【けいおん!】田井中聡は姉想いな弟 映画2本目at ANICHARA2
【けいおん!】田井中聡は姉想いな弟 映画2本目 - 暇つぶし2ch700:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/18 04:58:58 IVdDAH61
700

701:作:肉体
09/09/18 23:15:15 h3HjGFkU
(691>>の続き
産婦人科の待合室のテレビで、偶然HTTを目にした律、そして昔を思い出していた…
テレビ番組はまだ続いている)

司会「…でHTHはもう20年近くもしつこく活動を続けてたんですね!凄いですね~」
澪「ええ、まぁ…」

しかしこの司会は本当に失礼だな、HTHじゃなくてHTTだっつーの!
それに澪も澪だ、黙ってないでこいつ殴れよ!

司会「メンバーチェンジも多く、結成時からいるのはMioさんとAzusaさんだけなんですよね。Mioさんは始めはベースではなくボーカルだったんですよね~、ラップなんか素晴らしかったですよ!色んな意味で!!」

702:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/18 23:26:20 vzYeYKJl
もう40前なのか…

703:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/19 04:18:57 maGwLhtk
40前と聞いて
なぜかさわちゃんが一番心配になった

704:肉体
09/09/19 04:47:04 Q6EmgOxc
>>701の続き
HTTが出ているテレビ番組を見続ける律)

司会「色んな意味で凄いラップでした、腹がよじれましたよ!」
澪「ええ、でも今回のレコーディン…」
司会「ああ!そうだそうだMugiさんは一度脱退したけど、何故かまた戻って来たんですよね」

テレビの画面がムギのアップになった
派手なメイクをしてはいるが、初めて会った高一の頃と全然変わってないように見えた
…そういえば唯が言っていたけど、ムギもデビュー前はHTTを辞めたがってたんだよな

とりあえず皆元気そうだった
・・・
みんなに会いたいな…

705:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/19 10:07:47 +++buCFl
光が見えて来たか?

706:肉体
09/09/19 16:57:20 Q6EmgOxc
>>704の続き
番組はまだまだ続く…)

司会「Azusaさんは昔ヘアヌード写真集だしてたんですよね~」
梓「そ、そうですけど…」
司会「実はここにあるんですよ、ジャン!
タイトルは『ためらい』です」
梓「…え、なんでそれが!」
司会「ためらったら裸にはなりませんよね普通は」
梓「・・・」
司会「中も凄いですね~、この写真ではなぜ裸で火縄銃持ってるんですか~?」
梓「ちょ、やめ…」
司会「それと、所々に詩が載ってますね、えーと…
『やってやるですぅ』
『南国の風が私の野性を解放する』
『死の予感…』
全く統一感がないですね、しかも死の予感って?死にそうなら写真集どころじゃないですよね、あとこの写真…」

バッターーーン!
梓はひっくり返った

司会「あらあら大丈夫ですか?では続いては、おハガキのコーナーです!
“ジャズ研のショートカット”さんからのおハガキです、え~『海に行った友人が足を怪我して、数日後に膝がもの凄く痛くなったそうです、そこで医者に診て貰ったら、膝の中にフジツボが…』」
澪「ギャーーーッ!」

澪が泡を吹いて倒れた

…私、このバンドに入らなくて正解だったかも・・・

707:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 00:50:26 Hec+OcYG
結構遅筆なのか?
もどかしいぜ…

708:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 11:21:38 TACQN+He
>>566
ちょwwwww
俺の歌詞がとうとう…!
ねーちゃん組と一緒で聡組も優秀だな
つか適当に書いた歌詞がまさか…。
作曲&修正ありがとうございました。
ブログ掲載大丈夫ですよー。
むしろお願いしますry

いやはや、それにしてもいい曲

709:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 12:50:17 FNAhs1fR
>>708
ブログはこんな感じになってます。
2chから生まれた曲専用のブログです。
URLリンク(nijinomukoue.seesaa.net)

他の記事を見たらわかりますが律ソング作曲と同じ人物です。

710:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 12:57:04 bSTjF6uR
>>709
虹カチュの方でしたかw
この曲は何人か作曲していらしゃいましたが、これもいいですなぁ
名誉隊長様、聡きゅん、お疲れ様でした

711:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 09:09:23 TUnqbCEW
その1・人生バラ色


「田井中君、好きです」

放課後、クラスの女子に呼び出され人生初の告白というのを経験したのは聡が高校に上がって間もない時だった。


新庄「で、どうすんの?」
聡「分かんない。いきなりだったし…。とりあえず返事は待ってもらった」
自然と小声になってしまうのは斜め後ろから感じる彼女の視線のせいだろう。
同じクラスというのは何ともこそばゆい。
新庄「ふぅーん、良かったじゃん。聡君?」
新庄がニヤニヤして言う。
聡「なっ、なんだよ、俺は別に…」
否定しようとする聡に新庄はちょいちょいと足下を指差した。
聡「あ」
見ると無意識につま先で軽快なリズムを取ってしまっていた。
単純な俺の馬鹿馬鹿っ。
聡「…――俺はモテるお前と違ってこういうのは初めてなんだよ…」
新庄「それはお前が悪いのー。知ってたか?中学の時もお前の事好きだった奴結構いたのよ?誰かさんは全然気付いてなかったみたいだけど」
聡「うっそ」
新庄「いいんじゃない?明るいし楽しい子だし。お前に合ってるよ、笹木さん」
聡「わ、馬鹿!」
名前を出されて焦った聡は思わず手が出てしまった。



712:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 09:11:02 TUnqbCEW

部活を終えて家に帰ると母が出迎えた。
今日お父さん遅くなるみたいだから先に食べちゃいましょ。
母はそう言うと既に用意していた料理をテーブルに並べた。
食事中母はずっと近所に居るチワワについてやたら熱く語っていたが、
聡はそれに相づちをうちながら頭の中は今日の告白の事でいっぱいだった。



713:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 09:13:08 TUnqbCEW
翌日、今度は聡の方から彼女を呼び出した。
最初は緊張の面持ちでいた彼女だったが聡の返事を聞いて喜びを隠し切れない様子だった。

その時、ふわりと風が吹いたのを覚えている。
彼女の決して長くはない髪がさらさらと揺れるのを見ながら聡も無性に嬉しくなったのだ。

田井中聡、人生初の恋人誕生の瞬間だった。



714:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:30:28 UR2yruAi
長編が入り組んできたなwww

715:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:49:18 TUnqbCEW
すまん!こっちは出来るだけ今日明日で片付けるつもり…
関係ないけど『時をかける聡』書いてた人はもう完全にアウトしちゃったんだろうか…


その2・予兆

まさにバラ色だった。
聡の高校生活は恋に部活に友情にと充実したものになった。バイトもした。
彼女との付き合いは高校卒業後も続き、大学を出る頃には二人安いアパートを借りて同棲を始めた。



716:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:52:38 TUnqbCEW

ピンポーン。
インターホンが鳴った。
休日の午後、彼女に「ごめん、今日は友達と遊びに行く約束しちゃったんだ」と誘いを断られた聡は特にする事もなくソファーでくつろいでいた。

新庄「よっ、近くに用事があったから来てみたぞ」
ドアを開けるとそこに立っていたのは新庄だった。
新庄は手に持っているビニール袋を掲げると「手ブラもなんだからこれ」と言った。
…ていうかそれすぐそこのコンビニの袋じゃないですか。
聡は苦笑しつつも新庄を中に招きいれた。
新庄「あれ?笹木さん今日は居ないの?」
聡「出掛けてる。友達と映画だってさ」
新庄「ふーん」
新庄はリビングのテーブルに袋を置くとどさっとソファーに身を沈めた。
新庄「ふ~…。…にしてもお前らがこんなに続くとはあの時は思わなかったなー」
聡「お前人んちでくつろぎすぎ」
だらっと座る新庄があまりにも部屋に馴染んでいるので聡は思わず苦笑した。
新庄「このままゴールイン?」
聡「んーーー……………実はかなり、考えてたり」
新庄「そっか。親父さんとはどうなんだ?」
聡「それなんだよなぁ…」
聡と父は言わば喧嘩別れのような状態にあった。
仲直りをしようにも、どうすればいいのか分からないのが現状だ。
なにせ、原因がはっきりしないのだから。
新庄「お前、一人息子だもんな」
聡「分かってるよ」

暫く部屋でだらだらと話をしていた二人だが久しぶりにカラオケでも行くかという流れになり、
そのまま近くのカラオケボックスに転がり込むと夜までぶっ通しで歌い続けた。
そして食事も含めて5時間ほどそこで過ごした後、現地解散したのだった。



717:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:54:43 TUnqbCEW
自宅に帰ると電気はついておらず、まだ彼女が帰宅していないのだとすぐに分かった。
携帯を確認するとメールの着信が一件あった。
『ごめん!少し遅くなるかも(汗)冷蔵庫に昨日の残り物があるので良かったらチンして食べてください。ごめんね~(>_<;)』
確か中学校以来の友人に会うと言っていたから話が盛り上がっているのだろう。
メールの着信時刻は二十時と表示されていて、今は二十時半だ。
聡はぱたんと携帯を閉じる。
その時、インターホンが鳴った。

「宅配便でーす」
聡は「はい」と玄関を開けた。
「田井中さんのお宅ですね。一万三千円になります」
ジーンズのポケットから財布を取り出す。
げ、千円足りない。
聡はちょっとすみませんと言い置いてリビングへと引き返した。
ちょうどリビングの棚の上に彼女が普段使っている鞄があった。(今日は別の物を持って行ったのだろう)
聡は軽く中を探ると内ポケットに折りたたんだ千円札を二枚見つけた。
一枚だけ抜き取って引き返すと宅配員にお金を渡しサインをする。

「お疲れ様です」
荷物を受け取り軽く頭を下げてドアを閉めた。
聡はリビングに戻ると荷物を下ろした。



718:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:56:45 TUnqbCEW
聡宛てだったが開けることはせずに、それよりも棚の上で開いたままの鞄の前まで行った。
…――さっき、お金を出す際に気になるものを見たのだ。
こんな事は良くないと思う。
それでも気になって聡は鞄へと手を伸ばした。
やめた方がいいと本能が告げている。
見ない方が、お前の為だと。

聡は鞄の中からそれを取り出した。
写真だ。



719:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:11:34 TUnqbCEW
その3・暗転

それはどこにでもあるような家族写真だった。
夫婦の様に寄り添う男女と、その女の腕の中にまだ1、2歳ほどの赤ん坊と幼稚園年長くらいの女の子がいる。
この女の子は、彼女だ。
だけど問題はそこじゃない。
幼い彼女の頭に手を置き、妻らしき女性の肩を抱き寄せて穏やかに笑っている男性、それは――…

「父さん…?」

見間違いようがない。
今よりずっと若いが、それはどう見ても聡の父親だ。

(なんだよこれ……どういう事?)

胸がどきどきする。
嫌な感じがつま先の方から身体をはい上がって来る。

…――ガチャリ。



720:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:13:11 TUnqbCEW
その時、玄関の鍵が開く音がした。
彼女が帰ってきたのだ。
いけない、早く隠さないと。
だけど身体はぴくりとも動かない。
ドアが閉まる音の後に、リビングへと近付いて来る足音。


「ただいま聡ー。遅くなってほんとごめん。何か食べた?」

彼女はリビングに入ってくると、よいしょと鞄を下ろした。
聡は何も答えない。
彼女は不思議そうに聡の顔に視線をやり、次にその手に握られているものを見て表情を強張らせた。
「…………」
聡は彼女に向き合った。
ゆっくりと息を吸う。


「お前は一体誰なの?…―――――――――
――――――――なあ、律。」


721:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:50:27 uC4P10io
なんだと

722:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:56:15 hxqskuSV
クラスの女子ってことは同い年だったって事か?

723:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 13:53:08 TUnqbCEW
パラレルって事で


その4・さらに暗転

律は何も答えない。

『笹木 律』
それが聡の恋人の名前だ。
高校で知り合い、彼女に告白されて、恋人として寄り添って生きてきた。
二人が出会ったのは偶然のはずだ。
だけどこの写真は何だ?
意味が、分からない。

聡「…これは、何?」
聡は写真を律に向けて突き出した。
聡「この男、俺の父さんなんだけど。なんでこんな物持ってんの?」
大学に入った頃、律を自宅に招いた時の事を思い出した。
彼女を見た時の、父の顔を。
だからなのか?
だからあの時、父は俺と彼女の事をあんなに反対したのか?
信じたくない。
嘘だろそんなこと。
聡「…――なあ、お前は一体誰なの?」
僅かな望みに縋って聡はもう一度聞いた。
彼女が違うと言えば、それを信じるつもりだった。
そう言ってほしかった。
だけどその希望はすぐに打ち砕かれた。

律「…その男は私の父親で、その赤ん坊は聡、あんただよ」

律は続けた。
私達は血のつながった姉弟だと。



724:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 14:41:48 SCVzXYBg
唯出産

平沢父が田井中母と不倫

律出産

不倫がばれ、憂お腹に残して離婚

田井中母と再婚

聡出産

聡と憂が付き合う

とか考えた俺は間違いなく病気

725:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 17:01:25 n2HcEgPN
>>724
唯と律だと律の方が3ヶ月ぐらい早く生まれてる
唯の誕生日は再来月だったはずだが

726:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 17:12:09 SCVzXYBg
>>725
それは分かってるが、今更そんな事って思うくらい設定改変してるんだから気にしないでくれw

727:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 20:28:52 TUnqbCEW
律のターン

その5・姉弟

聡「嘘だろ…」
頭を金槌で殴られたようなショックだった。
律「…嘘じゃないよ」
聡「だって、姉弟っていっても俺の誕生日が3月14で律が8月21だぞ?
…――同い年じゃん、俺ら」
律「………………………実は聡より三つ年上だって言ったらどうする?」
聡「………」
律「6歳までの私の姓は『田井中』。田井中律。
その写真の一年後…――父さんが母さんを捨てるまではね」
聡「……うそ、だろ…」
律は愕然としている聡から視線を外すと静かに目を伏せた。
律「私達の父さんは…、あの男は、母さんより違う女をとった。母さんを捨てて浮気相手と再婚したんだ。
聡はあの男に、私は母さんの方にそれぞれ引き取られた。『笹木』は母方の姓だよ」
頭がぼうっとする。
母の顔が浮かんだ。あの母が、父の浮気相手…


728:長台詞
09/09/21 20:30:29 TUnqbCEW
律「あの男に捨てられて母さんは女手一つで必死に私を育ててくれた。朝から晩まで働いてさ」
これは夢だ。悪い夢。
律「…―――私が中学2年の時のクリスマスイブの夜だったな。母さんが死んだのは。
車同士の衝突事故だった。原因は母さんの方の前方不注意。多分家で待ってる私の為に
急いで仕事場から帰ろうとしてたんだと思う。……疲れてるのに」
夢なら早く覚めてほしい。
律「なんでこんな目に合わないといけないんだろうって思った。母さん何にも悪い事してないのに。
その時は神様なんていないんだって絶望したよ。もうどん底。だって酷過ぎる。
…結局私は母の姉に引き取られたよ。叔母は親のいない私に同情して良くしてくれた。
けど私はそれに甘えたくなかったし迷惑もかけられないと思ったから中学を出たらすぐにバイトを始めた。
高校に行くお金は、出来るだけ自分で貯めようと思って」
当時の苦しい日々を思い出してか、律の眉間にはしわが寄っていた。
聡は律の言葉を耳に聞きながら、この8年間を振り返っていた。
二人で泣いて笑って、たまに喧嘩をして、でも結局仲直りをして。
コロコロといろんな表情を見せてくれた律。
あれは全部、嘘だったのだろうか。

聡「…父さんが憎い?」
律「憎いよ」
聡「俺と同じ学校で学年だったのは偶然?」
律はゆっくりと首を横に振った。
聡「父さんに復讐したくて俺に近付いてきたの?」
律「…………………………………………………………………
………………………………………そうだよ」

力が抜けた。
全てが終わった気がした。

聡「父さんへの復讐に俺を利用したんだ?」
律「…」
律は何も答えない。
つまりそれは、肯定しているのと同じだ。
聡「…………酷いね」


729:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 20:33:33 TUnqbCEW
律は何も答えず唇を噛んでうつむいた。
長い沈黙が落ちた。

『出てってよ』
『もう二度と顔も見たくない』
そんな言葉が喉元まで這い上がって来るたびに結局飲み込んだ。
突き放す言葉をためらうのは、事実を聞かされてもなお聡が彼女を好きだからだ。

この八年間、本当に彼女の頭の中には父への復讐の事しかなかったのだろうか。
拗ねた顔も照れた顔も笑顔も全部演技だったのだろうか。
本当のことが知りたいと思った。
でも聞けなかった。
もし肯定されてしまえば、とても耐えられそうになかったからだ。

律「…―――聡、私は」
聡「明日も早いからもう寝るよ」
聡は律の言葉を遮って背を向けた。
もうこれ以上傷つきたくなかった。
聡は何か言いたげな律を残してそのまま寝室へと向かうと着替えもせずにベッドに身を沈めた。
疲れた。
もう疲れた。



730:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 20:35:47 TUnqbCEW
次くらいでまとめるんで…

その6・後悔


翌朝、部屋のどこにも彼女の姿はなかった。
彼女の荷物がなくなった部屋はガランと寂しいものだった。
テーブルの上には紙切れが残されていた。
そこにはこう書かれていた。

『ごめんなさい。今までありがとう』

彼女の字だ。
視界がぐにゃりと歪んで、紙にぽつぽつと染みをつくった。

聡「ちくしょう…」

うやむやにして逃げる事を選んだのは自分なのに、胸に残ったのは激しい後悔と痛みだった。


731:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:43:46 TUnqbCEW
「さむ…」

律はコートの襟を引き寄せるとぶるりと身震いした。
風が切るように冷たい。
吐いた息が白い跡を残して消えていく。

12月24日、クリスマスイブ。今日は母の命日だ。
律は母の墓を前に立っていた。

あれから半年が経った。
聡の部屋を出てからは、友達の家を転々としながら仕事を探す日々だった。
今は事務の仕事に就いて安いアパートを借りて一人暮らしている。
律は用意していた花を墓前に供えて線香をあげると静かに手を合せた。

『酷いね…』

聡のあの言葉が、傷ついた顔が、今も脳裏にこびりついている。
酷い。
その通りだ。
私はあの子にとても残酷な事をした。傷付けた。
父への復讐のために聡に近付いたのは事実だ。
聡の恋人として自宅に招かれ、対面した時の父のあの顔。
ざまあみろと思った。
忘れるなんて許さない。私の事も、母の事も。
律「…――ほんと、曲がっちゃったなぁ私も」
思わず自嘲する。
母が今の私をみたらどう思うだろうか。
やっぱり悲しむのだろうか。
分からない。



732:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:45:25 TUnqbCEW
あの時、父と対面したことで律の目的は達成した。
だけどその後も聡の恋人として居つづけたのは、欲が出たからだ。
実の弟であるところの彼は、真っ直ぐで優しい心の持ち主だった。
側にいると不思議と心が安らいだ。
聡が笑うと自分も幸せな気持ちになれた。

できればこのままずっと側に居たい。
――欲が出てしまった。
聡と律は血の繋がった姉弟だ。
だけど二人が家族として一緒に暮らしていたのはたったの三年間で、
しかも聡はまだ赤ん坊だった。
事実として解かっていても、姉弟だという実感はほとんどなかった。
から、あんな事ができたのかもしれない。

『酷いね…』

…――そうだね、酷い。
私は酷い。
自分の勝手でなにも悪くない聡を傷付けた。
酷いことをしてしまった。
聡、ごめん。
ごめんなさい。

「…っう…」

視界が一気に歪んだかと思うと喉の奥から嗚咽が洩れた。

ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい――…

胸がきりきりと痛んだ。
今さら謝っても遅いのだ。



「――律」

突然、懐かしい声が聞こえた。
律は思わず息をするのを忘れた。
じゃり、じゃりと土を踏む音がして、それは律のすぐ近くで止まった。
律はゆっくりと顔をあげる。

聡がいた。

彼は律と同じく黒一色をまとい右手には花を持っている。

聡「律じゃなくて、姉さんって言った方がいいのかな。
…―全然実感ないけどさ」
律「さと、し…」


733:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:49:38 TUnqbCEW
聡は律の顔を見て少し困った様に目を逸らすとうなじを掻いた。
そのまま墓へと視線を移す。

聡「今日が母さんの命日だって言ってたから、
きっとここに来るはずだと思って張ってた」
律「……」
聡「会えて良かった」
律「……」
なんて答えればいいのか分からない。
聡「……線香あげてもいい?」
穏やかで優しい声だった。
律は黙ったまま頷くと聡に場所を譲った。
聡は線香に火をつけて墓前にさすと、手を合せて目を閉じた。
細い煙がゆっくりたなびいている。
聡の横顔を律はただじっと見つめていた。

聡「…――父さんが」

734:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:51:08 TUnqbCEW

どきりとする。
聡はゆっくりと目を開けると前を見たまま言った。
聡「父さんが、姉さんと一度ちゃんと会って話したいって」
律「え…」
律は動揺した。
思いも寄らない言葉だった。
会って話したい?父さんが?私と??

―――無理。
無理だそんなの。
あんな再会をしたのに。

聡「姉さんが会ってもいいって思えた時でいいって。無理にとは言わないってさ」
律「………」
聡「いつでも待ってるって」

聡は真っ直ぐこちらを見ている。
よっぽど狼狽した顔をしていたのだろうか、
聡は「うーん」と困ったように視線を巡らせた。
聡「…―まあ、父さんの事はいいよ。別に伝言を伝えるために来たわけじゃないから」
律「え…」
聡は立ち上がると咳払いをした。

聡「俺の方の話をしてもいい?」
律「…………いいよ」
その真剣な瞳に律は覚悟を決めた。



735:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:53:02 TUnqbCEW
聡「俺さ、あなたが居なくなってからずっと考えてたわけ」
律「うん」
聡「一時はやっぱりあなたの事憎んだし、
出会わなきゃ良かったって思ったりもしたけど」
律「……うん」
聡「でももし八年前の、律が告白してくれたあの瞬間に戻ったとしても
やっぱり俺はOKするんだと思う」
律「…………は…?」
聡「―――俺さ、これでもほんとに傷ついたわけ。
頭の中ぐちゃぐちゃだし心はボロボロだし」
律「………」
律は何も言えない。

聡「だから責任とってよ」
律「え?」
聡「これからのこと一緒に考えよう。…少なくとも家族なんだし」
聡はそう言って律の目の前に拳を突き出すとすっと小指を立てた。
聡「だからこの後ドロンとか絶対ナシな」
律「……」
聡「な!」

ポカンとしている律に聡はさらに小指を突き出して来る。
…これはつまり指切りげんまんしろという事なのだろうか。
律「ぷっ…」
あまりに聡らしくて思わず律は笑ってしまった。

風が吹いた。
八年前のあの時のように二人の髪を優しくさらっていく。
聡も笑っている。

律はゆっくりと手を伸ばした。


《終》

736:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:55:41 TUnqbCEW
終わり
りっちゃんすまん…

【罪滅ぼし映研バージョン:冒頭】

律「田井中君、す、すすす、すすすすきで」
聡「ぶぶっ」
新庄「はい、カットカーット!お姉さんすみません、
初々しくていい感じだとは思うんですがここはプロローグなので
もう少しサラッと言ってもらえると…」
律「わーー、すみませんすみませんっっ」アセアセ
聡「ちょ、やばいやばい!これ相当恥ずかしいんですけど!!」
新庄「お前も落ち着け、ぴょんぴょん跳ねるなっ」
鈴木「――カントク、あの二人本当に大丈夫なんですかね…?」コソッ
新庄「くッ、これもリアリティーの為だ…!」

※※※

聡&律「はぁーーーーーー…」
律「冒頭だけなのに終わらなかった…」
聡「ダメだ俺、こういうの向いてない…」
律「そりゃ私もだわ…」
聡「………はぁ……」
律「――聡」
聡「なに?」
律「好き」
聡「な、なんだよ…」
律「あーー、ほら笑っちゃ駄目じゃん!」
聡「仕方ないだろ?自分だって今ニヤけてたじゃん!」
律「…………」
聡「…………」
二人「はぁ~~~~~…」

737:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 23:04:10 hxqskuSV
良かった離れ離れの姉弟はいなかったんだ…

長編乙かれぃ

738:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 23:35:05 Lfb3JV5/
まさかパラレルになるとは…
ひぐらしは苦手だ

739:肉体
09/09/21 23:39:25 eGa51YRu
GJ!!!!、読んでて泣きそうになった
恋人が実は律だったにはヤられた!

蛇足ながら、自分が『時をかける聡(?)』を書いていたんだが、元々少ない才能が枯渇したんで休載してました

今回の作品に触発されて、又連載を再開するかも知れません(もうお呼びでないかな?)

740:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 23:54:52 hxqskuSV
好きにすればいいよ
才能なくても妄想あれば無問題

741:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/22 00:07:21 OX0xLcNE
>肉体=
マジですか??作風違いすぎて分からんかった…

どっちの完結も楽しみにしてる
大切なのは愛だ

742:肉体
09/09/22 09:05:04 v4PyG+9C
『時をかける聡(?)』の作者です。誠に勝手ながら連載を再開する事になりました
流れは>>635→(640~644)→650→(651~657)→661→668→672→680→683→688→689→690→691→701→704→706となります、カッコ内は他の人の書き込みですが、ちゃっかり利用してます
因みに711~735は別の方の作品で、全く関連はありません、あしからず

―――――
>>706の続き)
“聡37才”
姉の妊娠を知ってから約1年が過ぎた
姉と新庄は正式に入籍し、そして二人の間には子供が生まれた
かわいい女の子で名前は聡美だ…
僕と姉との間には色んな事があったが今ではもう大丈夫、何のこだわりも無く普通に接していた
今日だって家に夕飯を食べに来ないかと誘われたので、来ていた
そして夕飯の準備をしている姉の代わりに聡美の遊び相手をしていた
因みに新庄は出張の為不在だ

律「メシができたぞー!」

743:肉体
09/09/22 09:19:59 v4PyG+9C
>>742の続き)
聡「お姉ちゃん、もう少し綺麗な言葉遣いできないの?メシとかクソとか止めないと…」
律「なんで~?メシはメシだしクソはクソじゃん!」
聡「だめだよ、聡美が真似しちゃうよ…」
律「聡は細かいな、ねぇ聡美ちゅわ~ん」
聡美「きゃ♪きゃ♪」

楽しい時間だった、そして何よりも姉は幸せそうだった

夕食後はコーヒーを飲みながらテレビを見ていた
音楽番組だったが、突然なんの紹介も無しにHTT(放課後ティータイム)が画面に現われて演奏を初めた

聡「あっ…、そうだ野球の結果はどうなったかな?」
律「いや、替えなくていいよ…大丈夫」

姉は懐かしそうに、そして少し淋しそうに画面を見つめていた

律「澪は堂々としてるな、それに梓は相変わらず上手いし、でもムギはなんかプレイに落着きがない感じがするな…」
聡「・・・」
律「みんなに…会いたいな…」

聞こえないよう小さく呟いたつもりだが、僕にははっきりと聞こえた

聡「そうだ!実家の近くの公園覚えてる?」
律「ああ、二人でよく遊んだよな」
聡「あの公園、区画整理で無くなるらしいんだ」
律「そうか、なんか切ないな~」
聡「明日行かない?」
律「ん~そうだな…、久し振りに実家にも顔出すかな」
聡「僕も明日は夕方なら時間あるからさ」

その時、閃光のようにある考えが浮んだ

聡「じゃあ帰るわ!公園の事は明日にでも連絡するから!!」
律「え、もっとゆっくりしていけば…」
聡「ゴメン、じゃあ又明日!」

家を出てから、僕はある人物に電話をした
・・・・・・
そして数分後には電話を切った。全ては明日だ…


744:肉体
09/09/22 09:38:17 v4PyG+9C
>>743の続き、ちなみに唯は聡の元カノ設定です)
その翌日、僕と姉と聡美の三人は実家近くの公園に来ていた

律「うわっ、懐かしいな~」
聡「そうだね…」

聡美は僕が抱っこしていた、今は穏やかな顔で眠っている
それとは逆に僕は激しく緊張していていた
ああ神様…

律「どした?顔色悪いぞ」
聡「そ、そうかな」
律「中に入ろう。あ、誰か人がいる」

ベンチに一人の女性が座っていた
ロングの黒髪、キリッとしたつり目、その女性は…

律「・・・澪!」

澪さん来てくれたんだ!

律「な、な、なん…」
聡「ゴメンお姉ちゃん!僕が呼んだんだ」
律「さ、聡、おま…」

その時澪さんが急に両手と頭を地面に付けた

澪「ごめん律!許して貰えないかも知れないけど、本当にごめんなさい!!」
律「・・・」
澪「今まで律の事を考えない日は無かった、本当に酷い事したと思ってる!」
律「・・・」
澪「お願い、許して下さい…」

澪さんは泣きながら土下座をしていた、クールでカッコいい澪さんが…

律「…やめてよ」

745:肉体
09/09/22 09:57:21 v4PyG+9C
>>744の続き、前回は間違えました。唯は今回登場します、そして聡の元カノです)

律「…やめてよ」
澪「え?」
律「やめてよ!土下座なんてしないで!」
澪「律…」
律「…怒ってないよ
私こそ、あの時澪を何回も叩いちゃって…」

そして姉は澪さんに抱き付いた

律「澪、ゴメンね!会いたかった~」
澪「私も、うう…」

二人は抱き合いながら、子供のように声を上げて泣いていた
涙も声も枯れるまで、ずっと…

唯「よかった、りっちゃんと澪ちゃんが仲直りできたね!」
聡「唯!いつの間に…」
唯「さっきからずっといたよ~」
聡「気が付かなかった…でも澪さんに連絡してくれて、ありがとな!」

昨日連絡した相手は唯だった
何とかして姉と澪さんを会わせたくて唯に頼んだのだ
僕ら姉弟は、もう何回唯に救われたのか分からない
目の前の唯は少し涙ぐんでいた、そして目を覚ました聡美が、不思議そうな顔で唯を見つめていた

唯「これで後は…」

746:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/22 15:52:45 og5N6WlT
。・゚・(ノД`)・゚・。

747:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/22 20:08:41 xHg3qWO9
なにこの俺得スレ
ss祭り万歳!

748:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/22 20:57:04 kkeNGCZb
聡の彼女ってりっちゃんに似た設定だなーと思っていたが
まさかこうなるとは…

749:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/22 21:16:05 NEWgc+/G
凄いなssの作者

750:肉体
09/09/23 00:43:59 c5Nb5Fjc
>>745の続き)
あれから数週間後、私(律)は府内のレコード会社の喫茶店にいた

澪「りーつ!遅れてゴメン!」
律「遅い、罰としてここは奢りだぞ!」
澪「もう、分ったよ」

澪から会わないかと連絡が来たので、こうしてやって来た
こんなふうに、澪と普通に会っておしゃべりしてる事が夢みたいだ

律「凄い格好だな、髪ボサボサじゃん」
澪「あ~、最近は殆どここに軟禁状態だったから」
律「ゲェ、酷いなレコード会社って!でもそんなに忙しいのか?」
澪「私はアレンジやプログラミングもやってるから」

その後は私達は色んな事を喋った、20年の空白が嘘のように…

律「じゃあ、そろそろ帰るな」
澪「もう、行っちゃうの?」
律「うん、旦那や子供の事もあるし、それにいつだって会えるよ」
澪「そっか、そうだな」
律「そうだ、最後に聞いておきたいんだけど」
澪「何?」
律「ムギの事なんだけど…」

751:肉体
09/09/23 00:53:13 c5Nb5Fjc
>>750の続き)
律「ムギの事なんだけど…」
澪「ムギの…」
律「ムギの様子がおかしくないか?なんか雰囲気が昔と違うって言うか…」
澪「そうかな…まぁ20年近くたってるし…」

ムギの名前を出した途端、澪の様子はおかしくなった

律「なんか隠し事してるな!なんでハッキリ言わないだ?また私だけ除け者にするのかよ!!」

私はつい、感情的になってしまった

澪「ち、違う!私はもう絶対に律を傷付けるような事はしない!絶対に!!」
律「澪…」
澪「でもゴメン今は言えないんだ、いつかちゃんと説明できると思うから…」
律「…分った、信じるよ」

ムギの身に何かあったのは確かだろう、でも私は澪の事を信じて待つ事にした
それがいつになっても構わない

高一の時、初めて一緒に行ったマック…
『私、こういう所初めてなんです♪』
あの時のムギはとても嬉しそうだった

ムギ、何があったんだ・・・

752:肉体
09/09/23 01:11:30 c5Nb5Fjc
>>751の続き)
あれから暫くして、唯から連絡があった

唯「今週の日曜日に飲み会するんだけど、聡も来ない?」
聡「相変わらず急だな。で、誰が来るの?」
唯「凄いんだよ~、けいおん部のみんなが集るんだよ!」
聡「えっ、お姉ちゃんも?」
唯「勿論!聡も来なよ、じゃあね!ピッ、ツーツー…」

こっちの返事も聞かずに切ってしまった、場所も時間も言ってないじゃないか全く!でもそこがいかにも唯らしい所だ

そして日曜日、僕と姉はクラブ・Jyunに来ていた。ここは梓さんの同級生が経営しているライブハウスで今日は貸し切りだ
中に入った

唯「やっと来た!二人とも遅いから先に食べちゃってたよ~」
澪「お前だけだろ!」
律「わはは、唯は相変わらずだな」
梓「律先輩、聡くん、大変お久し振りです!何の連絡もせずに済みませんでした!!」
律「いいよいいよ!梓は相変わらず真面目だな~
それよりムギはいないのか?」
澪「もうすぐ来るよ筈だよ、ただ…」

その時、扉が開き誰かが入って来た

??「遅れてスミマセンでした!」

753:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/23 12:06:02 ff75K4uh
ちょっと来ない間にすごい量のSSだなこりゃw
いいぞいいぞ!みんな頑張れ!さあ、ムギはどうなった?

754:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/23 14:39:52 Hd9osJ7x
ムギ破産でもしたんか??

755:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/23 15:11:59 Xii0cNKz
ムギのたくあん価が暴落するオチ

756:肉体
09/09/23 19:15:59 c5Nb5Fjc
>>752の続き)
律「ムギ!」

そこにはムギがいた、初めて会ったあの時のままだ!
あの時のまま…?

おかしい…

私(律)と同じでもうすぐ40になる筈なのに、目の前にいるムギは17~18にしか見えなかった

律「ム、ムギ?ムギだよな…」
??「あ、あの~初めまして、琴吹小麦と申します
琴吹紬の娘です」

…娘、そうだったのか!違和感の正体がやっと分った、似てはいるがムギ本人では無かったからだ

律「そっか~でもムギにそっくりだな、特に眉毛なんか
で、ムギ本人は来ないのか?」
小麦「あの、母は…」
澪「ムギはもう、いない…」
律「え…」
澪「ムギは死んだんだ」

757:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/23 19:26:42 n1mcSyss
ムギは死んだ!もういない!


って死んじゃってたのか…

758:肉体
09/09/23 19:28:29 c5Nb5Fjc
>>756の続き)
澪「ムギは死んだんだ」
律「まさか、嘘…」
梓「本当なんです、律先輩」

私(律)はその場に座り込んだ、ムギがもうこの世にいないなんて…

澪「2ndアルバムを発表したすぐ後にムギは妊娠してる事を告白してHTTを辞めた、その半年後に小麦ちゃんを生んだんだ。でも出産後に体調を崩して、結局…」
律「何で私には教えてくれなかったんだよ!」
澪「ムギの希望だったんだ、私達だって二年前に初めて知ったんだよ
私達に心配かけたくないからって、連絡が行かないようにしてたんだって…」
律「二年前って事は…」澪「去年出したオリジナルアルバムの製作が決った時だ
話題性も含めて、事務所はムギをHTTに復活させようと考えたんだ、でも連れて来たのは本人ではなく娘の小麦ちゃんだった
そして私と梓はムギの死を聞かされた…」
梓「ただ、この事に関しては事務所から箝口礼が出されていたから言えなかったんです
律先輩スミマセンでした…」

その時の姉は放心状態になっていた
ただショックなのは姉だけではない。他の人達だって同じ気持ちを味わった筈だ

唯「ちょっといいかなみんな…、実は私ムギちゃんに会ってたんだ」

律「…え、いつ?」

唯「死ぬ少し前に“会いたい”って連絡があったんだ」

759:肉体
09/09/23 19:43:00 c5Nb5Fjc
>>758の続き、今回は唯の回想です)

今から17年前の事だ
私はムギちゃんの部屋にいた
ムギちゃんは赤ちゃんを抱いてベッドに座っていた

唯「ムギちゃん久し振り~」
紬「今日は来てくれてありがとう、なんだか急に会いたくなって」
唯「ムギちゃんの為ならどこにだって行くよ!
それより赤ちゃんカワイイね~、眉毛なんかムギちゃんそっくりだよ」
紬「ウフフ、ありがとう…
ねえ唯ちゃん聞いてくれる?」
唯「何~?」
紬「たぶん私…、もうそんなに長くないと思う…」
唯「やだ!そんな事言わないでよ!」
紬「ありがとう唯ちゃん、でもいいの…
ただ、りっちゃんと澪ちゃんの事が心残りかな」
唯「うん、すぐには難しいけど、でもいつかは…」
紬「そうしたら、もう一度ちゃんとみんなでHTTやりたいね!」
唯「そうだよ!元気になったらバンドやろうよ!約束だよ!!」

…しかしその約束は果たされなかった
一ヶ月後にムギちゃんは天国に旅立ったのだ

760:肉体
09/09/23 19:53:45 c5Nb5Fjc
>>759の続き)
澪「そんな事があったのか」
唯「だからムギちゃんも今のみんなの事を見て、きっと天国で、あ、安心し、じで…う、う、ぅえええ~~~ん」

ついに唯は泣き出した
当時のムギさんが相談できる相手は唯しかいなかったんだ
そして、唯もムギさんと同じように辛かったんだろう

帰り道、僕と姉は並んで歩いていた

律「なあ…聡」
聡「ん、何?」
律「私はこの20年近く、色んな人達に心配かけてたんだな…」
聡「・・・でも、今のお姉ちゃんはもう大丈夫だよ
僕は心配なんかしてないよ」
律「へへ、ありがとな
あーあ、早く家に帰って聡美とついでに旦那の顔が見たいな~」

だがこの後、姉にとんでもない事件が起こるのであった

761:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/23 20:45:00 qmL6uebk
ΩΩΩ<な、なんだってー

762:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 05:40:26 E9ahvaTT
ま、まてまてまて確かにここは聡スレだが俺のように隊員も多いはずりっちゃんにもしものことがあqswでfrgt

すまん、続けてくれ。いや、続けてください。



763:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 07:57:25 mxGlbrQe
いや、何かあるのは聡美か旦那なんじゃないか?多分…
子供の名前の由来はなんかありそうだし

最終回そろそろくる?

764:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 08:41:37 E9ahvaTT
>>763
・・・だと良いんだがな・・・・・
ていうか名前の由来は、公式では りっちゃんの中の人→聡美→聡 だけど、
このSSでは 聡→聡美 なんだよな
なんかややこしいなw

765:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 11:08:33 mxGlbrQe
>>763
そん時は俺がお前のためにハッピーな律を書いてやんよ多分!

766:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 11:14:45 mxGlbrQe
↑間違えた>764ね…

決まらなさ過ぎ…

767:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 11:20:28 E9ahvaTT
wwwお気遣いどうも

だがしかーし、すでに自分で書き上げていたりするのだ!(ハッピー律)

768:肉体
09/09/24 11:29:42 6yTVaMXw
>>760の続き)
“聡38才”
僕は今、桜ヶ丘高校の講堂にいた。HTTは一ヵ月前にアルバムを発売した
そして今日はここでライブを行なう
最後のライブを…

メンバー全員の希望でこの思い出の場所が選ばれた
女子校の講堂でプロのバンドがライブを行なうという事なので、警察が正式に警備をする事になった。府警に勤めている和さんが今日の警備責任者だそうだ
収容人数を遥かに超える二千人以上がこの講堂に入っている

30分遅れでやっとライブが始まった
幕が上がる
ステージ上にいるメンバーは5人
ギターは梓さん、キーボードは小麦ちゃん、ベースは澪さん、そしてボーカル(兼ギター)がなんと唯!
…しかし何と言っても一番の驚きは、ドラムが姉である事だ!!

あれは一年前…

769:肉体
09/09/24 11:35:42 6yTVaMXw
>>768の続き、回想ばっかでスミマセン)

あれは一年前…

軽音楽部の皆さんと飲み会をした日から暫くして、姉の元に澪さんと梓さんがやって来た
HTTは解散する事になったそうだ、そしてラストアルバムの製作に向けて流動的だったメンバーを一新して、姉に正式メンバーになって欲しいと依頼をして来た
僕から見れば夢のような話だが、姉はその申出を断ってしまった

よく考えれば当然かも知れない、姉には20年近いブランクがあり、何よりも大事な家庭があるのだ

770:肉体
09/09/24 11:46:24 6yTVaMXw
>>769の続き、今回で回想は終りです)

僕は姉の家にいた
勿論、姉を説得する為だ

聡「絶対やるべきだよ、僕もできる限り協力するから!」
律「でかい声出すな、聡美が起きるだろ」
聡「あ、ゴメン…
でもお姉ちゃんはやりたくないの?」
律「スゲェやりたいよ、でも今更無理だよ…」
聡「澪さん達も相当悩んだ末の結論らしいよ
決して思い付きや同情じゃないって」
律「それは分る、でも先ずはプロの指導で半年はみっちりトレーニングで、あとダイエットも必要だって、まぁ分かるけど…
そんな時間はないっつーの!」
聡「唯は、じゃなくて唯さんはHTT加入を正式に発表したし、テレビの新しい仕事だって殆ど断ってんだよ
後はお姉ちゃんだけだよ!」
律「お前やけに詳しいな?でも唯はそこまで…」
聡「・・・ねぇ、これはムギさんの願いでもあるんじゃないかな」
律「ムギの…」

やっと姉は承諾してくれた
それから姉にとって大変な一年が始まった
初めの内は辛くて、よく家で泣いてたらしい
レコーディングが始まってからも、録り直しばかりで大変との事だった
でも、そう言いながらも姉は楽しそうだった

そして紆余曲折あったが遂にHTTのラストアルバム(CD2枚組、全20曲)が発売された

771:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 11:53:43 mxGlbrQe
>>770
おお、いい方向に進んでる
心配の必要なかったな
ラスト間近がんばれ

>>767
それはこのスレ用?
楽しみだ

772:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 12:48:01 E9ahvaTT
お、来ましたな。良かった。悲劇じゃなかったか。

>>771
すまん。自己満足用だったから加筆修正してこのスレ用にしようとしたら、ハッピーじゃなくなったw
もう少し書いてみる。

773:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 15:43:22 mxGlbrQe
逆に読みたくなるなw

774:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/24 17:18:57 WfHkmTAs
前のりつさとssといい、「肉体」といい、最高すぎる
俺も書きたいんだが文才が無くてね…
とりま支援してるぜ

あと、りっちゃんに何かあったら隊員でもある俺がゆるさねえ!
あと、聡の場合もゆるさねえ!

775:肉体
09/09/25 02:28:09 fD51WnOB
>>770の続き、今回はアニメの12話をかなりパクってます、最終回まであとわずか)

ついにHTTのラストライブが始まった
姉に関して最初はちゃんとできるか心配だったが、それは杞憂に終わった
多少危ない所もあったが、殆どの曲を問題なくこなしていった

ライブは順調に進み、次がいよいよ最後の曲だ

唯「えっと、改めまして放課後ティータイムです
『目標は武道館』とか言って私達のけいおん部は24年前にここで始まりました
そして色々ありましたがHTTはメジャーデビューしました
その後は何回もメンバーチェンジをしたり、CDも昔ほど売れなかったりと、お世辞にも順調だったとは言えないけど、やっと最後にこの最高のメンバーが戻って来ました!
そしてここが、今いるこの講堂が私達の武道館です
最後まで思い切り歌います
『ふわふわ時間』!!」

♪キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI
揺れる思いは マシュマロみたいにふわ☆ふわ・・・

776:肉体
09/09/25 02:35:20 fD51WnOB
>>775の続き、一応最終回です)

ジャーン!

最後に私はシンバルを思いっ切り鳴らした
最後の曲『ふわふわ時間』が終わった
みんな満足そうにお互いの顔を見ていた…

♪♪♪♪~

突然、小麦ちゃんがキーボードのコードバッキングを弾き始めた

あの時と一緒だ、高2の学園祭の時のムギがそこにはいた!
少し興奮した顔で、嬉しそうにみんなを見ながらムギはキーボードを弾き続けていた

私は再びドラムを叩き始めた
それに続けて澪も梓も楽器を弾き出した、そして

唯「もう一回!!!!」

♪あぁカミサマお願い
二人だけの Dream Timeください☆
お気に入りの うさちゃん抱いて 今夜もオヤスミ
ふわふわ時間 ふわふわ時間 ふわふわ時間♪

唯「けいおん大好きー!りっちゃん、もう一曲!!」
律「おっしゃーーー!」
和「唯!」
唯「あ、和ちゃ~ん」
和「もう時間切れよ!!」
唯「えぇぇぇ~~~!」

お し ま い ●

777:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 02:42:09 IyMCbuJI
お疲れ~!!!
長編が終わるとちょっとさみしい気持ちがするな

ムギのいないメンバーを最高のメンバーと言っちゃう唯に違和感感じたけど

本当、お疲れ様でした

778:肉体
09/09/25 02:44:42 fD51WnOB
エピローグ・冬の日

あのライブから数ヶ月が過ぎ、季節はすっかり冬となっていた
僕は桜ヶ丘高校の正門前に来ていた

あのライブを最後にHTTは解散をして、メンバーはそれぞれ自分の世界に戻って行った

姉についてだが、困った事が起きている
後に発売されたラストライブのDVDを、毎晩子供と旦那に見せてるそうだ
新庄いわく“もう限界…”との事
きっと嬉しくて仕方がないのだろう、二人には悪いがもう少し我慢してやってくれ
大丈夫!姉は飽きっぽいから

さて、今日僕はある決心をしてここに来ていた、それは…

唯「やっほ~、遅れてゴメンね!」

・・・・・・・

【時をかける聡・完】

779:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 03:25:58 UUiX6TVl
お疲れ様でした~。隊員を敵にまわさない終わり方で良かったw

あと余談だけど>>715が言ってた「時をかける聡」というのは、>>284から始まってしばらく続いた長編の話のことじゃないかな?

780:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 07:55:26 Qe5hS2Ki
長編お疲れ様ー
ハッピーエンドで良かった

781:肉体
09/09/25 11:46:32 fD51WnOB
今更だけどあとがきです
自分の稚拙なssに付き合ってくれて本当にありがとうございます!
そしてムギちゃん、殺してごめんなさい!!

『時をかける聡』って他の人の作品だったんですね、勘違いしてました恥ずかしい…

実はエピローグの最後に謎の伏線を残すつもりだったけどカットしました(実は唯の正体は憂だった、唯の身に何が?みたいな…)

ではまたいつか!

782:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 14:19:56 Qe5hS2Ki
>781
715だけど、会話成り立ってたんで気付かんかった;同一人物じゃなかったんですね
いや、アンカ書かなかった自分が悪いんで!


聡律の他だと聡唯がいいなと思う自分はこのエンドで満足だ

お疲れ!

783:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 20:08:55 TvvrqLyV
となると『時をかける聡(?)』の本当の作者は見てないんだなwww

ちなみに作品はどんどん投下すればいいと思うが、完成してから上げて欲しいと思う。
途中で止められるとそこで盛り下がるな。

784:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 23:05:43 Qe5hS2Ki
今ちょっとお色気入れた聡律書いてるんだが…
受け入れられなかったらアレなんで先にマトモなやつ投下してみる
中学生日記みたいなイメージ。すぐ終わる

その1

まだ14年間ぽっちしか生きてない僕は、『今』が当たり前に続いていくんだと信じている。


新庄「お姉さんて結構かわいいよなー」

聡の部屋。
テーブルをはさんで向かい合った新庄が言った。

聡「え?なにが?」
新庄「律さんだよ律さん!いいよなぁ聡は。お姉さんがいて」
ほう、と悩ましげに溜め息をつく。
聡「え?なんでさ?」
新庄「だってお前、風呂上がりとかその辺下着姿でウロウロしてたりするんだろ?
下手したら素っ裸……――くぅ、いいなぁ!」
新庄は顔を赤らめて拳を握り締めている。
聡は「ええっ?」と思わず笑った。
聡「裸って、んなわけないじゃん。ないない!なに言ってんの?」
新庄「え、ない?そういうの」
聡「ないって。っていうか新庄うちの姉ちゃん好きなの?新田さんはどうしたのさ」
新田さんというのは新庄が今気になっているクラスの女子の名前だ。
新庄「ばぁか!それとこれとは別なんだよっ」
聡「よく分かんねーなぁ…」
新庄「聡はまだまだお子様だな」

聡は少しむっとしてテーブルの上のスナック菓子に手を伸ばした。
それを口に入れて考える。

―そうか。
俺から見たら姉ちゃんは姉ちゃんだけど、新庄から見たらちゃんと異性なんだ。

なんか変な感じだ。


785:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 23:20:21 Qe5hS2Ki
その2

漫画やゲームに熱中していたらあっという間に夜になった。

「新庄君、もうそろそろお家の方が心配するんじゃない?」
と言う母の声をきっかけに聡たちは部屋を出る。
ちょうど律と鉢合わせた。

律「おっ、もう帰んのか?」
新庄「はい、遅くまでお邪魔してしまってすみません。騒がしくなかったですか?」
聡(こいつほんと器用だな…)
律「ああ、全然大丈夫。じゃあ気をつけて帰んなよ…――て、何?」
新庄「いや、お姉さん今日も綺麗っす」
聡「ぶッ!」
思わず吹いた。
律「あはは、ありがと新庄君。お世辞でも嬉しいよ」
そう言いながら律はがしがしと新庄の頭を撫でる。
新庄も笑っている。
聡には到底できないノリだ。
新庄「――じゃあ失礼します」
律「はい気をつけてー」
聡「……」
律「ん?どうした聡?」
聡「…別にぃ」

少し、面白くない。


786:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 23:23:30 Qe5hS2Ki
その3

夕食の後は、いつものように勉強机に向かう。
聡はノートの上を走らせていた鉛筆を止めると、ベッドを陣取って漫画を読んでいる姉を振り返った。

聡「なあ、姉ちゃん」
律「んー…?」
聡「姉ちゃんて、結婚すんの?」
聡はイスに逆向きに座り直すとイスの背に顎を乗せた。
こちらを向いた律は変な顔をした。
律「なんの話だ?」
聡「いや、姉ちゃん結婚するのかなって…」
律「脈略ないなぁ。しかも結婚って、そんなん遠すぎてまだ考えたことないし」
律は身体を起こしてあぐらをかいた。
律「聡の方が先に結婚するかもしんないぞぉ?」
聡「えーー?俺??………想像できないや。もし俺が先に結婚したら姉ちゃんどうすんの?」
律「んーー…、お邪魔のようだったら出ていくかもなぁ。ま、分かんないけど」
律は軽く身体を左右に揺らしながら言った。
聡「え、じゃあ俺結婚しない」
聡は唇を尖らせた。
律「おいおいおいっ」
聡「だって俺今が一番いいもん。家族もいるし、友達もいるし、学校も楽しいし」
律「聡はまだまだ子供だなぁ」

律はやれやれと笑った。


そうだ。
聡はまだ全然子供だ。
律だって十分子供だが、聡はもっと幼い。

変わらないことを願うのはいけないのだろうか。
十年後なんて想像できない。
例えばこの先に父さんと母さんが離婚したり、
ひょっとして新庄と姉ちゃんが付き合っちゃったりする事もあるのかもしれない。
なんでもありだ。

聡(……やめよ、考えんの)

何かあってもその時の自分が頑張ってくれるだろう。
聡は今が一番大事だ。

変なこと聞いてごめん、と聡は律に謝った。


これもまた、ひとつの変化。


《終わり》

787:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/25 23:24:38 IDxwH9j0
GJ!!!
ただ欲を言えばりっちゃんの新庄への接し方はもっとよそ行きな感じが良かったかな

788:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 04:41:02 k0bJVEp4
GJ!
姉と自分の友達が少し仲良くしているのを見て、ちょっと妬いちゃう弟とか好きだな~
聡も普段はなんとも思っていなくとも、やっぱり律が他の男子と一緒に居たら何か感じるんだと思う
この二人にはいつまでも一緒にいて欲しいね(というか自分の中ではすでにそういう設定)

長文で申し訳ないが、どうしても言っておきたいことが・・・・
>>787 SS投下終了後、わずか一分でレスってww

789:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 09:41:55 6FxVXmS+
という事でちょっとお色気ありな聡律

感動ものでも何でもないんで期待しないでくれ…(スレの流れ的に)



その1・いつも通りの朝?


それはいつもと変わらない朝だった。
聡はいつも通り用意を済ませ、部屋を出た。

律「おっはよ、聡」
聡「おはよう」
律「ふぁ~あ、ねむ…」
聡「昨日また遅くまでゲームでもしてたんだろ」
律「ご名答ー」

そんなやり取りをしながら階段を降りはじめる。
いつも通りの朝――になるはずだった。


790:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 09:44:07 6FxVXmS+

聡「あっ!な、今週の日曜さ、『二十世紀梨少年』見に行かない?」
律「おっ、いいねいいねー。今回最終章だっけ…おわっ?!」
聡「えっ??」

振り返った聡の上に律が降ってきた。

ドダダダダダダダ……ゴン!
…………。

聡&律「あいたたた…」

うう、おでこ痛てぇ…。
いつの間にか聡が上で律が下になっていた
身体の下に姉の体温を感じる。

「わっ、ごめん姉ちゃん!大丈夫か??」

聡は慌てて身体をどかせる。

…―――って、あれ???

「あいたたた…………。ゴメン、聡こそ大丈夫?――って、ん?」

………………。
お互い目が点になる。

当たり前だ。
聡の目の前には聡がいた。
ドッベルゲンガー??
いや、違う…

ばばっと自分の身体を確認する。
スカートを履いている。
これは桜校の制服だ。
髪を触ると肩まで長さがあった。
……しかもカチューシャをしている。

………………。

え。


律(聡)「ええええええ~~~~~?!?!」

791:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 09:50:25 6FxVXmS+
>787
確かに
やばい書き直したくなってきた…

>789
ずっと一緒っていいよな
この姉弟ほんと好きなんで暗いのでもギャグでも結局ラストは可能性を残してしまうw

792:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 09:58:04 6FxVXmS+
その2・いつもと違う朝

律(聡)「うそだろ…」

どうやら聡と律の身体は(正確には中身?)入れ替わってしまったらしい。
律も呆然としている。

「ちょっと、なに??今の音!」

尋常じゃない物音に母が駆付けた。
聡と律は困り果てて母を見た。

二人「か、母さぁ~ん…」


793:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 09:58:56 6FxVXmS+
※※

二人「行って来ます…」

力なく玄関の戸を閉める。
二人で必死に母に説明してみたはものの、
「馬鹿なこと言ってないで早く支度なさい!」
と結局全く信じてもらえなかったのだ。

律(聡)「………姉ちゃん、どうする…?」
聡(律)「どうするっつっても……………」

2人でう~んと考える。
いくら考えても解決策など見つからない。

聡(律)「………しゃあない、とりあえず学校行こう」
律(聡)「ええっ、このまま?!」
聡(律)「だってそれしかないだろ?」
律(聡)「無理無理無理!姉ちゃん女子校だろ?!」
聡(律)「ええい、覚悟を決めろ!取りあえず戻る方法は帰って来てから相談!」
律(聡)「ちょおっ…」
聡(律)「何かあったら携帯で連絡とろ。分かった?」
律(聡)「………………」

ヤバい。
不安すぎる。


794:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 10:52:57 6FxVXmS+
その3・唯様

※※
聡は教室の前に立っていた。
手には律と交換した身の回りの基本情報を書いたメモを握っていた。

けどこんな紙切れ一つで乗り切れるのか…?

紬「おはよう、りっちゃん」
律(聡)「うっわあ!!!」
紬「きゃッ、………ど、どうしたの??」

後ろには紬が立っていて、きょとんとこちらを見ていた。
一応聡は軽音部メンバーとは面識はある。
不幸中の幸いかもしれない。

律(聡)「あ、いや、おはよう紬さ………じゃなくてムギ」

聡はうふっと笑ってごまかした。
紬も笑い返してくれる。

紬「ね、教室入ろ?」
律(聡)「そ、そうだね…」

紬に促されてなんとか聡は教室に足を踏み入れた。

(確か姉ちゃんの席は一番後ろの左から2番目…
…………ここか。)

律(聡)「………ふぅーー…なんとかたどり着いた…」

しかし大変なのはここからだ。
気を引き締めていこう。
聡はふと前の席を見た。

(確か姉ちゃんの前の席って…)

キーン、コーン、カーン、コーン…

唯「わわわっ、遅刻遅刻…っ」

聡は声のした方を見た。

795:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 10:53:40 6FxVXmS+
慌だしく教室に入って来たのは唯だ。
リボンはほどけているし、髪は所々寝癖ではねている。
唯はへろへろになりながら聡の前の席についた。

唯「ぜぇ、はぁ…、よよよ良かった~…、ぎりぎりセーフ…」
律(聡)「…………」
唯「あ、おはよぉりっちゃん」
律(聡)「お、おはよう、唯」
唯「む?」
律(聡)「え?」
唯「むむむむ??」
律(聡)「え?え?え?」
唯「むぅーーー……」
律(聡)「????」

な、なんだなんだ??
聡は緊張する

唯「君、だれ?りっちゃんじゃないでしょっ」

いきなりバレたーー!?!

796:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 10:57:26 2BWgQPnF
唯すごすぎだろw

797:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 11:16:38 6FxVXmS+
その4・唯様様

律(聡)「あは、あはは。なに言ってんだよ、唯…」
唯「むぅ、間違いないよっ。何かねぇ、色が違う!君はニセ者さんだね!」

色ってなんの!?
……やばいぞ、唯さん天然に見えて意外に手強い。
聡は焦った。

律(聡)「え、いや、ちょ…」
唯「正体を現わすんだっ……むぐぐ!」
律(聡)「ちょ、お願い静かにして」

姉ちゃん助けて~~~~っ

聡はホームルームが終わるとすぐに唯を教室から連れ出した。
こうなったら事情を話して助けてもらおう。



798:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 11:18:12 6FxVXmS+
唯「どうしたの??」
律(聡)「……………さっきの話なんだけど、どうして分かったんですか?」
唯「さっきの話…?」
律(聡)「さっき、俺の事ニセ者って」
唯「あっ。あれは昨日のドラマだよ~」

はい?ドラマ??

律(聡)「ドラマ…」
唯「双子の姉妹が入れ替わって生活するっていう話でね、さっきのはその中の台詞なんだぁ」
律(聡)「………」
唯「えへへ~」
律(聡)「あ、はは、なんだ…」
唯「あっ、でも今日のりっちゃん何か違うなぁって思ったのは本当だよ。何でか分かんないけど…」
律(聡)「…………………。
―――――あの、実は…っ」

とりあえず聡は事情を話してみた。
とはいえ階段から落ちただけなので二分ほどで説明できた。

律(聡)「――という事なんです」
唯「えええ~!…そっかぁ、違和感あると思ったら中身は聡君だったのかぁ」
律(聡)「…信じてくれる?」
唯「びっくりしたけど、信じるよ?」
律(聡)「よ、良かった…」

はああ、と安堵の息をはく。

唯「聡君よっぽど困ってるんだね…」
律(聡)「既にいっぱいいっぱいです…」
唯「………よぉし決めた!今日一日聡君は私が守るよっ。」

唯は「ふんす!」と立ち上がった。

後光が射して見えた。


799:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 11:34:05 6FxVXmS+
その5・ふんす

言葉通り唯は全力で聡を守った。

先生「おーい、田井中。この問題前出て解いてみろ」
唯「はいはいはいっ!!先生その問題私やりますっ」

もちろん解けなかった。


唯「聡君、角のロッカーとっといたからここで着替えるといいよっ」
律(聡)「あ、うん…」
唯「私壁になるから安心してねっ」

あの、そしたら唯さんの着替えが丸見えなんですが…
聡は姉の身体も見るわけにいかないので結局目を瞑って着替えた。


女子「ねー律、この間言ってた話なんだけどさー」
律(聡)「え?え??」
唯「あ!それって二日前の昼休みりっちゃんと南川遙ちゃんが盛り上がってた阿井ドル子の話かなっ??」

不自然すぎるがありがたかった。

そんなこんなでなんとか午前中は乗り切った。
で、ここで問題が発生。


ト、トイレに行きたい…


800:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 11:51:19 k0bJVEp4
イカン、鼻血がww・・・・・・・

801:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 12:10:43 6FxVXmS+
隊員の皆様不快にしたらすまん…


その6・人間だもの

できるだけ考えないようにしてたんだけど…

今は授業中。
聡は先生の目を盗んで鞄の中から携帯を取り出した。

『トイレ、どうしたらいい?』

律宛てに素早くメールを打つ。
ぽちっと送信。
返事を待つ。


ブブー、ブブー…

うわ、電話来たっ。
予想外の事態に聡は慌てた。
静かな教室にはバイブ音すらよく通る。
……やばい!

唯「…うっ、げほんげほん!うえっほん、えほげふん!!かふんちくしょーべらぼうっ」

ゆゆゆ唯さんあなたって人はーーー!!(涙)

クラスの女子達が「唯大丈夫?」「どうしたの?」とざわめき始める。

今しかない!

律(聡)「せ、先生、ちょっとトイレ行ってもいいですか……?」
先生「はい、いいですよ」

教室を出る際、唯の方を見た。
唯はぶいっ、とこっそりピースをした。


802:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 12:11:38 6FxVXmS+
聡は急いでトイレの個室に駆け込むと通話ボタンを押した。

律(聡)「姉ちゃん今授業中…!」
聡(律)『ごめん!……で、さっきのメールの件なんだけど…
………………どうしても我慢できない…?』
律(聡)「我慢はできるけど帰るまでは無理…、かも」
聡(律)『………』
律(聡)「…どうしよう?」
聡(律)『………………………………………………………………………………
……………分かった。――ぜ、絶対絶対見ちゃだめだからなっ!約束な!』
律(聡)「あ、当たり前だろっ」
聡(律)『してる間は水流しっぱなしにしてよ』
律(聡)「わ、分かった…」
聡(律)『絶対の絶対な!ほんとお願い…!』
律(聡)「う、うん」

姉弟でなんつー会話…。
何か恥ずかしくなってきた…

律(聡)「――あ。と、ところで姉ちゃんの方は大丈夫、なの…?」
聡(律)『えっ…………………………………………………もうした…』
律(聡)「えっ?……あ、そ、そう…」
聡(律)『も、もちろん見てないぞ!?見てないからなっ』
律(聡)「う、うん……………」
聡(律)『………』
律(聡)「………」



―――で、した。
もちろん聡は言われた事を守った。
だか聡は思った。


…俺、しばらく姉ちゃんの顔まともに見る自信ない……

803:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 12:15:20 k0bJVEp4
やっべ、ここまでニヤニヤがとまらないのは久々だぜwww

804:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 12:39:17 6FxVXmS+
その7・誰?


そして放課後。

律(聡)「今日は、ほんっとにありがとう唯さん!」
唯「えっ、いーよいーよぉ」

唯は「えへへ~」と照れている。
今日一日を聡が乗り切れたのは確実に彼女のおかげだった。
聡はもう一度お礼を言った。

すると紬が来た。

紬「唯ちゃんりっちゃん、私先に部室行ってるね?今日のケーキ、楽しみにしてて」
唯「わーいっ、ありがとうムギちゃん~!私もすぐ行くねっ」
紬「うんっ」

紬はケーキが入っているらしい紙袋を持ってルンルンと教室を出て行く。
聡と唯も鞄を持って教室を出た。

唯「う~ん、聡君はもう帰った方がいいよね…。私みんなに言っとこっか?」
律(聡)「そうしてもらえると有り難いっす…」

澪「律ー、唯ーっ」

後ろの方から澪の声がした。

唯「あっ、澪ちゃん」
澪「2人共こんなとこで何してるんだ?部室行かないのか?」
律(聡「あ、澪。今日私ちょっと帰るわ…」
澪「どうかしたのか?」
唯「えっとえっと…」
律(聡)「ちょ、ちょっと気分悪くて」
唯「ええっ?大丈夫!?」

……唯さん………。



805:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 12:41:02 6FxVXmS+
澪「…………じぃ~~~~」
律(聡)「あ、えっと…」
澪「………顔色はいいしどう見ても気分悪そうには見えないけど。…さてはサボる気だな?」
律(聡)「いや、…その…」
澪「文化祭もうすぐなんだぞ?一番気合い入れてたの律じゃないか」

うう、これは素直に出た方がいいのか…
いやいや俺ドラムできないじゃん。

聡が迷ったその時、

女生徒「ちょっと待ってください田井中先輩っ!!」



806:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 12:42:02 6FxVXmS+
太ぶちメガネにおさげの髪。
背も低い。
リボンがないので分からないが口振りから多分後輩だ。

澪「…?」
女生徒「先輩、約束忘れたんですか??」
律(聡)「え?え?」
女生徒「今日放課後私の相談にのってくれるって約束しました。ええ、しました!」
律(聡)「えええ??」

おさげの生徒はぐいぐいと詰め寄ってくる。
聡は助けを求めて唯を見た。
唯はぽへっと女生徒を見つめている。
駄目だ。

澪「……なんか事情があるみたいだな。分かった、その子の話聞いてあげなよ」
唯「うん、それがいいと思うよ~」

がーーーん、唯さん…!

女生徒「じゃあ、行きましょう!ええ、行きましょうとも!」
律(聡)「あ、ちょっ………ええええ~~~っ???」

女生徒に腕を組まれた聡はぐいぐい引っ張っていかれる。
唯が手を振っている。

さようなら…



807:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 13:04:13 6FxVXmS+
人気の無い校舎の裏庭まで来るとやっと女生徒は足を止めた。

女生徒「ふう、ここまでくれば大丈夫か…」
律(聡)「……あ、あのー…」
女生徒「私だよ、私!」
律(聡)「え、誰?」
女生徒「わたし!り・つ!」

そう言って女生徒はカツラととメガネを取る。
―あ、俺だ。
聡が納得するのを見ると、律は再びそれらを装着した。

808:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 13:05:00 6FxVXmS+
聡(律)「聡が文化祭で使ったやつ勝手に借りた。オカマバーだっけ?」
律(聡)「うっ、思い出したくないのに……」
聡(律)「あは、ゴメンゴメン。ちょっと、心配でさ。……………」
律(聡)「あ……………」

会話が途切れた。
何となく2人そわそわして視線を巡らせる。
その末にバチっと視線が合った。

2人「……………」

聡も律もゆでダコのように赤くなる。
しかしその事は決してツッコんではいけない。
暗黙のルール(?)だ。

律(聡)「…――か、帰ろっか姉ちゃん…」
聡(律)「そ、そだな…」

律は意味もなくメガネをかけ直すのだった。

809:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 15:19:14 6FxVXmS+
その8・再現作戦

聡は律の部屋にいた。
聡はベッドに、律は椅子に腰掛けている。

聡(律)「聡は何が原因だと思う?」
律(聡)「うーーん………やっぱ階段から落ちたことが原因じゃない?」
聡(律)「だよな。私もそう思う」
律(聡)「どうする?」
聡(律)「よし」

2人は部屋を出ると階段に移動した。

律(聡)「………」
聡(律)「…………………もうやるしかないな」
律(聡)「え?」
聡(律)「朝の状況をもう一度再現する」
律(聡)「ええぇえ??」

810:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 15:20:21 6FxVXmS+
聡(律)「だって、聡だって一生このままは困るだろ?」
律(聡)「そうだけどさ…」
聡(律)「とりあえずそこに立って」
律(聡)「え、ああ。…うん」
聡(律)「私はこの辺だっけな…」

お互い朝の状況に合せてスタンバイする。

聡(律)「………じゃ、いくぞ?」
律(聡)「う、うん」

ごくりと唾を飲んで待つ聡。

律(聡)「…………」
聡(律)「い、いくぞ?」
律(聡)「ど、どうぞ」
聡(律)「いっちゃうぞ?」
律(聡)「いっちゃって」
聡(律)「いいい行くからな!」
律(聡)「いいい行きなさいよ!」
聡(律)「………」
聡(律)「………」
律(聡)「――なあ、姉ちゃん」
聡(律)「なんだ、聡」
律(聡)「これ、戻る以前に死んじゃったら意味ないよな」
聡(律)「………私も今思った」

はああ~~~~…

聡と律は深いため息をついてその場に座り込んだ。
朝の再現作戦失敗。


811:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 15:27:43 6FxVXmS+
その9・最後の難関

結局、特に解決策も見つからないまま夜になった。
そして母のこの一言から新たな問題が発覚したのだった。

母上「あんた達、どっちでもいいからお風呂沸いたから入りなさい」

テレビを観ていた聡と律は思わず顔を見合わせた。

律(聡)「ね、姉ちゃん…」
聡(律)「だだだ駄目だめダメ!」

ぶんぶんぶん!と律は頭を振る。
顔は真っ赤で必死な様子だった。
そりゃそうだ。

律(聡)「…………」
聡(律)「…………」
律(聡)「……ていうかまじな話、もし元に戻れなかったとしたら
こういうのこれからどうするの……?」
聡(律)「…………」
律(聡)「…………」
聡(律)「…………………………………………………………
………………………………………………………………
……………………分かった。」
律(聡)「え?」
聡(律)「――私の身体は私が洗う!」
律(聡)「…――えっ、は!?」
聡(律)「聡、おいで」
律(聡)「あっ、ちょっと…」

812:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 16:00:57 6FxVXmS+
律は聡の手を引っ張って脱衣所へと入った。
なんか、おかしな流れになってきたぞ。

律(聡)「あ、あのさ、姉ちゃん?」
聡(律)「いいから目つぶって」
律(聡)「…ちょ、ちょっと、待ってよ」
聡(律)「絶対目開けちゃ駄目だからなっ。ほら早く!」
律(聡)「………………はい…」
聡(律)「…………」

言われた通りに目を閉じる。
律が服を脱がせにかかる。

………………。

あの、ええっと、うわっ。
………なんか、布の音が生々しいんですけど……

聡(律)「聡、手あげて」

言われた通りに手を上げる。

ん…?
考えてみれば。
これって外から見たらすごい状況なんじゃないのか……?
今、律(の身体)の服を脱がしてるのは聡(の身体)なのだ。

……………。

……………ッ。

かっと顔が燃え上がる。
こ、こここれは考えちゃだめだっ!
おかしくなる…!

聡はぶんぶんと頭を振った。

聡(律)「はい、入って」

全て服を取り払われた聡は風呂場へと連れていかれた。
人の身体とはいえ自分だけ裸なのは流石に正直恥ずかしい。


813:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 16:06:04 6FxVXmS+
長くなりましたラストです

その10・聡の憂鬱

聡(律)「じゃあここ座って聡。身体、洗うから」

聡は言われた通りに湯船のふちに腰掛けた。
律は泡立てたスポンジで身体をこすりはじめた。

ごしごしごしごし…

律(聡)「…………あのさ、姉ちゃん」
聡(律)「なに?」
律(聡)「……こそばいっす」
聡(律)「馬鹿、ガマンしな」
律(聡)「………」

ごしごしごしごし…

(我慢、我慢…)

ごしごしごしごし…

(我慢、我慢、が、まん……)

ごしごしごしごしごし…
(~~~~~~~っ)

律(聡)「っっ、――――も、もう駄目!あはははっ」
聡(律)「あ、こら!暴れるな!…………と、わっ、きゃあ!」

ツルッ…――ゴィン!

律(聡)「てッ」
聡(律)「たッ…」

ばっしゃ~~~~ん!!水柱が立つ。


…………。




814:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 16:07:03 6FxVXmS+
「―――あいててて…」
「いったぁ…」

額がじんじんと痛い。
湯船に落ちたらしく、服はびしょぬれだ。

ん?服?
…俺、服着てる……??
っていうかいつの間に俺が上に…

身体の下には柔らかい感触。

聡はおかしいなと目を開けた。
とすぐ目の前に律の顔。

聡「…――あ。」
律「たたた……………、ん??」

至近距離で目が合う。
湯船の中で身体を密着させたまま二人は固まった。

見る見る、律の顔が赤くなる。

815:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 16:08:01 6FxVXmS+
律「あ、ああ、あ……ッッ」
聡「わああゴメッ―」
律「ままま待て、動くな!動かないで聡っ!」

ぴたっと動きを止める。

律「わ、私がいいっていうまで動かないで…。目も絶対開けちゃ駄目だからな…っ」
聡「わ、分かった…」
律「……ちょっと、右手あげて聡…」

言われた通り右手を上げると律はゆっくりと器用に聡の下からすり抜けた。
一瞬ボディーシャンプーの香りが鼻先をかすめる。

さばっと湯船から上がる気配。

律「ま、まだだかんな!まだ開けちゃ駄目だぞ!」

ぺた、ぺた…
律の足音が脱衣所の戸の向こうへと消えた。

聡「…………」

どうしよう、俺。どうしよう。

心臓は尋常じゃなくバクバクいってる。

やばいよやばい、これはヤバい。
わああ、と聡は顔を覆った。


律「聡、もういいぞ…」

816:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 16:10:34 6FxVXmS+
脱衣所から服を着た律が顔を出す。
目が合う。
あはは、とお互い笑ってすぐに逸らした。

律「…聡はそのままお風呂入んな」
聡「うん、そうする」
律「………………見てないよな?」
聡「みっ、見てないって!」
律「あ、そう。…じゃあゆっくりな」
聡「おー…」

律が去ると聡はとりあえず湯船から身体を起こした。
何はともあれ元に戻って良かった。
良かった良かった。
うん。

………………。

はあ。
今夜はとても眠れそうにない。


《終わり》
馬鹿ですみません長くてすみません


817:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 16:44:36 2RwgawLc
>>816
ニヤニヤさせてもらったよw
GJ!

818:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 17:15:57 wRwtfyWr
ニヤニヤが止まらないww

819:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 19:03:42 2BWgQPnF
うまいなぁw
GJ!

820:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 19:19:41 PdWmptRt
URLリンク(imepita.jp)

反省してる


821:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 19:29:12 pXJfpDuu
しなくていい

822:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 20:07:50 2RwgawLc
>>820
いいお姉ちゃんだなあ(*´Д`)

823:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 20:16:57 6FxVXmS+
たまに絵とかあるといいのぅ

824:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/26 20:37:27 hwX3gxmz
SSも絵もおつ!
仕事中なのにニヤニヤして大変だったww

825:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 00:08:55 RkJOvmds
(律の部屋)
唯「へぇ、君が弟の聡君かぁ」
聡「よ、よろしくお願いします」
紬「やっぱりどことなくりっちゃんに似てるね」
澪「そう言えばそうかもな」
唯「聡君っ、こっちおいでよ」
聡「え、いや…俺はここでいいです」
律「こら聡。私の横ばっか居てどうすんだよ」
唯「ほらほらおいで~」
紬「どうぞどうぞ」
聡「……………うーん…えっと、じゃあ失礼して…」
律「ええ~ッ行っちゃうの!?」
聡「どっちなんだよ」

826:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 00:11:07 DoCaFe+Z
そっちへいくと帰っちゃうよ

827:聡名作劇場
09/09/27 07:40:09 I/PflbwK
ここSS率高すぎ
何本くらいの作品があるんだよ!

828:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 10:27:37 tGAHbtqr
>>827
すごいだろ~エッヘン
まとめwikiとか作ったら面白いかもね、姉スレみたいに

829:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 11:12:58 RkJOvmds
なんせ本編出番は一分ないですから
次に聡に会える日まで俺達で繋げて行こうぜ

830:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 13:20:24 JixD76Tb
原作に逆輸入されたら嬉しいんだけどなぁw
一コマでも二コマでも

831:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 16:33:30 I/PflbwK
どの位の作品があるか数えたようとしたが多すぎで止めたwww

>>830
律が引きこもる話だったらどうする?

832:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 20:14:12 DoCaFe+Z
聡スレの7割はssで構成されています

833:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 20:39:33 hawIMd0s
残りの3割はSSの感想です

834:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 22:40:10 I/PflbwK
みんなのお気に入りは何ですか?

俺は、聡の恋人の正体が律だった、って話

835:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/27 23:34:32 tGAHbtqr
この前まではゴキブリ(いやいやあずにゃんじゃなくて)が部屋に出た!ってやつだったけど、
今回の体入れ替わりの話が出てしまっては、もはやこれ以外にお気に入りを選びようがないw

836:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 00:55:23 CGHhKNGI
作品が多過ぎます

誰かまとめつくr…つくってくださいホントお願いします

837:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 08:01:46 97tUdY6O
まとめ作ったらすごい量だろうなw
にしてもめずらしく会話が続いてて新鮮だ

>834・835
三つとも俺だw嬉しい
でも最近ネタ尽きて来たな…
ネタくれなのです


838:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 08:32:21 ihh2qk9+
>>837
ぬあんですとお!?三つとも作者同一人物?
でも確かに作風似てるよな(特に「ゴキブリ!」と「入れ替わり!」)
それに、「恋人は律!」と「入れ替わり!」に関しては「その(数字)・~」が共通してるし
気付くべきだった・・・・。

何はともあれGJです!そして、ネタ見つけたらまた書いてくだせえ!

839:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 11:32:57 m6Z2W0SX
俺、まとめ作ろうと思うんだが…
だれか今やってる?

840:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 12:17:04 4TVcEAVV
URLリンク(imepita.jp)

まとめ、ガンガレ

841:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 12:23:36 ihh2qk9+
>>839
mjsk!? 頑張ってください!

842:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 13:46:07 m6Z2W0SX
URLリンク(www21.atwiki.jp)

とは言ったものの…俺の技術じゃ限界だ
すまん…
ID共有できるんで誰か手伝ってくれ
どんどん変更してくれておkです

843:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 17:46:31 jfdo5TH/
1スレ目の聡が律の弟と知らず付き合う梓の奴が好きだったな

844:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/28 23:29:57 +a7i202V
>>839

845:肉体
09/09/28 23:38:45 +a7i202V
↑誤爆

>>839禿しく乙です!!
“聡好きに悪い人はいない”って死んだおばあちゃんの言っていた通りですね!

蛇足ですが混乱を避けるため自分の作品(>>635から)のタイトルは【アネキとボクと、時々ユイ】で…

その内、長編を投下します(誰も死にません多分…)

846:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 01:01:38 BuTFji9R
まとめwikiは聡ソングのページだけ作った

847:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 11:04:22 vCnWi8e/
さとし!姉ちゃんのパンツ売ってくれ!
一枚1000円だす!

848:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 11:08:15 RiUYPIe3
落ち着け新庄w

849:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 11:13:30 vCnWi8e/
新庄は爽やかサッカー少年だからこんなこといわねえよ!

850:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 19:15:30 5Uwt6nEi
とりあえずwikiのSSページとかメニューとか変更しといたぜ
あとはおまいらで適当にSSのっけってっくれ

851:SS「タイムカプセル」1
09/09/29 19:34:54 5Uwt6nEi
日曜日の朝とは素晴らしい。
誰にも邪魔されない、朝。
時間を気にせずに済む、朝。
今日の僕は…自由だ。

「ぐがー、ぐがー」
僕は大きなイビキをかいて寝ていた。
毛布の適度な温かさが心地よい。
ずっとこのままでいたい…と思った。
―が、すぐさま望みは壊された。

姉ちゃんに。

「さーとしーーー!!起きろおおおお!!」
「んー…むにゅむにゅ」
「こら、起きろってば!」
むにゅーっと頬をつねられる。
いでででで。

「起きろってえ!!!」
お次は耳を引っ張られる。
僕は寝ぼけたまま、やはり毛布にくるまっていた。

「ぜぇ、ぜぇ…」
残念、無駄ですよ。

「おらあああああああああああ!!!」
ちょ、チョーキングっ!?
いででででででででぇ!

「うわぁぁぁ!」
「やっと起きたか、馬鹿聡」
…この馬鹿姉は…
人の「わんだふるたいむ」を邪魔しやがって…

852:SS「タイムカプセル」2
09/09/29 19:37:00 5Uwt6nEi

「んー、何ぃ…まだ10時だし…ふぁぁぁ」
「【もう】10時だ!」
変に「もう」を強調しやがる。
まったくうるせぇな。

「へいへい、だから用件は何さ」
「いやぁ、思い立ったら居ても居られなくなってだな。その、あれだ。」

「タイムカプセル!」

「…はぁ」
突然何を言い出すのですかこの姉は。

「今から埋めるっての?それを」
「違う!忘れたのか?10年前に私と聡で埋めたじゃないか!」
「…え?」

…そうだっけ?まったく思い出せない。
うーん…。

「…まぁ忘れてるなら忘れてていいさ。とりあえず、今から掘り返しに行くぞ!」
「げぇ、今から!?」
「そうだ!とっとと着替えな」


―今日も騒がしい一日になりそうです。

853:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 19:40:29 vCnWi8e/
おつ!続き楽しみだw

854:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 19:45:15 5Uwt6nEi
とりあえずバイトなんで続き明日になります。
すみません。

855:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 19:56:27 J/jO6g8z
どさくさにまぎれて「時を超えた聡」と話が混ざってくれたら面白い

856:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/29 21:21:56 RiUYPIe3
できんことはないと思うがまだ作者が帰って来るのを期待したい…!

857:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/30 01:04:11 tk4Z7aDi
聡「中に変なマークの旗や未来のことを書いた日記とか入ってないよな…」

律「どうしてそれを?!」

858:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/30 01:41:04 IW9nY/7d
その一年後、律は出産した赤ん坊を母と俺に託して出ていった…
最後まで彼女は赤ん坊の父親については語らなかった。

そして…

聡「俺の名はKE・N・GI!!!!!」


《完…!!》

嘘ですすんません


859:恥の事 1
09/09/30 08:02:47 inXvdfn3
聡「最近、僕のニセモノが出たんだって」
律「聡のニセモノが?」

弟の聡のニセモノが現われたらしい。一体誰が何の理由でそんな事をしているんだろう?

数日後、学校の帰り道で聡を見つけた

律「おーい聡!」

聡は振り返った。しかしそれは聡では無く、そっくりの別人だった

律「お前、聡のニセモノだな!」
恥「俺は恥、聡のニセモノだよゲヘヘ…」
律「なんで聡の真似をするんだ!」
恥「真似じゃない、お前達が俺を生み出したんだ」

私達が生み出した?私達が望んだ事なのだろうか、ニセモノの存在を

恥「聡もじわじわと人気が出て来て、もうすぐ3スレ目だ」
律「3スレ目って、何の事?」
恥「…しかし人気が出れば危険な目にも遭い易くなるゲヘヘ…」
律「・・・」
聡「聡だってペロペロされたり、ちゅっちゅされたりするかも知れない」
律「聡がそんな…」
恥「そんな時俺が生まれた。聡の身代わりになる為にゲヘヘ…」
律「お前はそれでいいのか?」
恥「俺は、聡が幸せなら構わないさ」

860:恥の事 2
09/09/30 08:07:22 inXvdfn3
そうか、だからこんなボロボロの格好をしてるのか…
私はシャツの袖で恥の口の周りの血を拭いてあげた

恥「よせ…服が汚れるぞ」
律「いいんだよ!それよりも、ありがとな…」
恥「ふ、俺は聡の影だからなゲヘヘ…」

そして恥は消えて行った。あれから恥に会う事は無かった
でも私は知っている。いつでも恥が聡の事を守ってくれてる事を

―完―

861:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/30 08:42:58 4mfG6vTm
津と恥は姉弟なんですね分かります

862:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/30 09:10:11 IW9nY/7d
ええ話ジャマイカ…


863:聡に何かあったら…
09/10/01 00:13:54 4C/QWAk2
恥「『タイムカプセル』の続きが気になるぜ
でも俺の出番がなければいいがなゲヘヘ…」

864:名無しさん@お腹いっぱい。
09/10/01 22:35:07 d1OoO5vE
自分を売る

865:肉体
09/10/01 22:55:35 4C/QWAk2
『タイムカプセル』の作者さんへ
続きは先になりますか?すぐなら待ちますが、自分もSS投下したいんで…
これ見たらお手数ですがレスお願いします
せっつくようでスミマセン

866:名無しさん@お腹いっぱい。
09/10/01 23:22:55 4hHTmSIN
別に気にせず投下してもいいと思うよ。作者さんももしかして行き詰まってるのかもしれないし…
アンカつければちゃんと分かるしね

867:肉体
09/10/02 02:32:07 SUbrz0L7
SS投下します…
かなり長くなりそうで、3~4日かかるかも知れません
全6話の予定です(序.春.夏.秋.冬.終)
でわ行きます!

868:名無しさん@お腹いっぱい。
09/10/02 02:33:12 aWbXp8bZ
どうぞ

869:僕は田井中律、18才
09/10/02 02:36:25 SUbrz0L7
どこにでもいる普通の男の子だ。ただ普通ではない事があるとすれば、それは・・・


『その女、凶暴につき(作:肉体)』


姉と僕は二人でカラオケボックスにいた、時間は既に午前2時だ。姉は相当酔っ払っていたがそれでも歌い続けていた

律「聡ぃ、お前も何か歌え~!」
聡「お姉ちゃんいい加減にしてよ、僕は浪人生なんだよ!それなのにこんな所に連れ回して」
律「いいじゃねえかよ~お姉ちゃんの事、嫌いなのか~?」

姉はつい先日恋人と別れたばかりだった。恋人は姉の大学の同級生だ。線が細く優しそうで、いかにも尻に敷かれそうな人だった
姉は失恋の悲しみを酒と歌で忘れようとしているのだ、弟も巻込んで
いつの間にか姉は泣いていた

律「何が“君はパワフルすぎて僕には合わない”だ、人をゴリラみたいに言いやがって!…グスン」
聡「お姉ちゃん…」
律「…zzz」

870:その女、凶暴につき(序章2)
09/10/02 02:39:48 SUbrz0L7
眠っていた…
僕は姉を連れてカラオケボックスを出た
帰り道、姉は目を覚ましそうになかったので僕がおぶっていた。家までは近いが結構な重労働だった
最近太ったんじゃないかな?

突然、姉の声が聞こえて来た

律「聡、ごめんな…」
聡「起きてたの?
…別に気にしてないよ」

この時僕は姉の事を愛しく感じた。姉はいつも強がっているけど、根は繊細で傷付き易い性格なのだ
しょうがないな…

しかしこの後、姉のせいで更なる災難に見舞われる事を、神ならぬ身の僕が知る由もなかった

871:肉体
09/10/02 02:43:04 SUbrz0L7
>>869
僕は田井中律 ×
僕は田井中聡 ○
いきなり間違えた!恥ずかしい…

872:名無しさん@お腹いっぱい。
09/10/02 09:08:27 iC9Hwee/
>>871
一瞬??になったがすぐ分かったから大丈夫w
どうぞ続けてくださいな

873:名無しさん@お腹いっぱい。
09/10/02 09:28:43 iC9Hwee/
連投になっちゃうけど、この前wiki編集しようと思ったら規制がかかってしまいました。
海外からは編集できないんだそうな・・・・

「このwiki管理者と海外投稿を許可する設定変更の協議を行ってください」

との事ですが、いかがでしょう?許可していただけますかね?

874:その女、凶暴につき(春1)
09/10/02 16:03:01 SUbrz0L7
季節は春
僕は現在予備校に通っていた。予備校と家を往復するだけの単調な日々が続いていた

ある夜の事、僕は部屋で小説を読んでいた。読書が僕の唯一の娯楽であった
今読んでいるのは『ラミー・ペーン推理短編集全5巻』だ
前から欲しかったが絶版だったので手に入らなかった。だが最近になって偶然古本屋で見つけたので購入した
時間は午後11時、寝る前にこの本を読む事が最近の僕の楽しみだ。読み進めて行くうちに物語に入り込んでいた

探偵《え~今回の事件の犯人は…》

律「聡いるか~?」

875:その女、凶暴につき(春2)
09/10/02 16:04:55 SUbrz0L7
しかし、そこに闖入者が現われて僕は現実に引き戻された

律「聡、入るぞ!」
聡「わっ、ノック位してよ!」
律「ドンマイドンマイ!それよりも勉強は捗ってんのか?」
聡「うん順調だよ」
律「そうか~、それより今度…」

いつの間にか僕は本を読み出していた。続きが気になって仕方が無かったからだ

律「~なんだよ、でさぁ…聞いてんの?」
聡「うん…(犯人は被害者の妻だったのか!)」
律「で、どっちがいいと思う?」
聡「うん…(動機は恋人のかたき、妻なのに?)」
律「・・・」
聡「うん…、え?」
律「ふざけんな!聞いて無いじゃないか!!」

しまった!思わず生返事をしていた
姉は僕の手から本を取り上げて、更に机の上の残りの4冊も持って部屋から出て行ってしまった

876:その女、凶暴につき(春3)
09/10/02 16:07:37 SUbrz0L7
僕は暫く呆然としていたが、我に返って姉を追いかけた
姉は応接間にいた、そして手元には目茶苦茶に破かれた本の残骸があった

聡「なんて事を…」
律「聡が悪いんだぞ!私の話を聞かないから…」

僕は残骸の一つを拾い上げて…
思いっ切り姉の近くに投げ付けてやった!

聡「お姉ちゃんのバカ野郎!!」

その勢いのまま自分の部屋に戻ったが、頭に血が登ってイライラするだけだったので外出する事にした。部屋を出て玄関で靴を履いていたら姉が近付いて来た

律「聡、ゴメ…」
バタン!!!!

姉を無視して僕は玄関の扉を、わざと大きな音を立てて閉めた。そしてコンビニで立ち読みした後に、公園に行きベンチでジュースを飲んでいた
所詮浪人生の僕が夜に遊びに行ける場所なんてない

そうだ鈴木から“合コンやるから来ないか”ってメールが来てたな

行ってみようかな

なんか虚しい…
いつの間にか涙が流れていた
僕は暫く泣いた

877:その女、凶暴につき(春4)
09/10/02 16:11:37 SUbrz0L7
数日後、予備校から帰って部屋に戻ると机の上に紙袋が置いてあった。中を開けてみると、なんと『ラミー・ペーン推理短編集全5巻』だった!
…そういえば姉は最近やたらと帰りが遅くなっていたが、その理由がこれだったのか
よく見れば5冊は出版社もバラバラで、古さの度合いもそれぞれ違った。同じ本屋でまとめて買った訳では無く、色々な本屋を探し回って集めたんだ

暫く姉とは口を聞いてなかった
ちゃんとお礼を言わなきゃな…

だがまたしても僕の身に大変な事が起こるなんて、神ならぬ身の僕が知る由もなかった


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