09/06/29 01:24:43 Ljv/3bZv
>>446
「探せって言ってもそんな簡単にみつかるもんかね・・・」
京太郎と咲は二人で屋敷内を散策している。日はもう落ちていたので、早めに見つけて
さっさと開始したいところだったが、勝手のわからない屋敷のこと、そうそう上手くはいかない
のだった。
「むこうは部長と染谷先輩だろ? 真ん中はタコスと和。こっちにあればいいけどな」
『巨』の字型の座敷の、上の棒の部分を京太郎たちは探している。下の棒は部長、真ん中の
部屋はタコスたちが担当だった。
「そういえば、こっちの部屋数は原村さんたちが行ったところより一部屋少ないんだよね」
咲が言う。
「え?」
疑問をはさもうとした京太郎だったが、たしかに一部屋少ない段階で廊下は行き止まってしまった。
「いや、咲、見ろよここ。まだ続きがありそうだ」そう言って壁を叩く京太郎。木の板の向うから
ポコンと空洞のような音が返ってくる音を聞いて咲も「ほんとだ」と叩いてみる。
「おいここ、動きそうだ」
京太郎が壁の隅をずらすと、板戸の一部が微かにスライドした。
「そっか。寄木細工みたいになってるんだよ京ちゃん。ここをこうやって・・・きっとこの板一つ一つが
がカンヌキみたいになってるんだね」
咲はそう言いつつみるみるうちに寄木細工を動かしていく。単なる一枚の板壁だと思っていた
ソレは、実は細かな溝が縦横無尽に彫られており、上下にスライドさせることによってパズルの
ように動くのだった。
「ホラ、これで完成」「すごいなお前。トロいと思ってたのに意外な才能だよ」
咲は得意げに京太郎を見返す。
「おい、これ・・・」
完全に動かし終えた壁の板は、最終的にあの家紋の形を形成していた。
「すごいね・・・隠し扉だったんだ」
咲とともに頷いて、京太郎は扉を押し広げた。
「うわっ! なんだこれ!!」
そこにはもう一枚の壁。正確には両開きの扉があるのだが、明らかに異常な装飾を施されていた。
「なんだろうこれ・・・京ちゃん、ちょっと怖いよ」
脅える咲を後ろに下がらせ、京太郎はその扉を観察した。
天地玄気受福寿光無量
無上霊宝神剣大大加治
天元行体神変通力勝
天地玄妙行神変通力
小さな紙に一行ずつ書かれた、まるでお札のような張り紙が無数に貼り付けられている。10枚や
そこらではない。それこそ数千枚の勢いで、まるで扉を封印するかのように張り巡らされていた。
(やけに古いな・・・いつから貼られてるんだよ。いや・・・これは種類が違う)
その無数のお札のなかで、京太郎はひとつ毛色の違う文面の紙を見つける。
ボロボロの和紙に書かれたソレには「荒神元」とのみ書かれていた。
「あらがみ・・・なんだろうね京ちゃん」
「いや、これは・・・」
続きを言おうとした京太郎は、屋敷の反対側から鋭い悲鳴を聞いた。