09/06/28 20:51:09 a5K/iISI
生徒「キャァァッ!!」
悲鳴が講堂に響き渡る。何が起こったのか。
何も知らない生徒から見たら、いきなり生徒の一人が壇上に駆け上がって行き、それとほぼ同時に
カーテンから姿を現した人影と激突したのだった。生徒の一人は表彰中の田井中律を突き飛ばし、
恐らくは謎の人影との接触を阻止しようとしたのだろう。
澪「──」 バタン
唯、紬「澪ちゃん!!?」
梓「澪センパイ!?」
今度は3人同時に声を上げた。
澪「──」
唯「澪ちゃん!!」
律「み・・澪・・?」
近寄ろうとした律は、驚愕のあまりしりもちを付きそうになった。
倒れている澪の体から、痛々しくも血が流れていた。
律「み・・っ・・澪・・・おい澪っ!」
恐怖と困惑のあまり、声のトーンが定まらない。それでも力強く名を叫んでいた。
───────
・・・・うっ・・・
私・・・・・?何で倒れてるんだ・・?
ああ、そうだ。
律が刺されそうになったのを、私は無我夢中で飛び込んで律を突き飛ばしたんだった。
「おい!澪!」
何をしてるんだろう私は。防いであげようと思い切ったのに、自分がやられてるなんて。そんな情けない話は無い。
「澪ちゃんっ!!」 「澪センパイ!!」
体の・・腰から脇腹の辺りに激痛が走る。たった一箇所の傷のはずなのに、動くことすら出来ない。
ふっ、と目を開けた。
そこには。
律「・・澪!・・・うっ・・よ・・た・・カ・・・・ントにゴメ・・・」
途切れ途切れに言葉が聞こえる。私は聞き取ろうとした。
しかしそれよりもただ一つ、帰って来た律に笑顔で返したい、絶対に言いたかった
”言葉” があった。
「─やったな、律!」
口が動かない。体も動かない。ただ一つ、うっすら開いた目で泣きじゃくる律を見ることしか出来ないなんて・・
ズキン!!
痛みの第二波が来た。私は耐え切れず、目を閉じてしまいそうになる。閉じたらそこで、何もかもが終わりそうで。
ふと、頭をよぎった。
─私、死んじゃうのかな─
何となく分かるんだ。自分が消えていく、力の抜けていく有様っていうものは。
何となく、カウントダウンが動いてるようで。私は生命のカウントダウンを0にしまいと必死に抵抗している。
けど──
3。
「澪ちゃん!・・ゃん・・」
2 「セン・・イ・・」
1。 「ッ!!澪!!!」
律「なあなあみお~」
ん・・・、何?
律「私と一緒に、バンドやろうよ!」
【Ritu After】