【けいおん!】唯×梓スレ 2at ANICHARA2
【けいおん!】唯×梓スレ 2 - 暇つぶし2ch166:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/29 14:07:19 M9SaubWz
翌日、何事もなく退院を迎え病院を出るとそこには軽音部の先輩たちが待ってくれていた。
両親は私がすでに心配する状況でないこともあり、先に帰るから先輩たちと話してきなさいと言ってその場を去っていった。

「あっずにゃーん」
真っ先に唯先輩が抱きついてきて、想像ではない本物の笑顔をめいっぱい私の顔に擦り寄せてくる。
いつもなら少しばかり鬱陶しく感じることもあるこのスキンシップも、今はとても嬉しく思える。
そんな私たちの様子を見ながら澪先輩が私に話しかけてきた。
「梓、無事でよかったよ。それにしても昨日はかなりびっくりしたぞ。
 授業中に突然唯がやってきて、『澪ちゃん大変、あずにゃんが倒れた』って言うもんだからさ。
 先生もみんなも、もちろん私も呆気にとられてると『何してるの、早く行ってあげて。私は救急車呼ぶから』って」
「凄い行動力と決断力だったんだよな、普段からそれくらいやってくれりゃいいのに」
律先輩の皮肉交じりの褒め言葉に、唯先輩は私に抱きついたまま答える。
「だって大事な大事なあずにゃんが大変なことになっちゃったんだよ。そこには他に私しかいなかったんだし、当たり前のことをしただけだよ」
唯先輩は当たり前のことだと言ってるけど、緊急時に実際に行動できる人は少ないと聞く。
唯先輩が早急に行動を起こしていなかったら私は一体どうなっていたのか。それを考えると感謝の気持ちから涙が出てきた。
「唯先輩、グスッ、本当に、グスッ、ありがとうございました」
突然泣き出した私に唯先輩は戸惑いの表情を見せた。だけどすぐにニコリと微笑み私の頭を撫でながら優しく語りかけてくれた。
「あずにゃんが一番大変だったんだよね。ごめんね、私がもっと早く気付いてあげてたらこんな大変な思いさせずにすんだのにね」
―どうして唯先輩が謝るんですか?唯先輩のおかげで私は今こうしていられるんですよ―
溢れ出る気持ちを伝えようとするのに、涙のせいで全く言葉になってくれない。そんな自分が悔しくて、私は唯先輩の胸を借りて泣き続けた。
そんな私を唯先輩は何も言わずにずっと優しく抱きしめてくれていた。

どれだけ泣いただろう、私はゆっくりと唯先輩の胸から顔を離す。
「……すみません。みっともないとこ見せちゃいましたね」
「ううん、いろいろあったんだから泣きたいときは泣いていいんだよ。嬉しいことも辛いこともみんなで分け合おう」
唯先輩は相変わらず温かく、そして少し恥ずかしい言葉をかけてくれる。
……いつからだろう、そんな唯先輩に特別な想いを抱きだしたのは。
その答えは分からない。いや、分かる必要なんかないのかもしれない。今、この瞬間、唯先輩が好き。もうそれでいいじゃない。
この出来事は私の中でぼんやりとしていた唯先輩への想いをはっきりとしたものにさせるために神様が私に与えた試練でありプレゼントだったのかもしれない。
なら、その神様に対して私の答えを示さなくちゃ……。

「唯先輩、本当にありがとうございました。私、この出来事であることに気付いたんです。
 いえ、気付いたというより、改めて気付かされたって言ったほうがいいのかもしれません。
 それを唯先輩に言うべきか一晩かけて考えたんですけど、言うことにしました。聞いてくれますか?」
「なーに?あずにゃん」
純粋無垢な笑顔を私に向けて続きを待つ唯先輩。
もう何度となく見てきた笑顔なのに、そのおかげであの時とは違う理由で脈が速くなる。
高まる気持ちを抑えるために私は大きく深呼吸をし、覚悟を決めて唯先輩と正対する。
そして、心からの気持ちを精一杯言葉にして唯先輩にぶつけた。


「私、唯先輩のことが……」


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