09/10/21 00:38:15 WEwWcpKB
>>742GJ!
>>723……とは違うが、それっぽいのを書いてみた。
「中野梓さん、私はあなたのことが好きです」
他に誰もいない、二人きりの音楽室。
そう言った唯先輩の顔は、いつになく真剣だった。それだけでこの告白が冗談の類ではないということが分かる。
でも……
何故私なの?
その場を沈黙が支配する。
私の答えは既に決まっていた。決まっていたけど、それを伝えることが出来るかどうかは全くの別問題だった。
「あ、あの、私は」
「他に好きな人がいるの?」
当たっていた。
「…………はい」
「澪ちゃんかな?」
気づかれていた。全部。
これまでの行動を思い返せば、それも当然だとわかる。
だって最近の私は……誰から見ても明らかに澪先輩にべったりだったから。
「そう……です」
私がためらいつつも同意すると、唯先輩はわずかに微笑んだ。
「そうなんだ。急に変なこと言ったりしてごめんね?もう忘れていいから」
そう言って唯先輩は部室を飛び出した。
廊下では、ずっと唯先輩のすすり泣く声が響いていた。
帰宅し、味のしない夕食を終え、私は自室のベッドに潜った。
あの時の唯先輩の作り笑顔と、泣き声が頭から離れなくて。
でも、仕方がなかったんだ。だって私が好きなのは……澪先輩なのだから。
自分の気持ちを無視して唯先輩を受け入れたとしても、そんな関係はすぐに終わってしまうし、第一そんなのは唯先輩に失礼だ。
唯先輩は、私が澪先輩が好きだということに薄々気付いていたようだ。だけど私に告白した。わずかな希望と、自らの勇気を頼りに。
しかし私は唯先輩の告白を受け入れなかった。
そして、先輩を深く傷つけてしまった。
多分、私と唯先輩が昨日までと同じように接することはもう出来ないだろう。
そして唯先輩の澪先輩に対する態度も、どこかぎこちないものになってしまうはずだ。
昨日までの日常はもう戻って来ないのだと思うと……とても寂しかった。そしてその原因が私だと思うと、罪悪感に押し潰されそうになった。