【咲 -Saki-】 京太郎×咲スレ 【夫婦】at ANICHARA2
【咲 -Saki-】 京太郎×咲スレ 【夫婦】 - 暇つぶし2ch457:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 18:55:32 SCi8WHgK
>>456
「オチウドってなんだ? のどちゃん」
タコスが間の抜けた声を出す。
「落人です。源氏と平家って、学校で習いましたよね?」
和が言う。たしか古典の時間かなにかで習った記憶がある。
「源平合戦・・・だっけか?」京太郎の言葉に「はい」と和は頷いた。
「それがどう関係するんだ?」
「私が思い出したのは平家物語です。それで調べてみたんですけど、いくつか気になるところがあって、
ここは瀬戸内だから・・・」
「壇ノ浦ね」部長があとに続けてそう言った。
「そうです」
「壇ノ浦・・・」
咲とタコスの頭の上に『?』マークが点滅している。この部分は京太郎もすこし知識があったので解説した。
「大昔の合戦の名前だな。壇ノ浦の合戦。源氏と平家が争って、最終的に・・・山口県だっけか? 壇ノ浦
まで勝負がもつれこんだ。平氏最後の戦の場だった・・・はずだ。それがどうしたんだ?」
「ええ。その戦いのあと、敗戦した平氏は各地に散り散りになって、瀬戸内を転々んとしたという逸話がある
んです。だから四国や山口広島あたりは平氏の落人と呼ばれるひとたちが作った村が点在する」
「和は、その集落のひとつがここじゃないかと言いたいわけね。根拠は?」
部長は楽しそうにしている。
「家紋です」
「イーソウ?」
咲が言う。
「ええ。あれは蝶だと言っていましたよね。平氏の家紋には蝶が意匠されているものがあると聞きます」
「その話はわしも聞いたことがあるわ。この島には落人の墓みたいなのもあるらしい」
黙って聞いていたマコがそう付け加えた。
「そっか・・・本家が二つってのは、そういうことなのかしら。平家物語ではその後の平氏の細かい部分までは
描写されていないわ。幼い安徳天皇を抱えた乳母は負け戦が決定した船の上で入水自殺を図った。
我が身は女なりともかたきの手にはかかるまじ極楽浄土とて、めでたき処に具し参らせさぶろうぞ─か」
部長が一節をそのまま暗唱した。
「うーん。じゃあ染谷先輩のおうちはかなり由緒正しいのかもしれませんね」
咲が言う。
「いいや、うちの家は長野の染谷じゃけん、こことは違うはずよ。本家は本家。うちはうち」
そういうものだろうか、と京太郎は思った。しかしマコの家もそう言う意味では本家のはずだ。たしかに
部長の言う本家が二つというのもうなづけるかもしれない。
「さすがのどちゃんだじぇ! タコ食うか」
岸壁でタコスが拾った(!)タコを調理した足を受け取って、京太郎は口にほうりこんだ。


マコが母屋の手伝いに向かったので京太郎は、先ほど聞いたマコの家のことを全員に話した。
逃げろといわれたことはふせて。
「サイイン? 加茂の齋院のことかしら・・・え?」
ガバリと立ち上がった部長は口に手をあて、しばらくうろうろと歩き回ったあと「そういうことか」と
呟いた。
「な、なんすか?」
「いや、待てよ。それでも動機が見つからないわ。とすると動機はまた別のところにある。だから
ひふみ唱文か。流れ流れて結びついたと考える・・・それで? 京太郎くん! マコは子供の頃
ここで麻雀をしたって言ったのよね!?」
「はい、言ってましたけど・・・」
「麻雀。麻雀・・・それって麻雀だったのかしら・・・いや、それよりも・・・」
ドカドカと部長はそのまま歩いて部屋を出て行ってしまった。部員も全員であとに続く。行き着いた先
はあの、咲が発見した隠し扉だった。
「またここですか・・・私ここはなんだか嫌な気分になります」
和が言う。部長はそれにかまわずに独り言をぶつぶつと呟いていた。
「悪霊を祓う。とんでもない。加茂の齋院なら話がまったく違うことになる。ならば─」

─ここには、一体なにが居るのよ。

恐ろしいものでも見るように、部長はそう呟いた。


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