09/08/16 23:06:58 RER7fCjO
透華が切り、衣が震えながら海底に手を伸ばす。
本来海底がずれても、衣が海底でツモ和了るとしたものである。それが衣の持つ天運なのだ。
だが、衣と同等、もしくはそれ以上の天運を備えたものが同卓していたとしたら。
それは必ずしも、衣の望む牌とは限らない。
衣がツモった海底牌は、和了り牌の1pではなく、2p。
京太郎に通っていない、2pだった。
そのまま2pが切られると、京太郎はパタリと牌を倒した。
「ロン。河底撈魚、ドラ8。倍満だ」
衣:57000
一:12500 透:11800
京:18700
現実を受け入れられないのか、誰一人言葉を発することができない。
そんな中、京太郎は微笑を浮かべながら、静かに言った。
「気持ちが押されているから、軽々に勝ちに走る」
衣がはっと顔を上げる。
「勝ちを急がなきゃ勝てた、ただリーチを我慢するだけで勝てたのに……
クク……意外に臆病だな、天江先輩……」
その言葉で光を失いつつあった衣の目に、再び炎が灯った。
歯をかみ締め、京太郎をキッと睨む。
「……まだ、オーラスがある。私が和了るだけで決着だ」
「ああ、そうだな。あんたが和了るか、俺が役満をツモるかで決着だな」
空に昇る月に陰りはない。衣の気力も再び充実してきた。
ついに激闘の最終章が始まる。その点差、38300。