09/07/05 23:51:01 zuAnOsob
ある日の放課後。澪は一人帰り道を歩いていた。
今日は用事があるので部活を休み、早く帰ってきたのだ。
家の近所の公園の前を通りかかったとき、学ランを着た男子生徒数人が
公園の中で集まっているのが見えた。
特に気にせず通り過ぎようとしたとき、一人の生徒が、他の生徒の顔を
殴る姿が見えた。
そして、殴られて地面に倒れた生徒の顔を見て澪は驚いた。
(あれは・・・聡!)
ケンカでもしたというのだろうか。しかし、周りの生徒は誰も仲裁に入
る気配がない。むしろ、倒れた聡を見て笑っている。
(これって・・・イジメ?)
そう考え、澪は急いで生徒達の元に駆け寄った。
「おい、お前達なにやってるんだよ!」
澪の姿を見て、生徒達は少し驚いた様子をみせた。
「誰だよあんた」
「私は聡の姉の友達だよ。お前達聡になにしてたんだ」
「別に・・・ちょとケンカしてただけっすよ」
「ケンカって、お前達倒れた聡を見て笑ってたじゃないか!」
「さあ?お姉さんの見間違いじゃないですか?」
そう言って生徒達はケラケラと笑った。
「澪さん、いいんです。本当にケンカしてただけですから」
「でも、お前・・・」
「ホラ、そいつもそう言ってんじゃないですか」
「そうそう。なんかシラけたなー。もう行こうぜ」
そう言って生徒達は公園を出て行ってしまった。
「聡、お前本当に・・・」
「いいんです。それより、このことはねーちゃんには内緒にして下さい」
聡は立ち上がると、殴られた頬を押さえながら歩き出す。
(聡はそう言うけど、律に言わなきゃならないよな・・・)