09/06/14 01:30:47 7E221XLh
頭がボーっとする。
学園祭の前に風邪を引くなんて、私らしくない失態だ。
ただ寝てるだけの時間は退屈だけど、熱のせいで何も考えられない。
…いや、何も考えたくない、が正しいか。
階段を上がってくる足音が聞こえる。
この足音は澪…じゃない。
私が足音で判別できる、もう一人の人間。
コンコン
俺「律、入るぞ。」
律「あんたかよ。何しに来たの?」
小学生の頃からの幼馴染で、中学の時のバンドメンバー。
私の数少ない”男友達”の一人だ。
俺「病人の部屋にギターの練習しに来るヤツはいねえよ。ほら、ポカリ飲め。」
律「…ありがと。」
このタイミングでコイツがお見舞いに来るなんて。
こんなドロドロした気持ちになってる私を、コイツには見られたくない。
俺「で、どうしたんだ?」
律「ん…何が?」
俺「澪と何かあったんだろ?」
律「な、何でわかるんだよ!?」
…何でコイツはこういうところだけ鋭いんだ。
他の事はてんで鈍感なバカの癖に。
俺「で、何があったんだよ。」
律「澪が、クラスの女子と仲良くしてるのが気に入らなくてさ、
ちょっかいをかけても、いつもみたいなノリで返してくれなくなって、
なんか私だけが空回りしてて、バカみたいでさ…。」
俺「全く、何やってんだよ高校生にもなって…」
律「私だってそんなこと分かってるよ!!」
思わず叫んでしまう。やっぱ私、最低だ。
何でこんなに素直になれないんだろう。コイツにも、澪にも。
俺「あー、悪かった。でもさ、ホントは嬉しいんだろ?」
律「…何が。」
俺「澪に新しい友達が出来たことだよ。それに…」
律「…それに?」
俺「それでも、澪にとって一番大切な友達が律であることは変わらない。
それを一番分かってるのは、お前なんじゃないのか?」