09/08/30 07:20:37 hiVG5ybt
>>102でいいだろw
「さとしのなく頃に」
551:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 08:55:52 13MWh0UQ
>>548
聡が澪たち5人に振り回される方向で
552:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 09:37:42 Hq0sYJF/
>>547
おいまさか・・・・
ご
分
律
553:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 10:21:28 hiVG5ybt
聡「やられたぜ・・・」
554:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 19:23:25 yL2rhSrv
聡「ふう…自民党いれてきたぜ」
555:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 19:52:36 13MWh0UQ
聡「まさか新庄が姉ちゃんを…。」
556:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/31 01:47:02 CIHRQKZ8
みんな聡は何歳だと思ってる?
実は小学生(11~12)じゃないかと推測
557:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/31 01:50:56 +VUNVzh8
中学生で確定してる
ソースはBD特典プロフィールカード
558:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/31 07:07:27 TIYFlCNT
25 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 12:31:14 ID:foYZPj2h0
| | ', | | ',
| | ',_____ j ! \__
| | ,イ゙ー´ィl |__ __]===、
r| | >‐t//_/ij |...ノ | | `ヽ. ノl
|.! |¨|´ | //| ̄i /i | / i! ! r‐'/ ',
i| | |i | j/テ| | l .| | j! | | ,イ/ ',
!| | |! | 〈ー〈 /| | i .| | / | レ'∠ i|
|| | | || | | | | | | .| || j {`ヽ. |
f'レ|_. | || |‐'! | il || | || /レ!: : : ヽ. l|
|: :.\! || | | | | | レ'!: : :!: i: : : : :| |
|: :!: :i!ヽ| ! i | | ,イ: !: i: : :i: :!: : : : :! _,..-' ノ ねーちゃーん~
!: :i: :!i: : ヽ'、 | | /,:':!: :i: :!: : !: :i: : : : :i {_,.イ| 俺世界を破壊してきていい~?
',: !: :i:!: : : : Yi |f: : :|: ::!: |: : i: ::!: : : : | l
Vi: :!:i: : : : :|| ||、: ::!: ::l: !: : l: : i: : :∨ / /^ヽ─---..__
',!: l: !: : : :ノ! ||ゝ、:!: ::i: !: : !: : !: : /─-'..__〈 ノL──----... ̄`ヽ.
',::!: i: :/! i i \: !::!: : i: : l: ∧ Yゝ='_ ``ヽ─----.....¨ ̄ ̄\
. ',-K'! l .| | | | |`|¨|k─‐''_>-,ィ´ ̄ ̄!i ̄`ヽ | .∨  ̄ ̄ ̄`|
ゝt| .! | | | | | | `メ、 /´} ij___ノ | |´ ̄ ̄ ̄`ヽ.. !
Lj、j .| | i | レ' ̄ /77 ̄ ̄i¨| ̄ ̄`ヽ.! | ∨. |
\ L_j L_j 、' _r─‐' ゝ__人___ノリ .! ', |
ゝ‐r‐`ーソ-'/ / / /ヽ.._/  ̄|| / ,イ | ',. j
r‐' // //〈 / / /| ̄`ー'j___// ノ| ',||
| ,. ',. './ // V / / \`ー----‐' / `>、 iリ
_,..ィ / / / /´_,,..... / / / \___,イ ', \ レ
__,..∠ ,.' ,.'./ /-‐' __j/.| / / _/} || ',. \ /
559:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/31 07:08:43 TIYFlCNT
|
│,、--,-- 、_ l.l、
│ll--ll .nヽl l
│ll o.ll ,、ll ll .ll l
│ll 0ll l:l.ll ll ll .l
│ll 8.ll l:l.ll ll .ll l >>1に乙出来るのは、僕だけだ!
│ll l.l.ll ll.ll.ll ll.トl
│lトH ll tl.llトll〈 ll
│´ l:l ` `ヽ〈.ll
│ 、.l:l__ .ノ/H-`‐ ,‐-- ___ , -,-‐‐---、
│ ____, -‐// /// l l.l.l l l.l.l l l.l:::,.-、:::::l
│ ___n /7/////.l l l.l.l l l.l.l l l.l:::l:::::::ヽ::l
560:聡
09/08/31 20:55:35 pYh2ZRN8
関東の人台風どう?
561:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/31 21:34:37 +VUNVzh8
神奈川県西部だけどすっかり通り過ぎた
風もなし
562:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/01 17:16:10 7w0VeIaZ
聡&新庄&鈴木(弟)@キャラットに登場できなかった理由
(>>496の続き)
純「一朗!たっだいまー」
鈴木「おかえり、姉さん。プールはどうでした?」
純「楽しかったー!・・・で、具合はどう?」
鈴木「まだ、左ふくらはぎに張りが・・・」
純「まったく・・・でも、それくらいですんでよかったね」
鈴木「せっかくのイベントが『流れ』ちゃいました」
純「笑えない冗談はいいって・・・憂も梓も心配してたし、残念がってたよ?」
鈴木「プールで遊ぶくらいは、僕ら3人とも全然問題なかったんですが・・・」
純「ダメ。あんな事の後に、プールで事故とかシャレにならないから。しばらく大人しくしてなさい、この悪ガキ3人組が」
********************
新庄「いや、だから母さん、もう大丈夫なんだってば」
母「もう、剛志ちゃん・・・わがまま言わないで」
新庄「中学生にもなって母親に食べさせてもらうって、ありえねーって!」
母「剛志ちゃんはケガ人なのよ?ぜんぜんおかしくないわ(ニコニコ)はい、あ~ん・・・」
新庄「だからケガなんかしてないんだよ~~カンベンしてくれ~~」
母「うう・・・剛志ちゃんにもしものことがあったらって・・・ママ、生きた心地がしなかったのよ~・・・グスッ」
新庄「ぁぁぁ~~ごめん、母さんを泣かせるつもりは・・・」
母「はい(ニコニコ)じゃあこれ・・・あ~ん」
新庄「あ、あ~ん///」
********************
聡「ねーちゃん、いいかげんに機嫌なおしてよ」
律「・・・・・・」
聡「本当に悪かったって思ってるから」
律「聡・・・おまえが川に落ちたって聞いて、私がどんだけ心配したか本当にわかってるか?」
聡「・・・・・・」
律「はぁ・・・でもよかったよ・・・本当に・・・」
聡「ごめんね・・・ねーちゃん」
律「うん・・・しかしおまえら3人なにしてたんだー?プール行く前の日に、川で水遊びでもないだろーが」
聡「それは・・・」
563:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/01 17:18:00 7w0VeIaZ
~ 24時間前 ~
シャーーーッ!(自転車に乗っている3人)
新庄「イヤッホーーーッ!これで明日も勝つ!」
聡「おい、ちょっとスピード出しすぎだって」
鈴木「しかし姉さんに言ったら、意外とすんなり決まりましたね」
新庄「でかしたぞ鈴木ー!ハッハッハーッ!ウェルカム!トリプルゥ~デェートッ!」
聡「デートというか、みんなでワイワイとプールで騒ごうってことなんだろ?」
鈴木「まあ、それはそうなんですがw・・・お、ちょっと河原の道を行きませんか?」
新庄「いいぜー、うひょー!川の風が気持ちいいー!」
聡「なんでこっちを通るんだ?」
鈴木「前からやってみたかった事があるんですよ・・・ヒア・ウィー・ゴー!ってね」
新庄「ああー!『えいけん!』のオープニングだなー!?」
聡「右手あげていっせいにヒア・ウィー・ゴー!ってやつ?あれって女の子4人でやってたろ」
鈴木「細かいことはぬきにして・・・せーの!」
新庄「ヒア・ウィー・ゴー!」
聡「ヒア・ウィー・ゴー!」
鈴木「ヒア・ウィー・ゴー!」
新庄「ハハッハハッw!バラバラだーw!」
聡「やめようぜーwこのスピードで片手運転はヤバいってw」
鈴木「なんのなんのwもう一回!」
聡「・・・(ウィー・・・憂ー、なんちゃってw・・・しかし明日は憂さんの水着姿が見れるのか)・・・」
新庄「ほらほら、田井中が先頭いけよー」
聡「ん?あ、ああ・・・(憂さんの水着ってどんなのだろ。ふ、ふふ・・・)・・・」
鈴木「それじゃ、せーの!」
聡「ヒア・ウィー・ごっ!?」
(バナナの皮)
聡&新庄&鈴木「アッー!」
(おしまい)
※あたりまえですけどwマネしないでください。非常に危険です。
564:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/01 23:14:06 lCsvvJkt
徐々にトリプルデートに近づきつつあるw
565:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/02 21:53:21 S5BxCpP1
>>563
乙! 面白いわww
566:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/02 23:47:53 iTroV1wT
朝晩涼しくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか
>>522にキャラソン予想歌詞が投下されましたので曲をつけてみました
一部歌詞を変更したところがあります
歌メロはオルガンの音で演奏されてます
URLリンク(www1.axfc.net)
『だって男の子だモン☆』
一家に一人 うるさくって迷惑な人
それが自分のねーちゃん
「漫画貸して」
「ゲームしよう」
「映画見よう」
いちいち僕の部屋に来て
そりゃまあ抵抗はあるけど
やっぱ☆憎めないんだ
だってだって☆だってだって☆楽しいから
デリカシーの意味
理解できてる?
ノックくらいしろよな
まぁ異性の部屋だし
そういうの気にしちゃうから
だって男の子だモン☆
リズム割り付け
いーいっかにーひーとーりー
うーるさっくーて めいわくなひーとー
それがじーぶー(ん)のねーちゃー(ん)
まーんがかーして
ゲームしーよ
えいーがみーよお
いちいちぼーくーの へやにきーて
そーりゃーまーあ ていこーはあるけど
やっぱー にくめないんだー
だーてだーて だーてだーて たのしいかーらー
デーリーカーシーいーのーいーみー
りかいでーきてるー
のおくぐらいしろーよなー
まーいせいのへやだしー
そーゆーのー きにーしちゃーうーからー
だっておとこのこー だも(ん)
567:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/03 00:56:51 TpOnOHyb
>>566
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
GJすぐる!
実は自分も曲つけてみようかと思ったのだが、結局面倒になってしまった
IV - V6/V - V の所とかもう最高だぜ
何度でも言う。GJ!
568:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/03 01:07:19 rYkVKWG5
>>566
名曲降臨キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!
GJ!!
569:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/03 01:31:10 NcSg8ChR
>>566
うはwwwwwGJ!!!!!!
570:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/03 08:56:21 hOxMMDfT
GJ!!!!
スクエアの安藤さんも誉めてたぜ
571:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/03 18:56:29 aN8i2StN
>>566
すげえええええええ
最高
572:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/04 22:13:01 YdOuPaMF
聡キャラソンは本当に良かったが、それ以来若干過疎り気味かな?
573:566
09/09/05 00:06:22 YW+e2Hf9
聞いてくれた人ありがとん
>>567
IV - V6/V - Vと言っているのは多分
A(漫画貸して)-F#/A#(ゲームしよう)-B(映画見よう)のことですね
ここは比較的あっさり決まりました
>>570
スクエアの安藤さんと知り合いとはあなた何者ですかw
>>572
ダウンロード数は自分を省いて2日で17です
盛り上げなければ
作詞者の人へ
ブログにアップするので詩も載せさせて下さい
574:567
09/09/05 00:30:55 SQmRJWlP
>>573
その通りです。よくお分かりでw
この曲はE Majorだったのですな。当方は絶対音感を持ち合わせておらぬもので・・・・
575:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/06 22:11:45 Szz8wQyE
このスレのさとりつSSに影響されて、自分でもいくつか短編ものを書いてみたんだが
投下する勇気が出ない・・・・・・
誰か「さとりつ読みたい!」って方いらっしゃいますかね?
576:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/06 22:36:38 PHu/6+yh
是非!ヽ(*´▽`)
577:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 00:55:52 zTdow1dC
>>575
居るに決まってるだろ
書いて下さいマジお願いします
578:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 01:47:39 ssmkm3/f
>>577
そんな言い方したら迷惑だろ
>>575
私からもマジお願いします
579:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 02:47:01 ivbnYDng
>>576-578
wwトンクス
勇気を出して投下してみます。メチャクチャ凝った設定とか考えてあるけど、とりあえず説明無しでもいいかと。
ただ、成分は100%さとりつで、他成分は皆無なのであしからず。
では、まず一つ目・・・・
580:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 02:48:00 ivbnYDng
さとりつ:アイスクリーム編
ある真夏の日の午後。
「しかしあっついなぁ・・・・・。」律が手をかざして、ぎらぎらと容赦なく照りつける太陽を見上げながらため息をついた。
「ヒートアイランド現象ってやつかな?」聡も汗をぬぐいながら言う。
「まったく、どれもこれも人間の所為なんだろ?出て来い、責任者!一発殴ってやる。」
「というか姉ちゃんも人間なんjy・・・・・」
「・・・・あっちぃ~~もうダメ。」
「・・・・・・。お、見て見て姉ちゃん、あそこにアイスやさんあるよ。」涼しげな看板を指差しながら聡が言った。
「うっほ~!ありがたやありがたや!人類の生み出した避暑法の極みだなぁ、ハハ!灼熱地獄からの脱出のチャンスだ!」
「いや、その灼熱地獄を作ったのが人間なんj・・・・・」
「おーい、聡!早く来いよ!」
「(って聞いてないし)・・・・・ま、待ってよ姉ちゃん!」姉に続いて聡も駆け出した。
「おおーっ!色々あんなー!聡、何にする?」
「姉ちゃんは?」
「聡が選んでから決める。」
「何だよそれ。うーんとね、じゃあ・・・・・・・・・これ!」聡は鮮やかなピンク色のアイスを指差した。
「ぷっ、それがいいのか?」
「今ぷって言っただろ?何だよぷって。」
「いや、なんでもない。」
「一応言っとくけどアイスの色なんかで・・・・」
「・・・・・アイスの色なんか関係ないよな。」律が聡を遮った。「ただ、好きなのを選べばいい、そうだろ?・・・そういや前にも約束したよな。男らしいとか女らしいとか、そういうことはもう絶対に言わないって。悪かったな。」
「あ、いや別に分かってもらえれば・・・・・。」
「ってなわけで私コレ!」と言って、律はココア色のごつごつしたアイスを指し示した。
「ね、姉ちゃん・・・・・」
「ん?何だ、聡?」
「な、何でもない・・・・・。」
581:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 02:49:18 ivbnYDng
「ストロベリーチーズケーキ味を一つと、ダークチョコレートファッジを一つお願いします。」
姉よりも先に聡が注文した。店員は注文を確認すると、アイスを盛り付け始めた。
「姉ちゃん、これからどうする?」
「そうだなぁ。もともとは近くのスーパーで買い物して帰る予定だったけど、こう暑くちゃな~・・・・。」
「でも今日の晩御飯は?」
「ない。」
「いざ、スーパーへ。」
アイスを受け取り代金を支払うと、二人は歩き出した。
「どうだ?ピンクは?」歩きながら律が聞いた。
「ピンク言うな。美味しいよ。姉ちゃんも食べる?」
「よし、交換だ。」使い捨てスプーンは手に持ったまま(←コレ重要)、アイスの入った紙製の容器だけを交換した。
「おお!姉ちゃんのも美味しいな。」
「うむ、うまいな。こっちのほうが甘いぞ。私ののほうが渋い感じだな。」
「文句あるんなら返してよ。」
「嘘嘘、っていうか、文句は言ってないぞ?この甘さ、癖がなくっていいじゃん。」
「じゃあ姉ちゃんには向かないんじゃ・・・・」
「ああ?わんかうぃっらか?」そういいながら律はスプーンを口にくわえつつ、聡の左頬を軽くつねった。
「イテテテ。痛いよ姉ちゃん・・・・・。」
「おっ、聡のほっぺた冷たいなー。」
「え?ああ、まあそりゃアイス食べてるわけだし・・・・。」つねられた部位をさすりながら、聡が言った。
「そっか。」
「姉ちゃんだって・・・・・ほら。」聡は律の右頬にそっと手のひらを触れる。
「ちょ・・・・・おま・・・・・熱いぞ!この暑いのに・・・・・。」
「つねってない分そっちのほうがましだって。」
「あ、アッハハハ。スマンスマン。よーし!アイス食べながら晩飯でも買いに行くか!」
「そうだね。はい、これ返す。」
それぞれ自分のアイスを受け取り、小さなスプーンで忙しく口に運びながら、二人は並んで歩き出した。
焼き付けるような夏の陽の光の中でも、凍てつくような冬の寒空の下でも、彼らの間にはいつだって、柔らかな優しい温もりが絶えないのであった。
582:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 02:50:22 ivbnYDng
________
「姉ちゃんこっちの食べすぎ。普通一口だろ、一口。」
「弟よ、私の一口は大きいのだよ。」
「ハイハイ・・・・。」
(完)
583:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 02:52:25 ivbnYDng
うわ、なんか恥ずかしいな・・・・・。
好評だったら、二つ目は20~30時間後くらいに投下します。
584:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 02:57:03 ljugqBpj
GJ!!
俺も妹とこんな関係を築きたい・・・
585:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 08:14:31 csFNz4SO
お疲れー
癒された
どんどん投下していこうぜ!
俺もまた書きたくなってきたぜ
586:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 09:12:34 iXS3KxfJ
>>580-582
GJ!スレの刺激になるのでぜひ継続してくれ
587:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:19:43 ivbnYDng
>>584-586
どうもです!
それでは予告通り二つ目を投下します・・・・
588:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:20:32 ivbnYDng
さとりつ:勉強編
ある土曜の夕食後。
「おい、聡ーっ。」ドラムの練習をしていた律が、夕食の片づけをする聡に向かって明るく叫んだ。
「何、姉ちゃん?」食器を洗いながら聡も叫び返す。
「終わったら私の部屋に来い、以上っ。」一方的に伝えると、律は再びエレクトロニックドラムセットを叩き始めた。
「(まったく、何が「私の部屋に来い」だよ(どこかのツンデレじゃあるまいし)・・・・。今日は当番だったから仕方ないけど、ちょっとくらい手伝えよな・・・・・。)」
「で、何だよ、姉ちゃん?」タオルで両手を拭きつつ、片づけを終えた聡が二階へ上がってきた。
「ゲームしよーぜ。」
「は?」
「ゲームだよゲーム。最近やってないじゃん?」
「また唐突な・・・・・。」
「いいじゃんか。今日は土曜日だし。」
「宿題とか勉強とかしなくて良いのかよ。」
「そんなに勉強ばっかしてたら、身体中脳みそになっぞ?」
「ならないよ。」
「あ、そう。じゃあ、聡は今勉強がしたいんだ。そーかそーか・・・。」
「別にそういうわけでもないけど・・・・、姉ちゃんだって月曜日にテストあんだろ?」
「そりゃあるにはあるけどさー。そんなの日曜日の夜澪ん家で一夜漬けすr・・・・」
「澪姉もそろそろ姉ちゃんのこと見放すぞ。」
「(ピキーン!)・・・・そ、そ、そそそそそんなっ!!!」
589:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:21:24 ivbnYDng
「で、なんで一緒に勉強することになるわけ?」
「そのほうがお互い捗るじゃん?」
「余計気が散るような(ブツブツ・・・・)」
「何か言ったかー?」律は横に居る聡の耳を引っ張った。
「言ってない言ってない。っていうか痛いよ姉ちゃん。」
「よおし!まずは数学だ!」
「それじゃ、同じく。」
(・・・・・・・・・)((1)次の二次関数の頂点を求めよ2x^2+6x+1/2=0)
(・・・・・・・・・)((1)次の総和を求めよΣ[k=1, n]{1/(k^2+k)})
(えーと、2x^2+6x+1/2=0だからまず最初の二項を2でくくって・・・・っと。)
(Σ[k=1, n]{1/(k^2+k)}・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・。ナンジャコリャ!?)
(そうすると2(x^2+3x)になって、これは2(x+3/2)^2-9/2だから・・・・・)
(素直に計算してみるか?うぇーっと、1/2+1/6+1/12・・・・・お?規則性がある?)
(最初の式は2(x+3/2)^2-4=0ってことで、頂点は(-3/2, -4)だな。)
(そうか、これは1/1・2+1/2・3+1/3・4+・・・・・になっているんじゃないか?って、そんなの当たり前だあ!k^2+k=k(k+1)だった!)
((2)(1)の二次関数のグラフをx軸方向に+6、y軸方向に-1/2平行移動し、x軸に関して対称移動、さらにy=軸に関して対称移動したグラフの式を求めよ)
(うう・・・・・・って言うかこれ本当に収束するのか?まさか∞だったりして・・・・)
(結構面倒だな。うーん、まず平行移動すると2(x-9/2)^2-9/2=0で・・・・・・・)
(いや、そんな単純なはずない。きっと値があるんだ。っていうか上がnじゃないか!だったらnの関数になるんじゃないか!)
(これをx軸に関して対称移動すると・・・・・・-2(x-9/2)^2+9/2=0で・・・・・・・・)
(待てよ、n=∞の極限を取ると、1/(k^2+k)はゼロになるんじゃね?とすると・・・・。)
(さらにy軸に関して対称移動すると-2(x+9/2)^2+9/2=0になr・・・・)
「だあっ!もう分かんねぇ!」痺れを切らした律が突然天へ向かって叫んだ。
「うわっ!」突然の発声に心底驚いて飛び上がる聡。「ね、姉ちゃん、やめろよ・・・・・・。ビックリするだろ・・・・。」
「え?あ、わりぃわりぃ。それより聡、お前調子はどうだ?」
「まあ、いいけど。」
「癪に障る。調子を悪くしろ。」
「んな無茶苦茶な・・・・・。」
「んじゃあ私に教えてくれえぃ!」
「中二が高二の内容分かるわけないよ・・・・、澪姉にでも聞いてみたら?」
「全くこんな問題が何の役に立つって言うんだか・・・・仕方ない、澪でも電話するか。」
「(少しは人の話を・・・・・ってかそれ今提案しただろ(泣)。)」
590:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:22:30 ivbnYDng
「ああ、もしもし?澪?ちょっと聞きたいことがあるんだけどさぁ、澪が今度のテストに出るって言ってた範囲の最初の問題なんだけど。そうそう、総和のやつ。あれどうすんの?」
電話の向こうで澪は嫌味の一つも言わずに丁寧に教えているようだった。
「何?ブンブンブン?・・・・・蜂が飛ぶ?」
「ぷっ。」これには聡も吹き出してしまった。律も聡をチラリと見て、つられて自身のギャグに軽く笑いながらも、澪の言葉を反復した。
「ブブンブンスウブンカイ?ああ、部分分数分解か。そう言えば何かそんなこと習ったな・・・・。」
「ふむふむ、1/(k^2+k) でそれをやるのか・・・・。まず1/k(k+1) だよな。うん、それで?は?これがそうなるのか?何でだ?どうすればそうなるんだよぉ、澪ーっ・・・・・・。」
しばらくの間、熱心に説明をしているらしい澪の話を聞いてから律は電話を切ると、うなだれるようにテーブルの前に座り込んだ。
「なんでこれが1/k-1/(k+1)になるんだよ?まったく澪のやつ・・・・。」
「澪姉教えてくれなかったの?」
「分かるようには教えてくれなかった。」
「(いや、それは教えてくれたけど姉ちゃんが分からなかっただけじゃ・・・・・・)」
「ああん、もう!これだから勉強ってやつは!」
「ちょっと見せて。」仰向けに転がってしまった律に向かって、聡が言った。
「・・・・・・もしかしてこれって、ただ単に分子にプラスしてマイナスすればいいんじゃないの?」
「さ、聡お前分かったのか?」途端に緊迫した様子の律がガバッと起き上がりながら言った。
「分かんないけど、これほら、1/k(k+1)=(k-k+1)/k(k+1)だろ?」
「うん、まあそうだな。kを足して引いたら同じだよな。」
「そうすると、{(k+1)-k}/k(k+1)=(k+1)/k(k+1)-k/k(k+1)になるだろ?」
「ちょ、ちょっと待った。えーっと・・・・・・・・あ、分けただけか。ふむ。」
「で約分すると、1/k-1/(k+1)なんじゃない?」
「聡、お前天才か?何が凄いって、この私に分かるように説明できたんだぞ?澪にも出来なかったのに。」
「そっちかよ・・・・。僕まだ中二なんだけd・・・・・」
「澪のやつ方程式を解くとか訳の分かんないこと言いやがって・・・・・。」
「ね、姉ちゃん・・・・。じゃ、じゃあこれから僕は一人で勉強するから。それじゃ。」
「え?ちょ、ちょっと、おい聡!」
「あ、それと・・・・」聡は思い出したように振り返った。「続きも頑張ってね、姉ちゃん。」
「・・・・・・あ、ああ。」弟の飛び切りの笑顔を前にしては、笑顔で返すしかなかった律であった。
「お前もな。さっきはありがとな。」
591:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:23:12 ivbnYDng
________
「コンコン。なあ、姉ちゃん。やっぱり何か寂しいから一緒に・・・・・」
「・・・・だから分かんないんだって!みーおー、もっと分かりやすく説明してくれよー!聡みたいにさぁ!ああもう、聡を逃がすんじゃなかった!」
聡は無言のまま静かに扉を閉めたとさ。
(完)
592:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:26:04 ivbnYDng
我ながら読みにくいですね・・・・。もっと改行したりしたほうが良いのかな?
でもメンドイのでw、この調子で三つ目も投下しちゃいます
593:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:45:02 ivbnYDng
さとりつ:電車編
とある休日の夕暮れ時。
「・・・・・ドアが閉まります、ご注意ください。」
「はい三番線ドア閉まりまーす。ご注意くださーい。」
ピコーンピコーンピコーン。ヒュイーン・・・・・・。ウィーイイイイーーーーン・・・・・・・
「ふう、間に合った。」
「あーぶなかったなー。」
聡と律は、ある用事で遠出をした帰りの電車に乗っていた。
「快速に乗れたのはラッキーだったよなぁ。」
「そうだよね。これ逃したらしばらく快速はなかったもんね。」
「お、席空いてんぞ。聡、お前座んな。」
「え?いいよ、姉ちゃん座りなよ。」
「いいからいいからっ。」そういうと、律は半ば強引に聡の肩を取って、座らせた。
「ふぅー・・・・・。」
「随分とお疲れのご様子ではあーりませんか。」
「う、うん・・・・ちょっとね・・・。姉ちゃんは平気なの?」
「私はほら、体力だけが取り柄だからっさ。」右腕を曲げ、二の腕に左の手のひらを当てて、ウィンクしてみせる律。
「・・・・ありがと。」まどろんだ目をやや下に逸らし、聡は柔らかい笑顔を作って囁いた。
「ああ。」
594:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:45:44 ivbnYDng
数分後、快速列車は次の停車駅に着いた。多数の人が乗り降りする中、聡の右隣に座っていた女性が立ち上がり、下車した。
すかさず律は座り込む。
「あと六駅!三十分弱ってところか・・・・。」律は、ため息をつきながらそういうと隣にふと目をやった。
聡はすでにうつらうつらしており、今にも夢の世界への誘いに屈服してしまいそうだった。
律は、何も言わずにそっと手を伸ばし、自分と反対側の聡の肩を少しだけ寄せた。
聡はほとんど無意識的に体を傾けると、そのまま頭を律の肩に乗せた。その顔は、心地よさと安堵感に満ち溢れていた。
律はチラッと聡の表情を伺うと、満足したように微笑み、自分の肩にもたれかかる弟の頭に、自分の頭を重ねた。
カタンカタン、と規則正しく鳴り響く電車の音や、時々不規則に揺れる車体は、彼らにとってこの上ない子守唄となり、
さらに、服を通して肌で感じられるお互いの優しい温もりは、彼らを安らかで尊い眠りへと誘った。
聡の髪に頬で触れながら、律はゆっくりと瞼を下ろした。
「(昔は・・・・こうしてよく一緒に・・・・寝たな・・・・・・・・・)」
幸せな吐息が二人分、静かにデュエットを奏で始めた。
595:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:46:29 ivbnYDng
『ご・・・車あり・・・・・ござ・・・した。・・・もな・・・終・・・、大宮・・・・・』
「(大宮・・・・・・)」
『・・・・・・車内・・・忘れ・・・・さいま・・・・よう、ご注・・・・・・・・』
「(お・・・・おお・・・)・・・大宮!?」突然、聡が勢いよく体を起こした。
上に乗っていた律の頭は振り落とされ、律は目を閉じたまま眉をひそめた。
「・・・・んん・・・・・まだねむ・・・・・ムニャムニャ・・・・・」
「ね、姉ちゃん!起きて!もう大宮だよ!」慌てて姉の肩を揺する聡。しかし彼女は寝言で返す。
「もう少し・・・・・アンパン・・・・・・・」
『ご乗車ありがとうございました。大宮、大宮です。』
「ぉぉぉぉ・・・・・・、って大宮っ!!??」唐突に覚醒した律は、辺りを見回す。
「お、おい聡!何で起こしてくれなかったんだよう!」
「な、『起こして』って・・・・・ね、姉ちゃんが何で起こしてくれなかったんだよ?」
「私だって、疲れて・・・・!」
「体力の塊じゃなかったのかよ!」
「か、塊だなんて言ってないだろ!体力が取り柄だって・・・・・!」
「似たようなもんだよ!ああ、もう・・・・・姉ちゃんを信じた僕がバカだったよ!」
「お前はバカじゃない。」
「へ?」突然の律の発言に、聡は思わず間抜けた声を出した。
「私はバカでもお前はバカじゃないからな。おっと、降りるぞ。」律は聡の手を取り、率先して電車を降りた。
すでに外は真っ暗になっていた。やや湿った生ぬるい夜の空気が、二人の肺を満たした。
しばらくして、何の前触れもなく律が口を開いた。
「あ、あのさ。別にお前の所為じゃないからな。ゴメンな。」
「い、いや・・・・。別に姉ちゃんが謝らなくても・・・・。これはなんていうか、誰の所為でもないってことで・・・・・・。」
「そだな。」律は聡を見ると、飛び切りの笑顔を作り、聡の髪をクシャクシャと撫でた。
「ちょ・・・・姉ちゃ・・・・」
「・・・・・よし!反対の電車に乗るぞ!三十分もあれば着くだろ。大丈夫大丈夫!ちょっと晩御飯が遅くなるくらいだって!」
「・・・・・うん。そうだね。」
「ああ・・・・・まだ眠い・・・・・。」逆向きの電車の中で、律の隣に座っている聡が呟いた。
「寝ててもいいぞ。私がちゃんと見といてやっから。」
「姉ちゃんは大丈夫?」
「私は平気。さっきたっぷり寝たしな。」
「そっか・・・・。じゃあ、頼んだね。」
「ああ、おやすみ。」
596:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/07 22:47:10 ivbnYDng
________
「ね、姉ちゃん・・・・・。姉ちゃんってば・・・・・。」
「(スヤスヤ)・・・・・・・ん・・・・・・・ん?はっ!しまった!」律は電気ショックでも与えられたかのように飛び起きた。
「今どこだ!?」
「次が日暮里。」
「あ、ああ、そ、そうか・・・・。さ、さっきよりは近づいたなぁ!アハハ・・・!」
「姉ちゃん、今度は絶対僕が起きてるから。」
「ハイ。」
(完)
597:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/08 00:38:41 XBDw6YrT
ご苦労w
遥か昔に学生時代を送った物としては中二も高二も同じくらいの難易度に感じたw
k^2+k=k(k+1)までは気付いたけど部分分数分解に気付かず崩壊orz
まあ律と同じちゅうことでよいとしよう
1/k-1/(k+1)+1/(k+1)-1/(k+2)+1/(k+2)-1/(k+3)……で2項目以降は消えて1/kか?
598:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/08 10:53:31 JWUqtiCm
>>588-596
さとりつ@勉強編&電車編 乙&GJ!
リアルで姉のいる俺には、こういうのが書けねーw
(まあ唯も紬も憂も梓も純も和もお姉さんだけど)
前スレでちょっとあっただけの、さとみおをやってみないか?
599:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/08 18:59:47 6Z8WZXiN
乙です! 凄く良かった。
以前、律と聡の姉弟喧嘩のお話を書いた人かな。
600:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/08 20:19:31 BrWNOouN
ひととおり読ませてもらったよ
面白かったwありがとう
601:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/08 20:50:09 XwAMtLGk
聡は楽器をやらないのかな?
602:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/08 22:17:30 lWU8BuLc
読んでくれた方、ありが㌧㌧
投下した甲斐がありました!
>>597
適当に作った数学の問題にマジレスをいただくとはw
正直自分でもこれらの問題が中二と高二レベルなのかは定かではありません。
なんとな~く、あ、これ中学の時やったんじゃね?とかですw
>で2項目以降は消えて1/kか?
ほぼあっています。ただ、最後の項も残るので、正解は 1/1-1/(n+1)=n/(n+1) になります。
>>598
さとみおにも実は挑戦しました。しかし結局さとりつになってしまうという結果に・・・・
どんだけさとりつ好きなんだよ、自分w
>>599
違いますよ~。でも、確かにあのお話は気に入っています。影響も受けているかも?
>>600
こちらこそありがとうですw
>>601
聡はクラシックピアノをやっている設定です(勿論公式設定ではありません)。
いずれその話も書くかも?
603:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 11:41:07 +8U9Dlsu
>599
冬の日のやつだったら多分(´ω`)/あれ初めて書いたssだった
ということで聡律しか書いたことないからたまには聡澪でも書こうと?思ったんだが結局聡律になった…
自分もどんだけ聡律好きなんだよ…
※※
もうすぐ日が暮れる。
錆びたブランコに腰掛けて、澪は小さく溜め息をついた。
公園にはもう先ほどまで遊んでいた子供達の姿はない。
軽くブランコを漕いでみたり、靴底で足下の砂をもてあそんだり。
澪は何となく時間をやり過ごしていた。
「澪ねーちゃん?」
名前を呼ばれて「え?」と顔を上げる。
見ると公園の入口から少し入った所に、聡が立っていた。
制服の襟元をゆるめて肩には学生鞄と、部活帰りなのだろう―スポーツバックを背負っている。
604:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 11:50:00 +8U9Dlsu
聡「あー、やっぱりそうだ。何してんの?」
澪「え。いや、ちょっと…。――聡は今帰りか?」
聡「うん、部活」
聡はこくりと頷くと、じゃりじゃりと砂をならしながら近付いてくる。
澪(確かサッカー部だっけ…)
聡「――おお、何かこれ久しぶり」
聡は澪の隣りのブランコに足を掛けると、地面を軽く蹴った。
キィ、と金属が軋む音がする。
聡は立ったまま二、三度漕ぐと、しゃがみ込んで流れに身をまかせた。
楽しそうな横顔が夕日と重なるたびに、その短い髪がキラキラと光に透ける。
(――何かいい写真が撮れそう)
澪は目で追いながらそんな事を考えた。
聡「澪ねーちゃん何か元気ないね」
揺れがおさまってくると聡は言った。
澪「え?そんなことない、けど」
聡「ほんとに?さっき下向いてたから俺一瞬泣いてるのかと思った」
「ええーっ」と澪は笑ってブランコを揺らす。
澪「ほんと、つまんない事だよ」
聡「うちの姉ちゃんなんてしょっちゅうどうでもいい事ばっか話してるよ」
澪「…、」
聡「俺聞くよ?」
うーんと唸りながら澪は横髪を耳にかけた。
年下の男の子に相談する澪「わ、分かんないけど。なんとなく、突き放されてるような気がするのかな…。
…いや、でも普通に嫌なだけかも。」
目立つの好きじゃないし、と付け足す。
聡「ふぅん…。―――あ、でも澪ねーちゃんってファンクラブあるんだろ?」
澪「ひぃっっ!」
聡「あッ、ごめん。…………違うの?」
澪「やめてくれ考えたくない…」
両耳をふさいでガタガタと震えている。
その様子に聡はうーんと顎を掻いた。
そういえば姉も、澪の引込み思案な所をよく心配していた。
605:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 12:02:40 +8U9Dlsu
↑すまん途中間違えた。携帯はつらい…
改こっちで↓
聡「あー、やっぱりそうだ。何してんの?」
澪「え。いや、ちょっと…。――聡は今帰りか?」
聡「うん、部活」
聡はこくりと頷くと、じゃりじゃりと砂をならしながら近付いてくる。
澪(確かサッカー部だっけ…)
聡「――おお、何かこれ久しぶり」
聡は澪の隣りのブランコに足を掛けると、地面を軽く蹴った。
キィ、と金属が軋む音がする。
聡は立ったまま二、三度漕ぐと、しゃがみ込んで流れに身をまかせた。
楽しそうな横顔が夕日と重なるたびに、その短い髪がキラキラと光に透ける。
(――何かいい写真が撮れそう)
澪は目で追いながらそんな事を考えた。
聡「澪ねーちゃん何か元気ないね」
揺れがおさまってくると聡は言った。
澪「え?そんなことない、けど」
聡「ほんとに?さっき下向いてたから俺一瞬泣いてるのかと思った」
「ええーっ」と澪は笑ってブランコを揺らす。
澪「ほんと、つまんない事だよ」
聡「うちの姉ちゃんなんてしょっちゅうどうでもいい事ばっか話してるよ」
澪「…、」
聡「俺聞くよ?」
うーんと唸りながら澪は横髪を耳にかけた。
606:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 12:03:59 +8U9Dlsu
年下の男の子に相談するってどうなんだろう。
そもそも、ほんとくだらない話なんだけどな。
澪「…――髪きれいだねって褒められた。クラスの子達に」
聡「うん、」
澪「…そ、それだけ」
聡「え。それだけ?」
聡は明らかに拍子抜けした顔をしている。
澪はすぐに言った事を後悔した。
澪「だ、だからつまんない話だって言っただろっ」
聡「あ、もしかして嬉しかったって話?」
澪「嬉しくない。綺麗とか、美人とか、言われるのは苦手というか、ヘコむというか…」
聡「ええーーっ。褒められると嬉しいじゃん。なんでさ?」
澪「わ、分かんないけど。なんとなく、突き放されてるような気がするのかな…。
…いや、でも普通に嫌なだけかも。」
目立つの好きじゃないし、と付け足す。
聡「ふぅん…。―――あ、でも澪ねーちゃんってファンクラブあるんだろ?」
澪「ひぃっっ!」
聡「あッ、ごめん。…………違うの?」
澪「やめてくれ考えたくない…」
両耳をふさいでガタガタと震えている。
その様子に聡はうーんと顎を掻いた。
そういえば姉も、澪の引込み思案な所をよく心配していた。
607:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 15:47:24 +8U9Dlsu
聡「――でもさ、良かったじゃん」
澪「え?」
聞き返すと、聡は澪に向かってぐいと自分の鼻を指で押し上げてみせた。
聡「例えば澪ねーちゃんがこんな顔でさ、髪もばっさばさの天然パーマのボンでさ」
澪「…え、なに?」
聡「今澪ねーちゃんはキレイとか言われるの嫌かもしれないけど、
『お前ほんとにブサイクだな』ってこんななりで言われちゃうより、ずっとマシじゃん」
豚の鼻を作ったまま、きらきらした瞳で聡は言う。
しばらくそれを見つめていた澪だったが、「…そうかも」とぽつりと漏らした。
その反応に聡は嬉しそうにして立ち上がる。
誰も居ない公園に、また規則的なブランコの音が響きはじめた。
聡「ファンクラブも考え方次第だって」
澪「…例えば…?」
聡「だって、澪ねーちゃんが好きってことはさ、えーっと…、
…………姉ちゃん達のバンド名なんだっけ…」
澪「放課後ティータイム?」
聡「そう!…えーと、澪ねーちゃんが好きってことは放課後ティータイムも好きってことだろ?」
澪「そうなの?」
聡「そうだよ。澪ねーちゃんのファンは放課後ティータイムのファンも同じ…――と、思う。
まあ、少なくとも嫌いって事はないでしょ」
聡はブランコに揺られながらうんうんと一人頷いている。
聡「つまり、放課後ティータイムにはもう既に固定ファンが付いてるって事なんだよな。
それってすごいじゃん。良い事じゃん?誰も聞いてくれる人がいないよりずっと良いよ」
澪「…」
聡「それに、姉ちゃんや他のメンバーの人にとっても嬉しい事だと思う、きっと。
…皆が嬉しいのは、澪ねーちゃんだって嬉しいでしょ?」
ブランコから片足を下ろした聡と目が合う。
返事も忘れ、澪は聡を見上げていた。
608:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 15:48:15 +8U9Dlsu
なんというか、やられたという感じだ。
律がいつか、聡を『太陽みたいな子』と言っていたことを思い出した。
納得だ。
聡は太陽みたいだ。
なんというか、オーラみたいなものがきらきらしている気がする。
澪から見れば、律だって太陽みたいな存在なのだが。
澪(やっぱり姉弟だな…)
ふいに二人の事が羨ましくなった。
聡「…色々ややこしい事言ったけどさ、澪ねーちゃんは胸をはってればいいと思うよ。
実際、綺麗なんだし」
澪「え…」
不意打ちの言葉に、心臓が跳ね上がった。
澪は慌てて、顔を背けた。
澪(な、ななな――…)
どんどん熱くなっていく顔に焦りはじめた時だった。
「聡ー、澪ー!」
声がした。
聡「あ、姉ちゃん!」
澪が顔を上げると同時に、聡がブランコを蹴って駆け出した。
暗くて姿ははっきり見えないが、公園の入口で手を振っているのは律だ。
澪も遅れて立ち上がると、ひとつ深呼吸をして歩きだした。
609:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 16:12:53 +8U9Dlsu
※※
律「もう7時前だぞ。二人とも帰ってこないと母さん心配するだろ」
聡「姉ちゃんどっか寄ってたの?」
聡は律が胸に抱えている紙袋を指差した。
律「へっへー、ちょっと寄り道。ギャグ満足日和の最新刊買っといたぞ」
聡「なんだよ、人のこと言えないじゃんか」
律「まあまあ。…―っつーか、二人して何してたんだ?」
律は聡と澪を交互に見た。
澪「えっ、いや、普通に話してただけだぞ??」慌てて首を振る。
―しまった、逆に怪しくなってしまった。
律「む、ほんとかぁ?」
聡「姉ちゃんはなにを疑ってんのさ?」
怪訝な顔をしている聡はさておいて、律は疑惑の視線を澪に向けた。
そしてぐいっと聡を抱き寄せた。
律「こら澪っ、うちの聡を誘惑しちゃだめだかんなっ!」
め!と子供を叱りつけるような仕草をする。
ふざけているのだと分かりつつも、澪の顔は真っ赤になった。
澪「り、りつおおおまッ…」
口をぱくぱくさせる。
聡「もう、姉ちゃんッ!」
律「冗談だよ冗談ー」
律はもがく聡を開放してやると、ぺろりと舌を出した。
律「さ、もう帰ろうぜ。暗くなってきたし」
ちゃっかりと閉めに入る。
澪はほっと胸を撫でおろした。
澪「そうだな。…聡、時間とっちゃってごめんな。話聞いてくれてありがとう」
聡「うん」
聡は笑顔で頷いた。
610:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 16:16:28 +8U9Dlsu
律「さてっと、そんじゃ帰りますかぁ。っつーか澪一人で大丈夫か?」
澪「おいおい律、別に子供じゃないんだぞ」
律「子供じゃないから心配なんだろ?…うーん…―――よし、聡!
ちょっと澪送ってくからお前先に帰ってな」
聡「え、じゃあ俺も行く。」
律「?なんだよ聡、一人で帰るの怖いのか?…まったくお前は甘えんぼ…」
聡「んなわけないだろっっ!!だって、そしたら姉ちゃん帰り一人になるじゃんか」
律「ああ、そうゆうこと。べっつに大丈夫だって、私体力あるし」
律はひらひらと手を振って笑う。
聡「よくないだろ、姉ちゃんだって女なんだから…―――いちおう」
律「あ。今わざわざ一応って付け足したなぁっ」
聡「いててててっ」
二人の会話を黙って聞いていた澪だったが、
収集がつかなくなってきた事を悟り慌てて割って入った。
澪「まあまあまあ!律、ほんと私大丈夫だから。すぐそこまで出れば車も人通りもあるし、ありがとな」
律は聡の頬を掴んでいた手を放すと澪に向き直った。
聡が「あいたー」と頬をさすっている。
律「んーー…、分かった。じゃあ、気をつけてな」
澪「うん。じゃあまた明日な。聡も」
聡「うん、おやすみ澪ねーちゃん」
澪は二人に手を振って背を向けると歩き出した。
数メートル程進んでから、何となしに後ろを振り返った。
律と聡は何やらお互いを小突き合いながらゆったりとした歩調で歩いている。
澪(ほんと、仲いいなあの二人…)
その後ろ姿を眺めながら、どうしたものかと澪は溜め息をついた。
せっかく悩みがひとつ解決に向かったと思ったのに、またひとつ新たな悩みが増えた気がする。
澪はぶんぶんと頭を振った。
澪(…――とりあえず今は文化祭に向けて新曲の歌詞考えなきゃな)
澪は両腕を持ち上げてぐっと伸びをすると、また歩き始めた。
空にはもう星が瞬いていた。
おしまい。
611:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 16:28:22 /Czc3NJt
きたきたきたきたきた!
さとみおkita!GJ!
これでさとさわ以外はコンプかねw
612:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 16:38:48 2pNUB8F7
ニヤニヤが止まりません!乙
613:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/09 21:30:17 LzGH9KtK
乙です!
さとりつを連続で三話投下した者ですが、いや~流石ですね。楽しませてもらいました。
聡澪→聡律の絶妙なバランスがメチャクチャ好みです。やっぱり聡律は基盤として常になくちゃだめですよね。
・・・ってなわけで「さとみおりつ」を書いてみたわけですが、恐ろしいくらいに退屈なものになってしまった。
さて、どうするか・・・・・
あ、あと、「ブランコ」が「ブラコン」に見えた自分はかなり重症ww
614:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 02:39:22 cu5VvDw6
age
615:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 11:48:55 yqJ5ahMD
>613
自分の聡は律以外になびかない設定だったりする
正直最初は澪→聡律にするか聡律←澪にするかちょっと迷った
せっかく書いたんだったらどんどん投下しようぜ
616:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 11:56:21 Kwuq/kZH
姉と同級って恋愛対象になりにくいイメージだな俺は
てなわけで聡憂か聡梓が好きだ
617:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 12:37:09 tFvtvShf
>>616
>姉と同級って恋愛対象になりにくいイメージ
そこをじわじわといくのが醍醐味だと思う
聡憂か聡梓だとストレートすぎる
って何かいてるんだ俺
618:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 13:04:07 Kwuq/kZH
>>617
な、なるほどw
まだ俺は修行が足りなかったぜ…
619:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 13:12:27 yqJ5ahMD
大切なのは聡の事が好きである事さ!
自分が聡律好きなのを置いとくと
オリジナル聡の好きな子はきっとクラスメイトに居るんだろうなと思ってるし…
だが聡のその健康的さも好きだ。
…断然聡律だけどさ…
620:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/10 22:23:29 yMOAcRCp
てか、このスレ見るまでサトルゥと呼んでた…orz
聡はカッコイイと思うんだ
621:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:00:13 M9E5qb7p
>620
自分も最初はさとるだと思ってた
さとりつ書いた
シリアス書くとやたら重くなるんでできるだけライトポップにしたつもり…
にしても人減って来たぞ
頑張れ聡
「もういいよ」
「じゃあ勝手にしなさい!」
田井中の家リビングは、緊張感した空気に包まれていた。
「ちょっとお母さん、聡も――…」
律は慌てて二人の間に割って入った。
だが聡は無言でリビングを出ると二階へと上がってしまった。
622:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:01:10 M9E5qb7p
※※
律「…―――お母さん、聡はいいの?」
弟が二階から降りてくる気配はない。
父は残業で遅くなるということで、食卓は母と律の二人きりだった。
放っておきなさいと母は不機嫌そうに言った。
(意地っ張り…)
きっかけはほんの些細な事だった。
ただ、母も聡も今日は少し機嫌が悪かったのだ。
いつもなら笑って流せた事が、気がついたら口論へと発展していた。
めずらしい事だった。
(しょうがないな…)
食事が終わるとテレビを観ている母の目を盗んで
律は聡の食事を二階へ持って運んだ。
コンコン。
部屋のドアを2回ほどノックして小声で呼びかける。
律「聡、食事持ってきたぞ」
……。
中から返事はない。
律「聡…?」
もしかして寝ているのだろうかと律はドアノブをひねった。
ひょい、と中を覗いてみる。
律「あれ……?」
部屋のどこにも、聡の姿はなかった。
623:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:04:10 M9E5qb7p
※※
…――駄目だ、眠れない。
律は布団の中で寝返りをうった。
父も母もとうに眠りについている。
この家で、聡の不在に気付いているのは律だけだ。
(早く帰って来いって聡――…)
廊下に耳を澄ませながら、もどかしさに苛立った。
時間が経てば経つほど、良くない想像が頭の中を支配していく。
律「――ああもうっ」
律はガバッと身体を起こした。
※※
軽く着替えを済ませると、こっそりと家を抜け出した。
律「あ」
玄関前の聡の自転車が無い。
律は門を出ると、とりあえず歩き始めた。
あてなどない。
それでもじっとしているよりはマシだ。
…――聡のバカ。
寒さに襟元の服をたぐり寄せて、律はぽつりと呟いた。
624:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:05:07 M9E5qb7p
まずは近くのコンビニに行った。
店の前には何人かの若者がたむろしていたが、聡の姿はなかった。
次に向かったのは学校だ。
周りをぐるりと一周してみたが、やはり聡の姿はなかった。
律は思い付いた場所を転々としていく。
聡は見つからない。
――まさか、何か事件に巻き込まれたのでは?
――どこかで死んでいるなんてこと…
思考が悪い方へ悪い方へと転んでいく。
律「聡…」
早く顔を見て安心したい。
夜の住宅街を歩きながら、律は子供の頃の事を思い出した。
夜中に目を覚ますと隣りに寝て居たはずの母の姿がどこにも見当らない。
急に不安になる。
もしかして自分は置いて行かれたのではないかと。
あの時の心細さに似ている。
(聡のバカ…)
625:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:08:05 M9E5qb7p
公園前まで来た時、律の心臓は大きく跳ねた。
公園の入口にある電話ボックスの横。
見覚えのある自転車を見つけたのだ。
律は思わず駆け寄った。
律「――聡のだ…」
消えかけているが『田井中聡』としっかり読める。
律は辺りをキョロキョロと見渡した。
律「…聡、――聡っ」
声を殺して名前を呼ぶ。
…―返事はない。
返ってくるのは静寂のみだ。
律「聡っ」
もう一度呼んでみる。
が、やはり返事はなかった。
「どうしよう…」
不安が現実のものになっていく。
「どうしよう…」
震える唇に指を押し当てた。
律はただ呆然と立っていた。
…―――じゃり。
「…――姉ちゃん?」
律はハッと声のした方を見た。
公園から姿を現したのは、他でもない聡だった。
626:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:11:44 M9E5qb7p
律「…――聡…」
聡「えっと、姉ちゃんどうした、の?」
律「…お前、どこ行ってたんだよ」
聡「あっ…と、ちょっとそこのトイレ…」
聡は気まずそうに視線を泳がせながら歩いて来る。
律「……」
聡「あ、えっと」
律「……」
聡「ね、姉ちゃん…?」
はああ、と息を吐き出して律はその場に崩れ落ちた。
聡「あれ??姉ちゃん?!」
律「よ、よかったぁ~~~~……」
安度のあまり涙が出てきた。
聡が無事で本当に良かった。
ぽろぽろと涙を零す姉に聡はどうしたらいいか分からずオロオロとしている。
律はその額を軽くはたいてやった。
聡「いてっ」
律「お馬鹿!心配させんな」
ぐずっと鼻をすする。
聡「ごめん、…」
聡はしゅんと俯いた。
たくさん文句を言ってやろうとしたのに、聡の申し訳なさそうな顔を見たら思わず笑ってしまった。
「帰ろっか」
627:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:14:10 M9E5qb7p
今頃気がついたが、夜空がとてもきれいだ。
空一面に星が輝いている。
ぶらぶらと歩く律の横で聡はカラカラと自転車を押していた。
聡「今日さ、学校でちょっと嫌なことがあって」
…―何かむしゃくしゃしてた。
聡はぽつりと言った。
律「…まあ、そういう時もあるよなぁ」
聡「うん…」
律「でも、本当に心配したんだかんな?携帯は部屋に置きっぱなしだしさ」
聡「ごめん。…――――あのさ、母さんは?」
上目遣いでおそるおそる聡は聞いてくる。
628:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:16:00 M9E5qb7p
律「気付いてないよ、全然」
聡「……そっか」
律「あ。今ほっとしたなぁ?根性のないヤツめっ、うりうり」
拳を作って聡の頭を軽くぐりぐりする。
聡「や、やめろって…」
自転車で両手がふさがっている聡はうまく抵抗ができない。
律は聡から身体を放すと「ん。」と右手を差し出した。
聡「え、なに?」
律「手、つなごーぜ」
聡「え、何で?」
律「何かそんな気分だから」
聡「俺自転車おしてるんですけど…」
律「いーじゃん頑張れ!」
聡「頑張れって……、…――やだよ、恥ずかしいし。」
聡は目を逸らして少し顔を赤くする。
律「誰も見てないって」
ほら、と右手をひらひら揺らす。
聡は少し迷ってから、おずおずと左手をハンドルから離した。
律はその手をぎゅっと掴まえた。
聡「……」
律「聡、手あったかいな」
聡「…姉ちゃんは冷たいのな」
律「んー、ちょっと冷えちゃった」
聡「…」
もしかして随分と探してくれてたのだろうかと、聡は隣りを歩く姉を見て思った。
申し訳ないのと同時に、どこか嬉しく思う自分もいた。
握った手に少し力をこめる。
少しでも姉の手が暖かくなるようにと。
律「聡、お腹空いてないか?」
聡「うん、空いてる」
律「ちゃんと聡の分のご飯もあるから、家帰ったら食べな?」
聡「うん」
律「お母さんと明日仲直りしろよーっ?」
いきなり握った手をぶんぶんと振る。
思わず自転車のバランスを崩しかけた。
聡「ちょッ…危ないって」
律は楽しそうに笑っている。
聡も自然と笑顔になった。
「姉ちゃんありがとな」
〈おしまい〉
長くてすまん
629:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 18:45:35 ODLL/gK7
>>621-628
乙
人少ないのは公式の燃料投下が全くないから仕方ないw
630:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 20:02:45 a7sPmyjc
乙ぅ~
まったりのんびるのが一番さ
631:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 22:28:49 ePFkXg6s
乙!やっぱさとりつですわ
律が聡を見つけたシーンのあと、抱きつくシーンを勝手に脳内補完しちゃったりして
632:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 23:00:00 T77F8upz
なんというさとりつブーム……俺のためにあるようなスレッドだ。
633:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/11 23:11:33 qQ96vxvv
聡は誰と絡んでも美味しいです(^p^)
634:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 00:09:44 46iTNZ1W
いいなぁ
「お馬鹿!」ってのが印象に残るw
635:聡29才
09/09/12 00:18:33 8lRBIrSM
部屋に引き込もって十数年、遂に家族は律を力ずくで部屋から出した
田井中父「お、お前…この馬鹿やろう!」
田井中母「りっ、りっちゃん!何とか言いなさい!」
律「うう、え…」
聡「いい加減にしろよバカ姉貴!みんながどんな気持ちでいたか、考えた事あんのかよ!」
律「うう…ご、ごめ」
聡「聞こえねぇよ、父さんと母さんにちゃんと謝れよ!」
律「ご、ご、ごめんなさ…」
聡「ちくしょう・・・」
十数年振りの変わり果てた姉の姿にショックを受け、聡は涙を堪えながら静かに部屋を後にした…
636:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 00:32:38 2bsyVgqs
どしたどした??
637:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 00:37:29 Xp2mMtRl
な、何が起きたんだ?
638:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 00:43:05 S/dB3egf
なんでもありだなww
639:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 03:00:09 /i6QK0BW
鬱展開なのにわらってしまたw
640:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 16:33:30 2bsyVgqs
勝手に続き書いてみた
十数年引きこもった姉を家族が無理矢理引張り出して数ヵ月。
あの後すぐに聡は家を出た。
先輩「おい田井中ー、何かロビーにお前に会いたいって人が来てるぞ」
聡「え、誰っすか?」
先輩「知らん、とにかくお前の知り合いらしいぞ」
聡「あ、はい。わかりました…」
聡は仕事をさっと切り上げてロビーへと向かった。
聡「!」
律「………よう、久しぶり。聡」
ロビーで聡を待って居たのは数ヵ月前まで引きこもっていた姉――律だった。
家族に部屋から出された時とは違い、髪も切り服もきちんとしている。
あの時顔を合わせた時は再会の感動などなくただあるのは絶望だった。
今やっと姉に会えた気がする。
だが、二人の間に流れる空気は昔とは程遠い。
聡「…」
律「場所変えようか。今大丈夫か?」
聡「…まあ、少しなら」
641:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 16:36:23 2bsyVgqs
二人は近くの喫茶店に入った。
律「…――これ、返すわ」
聡「!」
律「覚えてるか?お前が17の時バイトした金で買ってくれたんだ」
聡「…」
律「指輪。覚えてないか?」
聡「…」
律「……覚えてないか。でもまあ、一応返しとく」
聡「……………………………………………。
…………………やっぱり」
律「…」
聡「…これが原因かよ」
律「…」
ガン!とテーブルを叩く。
聡「そうなのかよ?!」
律「…」
聡「これが原因で!俺が嫌で!あんな何十年も引き籠もってたのかよ!?」
642:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 16:37:03 2bsyVgqs
律「……」
聡「何とか言えよ!」
律「…………………………………………………………………………
………………………聡の気持ちはすごく嬉しかった」
聡「…」
律「…でも私ら姉弟じゃん?やっぱ、駄目じゃん、そういうの。………………………………
………………………………………………………………………………
………………いや、正直言うわ」
―気持ち悪いんだよな。
聡「……ッ!」
カッと頭に血が上る。
勢いよく立ち上がった反動で椅子が倒れた。
聡「じゃあッ…じゃあ!あの時そう言えよ!あの時!これ渡した時に気持ち悪いって言えよ!!
あんたが引き籠もった時俺がどんな気持ちだったと思うんだよ!!あの十数年間どんな気持ちで俺がいたと思ってんだよッ!!」
律「……」
聡「今言うなよ…!」
643:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 16:37:58 2bsyVgqs
血が出るくらいに拳を握り締める。
沈黙が落ちた。
律「…………………言えないだろ」
聡「!」
律「あの時言えたと思うのか?…だって姉弟だろ?切っても切れない血のつながりがあるんだろ?
これから先ずっと私はあんたの姉で、あんたは私の弟で、ずっと変わらないんだぞ!!」
律も立ち上がっていた。
律「ああやって籠ってれば!顔を合わさずにいれば…ッ、…諦めると思ったのに……
あんたがそうやって何年も待つからじゃん!!私の事待つからじゃん!!!」
聡「………」
律「……………しょうがないじゃん…」
644:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 16:39:17 2bsyVgqs
聡「泣くなんてずりーよ」
律「…泣いてない」
聡「…」
律「とにかく、これは返す。聡の今の気持ちは分かんないけど、………………………私には」
聡「また逃げんのかよ」
律「…――私には、応えらんないから…」
そのまま、律は喫茶店を出て行った。
テーブルの上には残された指輪が虚しく光っている。
「…――――姉ちゃんの、弱虫」
【終劇】
645:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 16:42:59 2bsyVgqs
心が痛む人のためのオマケ↓
満足な人は読まなくていいんで
聡は映研設定にしてみたw
聡「………………………………なにこれ」
新庄「どうだ!なかなかいい出来だろ?次の文化祭はこの脚本でいこうと思う!」
聡「嫌に決まってんだろッッ。…――俺はともかく何で姉ちゃんまでキャスティングされてるわけ?」
新庄「それはリアリティーを求めてだな…」
聡「シャレにならんからやめろッ」
新庄「シャレにならんのか?」
聡「あ、いや、なるけど…
…………とにかく!姉ちゃんにこの話持ってったらお前コロスからな!」
646:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 18:11:19 VtBG6GOS
うむwむしろおまけ>>645がGJだ!
647:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 19:43:40 v3iC+xip
梓聡が最近面白そうかと思うんですよ。
主に体格的な意味で。
648:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 21:09:57 dCbqYrif
それ面白そうだ…骨組みがねぇw
649:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/12 22:36:00 Xp2mMtRl
>>645がなかったら軽く鬱になるところだった・・・ありがとうw
律は案外ノリノリで迫真の演技とか見せてくれそうだな。
650:聡34才
09/09/13 03:12:25 H9Thabr+
律「先生、聡の様子はどうですか?」
主治医「…依然として変化は無いですね」
律「そうですか…」
引き込もりだった私を助けてくれた聡だったが、その数年後に聡自身が精神を壊してしまった
入院してから一年、容態は一向に変らない…
律「聡、元気か?」
聡「あ、あ、う~」
律「姉ちゃんな、今度介護士の試験受けるんだぞ」
聡「あ、あ、」
律「合格したら、一番に報告に行くからな!
そしたら、そしたら…、聡…」
聡「・・・」
律「聡…、ごめんよ…」
651:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:02:21 ukkJHDLO
勝手に続き。
上の一連全部つながってるって事で
――
唯「りっちゃーん!」
律「おお、唯久しぶり」
唯「久しぶ―…おわっ!」
唯は段差に足をとられ勢いよくコケた。
慌てて駆け寄る。
律「だ、大丈夫か??…ったく、相変わらずだなぁ」
唯「へへー」
唯は服を砂まみれにしながらへらへらと笑っている。
その笑顔に自然と律の心は解きほぐされた。
二人は適当なベンチを見つけて腰掛けた。
律「仕事、上手くやってんのか?」
唯「うん、大変だけど楽しいよー。今度ねぇ、映画にちょこっとだけ出させてもらうんだー」
律「マジかよ??」
唯「コメディーものなんだけど」
律「はああー…。唯は頑張ってんなぁ」
唯は二十歳の時にスカウトされ、天然アイドルとしてデビューしたのだ。
十数年経った今もその魅力は衰える事はなく根強い人気を誇っている。
唯「りっちゃんもだよぉ。何か弁護士の試験受けるんでしょ?すごいねぇ。
―――あ、そういえば弟君、元気にやってる?」
652:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:03:07 ukkJHDLO
律「……あー…っと」
律は話してもいいものかと少し迷った。
だが唯の透き通る瞳を見て、この子なら言っても大丈夫だと思い直した。
律が十数年間引き籠もっていた事。その後聡が家を出て行った事。
そしてその聡が今精神を壊して入院している事。
…ただ、聡と律の間にあった出来事までは話せなかった。
唯「そっか…。一時期連絡はとれるのに全然会ってくれない時があって、変だなぁって思ってたけど、そういう事だったんだねぇ…」
律「ごめん」
唯「えっ??いいよぉ別にー」
律「……ごめん」
唯「……」
律「……」
唯「ふんす!」
いきなり唯は立ち上がる。
唯「連れてって」
律「…――へ?どこに??」
唯「聡君の病院!」
653:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:05:09 ukkJHDLO
病室に入ると窓の外を眺めていた聡がゆっくりとこちらに顔を向けた。
だかその瞳は何も映していない。
律「……」
律は悲しい気持ちに支配されて病室の入口で立ち止まった。
唯「りっちゃん」
唯は律の手を優しくとると、そのまま力強く引張った。
唯「やっほー聡君。覚えてるかなぁ、私だよ、唯だよっ。久しぶりだねー」
律「聡、唯がお前に会いたいって来てくれたぞ?」
聡「……ぁ…」
聡はしばらく唯と律の間の空間を見つめていたが、すぐに視線を窓へと戻した。
聡「……」
唯「ふんす!」
律「あっ、おい、唯っ??」
唯は窓側へと回り込むと無理矢理聡の視界に入っていった。
そのままがしっと聡の手を握るとぶんぶんと振る。
唯「こらっ!君は男の子でしょ!りっちゃんを悲しませたら駄目だよっ、戻って来ないと駄目だよっ」
律「ちょ…っ」
唯「りっちゃんが泣いてるぞっ。君はそれでいいの?こんなんでいいの??」
聡「…………」
唯「…………………むぅ、ダメかぁ…。
………………………………………………
…――ならばっ。これならどおだっっ!」
律「!!わ~~~っ、ちょっと唯、聡になにす…ッやめろーー」
聡の病室は唯の登場によりすったもんだ状態になったのであった。
654:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:07:29 ukkJHDLO
いつの間に眠っていたのか、律はハッと目を覚ますと聡のベットから顔を起こした。
聡は相変わらず窓の外を眺めている。
唯は窓辺の丸椅子に腰掛けてぐっすりと眠っていた。
律「おい、おい唯、起きろって」
唯「………ううーん、まだ眠いよ憂ぃ~…」
律「こら寝ぼけんなっ。もう帰るぞ」
唯「…あり…りっちゃん…??………あ…、そっか私…」
律「ほら、用意して」
寝ぼけている唯に鞄とコートを渡す。
唯「ん、ありがとー…。じゃあね、聡君。また来るねー」
律「聡、明日も来るからな」
唯「次来るまでにはちゃんと思い出しとくんだぞっ」
律「こら唯」
唯「ぶーーっ」
二人は病室を後にした。
655:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:15:43 ukkJHDLO
律「唯、今日はありがとな」
唯「えっ、なんにもしてないよ??」
律「ううん、何かちょっとだけ気ぃ軽くなったわ。サンキュ」
唯「へへー、そっか。良かったー。………………………
…………………………あっ、そうだ!」
律「え、なに?」
唯は何かを思い出したようにポケットを探りはじめる。
唯「これ、なんだろ?」
律「…――え?」
唯「弟君がね、手に握ってたの」
律「……」
唯「つい持って来ちゃったけど、何の指輪なんだろーね」
律「……さあ…」
唯「大事なものなのかなぁ」
律「……」
唯「はいっ」
律「えっ、な、なに?」
唯「りっちゃん、弟君に渡しといてよ」
律「えっ…」
唯「私ねぇ、見ちゃったんだよー」
律「…な、何を?」
唯「さっきりっちゃんが寝てる時、弟君がりっちゃんの事をじっと見てたのを」
律「は?」
唯「弟君、ほんとに壊れてるのかなぁ」
律「は、はい??何言って…」
唯「ねえ、りっちゃん。もしかしたら全部、りっちゃん次第なのかもしれないよ?」
656:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:17:40 ukkJHDLO
唯の瞳はいつになく真剣だった。
唯「りっちゃん次第で未来はいくらでも変わるのかもしれないよ。………だから、はいこれ」
唯は律の手に指輪を握り込ませた。
律はぼうっと突っ立ってされるがままだった。
律(…え?え?……つまり…まさか…??)
いきなり「ふんすっ!」と背中をひっぱたかれる。
律「あいって!…な、なにすんだよ唯ー」
唯「頑張れりっちゃん。逃げちゃだめだよっ」
657:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:21:30 ukkJHDLO
聡は病室の窓から遠ざかっていく二人の背中を見つめていた。
はあ、と息を吐く。
聡「やっぱ、あの人には敵わないなぁ…」
ばたんとベッドに倒れ込む。
『聡君、ほんとは何ともないんでしょ』
『いつまでそうしてるの??』
『じゃあこの指輪は、人質』
『私のこと振ったのに、幸せになってくれないと許さないからねっ』
『もーっ。いつまでも強情はってると、無理矢理私のお婿さんにしちゃうよ』
『…――とにかく私に任せてっ』
返事ひとつしない聡によくもあれだけ一人ペラペラと喋れたものだ。
白い天井を見つめながら聡はこれからの事を考えた。
【完】
658:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 14:35:58 ukkJHDLO
救済オマケ↓
聡「…――って事でどうでしょう…??」ソワソワ
律「なんだこれ…」
唯「うわぁ、すごいね!これ誰が書いたの??」
聡「俺の友達の新庄ってやつが…」
唯「だれ?」
聡「唯さん会った事あるよ?この間家に来てた時…」
唯「あっ!思い出したぁー」
聡(…でもわざわざ唯さんをキャスティングしてくるなんてまさかアイツ…)
律「…―――駄目だな」
聡「え?」
律「全然駄目」
聡「え?はい?」ドキドキ
律「私はこんなぐじくじしてないぞッ!書き直せ!」
聡「問題はそこっすか!?!」
唯「あはは~」
おしまい。
659:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 20:12:25 annhc9/D
GJすぎるww
なんかドキドキしたwww
660:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 22:39:38 HTSV6jdU
おおっ!GJ!
またしてもオマケに救われたwサンクス
661:第二部 巣立ち
09/09/13 23:44:50 H9Thabr+
聡36才
新庄「具合はどうだ?」
聡「あまあま、かな…」
新庄「ここまで回復するなんて、本当に驚いたよ」
聡「みんなのお陰だよ」
新庄「実は、病気のフリしてたんじゃないの?」
聡「えっ…」
新庄「冗談だよ、冗談…それより聡、大事な話があるんだ」
一瞬心臓を鷲掴みされたように驚いたが、それよりも次の新庄の言葉が気になる…
新庄「…律さんと結婚したいと思ってる!」
聡「・・・」
ある程度は予想していた言葉だった
引篭りだった姉に更生施設や職業訓練を熱心に勧めてくれたのが、府の生活課に勤めている新庄だった
姉があそこまで回復し、社会復帰できたのも新庄の尽力が大きい
そして…、新庄が昔から姉を好きだった事も知っていた
新庄「実は、律さんのお腹には、その~、赤ちゃんがいるんだ…」
662:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/13 23:47:46 U/NkGCk3
__ ..-- 、.:一::フ___
\::::::::::::::ィ':::::::::::::::::::::::<
/:::/:::/::|:::::::_:::::ヽ::::::::::::\
/:::::/::::::/:::∧:::::::}`ヽ::::、:::::::::::::ゝ
`7::::::{:::::/ レ′ ヾ/ \:::::}:::::::ハ
'::::::::::::/ ___ jィノ::::::::、} 俺の時代。
/::::::::::i` `ヾ =='" V:::}::::::ヽ
ーi::::::::| ,ィアマ 〃アミ:、 }::ハ}T´
ノァ:::::| 〈弋::;ノ 弋;::ノ 〉イ'::::/ソ
ハ::::ト ´ .::::;::::.. ` |:;.ヘ
{ ヾ "" "" / }
\._ハ __ /_ /
ソハ (._,) /≧/⌒丶、
{ 「 丶、 .': :/ \__)
,.-< } : : : :` ーr: :´ : :, ′ /
/ , \ \: (゚ω゚): :||: : : :/ ∠
/ /: : : :\ \: : : : : !/⌒ヽ /- 、\
| |: : : : : : : :\ \ / `ヽ } /: : : : : :V !
| |: : : : ヽ : : : ヽ V 、`ヽ、 レ'ン : : : : : : : | |
663:もう無理
09/09/14 00:38:14 1PGiZvty
新庄「実は、律さんのお腹には、その~、赤ちゃんがいるんだ…、と」カキカキ
聡「お前、まだ続けんのかよ…」
新庄「何を言う!ここからが本番なんだよ!俺のターン!」
聡「…このままじゃ俺もう40じゃん。流石にもう演じるの苦しくないか??」
新庄「俺のターン!俺のターン!俺のターン!」
聡「ど、どした!?」
新庄「俺のターン!俺のターン!俺……」
ピーポーピーポーピーポー…
精神が壊れた新庄は、今も病院のベッドで夢を見ているのだろうか――…
664:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/14 02:54:20 +48WGXTA
まさかのパターンwww
665:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/14 09:17:29 0pv5OZEC
新庄ぉぉぉぉぉぉぉwwwww
666:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/14 09:49:19 WqpYnmsD
新庄が可哀想なのでw↓
鈴木「今も病院のベッドで夢を見ているのだろうか・・・・、と」
聡「何やってんだ?」
鈴木「今度文芸部で本を出すんですよ。それでちょっと書いてみようかと思いまして」
新庄「どれどれ?・・・・・ぬぉ!なんじゃこりゃ!俺完全に変質者じゃねーか!」
鈴木「違ったんですか」
新庄「違うって!どうして俺が律さんを、り、律さんの・・・・・・り・・・・・・////」
聡&鈴木「変質者だ・・・・」
聡「姉ちゃんに今後気をつけるように言っとこっと」
聡「つーか小説の中で映画撮影とかややこしいな・・・・」
667:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/14 10:37:36 0pv5OZEC
イチローぉぉぉぉぉwwwww文芸部なのかw
まさか近所の読書好きのお姉さん(澪)にあこがれて・・・とかじゃないよな?
668:律、封印した記憶
09/09/14 18:23:28 3sijol1A
(新庄の本の続き)
医師「母子ともに順調ですね」
律「…そうですか」
診察室を出て待合室のソファに腰掛けた
彼から聞いたのだが、聡の反応は少し狼狽していたが、後は落着いていたとの事だった
よかった、また聡に何か起こったら…
その時、待合室のテレビの音が耳に入って来た
司会「本日のゲストは7年振りにアルバムを発売したHTT(放課後ティータイム)の皆さんです」
澪「あ、ど~も…」
司会「ドラムとボーカルに新メンバーを迎えたHHTですが…」
梓「HHTじゃなくてHTTです!」
司会「ああ、こりゃすみませんね、で…」
私は画面に釘付けになった
聡の事もあるが、私が10年近く引篭る事になった元凶、HHT…じゃなかった、HTT…
画面には澪,紬、梓、それと知らない若い女の子二人がいる
澪も紬も梓も派手な衣装にキツいメイクで少し痛々しかった
それに司会者も余り興味がなさそうだ
私は少し意地悪な気持ちで画面を見ていた
…澪達を見て、あの時の事を思い出してしまった、あれは…
669:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/14 20:06:20 +48WGXTA
聡大好きだぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!
670:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/15 21:43:08 T7ZuMBti
クラナド見てたら聡そっくりのやつが出てきた
671:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 00:57:20 wtJbWjeC
それアフター3話?
けいおんキャラデの人が作監の回?
>668
続きないの?何気に気になるんだが…
672:澪との決別
09/09/16 08:33:56 gRzlUn11
>>668の続き
あれは確か私が20才の時だ
卒業後も私達HTTの5人はバンド活動を続けていた。地元のライブハウスでは好評で、そこそこ人気もあった
そんなある日、澪から呼び出された
律「何だ~澪、話って?」
澪「実は、この前のライブでレコード会社の人が…」
律「えっ、も、もしかしてスカウト!プロデビュー!!」
澪「話を聞け!…まぁ、簡単に言うとそうなんだけど…」
律「すごいよ!すごいよ!澪ちゅわ~ん!私達がいずれ武道館で…」
澪「ちょ、ちょっと話を最後まで聞けよ!
いきなりプロじゃなくて、先ずはインディーズからなんだけど、それには条件があって…」
律「どんな?もう何でもしちゃうよ!」
澪「…既に事務所に所属している二人の子がいて、その子達もHTTのメンバーに入れるって条件なんだけど…」
律「合計7人か~、でも賑やかでいいんじゃない?」
澪「いや…、その二人はドラムとベースなんだよ…」
律「えっ、どういう事…」
澪「事務所が正式にデビューさせたいのはその二人と、キーボードのムギ、ギターの唯と梓…」
律「…じゃ、じゃあ、わ、私達二人がHTTから、外されるって事なのか!?」
澪「あ、あの~、私にはベースではなくて、その~、正式にボーカルをやって欲しいって…
律、ゴメン!ゴメン…ごめんなさい…」
律「・・・」
その後の事は何も覚えていない
それ以来私は、何度も本気で死ぬ事を考えた
673:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 09:18:41 CPE14q+2
妙にリアルwww
674:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 10:43:52 d6Hn1Zbr
夢のために友情を捨てたか
675:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 12:12:43 XlXl1f8L
澪はそんなことしないよね?デビューより律を選ぶよね?ね?
・・・同意を求めて失礼。まああれだ。私の中の澪は、という意味
676:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 14:29:56 v8ENwAmx
同人で何回か見て耐性ついてきたけど
この展開が一番泣ける
677:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 15:19:02 wtJbWjeC
>672
うおー続きが気になるw
唯は前の小説と合わせていい女展開を期待
678:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 15:24:21 /Wv1VYtJ
実はその事務所が用意したドラムが聡
679:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 15:28:10 YhEJvt5y
澪は多分、元のメンバーのままでも
ボーカルやってくれと言われただけで断るレベル。
680:天使の品格
09/09/16 16:51:24 gRzlUn11
(>>672の続き)
あれから私は部屋に籠る事が多くなった
誰にも会いたくない、何もしたくない、もうこのまま…
そんな時だった
聡「お姉ちゃ~ん、お客さんだよ…、あっコラ、ちょ、かっ勝手に!」
唯「やっほー!りっちゃ~ん唯だよ~」
律「え!や、やだ、なんで勝手に家どころか、部屋にまで入ってきてんだよ!」
聡「ちょっと唯、…じゃなくて唯さん、困るよ!」
唯「えへへー、ごめんね!でもりっちゃんが中々携帯に出てくんないからさ~」
律「…分ったよ
聡ごめん、暫く二人で話がしたいから…」
聡「ああ、じゃあ俺下にいるから」
みんなには会いたくないと思っていたが、こうして直に唯が来てくれた事が嬉しかった
唯「私さ、HTT辞めちゃった!」
律「え、なんで!まさか私に同情して…」
唯「違うよ~、何か昔みたいに楽しくないし、私はやっぱりりっちゃんがいないと詰まんないよ!」
律「唯…」
唯「それにムギちゃんも辞めたがってるんだけど、そうなると事務所が凄く困るみたい
何でかな?まぁいいや!」
律「ムギも…」
唯「でも、みんなはみんな!私達は私達だよりっちゃん!」
律「唯…そうだな、そうだよな!」
唯…、高1の時に初めて教員室で出会ったドジっ子は、廃部しかけた軽音楽部の救世主となり、その後はバンドの顔になり、そして死さえ考えていた私の心を救ってくれた、掛替のない存在となった
ありがとう唯…
681:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 16:54:49 BVapUBzh
聡スレでまさかの大作の予感
682:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 17:38:56 JdpROd1C
一瞬VIPかとオモタ
683:再会
09/09/16 22:13:55 gRzlUn11
(>>680の続き)
今日は唯の誘いで近所の居酒屋に来ていた。そこには珍しく和の姿もあり、皆で色々な話しをした
和が将来は警察官になりたがっている事、唯が芸能事務所の人にスカウトされた事、他にも沢山…
ただ、和から少し気になる話を聞いた、それは
同じ大学に通う澪を,学校内で殆ど見掛けず、たまに会っても他人の様によそよそしかったとの事だ
でも、もう私には関係ない事だ、澪なんて…
その後は三人でカラオケに行った。唯はP-MODELというバンドの曲ばかりで、和は意外にも(予想通り?)演歌を熱唱していた
カラオケも楽しかった!その後は二人と別れて私は家路につく事になった
そして帰り道の途中、ホテル街近くの曲がり角で急にカップルと出くわした
男のほうは40代位の少しかっこいい感じのおじさんで、女のほうは・・・・・・
髪を金色に染めて、顔にはかなり濃いメイクをしていたが、見間違える筈は無かった…
澪だ!
684:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 22:24:40 lmDaEFNI
聡VIP化
685:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 23:16:33 wtJbWjeC
支援ー
わくわく
686:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/16 23:18:21 v8ENwAmx
/:::/::::::::;: --- 、:::::::::|::::::::ヽ
|::::|:::::::├―┤:::::::l::::::::::|
|:::」.ィ ┴―┴‐- L::::::::|
|´ : | , -‐ 、 ‐- 、| `T ト、 ありゃー
l: : : |{ じ じ }: : :V::::::} 澪とうとう枕営業しちゃったか・・・
〃!: : | ー ー | i: : }_/
/ |:i ; | u ' jイ : ハ
l:ト、:ト . ^TTIト .イ/: /: :ヽ
| ヾ ィ>イl川´}∨∠ェー ´
_.. ヘ ヽ 川||/ ハー- ._
, ィ''´ } ンrtく { /ヽ
/ l 、\ {_/ |o| \_} / ,
{、 l >--\ |o| 、 ,′ 、
ハ_} / _二ヽ \ Ll V/ ヽ
{ / -- 、ン‐ヘ {i __}
に7 ‐ァ-一'’_¨二\二二¨ `Y⌒ヾ_-―‐ノ
// /ヽ、<´ ミ=三ゝ=ミ `>ノ ノ `ヽ |
687:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 01:25:11 0zWL4S/v
不覚にもP-MODELで吹いた
688:一緒にバンドやろうな!!
09/09/17 05:59:12 9jurlnKU
(>>683の続き)
間違なく澪だ!
しかし目が合った瞬間、私はその場から逃げ出していた
どこをどう走って来たのか、気が付いたら近所の公園にいた
澪と最後に会った公園だ
あの日から何も成長してない私、そして変わり果ててしまった澪…
涙があふれて来た
澪があんな男と!
あんなな格好で!
絶対に髪は染めないって言ってたじゃないかよ!なんで…
少し休んだら落着いて来た、そしてほんの少し昔を思い出した
家で一緒にライブDVDを見た中3の夏
『私がドラムでぇ~、澪がベース!絶対に一緒にバンドやろうな!!』
あの日のあの時の私の声が蘇って来た、そして…
『りつ…』
『りつ…』
・・・・・・
「りつー!」
澪の声だ、そこには澪がいた!
私を追ってここまで来てくれたんだ!
澪「りつー!お願い、待って・・・」
689:律の為に
09/09/17 15:30:39 9jurlnKU
(>>688の続き)
澪「律、待って…」
律「・・・」
何を言っていいか分からなかった
暫く沈黙が続いたが、澪が口を開いた
澪「…元気そうだね」
律「…ああ、そっちは?」
言いたい事は山程あるのに、上手く言葉が出てこない
でも間違なく澪は私の目の前にいる
澪「うん、元気」
律「そっか、それよりその格好…それにさっきの人は?」
澪「あ、あの人は…HTTのプロデューサーなんだ、この服装もあの人の趣味で…」
律「えっ、それって!」
澪「わ、私さ、やっぱり律と一緒にバンドやりたいよ!で、でさ、彼に頼んだら、考えてくれるって…」
律「もしかして、その条件に…」
澪「いや…、その~、彼はそういうつもりは無かったらしいんだけど…」
律「…寝たんだ」
澪「・・・・・・で、でも律の為に…」
“私の為”
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが切れた
律「…ふざけないでよ」
澪「え?」
690:衝動
09/09/17 15:53:52 9jurlnKU
(>>689の続き)
律「…ふざけないでよ」
澪「え?」
パシーーーンッ!
澪に思い切りビンタをしていた
それと同時に涙が溢れ出た
律「私をバカにすんな!そんな事して私が喜ぶと思ったのか!何処まで私を惨めにすれば気が済むんだよバカ澪!!」
私は力の限り澪に平手打ちを食らわせた、何度も、何度も…
澪は何も言わずそれを受け続けた
赤く腫れる頬、虚ろな目、鼻血も出ている
私の為に澪が汚れるの嫌だ!
でも私は今、澪を力まかせに傷付けている…
どうしようも無かった
この涙と同じように、溢れる感情を止める事が出来なかった
もう、澪が愛しいのか憎いのかも分からなかった
…そして流れる涙で視界が見えなくなった
律「ぅわああああ!」
限界だった
私は泣き叫びながらその場を離れ、家の玄関に走った
691:聡17~18才
09/09/17 16:18:57 9jurlnKU
(>>690の続き)
律「ぅわあああああああ~!」
姉が玄関に倒れ込みながら泣いている、しかもその泣き方は尋常じゃ無かった
俺は側に行き、姉の体を起した
涙と鼻水ですごい顔だ、カチューシャもずれていた…
聡「お姉ちゃん、どうしたんだよ!」
律「わ、わ、私のせいで、ちがっ、私が、私が」
聡「分からないよ、何があったの?」
律「澪、澪、澪~ぅわああああ!」
澪さんとなると…、きっとバンド絡みの事だと俺は思った
唯から聞いていたので大体の事情は知っていたし、その事で姉が深く傷付いていた事も知っていた
もうこんな姉の姿は見たくなかった
俺は姉の体を強く抱き締めた
律「さ、聡?」
聡「お姉ちゃん、俺じゃダメ?
俺じゃ、澪さんや唯さんの代わりにはなれないかな?」
律「・・・」
聡「あの指輪だって、本気だったんだ!」
律「…聡」
俺は静かに姉と唇を重ねた、そして・・・・・・
それから暫くして、姉は部屋に閉じ籠るようになってしまった
そしてそんな姉を嘲笑うかのように、HTTはその数ヶ月後に正式デビューを果たした…
692:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 16:43:59 g5M+GOXh
聡と唯の関係は一体なんなんだ?
693:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 18:01:23 9jurlnKU
いきなりの連投スミマセンでした、考え出したら止まらなくなって…
この話は>>635から始まり、律の回想もこれで終りです!
唯は聡の元カノって設定です
694:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 20:14:11 oOtxUi8q
なぜ聡がそんなに絡んでくるww
ってここ聡スレか
すっかり忘れてたわ
695:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 23:30:14 c1wtHRiH
面白いけど混乱してきたwww
696:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 23:37:38 +r40b+Xd
聡が植物人間の振りする前の時間軸か?
697:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/17 23:59:42 ghU7SQoo
てかこの一連の小説何人で書いてるの?
指輪のやつと聡の植物人間が嘘ってやつは自分なんだけど、
9jurlnKU(後半執筆者)とスタートの律が引っ張り出されるやつ書いてるのは同一人物?
何か気になる
698:同一人物です
09/09/18 00:37:53 h3HjGFkU
混乱させてるようで申し訳ないっス
自分が、>>635.650.661.668.672.680.683.688.689.690.691を書きました
他にも640~644、651~657の内容は使わせて貰ってます
一応、672~691は律の回想シーンです
また続きを書くかも知れないんでヨロシク!
699:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/18 01:19:25 Vdb94WzF
>698
やっぱそうだったんか…
最初の方のやつはてっきり単品だと思ってたから勝手に続き書いちまった…
混乱させてすまん
続き楽しみにしてる(・ω・)/
700:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/18 04:58:58 IVdDAH61
700
701:作:肉体
09/09/18 23:15:15 h3HjGFkU
(691>>の続き
産婦人科の待合室のテレビで、偶然HTTを目にした律、そして昔を思い出していた…
テレビ番組はまだ続いている)
司会「…でHTHはもう20年近くもしつこく活動を続けてたんですね!凄いですね~」
澪「ええ、まぁ…」
しかしこの司会は本当に失礼だな、HTHじゃなくてHTTだっつーの!
それに澪も澪だ、黙ってないでこいつ殴れよ!
司会「メンバーチェンジも多く、結成時からいるのはMioさんとAzusaさんだけなんですよね。Mioさんは始めはベースではなくボーカルだったんですよね~、ラップなんか素晴らしかったですよ!色んな意味で!!」
702:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/18 23:26:20 vzYeYKJl
もう40前なのか…
703:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/19 04:18:57 maGwLhtk
40前と聞いて
なぜかさわちゃんが一番心配になった
704:肉体
09/09/19 04:47:04 Q6EmgOxc
(>>701の続き
HTTが出ているテレビ番組を見続ける律)
司会「色んな意味で凄いラップでした、腹がよじれましたよ!」
澪「ええ、でも今回のレコーディン…」
司会「ああ!そうだそうだMugiさんは一度脱退したけど、何故かまた戻って来たんですよね」
テレビの画面がムギのアップになった
派手なメイクをしてはいるが、初めて会った高一の頃と全然変わってないように見えた
…そういえば唯が言っていたけど、ムギもデビュー前はHTTを辞めたがってたんだよな
とりあえず皆元気そうだった
・・・
みんなに会いたいな…
705:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/19 10:07:47 +++buCFl
光が見えて来たか?
706:肉体
09/09/19 16:57:20 Q6EmgOxc
(>>704の続き
番組はまだまだ続く…)
司会「Azusaさんは昔ヘアヌード写真集だしてたんですよね~」
梓「そ、そうですけど…」
司会「実はここにあるんですよ、ジャン!
タイトルは『ためらい』です」
梓「…え、なんでそれが!」
司会「ためらったら裸にはなりませんよね普通は」
梓「・・・」
司会「中も凄いですね~、この写真ではなぜ裸で火縄銃持ってるんですか~?」
梓「ちょ、やめ…」
司会「それと、所々に詩が載ってますね、えーと…
『やってやるですぅ』
『南国の風が私の野性を解放する』
『死の予感…』
全く統一感がないですね、しかも死の予感って?死にそうなら写真集どころじゃないですよね、あとこの写真…」
バッターーーン!
梓はひっくり返った
司会「あらあら大丈夫ですか?では続いては、おハガキのコーナーです!
“ジャズ研のショートカット”さんからのおハガキです、え~『海に行った友人が足を怪我して、数日後に膝がもの凄く痛くなったそうです、そこで医者に診て貰ったら、膝の中にフジツボが…』」
澪「ギャーーーッ!」
澪が泡を吹いて倒れた
…私、このバンドに入らなくて正解だったかも・・・
707:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 00:50:26 Hec+OcYG
結構遅筆なのか?
もどかしいぜ…
708:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 11:21:38 TACQN+He
>>566
ちょwwwww
俺の歌詞がとうとう…!
ねーちゃん組と一緒で聡組も優秀だな
つか適当に書いた歌詞がまさか…。
作曲&修正ありがとうございました。
ブログ掲載大丈夫ですよー。
むしろお願いしますry
いやはや、それにしてもいい曲
709:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 12:50:17 FNAhs1fR
>>708
ブログはこんな感じになってます。
2chから生まれた曲専用のブログです。
URLリンク(nijinomukoue.seesaa.net)
他の記事を見たらわかりますが律ソング作曲と同じ人物です。
710:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/20 12:57:04 bSTjF6uR
>>709
虹カチュの方でしたかw
この曲は何人か作曲していらしゃいましたが、これもいいですなぁ
名誉隊長様、聡きゅん、お疲れ様でした
711:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 09:09:23 TUnqbCEW
その1・人生バラ色
「田井中君、好きです」
放課後、クラスの女子に呼び出され人生初の告白というのを経験したのは聡が高校に上がって間もない時だった。
新庄「で、どうすんの?」
聡「分かんない。いきなりだったし…。とりあえず返事は待ってもらった」
自然と小声になってしまうのは斜め後ろから感じる彼女の視線のせいだろう。
同じクラスというのは何ともこそばゆい。
新庄「ふぅーん、良かったじゃん。聡君?」
新庄がニヤニヤして言う。
聡「なっ、なんだよ、俺は別に…」
否定しようとする聡に新庄はちょいちょいと足下を指差した。
聡「あ」
見ると無意識につま先で軽快なリズムを取ってしまっていた。
単純な俺の馬鹿馬鹿っ。
聡「…――俺はモテるお前と違ってこういうのは初めてなんだよ…」
新庄「それはお前が悪いのー。知ってたか?中学の時もお前の事好きだった奴結構いたのよ?誰かさんは全然気付いてなかったみたいだけど」
聡「うっそ」
新庄「いいんじゃない?明るいし楽しい子だし。お前に合ってるよ、笹木さん」
聡「わ、馬鹿!」
名前を出されて焦った聡は思わず手が出てしまった。
712:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 09:11:02 TUnqbCEW
部活を終えて家に帰ると母が出迎えた。
今日お父さん遅くなるみたいだから先に食べちゃいましょ。
母はそう言うと既に用意していた料理をテーブルに並べた。
食事中母はずっと近所に居るチワワについてやたら熱く語っていたが、
聡はそれに相づちをうちながら頭の中は今日の告白の事でいっぱいだった。
713:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 09:13:08 TUnqbCEW
翌日、今度は聡の方から彼女を呼び出した。
最初は緊張の面持ちでいた彼女だったが聡の返事を聞いて喜びを隠し切れない様子だった。
その時、ふわりと風が吹いたのを覚えている。
彼女の決して長くはない髪がさらさらと揺れるのを見ながら聡も無性に嬉しくなったのだ。
田井中聡、人生初の恋人誕生の瞬間だった。
714:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:30:28 UR2yruAi
長編が入り組んできたなwww
715:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:49:18 TUnqbCEW
すまん!こっちは出来るだけ今日明日で片付けるつもり…
関係ないけど『時をかける聡』書いてた人はもう完全にアウトしちゃったんだろうか…
その2・予兆
まさにバラ色だった。
聡の高校生活は恋に部活に友情にと充実したものになった。バイトもした。
彼女との付き合いは高校卒業後も続き、大学を出る頃には二人安いアパートを借りて同棲を始めた。
716:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:52:38 TUnqbCEW
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
休日の午後、彼女に「ごめん、今日は友達と遊びに行く約束しちゃったんだ」と誘いを断られた聡は特にする事もなくソファーでくつろいでいた。
新庄「よっ、近くに用事があったから来てみたぞ」
ドアを開けるとそこに立っていたのは新庄だった。
新庄は手に持っているビニール袋を掲げると「手ブラもなんだからこれ」と言った。
…ていうかそれすぐそこのコンビニの袋じゃないですか。
聡は苦笑しつつも新庄を中に招きいれた。
新庄「あれ?笹木さん今日は居ないの?」
聡「出掛けてる。友達と映画だってさ」
新庄「ふーん」
新庄はリビングのテーブルに袋を置くとどさっとソファーに身を沈めた。
新庄「ふ~…。…にしてもお前らがこんなに続くとはあの時は思わなかったなー」
聡「お前人んちでくつろぎすぎ」
だらっと座る新庄があまりにも部屋に馴染んでいるので聡は思わず苦笑した。
新庄「このままゴールイン?」
聡「んーーー……………実はかなり、考えてたり」
新庄「そっか。親父さんとはどうなんだ?」
聡「それなんだよなぁ…」
聡と父は言わば喧嘩別れのような状態にあった。
仲直りをしようにも、どうすればいいのか分からないのが現状だ。
なにせ、原因がはっきりしないのだから。
新庄「お前、一人息子だもんな」
聡「分かってるよ」
暫く部屋でだらだらと話をしていた二人だが久しぶりにカラオケでも行くかという流れになり、
そのまま近くのカラオケボックスに転がり込むと夜までぶっ通しで歌い続けた。
そして食事も含めて5時間ほどそこで過ごした後、現地解散したのだった。
717:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:54:43 TUnqbCEW
自宅に帰ると電気はついておらず、まだ彼女が帰宅していないのだとすぐに分かった。
携帯を確認するとメールの着信が一件あった。
『ごめん!少し遅くなるかも(汗)冷蔵庫に昨日の残り物があるので良かったらチンして食べてください。ごめんね~(>_<;)』
確か中学校以来の友人に会うと言っていたから話が盛り上がっているのだろう。
メールの着信時刻は二十時と表示されていて、今は二十時半だ。
聡はぱたんと携帯を閉じる。
その時、インターホンが鳴った。
「宅配便でーす」
聡は「はい」と玄関を開けた。
「田井中さんのお宅ですね。一万三千円になります」
ジーンズのポケットから財布を取り出す。
げ、千円足りない。
聡はちょっとすみませんと言い置いてリビングへと引き返した。
ちょうどリビングの棚の上に彼女が普段使っている鞄があった。(今日は別の物を持って行ったのだろう)
聡は軽く中を探ると内ポケットに折りたたんだ千円札を二枚見つけた。
一枚だけ抜き取って引き返すと宅配員にお金を渡しサインをする。
「お疲れ様です」
荷物を受け取り軽く頭を下げてドアを閉めた。
聡はリビングに戻ると荷物を下ろした。
718:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 10:56:45 TUnqbCEW
聡宛てだったが開けることはせずに、それよりも棚の上で開いたままの鞄の前まで行った。
…――さっき、お金を出す際に気になるものを見たのだ。
こんな事は良くないと思う。
それでも気になって聡は鞄へと手を伸ばした。
やめた方がいいと本能が告げている。
見ない方が、お前の為だと。
聡は鞄の中からそれを取り出した。
写真だ。
719:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:11:34 TUnqbCEW
その3・暗転
それはどこにでもあるような家族写真だった。
夫婦の様に寄り添う男女と、その女の腕の中にまだ1、2歳ほどの赤ん坊と幼稚園年長くらいの女の子がいる。
この女の子は、彼女だ。
だけど問題はそこじゃない。
幼い彼女の頭に手を置き、妻らしき女性の肩を抱き寄せて穏やかに笑っている男性、それは――…
「父さん…?」
見間違いようがない。
今よりずっと若いが、それはどう見ても聡の父親だ。
(なんだよこれ……どういう事?)
胸がどきどきする。
嫌な感じがつま先の方から身体をはい上がって来る。
…――ガチャリ。
720:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:13:11 TUnqbCEW
その時、玄関の鍵が開く音がした。
彼女が帰ってきたのだ。
いけない、早く隠さないと。
だけど身体はぴくりとも動かない。
ドアが閉まる音の後に、リビングへと近付いて来る足音。
「ただいま聡ー。遅くなってほんとごめん。何か食べた?」
彼女はリビングに入ってくると、よいしょと鞄を下ろした。
聡は何も答えない。
彼女は不思議そうに聡の顔に視線をやり、次にその手に握られているものを見て表情を強張らせた。
「…………」
聡は彼女に向き合った。
ゆっくりと息を吸う。
「お前は一体誰なの?…―――――――――
――――――――なあ、律。」
721:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:50:27 uC4P10io
なんだと
722:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 12:56:15 hxqskuSV
クラスの女子ってことは同い年だったって事か?
723:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 13:53:08 TUnqbCEW
パラレルって事で
その4・さらに暗転
律は何も答えない。
『笹木 律』
それが聡の恋人の名前だ。
高校で知り合い、彼女に告白されて、恋人として寄り添って生きてきた。
二人が出会ったのは偶然のはずだ。
だけどこの写真は何だ?
意味が、分からない。
聡「…これは、何?」
聡は写真を律に向けて突き出した。
聡「この男、俺の父さんなんだけど。なんでこんな物持ってんの?」
大学に入った頃、律を自宅に招いた時の事を思い出した。
彼女を見た時の、父の顔を。
だからなのか?
だからあの時、父は俺と彼女の事をあんなに反対したのか?
信じたくない。
嘘だろそんなこと。
聡「…――なあ、お前は一体誰なの?」
僅かな望みに縋って聡はもう一度聞いた。
彼女が違うと言えば、それを信じるつもりだった。
そう言ってほしかった。
だけどその希望はすぐに打ち砕かれた。
律「…その男は私の父親で、その赤ん坊は聡、あんただよ」
律は続けた。
私達は血のつながった姉弟だと。
724:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 14:41:48 SCVzXYBg
唯出産
↓
平沢父が田井中母と不倫
↓
律出産
↓
不倫がばれ、憂お腹に残して離婚
↓
田井中母と再婚
↓
聡出産
↓
聡と憂が付き合う
とか考えた俺は間違いなく病気
725:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 17:01:25 n2HcEgPN
>>724
唯と律だと律の方が3ヶ月ぐらい早く生まれてる
唯の誕生日は再来月だったはずだが
726:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 17:12:09 SCVzXYBg
>>725
それは分かってるが、今更そんな事って思うくらい設定改変してるんだから気にしないでくれw
727:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 20:28:52 TUnqbCEW
律のターン
その5・姉弟
聡「嘘だろ…」
頭を金槌で殴られたようなショックだった。
律「…嘘じゃないよ」
聡「だって、姉弟っていっても俺の誕生日が3月14で律が8月21だぞ?
…――同い年じゃん、俺ら」
律「………………………実は聡より三つ年上だって言ったらどうする?」
聡「………」
律「6歳までの私の姓は『田井中』。田井中律。
その写真の一年後…――父さんが母さんを捨てるまではね」
聡「……うそ、だろ…」
律は愕然としている聡から視線を外すと静かに目を伏せた。
律「私達の父さんは…、あの男は、母さんより違う女をとった。母さんを捨てて浮気相手と再婚したんだ。
聡はあの男に、私は母さんの方にそれぞれ引き取られた。『笹木』は母方の姓だよ」
頭がぼうっとする。
母の顔が浮かんだ。あの母が、父の浮気相手…
728:長台詞
09/09/21 20:30:29 TUnqbCEW
律「あの男に捨てられて母さんは女手一つで必死に私を育ててくれた。朝から晩まで働いてさ」
これは夢だ。悪い夢。
律「…―――私が中学2年の時のクリスマスイブの夜だったな。母さんが死んだのは。
車同士の衝突事故だった。原因は母さんの方の前方不注意。多分家で待ってる私の為に
急いで仕事場から帰ろうとしてたんだと思う。……疲れてるのに」
夢なら早く覚めてほしい。
律「なんでこんな目に合わないといけないんだろうって思った。母さん何にも悪い事してないのに。
その時は神様なんていないんだって絶望したよ。もうどん底。だって酷過ぎる。
…結局私は母の姉に引き取られたよ。叔母は親のいない私に同情して良くしてくれた。
けど私はそれに甘えたくなかったし迷惑もかけられないと思ったから中学を出たらすぐにバイトを始めた。
高校に行くお金は、出来るだけ自分で貯めようと思って」
当時の苦しい日々を思い出してか、律の眉間にはしわが寄っていた。
聡は律の言葉を耳に聞きながら、この8年間を振り返っていた。
二人で泣いて笑って、たまに喧嘩をして、でも結局仲直りをして。
コロコロといろんな表情を見せてくれた律。
あれは全部、嘘だったのだろうか。
聡「…父さんが憎い?」
律「憎いよ」
聡「俺と同じ学校で学年だったのは偶然?」
律はゆっくりと首を横に振った。
聡「父さんに復讐したくて俺に近付いてきたの?」
律「…………………………………………………………………
………………………………………そうだよ」
力が抜けた。
全てが終わった気がした。
聡「父さんへの復讐に俺を利用したんだ?」
律「…」
律は何も答えない。
つまりそれは、肯定しているのと同じだ。
聡「…………酷いね」
729:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 20:33:33 TUnqbCEW
律は何も答えず唇を噛んでうつむいた。
長い沈黙が落ちた。
『出てってよ』
『もう二度と顔も見たくない』
そんな言葉が喉元まで這い上がって来るたびに結局飲み込んだ。
突き放す言葉をためらうのは、事実を聞かされてもなお聡が彼女を好きだからだ。
この八年間、本当に彼女の頭の中には父への復讐の事しかなかったのだろうか。
拗ねた顔も照れた顔も笑顔も全部演技だったのだろうか。
本当のことが知りたいと思った。
でも聞けなかった。
もし肯定されてしまえば、とても耐えられそうになかったからだ。
律「…―――聡、私は」
聡「明日も早いからもう寝るよ」
聡は律の言葉を遮って背を向けた。
もうこれ以上傷つきたくなかった。
聡は何か言いたげな律を残してそのまま寝室へと向かうと着替えもせずにベッドに身を沈めた。
疲れた。
もう疲れた。
730:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 20:35:47 TUnqbCEW
次くらいでまとめるんで…
その6・後悔
翌朝、部屋のどこにも彼女の姿はなかった。
彼女の荷物がなくなった部屋はガランと寂しいものだった。
テーブルの上には紙切れが残されていた。
そこにはこう書かれていた。
『ごめんなさい。今までありがとう』
彼女の字だ。
視界がぐにゃりと歪んで、紙にぽつぽつと染みをつくった。
聡「ちくしょう…」
うやむやにして逃げる事を選んだのは自分なのに、胸に残ったのは激しい後悔と痛みだった。
731:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:43:46 TUnqbCEW
「さむ…」
律はコートの襟を引き寄せるとぶるりと身震いした。
風が切るように冷たい。
吐いた息が白い跡を残して消えていく。
12月24日、クリスマスイブ。今日は母の命日だ。
律は母の墓を前に立っていた。
あれから半年が経った。
聡の部屋を出てからは、友達の家を転々としながら仕事を探す日々だった。
今は事務の仕事に就いて安いアパートを借りて一人暮らしている。
律は用意していた花を墓前に供えて線香をあげると静かに手を合せた。
『酷いね…』
聡のあの言葉が、傷ついた顔が、今も脳裏にこびりついている。
酷い。
その通りだ。
私はあの子にとても残酷な事をした。傷付けた。
父への復讐のために聡に近付いたのは事実だ。
聡の恋人として自宅に招かれ、対面した時の父のあの顔。
ざまあみろと思った。
忘れるなんて許さない。私の事も、母の事も。
律「…――ほんと、曲がっちゃったなぁ私も」
思わず自嘲する。
母が今の私をみたらどう思うだろうか。
やっぱり悲しむのだろうか。
分からない。
732:名無しさん@お腹いっぱい。
09/09/21 22:45:25 TUnqbCEW
あの時、父と対面したことで律の目的は達成した。
だけどその後も聡の恋人として居つづけたのは、欲が出たからだ。
実の弟であるところの彼は、真っ直ぐで優しい心の持ち主だった。
側にいると不思議と心が安らいだ。
聡が笑うと自分も幸せな気持ちになれた。
できればこのままずっと側に居たい。
――欲が出てしまった。
聡と律は血の繋がった姉弟だ。
だけど二人が家族として一緒に暮らしていたのはたったの三年間で、
しかも聡はまだ赤ん坊だった。
事実として解かっていても、姉弟だという実感はほとんどなかった。
から、あんな事ができたのかもしれない。
『酷いね…』
…――そうだね、酷い。
私は酷い。
自分の勝手でなにも悪くない聡を傷付けた。
酷いことをしてしまった。
聡、ごめん。
ごめんなさい。
「…っう…」
視界が一気に歪んだかと思うと喉の奥から嗚咽が洩れた。
ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい――…
胸がきりきりと痛んだ。
今さら謝っても遅いのだ。
「――律」
突然、懐かしい声が聞こえた。
律は思わず息をするのを忘れた。
じゃり、じゃりと土を踏む音がして、それは律のすぐ近くで止まった。
律はゆっくりと顔をあげる。
聡がいた。
彼は律と同じく黒一色をまとい右手には花を持っている。
聡「律じゃなくて、姉さんって言った方がいいのかな。
…―全然実感ないけどさ」
律「さと、し…」