09/08/12 14:56:18 DlbULbAI
一応362の続き
ラスト。
※
教室の中は、集まった30人ほどのお客の声でざわざわとしている。
その黒板側の一角。カーテンで仕切られた縦横1.5mほどの空間の中で聡は頭を抱えていた。
聡「あー帰りたい…」
新庄「何言ってんだ聡…―いや、さと子!あんたには私たちを待ちわびるあの声が聞こえないの?!」
聡「…なんでお前そんなノリノリなんだよ」
股間にでっかいアヒルをつけたバレリーナ姿の新庄を見やる。
新庄「おおお俺だってテンション上げずにやってられるかッッ。…―とにかく、行くわよ聡子!」
聡「あーもう、どうにもなれだっ」
新庄に続いて聡はカーテンの向こうへ飛び出した。
…ああ、足がすーすーする。
新庄「はぁーい、この店ナンバー1アイドル・バレリーナの新子でぇす!」
聡「お注射しちゃうぞっ。新人ナース聡子でーす」
どっと沸く。
おお、意外に受けてるじゃん。
聡は台本通りの台詞をしゃべりながら教室の中を見渡した。好奇心で覗きに来た学校のやつらが大半で、あとは一般の人がちらほら―
聡「?!」
その中に、居るはずのない人を見つけた。
聡(なんで居んの??!)
その後の事はよく覚えていない。
※※
律「おー、お疲れっ」
聡「姉ちゃんっ!!」
校門前でひらひらと手を振る律に、聡は顔を真っ赤にしてずかずかと歩み寄っていく。
聡「なんで来てんだよっ!」
律「え、そりゃあ聡の勇姿を見に来たんじゃん。結構かわいかったぞ。カツラも似合ってたし。」
つんつんとおでこをつつかれる。
聡「わーー!もう忘れろーっ」
律「なんだよそんなに嫌なのか?」
聡「嫌に決まってるだろっ」
女装なんて格好悪い。聡は格好悪い姿を律に見られる事が嫌だった。(まあそんな姿もう何度も見られているのだが)
思わずぶすっとしてしまう。
律「そっか、じゃあもう言わない。な、聡。お腹空いてる?」
聡「え?あー…そいやお昼何も食ってないや」
律「じゃーん。聡と一緒に食べようと思って買っといたんだー。好きだろたこ焼き」
律は満面の笑みでたこ焼きが二箱入った袋を差し出した。
聡「あ、それ俺も…」
聡も同じく二箱のたこ焼きを鞄から取り出した。
聡「…姉ちゃんと食べようと思っ、て…」
律「…」
聡「…」
ぷっと二人吹き出す。
律「まいっか!どっか場所見つけてそこで食べようぜ」
聡「そだな」
暖かいたこ焼きを手に持って、二人並んで歩き出した。