【けいおん!】唯×梓スレ 2at ANICHARA2
【けいおん!】唯×梓スレ 2 - 暇つぶし2ch400:拒絶7
09/08/16 17:49:30 pxKoMkeZ
辛いときは何かに集中して気を紛らわせるってよく言うけど、あれ本当だと思う。

偶然なんだけど、今日は珍しく練習に熱が入ったから私も余計なこと考えずに済んだ。

なんかすごい張り切ってたりっちゃんのお陰かな。
張り切り過ぎで一人だけ走っちゃって、澪ちゃんに怒られてたけど。

…ひたすらギー太を弾いて弾いて、いっぱい弾いてるうちに下校時間になって………気付いたら自分の部屋にいた。
練習中はギー太やみんなと合わせることだけ考えて。

……終わったあとは、今日の練習に振り返って話し込むあずにゃんと澪ちゃんの姿だけが頭の中をぐるぐるループして………。

だから、みんなと別れてから家に着くまでのことはあんまり覚えてない。
あんまり、じゃかいかな。全然覚えてないや。

いつもならみんなとバイバイする交差点からあずにゃんと二人で帰るんだけど、さすがに今日は一緒にいられなくて。

本当は一緒にいたいんだけど。誰よりもあずにゃんの近くにいたいんだけど。
…でも、一緒にはいられない。いられないんじゃなくて、いちゃいけない。


401:拒絶8
09/08/16 17:50:47 pxKoMkeZ

だから、憂に買い物頼まれてたんだって急に思いだしたみたいに話して。
いつもの交差点で、いつもと違うお別れをして、いつもより時間をかけて家に帰った。
…いつも一緒だったあずにゃんと少しでも離れたくて、いつもじゃ考えないようなことしてたな。

いつも以上に頭回ってなかったから、どんな道通ったのかなんて覚えてないけどね。

ごめんね、憂。駄目なお姉ちゃんの嘘に巻き込んじゃって。

(こんなとこ和ちゃんに見られたら、またニート扱いされちゃうかも…)

憂が晩ご飯作ってる間、いつもならギー太の練習して待ってるんだけど、今日はそんな気起こらなくて。
久し振りにボケーッとベッドに寝転がってたら不意に携帯が鳴った。

「ムギちゃん?」

ムギちゃんからメールだ。

明日のおやつはフォンダンショコラとか、りっちゃんと澪ちゃんにはぜひ人前(じんぜん)式で結婚式を挙げて欲しいとか、
そんな感じのいつもながらのおしゃべりメール。

でも、最後のとこだけいつもとちょっぴり違ってた。

『悩みごとがあるならなんでも言ってね?』

………そっか、やっちゃったかな、私。


402:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/16 17:51:34 X51RngQ6
てかなんで同人本てやたらと無意味に汁塗れにしたがるのか理解できん

403:拒絶9
09/08/16 17:52:12 pxKoMkeZ

顔には出てないって自信があったんだけど、どうやら隠しきれてなかったみたい。

それからりっちゃんと澪ちゃんからも立て続けにメールが来て、やっぱり最後に心配されちゃった。

(…私ひとりだけダメダメだね、本当…)

みんなの優しさが心に染みていって、ポカポカあったかくなっていく。

みんなにこれ以上迷惑かけないようにしなきゃって考えてたけど、
本当に部室に行けるか心配だったけど、大丈夫。きっと大丈夫。

本音はちょっぴり怖いけど、明日からはいつもとおんなじ笑顔に戻れるよ。

だから、ありがとって返しておいた。いつも私を助けてくれてありがとって。
あとムギちゃんには鼻血の出し過ぎには気をつけてって。

「………吹っ切らなきゃダメだよね、うん」

ひょっとしたらあずにゃんからもメール来るかな…って期待しちゃうあたり、
全然吹っ切れてないんだけど、でも明日のために気持ちだけは整理しなくちゃね。

「ごめん、憂。ちょっとお散歩行って来るね」

台所からかけられた「気をつけてね」って返事を背中で受けながら、私はスニーカーの靴紐を結んだ。



404:346
09/08/16 17:56:20 pxKoMkeZ
またまた長文失礼しました。次でたぶんラストになるかと思います。

>>395
すばらしすぎます!
ですよね、やっぱり唯がいけないんですよねw
梓的にはもう責任取ってください、いえむしろ私が取りますって感じでしょうね

405:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/16 18:22:03 X51RngQ6
>>404
いつもGJ
どうでもいい話で割り込みレスしてごめんよ

406:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/16 18:50:13 tAyjlduL
URLリンク(imepita.jp)もふもふ

407:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/16 18:56:12 8Kbkznjf
>>346
正座して待ってました!
唯が切なくて、こうぐぐっときます…!

>>395
寝ようとしてたのに、おかげで妄想がw
GJです!
以下妄想の垂れ流しを…
押し倒しゆいあず…とか?

限界というのはなんにでもある。世界に永遠も無限も求めるべくがないように、どこにだって限界というのは存在する。
例えばどんなに立派で大きなダムだって、限界水量を超えて水を注がれ続けていたら、溢れ出してしまうだろう。
ふと浮べたその例えはまさに、今の私の状態を的確に表しているようだった。
「あず…にゃん?」
私の下で、先輩がきょとんとした声を上げる。その表情も、まさにそんな声を上げるに相応しい、きょとんとしたもの。
今何が起こってるかわからない、そんな表情。柔らかなクッションの上に身を横たえ、無防備な瞳で私を見上げていた。
それに、とくんと私の胸は高鳴った。でもそれはきっと気のせいなのだろう。
だって、私の鼓動はさっきからずっと、心臓がはじけてしまうんじゃないかと言う勢いで鳴り続けているのだから。
先輩の腕を掴んだ手に、きゅっと力を込める。先輩が逃げてしまわないように。
逃げてしまわないようにして―このまま先輩を捕まえて―私は何をしようとしているんだろう。
そう、わかってる。ついさっきまで私に向けられていた笑顔を、私のものにしてしまおうとしてるんだ。
私以外にもあっさりと向けられてしまうそれを、私だけって、そんな形に閉じ込めておきたいって。
こんなのいけないことだって分かってる。無理矢理にこんなことをしてしまうなんて、駄目だってことわかりきってる。
だけど、もう自分を止められそうにない。そう、限界を超えて注がれ続けていたそれはもう既にあふれ出してしまったから。
先輩が好きで好きで好きで―どうしようもなく大好きだってことが。
「…先輩がいけないんですよ」
だから、これは先輩が悪い。思わせぶりな態度をずっと続けていて、それでも最後の一線は絶対に超えてくれなくて。
私を翻弄し続けていた先輩が、全部悪いんだ。
―そんなわけないのに。
冷めた自分の声が、頭に響く。それを振り払うように、何処か留まろうとする自分を無理矢理押し付のけるように―
私に押さえつけられて、身動きのとれない先輩に唇を合わせた。

「…っ」
先輩の体がビクッと震える。触れ合う部分から、それが伝わってくる。
それが湧き上がらせたのは、どうしようもなく深い後悔だった。
慌てて身を離す。すぐにそうしてしまえば、今の出来事は無かったことに出来ると妄信するかのように。
それでも唇にはまだ先輩の柔らかな感触が残っていて、それはまるで烙印のように、自分が今してしまった事実を押し付けてきた。
「…あ…ぅ」
それは、もうどうしようもないほどに甘いものだと、ずっとそう想像していた。いつも夢に見ていたそれは、その中では常にそう再生されていて。
けれども、今のこれはただひたすらに熱く鋭く尖っていて、私を苛むものでしかなかった。
でも、それをそうしてしまったのは、他ならない自分自身だと。罪と罰の正当な因果関係だと。それに、どういい逃れようのしようもなかった。
私は今、無理矢理先輩を押し倒して、その唇まで奪ってしまったんだ。
先輩の了承も得ず、それどころかその行為を先輩のせいにまでして。踏み込んではいけない領域に、土足で踏み込むようなそんな真似をしてしまったんだ。
―最低だ。
そんな言葉しか浮かんでこない。そう、先輩は何も悪くない。私が勝手に思いつめて、思い悩んだつもりになって、挙句劣情を暴走させて。
それを先輩にぶつけてしまった。きっと、傷付けてしまった。
こんなの、許されるわけがない。許してもらえるわけがない。許されて、いいはずがない。

でも、そうしたら―許されなかった私は、もう二度と先輩の傍にいることは出来ないの…?

そこで、私は再び愕然とする。私に浮かんだ後悔は、先輩への罪の意識ではなく、突き詰めればそんな自分本位のものだったから。
なんて私は―駄目、本当に、こんな私が先輩の傍になんかいちゃ―

408:押し倒しゆいあず2/2
09/08/16 18:56:50 8Kbkznjf
「あずにゃん!」
身を翻し、とにかくその場から逃げ出そうとした私を、何かがぎゅっと捕まえた。
考えるまでもなくわかる。この暖かさも、柔らかさも、匂いも、私をふわりとさせるこの全ての要素は、それが唯先輩であることを示している。
―駄目です、先輩。こんな私なんかに触れちゃいけないんです。先輩は優しいから、こんな私でも許してくれようとするんでしょうけど。
―私はこんなにも汚いから、それが先輩を汚してしまうのが嫌なんです。さっきだって、私は―!
私は、とにかく先輩から逃れようと、ばたばた暴れた。そのつもりは無かったけど、何回かぶつような形にもなってしまったと思う。
だけど、先輩は私を離さなかった。それどころか、ぎゅっと力を込めると。ぐいっと私の体を引き倒す。
体格で劣る私は、それから逃れることが出来ず、どさりと倒れこんだ。ふかふかのクッションで怪我はないけど、衝撃に一瞬だけ動きが止まってしまう。
それでも何とかもがき続けようと、急いで取り戻した視界に映ったのは、それを埋め尽くそうとする先輩の顔だった。
「え…?」
一瞬後、唇に生まれた感触は、さっきとまるで同じもので―それでいて決定的に違う何かで。
それを私はどう理解すればいいのだろう。
混乱した頭は、体の制御を忘れ、もがこうとしていた私の腕はパタリとクッションの上に落ちる。
それをぎゅっと先輩の腕が掴んだ。私が逃げられないように、逃げてしまわないようにと。
―そこでようやく、私はこのシーンが先程の焼き直しだということに気が付いた。ただ違うのは、組み敷いているのが唯先輩で、組み敷かれているのが私ということ。
「…んぅ…っ」
そして、先輩は私のように直後身を離してなんてくれなかったということ。つかんだ腕も、あわせた体も、重ねた唇も、離してくれる気配すらない。
伝えられるのは、いつも感じている柔らかくて暖かくて優しい先輩。
ただ、それはいつもよりずっと熱くて、それが私の思考をとろとろに溶かしてしまうまで、先輩は許してくれなかった。
「…は…ぅ」
へなり、と私の体から力が抜ける。まるで糸を抜かれた操り人形のように、体に力が入らない。そのくせに、感覚だけはやたら鋭敏で。
ただひたすらに唯先輩のことを感じていようと、その方向だけに意識が開かれているようだった。
そこでようやく、先輩は私の唇を解放してくれた。少し距離が開いて、初めて読み取れた表情は、今まで見たこともないほど優しく暖かな笑顔だった。
それが、きゅっと私を抱きしめる。
「…ごめんね、あずにゃん」
「な、なんで…」
先輩が謝るんですか、とは言わせてもらえなかった。
再び合わせられた唇を離すと、先輩はすまなそうな笑みを浮かべる。
「…私ね、あずにゃんの気持ち、気が付いてたんだ」
「え…?」
思いもよらなかった言葉に、私はきょとんとさせられる。
「でもね、怖かったんだ。それを信じて踏み込んでいいのかって。だって、もしそれが間違ってたら…きっとあずにゃんは私を嫌いになっちゃうから」
「唯先輩…それは」
先輩の声に混じるのは、明らかな謝罪の意。だけど、私はそれよりも、それが意味するところのほうに気を取られていた。
それはつまり、唯先輩のほうも私の方を―そう思ってくれてたということでいいんですよね。
「でも、それがあずにゃんをずっと傷付けていたんだね…ごめんね、私…私がもっとしっかりしてたら、あずにゃんを泣かせたりしなかったのに」
そういうと、唯先輩はじわりと目じりに涙を浮かばせた。
私は慌てて手を伸ばすと、そうっとそれを拭い取る。先輩が泣くことなんてない。
だって本当にそうだったとしたら、踏み出せなかったのは先輩だけじゃない。待っているだけの私もそうだったんだから。
「あずにゃん…?」
それに、今するべきは謝りあうこととかそんなのじゃなくて。
「先輩、聞いて欲しいことがあるんです…こんなことして、本当に今更なんですけど」
きっと、今ようやく形になったそれを、ちゃんと言葉にして伝えることだと思うから。
「…うん、聞かせて」
私の上で、先輩がきゅっと表情を引き締める。
その腕は私を抱きしめたままで、私の腕もまた、先輩の背中に回されていて。
お互いの顔は触れ合ってしまうほどの距離。実際、何度か触れ合った唇は疼くような熱を帯びていて。
―本当にこんな状態で、何を今更という感じですけど。
くすりと一度小さく笑みを浮かべる。それに釣られて、先輩がにこりと笑みを浮かべたそのときに。
私に触れる全て、それが私の中に生み出すもの、その全ての思いをこめて、その言葉を小さく囁いた。

409:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/16 21:42:01 K4Ykt0Q0
皆超乙!!

410:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/16 23:19:11 CcLcJFgj
>>404
GJ!
続きに更にwktkが止まらないぜ

>>407
ちょ、素晴らしすぎるあなたが神かw
ゆいあずは全くもっていいものだ…たまらん!

411:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 01:47:02 0NA9df6f
もうみんなGJなんだぜ

412:膝枕ゆいあず1/2
09/08/17 06:26:25 AppZHxz3
なんか浮かんだので…
膝枕ゆいあず…

「あずにゃ~ん、ひざ~」
「またですか…もう」
そんな台詞と共に、唯先輩はどさっと私の膝の上に倒れこんできた。
正確には太腿の上だけど。先輩は私の太腿にぴたっとほっぺを当てて、ふにゃふにゃと気持ちよさそうな声を上げてる。
「もう、いい加減にしてください」
「だって~あずにゃんの膝枕、気持ちいいんだもん。やめられないよ~」
唯先輩は頭を太腿の上に乗っけたまま、私の腰に手を回し、きゅっとしてくる。
正直なところ、気持ちいい。元から先輩にきゅっとされるのはなんだか心地よくて好きだったんだけど、この姿勢もやっぱり悪くないと感じてる。
ティータイムの後のこれが日常になったのは、一体いつからだったのだろう。私は無意識に先輩の頭を撫でたりしつつ、その日のことを思い返していた。
満腹になった先輩が、私の膝に倒れこんできてふんにゃりしてて…それがあまりに可愛かったものだから、そうっと撫でたりしていたら寝付いちゃって。
結局部活時間が終わるころようやく目を覚ましてくれて、ぐっすり眠れたよ、ありがとうあずにゃん、ってにっこり笑って。
それがいけなかったのか、すっかり先輩は味を占めてしまい、すっかりこれを当たり前と思い込んでしまって…
―今日こそは、それをやめてもらおうと思ってたのに、なんで私はまた、先輩を跳ね除けたりせず、こうして頭を撫でたりしてるのか。
はあ、と溜息をつく。実際のところ、それが難しいことだとはわかっていた。こんな幸せそうな顔をしている先輩に、お預け!と告げるのはあまりに難しい。
「あーずにゃ~ん…」
ごろごろと膝の上で丸くなろうとする―実際はサイズ的に不可能だから、あくまでそういう真似をするだけだけど―唯先輩は、本当に上機嫌そのものの表情。
そんなに気持ちいいのかな、と私はふと思ってしまう。
自信の発育の悪さは不本意ながら自覚するところで、別にそこまで気にしたことは無かったけど―そう、唯先輩くらいにふっくらした太腿ならともかく、私の貧相な太腿で本当に気持ちいいのかな、と疑問に思ったりもする。
唯先輩くらいのふっくらした―そこでちらりと私の視線は動いた。黒タイツに包まれた、柔らかそうな太もも。あれに頬を埋められたら、どんなに気持ちいいことだろう―
―って、私は何を考えてるんですか。
ぶんぶんと首を振る。そもそも、先輩がこんなことしてくるから、私まで変なこと考えちゃうんです。
やっぱり今日言おう。そうだ、ただでさえティータイムで圧迫されてる練習時間が、これのおかげで更に短くなってるんだ。
もうやめてください、って言わなきゃ。

413:膝枕ゆいあず2/2
09/08/17 06:27:14 AppZHxz3
「唯先輩!」
「ひゃ、な、なに?あずにゃん」
ぴしっと、そういってやらなきゃ。突然声を上げた私に、びっくりした表情の唯先輩に、私は容赦なく続ける。
「私にも膝枕してください!」
「へ…?う、うん、いいけど…?」
びっくりからきょとんに表情を変えて、唯先輩はむくりと私の膝から顔を上げた。ようやくやめてくれた、と私は残念さと達成感を織り交ぜた溜息をついて―
「はい、あずにゃん」
と、にっこり笑いながらぽんぽんと太腿を叩いて見せた唯先輩に、首を傾げることになった。
―いや、というより、私はさっきなんて言ったのだろう。
記憶を再生し、それにたどり着いたところで、私の頬はぽんっと蒸気をあげた。
―何を言ってくれてやがるんですか、私!
「ち、違うんです、唯先輩、さっきのは…!」
「そうだよねー私も思ってたんだ。いつもしてもらってばっかりじゃ悪いから、あずにゃんにもしてあげよって」
「い、いえ、ですから―!」
「もー、今更恥ずかしがらなくっていいんだよ、ほら」
唯先輩の腕がすいっと伸びて、私をぎゅっと捕まえると、そのまま抱え込むように太腿の上へと倒しこんでしまう。
抵抗しようにも、唯先輩の頭の中ではすっかりそういうことになっているらしくて―もうこうなったら、私の言い分なんて聞いてくれそうにない。
それに実際―私もそうしたいって思ってしまってたわけだし。でもでも、まさか本当にそうなってしまうなんて思いもしなくて。
「ひゃ…」
その瞬間、思わずそんな声が漏れていた。声、というかびっくりした肺から絞り出されたような、そんな音。
「あ、あずにゃん?」
ぴたっと動きを止めてしまった私に、唯先輩が心配そうな声を上げる。だけど、今の私にそれに答えるような余裕なんて欠片も存在しなかった。
いつだったか、確か憂が言ってたっけ―お姉ちゃんの膝枕、すごいんだよ。天国ってあんな感じかなって思えるくらい―確かそう微笑みながら話してくれた。
そのときの私はいつもの憂フィルターだと思って、笑い流していたんだけど―今それが大げさでもなんでもなく、ただ事実を述べていただけだと思い知らされた。
―何これ…私、こんなの知らない…
ふわりと、まるでマシュマロみたいな柔らかさと暖かさ。タイツ越しとは思えないほどの、しっとりとした心地よい肌触り。ふんわりと鼻腔をくすぐる優しい匂い。
その全てが私の意識を溶かそうと包み込んでくる。包み込まれて、絡め取られて、もう一歩たりとも逃げられなくなってる。
むしろ、自らその中に飛び込んでしまおうとしているような―ううん、そのままなんだろう。
私の手は知らない間にぎゅっと唯先輩の腰に回されていて、僅かな距離さえもその間に許さないようにってぎゅっとしがみついている。
「ふふ、あずにゃ~ん…」
先輩の甘い声が、鼓膜を撫でる。とんと背中に手を当てられて、体がぴくりと震える。何だか、すごく敏感になってる。
ふいっと、頭頂部に近付く気配。先輩の手だ。いつも私がそうしているように、私の頭を撫でようとしているのか。
駄目、今そんなことまでされたら―私。
内心、必死に嘆願するものの、先輩の手は止まってくれるはずもなく、それどころか私の体も動いてくれなくて。
ふわりと優しく、先輩の手が私の頭に触れた。
「にゃ…あ…」
耐え切れず、そんな声が漏れる。まるで猫みたいな声。
「ふふ、あずにゃん、猫さんだね~」
なでりなでりと、先輩の手が私の髪を撫でていく。既に私はどうにかなってしまっていたけど、それは更に上へ上へと私を導いていくようで。
「にゃあ…」
また声が漏れる。私の意志に関わらず…ううん、ひょっとしたら私の気付かないその意志に沿うように。
猫みたいな声、ううんきっとそうなんだろう。こうしている私は、もうとっくに先輩の猫に、なってしまってるんだから。
そう、私は先輩の猫。ゴロゴロと喉を鳴らして、先輩の懐の中、頭をこすり付けて甘える猫。
―だから先輩、もっともっと可愛がってくださいね。
そうして私はもう一度、甘えるように小さな鳴き声を上げた。

ぽかんとこちらを眺めていた三人の視線に気が付き、死ぬほど後悔させられたのは余談ということにしておくけど。
ああもう、全部唯先輩が悪いんですからね!

414:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 08:02:01 laTK9s6v
なんなんだこのssラッシュは、GJすぎるじゃまいか!
2828が止まらないwww

415:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 10:52:39 34iWRZCr
相変わらずGJすぎるぜ、ここのSS職人は…

416:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 14:44:33 Ne1hgX7d
自分は文才がないだけに、職人さんには心底尊敬する。

417:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 15:18:03 i1Xswz78
こんにちは、中野梓です。暑い日が続いてますね。軽音部もだらけモードが続いていています。特に唯先輩のだらけてる姿が可愛くて・・・いやいや!
唯先輩困ってます!ハア・・・最近憂ちゃんに影響されてるのかな・・・?前回の子猫ちゃんの事件で唯先輩との距離はだいぶ縮まったけど、モヤモヤしてるのは私だけという状況は変わらずです・・・。
「おはよーあずにゃん。あづいねえ~。」
噂をすればなんとやら・・・。相変わらず気の抜けた声で唯先輩が登場しました。
「おはようございます。」
「あずにゃんはこんなに暑いのに元気だねえ~。」
「別に私だって暑いですよ。唯先輩がだらけすぎなだけです。」
「んん~あずにゃん分補給~!」
突然唯先輩が私に飛びついてきた。さっきまで暑い暑いと言っていたのにあきれてしまう。まあ、そんな唯先輩の事が私は好き何だけどね・・・。
「ちょ、唯先輩!こんなに暑いのにくっついてたらよけい暑いですよ!」
「あずにゃんと一緒なら平気だよ~。」
これだから唯先輩は侮れない。油断していると時々どきりとする事を言ってくる。思わず顔を背けてしまった。
「あ、あれ?あずにゃん嫌だった?ご、ごめんね。」
それを見た唯先輩がパッと手を離した。
「ち、違います!そういう訳じゃありません!」
「じゃあ、なんで?」
ううう・・・顔が赤くなるのを見られたく無かったなんて言えるわけないよ・・・。
「そ、それはその・・・。」
しどろもどろしていると唯先輩が心配そうに私の顔を覗き込んで来た。
「あずにゃんどうしたの?顔、赤いよ~?」
「そ、それは・・・あ、暑いからです!」
「そっか~♪そんなあずにゃんに良い物があります!」
と、唯先輩がコンビニのビニール袋からパックのジュースを取り出し、私の前に差し出した。
「これ、あすにゃんにあげるよ~♪」
「ええ~!い、いいですよそんな・・・唯先輩に悪いですし。」
「そっか~・・・じゃあ半分こしようか。ストローも二本ある事だし!」
と、という事は・・・。
唯先輩がジュースにストローを二本さし、私に差し出してきた。
「ほ~ら、こうすれば2人で飲めるよー♪私って頭良い~♪」
やっぱりだー!それって唯先輩と間接キッスと言う事ですよね!!!それはそれでいいかm(ry・・・いやいやいや、それはまずいでしょ!
私が真っ赤な顔で考えている間に体が勝手にストローをくわえて爽やかなオレンジジュースを飲み始めていた。私って意思薄弱・・・。
いつの間にか唯先輩もストローでジュースをすすっていた。
「なんかさあ~こういうのって恋人みたいだよねえ~♪」
突然の唯先輩の発言に私は思わず口に含んだジュースを吹き出した。
「わわわっ!ど、どうしたのあずにゃん!?

続く・・・かも・・・。

418:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 15:38:49 EF5T1D+Y
おまえらGJすぎんだよ……

もっとやれ

419:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 17:13:22 Aw1m6wT2
>>417
GJすぎだよあんた・・・


420:ゆいあずでちょっとしたはぷにんぐとか
09/08/17 22:16:20 EF5T1D+Y
 現在、唯先輩の部屋で唯先輩と一緒にギターの練習をしている。
 ……のだけれど。
「唯先輩?」
 だんだんと唯先輩の演奏が下手になってる気がする。これならまだ部活でやってたほうが上手だ。
 不審に思って唯先輩の顔を覗き込んでみると―
「んぅ……」
 瞳が虚ろだった。
「ちょ、唯先輩?」
 よく見てみると、顔も少し赤くなってて、上半身もなんだかふらふらしている。
 私の呼びかけにも気付いていないみたいだしこれは……。
「ちょっと失礼しますよ」
「んぁ?」
 ずい、と顔を唯先輩に近付けると、唯先輩はようやく私に気付いたみたい。
 少し驚いた風に体を捩って、私から離れようとする。
 私はそれを許さずに、唯先輩を掴もうと腕を伸ばし―
『ガンッ』
「っ……!」
「きゃっ!」
 足元の荷物に足を引っ掛けてしまい、二人して唯先輩の後ろのベッドに倒れこんでしまった。
 両腕を支えにしてどうにか唯先輩を下敷きにしないようにはできたけど……。
「うぅ……」
「……」
 視線の先には、小動物のように体を震わせている唯先輩。頬を紅潮させ、潤んだ瞳で私を見ている。
「あずにゃん……」
 小さく震える唇から私の名前を呼ばれる。
 頬を更に赤く染めて、瞳を閉じ、何かを期待するように唇を突き出している。
「ゆい、せんぱい……」
 私は、それに応えるために唯先輩の唇に自分の―
「―って、ちがあああああああああああああああああああああああああああう!!!!!」
「うひゃあ!?」
 わた、私は何を……! い、いきなり唯先輩にききき、キスしようなんて……。
 いくらなんでも唐突過ぎる! 初めてはもっといい雰囲気のときに―ってまた何考えてるの!?
 どきどき。
 胸の鼓動が速くなる。きっと今の私の顔はすっごく赤くなってるんだろうな……。
「あずにゃん、急にどうしたの……?」
 と、気付かれないように何度も小さく深呼吸をしていると、唯先輩に後ろから声をかけられた。
 最後にもう一度深呼吸をして、もう大丈夫だということを確認してから唯先輩に振り返る。
「どうしたもこうしたも……」
 ありませんよと続けようとして、唯先輩の様子に、はっとする。
 顔は相変わらず赤いままだし、焦点も合ってない。息も少し荒いし、これはやっぱり……。

421:ゆいあずでちょっとしたはぷにんぐとか
09/08/17 22:17:04 EF5T1D+Y
「唯先輩、動かないで下さいね」
 今度は先にそう断ってから、唯先輩に顔を近付ける。
 ……さっきみたいなことがまた起こるかもしれないから。
 思い出してまた赤面しそうになるのを堪えながら、唯先輩のおでこと私のおでこをくっつける。
『ぴと』
 ……うん、やっぱり熱い。
 これは間違いなく風邪を引いちゃったのかな。どうせまたクーラーをガンガンに付けて寝たんだろうけど。
 お互いのおでこを引っ付けたまま唯先輩に声をかける。
「先輩、やっぱり熱が―」
 それ以上言葉を紡げなかった。
 なぜなら―
「えへへ、キスしちゃった」
 唯先輩に唇を塞がれてしまったから。
「な、ななな何してるんですか!?」
 びっくりして唯先輩から飛び退く。
 そんな、いきなりだなんて……。心の準備ってものがあるでしょう。
「だって、さっきあずにゃんがしてくれなかったんだもん」
「あ、あれは―」
 だめだ、心臓がものすごい勢いで鼓動して、体温が急上昇してる。
 たぶん今の私の顔は茹蛸状態になってると思う。
 顔から火を噴くなんてレベルじゃない。もう顔が火になってる。
 こんなに恥ずかしいのは初めてだ。
 そのくせ唯先輩はあんまり恥ずかしく思ってなさそうなのが腹立たしい。
 私にこんな恥ずかしい思いをさせておきながら自分は平然と笑ってるなんて……唯先輩らしいか。
「嫌だった?」
「嫌とかそういう問題じゃ―ああもう!」
 このままじゃずっと唯先輩のペースだ。何か誤魔化せるものは……。
 探していたものは目の前にいた。そもそもこんなことになったのもこれが原因だ。
「唯先輩、風邪引いてるんですからベッドで横になってたほうがいいですよ」
「ん……そういえば、なんだかぼーっとするね……」
 と、今更風邪を引いていることに気付いたような唯先輩。
 ふらふらとしながらベッドへと歩いていく。
 見ていて危なっかしいから私も手伝ってあげることにした。
「ほら、唯先輩こっちですよ」
「ん~」
 唯先輩の手をぎゅっと握って、ベッドまで連れて行き、そのまま横に寝かせてあげる。
「い~つもすまないねぇ」
「それは言わない約束でしょ」
 布団をかけて、唯先輩の頭が枕に乗ったのを確認してから、ベッドから離れる。
「あずにゃん、私とのキスどうだった?」
「さあ、どうでしょうか」
「え~? 教えてよ~」
「はいはい。元気になったら教えてあげますよ」
 最後に唯先輩の髪の毛を軽く撫でてから、氷を取りに台所へと向かう。
 道中、まだ少し唯先輩の感触が残っている唇を、人差し指でなぞってみる。
 ……今度は、私から―



Fin

422:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 22:18:25 EF5T1D+Y
永久規制食らったからついかっとなってやった反省はしていない公開はした

お目汚し失礼した
それでは

423:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 22:24:39 VvOVOAdi
ここはオアシスかなにかですか?

424:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/17 22:33:33 vpqTykxm
>>423
天国だよ

425:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 00:42:27 gQXFh3gk
>>422
素晴らしい

426:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 01:01:43 RWeP9dFp
ふでぺん聞いてると合宿のあずゆいを思い出してニヤニヤ

427:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 01:07:25 5oygfSmT
唯ver.の「いいとこ見せたくなる」相手はあずにゃんだな
澪ver.は律で

428:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 01:07:44 eZBhVwxR
gj

429:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 14:16:36 OnNLvrl6
今日は唯先輩の家にお泊まり。と言ってもパジャマパーティーとかじゃなくて。
次のライヴに向けてギター二人で特訓中です。
昼間は特別講師としてさわ子先生にも来て貰いましたが、…ちょっと失敗だったかもしれません(理由は察してください)。

唯先輩はいつにも増して気合いが入ってます。
文化祭のときに出来なかった「ふでペン~ボールペン」を次こそは歌いたいって特訓中ずっと言っています。

「だってあずにゃんにいいとこ見せたいんだもん。澪ちゃんの作ってくれた詞みたいにね」

理由を尋ねたのはさわ子先生を呼んだのと同じくらい失敗だったかもしれません。

(もう…反則ですよ、唯先輩…)

ピースしながらそう言う唯先輩がたまらなく愛しくなって…。
さわ子先生がいたときとは別の意味で集中できなくなっちゃった…。

「そんなことしなくても私はいつでも笑顔ですよ?」
「ん?」
「…だって唯先輩のいいところ、いつも一番近くで見てますから」

430:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 18:43:38 gQXFh3gk
良い、ディ・モールト良い

431:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/18 22:26:02 bVl2eM4a
GJなんだが、さわちゃんずいぶん暇なんだな

432:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 00:35:56 t6U7ZYJP
いつか誰かが「甘い物ばっかりだと糖尿病になる」って言ってたので、毛色の違うやつ置いていきます。
美味しいお寿司の合間にガリをつまむ、そんな広い心で読んでいただければ。


「あ~ずにゃん」
音楽室へと向かう私の後ろから耳に届くその人専用の私のあだ名。直後、周りの目を気にすることなく私を優しく抱きしめる。
それはいつもと変わらない唯先輩のスキンシップ、……と思ったらいつもと違うところがひとつだけ。
「何ですか、その紙?」
唯先輩の手には一枚の紙が握られていた。
「あ、これ?まあ読んでみて」
私は促されるままに唯先輩から渡された紙に目を通す。
「えーと……、
 『小さいからって見くびるな!なめてかかるとケガするぜ!ツインテールをなびかせながら、じゃじゃ馬だって乗りこなす。
  ネコミミつけたらたちまちみんながメロメロに!軽音部の小さなアイドル!ギター、あずにゃん!』
 ……何ですかこれ?」
「ライブのときのメンバー紹介に使えないかな、と思って考えたんだけど」
唯先輩は、どうだと言わんばかりの表情で私を見ている。
「あの……、保留でお願いします」
「えー、ダメだったー?」
ついさっきまでの自信満々の表情とはうってかわって、唯先輩は不満そうな顔を私に向ける。
「いや、ダメっていうわけじゃないんですけど……。こればっかりはライブでやることなので他の先輩の意見も聞いてみないといけませんし」
「そっか、そうだよね。じゃあみんなにも提案してみるよ」
たぶん律先輩が一蹴しちゃうんだろうなあ、そう思ったけど言わぬが仏、私はダンマリを決め込んだ。
「そうだあずにゃん。私のも考えてみてよ。あずにゃんならどんなふうに私を紹介してくれるのかな?」
唯先輩の突然の注文に、私は普段の、そしてライブのときの唯先輩を思い浮かべながら考える。
「うーん、そうですね……
 『いつもはふわふわ癒し系。でもやるときはやるんです。愛しのギー太を抱えれば、ミュージシャンへと大変身。
  音楽の楽しさを知った私を止めることは誰にもできない!それじゃあ今日もいっちゃうよー!
  ボーカル&ギター、平沢唯!』
 こんな感じでどうでしょうか?」
「おおっ、あずにゃん凄い!すぐに思いつくなんて。私なんか、さっきのつくるのに二時間近くかかったのに」
―私のことを考えてくれてたのはうれしいですけど、せっかくだからその時間、ギター練習にあてましょうよ……
もちろんそんなこと言えるはずもなく、ありがとうございますとだけ答えて私はその場をやり過ごす。
そんなやり取りを交わしながら音楽室に到着すると、すでに他のみなさんはティータイムを楽しんでいた。
「よっ!悪いけど先にお茶してたぞ」
「りっちゃん、これ見て。今度のライブのメンバー紹介のときに使えないかなと思って考えてきたんだけど」
律先輩の形だけの謝罪の言葉を無視して唯先輩はついさっき私に見せた紙を律先輩に渡す。
早く自作のメンバー紹介文、というより私の紹介文を見てほしくて仕方ないようだった。
私は心配しながらその様子を眺める。
―律先輩、あまり強く否定してあげないでくださいよ。唯先輩の悲しむ顔は見たくありませんから。
「ん?なになに……、おお、結構面白いじゃないか!」
「ええっ!?」
その日、音楽室に最初に響いたのは律先輩のドラムでも唯先輩のギターでもなく、私の驚きの声だった。 

433:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 01:29:30 DTu+7F06
>>417
扉の外ではムギが絶賛録画中なんですね、わかります
そして続き、まってます!

>>420
スイートすぎて何もいえない…!
こんなに甘いのに爽やかとは…!

>>429
さわちゃん先生ww邪魔者扱いww
すごく…続きが気になります…

>>432
あずにゃんの紹介文を2時間も考える唯と
唯の紹介文をさくっと作っちゃう梓との
コントラストと本質的な合致が面白い…!
というか紹介文におなか抱えて笑いました!
超GJです!

みんなGJ過ぎますよ…!

434:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 01:46:27 w3f/odmF
>>432
ガリなんていうからそんな味の内容なのかと思ったら
普通に美味しいじゃないか

435:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 06:13:15 4E/V3bF7
>>431
メインキャラでさわちゃんほど暇な人はいない(独り身的、ぼっち的に)

436:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 08:27:59 VJhqbAVM
        ∧_∧   ________   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       (  ´∀`)/ ̄/ ̄/ < このスレの満足度…星5つです!!
      ( 二二二つ / と)   \_________
      |    /  /  /
      |     ̄| ̄ ̄


437:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 08:32:17 ExeJTBxE
 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   |
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――


438:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 09:56:30 u0/JrKvo
そうか、ここが天国だったんだ

439:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 10:08:11 lhPStVBp
天に召されそうだ

440:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 13:04:40 vw6OfFZx
      分からない この気持ち
    なんだかわたしは最近、すごく変
  あずにゃんと一緒にいると胸がドキドキして
 あずにゃんが他の人と話しているのをみると…
     こんな気持ち 始めて
  ムギちゃん達とは違う
           特別な感情

    「かわんないよ…あずにゃん」



「お姉ちゃん?」ガチャ
「うっ憂?どしたの?」
憂がわたしの部屋のドアを開け入ってきた
いつもは聞えるノックが今日はなかった…どうしたんだろ?
憂わたしの前に座った
「…お姉ちゃん、何か悩みとか…あるの?」
「えっ」
思いがけない言葉が憂の口から出た
「…だって、なんか最近話してても上の空だし、夕食前にアイスだってねだらないし…」
驚いているわたしに憂が説明するように言った
「ねぇお姉ちゃん、悩みがあるのなら…相談にのるよ?」
…確かに、一人で悩むよりは憂に相談してみた方が
いいかもしれない。憂、頭いいし
「あのね…憂…」



「…そんなカンジなんだけど…憂、分かる?」
「お姉ちゃん、それって…」
「分かったの!?憂!」
憂が真剣な瞳をして深呼吸をした
「落ち着いて聞いてね、お姉ちゃん」
「うんっ」
「…多分、お姉ちゃんは梓ちゃんに「恋」…しちゃったんだと思うよ」
憂が顔を赤くして言った
わたしは驚いて開いた口を塞ぐことが出来なかった






441:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 13:32:15 vw6OfFZx
「恋」 それはなんの実感のない言葉だった

「ちょっちょっと待って、憂!こいって鯉?」
「そっちの鯉じゃなくって、こっちの恋だよ~」
「……」
わたしが…あずにゃんに恋…
「そう…なのかな」
「えっ?」
「わたしは「恋」…した事なかったから、分からなかったけど
 多分、あずにゃんに…「恋」してるんだと思う」
だって…、気がつくといつもあずにゃんの事考えてるし
そのせいで、ぼーっとして新しい曲がなかなかひけないし…
「それでお姉ちゃん、梓ちゃんに告白…するの?」
「えええええっむっ無理だよ~そんなのだっだって
わたしまだ自分の気持ちも良くわかんないのにそれをあずにゃんに伝える、なんて…」
「それなら…お姉ちゃんその気持ち、書いてみたら?」
「へっ」
「まだ良く分かんないっていうお姉ちゃんの気持ち
 びんせんに書いてみたら?そうゆう気持ちをまとめて
 梓ちゃんに告白すればいいんじゃない?」
「おっおおお…」
「ね?」
「うんっ憂ありがとう、こんな賢い妹もってお姉ちゃんは幸せ者だねっ」
「じゃあ、夕食の準備があるから…」
憂はそう言って急いでわたしの部屋から出て行った
「…えっ~とたしかここに…あった!」
わたしは一枚のびんせんを取り出した


…今日一日で何枚書いたんだろう?
数えるのもめんどうくさくなるくらい書いた
あずにゃんにこの想いが届きますように…って願いをこめて
書いている途中、もしかしてこの想いが気まぐれかもしれない…
ってなんども不安になった…けど枚数だけ増えていったんだよ?あずにゃん


442:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 13:52:15 vw6OfFZx
始まりは 軽いノリだったのに
知らないうちに 熱くなってた
もう、あずにゃんへの想いをびんせんに書き始めて
今日で丁度一週間。…どうしようかなこの手紙
読み返すの…はずかしいよ~
書いてる途中は、ついつい夢中になって…

もぅゴミ箱に捨てちゃおうかな、全部。
…この気持ちも、想いも気まぐれかもしれないし
でも、この一週間の気持ちごと全部ゴミ箱行きじゃ
なんだか、この胸が切ないから…もってようかなぁ


わたしは最近あずにゃんによくくっつくようになっていた
肌をとおしてこの気持ち、あずにゃんに伝わればいいのにね
「もぉ、唯先輩っくっつかないでくださいっ!」
「えへへ、あずにゃん暖かいね~」
こうして、あずにゃんにくっついていられる時間はとても幸せ
このまま時間が止まっちゃえばいいのに…
その時、あずにゃんの鞄のポケットから白い封筒が落ちた
落ちた時の衝撃でその白い封筒から中のびんせん出ていた
「あずにゃん、落ちたよ~」
そう言ってわたしは封筒とびんせんを拾った
わたしはなんとなく二つ折りのびんせんをひろげてみた
「あっ…だめですっ!先輩!!」
そこに書いてあった文字は…

     「中野梓さんへ、好きです付き合ってください。」


443:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 14:08:17 vw6OfFZx
わたしは固まってしまった
わたしは心の中では分かっていた
こうゆう時、友達なら「おめでとう」って
言ってあげなきゃダメだって事…
だけどね、あずにゃん…ごめんね
 涙が止まらないよ
ポタ…ポタ…
わたしは大粒の涙を流してしまった
 あずにゃんの目の前で
「唯…先輩?」
わたしは、逃げるように軽音部のドアを開け
全力で走って行った
「唯先輩っ待ってください!!」
あずにゃんの声が背中の後の方から聞えた
ごめんね、あずにゃん
    ごめんね…


気がつくと、わたしは屋上へ来ていた
部活動の時間だから誰一人屋上にはいなかった
ハァハァ…と呼吸を整えた
 帰らなくちゃ、あずにゃんが心配してる…
        でも…
「どんな顔して、会えばいいのか分かんないよ~」
また目から大粒の涙が溢れてくる

   「…笑顔で会えば、いいんじゃないのかな?」

ぎゅっ… そう言って誰かがわたしを後から抱きしめる
     「あずにゃん…?」

「もぉ離しませんよっ唯先輩」
「あずにゃん…ごめんねぇ」
「いい加減、泣き止んでください」
あずにゃんは、そう言って桃色のハンカチを差し出した

444:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 14:28:56 vw6OfFZx
「…で、どうしていきなり泣き出したりしたんですか?」
「それは…」
パンパン!!
わたしは自分の頬を思いっきり叩いた
「唯先輩…?」
わたしは立ち上がって
「中野梓さん」
「はっはいっ」
あずにゃんもつられて立ち上がった

  わたしが一週間、悩みまくって出した答え―
         それは
「あなたが好きです。誰よりもあなたの事を強く想っています」
    この想いが伝わらないかもしれないけど、
       あなたを想う気持ちは誰にも負けない―
「なっ…」
あずにゃんの顔がどんどん赤く染まっていった
「あずにゃん!?大丈夫!?」
「ゆっ唯先輩のバカ!!何わたしが言おうとした事
 さきに言っちゃうんですかぁ!!」
「へっ…嘘ッあずにゃ…
その瞬間、あずにゃんは背伸びをして
わたしの唇とあずにゃんの唇を重ね合わせた
「んっ…!」
驚いて、凄く幸せで、気絶してしまいそうだった
 背伸びをしたあずにゃんの足は震えていた

   ―私達はまだ不安定なキスをした―

445:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 14:30:22 vw6OfFZx
長文書き込み失礼しました
一応最初のほうは「わたしの恋はホッチキス」
の歌詞に当てまめて書いてみました

446:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 15:12:11 qIbuimTN
>>440
俺はお前に出逢う為に1万数千年もさまよってたのかもしれぬ・・・

447:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 16:16:34 pDH32+wb
GJ

>「かわんないよ…あずにゃん」
ここはわかんないよじゃないのか?

違ってたらすまん

448:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 20:35:14 9+UZgHab
微妙に「EngageRing」臭がするのは気のせいか

449:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 21:42:13 w3f/odmF
あーどっかで読んだことあるような気がしたんだが
そういえば何となく似てるような

450:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 21:49:28 KqDNzzla
だがおれは一向にかまわない!

451:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 22:19:22 u0/JrKvo
キョン「よくある事さ・・・デジャブなんて」

452:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 22:30:18 IpijqI4q
ゆいあずシリーズが最近ないのがちょっと寂しいな

453:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 22:35:34 iwYs04lf
>>448
臭どころかモロだが気にするなw
別パターンだと思えばいいさ












作者は同じなのか?

454:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/19 23:21:26 pa6riAUP
>>452
ちょとどころじゃない

455:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 00:04:11 8hrobsH3
ほい
URLリンク(nagamochi.info)

456:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 00:39:57 RngaLMzk
>>455
ふぅ…

457:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 00:47:55 aPBiEVUx
貼られる絵が予想通りすぎて自分で吹いてしまった
俺もだいぶゆいあず極まってきたな

458:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 01:00:08 BX+X0e9z
さすが全年齢向けスレは違うな

459:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 01:34:19 ftnnN/lC
>>455
まったくけしからnもっとやってくれ

460:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 01:36:49 PdgJV4Jc
原作のあずにゃん
最初は唯のこと苦手そうだったのに
最近どんどん懐いてきてるな。
唯に落とされるまでもう少し

461:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 02:36:53 tQzpef69
流石は唯
落とし神と言われただけあるなw

462:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 12:03:47 DXZc0lQ1
唯は年下に特に強そうだな
普段のだらしない中に一瞬垣間見える
かっこよさというか頼り強さというか

463:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 12:08:05 DXZc0lQ1
頼り強さって何だよ…
頼もしさだ

464:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 13:43:26 wydbfg6a
先輩になってからの唯にころりと落とされた私には
あずにゃんの気持ちがよくわかるぜ…

アニメは特に唯の成長がわかりやすいよね
あのまま行けば順当に、っていうか既に落とされてるようなw

465:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 15:48:56 7vBivaaW
とらの通販で適当に唯×梓っぽいなと思ったエロ同人を五冊ほど買ったんだ
うち一冊に澪が乱入してくるやつがあったんだけど
唯が澪にフィストファックかましててドン引きした

466:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 18:01:08 65EwBQwJ
>>447
ごめんなさい、間違えました

467:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/20 23:33:53 c9IROv56
今月のきららの最後の4コマ、唯の発言に力強く同意してるんだが、
今までの梓なら「何言ってるんですか」くらいに流してただろう
唯の「オーラ」がそうさせたのか何なのか…

468:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 00:53:41 3lFHUXwn
>>467
ムギフィルター的にはゆいあずっぽいシーンだが、あそこはHTTのバンドとしての結束力がますます高まってると俺は解釈した


469:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 01:19:49 LP+iRLFP
>>437
あれは私的には、梓が常に思ってた個々では欠点があっても皆そろうといい演奏をするってのと
唯が同じ気持ちでいてくれたことに感動して、同意に回ったんじゃないかと妄想した
そして気持ちが通じ合ったと思った梓は、唯への積極的なアプローチを開始する的な二重妄想


470:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 14:21:25 3lvUIB98
>>469
お前は>>437から何を感じ取ったんだ

471:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 14:39:19 An0mJ8SU
>>470
俺達凡人には感じることの出来ない何かであることは間違いない

472:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 16:08:57 o/bdUAz9
>>470-471
単なる間違いだろw
とマジレスさせてもらう

473:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 18:36:04 dh8otoJ0
>>470
これはwww
すみません!単なる間違いです!
自分で大笑いしましたw
>>467に脳内補正お願いします orz

474:ヘタレなあずにゃんとか
09/08/21 19:39:10 LIWepyJ8
そろそろ夏も終わりかなってことで、ゆいあず夏の陣を置いてきます。


「暑いですね・・・」
「うん・・・あいす食べたい・・・」
まだまだ暑い日が続く夏の日、私と唯先輩は二人、先輩の部屋で熔けていた。
唯先輩から誘われて遊びに来ていたんだけど、あまりの暑さに何もやる気がおきない―なぜなら今日の最高気温は今年最高の暑さなんだそうだ。
せっかく一緒にギターの練習でもしようと思ってたのに・・・それに他にもいろいろ・・・。
「アイスですか・・・食べたいですね・・・」
「あずにゃ~ん・・・あいす持ってきて~、冷蔵庫に入ってるから~・・・」
「ええっ・・・い、嫌ですよ・・・そんな」
自分の家ならまだしも、人の家の冷蔵庫を勝手に空けるのは抵抗があります。
「お~ね~が~い~、あ~い~す~」
唯先輩は駄々をこねながら、床を転がり始める。
(うう・・・か、可愛い・・・って言うかパンツ見えてますよ、唯先輩!)
この暑さのせいか唯先輩の格好は薄いTシャツ一枚にミニスカートという超薄着なのだ。
そんな格好で転がったらスカートだってめくれ上がってしまう。
(ぴんく・・・ごくりっ)
私は別の意味で頭が沸騰しそうだった。
暑さのせいか理性が熔けていくのもいつもより早くて―さすがに真昼間から唯先輩を襲ってしまうわけにはいかない。
は、初めてくらいはもっと雰囲気というものを―って、べ、別に唯先輩とはそんな関係じゃっ!
(って、私何考えてるの!)
いけないことを想像しそうになる頭をブンブンとふって私はバッと立ち上がる。
「わ、わかりました。あ、アイスとってきますから転がるの止めてください!」
「わ~い♪ ありがとー、あずにゃん!」
少し頭冷やさないとね・・・うん。



475:ヘタレなあずにゃんとか
09/08/21 19:40:14 LIWepyJ8
***

アイスを持ってきた私は、唯先輩と一緒にアイスを食べていた。アイスの冷たいのが火照った頭にちょうどいいです。
さっきの状態では何をしでかしていたか分かりませんからね。どうやら唯先輩もアイスを食べて元気が出てきたみたいです。
「う~ん♪ 冷たくておいしーよー」
「そうですね・・・あ、唯先輩アイス溶けてますよ」
「え?・・・・あ、ホントだ!」
唯先輩のアイスはすでに溶け始め、ポタポタと唯先輩のTシャツを濡らしていた。
「わ、シャツに付いちゃったよ! あずにゃ~ん・・・」
唯先輩は目をウルウルさせながら、私を見つめてくる。
「ほ、ほら早く拭かないと・・・」
私は、ティッシュを2、3枚取ると、唯先輩の胸のところに手を当てた。
ふにゅっ
「あんっ!」
(って、私は何をやって・・・)
唯先輩もいきなり胸を触られたからか、甲高い声を上げる。
ていうか私はそれどころじゃなかった。唯先輩の胸の感触にさっきようやく冷めてきた頭が再沸騰を始めた。
ふにふに
「ひゃっ・・・ん・・・あ、あずにゃん・・・だ、だめだよう」
(はっ!わ、私はいったい何を!?)
どうやら意識が飛んでいたようだ。自分でも気付かないうちに先輩の胸を揉んでしまっていた。
「ご、ごごご、ごめんなさい! 唯先輩、こ、これは・・・その・・・」
私は慌てて手を離し、唯先輩に謝った。
「も、もう・・・あずにゃんのえっち」
唯先輩は真っ赤な顔をしながら、俯いてしまった。
(それにしても・・・唯先輩のおっぱい、柔らかかったな・・・)
大きいわけじゃないし、だからといって小さすぎるわけでもない。手のひらサイズっていうのはああいうのを言うのかな?
私はさっきの感触を思い出し、手をわきわき動かしながらそんなことを考えていると―
「あぅ・・・あずにゃん、またあいす零しちゃった・・・」
「え・・・?」
イケナイ妄想に浸っていた私は、唯先輩の言葉で我に帰る。
そして唯先輩に目を向けると、そこにはさっきみたいに胸のところにアイスを零した唯先輩が、何かを期待するような目で私を見つめていた。
―瞳をウルウルさせて、顔は茹蛸のように真っ赤かだ。
(あの・・・それって・・・つまり)
「あの・・・あずにゃん・・・・拭いて?」
「え、ええぇ!?」
唯先輩は恥ずかしそうに、私にお願いする。一瞬私の中の何かが切れそうになったけど、なけなしの理性でなんとか持ちこたえる。
「ああ、あのっ・・・そのっ・・・あ、そ、そうだ・・・わ、私ちょっとトイレいってきますね?」
「え?」
「そ、それじゃいってきます! 唯先輩も早くアイス拭いてくださいね! そ、それじゃっ!」
私はそれだけ言い残すと、逃げ出すように部屋を後にした。あのまま部屋にいたら、間違いなく今度こそ唯先輩を――

「あっ・・・・・・もう・・・あずにゃんのいくじなし・・・」
部屋を出る前そんな唯先輩の言葉が聞こえたような気がしたけど、気のせいだよね?


END

476:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 21:34:45 LvmXGqlS
>>475
GJ

477:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 21:45:12 An0mJ8SU
>>475
GJ
唯のおばあちゃんぷりがいいな
で、梓はトイレでどうする気だw

478:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 22:13:58 9i4u3mwS
もちろんゆいにーだ。

479:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 22:31:30 PTsFj4Ey
主GJ!
次回作もがんばれ

480:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 22:59:27 Fd9aomk6
ゆいあずシリーズの人はどこへ行ってしまったのだろうか・・・

481:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 23:21:50 LIWepyJ8
>>480
ごめんなさい、ちゃんと生きてます。
最近ちょっと忙しすぎて書いてる暇がなくってorz
暇になるまでは短編でがんばろうかと・・・・とりあえず、>>474>>475は自分です。
短編なら20、30分くらいで出来るので・・・・ネタがあればですけどね。

482:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/21 23:50:09 YBpsudJ+
>>481
無事でよかった^^
楽しみにまってます


483:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 00:44:19 LouLtlYC
>>443 梓が落としたのは誰からの手紙?

484:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 03:23:29 CJSGaX1i
寝る前に投下…眠いから内容がカオスかも。
嫁ゆいあず…とかで。律澪要素アリ

「澪は私の嫁!」
「違うだろ、律が私の嫁だ!」
放課後、いつものように音楽室の扉を開けた私を出迎えてくれたのは、そんな二つの台詞だった。
―なんですか、これは。
思わず脳内で突っ込みを入れつつ、後手に扉を閉める。
ちらりと横に視線を動かすと、予想通り傍観者に徹しているムギ先輩が目に入る。
とりあえず、ヒートしている二人は置いておいて―どうせ話しかけても私なんか目に入らなさそうだし―そっちに歩み寄った。
「ムギ先輩、とりあえずよだれは拭いた方が。カメラに落ちちゃいそうですよ」
「はっ…ありがとう、つい熱中しちゃってたわ」
「いいえ、それより、何があったんですか。あ、いつものことなのは分かりますけど」
「それがね…」
―つまり、ムギ先輩曰く。
律先輩が二人のどっちが嫁かなとか言い出して、双方共に相手を嫁指定してしまって、お互い譲らず今の状態にあるということらしい。
うん、全くもって、いつものことだと言うことがわかった。
「いつものこととは言え、本当に仲がいいですね」
「ふふ、そうね。でも唯ちゃんと梓ちゃんも仲がいいじゃない」
不意に唯先輩とのことを引き合いに出され、私は慌てる。
「べ、別に唯先輩とはそんなに…」
と言いつつも、目の前の光景、二人の言い合いを自分と唯先輩に置き換えてしまったりしてる。
―あずにゃんは私の嫁です!―なんて言いながら、ぎゅっと私を抱きしめる唯先輩―
…いいかも…じゃなくて!何考えてるんだろ、私。
「いいと思うわ…」
「また人の心を読まないで下さい!」
ムギ先輩は普段はいい先輩なんだけど、ちょっと油断をするとこれだから。もう。
―でも、そっか。先輩と私、どっちが嫁かって考えたら…やっぱり私の方なのかな。
普段はぽけーっとしてるけど、ここぞって時には頼りになるし…やっぱりそういうときの唯先輩はすごいって思うから。
そうすると、結婚式だと先輩のほうが新郎役で、私が新婦ってことかな。
純白のドレスに身を包む私を、タキシードに身を包んだ唯先輩が優しく手を引いてくれて―
妄想が悪化してる!悪化してるから、私!
ぶんぶんと首を振ってそれを振り払う。おそらく私の顔は真っ赤になってることだろう。
うぅ、今唯先輩に来られたら、どんな顔すればいいかわからないよ。
そう思って頭を抱えてると、突然ンぐいっと私の手が引かれた。
びっくりして、体勢を立て直す間もなく私の体はどこかに引き寄せられてて、気が付くと律先輩に抱えられていた。
「な、梓を引っ張り出してどういうつもりだ、律!」
どうやら私は律先輩と澪先輩の痴話喧嘩に巻き込まれてしまったみたい。
睨み合う二人の間に、私は引っ張り込まれた形だった。
―何で私を。…というかこんなところに連れ込まれても、本気で困るんですけど
身をよじって律先輩から逃れようとするものの、律先輩はなかなか離してくれない。
私を挟んで喧々囂々。ああもう、いい加減にしてください!
そろそろ怒ろうかと、そう思った矢先、律先輩がとんでもないことを口にした。

485:嫁ゆいあず2/3
09/08/22 03:30:13 CJSGaX1i
「もういいよ、そんなに私の嫁がいやなら、今から梓が私の嫁だ!」
「な、な…!」
「そ、そんなの駄目です!」
そして真っ先に反応したのは、口篭る澪先輩のほうではなくて、私の方だった。
それは思ったよりもずっと大音響だったようで、騒がしかった室内が一気にシーンとなる。
―あ、あれ?
きょろきょろと辺りを見回すと、律先輩も澪先輩も、ムギ先輩までもぽかーんと私のほうを見ている。
うん、これは、私のせいだよね。な、なんとかしなきゃ。
とりあえずこのいたたまれない空気を変える台詞を一生懸命考える。というか、咄嗟とはいえなんで私はこんなに過剰反応しちゃったんだろう。
混乱している頭がぐるぐる回りだす。
「わ、私は律先輩の嫁じゃないです!」
口をついて出る言葉。うん、当たり前だ。知らない間に婚姻届でも出されてない限りは、そんな事実はない。
わざわざ言うまでもない台詞を、なんで私は口にしてるんだろう。
―ああ、そうだ。それ以前の問題で、私は律先輩の嫁になれるはずがないんだ。だって私は、私は―
ふわりと風景が切り替わる。さっき思い浮かべた、想像の中の光景がふわりと私を包み込む。
そう、そのバージンロードの上では、私は純白のウェディングドレスを纏っていて、その隣を歩くのは凛々しくタキシードに身を包んだ―
「わ、私は唯先輩の嫁ですから!」
「やっほ~」
私がそう叫び終えるのと同時に、扉の方からそんな声が聞こえてきた。
瞬間、我に帰る。それも、ザパーンと頭からバケツいっぱいの氷水を浴びせられたような勢いで。
しゅばっと動いた視線が捉えたのは、扉を開けてぴしっと片手を上げている唯先輩の姿。
それはまさしく予想通りの光景。どう聞いても今のは唯先輩の声だったし、時間的にもそろそろ来てもおかしくは無かった。
だけど、なんで、よりによってこんなタイミングを選んでやってくるんですか。
「あーずにゃんっ!」
いつもの一連のプロセスを全部破棄して、唯先輩は真っ直ぐ一直線、ぎゅーっと私に抱きついてきた。
「あずにゃんは私のよめだったんだね~」
そしてそんな絶望的な台詞を口にしながら、すりすりと頬擦りしてくる。
状況的にそう望むのは不可能だとわかっていたけど―やっぱり聞かれてたんだ。
どうしよう、どうフォローしよう。このままじゃ私は自他共に認める唯先輩の嫁ってことになってしまう。
それは―散々妄想してたことだし、嫌ってわけじゃないけど…こう、なんというか、心の準備というものがほしい。
まさかそんなの全て飛ばして、こんなことになるなんて思いもよらなかったから。
―ああもう、外野の三人、ニコニコ笑いながら拍手しないで下さい!
さっきまで喧嘩していたのが嘘みたいに、律先輩と澪先輩と、そしてムギ先輩は並んで生暖かい眼差しをこちらに向けている。
見事なまでに祝福モード。きっと睨んでも、解除される様子すらない。
そして嬉しそうに私を抱きしめる唯先輩。
―この完全な包囲網はなんなんですか。
そもそも、きゅーってしてくる唯先輩は反則としか言いようが無い。柔らかくて暖かくて、いい匂いがするから、私の思考はすぐにとろんと溶かされてしまう。
実際、その中にいる私は、それに抵抗しようとする気がどんどん無くなって行ってる。

486:嫁ゆいあず3/3
09/08/22 03:32:36 CJSGaX1i
―もう、いいです。認めればいいんでしょう、認めれば。
「そうですよ、私は先輩の嫁です」
開き直って、ぎゅっと逆に先輩を抱きしめ返す。
「「「おー…」」」
と上がる三つの歓声。うるさいです、もうどうでもよくなったんですから。嫁になったからには、もう目一杯いちゃいちゃしてやります。
「あずにゃん、積極的~」
「嫁ですから、いいんです!」
「そっかぁ…」
先輩の胸に顔を埋める私の頭上で、ほんにゃりと笑う気配。その直後、私はいつもよりずっと深く、先輩に抱きしめられてた。
私からも抱きついているから、当然といえばそうなんだけど、その感触はなんとも例えようもないほど―心地よかった。
まるで全身をくまなく包まれているよう。包まれて捉えられて、全身くまなく先輩に染め上げられてしまうようなそんな感覚。
「はぅ…」
思わず気が遠くなる。先輩の嫁になってよかった。こんなに気持ちよくなれるなら、もっと早くこうなっておけばよかった―
「ねね、ところでさ」
夢見心地の私に、そんな先輩の声が聞こえてくる。なんだろうと、ほんわりとした意識の中、耳を澄ます。
そう、そのときの私はまさかそんな台詞を耳にするなんて、文字通り夢にも思わなくて―
「さっきから言ってる"よめ"ってなあに?」
―ぎゅうっと抱きしめられたままずっこけるなんて器用な真似をすることになった。

その後、先輩にきちっと嫁とは何か教育を施し、改めて夫婦としての門出を誓ったことは言うまでもない。
何か根本的に色々と間違えてる気がするけど、きっと突っ込んだら負けなんだと思う。


ここまでです。
配分間違えて3レスも…すみません。
布団の中で反省して来ます…

487:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 08:56:26 8fPJXlG3
>>484->>486
あずにゃん自爆おおいなーw
GJでした!

488:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 09:02:52 GUXP97Hh
だが、そこがいい・・・・GJ!

489:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 10:26:10 mB5Yzr+/
>>486
GJ

唯梓も律澪も好きな自分にはどストライクでした

490:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 11:11:36 b7zMGFQ8
>>486
GJ
なにはともあれ、唯とあずにゃんが幸せに結ばれてばそれで良しw
>ぎゅうっと抱きしめられたままずっこけるなんて
つまり、抱きしめられたまま押し倒すか押し倒された状態になってるって事だよね

491:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 11:32:32 f89DBg4C
そういえば拒絶の人はどうなったんだろうか
気になって仕方ないんだが

492:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 13:43:27 fAZUc+1Q
拒絶の人です。
最近つとに仕事が忙しくなってなかなかまとまった時間が作れなくて..
もうちょっとで落ち着くのですこしお待ちください

493:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 14:48:58 KDXIvlxq
>>489とはいい酒が飲めそうだ

494:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 17:50:48 I1fKr5KU
4巻澪麦ポッキーゲームでこの威力なら
あずにゃん登場巻の唯梓なら一体
ど・う・な・っ・て・し・ま・う・ん・だ!

495:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 17:57:03 82uTsL9H
>>494
ポッキーなんて食べ終わってるだろうさ

496:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 18:17:23 b7zMGFQ8
>>494
ものすごくドキドキしてるあずにゃんを尻目に、唯は遠慮なくポッキーをパクパク食べて、そのままあずにゃんの唇を奪ってたでしょうね。

497:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 18:19:27 Kh/eyOiv
書きたいけどぶっちゃけネタがないorz

498:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 18:21:19 6wdIsgDE
>>486
>ぎゅうっと抱きしめられたままずっこけるなんて
>>その後、先輩にきちっと嫁とは何か教育を施し、改めて夫婦としての門出を誓ったことは言うまでもない。

つまり>>490から考えられるのは部室でそのまま公開嫁調教か夜中にどちらかの家で密会ですよね、判ります。
さて…その密会が描かれた続きはまだですk(ry

499:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/22 23:50:25 k4apmx53
>>492
おお、無事でしたか^^
気長に待っています

500:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 00:44:26 qT+BuVTF
ゆいあず、風邪ネタでちょいと失礼

 朝、起きると、まず体がグラリとした。
なんかおかしいなー、と思った矢先に、頭に痛みがズキズキとあるのに気づいた。
なんかやっぱ変だと思って、ちょうど憂が部屋に来たので、私は体の不調を柔らかく訴えてみた。
急に憂がこの世の終わりみたいな顔をしたかと思うと、マッハで部屋を出て、マッハで手に体温計を持って部屋に戻ってきた。
そんなことはないと否定する私を一喝して、憂は私の体温を測って、体温計の液晶を見て憂が出した答えが、

「今日は学校休みなさい!!」

そんなぁ。
――と、いうのが今朝の話。
 ……あ、携帯震えてる。メールかな。
只今の時間、午後6時ちょっと過ぎ。平日。学校は、部活……もう終わったのかな。流石に。
ボーッとする視界を振り切り、携帯に手を伸ばす。送り主は澪ちゃんなのに、『軽音部面々より』と、メールの文頭には書いてある。
読んでみると、『今日は学校休んで残念だ』、とか『あんま心配させるなよ』とか、メールに書いてある。
その優しさにポワポワしてると、最後のほうに、何やら意味深な二文が。
『ちなみに、私たち先輩3人で相談した結果、そちらに使いを送ることにした。見舞いには行かないが、明日は学校に来いよ』
見舞いに来てくんないだなんて!!そんな!!裏切られた気分!!ショック!!!
りっちゃんの時には来てくれてたじゃん……、とか熱ってる頭でボーッと考えていると、ふと思考を止まらせる。

『使い』って何?

そう思った瞬間、その疑問を遮断させるように、部屋のドアがコンコン、と鳴った。
返事をする元気はあまりない。でもとりあえず生きてるよと暗示させるために小さく「あーい……」と返事してみた。
多分憂だろうなー、ごはんかなー。おなかすい……
「し、失礼します」
「たぁぁぁああぁぁあずにゃああああん!!??」
「うわぁ、なななななんですかーーーー!!??」
 なんとなんと、部屋に申し訳なさそうに入ってきたのは愛しのあずにゃんではないですか!!

501:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 00:48:18 qT+BuVTF
わああすごい。夢かな?夢?痛い?痛くない!!
「ちょ、唯先輩、何自分のほっぺなんてつねってんですか。大丈夫ですか?」
「えっ!?あ、うん!へいきへいき。だいじょーぶだよー」
 どうやら無意識のうちにやっちゃってたらしい、確認。
もー、とあずにゃんは怒ってるようだけど、ドアの閉め方はすごく丁寧なところを見ると、あんま怒ってないみたい。
ベッドで横になってる私に近づくと、あずにゃんは、ずい、と持っていた紙袋を目の前に差し出した。
「これ、軽音部のみなさんからです。って、まぁ、今日のティータイムのお菓子なんですけど……」
「お菓子!本当!?わ~今日食べられないって思っててすっごく残念だったんだ~。ありがとうっ」
 袋を受け取り中を見る。ケーキ屋さんみたいな入れ物に入ってるから、ケーキかなぁ。まぁ、今は食べる元気なんてないけどね……、残念。
「……唯先輩、ホントに熱あるんですか?なんか、すごい元気ですけど」
「えっ。やだな、ホントだよぅ。ああ~頭が痛い~っ」
「今更ですかっ。……まぁ、唯先輩らしいですね。ふふっ」
 猫みたいに笑うあずにゃんは、なんというか、やっぱりかわいい。
おっと、いけない。こんなこと思ってたらまたあずにゃんになんか言われるね、顔に出ちゃうから。危ない危ない。
「でも、その調子だと、あんま悪くなさそうで安心しました。今朝、憂すっごく暗かったんで、なんかすごく大変な状態なのかと」
「憂は大袈裟だからね~。仕方ないよ」
 私も、今朝の憂の慌てぶりを思い出し、少し苦笑する。
それを見たあずにゃんが、おんなじように苦笑して、私のそばに座る。
「やっぱ、顔赤いですね、唯先輩」
「え!?そ、そう?」
 あずにゃんの顔が近いれす!!ヤバい!!なんで近づけるの!!?うっひょうなんか変なテンションになってきたよう……!!
「熱、何度くらいですか?」
「え?う、う~ん……。39、とか?」
「高っ!!ちょ、大変じゃないですか!!」
 えっ、なんか今テキトーに頭に出た数字言っただけなんだけど……。
てゆうか、何度とか、そんなの一回寝たら覚えてないよう……。
「だ、だめです!ちゃんと寝てないと!!ほら、布団ちゃんとかぶって!!」
「うにゃ、あずにゃん、大袈裟だよ~」
「大袈裟なんかじゃないです!唯先輩が、もしいなくなっちゃったりしたら……」
「したら?」

502:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 00:51:24 qT+BuVTF
あっ、と小さく呟いて、口元をおさえる。 
すると、あずにゃんの顔がみるみる赤くなっていく……、わぁすごい。なんで赤くなってるんだろう。かわいいけど。
「ななな、なんでもないです!!とにかく、寝るんです!!」
「あわわ、分かったって、あずにゃ~ん」
 あんまりにも必死に私を寝かそうとするので、仕方なくそれに応じる。
でも、あずにゃんが折角来てくれたのに、ゆっくり寝ちゃうなんて、そんなの勿体ないよね……。
「ところであずにゃん、今日はなんであずにゃんだけなの?」
 なので、あずにゃんとお話タイムにすることにします。
「へ?あ、ええと。なんか、他の先輩方が、そのほうがいいって……」
「他って、軽音部の?」
「はい。私は、皆さんとで行ったほうがいいと思ったんですが、なんか、私一人だけのほうが唯先輩が喜ぶって……」
 はぁ、なるほど。流石澪ちゃんたち。私の好みを知ってるなぁ。
でもなんか、事を率先して決めたのがムギちゃんなような気もするけど。はて、なぜだろう。風邪で変になっちゃったのかな?私。
まぁ、嬉しいことには変わりないけどねっ。
「で、あのう、先輩……」
「んぅ?なに?」
 あずにゃんが改まってもじもじとしながら、言葉を選んでいる。
女の子座りで、手をもじもじとさせるのは、ずるいと思うんだ、あずにゃん。
「わ、私だけで、良かったのでしょうか?」
「ん?なにが?」
「だ、だから、そのぅ。……お見舞い……」
 ああ、なんだ、そんなことかぁ。
流石にまだ体がダルいので、手だけあずにゃんのほうに伸ばして、やや下を向いているツインテールな頭の中心部をなでなでしてあげる。
「うん。あずにゃんが来てくれて、あずにゃんとお話しできて、すっごく嬉しいよ」
 だってあずにゃんの表情は誰よりも心配そうで、
私がそれほど体調が悪くないと分かると、ものすごく安心した顔をしてくれて、
そんなあずにゃんに、来てほしくなかったなんて、心にもないこと、言える訳がない。言う必要もないしね。 

503:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 00:54:00 qT+BuVTF
 するとあずにゃんは、一瞬驚いたような顔をして、かと思うと、またいつものような、

「はいっ!」

とかわいい笑顔を、私に見せてくれるのでした。
 うん、やっぱあずにゃんが来てくれて、よかった。皆に感謝しないとなぁ。
でも、あんまり嬉しいから、やっぱり愛の抱擁をやろうと思ったのに、拒むのはなんでだい、あずにゃん。
あ、私がまだ風邪治ってないからか……。あうう。
「早く風邪治してくださいね、唯先輩」
「あーい……」
「待ってますから」
 ん?誰が?何を?……あれ、あずにゃん、どこ行くの?え?憂と話してくる?ああ、そう……。
…………なんであずにゃん、顔赤かったんだろう。風邪うつっちゃたかなぁ。いやいや、ううん……。
 ……早く風邪治そう、私。あずにゃんのために、ね。

おわり

……長くなりました。失礼致しました

504:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 01:13:30 ajGaKKL/
GJ!
なんかこういう日常の距離感とか、いいよね!

505:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 01:35:35 +iAfzMGq
GJ!
あずにゃんを想うあまり密かに暴走気味な思考になってる唯が素敵だw

506:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 01:48:58 b4yme4HW
>>503
GJ


梓、しばらくして戻ってくる

寝ちゃった唯、寝言で「う~い~、おみず~…すぴー」

梓、憂を呼ぼうとするが水の入ったコップを見つけ、ふと思いとどまる

梓、水を一口含む

(ry


…なんて展開まで想定した上で梓投入を律に進言した沢庵様にも感謝したい

507:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 02:11:37 5hrmO/zn
風邪うつって次は唯が使いにでるんですね、分かります。

508:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 02:15:56 sM1uquq9

こんにちは、中野梓です。暑い日が続いてますね。軽音部もだらけモードが続いていています。特に唯先輩のだらけてる姿が可愛くて・・・いやいや!唯先輩困ってます!ハア・・・最近憂ちゃんに影響されてるのかな・・・?
前回の子猫ちゃんの事件で唯先輩との距離はだいぶ縮まったけど、モヤモヤしてるのは私だけという状況は変わらずです・・・。
「おはよーあずにゃん。あづいねえ~。」
噂をすればなんとやら・・・。相変わらず気の抜けた声で唯先輩が登場しました。
「おはようございます。」
「あずにゃんはこんなに暑いのに元気だねえ~。」
「別に私だって暑いですよ。唯先輩がだらけすぎなだけです。」
「んん~あずにゃん分補給~!」
突然唯先輩が私に飛びついてきた。さっきまで暑い暑いと言っていたのにあきれてしまう。
まあ、そんな唯先輩の事が私は好き何だけどね・・・。
「ちょ、唯先輩!こんなに暑いのにくっついてたらよけい暑いですよ!」
「あずにゃんと一緒なら平気だよ~。」
これだから唯先輩は侮れない。油断していると時々どきりとする事を言ってくる。思わず顔を背けてしまった。
「あ、あれ?あずにゃん嫌だった?ご、ごめんね。」
それを見た唯先輩がパッと手を離した。
「ち、違います!そういう訳じゃありません!」
「じゃあ、なんで?」
ううう・・・顔が赤くなるのを見られたく無かったなんて言えるわけないよ・・・。
「そ、それはその・・・。」
しどろもどろしていると唯先輩が心配そうに私の顔を覗き込んで来た。
「あずにゃんどうしたの?顔、赤いよ~?」
「そ、それは・・・あ、暑いからです!」
「そっか~♪そんなあずにゃんに良い物があります!」
と、唯先輩がコンビニのビニール袋からパックのジュースを取り出し、私の前に差し出した。
「これ、あすにゃんにあげるよ~♪」
「ええ~!い、いいですよそんな・・・唯先輩に悪いですし。」
「そっか~・・・じゃあ半分こしようか。ストローも二本ある事だし!」
と、という事は・・・。
唯先輩がジュースにストローを二本さし、私に差し出してきた。
「ほ~ら、こうすれば2人で飲めるよー♪私って頭良い~♪」
やっぱりだー!それって唯先輩と間接キッスと言う事ですよね!!!それはそれでいいかm(ry・・・いやいやいや、それはまずいでしょ!
私が真っ赤な顔で考えている間に体が勝手にストローをくわえて爽やかなオレンジジュースを飲み始めていた。私って意思薄弱・・・。
いつの間にか唯先輩もストローでジュースをすすっていた。
「なんかさあ~こういうのって恋人みたいだよねえ~♪」
突然の唯先輩の発言に私は思わず口に含んだジュースを吹き出した。
「わわわっ!ど、どうしたのあずにゃん!?」
唯先輩が驚いて。まったく・・・誰のせいだと思ってるんですか・・・。
「な、何でも無いです!」
「そ、それなら良いんだけど。あっ、あずにゃんジュースが口の周りに・・・。」
なるほど、さっき盛大にジュースを吹いた時に付いたらしい。
唯先輩がポケットからハンカチを取り出して私の口をふき始めた。唯先輩の匂いが鼻孔をくすぐる。
「ん~、よし!」
そういって先輩はハンカチをポケットに戻した。
が、そのときの行動には私も油断していました・・・。
何の前触れも無く頬にキスをしてきたんです。
「ッッッ!」
思わぬ事態に言葉を失う私。今、頭の上にヤカンをのせたらすぐにお湯が沸くだろう・・・。
「えへへ~♪隙あり!」
先輩がいたずらっぽく笑う。ああもう!普段ムンムンしてるこっちの気持ちも知らないで!
もう知りません!こっちもヤッてやるです!なるようになれえ~!
私は唯先輩の唇に強引に自分の唇を重ねた。先輩は一瞬驚いて体をこわばらせたが、すぐに私を受け入れてくれた。

まあ、この一連の行動は音楽室の前で見物していた先輩方にしっかり見られてたんですけどね・・・。むぎ先輩の鼻血の後始末が大変でした・・・。

509:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 02:17:22 sM1uquq9
ども、続きが異常に短かかったので再うpです
俺の文章力のなさがよく分かるorz

510:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:03:16 SPYoIzux
ああ、何の続きでどこからの再うpなのかはわからないが
とにかくいい仕事だ

511:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:09:19 GeTy2WSe
良いよ・・・もって書けよ自信持てよ・・・

512:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:13:02 oqQMlEda
>>510
スパイ・・・どこのスレの者だw

513:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:36:26 +iAfzMGq
>>508
この前見た時以上に唯梓萌え度が増してGJ

>>510
どこからの再うpもなにも…ここのスレの>417で書いてあったんだけど…

514:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:52:10 SKm6XGvy
「ちょっとだけって言ったのに……」
 私に体を預け、静かに寝息を立てる唯先輩をちらりと見て、私はため息をひとつ吐いた。

  ~

 時は放課後。珍しく、他の先輩方は個々の用事で欠席するとのことだった。仕方ないので、残った唯先輩と私で
ギターの練習をすることにした……けど、先輩の集中力がそう続くはずもなく、30分も経たず、私に抱きついて休憩を訴えた。
「あずにゃーん、ちょっとだけ! ちょっとだけ休憩したらぎゅいんぎゅいん弾くから!」
「……本当ですか? じゃあ、ちょっとだけですよ?」
「うん! いやっほーぅ!」
 ということで、ソファにふたり座って、軽く息抜きをする……はずだったのに、唯先輩はいつのまにか眠りに落ちていた。
そのうえ、私に寄りかかってきたものだから、私まで身動きがとれなくなってしまっている。背丈的には逆の立場であるべきじゃないんだろうか……
 とはいえ、気持ちよく寝ているところを無理に起こすのもためらわれる。結局のところ、私は先輩の体を受け止めるしかなかった。
「もう……」
 相変わらず、呆れるひとだと思った。でも、もしかすると、このとき私は笑顔を浮かべていたのかもしれない。確かめようはないけれど、なんとなくそんな気がした。
右を向く。唯先輩の頭がすぐ目前にある。軽く茶色がかった、軟らかそうな髪の毛が私の肩に流れている。
 なんとなく少しだけ近づいてみる。
 薄いけれど、とても甘い香りがした。少なくとも私にとってはそうだった。
 これが先輩の匂いなんだと思うと、どうしてかいっそういいものに感じる。
「どんなシャンプー使ってるんだろ……」
 いつのまにか、私は先輩の髪に顔を埋めるほどに接近してしまっていた。眼を閉じて、その香りに集中する。もっと嗅ぎたい。
 ……そういえば、唯先輩のお家には行ったことがあるけど、部屋にはお邪魔したことがなかったような気がする。
 部屋の中もこんな匂いで満たされているんだろうか。だとしたら、ベッドなんてすごく良い香りがしそうだ。
 もし泊まりになんか行ったら、強引な先輩のことだ、きっと「一緒にお風呂入ろうよ!」なんて、気軽に誘ってくるんだろう。
 そうして、お風呂で香りがより強まったあと、同じように「一緒に寝ようよ!」と無邪気に言って腕を引っ張られるのが容易に想像できる。
 そうなれば、私は一晩中先輩の匂いに包まれることになる。私の全身にそれが移ってしまうかもしれない。ふたりで同じ匂いになるんだ。
 ふたりで寝るのは少し暑いかもしれないけど、唯先輩はきっと汗の匂いも甘いに違いない。
「んー……は、ふー……っ!?」
 思わず大きくなってしまっていた自分の息遣いを自覚して、私は急速に正気を取り戻した。
(う、うわぁ……私、なに想像して……)
 血が上って、顔が熱を持っていくのがわかる。きっと真っ赤になっているだろう。いまさらになって羞恥心がこみ上げてきた。
 匂いがどうこうなんて、まるで変態みたいなことを……
 これ以上匂いを嗅ぐのはまずい!
「すいませんっ」
 私は先輩の頭を持ち上げて、自分の太腿にゆっくりと落としこんだ。膝枕というやつだ。これはこれで恥ずかしいけど、さっきまでの状況よりは
いくらかマシになったはずだ。
「もう、先輩が悪いんですからね」
 たまに先輩がやっているように、びし、と指先を突きつける。先輩はいまだ目を覚ますことなく、むしろ快眠状態にある。
 私がこんなに苦労しているというのに、なんでこのひとはこんなに気楽なんだろう。
「……」
 指の先には、唯先輩の柔らかそうなほっぺたがある。やはりなんとなく、私はそれを軽く突っついた。
 まるで餅のように、私の指は先輩の頬に沈む。ほどよく水分を含んでいて、吸い付くようだった。
「わぁ」
 普段を適当に過ごしているような先輩も、やっぱりこうした女の子らしいケアはきちんとしているのだろう。すごく綺麗な肌だ。
 あらためて見ると、鼻も高くはないけれど小さく整っているし、睫毛もわりと長い。
 ……いつも私のことをかわいいかわいいと言うけど、このひとが一番かわいいのではないだろうか。
 少なくとも私が男の子だったら、放っておかないような気がする。
「……って、またなにを考えて……わ」
 そのとき、先輩が軽く頭を動かした。唇が私の指のすぐそばに来ている。
 リップをこまめに塗っているのか、カサつきのまったくない、滑らかで柔らかそうな、小さな唇だった。少し開いていて、空気が出入りしている。
 その様子は、同性の私にとっても魅力的で、思わず唾を飲み込んでしまった。

515:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:53:52 SKm6XGvy
「……ごく」
 意識的か無意識的かは、もう自分でもわからなかった。
 辛い体勢だけど、少しずつ顔を近づけていく。あるところで、吐息が私をくすぐるようになる。
 やっぱりいい匂いだった。唯先輩はなんでも甘い匂いがする。
 先輩との距離は何センチもない。あとほんのちょっと顔を落とせば……
(……落とせば?)
 そこで、私は動きを止めた。私はなにをするつもりだったのだろう?
 決まっている。こんな体勢で思い浮かぶことなんてひとつしかない。もし自覚的でなかったにしろ、私はキスをしようとしていたのだ。
 しかも寝ているひとにだ。あまつさえ同性にだ。
 でも、不思議と抵抗感はなかった。それは私がそういった趣味を持つからではない。
 そうだ、やっぱり唯先輩が悪いんだ。こんなにかわいい寝顔を見せられたら、こんなにいい匂いがしたら、だれだってそうなってしまうはずだ。
私は悪くない。こんなにかわいい唯先輩が悪いんだ。
 音楽用語もろくに知らないくせに。練習さぼってばっかりいるくせに。だけど、いざというときは頼りになる。
 こんな馬鹿なひと、だれだって好きになるに決まってる。
(うぅ……)
 しばらく固まってしまう。私の脳内を見られたとしたら、きっと欲と罪悪感が天秤にかかっていることだろう。
 顔を近づけはじめてから、もう何秒経ったか何分経ったかわからない。
 そのとき、
「んー、んぅ……」
 唯先輩がうめくような声をあげて、同時、私の後頭に負荷がかかった。それが先輩の手によるものだということに気付くには、1秒もかからなかった。
「へ?」
 そのまま、ぐい、と力がこめられる。

 ……なににおいても、終わりはあっけないものだという。
 経験のない音が小さく鳴って、私はこれ以上ないくらい赤面した。

  ~

「んーっ、よく寝たー! あずにゃん、膝枕ありがとー!」
「せ、責任とってくださいっ!」
「なんの!?」
 案の定というべきか、先輩にはさっきの覚えがないようだった。……ほんとうに、このひとは能天気だ。
 でも、そんな先輩が、私はだれよりも大好きなのだろう。
 これから、ゆっくりと責任をとっていってもらおう。時間はある。
 とりあえずとして、私は今度の休みに唯先輩の家へ泊まりに行くことを決めた。

「ね、あずにゃん」
「は、はい?」
 突然、先輩が私の後ろから抱き着いてきた。耳元に口が寄せられる。甘えるような声がした。
「……あれ、わたしのはじめてだよ? へへ」
「え!?」
「よーし、練習するぞーう!」
 え、ちょっと、まって、どういうこと? あれ? ええ!?

516:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 03:55:02 SKm6XGvy
以上。ちょっと匂いフェチ気味あずにゃん。

517:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 04:18:12 bBqzFZqS
GJ
俺以外にも三点リーダなり文頭スペース空ける人がいて安心した

518:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 04:21:33 ajGaKKL/
確信犯唯w
GJです!

519:ゆいあずで帰り道とか
09/08/23 05:53:12 bBqzFZqS
 いつもどおりの帰り道。唯先輩と二人、肩を並べて道を歩く。
「唯先輩、最近上手になってきましたね」
「そう?」
「はい。最初の頃と比べたら段違いです」
「そっかぁ……」
 褒めてあげると、素直に頬をほころばせる唯先輩。
「でも、それはあずにゃんが教えてくれてるからだと思うよ?」
「へ?」
「私がわからないところをあずにゃんが手取り足取り教えてくれるから、私も覚えられるんだよ~」
「手取り足取りって……ただ押さえ方を教えてるだけじゃないですか」
 それのどこが手取り足取りなんだろうか?
「だって、あずにゃん私の指を持って教えてくれるでしょ」
「そうですね」
「だから、手取り足取りなんだよ」
「???」
 どうやら、唯先輩の考え方では、体を触れ合って教える=手取り足取りみたいだ。
 いや、まぁ意味としてはそうなんだろうけど、どうにも納得できない……。
「とにかく、あずにゃんが教えてくれるから私も上達してるんだよ。あずにゃん、ありがと~」
「いえ、そんな……」
 面と向かってお礼を言われるとなんだか気恥ずかしい。
 だから、ついついごまかしてしまう。
「べ、別に私限定じゃなくて、澪先輩やさわ子先生に教えてもらっても唯先輩は上手になると思いますよ?」
 その場しのぎで言ってみただけだけど、これは普通にあり得る話かもしれない。
 だって、唯先輩は一度教えただけで、ほぼ完璧に弾けるようになるような人なんだから。
 誰が教えたって変わらないんじゃないかな……。
「それは無いと思うけどな~」
「どうしてですか?」
「そうだね……。その前に、ジュース買わない?」
「ジュースですか? 実は私、お金が無くて……」
「それぐらいなら奢ってあげるよ」
「そ、そんな、悪いですよ」
「いいのいいの。先輩の厚意は素直に受け取っておくものだよ?」
「それじゃ、お言葉に甘えて……」
「任せなさい!」
 ポンと胸を叩く唯先輩と一緒に、道路脇の自販機に歩み寄る。
「それじゃ、どれがいい?」
 私にそう尋ねながら、財布をがさごそする唯先輩。
 そうですねぇと私が考え始めると、「あ」と呟いてその動作がストップしてしまった。
「どうしたんですか?」
「ご、ごめんあずにゃん……。私もお金持ってなかったよ……」
 そう言って財布の中身を見せてくる先輩。全部あわせてもジュース一本すら買えない。
 唯先輩らしいなぁと思わず頬を緩めると、唯先輩はあたふたとし始めた。
「あ、あずにゃん。今私のこと馬鹿にしたでしょ?」
「してませんよ」
「うそっ。絶対馬鹿にしたよっ」
 ぷくぅと頬を膨らませながら怒る仕草は、まるで子供みたいだ。
 どうやって宥めようかと考えて、ひとついい方法を思いついた。
 財布を確認してみる……うん、よし、大丈夫。

520:ゆいあずで帰り道とか
09/08/23 05:54:58 bBqzFZqS
「それじゃ、ワリカンでどうですか?」
「ワリカン?」
「はい。唯先輩のと私のを足せば一本ぐらいは買えますよ?」
 言いながら小銭を数枚差し出す。
「で、でも……」
「二人で半分ずつ出してそれを二人で飲めば誰も損しませんよ?」
 あくまで強気でそう言うと、唯先輩は少し考えてるみたい。
「でも、私が奢るって言ったのに」
「それなら、気にしませんよ。感謝の気持ちですから」
 私がそう言うと、唯先輩は目をまんまるくして、あははと笑い出した。
「それもそうだね、それじゃワリカンにしよっか」
「はい」
 唯先輩に小銭を渡す。それを受け取って、自販機に自分の分も一緒に投入する唯先輩。
「それにする?」
「先輩の選んでものでいいですよ」
「それじゃ、これかな」
 唯先輩がボタンを押して、私は出てきたペットボトルを取り出す。
「どうぞ」
「ありがと~」
 蓋を開けてから、唯先輩に渡す。こういうのはやっぱり先輩からだよね?
「ごくごく……それで、何の話だったっけ?」
「ごくごく……私が教えるのと、澪先輩やさわ子先生に教えられるのでは違うって話です」
「お、そうだったね~」
 最後に一口含んでから、唯先輩は語り始める。
「やっぱり、教える人によって癖が違うんだよね」
「癖……ですか」
「そう、癖。例えば澪ちゃんだったら、弦の弾き方に力を入れて教えてくれるけど、さわちゃんだと速く弾くコツを教えてくれるんだ」
「そうですか。それじゃ、私はどうですか?」
 ごくごくと飲みながら、気になるところを質問してみる。
「う~んと……わかんないや」
「って、何ですかそれ」
 思わず突っ込んでしまう。
「よくわかんないけど、なんだか私に合ってる気がするんだ」
「はぁ……そうですか」
 最後に一口飲んでから、残りを先輩に渡す。
「でも、でもね? ひとつだけ確かな理由があるんだよ?」
「何ですか?」
 少し考え込んでいる唯先輩。残りのジュースを喉に流し込んで、口を開く。
「それはね……。好きな人が教えてくれるから、だよっ」
「―へ?」
 唯先輩はえへへと照れくさそうに笑っている。
 ……もう、唯先輩はずるすぎますよ……。



Fin


最近ゆいあず書いてなかったからなんだか変な感じがするな……

お目汚し失礼した
それでは

521:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 07:18:04 iUDT9412
やはりここは天国なんだね・・・
みんなGJすぎて涙が・・・

522:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 10:33:40 +iAfzMGq
>>520
GJ
話の状況を見る限りだと既に二人は恋人同士になってるみたいだから
当然、既に直接キスとかなどして間接キス以上の事はしていそうに思える。
だからそこ、同じボトルのジュースで飲みあいぐらいなら免疫がついてるんだと解釈しました。

523:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 10:49:56 WZvhGT4y
>>521
俺も目から水が・・・

524:拒絶10
09/08/23 11:44:33 z9PfIYLW
ひとりきりで歩く、歩く、歩く。
いつもの通学路、よく立ち寄るコンビニの近く、みんなとバイバイする交差点…いろんなとこをあてどもなく歩く。
難しい言葉を使ってみたけど、こう言うときってあてどもなく、でいいのかな?

でも、やることを決めて散歩してるんだから、やっぱり当てはあるのかな。今のは違うかな。

(………でも、学校の近くまで来ちゃったのは失敗だったかも………)

もっと言えばいつもの通学路を辿ったのが失敗だった。

いつもの通学路にも、よく立ち寄るコンビニにも、みんなとバイバイする交差点にも…あずにゃんとの想い出がいっぱいいっぱいあるから。

「いっぱい」なんて数え方じゃ括れないくらい、あずにゃんと過ごした時間がそこにはあった。

歩く道、曲がり角、見る風景…全部の場所にあずにゃんの幻が重なる。ふたりで歩いた想い出が浮かんでくる。

改めて気付いたけど。
本当にあずにゃんが傍にいるのが当たり前になってたんだね。

525:拒絶11
09/08/23 11:45:31 z9PfIYLW
いつでも私の隣にいてくれて。
手を繋いだり腕組んだり、ぎゅーってすると、ちょっとだけ困った顔をして。
けれど、絶対に拒絶だけはしなくって。

はじめの困り顔からだんだん緩んでいって、最後には「特別ですよ」ってはにかんでくれて………

(…でも、もういけないんだよね。あずにゃんの本当の特別は私じゃないからね………)

あずにゃんが許してくれてた「特別」って言葉にはもう甘えられない。

振りほどかれた手は、きっともう二度と繋がらないから。

拒絶されたこの気持ちは、あずにゃんには届かないから。

………ううん、届けちゃいけないんだから………

「うんうん!これからは頼れる先輩にならなくちゃ!恋のキューピッドにだってなっちゃうよぉ!」

誰に聞かせるでもなく宣言した私は、今、どんな顔してるかな?

鏡がないから自分じゃ見れないけど、きっと笑ってはいないよね。
ほっぺがこんなに濡れてるのは、きっと嬉し涙とかそーゆーんじゃないよね。

………本当にあずにゃんの恋を応援しようって張り切れてたら…こんなに…苦しいわけないよ…ね………

「あず…にゃん………」

気持ちを整理したくて、ひとりになりたくて散歩に出たのに………
さっきよりもっと悪くなっちゃったよ………

あずにゃんの笑顔が…私が一番大好きで…だけどもう離れなきゃいけないあの笑顔が――

526:拒絶12
09/08/23 11:47:04 z9PfIYLW
「唯先輩っ!」
「え………っ?」

………反射的に顔をあげたけど、きっとそれは自分に都合のいい幻聴だと思った。
メールが来るんじゃないかって期待したのとおんなじ自分勝手な妄想だって。

「………あずにゃん………」

それじゃ私を包み込んだこの暖かさも私の妄想なのかな…
ぶつかるみたいに飛び込んで来て、子猫みたいに震えてる小さな肩も幻なのかな…

(夢…じゃないよね…?)

もう二度と抱き締められないって思ってた大好きな…世界で一番愛しい体温を
当たり前だった距離に…一番近くに感じられて。

「ゆ…い…先輩ぃ………」

心の一番軟らかい場所に触れてくれるその声を聴いて。
私はこれが夢でも幻でもないって確信できたんだ。


(続きます)

527:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 11:49:51 z9PfIYLW
結局また次に続いてしまいました..構成力がないなぁ自分..orz
もう少しだけ書かせてくださいませ

528:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 12:11:56 8h1UY/OD
GJ
がんばれ!

529:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 15:33:10 bBqzFZqS
GJ

ずっと待ってるぜ!

530:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/23 17:20:52 zBS0jmNe
あずにゃんスレより転載
URLリンク(up2.viploader.net)
ふむ、着々と唯のもの計画は進んでるようだ

531:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 01:42:14 xvpasngg
進んでる?何をバカな
とっくに唯の物でいちゃいちゃしてるんだよ

532:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 02:51:18 i0CknEMk
しかし水着が地味だな

533:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 06:27:40 /YRbgsmI
でも、唯梓が表紙になってるのは嬉しいなぁ。

そういえば、この前唯と梓が同じジュースをストローで一緒に飲んでた絵はアニメディア(数十年ぶりに見たけど)で掲載されてたんだね。

534:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 11:06:10 iTV6hFpu
公式ムック早くでないかな
さすがに雑誌全部は追えない…

密林でけいおん!和書検索すると芭蕉全集が引っかかるのは何故か気になる

535:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 13:22:07 k8DCByql
>>533
まじすか!澪命と良いDVDのパッケージと良い最近公式が病気すぎますなw続けて!

536:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 17:05:55 Gk/y5jnO
>>533
え、まじ・・・?

537:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 17:14:18 c0cf8XIu
>>533
これか
URLリンク(img.20ch.net)

唯と梓もうらぶらぶだな

538:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 17:16:29 VCXKiAFc
これ、メモとかもこのスレみたいなこと書いてあるんだよねw

539:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 18:24:22 /YRbgsmI
>>533
うん、それそれ
この前もここのスレでその絵が貼ってあったけど、すぐに見れなくなったんだよね…

今月に載ってあったから、まだ本屋に残ってると思うよ

540:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 21:13:54 qGfuWx5v
そのうち唯梓デュエットソングCDが出てもいいほど

541:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 21:20:42 mjenzyjf
今の公式病気状態の現状、やりかねない
無論、大歓迎だがね

542:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/24 22:46:20 RHPPkPoS
>>540
その発想はなかった

543:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/25 01:56:07 Dnouq4PK
どこで聴いたかは訊かないでほしいんだが、
あずにゃんキャラソンで唯梓っぽい歌詞が

544:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/25 02:04:35 /R53AG9p
>>543
期待せざるを得ない

545:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/25 03:31:29 vflqH1Ly
キャラソン、明日店頭ですか…
早速買わねば

546:名無しさん@お腹いっぱい。
09/08/25 06:42:43 vflqH1Ly
唯キャラソンを元にしたのを、今更ながら。
またタイトル付けにくい…ギー太とゆいあず…とかで。

最近澪先輩と唯先輩が上機嫌だ。
多分、というよりは確実にそうなんだろうけど、やはり自分の歌ができたからなんだろう。
澪先輩はといえば、今鼻歌を歌いながらベースを弾いている。勿論聞こえてくるハミングは「Heart goes boom」
腕はいいのに、恥ずかしがりやな性格で損をしている先輩には、いい歌だと思う。本当なら、もっと自信過剰になるくらいでもいい人なんだから。
今聞こえてくる音色が、以前のものよりもずっと深く重く、そして澄んで聞こえることがその証明。
唯先輩はといえば、同じく鼻歌を歌いながらキュッキュッとギターを磨いていた。ニコニコしながら、楽しそうに行為を繰り返してる。
その分練習に当ててくれれば、と思わなくもないけど、そうしてギターと触れ合うのもやはり大事なことなんだろうと先輩を見てると思えてくる。
唯先輩の歌―「ギー太に首ったけ」
聞くだけで、本当に大事にしてて大好きなんだってことが伝わってくる、そんな歌。
―そんな唯先輩を眺めながら、ふととある疑問が頭に浮かんだ。
少しボーっとしていたせいだろうか。私はそれを吟味することもなく、あっさりと口にしてしまっていた。
「ギー太って、男の人なんですか?」
口にしてから、何で私はこんなことを聞いたんだろうと激しく後悔した。ギターはギターだし、そもそも無機物だし。
どこから男の人なんて発想が出てきたんだろう。それは、確かに「太」という妙に男らしい名前がつけられているからなんだろうけど。
でも、頭の中でちらりと浮かばせるくらいならともかく、こうして口にしてしまうなんて。
唯先輩もギターを磨いていた手を止めて、え?と書かれた顔をこっちに向けていた。不意をつかれた、そんな顔。
「ええと、ギー「太」って名前じゃないですか」
とりあえずそう続けてみる。その直後、なんでもなかった振りをして話題を打ち切ってしまえばよかったと再び後悔した。
ううん、今からでも遅くはない。何か別の話題を振って、打ち切ってしまえばいい。
それなのにそうしないということは、ひょっとしたら私は本気でその答えを聞きたいと思っているのかもしれない。
まさか。でも、それを否定しきる材料はみつからない。なら、もしそうだとしたら、私は何を理由にしてそんな行動に出ているのだろう。
唯先輩はというと、しばらくきょとんとした顔でこちらを見つめていた。釣り眼がちの私がときに羨ましく思うくるりとした大きい瞳に、惜しげもなく私を映しながら。
ふいっと、何の前触れも無く唯先輩の視線が落ちる。釣られて、私の視線も下へと落ちる。
そして「ギー太」とぶつかった。
直前まで磨かれていたボディはいつもよりも心なしか輝きを増して見える。
一生懸命にそして本当に大事そうに磨いていたさっきまでの唯先輩の姿を見ていた私には、それがたっぷりに注がれている愛情の結晶のように見えていた。
ううん、実際にそのとおりなんだ。そうでなければ、先輩はあんな歌を作ったりしないだろうから。そして、あの歌を聴けば唯先輩がいかにこのギターを、「ギー太」が大好きかってこと、誰にだってわかる。
そんなのずっと前からわかってた。一度お店にメンテナンスに持ち込むような事態にはなったものの、それはただその知識が無かったせいだし。
それまでも、先輩なりにずっと大事にしてきたことはわかっていた。服を着せたり、添い寝をしたり―方向性はおかしいけど。
そもそも、そうでない人にはあんな演奏はできないだろうから。
あの時、ううん、結局は今でも私を虜にしているあの音色を出すなんてできないはずだから。
それは、私が唯先輩を尊敬している部分のひとつで。私はそれを感じることに微笑ましさを覚えていたはずなのに。
何故だろう、今この瞬間の私は―それをなぜか疎ましく思ってしまっていた。
「そっかぁ~ギー太、君は男の子だったんだねっ」
その理由を探り始めるより早く、下を向いていた唯先輩の顔がほわっとほころんだ。
「決めてなかったんですか」
とりあえず、反射的に突っ込みを入れる。冷静に考えれば、それは当たり前のことなんだけど。
そう、唯先輩にもそれは当たり前だったんだ。なのに何故私はそんなことを気にしてしまったのか。

547:ギー太とゆいあず2/4
09/08/25 06:45:52 vflqH1Ly
「ギー太~」
別に唐突ということは無かった。構えていたギターを、ひょいっと立ててぎゅーっと抱きしめる。
予備動作から本動作まで、そこに私が驚くような要素は何一つない。緩慢とも柔らかともいえるその動作は、それがなされる前からそれが何か簡単に想定できるものだったから。
けれども、私はそれにどうしようもないほどの衝撃を受けていた。
「大好きだよ~」
ぎゅーっとギー太を抱きしめ続ける唯先輩は、そんなことまで口にしている。うっとりと浮かべられる笑みは、私を抱きしめているときの表情と同じか―ひょっとしたらそれ以上。
もともと表裏のない人だから、その言葉に嘘なんてあるはずがない。その仕草全てがそれを示していて、でも今この瞬間だけは、それが覆されればいいなんて私は思っていた。
「お、唯、ラブラブだなー」
「へへー、そうだよ~」
横から投げかけられる声。唯先輩に触発されたのか、チューニングキーと六角レンチを手にドラムセットのメンテナンスをしていた律先輩が、ひょいっと顔をこちらに向けている。
何の変哲もない、いつもの律先輩の声なのに。その言葉は思ったよりも勢いよく私の側頭部にぶつかってきた。
「…ラブラブ…」
ぼそりと繰り返す。ラブラブ…それは、つまり。
「ギー太は私の恋人だもんっ」
そして更に決定的なフレーズが、逆側からもはや決定的な一撃を私のこめかみにヒットさせた。
「こ、ここここっこっ…」
「なんだぁ、梓。鶏のまねか…?」
あまりの衝撃に舌が回らない。だから私の口はそんな音を紡いでるわけで、決して律先輩の言うような特技を身に着けたわけじゃない。
というか、こんな状況でそんな真似をする余裕があるわけ無いじゃないですか―というか、こんな状況って何だろう。
何で私は、こんなにも動揺してるんだろう。
「いい心がけだと思うぞ。ギタリストにとって自分のギターは、それくらいに思って丁度いいくらいだしな」
いつの間にか演奏を終えていた澪先輩が背後から現れる。そう、まったくその通りだ。澪先輩はいつも正しいことを言ってくれる。
だけど、今の私は何故かそれに―何とか反論できるところを見つけようと―必死になって反発しようとしていた。
「ふふ~ギー太ぁ」
だけどそんな言葉なんて見つからない。私が何もいえないでいると、唯先輩は今度はギー太に頬ずりなんかはじめてて。
それは、いつも私がしてもらってることなのに。ぎゅーっと抱きしめられて、頬ずりして、あずにゃんはかわいいねって言ってくれて。
―だけど、今の先輩の目にはわたしなんて入ってなくて。ギー太だけを映してる。
ううん、それでいいのに。ギターを大事にしてくださいね、なんていったのは私で。そもそも先輩がギー太を大好きなんてこと前から知っていたことで。
なのに、そうだ―それを恋人と、自分の一番の存在だよって先輩があっさり言ってしまったことが―
ぎりぎりと胸が締め付けられる―なんで、私はこんなになってるのかな。
―…まさか、まさかだと思うんだけど、私ひょっとして
―唯先輩のギターに、ギー太に…嫉妬してるの?
まさか、そんな馬鹿なことあるわけない。だいたい、ギターに嫉妬なんて―ありえないです。
そもそも、唯先輩に嫉妬するほど―そんな感情、抱いてるなんて―なんて。
―なんて?
なんで、そこで疑問系になるんだろう。断定してしまえばいいのに、それが出来ない。
ぐるりと思考が回転を始め、私の頭が混乱する。それが、とある答えにたどり着く前に
「…あずにゃん?」
そんな唯先輩の声が、私を現実に引き戻してくれた。
引き戻された私の視界には、いっぱいに広がる唯先輩の顔。
「へ…ひゃっ!!」
慌てて飛びのく。すると、いつもの大きさに戻った唯先輩が残念そうな顔をする。
「何で逃げるかなぁ」
そんな気の抜けた声と共に、ぐいっと先輩の顔がまた近付く。私の懐にきゅっと踏み込んで、すいっと手を伸ばして、あっさりと私を捕まえてしまった。
「あずにゃん、捕獲ぅ!」
何で唯先輩は、こんなに私の隙を付くのが上手いのだろう。迅速ってわけじゃないのに、気が付けば私はいつも捕まえられてしまっている。

548:ギー太とゆいあず3/4
09/08/25 06:47:23 vflqH1Ly
「な、なんですか…!」
そう言い返しつつ、私はどこかほっとしていた。元々―内緒だけど―先輩に抱きつかれるのは嫌いじゃない。
そのぬくもりも柔らかさも安心感も、私はこっそり楽しみにしていたりした。それがない日は、何だか落ち着かなく思ってしまうくらいに。
だけど、今はそれだけじゃない。きっと、さっきはギー太を抱きしめていた腕がそこから離れて、今は私を抱きしめていることに嬉しくなってしまったんだろう。
―だから、なんで私は―うぅ、もう、これじゃ本当に!
「なんですかじゃないよぉ~どうしたの、あずにゃん?」
「…ど、どうしたのって、なにがですか…?」
「今。ぼーっとして変だったもん」
「へ…?あ…べ、別に何でも…ないです」
誤魔化そうと先輩から顔を背けようとしたけど、先輩はそれを許してくれなかった。大きな瞳に、きゅっと真剣な光を灯して、私をじっと見つめている。
それは、本当に私を心配してるんだよって気持ちがいっぱいに伝わってきて、私はつい、正直に自分の気持ちを打ち明けてしまいそうになる。
そんなわけに行かないけど。だって、言える筈がない。ギー太に嫉妬してましたなんて。
無機物に嫉妬してたことが露呈するのはまだいい。あまりよくないけど。だけどそれは、それを告げてしまうことは、つまりは裏返すとそれだけ先輩のことが―ということになってしまうから。
―そんなの、そんなこと、言えるはずがありません!
だから私はきゅっと口を閉めて、黙秘を通そうとしてたのに。
「なんだぁ、梓。ひょっとして唯のギターに嫉妬でもしてたのかー?」
「何で律先輩はそんなあっさり言っちゃうんですか!!」
反射的に怒鳴り返して、私はハッと我に帰った。
見回すと、私を抱きしめたままきょとんとしてる唯先輩と、後頭で手を組んだポーズでぽかんとしてる律先輩、同じくぽかんとしている澪先輩と、ビデオカメラを片手にこちらを撮影しているムギ先輩が目に入る。
―最後なんか不穏な行動が見えた気がするけど、それは置いておいて―
これは、今の私の発言は…つまり
「いやー…わりぃわりぃ、まさかマジだとは思わなくってさー」
自分から、隠し通そうとしていたことを自白してしまったってことだ。
―もういいです…律先輩なんて知りません。ごめんなーと手をあわせる律先輩からぷいっと視線をそらして、唯先輩に視線を戻す。
するとそこには私の予想通り、キラキラ目を輝かせて私を見つめる唯先輩の顔があった。
「あずにゃん~~~…!!」
ぎゅーっと抱きしめられる。ほお擦りされる。更には私を抱きしめたままくるくる回りだす。
唯先輩はとっても嬉しそう―だって私はつまり、ギターに嫉妬してしまうくらい唯先輩のことが大好きです、なんて告白してしまったようなものだから。
―ああもう、好きにしてください。もう…
そう言いつつ、私は何故か変に落ち着いた気分だった。先輩たちの前でこんな宣言させられて、あまつさえ唯先輩にそれを知られてしまって、そういうことだって思われてしまって。
いわば、本来の私だったら顔を真っ赤にして否定しているはずなのに。
そのことを先輩が嬉しそうにしているのが―なんだかとても心地よかったから。
「大丈夫だよ、あずにゃーん」
私をぶんぶん振り回しながら、唯先輩は言う。―私は目が回りそうで、あまり大丈夫ではないですけど。
その気配を察してくれたのか、先輩はトンっと私を地面に降ろした。突然軸を戻された体が、ふらりと揺らめき、唯先輩の手がそれを支えてくれる。
「私、ギー太と同じくらい、あずにゃんのこと好きだから」
かくりと私の頭が落ちた。―ギターと同列扱いですか、いえ、別にいいんですけど。
―あれ?
ふと、疑問が持ち上がる。ギターと、ギー太と同じくらい、好き?そこが何故か引っかかる。
だって、さっき先輩は確かにそう言っていたはずだから。
そう、確か、ギー太は唯先輩の―それと同じと言うことはつまり、私は―唯先輩と私は―
―恋人?
ぽんっと私の頭が沸騰する。
確かに、私は今ほとんど先輩に大好きって告げたようなものだし、それを受けた先輩は私のことを好きと―ギー太と同じ、恋人として好きだって言ってくれたから。
つまりは、そういう意味で取るならカップル成立というか、恋人同士って言っても間違ってるってわけじゃない。
―いやいや、私の思考暴走しすぎだから。でもなんでか、もうそういうことにしちゃおうっていうか、そうなっても言いやって方向に勝手に思考が流れようとしてる。
駄目駄目、冷静にならなきゃ。唯先輩のことだもの。きっと、いつものじゃれあい的な…そんな―


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch