では次の次も冬なのか。
でもそれでも私は常春だよ。12の次は13だからさ」
5人は首を傾げます。
気付いていない彼女たちに、こなたさんは教えてあげました。
「ああごめんごめん、月の話じゃないよ。階段の話だよ」と。
その13段目に導く数多の執行人の一人に対して、
こなたさんは詠いました。

霜月に 落とされた知は 殺気削ぎ
 祝詞彩る 死と死と疼き

「これからも宜しくね。いつか13段目に登ってしまうその時まで」
彼女からの精一杯のプレゼントのようです。
受け取ってあげて下さいな。

皆様の次の次は、1ですか13ですか?
ちゃんと季節、循環させてますか?
「ハロウィンはトリックorトリートだったけど、
私に残された選択肢はスイサイドonlyだよ。
それが13段目だ。そこが常春、死にたくなる季節だよ」

54:>>11
09/11/07 02:26:14 aclAN18r
割り込み失礼致しますm(_ _)m
死因は>>33さんの言う通り、出血多量による死なのですが、>>33さんが異変の原因を知りたい様なので、後日談を投下致します

55:謎の異変 後日談
09/11/07 02:34:19 aclAN18r
後日、そうじろうは医師からこなたの死因について聞かされた
医師「こなたさんの遺体を調べましたが、死因は屋上から飛び降りたことによる大量出血死なのですが、他に脳に異常がみられました」
そうじろう「どんな異常なのですか?」
医師「それが…原因不明なのです…」
そうじろう「原因不明ですか…」
医師「ええ…こなたさんに生前、何かおかしい所は御座いませんでしたか?」
そうじろう「こなたが自殺する日の朝、いつもの様に挨拶をしたのですが、こなたに「やだな~、二人ともからかわないでよ。何かのゲームの影響?」と言われましたね…」
医師「そうでしたか…」
そうじろう「はい…」
医師「原因が不明なので、こなたさんが生まれつき持っていた病気だと私は推測します…」
そうじろう「こなたのその病気が自殺した日の朝に突然再発したと言うのですか?」
医師「はい…」
そうじろう「その原因不明の病に発病したのはこなたが世界で初めてなのですね?」
医師「ええ…非常に残念ですが…」

人に質問すると「どうした?」としか返事が返ってこない原因不明の謎の病…こなたの次の犠牲者は貴方達かも知れません…

56:>>11
09/11/07 02:40:58 aclAN18r
以上です(^_^;
異変の原因の答えになってない気がしますが…(汗)
言い忘れておりましたが>>1さん乙ですm(_ _)m
>>50さん
素晴らしい文章力ですね。私はまだまだですね…(苦笑)お誕生日おめでとう御座いますm(_ _)m

57:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/07 03:09:23 RRXUHH+4
皆さん投下乙です。最近活気あっていいなあ。
>>41も個人的にはかなりキタんだけど…最後のあたりは鳥肌たった

58:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/07 03:43:12 No6wS6kw
>50
お誕生日おめでとー!続き楽しみにしてます。

59:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/07 12:50:43 cPaf7MzN
まだだ、まだ終われない。君の勝負はいつもそこから。行き先は何処?

60:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/07 13:11:17 hAX1fDhs
test

61:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/07 19:38:42 YHR2/r8e
>>41のものです。
なんというかすみません。
事後承諾なうえ、承諾というより黙認のような形ですが
大分さんからの使用許可は頂きました。
なんというか実にすみません。

62:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/08 01:49:21 gaWnpobu
>>41
権利関係が微妙そうだったんで、自重してたけど、感想。

序盤はちょっと手抜きだなーとか思ってたけど。
一番ジンと来たのが最後のサビ前。
こなたが夢から覚めた?直後からのたたみかけ、横たわる二人、繋いだ手
最後に残されたつかさの表情。一瞬映る、窓の向こうのこなたの目。

これはいい!すごくいい!うつ☆すたがより好きになったし、>>41がうつ☆すたが好きなのがすごく伝わってきた。
ただ、個人的に、あの薬が画面いっぱいに広がるシーンは、どっかで長めにつかってほしかったかな。


63:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/08 12:55:12 Xjce0Lr4
神奈川版「私のお父さん」読んでみたけど、ゆきの両親を自殺に追い込んだ
そうじろうへの復讐は別にいらないんじゃね?
ひであきの高級車買ったり、高級酒を飲むという贅沢ぶりや遺産相続でのそうじろうとの揉め事とか。
動機が小早川家の目的は遺産目当てだって言うことがはっきり分かっている。
もう一つ、神奈川版「審判」の黒井先生が殺人犯すのも別にいらないように思えた。こなたに罪を
かぶせようとする展開なんだけど、すでにこなたは放火や強盗で捕まっているし。

64:JEDI_tkms1984
09/11/08 21:21:05 Ca3gHv4U
 皆さん、こんばんは。
本日分の投下参ります。

65:噬い裂け肉叢8
09/11/08 21:22:16 Ca3gHv4U
「これでいいな」
肉の硬さもあったのか切り分けるのに5分ちかくかかった。
こういう宴に出てくるのはほとんど咀嚼する必要もないような軟らかい肉なのだが、卓に上っているのは
切るのに手間取っていたところを見ると筋の多い硬そうな肉である。
まずこなたの皿に、次いで自分の皿にそれを盛るそうじろう。
残り3分の1ほどはゆたかの分だ。
「ねえ、お父さん。やっぱりゆーちゃんが心配だよ……」
目の前から食欲をそそる香りが立ち昇ってくるが、こなたは僅かに顔をそむけた。
「大丈夫だって。そのうち―」
相変わらず平然とした様子でそうじろうが返した時、
「遅くなってごめんなさい」
というゆたかの声が玄関から聞こえた。
「ゆーちゃんッッ!?」
その声に弾かれるようにこなたが席を立った。
ドアの前には丁寧にラッピングされた箱を持っているゆたかがいた。
顔色も良いし、汗一つかいていない。
こなたは漸く安堵した。
彼女の心配は杞憂に終わったようだ。
「ゆーちゃん、どうしたんだ?」
遅れてやって来たそうじろうは、口調に気をつけながら問うた。
「あの、ごめんなさい。学校を出たくらいに”遅くなります”ってメールしたつもりだったんですけど……。
その……うまく送信できてなかったみたいで……さっき気が付いたんです…………」
ゆたかは言いながら、これが言い訳がましく聞こえないかと不安になった。
「………………」
そうじろうは目を閉じ、小さく唸る。
ゆたかは娘ではない。
こういう時の対応は娘に対して以上に慎重になるべきなのだ。
暫くして再び目を開いた時、ゆたかが持っている箱を認めたそうじろうは、
「そうか……それなら仕方ないな。でもあまり遅くなるようなら、これからはメールじゃなくて電話にしなさい。
そのほうが確実だからね」
微笑みながらそう諭しておいた。
ゆかたの帰りが遅くなった理由を考えれば、叱るわけにはいかない。
「はい、はい! ほんとにごめんなさい」
「いいからいいから。とにかく着替えておいで。ご飯の用意はできてるから。今日は御馳走だぞ?」
「はい!」
箱を大事そうに抱えてゆたかが足早に部屋へと向かう。
(お父さん、やるじゃん!)
言葉にこそしないものの、こなたはやはりそうじろうは立派な父親だと思った。





それから5分もしないうちにゆたかが着替えて戻ってきた。
「はい、これゆーちゃんの分」
先ほどの残りを皿に乗せてゆたかに渡す。
「よっし! じゃあ始めるか」
「はい」
2人はにっこり微笑みながらこなたを見つめた。
「こなた―」
「お姉ちゃん―」
互い、息を合わせるように、
「お誕生日おめでとう!!」
綺麗に言葉を重ねる。
クラッカー代わりの拍手は頭数の少ない質素なパーティーを大いに盛り上げた。
「ありがと~~」
いつものように口の端を丸めてこなたが破顔した。
ゆたかがプレゼントの箱を差し出す。
「開けてみて」
なぜか恥ずかしそうに顔を赤らめながらゆたかが言った。

66:噬い裂け肉叢9
09/11/08 21:23:47 Ca3gHv4U
その表情を訝しみながら、こなたは彼女の手前、丁寧に包装を解いていく。
「あっ…………!」
全容が露になる前に、パッケージの一部を見たこなたが思わず声をあげた。
1/8スケールのフィギュアだった。
白と青が基調の服を着た少女が、先進的なデザインの杖を構えている。
「ゆーちゃん、これ…………」
「ごめんね、そういうのよく分からなくて……」
俯いたゆたかの視界には、イタチのような小動物の附属品がある。
彼女にしてはかなり勇気の要る買い物だっただろう。
そもそもこういう物を売っている店に近付いたことすらないのだ。
「いや~嬉しいよ、ゆーちゃん。ありがとね」
こなたは有り難く受け取った。
自分の趣味に合っていたというのも勿論だが、ゆたかなりに色々と思案して選んでくれた気持ちが何より嬉しい。
その様子をにこやかに見つめていたそうじろうだったが、
(ゆいちゃんに怒られるだろうなあ……)
環境がどうのと詰問されるかもしれないと彼は厭な汗をかいた。
「俺からのプレゼントはこの料理だ。言っとくけどただの御馳走じゃないぞ。
今日のために大事にとっておいた材料を使ってるんだからな。18歳の誕生日にピッタリだ」
そうじろうが得意になって言う。
「さ、食べなさい」
自身もフォークとナイフを巧みに動かして、やや硬めの肉を口に運ぶ。
「いただきまーす」
小学生にも見紛う2人もそれに続いて肉を頬張った。
「おいしいっ!」
示し合わせたわけでもないのに、2人が殆ど同時に声をあげた。
筋が多く硬くはあるが、咀嚼するほどに肉本来の旨みが後から後から滲み出てくる。
味自体は少し苦い。
が、そうじろうが上手く味付けをしたために、高級肉にも劣らない深い味わいがある。
「だろ? コツはな、下拵えをしっかりしておくことなんだ。他の肉に比べて臭味があるからな。
それと焼く時間だな。なかなか火が通りにくいからじっくり焼き上げるんだ」
二口目を嚥下したそうじろうが自慢げに調理方法を説明し出した。
「ほんとに美味しいよ。高級ステーキみたい」
やや噛む力を必要とするのは難点だが、味に関しては文句のつけようがない。
食べるスピードの遅いゆたかは漸く一口目を呑み込んだ。
「これって牛肉なんですか?」
水を飲んで喉を潤してから訊ねる。
「う、うん? ああ、どうしてだい?」
その質問にそうじろうはなぜか歯切れの悪い返し方をする。
「いえ、食べた事のない味だったから……」
「……牛肉じゃないんだ。まぁ、世の中にはいろんな肉料理がある。ゆーちゃんは鹿や猪を食べたことはあるかい?」
「いえ、まだ……」
「じゃあいつか食べに連れて行ってあげよう。あっさりしていて美味しいんだ」
「あ、はい。是非お願いします」
「よしよし。その時はゆいちゃんも誘って行こう」
朗らかに笑いながら、彼は再び肉に齧りつく。
(………………?)
結局、彼はゆたかの問いには明答しなかった。
(美味しいけど、でも何の肉なんだろ? 豚じゃないし鶏もありえないし……)
食べたことのない味にこなたは舌鼓を打ちながら、ふと疑問に思う。
「ま、いっか」
しかしその疑念も間もなく口中に広がる深い味わいに霧散してしまうのである。
料理好きなつかさやあやのでも、この味は出せないだろう。
そもそも素材の肉が特別な物だ。
そうじろうは臭味が強いと言っていたが、何度も噛むうちに明らかに調味料のものではない独特の甘味が出てくる。
これがどう体に作用するのか、こなたもゆたかも添えられたサラダやスープには目もくれず、
ただ只管に盛られた肉を切っては食べ切っては食べを繰り返した。
「おいしいね、お姉ちゃん」
「だね~」
初めこそこうして素直な感想を述べ合っていた2人だったが、数分もすると会話する時間も勿体無いと言わんばかりに、
口いっぱいに肉を放り込むようになる。

67:噬い裂け肉叢10
09/11/08 21:25:14 Ca3gHv4U
「おいおい、そんなに頬張ったら喉に詰まるぞ」
そうじろうが苦笑する。
しかしそんな諌めもお構いなしに、2人は餓えた獣のように肉を咀嚼する。
「やれやれ…………」
既に皿を空にしていたそうじろうは、ずしりと重い腹をゆっくりとさすった。
彼の目の前ではゆたかが肉を切るのに悪戦苦闘している。
筋が多いせいで思うように切り分けられないらしい。
やがてもどかしくなったのかゆたかは切るのを諦め、フォークを乱暴に突き刺してそのまま口に放り込んだ。
その様をこなたが羨ましげに見つめる。
彼女も既に食べ終わっており心地よい満腹感に酔っていてもいいハズなのだが、すぐ隣で肉にかぶりつく音がすると
どうにも心が落ち着かない。
食べたい。
食べたい。
何故か飢餓感に突き動かされそうになるこなただったが、ゆたかの当たり分を横取りしてはいけないと懸命に堪えた。
食欲は旺盛なのに添え物のサラダやスープには全く口をつけていない。
引き立て役は最後まで食されなかったようだ。
「ゆ、ゆーちゃん、早く食べちゃってよ……」
言いながらこなたは自分の指先がカタカタと震えているのを感じた。
大好きなおやつを前に”待て”の指示を出された飼い犬の気持ちが少しだけ分かった気がした。
ゆたかはと言えばこなたの言葉を無視して、自分のペースで食を進めている。
もはやフォークもナイフも本来の用には供さず、彼女は手づかみで肉を口に運ぶ。
「ははは。2人ともよく食べるな」
副菜がそのまま残っていることなど気にも留めず、そうじろうは一気に水を飲み干して喉を潤した。
5分ほどかけてゆたかも完食する。
「どうだ、美味しかっただろう?」
「うん」
「はい、とても」
2人は揃って満足げな笑みを浮かべる。
が、その表情の奥にはまだ食べ足りないという欲求が見え隠れする。
「よしよし。じゃあパーティーはお開きだ。ああ、後片付けは俺がやっておくから」
テレビを観るなり好きに過ごしなさい、と言い置いてそうじろうが卓上を片付け始めた。
自分も手伝うとこなたたちは立ち上がったが、彼は強くそれを制した。
「それにしても美味しかったね~」
「だよね。あんなの初めて食べたよ」
くだらないバラエティ番組を観るとはなしに眺めながら、2人は食後の感想を述べ合った。
俎上にのぼるのは先ほどの肉。
副菜は一口も食べていないため話しようがない。
「なんかお腹いっぱいなのに、あれだったらいくらでも入りそう」
「私も~」
などと語り合うのはいかにも年頃の娘といった様子で微笑ましい。
背中に少女たちの欣喜の声を聞きながら、そうじろうは鼻歌まじりに皿を一枚一枚丁寧に洗う。
至るところにこびり付いた油は洗剤をたっぷり使ってもなかなか落ちない。
「旨いんだがこれだけがなぁ……」
口を尖らせ彼はスポンジを持つ手に力を入れた。
(ああ、しかしやっぱり旨いよな。駄目だ……思い出したら涎が……)
真っ白な皿を眺めて、そこにあるハズのない肉を想像し彼の表情は無意識に弛緩していた。



 夜。
日付が変わって数時間が経った頃、こなたは目を覚ました。
(ヘンな時間に冴えちゃったな。こういう時って次の朝がダルくなるんだよね)
仄かに読み取れる時計の針を見て、欠伸をひとつ。
「あれ……?」
その時、喉の辺りに違和感を覚えたこなたはそっと手で触れてみた。
(なんかヒリヒリする……?)
硬い布で何度も擦ったような痛さがじわりと広がってくる。
どうにも気になった彼女は部屋の電気を点け、机から鏡を取り出して見た。
―首が赤い。
何本もの筋が縦に重ねられ、全体に赤みがかっている。

68:噬い裂け肉叢11
09/11/08 21:26:12 Ca3gHv4U
自分の手を見る。
爪先が奇妙にささくれ立っていた。
歳に似合わずお洒落っ気のないこなたは髪や爪の手入れなどはしないが、そこはやはり思春期の少女である。
既に異性を引き付けるようなしなやかさがそこかしこにあるのだ。
だからこなたは爪先の異常にすぐに気付いた。
(寝てる間に掻き毟ったのかな……)
特に深く悩むような問題ではないが、喉元がスッキリしない。
異物感もある。
「なんか飲もう」
重い足を引きずるように部屋を出る。
そうじろうたちを起こさないように足を運ぶこなたは、その途中も喉元を擦る。
痛いのは痛いのだが、こうしないと落ち着かないようだ。
薄暗い廊下を記憶を頼りに手探りで歩く。
角を曲がれば台所、というところで妙な音が聞こえてきた。
ガサガサと何かを漁るような音だ。
(ウソ! 泥棒ッ!?)
半分寝ていたこなたの意識が完全に覚醒する。
この家に金目の物などないが、侵入した泥棒はお構いなしにあちこちを探っているのだろう。
警察を呼ぶべきかこなたは迷った。
万が一にも自分の勘違いだった場合、多大な迷惑をかける。
夜中に不審な音がしている時点で勘違いなどありえないのだが、こっそり音を立てないように近づき、
その正体を明らかにしてから通報するべきだ。
漸くハッキリしてきた頭でそう判断し、先ほどよりも慎重に台所に向かう。
仄かに明かりが漏れている。
やはり誰かが忍び込んでいるのは間違いない。
こなたは動悸を抑えながら、そっと中を覗き見た。
「…………ゆーちゃん?」
いたのはゆたかだった。
開け放した冷蔵庫の前にしゃがみこみ、何かを咀嚼している。
「ゆーちゃん?」
こなたの再度の呼びかけにも答えず、彼女は手と口だけを動かすばかりだった。
ひとまず泥棒ではなかったことに緊張を緩めたこなただったが、よく知る顔の異常な行動に、
「ねえって……」
掠れた声で言いながらその肩を掴む。
「………………ッッ!?」
振り向いたゆたかは口の周りを真っ赤に染めていた。
足元には乱暴に引き裂かれたビニール袋やプラスチックトレイが散乱している。
「あ、お姉ちゃん。ごめんね、起こしちゃったかな」
ようやくこなたに気付いたゆたかは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「な、何やってんの…………?」
声が出ない。
訊くまでもなく、その状況を知ってしまったからだ。
散らばるゴミは主にスーパーのもの。
鶏肉や牛肉をパックしていたトレイだ。
「なんだかお腹空いちゃって……。何か食べようと思ったんだけど……」
と言ってゆたかがそれらを指さした。
「食べるって……ゆーちゃん、それ、生のままで―?」
よく見ると床もところどころ赤くなっている。
恐怖にひきつった様子のこなたの問いに、ゆたかはキョトンとしている。
何がおかしいのか、と言わんばかりの表情だ。
間があって、そうだよ、と答えたゆたかの肩をこなたは強く掴んだ。
「駄目だよ、こんな事しちゃ! ゆーちゃん、体弱いんだからお腹壊すよっ!」
ゆたかの行動はそれ以前の問題なのだが、錯乱しているこなたは気付かない。
異常な有様にまだ理解が追い付いていないらしい。
「え、うん……気をつけるね……」
ゆたかはまだよく分かっていない。
こなたの真剣な眼差しから目を逸らした彼女は、空になったトレイをちらちらと見やる。
「とりあえず口濯ごうよ。それと水。片付けは私がやるから!」
「うん…………」
不服そうな顔でゆたかは立ちあがり、言われたとおりに口元を洗った。

69:噬い裂け肉叢12
09/11/08 21:27:16 Ca3gHv4U
その間にこなたが汚れた床を拭く。
幸い付着してから時間が経っていないため、血はすぐに拭き取ることができた。
「お姉ちゃん、洗ったよ」
のんびりした口調で言うゆたかの喉には掻き毟った跡があった。
「じゃあ水飲んで、水! ゆーちゃん、お腹痛くなったりしてない!?」
「大丈夫だよ。何ともないもん」
素っ気なく答えるゆたかは強がりからではなく、本当に体調を崩していないようだ。
(生で食べたら消化不良起こすよ……)
そもそもゆたかが夜中に生肉を貪っていたという事態の奇異までは頭が回っていない。
この時のこなたはただ体調を気遣うばかりだった。
「こんな時間に何やって―何やってるんだ?」
音を聞きつけて目をこすりながらそうじろうが入ってきた。
すぐに様子のおかしいのに気付く。
「あ、お父さん。ゆーちゃんが……」
雑巾を絞りながらこなたが肩越しに振り向いた。
「ふむ…………」
しかし彼はさほど驚いた様子を見せることもなく、むしろこの状況が自然であるかのように頷いていた。
既に血を拭き取り、水を飲ませたゆたかは平素と変わりない顔をしている。
ゴミ箱には不自然な空容器が山積みにされており、そうじろうはそれに目を留めた。
「これ、ゆーちゃんがやったのか?」
そっとこなたに耳打ちする。
「えっ? うん。冷蔵庫の中、漁ってたみたい。生のままで食べたみたいだけど、吐かせた方がいいかな?」
「いや、大丈夫だろう。念のために水を飲ませておいたほうがいいかもしれんな」
「それならさっき飲ませたよ」
「そうか…………こなた、ここは俺が片付けるから悪いけど、ゆーちゃんを部屋に送ってやってくれないか」
「分かった」
後始末をそうじろうに任せ、こなたはゆたかを伴って台所を出る。
ゆたかの歩みは健常な少女のそれと変わらない。
物足りなさを顔いっぱいに表現しながら、こなたに引きずられるようにして部屋に運ばれる。
「なにかあったらすぐに呼んでね」
ゆたかを寝かしつけ、言葉少なに言い残して部屋を出る。
「ふう…………」
ドアに背を預けて、漸く一息つく。
ただ飲み物を取りに行っただけなのに、慌ただしく時間が過ぎてしまった。
ゆたかは大丈夫だろうか。
背後にかすかに寝息が聞こえる。
(あ…………!!)
自身の呼吸も落ち着きを取り戻し始めた頃、先ほどまで至らなかった部分に思考を働かせたこなたは息を呑んだ。
ゆたかの異常な行動だ。
「なんであんなこと…………?」
冷静になってみると恐ろしい。
ウイルスに感染した人間があのような行動に出る、というテレビゲームはあるが現実ではあり得ない。
演技にしては悪質すぎるし、こなたがあのタイミングで通りかかる保証もない。
そもそもゆたかにそうする理由がないのだ。
(じゃあ……なんで?)
何者かに憑依されたという可能性もなくはない。
が、それを立証するのは難しいし心当たりもない。
やはりどう考えてもあり得ないのだ。
「みゆきさん……でも分かんないよね、これは……」
こなたを喉を掻き毟りながら思案を巡らせたが、一向に答えは出てこなかった。
そのうちに考えるのにも疲れ、そういえば元々飲み物を探していたのだと思い出し再び台所へ向かう。
ちょうど片付けを終えたそうじろうが出てくるところだった。
「どうした?」
「喉が渇いちゃってさ。さっきも飲み物取りに来たんだけど、その時にゆーちゃんを見つけたんだ」
「そうか……」
冷蔵庫を開け、オレンジジュースを取り出すこなた。
その時、庫内の隅に血がついているのに気付く。
「ああ、ゆーちゃんのことだがな―」
そうじろうが腕を組んで言った。
「最初はあんな感じになるんだ。こなたは何も気にしなくていいからな」

70:噬い裂け肉叢13
09/11/08 21:28:49 Ca3gHv4U
「ん? 最初って?」
「まあ気にするなってことだ。でも念のため、明日は学校を休ませたほうがいいかもしれないな」
「…………?」
見通したようにそうじろうが頷く。
(お父さんは何とも思わないのかな……?)
自分も少し前まで意識していなかったが、ゆたかの行動は明らかに異常だ。
医者に診せたほうがいいのではないだろうか。
「ねえ、ゆーちゃん、病院に連れて行ったほうがいいんじゃない?」
ごく自然な提案である。
常識の埒外の出来事なのだから、その筋の専門に任せるのが妥当だろう。
にもかかわらずそうじろうは首を縦には振らなかった。
「なんで? どう考えたっておかしいよ。普通あんなこと―」
「だから最初はああなるって言ってるだろ? こなたは何も心配するな」
「最初って何? っていうかなんでそんなに落ち着いてるの? おかしいと思わないの?」
「…………分かった。明日、先生に診てもらうよ」
若干の間をおいて彼はそう言ったが、ゆたかの身を案じてというよりは、むしろ執拗なこなたの追及に
渋々折れたという印象がある。
その反応にこなたもスッキリはしなかったが、これ以上は自分にもどうにも出来ないと思い直す。
気を紛らそうとジュースを一気に飲み干した彼女は、喉の奥に鈍い痛みを感じた。
風邪をひいた時の痛みに似ている。
「どうした?」
思わず顔を顰めたこなたを気遣うようにそうじろうが寄ってきた。
「何でもないよ」
ゆたかの尋常でない行動に比べれば、この程度は問題ではない。
わざわざ口に出せば面倒にもなりかねない。
「こなたも調子が悪かったら明日は休んだほうがいいぞ」
彼は愛娘を案じてこう言うのだが、
「大丈夫だよ」
自分を案じてくれていると分かっている娘はこう返すのだ。



 翌日。
喉の内と外の痛みのせいで殆ど眠れなかったこなたは、何度も舟を漕ぎながら午前の授業を乗り切った。
ななこに何度も出席簿の角で殴られたが、それでも襲い来る睡魔をはね退けることができない。
「泉さん、顔色が優れませんが……保健室に行った方がよいのでは?」
「あはは、大丈夫だって。ちょっと寝不足気味でさ……」
「またあんた、ネトゲにでも没頭してたんでしょ?」
「ま、そんな感じ」
「ったく……その熱意をちょっとは勉強に向ければいいのに」
昼休みになってかがみが加わり、それぞれに弁当箱を広げる。
「ほうほう。今日はつかさが当番だったのかね?」
かがみの弁当を覗き見てこなたがニヤリと笑った。
「うっさい! 誰にだって得手不得手はあるのよ!」
顔を赤くして逐一反応する彼女は、生来の気真面目さを前面に押し出している。
「私がお姉ちゃんに勝てるのってお料理くらいだから」
照れ笑いを浮かべながらつかさがフォローする。
この日、柊姉妹の昼食はハンバーグ弁当だ。
おそらく前夜に下準備をしていた物を焼いたのだろう。
形も色も綺麗に整っている。
比較的カロリーの高いこの品書きに、いつものこなたなら、
”かがみんは勉強の成果もカロリーもしっかり吸収するからね”
とでも言うのだろうが、今日ばかりは寝不足もあって大人しい。
「こなちゃん、どうしたの? さっきからずっとハンバーグ見てるけど?」
みゆきと談笑していたつかさは、ふとこなたを見やった。
袋から出したチョココロネを一口齧っただけで、彼女はかがみのハンバーグを凝視している。
「なによ? あ、欲しくなったんでしょ? あんたいつもパン1個だけだから」
いつも揶揄われているかがみはここぞとばかりに突いた。
しかし彼女の意図に反し、こなたの反応は薄い。
今も眠いのか、光の宿っていない瞳にしたり顔のかがみが仄かに映っている。

71:噬い裂け肉叢14
09/11/08 21:31:09 Ca3gHv4U
「あの、泉さん……やはり具合が悪いのでは……?」
今朝から様子のおかしいこなたを見ていたみゆきは、さすがに心配になって声をかける。
「ん? いやいや、大丈夫だって」
三様に視線を投げかけられ、我に返ったこなたは大仰に手を振った。
が、その目は泳いでおり、ちらちらと視界に入るハンバーグを明らかに意識しているように見える。
「お腹空いてるんなら分けてあげるよ」
つかさがフォークの側面で半分に切って差し出す。
「あんた、育ち盛りだもんな。これ食べたらちょっとは背が伸びるかもよ?」
嘲弄しながらもやはり心配を隠せないかがみも、すぐにつかさに倣っておかずを分け与えた。
さらにみゆきからもポテトサラダとお茶が出てくる。
「……いいの?」
こうなると途端に遠慮がちになるのがこなただ。
3人がそれぞれに頷いたため、彼女はありがたく厚意を受け取ることにした。
「あ、ありがと…………」
俯きながらそれらを受け取る。
「ん~? 聞こえないわね~~?」
かがみが厭らしく笑う。
「だから……ありがと……」
今度は先ほどよりも声を大きく言う。
「あれ? よく聞こえなかったわね? もう一回言ってみてよ?」
日頃のお返しとばかりにかがみが身を乗り出す。
「うるさいな! 聞こえてるんでしょ?」
耳まで真っ赤にしてこなたが口を尖らせた。
その様に3人は微笑したが直後、その表情が凍りつく。
差し出されたおかずをまるで獣のように喰らうこなた。
競争相手などいないのに、まず一番に胃の中に収めようとしているようだ。
「そんなに慌てて食べたら喉に詰まる…………」
つかさが言い終わる前にこなたはそれらを平らげていた。
急いで咀嚼したためか唇を切っている。
「泉さん…………」
餓鬼のように貪っていたこなたを見てみゆきは戦慄した。
呼びかけに顔を上げたこの少女は、炯々とした眼光をみゆきに叩きつけている。
(………………ッッ!?)
瞬間、令嬢みゆきの記憶の中に眠っていた恐ろしい過去が蘇ってくる。





小学生の頃、春休みにサファリパークへ遊びに行った日のこと。
専用ジープに乗って敷地内を周遊していたみゆきは、ライオンの群れの近くに移動した。
野生の動物本来の姿を観察できるのがウリだが、それならジープを進入させるのは正しくない。
通常、それら動物の前に人工物など入ってこないからだ。
ジープを運転していたのはベテランの係員。
何千人もの客をこれに乗せて楽しませてきたという自信が驕りに変わったのか、
この係員はライオンの数メートル付近までジープを寄せたのだ。
直後、その様子をじっと見ていたライオンたちが一気に飛びかかってきた。
向こうにすれば縄張りを荒されたくないための行動である。
しかし客はそこまで気が回らない。
鬣(たてがみ)を振り乱してぶつかってくるライオンに、ジープが横転する。
それを期に遠巻きに見ていた別のライオンの群れが我先にと圧し掛かってきたのだ。
倒れたみゆきが見上げると、目の前に赤茶色の牙が見えた。
ジープ側面の鉄柱のおかげで中には入ってこなかったが、だからといって安心はできない。
後からやって来たライオンが腕を伸ばす。
鋭い爪がみゆきの袖を引き千切った。
か細い腕には3本の赤い線が描かれ、そこから鮮やかな血が流れ出てくる。
しかし痛みはなかった。

72:噬い裂け肉叢15
09/11/08 21:32:12 Ca3gHv4U
数十センチ先の猛獣の咆哮がみゆきに究極の恐怖を抱かせ、代わりに痛覚を奪っていたのだ。
程なくして別のジープが威嚇用の銃を撃ちながら走ってくる。
自然界には存在しない轟音に驚いたライオンたちは、未練がましくその場を離れていく。
助かった、と思ったとたん、みゆきは腕に激痛を覚えた。





今のこなたの眼は、あの時のライオンに似ていた。
自分は食べられてしまうのではないか、とみゆきは思った。
実際にはあるハズがないのに、記憶を呼び覚ましてしまった彼女は完全にこなたをライオンと同一視している。
「あ、わ、私……委員会の仕事を頼まれていました…………」
「え、ちょっと!?」
恐怖に顔を引きつらせて立ち上がったみゆきは、弁当箱もそのままに教室を飛び出してしまった。
何が起こったのか分からず3人は顔を見合わせる。
「ゆきちゃん、これどうするんだろ……」
「さあ……とりあえず片付けておこっか」
そう言って手際よく蓋を閉めて箱を包みこむこなたの顔には、もうどこにも異常はない。
いつものどこか無気力な感じのオタク少女である。
「………………」
先ほどまでのこなたの行動とみゆきの反応。
何かがおかしい、とかがみは思ったがそれが何かまでは到底想像がつかなかった。






73:JEDI_tkms1984
09/11/08 21:37:02 Ca3gHv4U
 今夜はここまでです。
沢山の寿ぎをありがとうございます。
生きている間は何もしなくても年に一度馬齢を重ねるという当たり前のことが、
なぜかこのスレでは新鮮に感じられます。
それではまた。


74:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/08 23:29:43 jD03YZ6l
乙です!
いつも素敵な小説をありがとうございます!
JEDIさんのすばらしい文章力や続きを待ち遠しくさせるストーリー展開、本当に憧れます。
いつか自分もこんな小説を書けるようになりたいです。
小説を書く時は何かの本を参考になさったりしているのでしょうか?

そしてこなたの誕生日に用意された肉はゆたかの肉ではないか…という自分の予想は見事にはずれましたw
確かにあの肉がゆたかの肉だったらありきたりすぎる展開ですよね。
この先ゆたかやこなたはどうなってしまうのか…続きを楽しみにしています!

75:11
09/11/08 23:45:03 PYihQoBX
投下お疲れ様です(^-^)

76:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/09 00:13:35 UWft5IDq
こなた「月曜日が自殺者多いのか・・・」

77:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/09 17:43:47 0Tv3zgo7
タイトルが読めない

78:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/09 22:29:18 39EjvZdV
まとめサイトにあるすまねく(変換出来なかった)煉獄って続くとか特に明記されてないけど
あれで(謝りに行ったところで)終わりなの、自殺してないけど?

79:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/09 22:30:46 39EjvZdV
訂正
すまねく→さしまねく


80:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/09 23:13:06 rlf18c78
こなた「つかさ…クスリ頂戴」
つかさ「えっ…そんな…」
こなた「はやくぅ」
つかさ「じゃ、例の…」
こなた「そんな脱法物じゃなくってさ…あるんでしょ?…アンフェタミン」
つかさ「駄目っ。あれだけは駄目っ。違法物キメたいんなら、マリファナがあるけど…」
こなた「そんなんじゃイケない。曖昧なドラッグじゃもう、足りないから」
つかさ「こなちゃん…」
つかさ(ごめんね、お姉ちゃん、ゆきちゃん、あやちゃん、日下部さん。
     友達一人、壊すね。だってそれは、こなちゃんが望んだ事だから…)
つかさ「くれぐれも乱用しないでね」
こなた「ありがとう…。これで…天国にイケる。イキたいっ、キマってたい、ニゲだしたい」
つかさ(さよなら、こなちゃん…)

81:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/09 23:17:19 mLxDpHzS
一人の地獄

82:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/10 10:55:41 tPpmz9Yn
麾く煉獄読んで思ったけど、結局、伸恵はいったい何がやりたかったんだ?
つかさとは愛し合っていると堂々と発言するし、信用金庫を襲うし、ヤクザを皆殺しに
したりするし。

83:JEDI_tkms1984
09/11/10 21:06:55 XflCxEk2
 皆さん、こんばんは。
本日分の投下参ります。

84:噬い裂け肉叢16
09/11/10 21:07:57 XflCxEk2
「ただいま……」
お決まりの挨拶がまるで覇気を伴っていないことに、発声したこなた自身も気付いていた。
やはり5時間目、6時間目と睡魔に襲われていた彼女は少なくとも半日を無為に過ごした。
体も思考もまるで働かない。
2日続けて徹夜した直後もここまでの疲労を感じた事のなかったこなたは、愈々体調がおかしいと気付く。
ただ眠いだけではない。
この形容しがたい疲労感、倦怠感。
歩くどころか呼吸をするだけで全ての体力を奪われていくような脱力感がある。
(なんかヘンだよ……これ……)
勉強に集中できなかったことを体調不良の所為にはしたくない。
こなたはそう思うのだが、今や思考することにすら疲れてしまっている。
(とりあえず何か飲みたい……)
帰ってくる途中、喉に痒みを覚えたこなたは執拗なくらいに掻き毟った。
そのせいで忘れかけていた痛みと違和感が戻り、同時に喉が渇いてしまった。
こういう時は冷たいジュースよりも温めの水のほうがいい。
そうじろうの”おかえり”がない事にも疑念を抱かず、導かれるようにして台所へ向かう。
思い出すのは昨夜のゆたかの奇行。
床は綺麗に拭いてあるので一滴の血も落ちていない。
戸棚からコップを取り出す。
そのままくるりと翻って蛇口をひねる。
こなたは人工のオアシスにコップを差し出して水を注いだ。
こくりこくり……と喉を上下させながら渇きを癒す。
だが足りない。
(駄目だ……余計に喉渇いちゃったよ…………)
2杯目、3杯目……。
出しっぱなしにした水にコップを差し出しては飲み干し、飲み干しては差し出し……を繰り返す。
しかし一向に渇きは癒えず、こなたは遂にコップを投げ捨てて蛇口に直接口を近づけた。
温い水が口内を潤しているのに、痛みと痒みが混じったような違和感は治まるどころかますます強くなる。
「こなた、帰ってたのか」
台所からの水音を聞きつけてそうじろうが入ってきた。
風体も気にせず水を飲み続ける娘を見ても、彼は特に何も思わない。
「あ、お父さん」
口の周りを濡らしたままこなたが顔を上げた。
「ゆーちゃんは大丈夫なの?」
「あ、ああ…………」
歯切れが悪い。
「ちゃんと病院行ったの?」
口篭もるそうじろうに何かを感じたこなたは身を乗り出した。
「いや、まあ……」
問われた彼はハッキリしない態度で曖昧に頷くだけだった。
「病院行くって言ったじゃん? だから私もお父さんに任せて学校行ったのに。
お父さんが行かないなら私が連れて出ればよかったよ」
水を出しっぱなしにしたままこなたは足早に台所を出た。
「あ、おい! どこ行くんだ!」
「今からでも遅くないよ。普通の外来じゃ時間かかるけど救急車呼べば―」
「待ちなさい! こなた!」
そうじろうの制止を振り切ってこなたは廊下を走った。
喉の違和感は未だにとれないが今はゆたかが心配だ。
「ゆーちゃんッッ!!」
ほんの僅かな距離を走っただけなのに激しい動悸が襲ってくる。
部屋の入口に凭れかかるようにしてこなたが呼びかける。
ベッドに横たわるゆたかからの反応はない。
「ゆーちゃん…………」
ふらつく足取りでベッドに近づく。
(………………ッッ!?)
こなたは見た。
仰向けに眠るゆたかの体がベッドごとロープで幾重にも巻かれている。
呼吸を奪うような巻き方ではないが、かなり強く締められていて身動きがとれないほどだ。
「なに、これ…………?」
背後に足音を聞いたこなたは振り返らずに訊いた。

85:噬い裂け肉叢17
09/11/10 21:08:49 XflCxEk2
「仕方ないんだよ。初めのうちはこうしておいた方がいいんだ」
答えになっていない。
「なんでこんな事するの!? ゆーちゃん、体弱いの知ってるでしょ!?」
段々とそうじろうの不自然さに怒りを感じてきたこなたは語気を荒らげた。
「お父さん、おかしいよ! 昨日もヘンなこと言ってたじゃん! なんで病院連れて行かないの!?」
興奮していることはこなた自身も分かっている。
発音するたびに喉に痛みを伴うことも分かっている。
しかしそれでも追及せずにはいられなかった。
「ゆーちゃんが暴れ出したら、俺でも止められないからな。2、3日もすればそういうのもなくなるから。
それよりこなた、お前は大丈夫なのか? 首のところが赤いが発作が―」
「私のことはどうだっていいよ!」
「………………」
「………………」
「………………」
「お父さん、おかしいよ……。妙に落ち着いてるしさ……ゆーちゃんはあんな事したし……」
先ほどとは打って変わり、こなたは今にも倒れそうな声で呟いた。
「何か知ってるんでしょ? ねえ、教えてよ……おかしいよ……」
「………………」
そうじろうは沈黙を返すばかりだった。
が、いつまでもこのままではいられないと悟った彼は、
「とりあえず出よう。ゆーちゃんを起こしてしまうかもしれない」
落魄した様子で部屋を出た。
うん、と頷いてこなたも後に続く。
ドアを閉めると、家中の空気が変わったような気がした。
「なんか隠してるんでしょ?」
壁越しにゆたかに声が届いてしまわないように、こなたは小さく問いかけた。
そうじろうは何も答えない。
「気になってたんだけど、昨日の料理……あれって何なの?」
「あれ、は…………」
「別に隠すようなことじゃないでしょ? それとも言えないような材料使ってるとか?」
こなたの口調は次第に強くなる。
険悪なムードになど滅多にならない泉親子の間に不穏な空気が流れた。
ずいぶん長いこと沈黙を保ち続けたそうじろうだが、やがて観念したように、
「知りたいか?」
問いに問いを返した。
「そんな大袈裟な話なの?」
「………………」
そうじろうは何も言わずにゆたかの部屋を離れた。
その背中に暗に”ついて来い”と語らせて自室へと向かう。
こなたは渋々といった様子で後に続く。





小説家そうじろうの部屋は、彼の趣味に似合わず簡素なものである。
作業用のパソコンの周りにはメモ用紙が散乱している。
書棚には画集や辞書、専門書など執筆のための参考書が綺麗に並べられていた。
さすがにテレビの周辺にはそれらしいDVDが散見されるが、こなたに比べれば控えめなものだ。
「私もなんかおかしいんだ。昨日からずっと喉が痛いし、体だってダルいし……」
部屋に入るなりこなたが訴える。
昨夜からのそうじろうの態度を見ていれば、その原因が料理にあるらしいと分かる。
愛娘の消え入りそうな声を無視して、彼はクローゼットをゆっくり開けた。
資料の類はここにも詰め込まれていた。
それらを丁寧に掻き分けて中から取り出しのは筒状の容器だ。
丈の長い炊飯ジャーのようなそれは、収納の奥にあったにもかかわらず埃ひとつ被っていない。
頻繁に手入れがされているか、つい最近取り出したかのどちらかのようだ。
(………………?)
容器の下からコードが伸びている。

86:噬い裂け肉叢18
09/11/10 21:10:00 XflCxEk2
こなたはそれまで気付かなかったが、辿ってみるとコードはクローゼットの外周を迂回するように伸びており、
その先に小型のバッテリーが差し込まれている。
バッテリーからもまた別のコードが出ており、こちらは通常のコンセントに差し込まれている。
「万一、停電にでもなったら困るからな」
こなたがコードを目で追っているのに気づいたそうじろうは、素っ気なく説明した。
「知りたいんだろう?」
娘の注意を容器に引きつけてから、彼は慎重な手つきで蓋を取り外した。
「なに……これ…………?」
中を覗き込んだこなたはすぐに自分の行動を後悔した。
白い煙とともに冷気が外に出てくる。
容器の中に透明な袋に包まれた肉塊がぎっしりと詰まっていた。
ハッキリとは見えないがそれが肉だとすぐに分かったのは、丸みを帯びたピンク色の肌が覗いたからだ。
「綺麗だろ? このままでも十分美しいんだが、生だと消化不良を起こしそうでな」
恍惚の瞳でそうじろうが肉を撫でた。
「ねえ、なんなの……これ…………?」
再び問うこなたは自分が涎を垂らしていることに気付かない。
「―かなただよ」
そうじろうは愛撫を続けた。
「……いま…………なんて……?」
「かなた。お前のお母さんだ」
瞬間、こなたは気を失いそうになった。
同時に強い吐き気を催す。
「お母さん? お母さんって…………」
「かなたは体が弱くてな。ゆーちゃんみたいにちょっとした風邪でも寝込むことが多かったんだ。
そういう調子でこなたを産んだわけだが……産後の肥立ちが良くなかったんだろうな。かなたは―」
「そんな事聞いてないよ! なんで、これがお母さんなの!? ヘンな冗談やめてよっ!」
叫んだのは言い知れない不安を吹き飛ばすためだ。
この肉塊が母親だというのは冗談にしても悪趣味すぎる。
彼女が苛立っている理由はそれだけではない。
容器の中を見た瞬間、強い空腹感が襲ってきたのだ。
それを紛らす意味でもここはそうじろうに噛みついておかなければならない。
「冗談じゃないさ。無理を言って遺体を引き取って俺が捌いたんだ」
そうじろうは舌なめずりをしながら答えた。
「普通の肉なら冷凍庫にでも入れるだろ? でもな、人間の肉ってのは腐敗が進むのがちょっと早いんだ。
だからこうやって特別な方法で保存するんだよ。これなら鮮度も品質もけっこう保てるからな」
これは母親の肉ではないとするこなたに対して、そうじろうの弁は説得力があった。
わざわざこんな容器に保存するところからして、これが特別なものであることを示している。
信じたくない、信じられない。
こなたは何度も頭を振ったが視界に飛びこむ肉塊に意識を奪われ、否定しきれない自分に気付く。
「なんでこんな事を、って思ってんだろ?」
抑揚のない声で話を進めようとする彼は、どうやら娘に隠し事をするのをやめたようだ。
「小説家って言ってもいろいろあってな。純文学の中でも歴史物でデビューした奴は地盤が堅いんだ。
反対に官能小説でデビューした奴はどうしてもそっち方面のレッテルを貼られるから、後になって
純文学に転向しようとしても中々うまくいかない。今はそうでもないんだが、俺が若い頃はそうだったんだ」
「………………」
「でな、俺も歴史物を書いてやろうと思ったんだよ。日本のやつは何人もが書いてるから新鮮味がない。
三国志でもと思ったが、あんな長編は俺には無理だ。そこで辿り着いたのが史記だったんだ」
「それと何の関係があるっていうの?」
「まあ聞いてくれ。いざ書こうとしても史記も範囲が広いから、どこかに絞ろうと俺は考えた。
そこそこ有名な楚漢戦争くらいなら俺でも書けるんじゃないかってな。劉邦や項羽が出てくるところだ。
こなたも漢文で習ったんじゃないか?」
「…………うん」
「あの辺りは俺も多少は知ってるからな。早速、資料を集めたよ。三国志と違ってマイナーなところだから、
役に立つ資料も限られてた。だがな、そこに興味深い話があったんだ」
語っているうちに昔を思い出したのか、そうじろうは遠い目をした。
「呂后って奴がいてな。劉邦の妻なんだが、これが残虐な性格だったらしいんだ。
項羽が死んだ後、こいつが彭越って男を処刑したんだよ。彭越というのは劉邦の味方でゲリラ戦が得意な武将だ。
その時のやり方っていうのが彭越の体を切り刻んで醢(しおから)にして諸侯に送るというものだったんだ」
なぜ味方を、という疑問は湧かない。

87:噬い裂け肉叢19
09/11/10 21:11:55 XflCxEk2
呂后が猜疑心を抱くようになり、功臣を粛清していったという歴史などこなたにはどうでもよかった。
しかし残忍な方法にはこなたは恐怖を感じた。
付け加えるなら、そのような惨い話を淡々とするそうじろうにも。
「その醢を彼らがどうしたかは知らない。でも俺はそれが妙に気になってな。できることなら食べてみたいって思ったんだよ」
「………………」
もうこなたには笑い飛ばすことも、冗談はやめてくれと一蹴することもできない。
おそらくこれは嘘ではないのだ。
この容器に入っている肉塊もかなたのもので間違いはないだろう。
「人間の肉なんてどんな味か想像もつかない。でも肉であることには違いないんだから、食べられないハズはないんだよな。
もしかしたら思った以上に美味かもしれない。そう考えるといてもたってもいられなくなったよ」
「それで……お母さんを…………?」
「ああ、焼かれて骨だけになるより食したほうがいいだろ?」
初めこそ後ろめたそうに語っていたそうじろうだったが、その口調は次第に自然なものへと変わっていった。
一方でこなたも極度のショックを受けたものの、今はまだ冷静に会話を続けられる程度に精神は保っている。
「気持ち悪いと思わないの? ……その……人間の肉なんて…………」
”人間の肉”という言葉がなかなか出てこない。
彼女は吐き気を堪えながらどうにか発声したが、
「人間も動物なんだ。牛や鳥を食べるのと同じだろ? それにな、牛肉なんかを食べるほうがよほど気持ち悪いんだぞ?」
この質問を予想していたのか、彼は鰾膠(にべ)もなく答えた。
「考えてみろよ。牛やら鳥やらはどこの農家が育ててるかも分からないし、何を食べてどこに住んでいるかもよく知らないんだ。
産地偽装問題なんてのがちょくちょくあるだろ? 俺たちが何気なく口にしてる肉が、食肉になるまでの過程なんてハッキリしてないんだ。
そういう得体の知れない物を食べるほうがよほど気持ち悪いと思わないか?」
「………………」
「その点、かなたの肉なら安心だ。少なくとも付き合いだしてからのあいつのことはよく知ってるからな。
見えないところで添加物を混ぜられることもないし、産地偽装も消費期限の改竄もない。そう考えりゃ安心だろ?
尤も、防腐剤も使ってないから保存はこうやって特別な容器を使わなくちゃならないけどな」
そうじろうの饒舌ぶりにこなたは眉を顰めた。
この男は狂っている。
少なくとも人肉を食べる習慣などこの国にはないし、彼の嗜好も明らかに異常なものだ。
(じゃあ……私もお母さんを食べたことになるんだ…………)
そこに思い至り、こなたは軽く嘔吐した。
自分もゆたかも、食欲に突き動かされて貪るように肉を食んだのだ。
「でも……お母さんなんだよ? 結婚して私を産んで……なんでそんなお母さんを食べたりできるのさ?
お父さんにとっても大事な人だったんでしょ……? 食べたいからって食べるものなの…………?」
詰りながら、こなたは嘔吐したことに複雑な想いを抱いた。
この行為はかなたに対して失礼なのではないだろうか?
吐きだすことは彼女の肉を拒絶することになるのではないだろうか、と。
「あのなあ、こなた―」
そうじろうは小さく息を吐いた。
先ほどまで肉塊を愛撫していた手をそっと離す。
「ハムやソーセージを食べる時にいちいち豚の死を噛みしめたりするか?」
感慨深げに語っていた彼は一転、冷やかな視線をこなたに送った。
「かなたは俺にとってもお前にとっても特別な人だ。今だってあいつに対する愛は変わってない。
でもな、今、あいつはこれなんだ。黙って美味しく食べればかなたも幸せだろう?
それにこなただって今まで食べてきた物に特別何も感じないだろ? それでいいんだよ」
独自の哲学に酔いしれるそうじろうは舌舐めずりした。
量産される食肉とかなたは違う。
こなたは泣き出しそうになったが、彼女の口から出たのは、
「よく……よくそんな事が言えるね。お母さんをこんなにしておいて―」
主に呪詛の念だった。
自分にとって母親はひとりだ。
それをハムやソーセージと一緒にされてたまるか。
「かなたを食べる事はある意味では供養にもなるんだぞ。ただの食材としてだけじゃない」
”食材”と言う前に”贖罪しろ”と、こなたは思った。

88:噬い裂け肉叢20
09/11/10 21:14:33 XflCxEk2
「ある寒い地方ではな、家族に死期が近づいている者がいると、若い連中がその人を家から見えるできるだけ遠い場所に運ぶんだ。
極寒の中をランプひとつだけ持たせてな。連れてきた者たちは家に戻って遥か遠くのランプの灯をずっと見ているわけだ。
やがて油がなくなって灯が消える。すると今まで火を怖がって近づけなかった熊やら狼やらがその人を襲うんだ。
灯が消えたのを合図に家族は猟銃を持って一斉に飛び出す。するとそこには口の周りを血だらけにした猛獣がいる。
そいつをな、撃ち殺すんだよ。殺して持って帰って食べるのさ。生で食べるのか焼いて食べるのは知らないけどな。
これがその地方の供養なんだよ。死人を食った獣を食うことで、家族の魂を自分たちの体に取り込むんだよ。
つまり先立った者の魂がそれを喰らった家族の中で永遠に生き続けるんだ。どうだ? 美しい話だろ?
まあ昨夜はそうやって獣を介さずに直接かなたを食べたわけだがな。間接的な直接的かの違いだけだ」
「そんな話、関係ないよ。こじつけでしょ……? お母さんを食べたのを供養だとか言って―」
そうじろうは小説家だ。
モノを書くことを生業にしている以上、彼の想像力や妄想力は他人よりも優れているハズだし、従って辻褄合わせも巧いに違いない。
全く関係ない地方の供養話を持ち出した時点で、こなたはこれがその場しのぎのウソだと思った。
「本当の話だ。別に信じてくれなくてもいい。でもな、かなたを食べる事は立派な供養になる。それだけは分かってくれ」
「分からないよ!!」
声を限りにこなたは叫んだ。
「………………」
一向に理解を示そうとしない娘を愛しく思いながら、彼は小さく息を吐く。
「こなたの気持ちは分からないでもないさ。でも、肉自体は旨かっただろ?」
かなたの死にさほど悲しみを感じていないらしいそうじろうは、すぐに人肉の味に話を戻そうとする。
この点だけはこなたも否定はできない。
あれが母親の肉だと分かっていたら箸をつけなっただろうが、知らなかったとはいえ彼女は貪るように食してしまったのだ。
旨かった、というのも偽らざる感想である。
「大腿筋や上腕二頭筋が特に美味なんだ。人間の肉ってのは赤身の部分に旨味成分が多くてな。これは牛や豚と同じだな」
「やめてよ……」
「こなたに是非食べさせてやりたいところがあるんだ。視神経……これは珍味中の珍味だぞ。量が少なくて貴重なんだ。
昨夜はゆーちゃんがいたから勿体なくて出せなかったが、今度一緒に食べよう。塩をまぶしてからだと―」
「やめてよッッ!!」
父親の異常な嗜好を娘は頑なに拒んだ。
侮蔑と憤りと悔恨の念を込めてこなたは叫ぶ。
自分が母親の一部分を食べてしまったことへの後悔もあった。
その原因はそうじろうにある。
彼がこのような狂った嗜好を持たなければ済んだ話である。
「そんなに否定するなよ。美味しかったなら素直に美味しかったと言えばいいんだ。それがかなたの為だろ?」
「お母さんの為、お母さんの為って……結局は自分の為なんでしょ!? お父さんだって人を食べるのは悪いことだって思ってるんでしょ!?
だからそうやって話をすり替えて誤魔化してるんだ!!」
「じゃあこなたはどうだったんだ? 昨日、あれを食べてどう思った? 旨かったか? 不味かったか?」
「それは…………」
「そういうもんなんだよ。牛や豚は良くてなんで人間は駄目なんだ。それは差別じゃないのか? 熊や鷲だって人間を食べるんだ。
人間が人間を食べたって不思議じゃないだろ」
「………………」
おかしい。気持ち悪い。狂っている。
こなたの感情はそうでも、理路整然とそうじろうが間違っていると諭す方法が見つからない。
ともすれば彼の方が正しい事を言っているようにも思えてしまう。
こなたは何も返せなかった。
再び沈黙が場を支配する。
が、やがて忘れていた喉の違和感を思い出し、こなたは無意識的にそこを掻き毟っていた。
「こなた……まだ症状が出てるのか……?」
それに気付いたそうじろうが怪訝そうな表情になる。
「大丈夫だと思ったんだがな―」
彼は意味深な言葉を続けた。
「なんかヘンなんだ。昨日からやたら水が欲しくなるし、痛いような痒いような感じがするんだ。
ゆーちゃんがあんな風になったのも…………あの料理の所為なんでしょ…………?」
喉に爪を食いこませながらこなたが問うた。
すぐに答えを返さないそうじろうだったが、ここまで喋っておいて今さら隠す必要はないと思いなおし、
「そうだ」
短く、ハッキリと言った。

89:噬い裂け肉叢21
09/11/10 21:16:02 XflCxEk2
「人肉は他のどんな食べ物よりも旨いが依然性が強くてな。一度でも口にしてしまうと、また味わいたくなってくるんだ」
麻薬みたいなものだ、と彼は付け足した。
「それでも我慢すると今度は強い飢餓感に襲われる。この時、野菜なんかよりも肉を異常に欲するようになる。
喉が渇くのは水が欲しいんじゃなくて、血を啜りたいっていう症状の現れだろう」
そんなバカな、とこなたは思ったが言葉にならない。
振り返ってみれば確かに自分もそうだった。
昼休み、柊姉妹の弁当箱に詰まっていたハンバーグが欲しくてたまらなかった。
抑えようとしても抑えられなかった。
加工された肉にまるで獣のように食らいつく自分を、彼女は朧げながら記憶していた。
「時おり首のあたりに違和感を覚えたりするんだが、これは子供に特有の症状だ。
こなたももう18歳だから問題ないと思っていたが……そうか、まだか…………」
そうじろうは腕を組んで唸ったが、特に悪びれる様子もない。
「なんで…………?」
「おそらく生態系のバランスを保つために、人間がいつの間にか宿した特性なんだろうな。
人間が人間を食べる時っていうのを考えると、他に食糧がない環境が考えられる。
ないと言っても牛や豚が絶滅してるんじゃなくて、ごく僅かだが生き残っているハズなんだ。
そういう状況下で人が人を喰らうと、飢餓感に突き動かされてまた人を食いたくなる。
そうやって人間は自ら個体数を減らしていくんだろうな。人間は食物連鎖の頂点に立つ存在だからな。
その数が増えすぎるとバランスが崩れるんだ。考えてみるとうまくできてると思うよ。生物っていうのは―」
「そうじゃなくて…………」
額に脂汗をびっしょり掻いてこなたが遮った。
「なんでそうなるって分かってて私たちに食べさせたの…………?」
今のこなたにはもはや父の狂行を断じる気力は残っていない。
彼女にできるのは嘆き悲しむことだけだ。
「俺が人肉食に目覚めたのが18歳の時だったからさ。こなたにも同じように”人そのもの”の旨さを味わって欲しかったんだ」
彼は小さく息を吐いた。
「目覚めたといっても願望に目覚めただけで実際に食べたのはもっと後だぞ? 俺はまだかなた以外の肉は食べたことがないからな」
つまり機会があれば別の人間も喰らってやろうという考えている証拠だ。
「お父さんは……私と同じ年で人を食べたいって思ったの?」
「う~ん、ちょっと違うな。たとえば包丁で指先を切ったり、棘が刺さったりして血が出るだろ? そういう時どうする?」
「…………舐める、かな。ひどかったら絆創膏貼るけど」
「だろ? 俺もそうだった。でもある時、自分の血が旨いことに気がついたんだよ。不思議なものだよな。
こんなに旨いものが体の中にいくらでもあるのに、自分自身はその味を自由に楽しめないんだから。
だからあの頃はよく態と指を切ったりしてたな。もともと体内にあるものを飲むんだから健康にも問題はないし」
そうじろうが言うには指先などの末端から出血するものより、心臓に近い部分から出る血の方が美味だという。
「俺の時はそこまで症状は出なかったからな。依存性があるっていっても軽いものだった。どうも個人差があるみたいだな。
18ならいけると思ったんだが……やはり成人してからでないと無理なのかもしれないな」
そう言いながら彼は再び袋の肉を愛撫しはじめた。
「ま、それでも抑えられない時はあるんだけどな。今だってこの袋を引き裂いて齧りつきたいくらいさ」
恍惚の表情を浮かべる父を見て、こなたの頭にある考えが浮かぶ。
(まさか…………)
絶望的な想像である。
さすがにそんな事があるわけがない、と彼女は何度も何度も頭を振る。
「お父さん……もしかしてお母さんを…………?」
「なんだ? どうした?」
「お母さんを食べたくて……殺したんじゃないの…………?」
「なっ!? バカなことを言うな!!」
突然、そうじろうが顔を真っ赤にして激怒した。
「かなたは病気だったんだ。お前を産んだ後の肥立ちが悪くて亡くなったんだ。俺が殺したんじゃない!」
先ほどまでとは一転、彼は滾るような目でこなたを睥睨する。
その反応がまた疑わしく、こなたに更なる疑義を抱かせる。
「本当だ。かなたは……かなたは体が弱くてな…………」
娘相手に激怒した自分を悔いてか、そうじろうは目を伏せて力なく零した。
しかしこなたはそれを言葉通りには受け止められない。
母親が病弱である話はそうじろうを通してしか知らない。
こなたが何も知らないのをいいことに、幼い頃からそうじろうがウソを吹き込んでいる可能性もなくはない。


90:噬い裂け肉叢22
09/11/10 21:17:35 XflCxEk2
もしそうであれば彼女に真実を暴く術はない。
彼の証言が真実である保証は既にないのだ。

―かなたの肉を黙って料理に出した時点で。

この男は狂っている。
己の嗜好を満たすために人ならざる行いをした。
死んだ人間の肉を食べた、と彼は語っている。
しかし本当は殺した人間の肉を食べたかもしれないのだ。
「信じてくれないかもしれないが、あまりゆーちゃんには食べさせたくなかったんだよ」
こういう副作用があるからだ、と彼は言った。
「首の違和感も飢餓感も一時的なものだとは思うが……」
「だから……」
こなたが口を挟む。
「だから病院に連れて行こうとしなかったんだね……?」
「ああ。医者に診せたらすぐに分かるだろうからな…………」
「…………………」
病院にも行けないようなことをしたのか、とこなたは怒鳴り散らしたくなった。
「騒ぎになったらゆーちゃんも可哀想だしな」
「そんなのお父さんの勝手だよ」
こなたは吐き捨てるように言った。
「ああ、そうだな…………」
悔恨しているのか悦に入っているのか、そうじろうは肉塊への愛撫を止めない。
その手つきを見ていたこなたは、袖に見え隠れする白い物体を認めた。
「お父さん、それ…………?」
「これか」
視線に気付いた彼はそっと袖を捲くった。
手頸から肘にかけて包帯を巻いてある。
幾重にも巻かれたそれはうっすら赤く染まっていた。
「…………」
「…………」
「…………どうしたの?」
理由を話したがらないそうじろうに焦れ、こなたがイラついた口調で問うた。
「まぁ、その、ちょっとゆーちゃんにな…………」
場の雰囲気に似合わず彼は照れ笑いを浮かべる。
大事をとって学校を休んだゆたかは、午前中は自室で眠っていたらしい。
そうじろうも容態が安定しているのを確認して執筆にかかった。
ところが昼を過ぎた頃、台所で不審な物音がした。
何事かとそうじろうが覗くと、昨夜のようにゆたかが冷蔵庫の食材を饕(むさぼ)り食っていた。
床に散らばる肉や野菜。
それらを悉く食い荒らしたゆたかは、しかし満腹感を得ることができない。
その時、視界に入ってきたそうじろうに彼女は飛びかかった。
咄嗟の行動に彼は反射的に身を庇う。
それがまずかった。
無意識に前に突き出した腕にゆたかが噛みついたのだ。
体躯からは想像もつかないほどの閉顎力で、そうじろうの腕を食い千切ろうとしたのだ。
激痛に耐えかねた彼はゆたかを振り払った。
そのつもりはなかったが、彼女は壁に叩きつけられて昏倒した。
血が溢れるのも厭わず、そうじろうはすぐにゆたかを部屋に運び込み動きを封じたという。
「いや、心配ない。ゆーちゃんの反応は正常なものだ。さっきも言ったが依存性の為せる業だし、
いずれは俺みたいに辛抱できるようになる。酒や煙草みたいなものなんだ。まあ、ゆーちゃんには刺激が強かったかもしれないな」
あるいは早かったかもしれない、と言い直して彼は微苦笑した。
その様子を想像したこなたは、有名なホラーアクションゲームを思い出した。
ウイルスによってゾンビと化した人々や動物を倒してクリアを目指すゲームだ。
ゆたかもあの悍(おぞ)ましいバケモノと同じようにそうじろうを襲ったのだろうか。
(私も…………?)
そんな風になるのだろうか、とこなたは思った。
心当たりがあるだけにその可能性を否定できない。
「黙っていたのは悪かったが、そういうわけなんだ。こなたもいずれは――」

91:噬い裂け肉叢23
09/11/10 21:19:04 XflCxEk2
そうじろうが言いかけた時、ドン! と何か重い物を叩きつけたような音が響いた。
「な、なにっ!?」
恐怖に支配されかけていたこなたは、突然の物音にビクリと体を震わせた。
この状況では些細な変化すら恐ろしく感じられる。
「なにか倒れたのかもしれないな……ちょっと見てくる」
開き直ったように見えた彼もやはり気まずさを感じていたのか、跳ねるように立ち上がった。
私も、と同じく動きかけたこなたを制し、そうじろうは足早に部屋を出て行く。
「………………」
残されたこなたは今になって全身に汗を掻いている自分に気付く。
冷や汗だけではない。
これには興奮によるものも少なからず含まれている。
越えてはいけない一線を越えてしまいそうな自分に対する緊張も。
「…………」
この部屋にはこなた独りだ。
そして目の前には容器に押し込められたかなたの肉塊がある。
慾しくなったのだ。
先ほどまでそうじろうを忌み嫌い、人肉を食べる事を徳義に悖るとさえ思っていた彼女が。
それを管理する者がいなくなった途端、飢餓感が理性を押しのけるように襲ってきたのだ。
(食べたい……よ……お母さんの肉…………)
容器に手を伸ばした彼女はすんでのところで思い留まる。
(駄目だ……そんなの……!)
朦朧とした意識は今や劣勢となった理性をどうにか援護する。
しかしもはや風前の灯。
昨夜、依存性のある肉を食べてしまい、そうじろうから人肉の魅力を叩きこまれた今、彼女の内を支配するのもは主に飢餓感。
永遠に満たされない空腹を満たそうと、こなたは再び容器に手をかける。
「駄目……ここで食べたら…………!!」
いずれはこれにも慣れ、衝動を抑えられるようになるとそうじろうは言っていた。
その言葉を信じ、こなたは必死に耐えた。
辛抱すればいい。
一度でも誘惑に負けてしまえばそれで終わりだ。
ゆたかのように獣の如く食肉を漁りたくはない。
(ゆーちゃん……大丈夫かな……?)
かなたの肉を見ないようにして、こなたは拘束されたゆたかを思い起こした。
どちらかと言えば長身で体格も悪くないそうじろうが、不意を衝かれたとはいえ包帯を巻くほどの怪我を負ったのだ。
あの傷を見れば彼がゆたかを拘束したくなる気持ちも分からなくはない。
「こな――!!」
何かが倒れる音に混じって、そうじろうの声がした。
「お父さんッ!?」
悲鳴に近いその叫びに、こなたは弾かれるようにして部屋を飛び出した。
キッカケが欲しかった。
こうすればごく自然な形で”かなた”から離れることができる。
一時の解放感。
だが――。
「………………ッッ!?」
現実はいつも辛辣だ。
常に人の期待を裏切り、幸福の後に絶望の種を蒔く。
「……ゆーちゃん…………」
廊下にゆたかがいた。
ロープで縛られていたハズの彼女はくちゃくちゃと何かを咀嚼している。
―こなたは見た。
どぶどぶと鮮血を流しながら痙攣するそうじろうを。
ゆたかはその上に馬乗りになって、首周りの肉を噛み千切っている。
彼女が嚥下する瞬間、その口で塞がれていたそうじろうの傷口が露になり、喉元から真っ赤なシャワーが放物線を描く。
「………………」
赤い噴水で喉の渇きを癒したゆたかは、再びその噴き出し口めがけて歯を突き立てる。
そうじろうはもうピクリとも動かない。
肉を喰われ、血を吸われ、彼はもはやこの世の者ではない。

92:噬い裂け肉叢24
09/11/10 21:20:14 XflCxEk2
「ゆーちゃ…………」
発音しかけてこなたは口を噤んだ。
ゆたかは誘惑に克てなかったのだ。
突き上げる食欲が拘束を解き、自分を抑えつけた男を食ったのだ。
不意にゆたかが赤黒い顔を上げた。
両の目が違う方向を向いているが、彼女はたしかにこなたを凝視している。
「えへへ……」
彼女はこうなる前の少女特有の笑みを浮かべた後、そうじろうの首の付け根の肉を噛み切った。
ガリッ、という厭な音とともにそうじろうの頭が僅かに動く。
その首の下はどこにも繋がっていなかった。
歪(いびつ)なボールは右に左に揺れながら転がり、狙いすましたようにこなたの脚下で止まった。
食欲は旺盛でも―あるいは旺盛だからか―動く物には注意を向けるらしい。
不規則な軌道を描くそうじろうの頭部を目で追っていたゆたかは、それが止まった先のこなたを再び見つめた。
が、今度は先ほどと違って微笑まない。
縄張りを侵された獣のように、血走った眼がこなたを睥睨する。
「ゆーちゃん…………?」
暫くしてこなたは悟った。
ゆたかの視線は敵意の表れ。
彼女はおそらくそうじろうの頭も食すつもりなのだろう。
(私が横取りすると思ってるんだね……それで睨んでるんだ…………)
こなたは笑った。
(こんなのってないよ……お父さん……私もゆーちゃんも何もしてないのにさ)
こなたは嗤った。
もう自分には何も残っていない。
意識はまだあっても、これもまもなく飢餓感とそこから来る食欲に吹き飛ばされる。
そうなった後はゆたか同様、ただ食べ続けるだけの日々を送るのだ。
「もう、いいや…………」
こなたはがくりと膝をついた。
漫画にもアニメにもゲームにも興味を持たず、食欲を満たすために喰らう。
それも永遠に、だ。
かなたを喰い、そうじろうを喰われ、可愛がっていたゆたかまでもが餓鬼に身を堕とした今。
こなたには何も残っていなかった。
「生きる意味なんてないよ……どうやって……生きていけばいいの…………?」
彼女は父の頭をそっと持ち上げた。
瞬間、食糧を奪われまいとゆたかが四つ這いで迫ってくる。
自分の知っている顔ではなくなったゆたかを見ながら、こなたは逃げようとも防ごうともしなかった。
いっそ、このまま喰われてしまったほうが幸せかもしれない。
全てに諦観したこなたは思った。
(ゆーちゃんはどうするのかな……? こんなになってこの先独りで…………)
死を覚悟してもなお、ゆたかを気遣うこなたの心はまだ清らかだ。
満たされない彼女はこの家を飛び出し、肉を求めて彷徨うのだろうか。
誰彼の区別なく襲いかかり、それを喰らうのだろうか。
(でも私にはどうにもできないよ、ゆーちゃん……)
ゆたかの顔が目の前にある。
(ごめんね……ゆーちゃん…………ごめ…………)
左肩に激痛が走ったが、こなたは複雑な笑みを浮かべて天井を仰いだ。



93:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/10 21:54:22 0M8VeTBh
支援

94:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/10 21:58:33 fUddOu/J
支援です。

95:JEDI_tkms1984
09/11/10 22:06:04 XflCxEk2
 支援下さった方、ありがとうございます。
申し訳ないのですが……今夜はここまでです。
(なぜかいつもこの最後の最後で書き込めなくなるんですよね……)
明日か明後日の投下で完結します。


>>74

 ありがとうございます。
面映い気持ちです。
参考というほどではありませんが、一文がやたら長くて回りくどい時は歴史小説、
暗喩が多用している時は海外小説の影響を受けているものと思います。


96:JEDI_tkms1984
09/11/12 21:24:29 S4iIlpaj
 皆さん、こんばんは。
ただ今より投下します。

97:噬い裂け肉叢25
09/11/12 21:25:36 S4iIlpaj









 肉を引き千切る感触と軟骨を噛み砕く音に、こなたは我に返った。
視界が真っ赤に染まっている。
鼻腔を容赦なく貫く血液の臭い。
舌の上に僅かに残る食感。
それら全てが一時的に彼女の意識を支配していた。
ふと視線を下におろす。
両腕をもぎ取られたゆたかがあった。
たおやかな白い肌は醜く傷口を露にしており、そこから溢れ出る血液は既に凝固が始まっている。
彼女の手には指が1本も無かった。
切断面にはくっきりと歯型が残っている。
さらに視線をずらし、その胴体を見たこなたは卒倒しそうになった。
乱暴に引き裂かれた腹部から腸が飛び出している。
ぽっかり空いた穴の中に臓器はほとんど見当たらない。
ただ腥(なまぐさ)い体液で満たされているのみである。
「うっ…………」
その下には首のないそうじろうがある。
こなたの記憶の中の彼はかろうじて原形を保っていたが、今は5つに分かれた肉塊でしかない。
「はは…………」
こなたは口の端を歪めて笑った。
その拍子に歯の隙間から毛髪が滑り落ちた。
「わたしが……わたしがやったんだ…………」
聞く者のいない呟きは空気を通して自分に返ってくる。
長く息を吐きながら、こなたは自分の腹をさすった。
大きく膨れている。
こうなった理由は分かっている。
「お父さん……」
返事はない。
「ゆーちゃん…………」
返事は―ない。
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!」
こなたは突然立ち上がった。
「いやだああぁぁぁぁあぁッッッ!!」
喚き散らしながら廊下を駆ける。
飛び散った血液に足をとられて翻筋斗(もんどり)打って倒れる。
「ううぅぅ…………」
痛みはなかった。
左肩に受けた傷が疼くこともない。
ただ彼女は錯乱していた。
あのままゆたかの牙を受け容れて死ぬ覚悟を決めた自分が、よもや最後の最後で人肉が引き起こす発作に負け、
反対に彼女を噬(く)い裂いてしまうとは思わなかったのだ。
こなたに生きたいという意思はない。
辛辣な現実の連続に未来への希望を持てなくなっているのだ。
最愛の母の肉を喰らってしまったこともある。
人として、してはならない行為に及んでしまった後悔。
恐らく一生抜け切ることはないであろう依存性。
「いやだ……ゆーちゃんみたいになりたくないよ…………」
決してゆたかを貶しているのではない。
だがあの姿にだけはなりたくはなかった。
人を喰った時点で人は人ではなくなるのだ。
それを間近で見てしまったこなたに、生への希望が生まれるハズがない。

98:噬い裂け肉叢26
09/11/12 21:26:35 S4iIlpaj
仮に目に見えて変化がなかったとしても、依存性は残る。
そうじろうがそうであったように、人肉への愛慕の情は消し去れないのだ。
(分かってる……分かってるけど…………!!)
ゆらりと立ち上がったこなたは食べ物を求めている自分に気付く。
飢餓感だ。
空腹を通り越して無限の食慾が湧いてしまっている。
(死にたいよ―)
そう願っているのに、体は肉を求めている。
喰う行為が生に繋がっているのに、彼女は死にたいと願っている。
この矛盾を彼女は死ぬまで繰り返す。
「そんなの嫌だッッ!!」
こなたは叫んだ。
言語能力は失われていない。
しかし思考は殆ど欲望に食い荒らされている。
「嫌だよ、そんなの……お腹空いたよ……嫌だよ…………」
こなたの体は本人の意思とは無関係に振り返り、2つの肉塊に向けて歩を進めている。
(だ……め…………)
このままではあの屍肉を喰らうことになる。


―死にたい。

―食べたい。

―もうイヤだ。

―食べたい。


「…………ダメだッッ!!」


あと数歩で求める肉塊という距離になって、こなたは最後の力を振り絞ってその場から離れた。
だがあくまで一時しのぎでしかない。
これが彼女にできる最後の抵抗。
時間が経てば再び飢餓感に襲われ、そうなれば今度こそそれを抑えることはできない。
重い足を引きずりながら、こなたは洗面台にやって来た。
(そうだ……死んじゃえばいいんだ!)
こなたの瞳に僅かに光が戻った。
(簡単なことじゃん!!)
いたずらを思いついた子供のように、こなたは満面の笑みを浮かべた。
自分の考えが正しいことを確信しつつ、彼女は洗面台の鏡を見つめた。
彼女が求めるものはここにあった。
死にたいという願いと、食べたいという欲求を同時に満たす方法。


―自分を食べてしまえばいい。



99:噬い裂け肉叢27
09/11/12 21:28:09 S4iIlpaj


「はは……ははは…………」
肩を震わせてこなたは自分を嘲笑い―。
忌々しい左腕に噛みついた。
(………………ッッ!!)
顎に強く力を込めると、激痛とともに血の味が口内いっぱいに広がった。
こなたはその味に酔った。
かなたよりも、そうじろうよりも、ゆたかよりも―。
誰の肉よりも旨かった。
溢れ出す血液は喉を潤す最高級のジュース。
鉄分を多く含んだ飲料はどろりと舌の上に残り、その余韻をいつまでも楽しませてくれる。
新鮮な肉は至高の食材。
やや硬く小振りではあるものの、歯ごたえのある生肉は本来ならば適度に満腹中枢を刺激してくれる。
2度、3度と食い千切っていくと焦げ茶色の骨が露になる。
こなたは恍惚の表情で抉り取られた左腕を見つめていた。
人肉には一種の麻酔作用があるようで、彼女はいつの間にか痛みを感じなくなっていた。
感じなくなったのは痛みだけではない。
もはや味も分からなくなっていた。
痛みも、味も。
自分が今、していることすら彼女は理解できなくなっている。
しかし体だけは予めプログラムされていたかのように咀嚼と嚥下を繰り返している。









 ―肘の辺りを噛み切ったところで、こなたの体は動かなくなった。









   終



100:JEDI_tkms1984
09/11/12 21:30:41 S4iIlpaj
 以上で終わりです。
きっと最初で最後のカニバリズム作品。
お読み下さりありがとうございました。
またお会いしませう。

101:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/13 23:47:59 CEplSd+s
こなちゃん死んじゃったの?(´;ω;`)

102:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/15 06:46:22 HxVEWrRN
>>100
乙!
面白かったです。
自分を食べて自殺とは斬新だな!

103:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/15 11:50:22 fMpbfhK3
マリーアントワネット「お腹が空いたのなら、お菓子を食べればいいじゃない」
こなた「お腹が空いたのなら、自分を食べればいいじゃん!」

104:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/16 00:07:05 IaJfYSHM
こなた「そうだ、自殺しよう」

105:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/16 21:03:02 +6R0dvyD
死んでも死んでもまだ足りないか

106:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 00:14:22 BizUn/Oe
このカニバ小説、もしや関よしみの「愛の食卓」から影響を受けて書いたのかな

いや、ストーリーは全然違うんだがオチが似てるもんで…

107:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 00:39:36 9d/Lru7W
グレゴリー辺りの影響じゃね?

それはそうと、避難所でデフォ北見つけてびっくらけ
おみゃーさん、作家も画家も止めて、JEDIの太鼓持ちに転向か?
別に構わないけど、未完のまま四面楚歌放るんなら、一言コメ欄で伝えてあげれば?
何か待ち焦がれてる人居るじゃん

108:デフォ北
09/11/17 01:44:40 3MccKg/K
>>107
すみません…

 長々と準備してきた文化祭が先週終わったので、
今週の提出物の山を超えれば、土曜日から漸く書けます

 更新頻度が明らかに遅いために未完と疑われるのは重々承知しているのですが、
四面楚歌は本当に完結させるつもりです
結末までのプロットが完成しました
今後少々汚い展開になることが予想されますので、食事中はマズいですね

 12月初めにまた考査があるので、その周辺期間はひとまず勉学に勤しみます
新作SSもまだ完成には程遠いですが、時間の許す限り執筆致しております

109:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 07:20:52 9mkC7EeG
てか『太鼓持ち』とかいちいち挑発的な単語を使う意味が分からんのだけど。

110:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 15:28:15 JJvMfpgO
死なない

111:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/17 15:38:51 lxgBxerN
おまいらキチガイ過ぎる…

112:グレゴリー
09/11/17 18:17:14 Ll1jZDQ1
もはやコテを名乗る資格もないと思い、沈没していた私ですが
今回は名乗ることをお許しいただきたい。

>>100 JEDI氏のカニバリズム作品を読みました。
人肉食という行為に宗教的な理由をこじつけ、倫理的な逃避を図っていた
私の作品の登場キャラたちと違い、本能に根付く自然的な欲求という
正当性を打ち出したJEDI氏の解釈に脱帽w

自身がssを書いたことのある人間にとって、氏の多産ぶりと表現力に
賞賛の言葉を送ることは不思議ではありません。



113:JEDI_tkms1984
09/11/17 22:46:06 gsx/0kNZ
>>106

 残念ながら関よしみ作品に着想を得たわけではないのですが、あの人の描く漫画は面白いですよね。
ホラー漫画誌によく掲載されてますが、人間の愚かさとか自然の脅威を主題にした作品には色々と考えさせられます。
『異常な嗅覚を持った少女』シリーズが特に好きでしたね。
他に三家本礼や日野日出志や御茶漬海苔作品も好きなのですが……。
少し前、PS2版を引っ張り出したらギャラリーモードの8ページに僕の信奉する漫画家のCGを見つけました。
なぜこんなところに……と首を捻ったものですが、その漫画家の作風を真似たSSを執筆中です。
年末にはお披露目できると思います。


>>108

 楽しみにしております。
完成を急ぐのもアリですが、じっくりと時間をかけて見応えのある作品を練り上げられるのもよろしいかと。
ご自身のペースで執筆なさって下さい。


>>112

 お読み下さりありがとうございます。
このSS、グレゴリーさんの作品に影響を受けて書いております。
かなり前になりますが「ヴァレンシュタイン.デイ」が投下された際、
いずれカニバリズムSSを投下したい、旨のコメントをしたのですがそれを漸く果たせた想いです。
「噬い裂け肉叢」は貴方なくしては書けなかったと言って差し支えありません。


114:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/18 00:45:39 y6Pr98Aq
懐かしいな、バレンシュタイン・ディ
中尉との三者合作はどうなったよ?

115:神奈川版シリーズ作者
09/11/18 09:16:45 K/SqpA+5
>>113
私、神奈川版「麾く煉獄」を書いたものだけど、話の追加で遺産相続でかがみたちが
乱入するのを書いていいでしょうか?具体的にそうじろうはゆいやゆたかたちとは
血のつながりすらなかったと書こうと思うけど。

どうでしょうか?

116:JEDI_tkms1984
09/11/18 22:41:50 +Gm8gdmW
>115

 僕は一向に構いません。
SS書きとしては下地に使っていただけるのは大変ありがたいものです。
遠慮なさらずどんどん使ってください。

117:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/19 20:56:53 JfM4dEOf
          _,-,ニ二ニ=、
        //          。
        /:/       ;:;:∵;:;:;:;:;: ゚
          ヾ`、       ,;:;:;:;:  ;:;:;:∴;:
        >+:‐: ´: ̄:  ̄:∵,.:.:∴:.: .:.:.:.:.: !i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i
      /: : : : /: : : : : : : *;:;:;:;:;:;:;:  ;:
       /: : : /: : : : : : : :/: :;;.:!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i
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    l://://: : : イミ土=、_/: : :/:;;.:.:.:.:.:  ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;();:;();:;:;:┃┃
    l/: :l l: : : イ:llo:::::::/:::/://:::∵ ,r,,、 ∵。:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:┃┃
     l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::∵( @ :.:.:::━━━━━━━━━━━┳━┛┗━┓
.    l: : : W/: : N    ;:;:;:;:;:、 ;, *,;゚ .━━━━━━━━━━━┻━━┛
.    l: : : : :ハ: : : ト、   イ*つ;:;:;:;:;:;:∴:;:;:;:
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118:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 00:55:12 Vakkfi1k
新作投下やらグレゴリー氏の再来やらうつ☆すた派生作品やら
活性化してていいかんじですなあ。
>>41
今更だけどこれはいい!
上でも誰か触れてたけど、夢から覚めた後の畳み掛けは鳥肌。
でももっと作りこめそうだなーと思う。

そして、大分さんの絵、何か新作来ないかなーとか思ったり。

119:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:38:24 MWqi/lEK
            ___
          . . :´: : : : : : :ミ: 、
       / : : : : : : : :\ : : : \
      /: : : : :′: : : : : : :ヽ : : : ヽ
      .′: : : :|: : : : : : : : : : : : : : : .
      |: :| : : :イ: : : ト: : : : : : !: i:. :|    将来池沼が生まれて小説みたいに虐待されます
      |ノ:|: _/イト: : ト廴ヽ: : :|ヽ:. : :!      
    /}:ハ: !       \、|: |: :ト:|
       |: : :V. へ  ,  へ  :ソ: l:. :|リ    あう~あう~♪
     ル'| : :.} xx __ xx.  }: : :| }ノ`ヽ
       |人:{人  (,,_,|   イ: : :ル'   {
      V ` \丁  ∥ _.ノ}:/ }   }
       }  >―r―‐<  /  / /
       | /   ミ厂 ̄{彡  `ヽノ   !
      ノ_}  个i′  `ー‐、 ∨  {
       [_ノ  {ニ }池 沼  i}  ヽ二}
      {   厂 r‐y‐、  '|   `T′
      丶__ノ   ヽ. ノ   人    /
       |           >r
      ノ             廴

120:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:43:07 MWqi/lEK
                     へ、__   , ,  , . - '"/
                   ,. - '. : : : : : : : : ̄:`.く、ゞ、, : : -='、
                /: : : ; : i: : : : : : : : : : : : : :`ヽヽヽ; : : : :丶
              /: : : : : :i: ハ: :ハ; : 、: : : : :i : : : : ヽヽヽ;.: : : : i
             /: : : :.i: : : |: i:::.`; :|弋: 丶: : : : i : : : : : ',`, `;.;.: : i:|
            /: :i: : :.|: : : ハ;::::::::.'.:| ::\: :.i:.i:::i: ||: :,ノ: : ハ `, i::::. ::i:|
            ,': /|:.i: :.|: : :i !i::::::::::::::i;=ニゞ、!: : i:|ソ: : :ノ::| |:i .i|: ::. :|
           ノノ i|: :ハ: : | ,!=、:::::::: "刺ミ,ヾ,y; : |: ://::::i, u ノi:ハ,: !
          ノ    |: i:::i: :.|i!逝i} ::::::::. {殺ツ,ノソi,:.rニ;'::::::ハ:丶':i|  ヾ
              |: i:::::i: ハ`去'    `- '  i 'ソ .}::.ノ! .レ'ソ
               !:|i:::::i:.! i ,,, '    '''    ,、// | !
          ___  !| V 'i i   弋フ、   ノ;/"    `'
    i-- 、 /:::r'γつ`丶、  `\      / tっ,           嫁はノイローゼになり
    |:.:   ヽ;:::}' / /っ::::::::::ソ     ` ソヾ" ,/"::::::`ゞ,、
.    |:.:.    ソ, ',/っ:::::::::i、   ,/" / /.:: :: : //_'ゞ、
.     |:.:      `.  Y:::::::::i|::| ,バ":: ::i:/-,/:: ::,//:/¨ ¨ :ヾ
      i.::.     `.,.|:::::::::::':::|ハ:'. `. ::/=/:: :://.:/     :.|
     /.';.:.      `、::::::::::;>! i::`ソ、ツ.//.::/        :|
     i:::::::`、::     丶/y y `、`,!r/_'" ;. ,       .:|
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.    |::::::::|:::.!`、::   ,/'丶」_ 〃ゞソヽ、  /  !:| i      :::|
     |::::::::|::::.i, `、;メ"丶,. -` ヽノ.<i|.丶, ソ   i       .::|
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121:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:44:10 MWqi/lEK
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    /三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三\
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 ..)三(...| ::|└┴┘ |::|┃/: :{=/\{: : |\}X: :: '.::┃|::| └┴┘| ::|`)三(´
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  | ::| | ::|└┴┘ |::|┃|: :j: Y xx    xx {:/:ノ::┃|::| └┴┘| ::| | ::|   自殺
  |: :| | ::|┌┬┐ |::|┃{八: ゝ_  {ヽ  /::: .:|:┃|::| ┌┬┐| ::| | ::|
  | ::| | ::|├┼┤ |::|┃ \{\{ >ァr‐七{ :リ::/ ┃|::| ├┼┤| ::| | ::|
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     ○    ●        ∫∬∫∬         ●    ○
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   [ ̄ ̄] [ ̄ ̄]     ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)    [ ̄ ̄] [ ̄ ̄]
    |_○_|  .|_○_|       |_____|     |_○_|  .|_○_|
 ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ 
(    )(    )(,    )(,,    )    ,,)(    )(    )(,    )

122:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:46:50 MWqi/lEK
: : : : : :/ : : : / /  ' : : : :| : }: : : : ヽ:ヽ
: : : : : l : : ; へ ⊥ ___; : : : ト :ヾ: : : : : | i:|
: : : : : |: :/ _ 二 ̄ ´ ': : :/ | }: : : : : |/:l
:/ : : : :V| ( ___ )    ∨゙ヽ.!ハ : : : 〃/
l : : : : i: :| ` ̄ ̄人   ((⌒`ヽ∧ : /イ/      池沼の娘を引き連れて死ぬまで不幸が続きます
l : : : : |: |⊂ニ⊃ (0__)  ` ー=fヘ∨ノ |
: : : : : l: l               ⊂⊃ ヽ: : |
: : : : : l l       /:|      }_ノ: :|
: : : : : :||丶     ` ′     ノ: : : : :|
i: : : : : :|      、      _.. イ: : : /: :/
|、: : : : :|   ーァ‐`‐一(´ 0ノ : : /l: /
 ヽ : : :!、  /}⌒i\: :ノT:´ : : /

123:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 01:58:24 MWqi/lEK
他スレに散々場違いな作品を投稿して荒らしておいて

もうそちらには関与しないから自分所にはちょっかい出すなって

さすがキチガイは言うことが違うなすげえ面の皮だぜ

他人を食い物にしてきた人でなしには何の血が流れてるんだ

お前の一生に不幸と災いの報いが来ることを祈ってるから

お前が愛する人間を失うことを願っているから

難病と障礙でのたうち回った末に

失意と不幸のどん底で自殺することを祈っているから

決して陽の当たるところ畳の上で死ねないことを祈っているから

124:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/20 22:43:15 3EONfMjH
最近の糞神奈川じゃなくて、前の神奈川ってまだいるの?

125:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 04:32:23 rNdfMW4K
クソーッ、ダイミョウザザミが倒せん!
ソロプレイじゃ無理なのか?

126:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 08:14:20 W2A8CYGk
下位?上位?G級?

127:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 10:38:52 QVxCIPQ1
避難所の大分とか言う奴のSSもくだらんな

128:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/21 11:05:57 nl1si6Cc
お前等目が肥えすぎ^^

129:お祭り大好き@お腹いっぱい
09/11/22 00:03:11 OG+YOTng
ただ今、ネットいじめの加害者を自殺させるプロジェクトが進行中w

ネット掲示板2チャンネルに学生名指しで中傷の書き込みした神戸大院生停学
スレリンク(news板)l50
2ちゃんねるで同級生を強姦魔扱いにして自首退学させる…神戸大学院生
スレリンク(news板)l50

130:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 00:37:17 KReccuUk
加担したら加害者と同レベルかなぁ。
被害者が自殺に追い込んだ、ってんならまだ共感できるけど、
無関係な人が加担すんのはどうかな。
行為の先後が悪を正義に変えるほどの重要性を持つとは思えないし。

てか、旧帝レベルでコレか。
「学歴関係ないよね」とか言われちゃう他の旧帝生が不憫ではあるけれども。

131:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 00:45:46 J7xhNIU4
死ねキチガイども

132:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 14:56:34 SJtNHPz6

うるさい!こなた死ね


          _,-,ニ二ニ=、
        //          。
        /:/       ;:;:∵;:;:;:;:;: ゚
          ヾ`、       ,;:;:;:;:  ;:;:;:∴;:
        >+:‐: ´: ̄:  ̄:∵,.:.:∴:.: .:.:.:.:.: !i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i
      /: : : : /: : : : : : : *;:;:;:;:;:;:;:  ;:
       /: : : /: : : : : : : :/: :;;.:!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i
     l: : : /: : : : : : : : :/: /l: :;.:.:.:.:.:.:.:━━━━━━━━━━━━┳━━┓
     /: :/: :/: : : _,:_∠L、:::/: :∴.:.:.:.: .:.:.:.:.:━━━━━━━━━━━┻━┓┏━┛
      l: /://: : : : :/::/':::::/: : : ;  .:.:.:.:.: ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:┃┃
    l://://: : : イミ土=、_/: : :/:;;.:.:.:.:.:  ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;();:;();:;:;:┃┃
    l/: :l l: : : イ:llo:::::::/:::/://:::∵ ,r,,、 ∵。:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:┃┃
     l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::∵( @ :.:.:::━━━━━━━━━━━┳━┛┗━┓
.    l: : : W/: : N    ;:;:;:;:;:、 ;, *,;゚ .━━━━━━━━━━━┻━━┛
.    l: : : : :ハ: : : ト、   イ*つ;:;:;:;:;:;:∴:;:;:;:
    l: : : : : :、: : : 「フ`‐- ,、!i!i!i:T´: :l l/;:;:;:;:;:;:;:
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    /: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
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  /: : /    ヽヾヽ: : lヽ  l  /l: : l
  /: : /      l \ヾ、: l ヽ  l //l: :/
 /: : :l       l ハ ヾ、l、、l  l////l

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       /: : : /: : : :,・'・', ,~゙i~~゙i~・', ,・', 、:\
     l: : : /: : : : : : : ,・',,・,\∵/ッ,・',′ :ヽ: :ヽ
     /: :/: :/: : : _,:_∠L、:::,・',,・',,・',::l l: : : : :ヽ: : ヽ
      l: /://: : : : :/::/':::::/: : : /::::-H、: : : : : lト、: ヽ
    l://://: : ::;ィ ⌒ヽ::ヽ:::::ヾ:::::::::l∧: : :l: : :l `ヾ、
    l/: :l l: : : { (●)::::∨二ヽィ ⌒ヽ: :ハ: : l
     l: : :l: l: :/.::ゝ____/::し⌒J::{ (●) : :l:N: :l
.    l: : : W/: : N  ー-ミ( 0,: 0)ゝ___ノ: lN V
.    l: : : : :ハ: : :  ー-ミ/,-'ニニヽム::メlハ: :ハl
    l: : : : : :、: : : 「フ`‐>ヾ二ン"´: :l l/
.   l: : : : :,レ、: : :ヾ、  /、`Y/:l:l: : l
    /: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
   /: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、   l  ll: : l
  /: : /    ヽヾヽ: : lヽ  l  /l: : l
  /: : /      l \ヾ、: l ヽ  l //l: :/
 /: : :l       l ハ ヾ、l、、l  l////l

133:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/22 17:50:55 TGCzN88Y
てか、四面楚歌更新されてるね。乙

134:グレゴリー
09/11/25 11:34:46 IjQVi6UG
ちょうど一年前に書いた「女たちの陰謀」の続編のアイデアが湧いてきたのです。奇しくも前作と同じクリスマスに披露できるかもしれない。


135:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/25 19:25:30 D8+tCsbN
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね


136:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/26 05:42:19 LXZvy25P
ぽんぽんおはどうなったんだ
管理人は死んだのか
好きだったのになぁ

137:泉こなた(=ω=.) ◆jeB1vEWJ9Q
09/11/26 06:38:11 GX+SaW+8
あっぷぷぇ!
\(=ω=.)/

138:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/28 18:40:23 XRvIFucf
>>134
よぉ~お、ガンガンと中尉元気ぃ?

139:グレゴリー
09/11/28 19:05:23 Y/s9gt2x
>>134
中尉のことは分からないがガンガンは元気だと思う。
テンションの低さが俺らのデフォでね。
合作だとかオフ会だとか騒いでた割にはすぐにテンションが下がってしまって。
この、すぐに死人のような無気力さになってしまうテンションの低さといかに
戦うかが俺の人生の目的になってしまっている。

140:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/28 21:09:51 XnKSvesL
またオフ会やらないの
作品は書いてないが参加はしたい

141:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/29 11:06:53 hXZFhBJg
こなた「かがみん、つかさぁ」
みゆき(呼び捨てですか……でも私だけ)
こなた「あ、そうだみゆきさん」
みゆき(さん付けなんですね……)
みゆき「はい、何でしょう?」
みさお「おっ、ちびっ子じゃんよ」
みゆき(!?こなたさんに悪口を?それとも渾名?
     高校一年からの付き合いからの私でさえ、こなたさんの事は慎みを以って泉さんと呼んでいるのに)
こなた「どったの?みさきち」
みゆき(みさきち……ですか。仲良さそうですね。私の事は、さんづけなのに。
     私の方が付き合い長いんですよ?それと、私に言いかけた事ってなんですか?)
みさお「いやさ、来月のクリスマスなんだけど、一緒に遊びにでもいかねぇ?
     柊と妹も来れんだろ?」
かがみ「いいわよ」
つかさ「んー、私は家族と過ごすね」
かがみ「やっぱ止めた。私はつかさと過ごしたいから」
みゆき(このジョック、私だけ省きやがりましたね。これだから体育会系は……)
こなた「いいよー、むふふな事しようねー」
みゆき(!?こなたさん、私と過ごして下さい……)
あやの「あ、泉ちゃんだー」
こなた「あ、峰岸さんだー」
みゆき(……泉ちゃんとは、馴れ馴れしいですね、付き合い浅いくせに。
     ですが、苗字にさん付けで呼ばれてるんですか。私は名前にさん付けですので、
     私の方が上位ですね)
こなた「峰岸さんもクリ……あ、峰岸さんは彼が居るのかー。
     峰岸さん可愛いもんね。まさに歩く萌え属性」
あやの「そんな事ないよー。泉ちゃんの方が可愛いわ」
みゆき(ええ、その言には全身全霊を持って同意致します。ですが……歩く萌え属性は私だったはず。
     こなたさん、あんまりです)
みゆき「あの、泉さん。先ほど私に言いかけた事は?」
こなた「ああ、クリスマスの誘いだったんだけど、ごめんね。
    みさきちと過ごす事になったから」
みゆき(……え!?あのジョック、絶対に許せません。ジョックだけじゃない、
     峰岸さんもつかささんもかがみさんも、一人残らず許しません。
     でも、四人も殺めるより、一人だけ殺める方が早い。それに、確実です)



かがみ「駄目よ、火事が酷くて回れないわ」
つかさ「ゆきちゃんとこなちゃんが中に居るのに」
みさお「ちびっ子、今助けに行ってやる」
あやの「駄目よ、危ないわ」
みさお「離せ、くそあのファッキンメガネ!!死にたきゃ一人で死ねよ!
     ちびっ子を巻き込んでじゃねぇ!!」

みゆき「聞くに堪えない罵声が、こちらまで届いてきますね。
     ですが、これで泉さんは私のもの……。一緒に死ねれば、貴方達の手は届きません」
こなた「ならないよ。みさきち以外の人間と添い遂げるくらいなら、一人で死んでやる」
みゆき「……。どうして!?どうして私の気持ちに気付いてくれないんですか!?
     どうして日下部さんなんですか!?」
こなた「この前クリスマスで一緒に過ごした時、肌重ねたんだ。面白半分でレズってみたけど、
     それで分かったよ。私とみさきちは相性がいいって。
     だから、みさきちと付き合う事にした」
みゆき「そんな……」
こなた「じゃあね、みゆきさん。私はみゆきさんの手にはかからない。勝手に死ぬよ。
    だから私は、みゆきさんのモノなんかにはならない」
みゆき「……あんまりです」
こなた「じゃあね。えいっ」
みゆき「いやあああああああああああああああああああ」

142:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/29 15:17:37 N8MeNv6y
「つかさのたくらみ」更新しました。(下から3P分)

URLリンク(www34.atwiki.jp)

じわじわ進めたいです。

143:名無しさん@お腹いっぱい。
09/11/30 00:14:45 XcoLrIep
ヤケクソとかどれくらいっぷりだよw

144:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/01 12:09:39 hvok3Eh9
はっきりって全く面白くないよどこを評価すればいいのこれ
時間をかけて練ってこれならあんた才能ないよ

145:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/02 12:01:57 zdXj77/m
俺は好きだけどね
よく見ると細かいところに笑いをさそう小道具があったりするし
焦らず展開を楽しもうぜ

146:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/03 03:31:24 Ug1J0Lbq
たで食う虫も好き好き

147:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/03 14:57:37 es6Wn/c/
昔のスレからwiki未収録の分を追加、「お駄賃」

148:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/04 20:32:34 g1bkRNJs
ゲロってエロいんだな

149:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/04 22:52:20 mGExaLWh
可愛い女の子がゲロ吐くの萌え ?

150:グレゴリー
09/12/04 23:22:42 Njnrj8UM
グロはいかかでしょ?
今書いてるssは全編を通して、信じられないくらいのグロですw

なんとかクリスマスまでに圧倒的な残虐グロスプラッターの血の雨を
降らせたいぜ

151:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 16:19:14 BVgqz57O
楽しみにしているよ、 Mr.グレゴリー ?

152:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 19:28:07 8mTo3/1g
>>147
体液フェチって感じなのか

153:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 19:32:36 L7cuihLW
殺す方法
1、う●こを食わす
2、らきすたをグロアニメにする
3、からだのあかを食わす

154:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/05 23:23:25 BVgqz57O

自動小銃で目と目の間を撃ち抜く

155:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 00:08:01 22NVoz7p
痛い


156:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 11:53:12 uLqNYQ/Y
一瞬で死ぬからつまらん
誰かに見せつけるならともかくも

157:師匠
09/12/06 12:19:00 9cdczN26
皆さん、こんにちは。
懲りずにまた書いたので今夜、投下させていただきます。
よろしくお願いします。

158:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 12:50:23 zKw2oBKw
いらんわボケ

159:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 15:13:25 zx4nfcjj
>>157
うざ
黙って投下すればいいのに
懲りずにとか前置きが必要なら投下する必要ないんじゃない?

160:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 17:33:37 jBgYZ99A

>>156

お、 何か暗殺術に詳しそうだな。

161:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 21:40:54 KPseZcKX
師匠さんって何書いた人だったっけ?


162:名無しさん@お腹いっぱい。
09/12/06 22:54:22 y/IvbUy9
たぶん幸せのゴールASの人

163:並行世界1
09/12/06 23:11:32 9cdczN26
《1》
1月14日(月曜日)夕方
 1月もなかば、やっと年明けのドタバタも落ち着いてきた。そんなある日の出来事だった。
 私は、担任の桜庭先生に頼まれ、遅くまで手伝いをしていた。
「受験生なのに遅くまで悪かったな」
「いえ、私の事は気にしないで下さい。今のところ、志望校も合格圏ですし」
「おお、そうだったな。じゃ、また近々頼むわ」
「えっ! は、はい……」
 し、しまった。
 桜庭先生の性格を考慮に入れて、ヘタな事は言わない方が良かったと私は思ったが、後の祭りだった。
「んじゃな、柊。気をつけて帰れよ」
「は、はい……」
 桜庭先生が去った後、教室で私は1人、帰り支度をしていた。
「ったく、口は禍のもととは、良く言ったもんよ」
 その時だった……私以外、誰もいない教室の空気が張り詰めた感じがした。
 なんなのよ、この感じ……。教室に今まで感じた事のない、異様な空気が漂う。
「誰?」
 私は、人の気配を感じ辺りを見まわす。
 そして、教室の出入口に目を向けた瞬間、信じられない人物が目に映った。
「わ、私……?」
 そこに立っていたのは、紛れもない自分自身だったのだ。
 もう1人の私は、ゆっくりと私に近づいてきた。
「驚いているようね? ま、自分がもう1人いるんだから無理もないけど」
「な、なんなのよアンタ……なんで、私がもう1人いるわけ?」
 私は、突然起きた異常な出来事に少し気が動転していた。
「落ち着いて聞いて、私は正真正銘のあなたであって、あなたではないの」
「はっ? 言ってる意味が、わかんないんだけど?」
「立ち話もなんだから、座って話しましょ」
 そう言って、誰かの席に腰を降ろすもう1人の私。
 私も警戒しながら、それに倣(なら)う。
「順を追って、話すわね……」
 私は、思わず唾を呑む。
「並行世界は、知ってるわよね?」
「並行世界? ……ああ、パラレルワールドの事ね?」
「そう……ある時空から分岐し、それに並行して存在する別の時空、もしもの世界……。」
「要するに私の存在する世界も現実で、アナタの存在する世界も現実って事よね?」
 私は、もう1人の私の話を素早く理解した。
「その通りよ。私は、この世界の時間で見て、1年後の並行世界から来たの」
「アナタは、この世界とは別世界の私だけど、未来の私ってわけね?」
 1年後の自分。未来から来た私は、なんだか悲しい目をしている。
 私なのに私ではないような……そんな悲しい目。
「信じてくれるかしら?」
「にわかには信じ難いけど、実際に私の目の前にいるんだから、信じられなくても信じるわよ」
「助かるわ。今度の私は、話がわかるようで……」


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