【咲 -Saki-】 京太郎×咲スレ 【夫婦】at ANICHARA2
【咲 -Saki-】 京太郎×咲スレ 【夫婦】 - 暇つぶし2ch435:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 04:22:24 avU1sQ+D
>>434
「ちょっとー。はやく来ないと置いてくわよー!」
部長の声が遠くから聞こえる。昨日からひとりはしゃいでいた熱がまだ冷めやらぬようで、
京太郎たち後輩をおいて我先にと目的地へむかっていく。
「部長、やっぱ嬉しいんだな」京太郎がそう言うと「部活らしいことをやるのが目標のひとつだった
みたいですから」と和が応えた。
彼女はなぜか隣を歩く咲と手をつないでいる。複雑な気分になりながらも京太郎はまぶしげに
それを見つめるのだった。
「良かったんですか?」
歩きながらマコに聞く。
「もう古い建物じゃけ、最後に・・・言うてね。近場で合宿っていうのもパッとせんけん、ちょうどええ
じゃろって部長も言っとったわ」
確かに遠い。
京太郎は旅程を思い返しながらそう思った。長野から名古屋まで電車を乗り継ぎ、そのまま
新幹線で西へ、景色をずいぶん様変わりさせながらようやく辿り着いたのがこの島だった。
瀬戸内海に浮かぶ小さな小島。そこは部の先輩でもある染谷まこの遠い親戚が住む地だという。
「タコあるかな」
タコスは先ほどからそれが気になるらしい。
「瀬戸内の幸・・・と言うほど豪勢にはいかんかも知れんけど、さすがに新鮮なもんしか手に入らん
けん、楽しみにしときんさい」
やったじぇー! とブイサインをこちらに向けるタコスを華麗にスルーして、京太郎はマコを見る。
いつになく影のある表情がすこしだけ気になっていたからだ。
「先輩はこちらへはよく来るんですか?」
「いいや、子供の頃ちょっとだけ・・・かな。どうしたん?」
「えと・・・なんか、その、あまり元気がないみたいだったから・・・」
正直な気持ちだった。
「海の香り。懐かしいわ」
そう応えるマコを見ながら、京太郎はわけもなく一抹の不安がよぎるのを感じた。
かすかにウェーブのかかるマコの髪は、遠くに見える海と同じく暗い紺碧色で、しっとりと風をはらんで
いるようだった。



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