09/06/28 23:01:16 4CdpOjCF
>>785
「だから!ここはもう少し抑え目にしてさ!」
「なんだよ!私がそんなに目立ちたがり屋でお邪魔だって言うのかよ!」
「そんなこと言ってないでしょ!あー、もう馬鹿律!」
私は肩からベースを外し音楽室から出ていった。
音楽室を飛び出した私はあてもなく廊下を歩いていた。
「何であんなこと言っちゃったんだろ?」
冷静になるにつれて後悔の念が私を襲う。確かに律は毎日真面目に練習してるとはいえない。
だけど律だって決して音楽を軽んじてるわけじゃない。そんなことはわかってるのに……
同じリズム隊として、思いをぶつけ合うことは大切だと思う。でもそれで関係が壊れちゃ意味が無い。
梓にだってこのメンバーとバンドをするのが楽しいって言ったじゃない。
謝らなきゃ、私は音楽室へと向かった。
覚悟を決めたはずなのに音楽室の扉の前で足が止まってしまう。一歩が踏み出せない。
踏ん切りがつかず立ち尽くしていると中から小さく律の声が聞こえた。
かすかに聞こえるその声からは私と同じ、後悔の念が感じ取れた。
私は意を決して音楽室の扉を開けた。顔を見る勇気はなかったからうつむいたままで。
「あ、澪ちゃん」
最初に声を掛けてくれたのは唯だった。
「澪……」
律の呼び掛けに答えることが出来ないでいる私の横を唯たちが通り過ぎて行った。
おそらく二人で話せるようにしてくれたのだろう。唯のたまに見せるこういうところがうらやましい。
私は律の前に座った。謝らなきゃと思うのに、気持ちとは裏腹に言葉が出てこない。
長い長い沈黙のあと、先に話し出したのは律だった。
「ゴメン……言い過ぎた。あのあと唯たちに気持ちを話してて思ったんだ。
やっぱ私は澪と演奏するのが好きなんだ。だからこれからはちゃんと練習するし、澪の理想に少しでも近づきたいと思う」
私のほうから謝らなきゃと思っていたのに。律のこの優しさに触れ私は思いを伝える決心ができた。
「私のほうこそゴメン。あんなに感情的になっちゃって」
最後の勇気を振り絞り律への気持ちを続けた。
「律は今までのままでいいよ。いや、もちろん練習はちゃんとしてほしいけどさ、
そこで律の気持ちを押さえつけちゃうと、律が律じゃなくなっちゃう気がするんだ。
私はドラマ―なら誰でもいいわけじゃない。律っていうドラマーと一緒にやっていきたいんだ」
私の言葉を聞くなり下を向く律。どうしたのかと思っていると突然立ち上がった。
「じゃ、じゃあそろそろ唯たちの用事も終わっただろうから、私呼んでくる。そしたらまた練習頑張ろう」
律の顔が赤くなっている。自分で言うのもなんだが言われたほうが恥ずかしくなるようなクサイセリフ言っちゃったからな。
必死に顔を隠そうとした律の思いを感じ取り、深い詮索はせずに音楽室を出ていく律に声をかけた。
「うん、一緒に頑張ろう、私の相方」
流れと全然違うもの落としてゴメン。どうしても書きたくなったんだ。