09/06/08 00:24:18 pBfyJ6kI
死に体です
351:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/08 21:26:28 mPusxHsz
吉留未春のメモ~5月12日付(部外秘)より抜粋~
部費出納帳について。
雑用のほとんどをキャプテンが引き受けてくださっているのでとくに用事はない。
引継ぎで出納帳だけは1年生にまかせるわけにもいかず、私が担当することになっているが、
どうも腑に落ちない出費がある。
コーチに言うこともできないのでひとまずここに書いておく。
鹿児島枕崎産 花かつお 100g \500×5
東海道蒲原宿 蒲原いわし削りぶし170g \460×5
縞ホッケ干物開き \500×5
さんま丸干し(8尾入) \800×5
以上。4項目。
干物・・・
なんだろう干物・・・
誰が買っているのだろう。キャプテンに聞いてみたがわからないという。部室で悩んでいると
さんまの干物を加えた同級生が入ってきた。なんとなくわかった。
福路美穂子の日記~5月12日付(もう許して)より抜粋~
自宅にてメールチェック。今日も500件。送り主「nodotti」
プロバイダ変えてるwwwwwwwww勘弁してwwww
駄目だコイツ・・・なんとかしないと。というかどうやってこのSNSにもぐりこんだのか不明。
「竹井久ちゃん倶楽部」管理人としては頭が痛い。ようやく作り上げたこのサイトを潰すわけにも
いかず、悩む。
盗撮した感じだとアノひとに間違いなさそうだが詳しい情報は不明。
ここは「nodotti」とやらをうまく使って情報を引き出せないだろうかと思案する。
メールを読むかぎり完全に病気なので会話ができるかどうかは不明。
「宮永さんとちゅっちゅしたいよぉぉぉ」
↑
5通に一回の割合で入ってくるこの一文はなんなの・・・パパ助けて・・・・・・
学校で未春から相談。
部費の使い込みについて。華菜と妹に与えていた煮干のたぐいが露見したらしい。
とりあえず知らないと応えておく。PC苦手ということで任せていたが、それが仇になった。
指導室でコーチとローテーションについて。
この人は約80人の部員全員の指導案を全て作っている。本当に苦労人。
話しているとサンマの干物を加えた華菜がアホ面で入ってきてコーチに激詰めされる。
爆笑しそうになったが顔を伏せて誤魔化した。
352:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/08 22:56:04 OjmAVGZ9
池「いつも部室の掃除をしていたのは誰だか覚えてる?」
深「キャプテンです」
池「合宿で、買出しや料理をしてたのは?」
吉「キャプテンです」
池「みんなのジャージや、パンティーを洗濯してたのは?」
文「キャプテンです」
353:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/09 00:25:43 jNAHUjUN
>>352
それチョンボ!
パンティーの存在しない世界なのでそれはない
354:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/09 03:49:41 rbctI4gC
パンティーは伝説の武器防具として登場します
355:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/09 07:15:09 UD47EVpe
京太郎はふんどしですか?
356:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/09 10:02:44 MxgW3pB1
>>351
新作きたあああああああああ!!!!!
キャプテンものどっちも可愛いよおおおお
357:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/10 12:40:22 4xlvJSxw
URLリンク(up2.viploader.net)
保管的に
358:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/10 13:10:54 qPOcdjo3
おっきくなったな
359:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 01:30:08 ph/udnxm
>>357
脱いでるww
URLリンク(up2.viploader.net)
360:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 02:19:12 ph/udnxm
URLリンク(up2.viploader.net)
361:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 07:28:23 qnMnEaWI
ふぅ…
362:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 08:11:34 9nUE1NbA
スカートの内側のヒラヒラなんなのこれ
363:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 09:01:19 uZ2cXxiI
ペティコートでググれ
364:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 12:17:26 MngrlOmw
夫婦あげ
365:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 12:32:20 Ia5vPXEM
>>363
そういやあ仮眠室でスカート脱いだときなかったなそれ
366:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 13:08:46 XFIApHAr
スカートと一体型なんじゃない?
367:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/11 21:23:41 cMwJQp4S
>>360
これはいいな
368:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/12 03:28:21 2FS3Fp0K
しかし咲と京太郎がくっつくとか思ってるやつほとんどいないだろ・・・
369:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/12 04:13:32 3RUSvmFJ
本スレで糞キモい妄想垂れ流さないでくれる?
370:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/12 11:32:32 InP2tw3j
nodotti降臨w
371:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/12 11:38:48 RsBlu7ww
なんという汎用性の高いスレだ
372:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/12 23:23:20 RQsM4czH
ツヨナールの続きが気になる……
373:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/13 17:11:36 g9iF9L+0
URLリンク(rainbow2.sakuratan.com)
374:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/13 19:21:29 ykcrSYqQ
これは出所はどこ
375:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/13 20:19:19 jzkKL+xt
電撃G'sマガジン6月号(たぶん)
376:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/13 20:47:48 Gx+x2IOX
咲は上向いてるのに、和は自然に視線を動かしてチラ見できる首の位置をキープしている
377:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/13 22:16:34 9W3dOVVv
咲ちゃんは裸足が良かったな
378:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/15 05:43:09 WxwRCsaW
URLリンク(may.2chan.net:81)
379:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/15 05:53:32 JuYvVaYn
台詞より、やりきった感を感じさせる文堂さんの顔に吹く
380:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/15 06:06:29 +REJv+PV
SS職人さんはどこへいったんだろう?
381:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/16 08:40:18 ZA61xgxy
スレタイ無視レスしかない糞スレじゃねぇか
くっだらねぇ
前半のSSもどっかから引っ張ってきた首すげ替えっぽいしな
宮原って2回ミスってる辺り、その予感がする
382:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/16 15:02:55 uS+1LvfE
>>381
できがいいからってそれはないだろ
383:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/16 21:13:31 1TMAg4Yy
>>381
アンチは帰れ
384:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/16 21:57:24 lVmGwpff
アンチっていうかこのスレはスレタイ通りに活用されたことないけどなw
385:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/16 22:07:35 jxpmPXPp
保守してくれるならアンチでも歓迎w
386:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/16 22:19:42 lVmGwpff
そろそろ誰かいい加減に京太郎×咲で語れよw
俺は遠慮するけど
SSでもいいぞ
387:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/17 00:23:34 32NFMxiw
>>351
のどっちは「nocotchi」じゃないのか?w
のどっちって勉強出来そうだしヘボン式使うと思うんだがw
388:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/17 01:47:08 31hn9GdY
>>386
数年後ナチュラルに結婚してて
姉に寝取られそうな予感がするよな
389:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/17 02:00:02 IWljAkik
明るい未来はないのかよ・・
390:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/18 05:42:23 PqRCHM78
URLリンク(uploda.info)
タコス食う?
391:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/18 15:53:39 PqRCHM78
URLリンク(up2.viploader.net)
URLリンク(up2.viploader.net)
作った人ナイス
392:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 01:01:38 imoX1PS/
EDが好きなだけに最後のののどっちのおっぱいは修正して欲しい
393:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 17:01:26 xUGuy6Zu
URLリンク(up2.viploader.net)
394:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 20:09:31 ff+zEmIi
東方を表面しか知らないせいで衣に東方臭を感じてしまうw
そういえば熱烈歓迎わんだーらんど方のED映像はIOSYSが作ったペンギン娘EDと雰囲気似てる気がするしw
395:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 20:10:28 RibAwaxo
党訪中しねよ
396:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 20:36:30 hejEUy36
東方知らないんだよなぁ・・
397:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 20:49:39 VHs1AOK0
てゆうかのどっちの制服はなんでいつもシワがよってるの?
アイロンぐらいかけろよ。
398:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 21:21:39 JPjVyMtf
SSスレだと思ってたのに画像スレになっちゃった
399:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/19 21:40:47 X1HYSnoA
衣のイメージは不思議の国のアリスじゃねーの
400:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 00:28:28 a9JztKcF
SSの続きまだー
401:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 01:35:13 4MBjBj6A
SSって何の略?
402:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 08:15:44 Z2Ayy+iv
>>401
Short Story
つまり短い小説ってことだな。
403:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 09:49:18 AwQq5dyc
Screen Shot
つまり今見てる画像をSSでも良いから保存してうpれって事だな。
404:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 20:32:30 SM4cfjVC
え?ショートスキットだろ?SSは
405:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 23:08:48 gHodgzTQ
(¬ε¬)<ショートストップだったはずだが
406:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/21 23:34:31 iL4jcEmZ
咲スレ的には small s(ry
407:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/22 00:41:52 XPGAVsOZ
>>406
small saki's(ry
408:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/22 07:21:08 zmofdWU7
バナナ×京太郎
409:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 00:06:11 ImiGB9uP
咲SS初めてですまんのぅ。
麻雀詳しくなくてすまんのぅ。
タコス呼ばわりですまんのぅ。
それは京太郎と咲がまだ麻雀部に入部する前の話
「団体戦に出られないってどういうことだじぇ!」
バンと部室の卓をたたきタコスは立ち上がる。
「あら?言ってなかったかしら?
残念ながらウチの部、団体戦に出場するにはまだ部員が足りないのよね~」
「ふがいのぅてすまんのぅ」
そう言って部長とまこは申し訳なさそうに頭を下げる。
そんな二人を見てぐぐぐと唸り声を上げるタコス。
「なら、簡単なことだじぇ!大会までにもう一人集めてくればOKだじぇ」
「あっ…優希」
原村和が呼び止めるよりも早くタコスはばびゅんと部室を飛び出していく。
タコスの目標はただひとつ。
麻雀部部員五人目を見つけ出し入部させることだった。
410:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 00:06:58 ImiGB9uP
「大ミエ切ったものの…どうするじぇ…」
勢いよく部室を飛び出していったタコスは校門で途方に暮れていた。
先ほどから元気良く1時間ほど入部勧誘を行っていたのだがまったくの徒労に終わっている。
清澄は部活動の入部率が高く、この時期にまだ部活の入ってない生徒などごく一部に限られていたのだった。
「うーむ、他に心当たりは…」
「よぉ、優希じゃないか」
呼びかけられタコスは後ろを振り返る。
そこには京太郎が片手を挙げて立っていた。
「どうした。何かしょげこんでる様子だったけど」
「京太郎…」
「ん?」
「女装に興味はないかじぇ!」
「全くないわ!!」
ちっ、女装させて五人目にしたてあげようとしたのに。
爪をかみながらタコスは舌打ちをした。
「そういえば京太郎も帰宅部だったハズだじぇ!
麻雀部に入ってみないかだじぇ!!」
「あー、悪い。俺もう他の部活に入る予定だから」
「え……」
京太郎の言葉に何故か愕然とするタコス。
「いや~囲碁部の部長が滅茶苦茶かわいいいって噂でさ~。
という訳だから麻雀部、だっけ?には入れないんだ。…おい優希どうした?」
「京太郎のバカーーーだぁじぇーーーー!!」
「いっってーーーーー」
京太郎の顔面に拳をつきいれ同時にタコスは校舎のほうに走り去っていく。
「……ったく、なんなんだよ優希のやつ」
京太郎はただただ唖然として殴られた頬をさすりながらタコスの走った方向を見つめていた。
411:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 00:08:03 ImiGB9uP
ぐすっ
タコスは半べそになりながらとぼとぼと校舎裏を歩いていた。
ばかばか、京太郎なんて大キライだじぇ…。
やがて日もそろそろ落ちかけ、いつの間にか辺りは暗くなりかけていた。
「ポン」
(ん…)
声につられタコスはふと顔を上げる。
そこは第二体育用具室だった。よくみるとその建物の中から光が漏れている。
(こんなところに誰か居るのかじぇ?)
タコスがそう思うのもその筈、そこはかなり前から既に使われてないハズの建物だったのだ。
「ロン。トイトイ三色ドラ3、12000 」
ドキリとした。
こんな人気の無いところに麻雀を行う生徒が居たのだ!
自分が麻雀部部員勧誘に尽力していたことを思い出し、タコスの瞳がぱぁあと輝く。
きっとタコス一人で5人目の部員を見つけたら二人の先輩やのどちゃんもきっと大喜びしてくれるだろう。
そしたらきっと5人で全国に行くんだ。
そうすればきっと京太郎だってタコスを見直して……。
「って、何でここで京太郎が出てくるんだじぇ!!」
とタコスは混乱して建物の扉に体をぶつける。
「わっ」
そのままタコスはけつまづき、建物の扉を開けてしまう。
「……アァ、なんだ?テメェは?」
タコスは恐る恐る顔を上げる。
そこには三人で麻雀を打っていた三人組の不良がギロリとタコスを睨み付けていた。
412:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 00:09:01 ImiGB9uP
「はぁん?なるほど。そうか、麻雀部員を探していたのか?」
「だじぇ…」
縮こまりながらタコスはそこに来ていたいた理由をつらつらと話す。
三人組のうちリーダー格の不良はニヤニヤと笑いながらタコスを見下ろしていた。
「はっ、いいぜ。別に部員になってやっても」
「えっ、いや、無理にとは言わないじょ」
「ハァン?勘違いするな、お前の方からお願いしたんだろ?」
「あ……う…じぇ…」
「じゃオレ達と勝負しろよ。お前が勝ったらお前の好きに決めさせてやる」
「わ、わかったじぇ…」
俯きながらタコスはそれを飲むしかできなかった。
そうしてタコスたちはなし崩し的に四人で麻雀を始めることとなった。
東一局
タコス親 配牌
八九九②③Ⅸ白白白發發中中 中
(…手牌よすぎるじぇ)
配牌の時点で既に一向聴しかも大三元を狙えるとは。
(これは即効で勝てるじぇ!!)
タコスは必勝の笑みを浮かべ、手牌からキュウソーをきる。
だが結局、それがタコスの捨てる最後の牌となった。
413:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 00:09:53 ImiGB9uP
「ポン」
次順タコスが牌を引く前に上家の捨て牌を鳴かれる。
(ちっ、飛ばされたじぇ…)
手牌がいいだけに順番を飛ばされることに苛立ちを隠しきれないタコス。
しかし…。
「チー」「ポン」「ポン」「チー」「チー」
その後、最初から数えて6連続鳴かれタコスは悪寒を感じていた。
その間タコスは一度も牌を引けていなかったのだから。
不良どもはそんなタコスを見ながらクククと笑い声を漏らしていた。
「そうだ…。ゲーム開始前にルール説明してなかったよな」
「だじぇ?」
「オレ達の払いは一応、特別ルールでやってる。それで勝敗つけるんでいいよな」
「……。わかったじぇ」
タコスにだって意地があった。
たとえ不利なルールだろうとこの東場で自分は負けない。そうタコスは考えていた。
「クク…そうか。―ツモ!タンヤオのみ」
「!!」
タコスに電流走る。
負けた!自分の得意な東場で…!しかも最初以外一回も牌を引かせてもらえずに!
「…って、何で脱いでるんだじぇ!」
気づくとツモ上がりしたリーダー以外の二人の不良が上着を脱ごうとしているところだった。
「ハァ?何言ってんだ?手前も脱ぐんだよ!」
「え……」
「いったろ支払いが特別ルールだって。だってこれは脱衣麻雀なんだからな」
三人の不良はタコスのほうを見て再びニヤニヤ笑う。
(…はめられた!!)
そう、タコスが気づいたときにはすべてが遅かった。
414:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 00:54:27 dF2qW2pO
新作きたか
415:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 01:51:10 PeMFthbu
新作キタコレ
416:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 07:38:16 NYecllkd
意欲は伝わる
読ませてもらうからオチまで頑張れ
とりあえず明らかな誤字に気を付けるのと
ソーズは普通の数字で表記(マンズ:漢数字、ピンズ:丸付き数字、ソーズ;数字で表記するのが通例)
あと丸付き数字は特殊文字じゃなく (1) みたいにしておくと後でつっこまれずにすむよ
417:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 15:14:06 TV+Sa9R/
まぁ俺は麻雀部分については突っ込まずに読むよ
418:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:09:06 ImiGB9uP
「う…う……」
「どうした。最初のころの威勢はよ?」
開始から一時間弱。
タコスの得意な東場など既にとっくの昔に終わっていた。
気迫は完全に欠け、満身創痍。ただ負け続けることに身を任せるだけである。
今のタコスは上半身ブラのみ。下半身は何もはいてない状態であった。
雀卓に座っている為、下半身は他の三人の見える範囲にはないが、もはや立ち上がることさえ出来ない。
一方の不良たちといえば上着や靴下を脱いでる程度で、もし彼らが飛ぶにはタコスが一人で連勝を続けなければならなかった。
とはいえ、タコスはまだ一度もあがっておらず、ヤキトリ状態だったが。
「しゃんとしてくれよ。まだ最後まで終わってないんだからさ」
「もう、許して欲しいじぇ…」
「ハァ?オイオイ、オレたちはお願いされて勝負をしてるんだろ」
「…………」
もうタコスには訂正する気力も湧かなかった。
「しかし、よくよく考えれば不公平だよな。
オレらは『青春』の大事な時期を賭けて勝負してるっていうのによ…」
そこで不良のリーダーはタコスの上半身を舐めるように見回しニヤリと笑った。
「…賭けろよ。そうすれば対等だろ」
「え……」
「…お前も賭けろよ。春くらい」
「リーダーってそんな趣味があったんですか?」
「うるせぇ」
「…………」
呆然としながらタンとタコスが牌を切る。
「おっと、悪いな。それ、ロンだ」
419:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:10:13 ImiGB9uP
「あ……」
思わずタコスは自分の手牌に目を向ける。
手牌はもうぐちゃぐちゃ、捨て牌にだって統一性がない。
こんな打ち方じゃ、たとえ運よくタコスが振り込まなくても早晩相手方に上がられていただろう。
「ああ……」
涙がじわりと溢れて来る。
いつから自分はこんな諦めのよい女になったのだろう。
自分のしてきたことはただ無為に死を待つのと同じではないか。
悔しい、そしてそれと同じくらい自分が情けない。
「ほら、さっさとブラ脱げよ」
言って不良の手がタコスの胸へと伸びる。
「…イヤァッ!!」
「く!…この女!!」
手を弾かれたことで不良のリーダーは憤慨して立ち上がる。
「押さえつけろ!」
「イヤだじぇーっッ!」
助けて部長。助けてのどちゃん。
助けて、助けて…、
助けて……京太郎!!
パシャ
その時、入り口の扉からカメラのシャッター音がした。
「誰だ!?」
不良のリーダーは驚いて後ろを振り返る。
「おいおい、こりゃ何の冗談だ?」
そこには携帯を片手に持った京太郎が立っていた。
420:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:11:30 ImiGB9uP
「京太郎!!」
京太郎はタコスを見て何か呟いたがその言葉はタコスには聞こえなかった。
「京太郎!助けてだじぇ!!」
「お前…いつから見てたんだ!」
不良のリーダーはくつくつと不機嫌そうな口調で京太郎を威嚇する。
「そんな、ついさっきです。ほんの偶然ですよ」
フッと京太郎は微笑を浮かべ手に持った携帯を挙げる。
「それにしても…意外な趣味があったんですねえ」
ぐうと不良のリーダーの表情は急に厳しくなる。
「……このオレを脅す気か?」
「脅す?そんなつもりはありませんよ。ええ、まったく、これといってね…」
不良のリーダーはじぃとたっぷり10秒は京太郎を睨み付けていただろうか。
「……チッ。いくぞお前ら」
「り、りーだ~!!」
舌打ちをし不良達は京太郎のそばを通って部屋を出て行く。
バン
扉が閉められて十秒後。
虚勢を張って立っていた京太郎はへろへろと脱力して座り込んだ。
「京太郎!京太郎!!」
思わずタコスは京太郎に抱きつく。
「…ん?うわ!!優希!そんな格好で抱きつくな!」
恥ずかしそうに顔に手を当てる京太郎を見てタコスは愛おしく感じるのだった。
421:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:12:18 ImiGB9uP
やがてタコスは脱いでいた服をすべて身に纏う。
「ハァ、お前のせいで囲碁部に入れなくなったじゃないか」
「……?なんでだじぇ?」
「いや、まあこっちの話だ」
「そうだ、京太郎!麻雀部に入るといいじぇ!」
京太郎は眩しそうに目を細めるとふっと息を吐く。
「いや、いい…」
「京太郎…」
わしゃわしゃと京太郎はタコスの頭を撫でてやる。
「…ありがとな。だけど、俺は自分の道は自分で決める」
「でも……」
「だから優希…。お前も自分の信じた道を行くんだ」
「……うん、わかったじぇ」
いつまでも京太郎を頼ってばかりは居られない。
自分の事は自分でけじめをつけろ。
そう京太郎は言いたいのだろう。
「京太郎…」
「ん……」
「…大好きだじぇ」
京太郎にも聞こえない小声でポツリとタコスは呟いた。
422:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:13:13 ImiGB9uP
おまけ:京太郎ルート
「京太郎のバカーーーだぁじぇーーーー!!」
「いっってーーーーー」
放課後、夕方にもう近いころだったろうか。
校門のところで遭遇したタコスは何故か不機嫌で俺にナックルパンチを食らわせると校舎のほうに走り去っていった。
まったく意味が分からん!
一体なんだと言うのか。
もしかしてアノ日か!?
せっかく囲碁部に入って学園生活をエンジョイしようと思っていたのに気分が台無しだ。
くぅーと唸りながらも俺は入部届けを持って囲碁部の部室へ向かうこととした。
さて、俺がこの囲碁部に来るのは初めてではなかった。
一度、仮入部として部室に来ていたことはあったのだ。
だが、その時不運にも囲碁部の部長は休んでおり、顔を拝むことが出来なかったのだ。
さて、結論から言おう。
囲碁部の部長はモロ美人だった。
美人度をタコスを5としたら58万くらいあるだろう。
俺は内心でガッツポーズを繰り返しながら、この部に一生骨埋める事を心に誓った。
「須賀君、ちょっとお願い事を頼まれてくれないかしら」
はい、何ですか?
その部長が俺に声をかけてきた。きっとこんな所から始まる恋もあるよね。
囲碁部の部長が言うには部室に居ない副部長を呼んできてほしいのだという。
副部長?いや、勿論覚えてるよ。仮入部の時に一回顔を合わせただけだが、
少し目つきの鋭いクールビューティなお姉さんだ。
「あの子、碁の腕は確かなのにまともに部に出てくれなくて…」
ハァと囲碁部の部長は溜息をはく。
423:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:14:28 ImiGB9uP
ふふふふん。
なるほど、任せてください。
この京太郎、すぐにその副部長とやらを連れ戻してきますよ。
そうして俺は副部長のよく居る場所を聞くとるんるん気分で部室を出て行った。
『…イヤァッ!!』
『く!…この女!!』
は?その副部長が居るといわれた部屋に来てみて俺はあんぐりと口を空けた。
扉の端から中をのぞくと半裸の少女が三人組のお姉さま方に襲われているところではないか。
いやいや、冷静になれ冷静に……。
今、俺がここでしなくちゃならないことを考えるんだ…。
俺は熟考に熟考を重ね…、
己の男の心に従い、黙って携帯のカメラで光景を保存した。
いや、男だったら誰でもやるよね、こんな状況だもの。
「誰だ!?」
うわ、一人がシャッター音に気づいて振り向いた。
俺はあわてて一瞬視線をはずす。
だが、やがてそんな事をしても無駄だということに気づき、改めて現場を見直した。
「……おいおい、こりゃ何の冗談だ?」
そこでは半泣きのタコスと捜していた張本人である副部長がこちらを奇異の表情で見つめていたのだ。
(って半裸の娘、優希かよ!)
せっかく入手した貴重なその写真の無用さに俺は心の中で叫んだ。
424:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:15:47 ImiGB9uP
「……チッ。いくぞお前ら」
囲碁部の副部長のお姉さんが部屋を出ていくのを確認すると俺はその場に崩れ落ちた。
ハァー!!寿命が十年は縮まったわ!!
しかし、あの副部長がそっち系の人だったとは…。
人は見た目に拠らないものだなと痛感する。
ハッ!まさか部長とデキてたりとかはしないよな。
しかし、あの人去り際に俺の耳元で『覚えてろよ』っていってたよな。
ううう、もう駄目だ。あんな人に目をつけられてはもう囲碁部にはいられないだろう。
ああ、短いシャングリラだった。
途中、タコスが半裸で抱きついてきた。気楽なもんだ。
こいつには羞恥心ってものがないのか?
その後、俺は適当な言葉を吐いてタコスの麻雀部の勧誘を断った。
タコスが後ろで何か言ってるようだったがどうせ恨み言だろう。俺は軽く聞き流した。
悪いな優希。俺はお前みたいな体型は趣味じゃないんだ。
帰宅後、俺はタコスの半裸の写真を一回使用した後、携帯のメモリから削除した。
…それから三日後
原村和、ktkr!!
俺、麻雀部に入部する!
おわり
425:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:38:44 E2/3KOuL
なんだよコレはwwwww
426:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 22:46:47 RVqQetlC
>>418-424
グッジョブ^^b
427:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/23 23:13:11 yo8dbf/u
>一回使用した
( ゚д゚)
428:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/24 04:49:51 LKzQYNCt
なんと言うどんでん返し
429:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/24 09:00:51 VtKZK8Bq
これはヒドイw
だがこれだけオチがきいてれば充分だ
咲のSSが初めてってだけでSS初心者ってわけじゃないのかな
430:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/24 14:24:27 pWTZ0pTI
タコスはそんなにだじぇだじぇ言わない
431:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/24 14:35:37 Xq2lToZg
京太郎移り気すなぁ
432:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/25 04:53:24 58RB4YDj
最後の乗りがキョン太郎って感じだったw
433:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 00:54:59 Arma0gad
過疎ってきたな。
タイトルをタコス×京にすれば
いくらかマシになるんかなぁ。
434:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 01:26:13 avU1sQ+D
「禍は河、伯は白、霊峰に満ちたる氣は八紘九野を渡るべし」
老人の手がカン山に伸びる。白の三枚落とし。それもツモ切りではない。北をカンした
彼の捨て牌は、それだけで異常と言うには十分だった。
「そんな・・・」
和の上ずった声。京太郎は歯軋りして様子をみまもる。
「─即ち理なり。因果の祖たる天帝の配下が一。其は捲簾大将也。而して白は北。五行
において西也―」
パチリ。皺だらけで節くれだった指が牌をめくる。ドラ表示牌は西。これで北ドラ3。
「そんなオカルト」
ありえない。その言葉をついに言えなかった和が、小さく震えているのがわかった。
(なんでこんなことに・・・)
日の光があまり届かない一室。どこからか漂う香のかおりのなかに京太郎たちはいた。
檜で作られたという特別こしらえの麻雀卓を囲むのは、和、咲、部長、そしてこの、枯れた
上に涸れたような老人だった。
異国風の衣装を身にまとったこの老人は先ほどからありえないツモを連発している。既に
最初の半莊で飛ばされたタコスの意識はなく、京太郎のとなりに横たえられていた。
「次でどなたかが居なくなれば、これは三人で打つことになりましょうか─」
老人の声はねばりつくように地を這う。
この勝負に賭けられているのは、点棒でも金銭でもなく、精気そのものだった。
「オカルトというのは、人知では計り知れない事柄のことでしょうか・・・。最近ではよく耳に
しますが─これはそういう類のものではありませんよお嬢さん。貴女の言う、統計そのもの
なのです。かつて砂漠の砂粒の数ほど時間を費やし、同じだけ命を賭して築き上げた歴史
の塊なんです。ですから、そういうものとは違いますな。月の障りは月の満ち欠けに関係が
ありましょう。それと同じこと。五行というのはそういうこと」
暗い。
裸電球では老人の顔が良く見えず、落ち窪んだ眼窩がやけに黒かった。
(なぜこんなことに)
京太郎は、今や過ぎ去った遠い昔のような日々を思い出していた。
435:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 04:22:24 avU1sQ+D
>>434
「ちょっとー。はやく来ないと置いてくわよー!」
部長の声が遠くから聞こえる。昨日からひとりはしゃいでいた熱がまだ冷めやらぬようで、
京太郎たち後輩をおいて我先にと目的地へむかっていく。
「部長、やっぱ嬉しいんだな」京太郎がそう言うと「部活らしいことをやるのが目標のひとつだった
みたいですから」と和が応えた。
彼女はなぜか隣を歩く咲と手をつないでいる。複雑な気分になりながらも京太郎はまぶしげに
それを見つめるのだった。
「良かったんですか?」
歩きながらマコに聞く。
「もう古い建物じゃけ、最後に・・・言うてね。近場で合宿っていうのもパッとせんけん、ちょうどええ
じゃろって部長も言っとったわ」
確かに遠い。
京太郎は旅程を思い返しながらそう思った。長野から名古屋まで電車を乗り継ぎ、そのまま
新幹線で西へ、景色をずいぶん様変わりさせながらようやく辿り着いたのがこの島だった。
瀬戸内海に浮かぶ小さな小島。そこは部の先輩でもある染谷まこの遠い親戚が住む地だという。
「タコあるかな」
タコスは先ほどからそれが気になるらしい。
「瀬戸内の幸・・・と言うほど豪勢にはいかんかも知れんけど、さすがに新鮮なもんしか手に入らん
けん、楽しみにしときんさい」
やったじぇー! とブイサインをこちらに向けるタコスを華麗にスルーして、京太郎はマコを見る。
いつになく影のある表情がすこしだけ気になっていたからだ。
「先輩はこちらへはよく来るんですか?」
「いいや、子供の頃ちょっとだけ・・・かな。どうしたん?」
「えと・・・なんか、その、あまり元気がないみたいだったから・・・」
正直な気持ちだった。
「海の香り。懐かしいわ」
そう応えるマコを見ながら、京太郎はわけもなく一抹の不安がよぎるのを感じた。
かすかにウェーブのかかるマコの髪は、遠くに見える海と同じく暗い紺碧色で、しっとりと風をはらんで
いるようだった。
436:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 04:53:05 avU1sQ+D
>>435
「京ちゃん見て! イーソウ」
と咲が指差した咲には丸に鳥のような模様が掘り込まれた門があった。必要以上に巨大な木の門の、
その扉の両方に掘り込まれているソレは、確かに麻雀牌の模様に似ていた。
「でかい門だなぁ・・・ほんとにイーソウみたいだ」見上げてためいきをついているとマコが「これは家紋。
ちなみに鳥じゃのぅてアゲハ蝶なんよ」と説明を付け加える。
揚羽蝶。
言われて見るとそうも見える。
「あ、羽をたたんでるのか・・・」
「葉っぱにとまってるのね・・・葵かしら。徳川系?」
部長が言った。
「まさか。そんなたいそうなモンとは違うじゃろ。ホラ、中は片付けといてもろうとるけん、入りんさいや」
ぐいぐいと木の門を押し、マコはそのまま入って行ってしまった。
「・・・でっかいなぁ。タコさんの家紋ならあたしも欲しいかも」
「いらねぇよそんなモンよぉ」
文句をたれるタコスの荷物を持ちつつ京太郎もあとに続いた。
「何にしても立派なお屋敷ですね。ご親戚の方はどちらでしょうか」和の問いには部長は「こっちは離れ
らしいから、本宅は奥になるらしいわよ」と言った。
「うぇ! まだ別棟があるんすか!?」
そう考えると恐ろしい広さの屋敷だ。今歩いている庭でさえちょっとした広場くらいはあるだろう。
「マコのご親戚はずっとここに住んでるみたいだから、いわゆる土地持ちなのねきっと。管理するのも
大変そうだわ」
とても一人では管理できないだろう。掃除だけでもひと苦労だ。
「おじゃましまーす・・・うわっ」
ひとまず荷物を置くべく、離れの玄関に入った京太郎は突然の異臭に声をあげた。玄関は広い土間に
なっており、既にそこだけで京太郎の部屋よりも広い。
「どうしたの京ちゃん・・・ん。コレ・・・」
咲も異常を感じたようだ。
日常にない香りに驚きはしたが、それほどキツイ香りではない。どこか懐かしいような、そんな香りだった。
「コレは・・・樟脳ね」部長のつぶやきに「ショウノウ?」とタコスが反応した。この二人ははたから見ると
姉妹のように見えるときがある。妙になついている様子が京太郎には微笑ましかった。
「ええ。タンスなんかに入れる・・・ホラ。着物なんかに虫が付かないようにする防虫剤ね」
そういわれれば着物の香りかもしれない。
「どうして家中・・・なんでしょうか」
和がつぶやく。
「さぁ・・・。防虫、じゃないわよね。匂い消しとか・・・かしら」
一同はそのまま、マコが戻ってくるまでの間無言で立ち尽くすことになる。
屋敷の中はややしめった空気がよどんでいて、あわい光がかすかに差し込んでいた。
437:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 05:45:41 XNoBkdpC
支援
438:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 07:24:20 hTueJ/Uu
瀬戸内の小島ときたら
もう殺人事件しか起きようが無いなw
439:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 14:44:51 I1/qYD4G
横溝正史チックな話になるのかw
440:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 16:25:02 QiQJSncN
冒頭のシーンにいなかったことから考えて第一犠牲者フラグビンビンだな
441:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/26 23:57:09 YTuTqU3s
ツヨナールの作者、まだこのスレ見てたら
勝手に続きでツヨナール京太郎VS龍門渕書いていい?
アニメでの衣の能力バレまで待つと思うけど。
442:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/27 00:30:23 osJKcW5t
>>436
「長野というと、島崎藤村の・・・」
そう言ったのは、まだ奥様と言うには若く見える婦人だった。名前は竹緒さんという。
「ええ、すこし外れますがそうです」
部長はやはり、こういうとき頼もしい。京太郎はそうおもった。マコに通された座敷は京太郎の常識を打ち破る広さで、これは言うまでもなく京太郎以外の者も同様に驚きを隠せていなかった。
コウジモト。
竹緒婦人はみずからをそう紹介した。
「マコちゃんがこうやってまた来てくれるなんてね。想像できんかったわ。染谷の本家はどんな?」
「どんな、言うても変わりはありません。うちはずっとあのまんま。コウジモトのはどんなですか」
そんな、何やら謎の符丁のような会話がくりひろげられた。
それからいくつかの注意事項のようなものを聞き、最後に「また昔みたいになれたらええね」と婦人が言ったとき、マコはなぜか俯いて「ええほんまに」とだけ返した。
「コウジモトってのが名字ですか?」
京太郎の質問にマコは首をふった。
「それは屋号。名字は同じ染谷になるんよ」
「あー。それで先輩のトコが本家で」
とするとマコの実家はもっと豪勢なんだろうか。ガラにもなく興味がわく。
「いや、本来の本家いうのはここなんじゃけどね」
「え?でもさっき先輩に本家がどうとか・・・」
「うちにはね。本家が二つあるんよ・・・一つが長野で、もうひとつがコウジモト」
本家が、二つ。
それはなぜか異様な雰囲気をもった言葉だった。
443:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/27 01:10:21 anVJufA6
>>436
「長野というと、島崎藤村の・・・」
そう言ったのは、まだ奥様と言うには若く見える婦人だった。名前は竹緒さんという。
「ええ、すこし外れますがそうです」
部長はやはり、こういうとき頼もしい。京太郎はそうおもった。マコに通された座敷は京太郎の常識を打ち破る広さで、これは言うまでもなく京太郎以外の者も同様に驚きを隠せていなかった。
コウジモト。
竹緒婦人はみずからをそう紹介した。
「マコちゃんがこうやってまた来てくれるなんてね。想像できんかったわ。染谷の本家はどんな?」
「どんな、言うても変わりはありません。うちはずっとあのまんま。コウジモトのはどんなですか」
そんな、何やら謎の符丁のような会話がくりひろげられた。
それからいくつかの注意事項のようなものを聞き、最後に「また昔みたいになれたらええね」と婦人が言ったとき、マコはなぜか俯いて「ええほんまに」とだけ返した。
「コウジモトってのが名字ですか?」
京太郎の質問にマコは首をふった。
「それは屋号。名字は同じ染谷になるんよ」
「あー。それで先輩のトコが本家で」
とするとマコの実家はもっと豪勢なんだろうか。ガラにもなく興味がわく。
「いや、本来の本家いうのはここなんじゃけどね」
「え?でもさっき先輩に本家がどうとか・・・」
「うちにはね。本家が二つあるんよ・・・一つが長野で、もうひとつがコウジモト」
本家が、二つ。
それはなぜか異様な雰囲気をもった言葉だった。
444:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/27 02:22:45 gRt7xg4b
麹元?
445:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/27 05:54:50 gMY9wBZP
>>441
ツヨナールなついwww
446:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/27 21:30:25 jrdpIUdb
>>443
「タコス投げだじぇー!」
テンション高く叫んだタコスの声と同時に枕がみだれ飛んだ。合宿といえば定番の枕投げだそうで、こういうのは大概運のない者とトロい者にあたると相場がきまっている。つまりは京太郎と咲に命中した。
「ぶふぉ」
「宮永さん大丈夫ですか!? 傷になったら大変です、大至急お風呂に!」
執拗に咲を風呂に誘っている和をみるにつけ、京太郎は複雑な気分になる。
「犬が的にならないから咲ちゃんが痛い目にあうのだ! 情けないじぇ犬!」
「俺のせいかよ! つか犬違うわ!」
「うるさいうるさい! つべこべ言ってると和ちゃんのおっぱいで枕ガトリングするじょ!」タコスの必殺技宣言はすぐさま「できません」という和の一言に否定された。
「え? 原村さんそんなことできるの!?」
「だからできません!」
「いいお湯だったわよー」
貸し切り状態の風呂に行っていた部長とマコが戻ってくる。離れの風呂は構造上、半分露天のようになっていて、それが和をして咲を風呂に行かせようとしている原因だった。なぜかカメラ持参なのは誰もつっこまない。
「はしゃいでる場合じゃないわよ。一応合宿ということで来てるんだから、今日は朝までやるわよ」
部長の声に和が眠そうな声を出す。
「朝までって・・・夜打つんですか?」
「当然。学校の施設なら絶対無理だけどせっかくだからやるわよ徹麻」
「やるって・・・そういえば卓がないですけど」
「それはね・・・」
ビッと部長が指を天に向ける。
「探すのよ!」「探すんですか・・・」思わず情けない声がでた。
「捨ててなければ、どっかにはあるはずじゃけん。みんなで探す予定。なんと手積みじゃ」
マコの声にえーっと言う部員の声が重なった。
447:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/29 01:24:43 Ljv/3bZv
>>446
「探せって言ってもそんな簡単にみつかるもんかね・・・」
京太郎と咲は二人で屋敷内を散策している。日はもう落ちていたので、早めに見つけて
さっさと開始したいところだったが、勝手のわからない屋敷のこと、そうそう上手くはいかない
のだった。
「むこうは部長と染谷先輩だろ? 真ん中はタコスと和。こっちにあればいいけどな」
『巨』の字型の座敷の、上の棒の部分を京太郎たちは探している。下の棒は部長、真ん中の
部屋はタコスたちが担当だった。
「そういえば、こっちの部屋数は原村さんたちが行ったところより一部屋少ないんだよね」
咲が言う。
「え?」
疑問をはさもうとした京太郎だったが、たしかに一部屋少ない段階で廊下は行き止まってしまった。
「いや、咲、見ろよここ。まだ続きがありそうだ」そう言って壁を叩く京太郎。木の板の向うから
ポコンと空洞のような音が返ってくる音を聞いて咲も「ほんとだ」と叩いてみる。
「おいここ、動きそうだ」
京太郎が壁の隅をずらすと、板戸の一部が微かにスライドした。
「そっか。寄木細工みたいになってるんだよ京ちゃん。ここをこうやって・・・きっとこの板一つ一つが
がカンヌキみたいになってるんだね」
咲はそう言いつつみるみるうちに寄木細工を動かしていく。単なる一枚の板壁だと思っていた
ソレは、実は細かな溝が縦横無尽に彫られており、上下にスライドさせることによってパズルの
ように動くのだった。
「ホラ、これで完成」「すごいなお前。トロいと思ってたのに意外な才能だよ」
咲は得意げに京太郎を見返す。
「おい、これ・・・」
完全に動かし終えた壁の板は、最終的にあの家紋の形を形成していた。
「すごいね・・・隠し扉だったんだ」
咲とともに頷いて、京太郎は扉を押し広げた。
「うわっ! なんだこれ!!」
そこにはもう一枚の壁。正確には両開きの扉があるのだが、明らかに異常な装飾を施されていた。
「なんだろうこれ・・・京ちゃん、ちょっと怖いよ」
脅える咲を後ろに下がらせ、京太郎はその扉を観察した。
天地玄気受福寿光無量
無上霊宝神剣大大加治
天元行体神変通力勝
天地玄妙行神変通力
小さな紙に一行ずつ書かれた、まるでお札のような張り紙が無数に貼り付けられている。10枚や
そこらではない。それこそ数千枚の勢いで、まるで扉を封印するかのように張り巡らされていた。
(やけに古いな・・・いつから貼られてるんだよ。いや・・・これは種類が違う)
その無数のお札のなかで、京太郎はひとつ毛色の違う文面の紙を見つける。
ボロボロの和紙に書かれたソレには「荒神元」とのみ書かれていた。
「あらがみ・・・なんだろうね京ちゃん」
「いや、これは・・・」
続きを言おうとした京太郎は、屋敷の反対側から鋭い悲鳴を聞いた。
448:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/29 02:25:50 Ljv/3bZv
>>447
「どうしたんですか!」
部長の元に駆けつけた京太郎はそのままツルツルの廊下をすべって派手に転んだ。
「いててて・・・うわぁぁあ!」
ぶつけた頭をさすりながら見上げると、すぐそばにシワだらけの老婆の顔があった。あまりの出来事に
妖怪と呟きそうになる自分をなんとか抑える。
「ホイトノコが、ぎょうさんで何しに来た」
老婆の声はまるで地獄から這い出たような恐ろしさがある。普段落ち着いた部長も夜中にコレを見た
んじゃ大声もだそうというものだ、と京太郎は納得した。見た目で判断するならば100歳はとうに超えて
いそうな雰囲気を持っていた。
「何なんだよアンタ・・・」ひとこと言ってやろうと立ち上がる京太郎は「お婆さま」というマコの声にぎょ
っとして振り向いた。見ると、今にも泣きそうなマコの姿がそこにあった。それはもう普段の不敵な様子
とはまるで違っていて、京太郎は急速に熱が醒めていくのを感じた。
「ミツクチが。戻ってきても何もできりゃぁせんじゃろうが。はよう往んでしまえ」
そういい残して老婆は去っていった。
「婆ぁの啼く夜は恐ろしいじぇ・・・」
「失礼すぎんだろお前・・・。染谷先輩、ホイトってのは・・・」
「・・・乞食のことじゃ。ミツクチ言うんは畜生のことよ。わしが子供の頃はそう呼ばれとった」
「そんな・・・」
京太郎は次の言葉がでてこなかった。
「いいわ。マコ、今日は寝ましょう」
部長はそう言ってマコに寄り添うように歩き。その日は予定を切り上げてみな床につくことになった。
(コウジモト・・・本家はそう呼ばれている。ここは本家だ。染谷先輩の家も本家だと言っていた)
京太郎は誰もいない部屋のでひとり布団に入り思考をめぐらせていた。
コウジモト。
それはここの本家の屋号だという。
そして先ほど、無数にお札が貼ってあった部屋には『荒神元』とあった。
やはりあれはアラガミではなくコウジンモトと読むのだろうか。咲には黙っていたが、京太郎はそのことに
思い当たっていた。
荒ぶる神の元。
やけに不吉なイメージを想起させる名前だ。おそらくは長い年月のあいだで言葉になまりが生じて
コウジモトと呼ばれるようになったのだろう。
(それにしてもあの婆さんは一体・・・)
人のことを浮浪者のように言ったかと思えば、犬畜生のようにマコを罵った。
あまりの出来事で本人には言及できずにいたが、改めて考えてもとんでもない事のように思える。
(昔なにかあったんだろうか)
それはおいそれとは聞けないだろう。
(いや・・・だとしても何でここに来ようと思ったんだろ)
なにやら見えない糸で絡め取られているような、そんな予感がした。
449:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/29 21:42:33 K5wJ6sbl
>>448
「京ちゃん起きて!」
そう言って咲が京太郎の部屋に入ってきたのは、かなり深夜になってからだった。京太郎は眠い目
を擦りながら「何だ?夜這いか」と場違いなことを言ってみぞおちにキツイ一撃をくらった。
「ててて・・・なんだよ一体」「ひとが死んでるの!」
その一言はあまりに切羽詰った語調で、京太郎の頭から眠気を綺麗サッパリ引き剥がした。
取るものもとりあえず京太郎たちは死体があるという中庭に走る。そこには既に部長、タコス、和の三人
と屋敷の竹緒婦人がいた。
「これは一体・・・」
唖然とする京太郎の目の前には、男の死体が無残にも木に吊るされていた。廊下の明かりに照らされ
わずかに風に揺れる様子は、それがもう既に生命のともし火を持っていないということを如実に物語っていた。
「ひとまず、遺体を降ろしていただけますか・・・今他のものは出払っていて」
京太郎たちは、駆けつけた近所の大人がぶら下がる遺体を降ろすのを、ただ黙って見つめていた。
「誰がこんなことを・・・」
部長が呟く。
「私たちがお風呂に行ったときにはありませんでした。だからこの遺体はそれ以降に吊るされたことになり
ますね・・・下に血溜まりができてることを考えると、他の場所で殺されたということはなさそうです」
「咲・・・」
こんなときによくそんなことが言える。という言葉を、京太郎は我慢した。
「じゃあ、咲ちゃんはあたしたちが寝たあとに誰かがここで殺したって言いたいのか?」
タコスは泣き出しそうな声でそう問うた。
「そうだね優希ちゃん。血液だけあとでまいた可能性もあるから、正確にここが殺害現場と断定することは
できないかもしれないけど、遺体を吊るし上げたのは私たちが寝たあと。竹緒さんは何をされていましたか?」
「私を疑っていらっしゃるんですか・・・」
やや乱れた髪を額口にはりつかせて、竹緒婦人はそう言った。
「私は母と一緒におりましたから、母が証人になると思います」
「ちょ・・・ちょっと待てよ」
慌てて京太郎は間に入る。
「今ここで質問してもどうにもならないだろ。警察を呼ぶのが先なんじゃないのか?」
「駄目なのよ」
今度は部長が間に入った。
「殺された方が私たちを連れてきてくれた船頭さん。この人が定期便で港まで送る役目のひとだったのよ。
昔は沢山いたそうだけど、今はこの人しか船を動かせない」
「電話は!?」「マコが確認してるわ。母屋の電話は使えなかった。近所の人も通じないって言ってるから、
たぶん島の集合線が切られてる可能性がある」
部長の声は鋭い。慌てて京太郎はポケットをまさぐるが、そこに携帯電話はなかった。島に入った時点で電波
が届いていないことを確認済みだったからだ。
「そ、それじゃあ・・・」
「漁業組合の連絡線がくるのが明後日です。それまでは誰もここから出られなくなりました」
竹緒婦人の言葉は、まるで死刑宣告のようにあたりにこだまする。
「ひっ!」
短く悲鳴をあげてタコスが意識を失う。慌てて体をささえた京太郎は今日もっともおぞましい物を見ることになる。
間近で見るその遺体は、肩から上の頭部がまるごと切り取られていた。
450:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/29 22:00:02 K5wJ6sbl
>>449
「まずいことになったわね・・・」
部員全員で部屋にあつまり、眠ることもできずポツポツと情報を整理している。
マコが確認したところ、島の入り口にある電柱がチェーンソーのようなもので切断され、電話の集合線が断たれて
いたそうだ。そのほか、モーターボートをはじめ港の装備はすべて放流されていた。
これで島の住人は外部からの通信手段をすべて失ったことになる。
「形だけでもアリバイが無いというのが俺だけですか・・・」
就寝時ひとりで過ごしていた京太郎には、いわゆるアリバイというものがなかった。
「まさか俺を疑ったりしませんよね?」
「しないわよ。そのかわり今日から寝るときはロープで手足を縛るから」「疑ってんじゃないですか!」
「そんなことよりも部長」
タコスに付き添っていた咲が戻ってくるなり口を開いた。
「なんであんな死体なんでしょうか・・・」
「何でって・・・なんでかしら」部長はアゴの下に指をあて、うーんと考えていたが、やがて「首なし死体のセオリーかな」
ともらした。
「セオリーって・・・そんなモンがあるんすかね」
京太郎は疑問を挟む。こういうときに女というのは肝がすわっていると感心することしきりだった。
「まずは死体の入れ替わり。頭が無いってことは顔がわからないわけだから・・・つまり殺されているのは船頭さん
じゃなくて別の人かもしれない」
「それは無さそうです。竹緒さんが確認していましたし」
咲の受け答えは堂々たるものだった。
「単純に狂ってるからじゃないすかね・・・」
もう既に京太郎は常識では考えられないと思っていた。
「それは早計だわ。殺すだけなら頭を切り取る必要が無いもの。重労働よアレは。入れ替わりじゃないとすると、
単純に邪魔だから。持ち運びに不便な頭部を切り落とした。頭部が邪魔で・・・いやそれはないわね。咲はどう
思うの?」
私は・・・と、言葉を一瞬飲んで咲は語り始める。
「必要だったから・・・ではないかと思っています」
「宮永・・・さん?」
突然なにを言い出すのかと和がつぶやく。
「原村さん聞いて。人間の体を切るなんて普通はできないよ。ノコギリだってそう簡単には切れないもの。だから
犯人は、部長もさっき言ったとおり、かなりの重労働をして切り取ったってことになる。それはやっぱり、そうしなけれ
ばならなかったんだと思うんだ。狭いスペースでもないから死体を切り取って細かくするなら手足も切ると思う。
じゃあ、なんで頭だけ切り取ったかって考えると・・・」
頭が何かに必要だったから、じゃないかな。
咲は短くそう呟いた。
「誰が!? 何のために? 咲、お前ちょっとおかしいぞっ、いま俺たちでそんなこと話し合っても埒があかない!」
「京ちゃんおちついて」「落ち着いてられるか! 黙ってたって明後日には警察がくるんだぞ!?」
「だってそれまでに誰か死んだらどうするんだよ京ちゃん!」
「あ・・・」
「そう。私たちは考えなくてはならないわ。だってこの島から脱出法がないんだもの。それは同時に」
犯人もまだ居る可能性がある、ということよ。
部長の声を京太郎は遠くで聞いていた。
451:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/29 23:10:46 K5wJ6sbl
>>450
「九字・・・これは、ヒフミショウモン・・・咲、あなたの言っていたことは案外あたっているかもしれないわ」
部長が綺麗なひたいにシワを寄せて呟いた。
「当って・・・ほしくないものです。京ちゃん。コレ、随分古いよね」
咲は淡々としている。糊付けしてあるお札はすべて、かなり年代モノのようだった。
午前中から昨日の件について話をしているうち、咲といっしょに見つけた隠し扉の件に思い当たったのだ。
部長が興味を示したので案内したところ、壁に貼り付けてある一枚の紙に注目していた。
「ヒフミ・・・なんですかそれ」
「呪文ね。ここに書いてあるのは全部呪文だわ。九字っていう、一般に九文字十文字の、簡単に言うと悪霊
を封じ込めるためのものね」
「悪霊って・・・」
京太郎は絶句する。たしかに禍々しいなにかを感じるたたずまいだ。
「一二三四五六七八九・・・これ確かに九文字ですけど、だたの数字ですよ? 何かに効くんですかね」
「数字は魔術の基本だわよ」
笑って部長は手を振った。その意味するところは京太郎にはわからない。
「そうだ。部長、コレ見てください」
京太郎はお札の中の一枚、先日見つけた「荒神元」というものを指し示した。
「コウジン・・・これって『コウジモト』ってことかしらね」
「で、それが一体なんになるんです?」
イマイチはっきりしない。京太郎と咲は首をひねっていた。
「え? 何って・・・そっかそういうことか・・・だんだん読めてきたわ」
突然部長は何かを思いついたようにひとりごちた。
「宮永さん! 大変ですっ」
京太郎がさらに質問しようとすると、こんどは廊下のむこうから和の叫び声が聞こえた。
「和、どうしたの? そんなに走って」
息をきらせて走りよる和を見て、今度は部長が首をひねる。確かにいつもの和はそこまで騒がしく動くことはない。
「それが・・・・・また死体が・・」
「なんだって!」
おもわず京太郎は大声をだす。昨日の今日でまた殺人・・・。不吉にも程があるとは思いはしたが、昨日殺された
とすれば京太郎のアリバイは成立していることになる。昨夜部長は本気で京太郎の手足を縛って同室で寝た
からだ。もっとも、命の心配というよりも女だらけの部屋で男が寝るのは困る、ということらしい。
「あの・・・お婆さんが」
和の言葉をそこまで聴くと咲はまっさきに走って行ってしまった。
「あいつ・・・やけに元気だな」
正直な感想だった。
「宮永さん。心配です」
和も、いつもと違う咲の様子に戸惑っているようだ。
「心配ないじぇ。咲ちゃんは巷で有名な麻雀探偵なのだ。彼女の行く先々では毎夜毎晩不幸な事件が続くと
言う・・・咲ちゃん、恐ろしい子・・・」
「嘘つけ初めて聞いたわっ。あいつを拘束したほうがいいんじゃないか・・・」
拘束、という言葉でなぜか和が頬を赤らめたのを京太郎は見逃さなかった。
「私たちも行きましょう。また・・・同じような死体なのかしら」
部長の心配は見事に的中することとなる。
京太郎たちが見た老婆の死体は、こんどは肩まで地中に埋められて首を切り落とされていた。
452:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 00:36:49 d99LPmBz
どこに向かうんだよ……
453:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 00:51:13 o2XMTZKI
前の部長殺人事件の続篇だよな
のどっちは相変わらず変態だ
454:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 02:07:52 AWxVbxVo
やっぱり横溝ワールド キタ━━(゚∀゚)━━ w
ただ一番事情を知ってるはずのまこがその場にいない&情報提供しないことへのフォローが無いのが違和感かな
咲ちゃんが常になくアクティブなのは主人公補正として見てます
キャラが多いと動かすだけで大変だろうけど
続きを楽しみにしてますよ
455:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 16:06:56 CvNjlkAV
公認カップル
456:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 17:15:48 SCi8WHgK
>>451
「染谷先輩」
月明かりの下、京太郎は広い屋敷の廊下をあるくマコを見つける。そこは中庭に続く渡り廊下で、
太鼓橋のようにややループがかかった細い橋の上だった。
「京太郎か。みんなはどうしたん?」
「風呂です。先輩は、何か知っているんじゃないですか?」
それは誰もが言い出せず、同時に誰もが避けていた話題だった。つねに事件の中心にいるはず
の彼女は、しかし殺害現場にはあまり近寄らずに話題として上ることも避けている。
「わしは─知っとるんじゃろうな。まだ確信はないけど・・・こんなことになるなら来るんじゃなかった」
「そんな。僕らは別に」
気にしていないというのは嘘だった。
「ここの家には本家が二つある。長野の染谷がひとつ、それからコウジモトの染谷がひとつ。両方
とも本家じゃけど、コウジモトは違うんよ。コウジモトにはな―」
─神様が、おるんよ。
マコの表情は陰になってうまく伺えない。京太郎はそこに得体の知れない人物がいるかのような
幻想を見た。それはいままで知っている学校の先輩とはまるで別人だった。
「神様って・・・」
「荒神、言うのは酷う恐ろしい神様のこと。祀る人間がおらんと荒れて、怒りんさる。コウジモトの本家は
その神様を祀る巫女の家なんよ」
「巫女―ですか」
「そう。私も子供のころの一時期はここに預けられてサイイン、言うお役目になったんよ。親元を離れる
わけじゃけん、辛かったけどコウジモトの本家の姉さんに可愛がってもろうて、今から思えば楽しかった。
当時は麻雀も内地から人がわざわざやりにくるほど人気で、サイインはその相手をするのが役目じゃった
んよ。子供の頃のわたしは─」
なんも知らんかった。
マコの声は小さく、細く、過ぎ去った時間の長さをたどるように辺りに流れた。
「お姉さんがいたんですか?」
「ここの娘さんがおってね。私と同じ年。今はおらんけど、みんなでよう遊んだわ。わらべ歌なんか歌って、
あんなことがあるまではずっとこうしていられると思っとった」
「あんなこと?」「京太郎!」
ぐい、とマコは京太郎に近づき、顔をよせて小さく耳打ちした。
「あんたらは逃げんさい。ボートが隠してあるけん。それで─」
「な、何言ってるんすか!? できるわけないじゃないですか!」
「じゃけど、ここにおったら駄目よ!」
「逃げません!」
「京太郎!」
「逃げないで、一緒に帰りましょう・・・俺たちはまだやらなきゃいけないことがあるでしょう」
風が吹いた。
潮のかおりを少しはらんだ香りがだたよう。
中庭の木々がさらさらと音をたて、月明かりのなかで二人は無言で見詰め合っていた。
「わしにだってやることがある。みんなには見て欲しゅうないんよ。あんた─」
死んでしまうよ。
マコはそう言って廊下をあとにした。
457:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 18:55:32 SCi8WHgK
>>456
「オチウドってなんだ? のどちゃん」
タコスが間の抜けた声を出す。
「落人です。源氏と平家って、学校で習いましたよね?」
和が言う。たしか古典の時間かなにかで習った記憶がある。
「源平合戦・・・だっけか?」京太郎の言葉に「はい」と和は頷いた。
「それがどう関係するんだ?」
「私が思い出したのは平家物語です。それで調べてみたんですけど、いくつか気になるところがあって、
ここは瀬戸内だから・・・」
「壇ノ浦ね」部長があとに続けてそう言った。
「そうです」
「壇ノ浦・・・」
咲とタコスの頭の上に『?』マークが点滅している。この部分は京太郎もすこし知識があったので解説した。
「大昔の合戦の名前だな。壇ノ浦の合戦。源氏と平家が争って、最終的に・・・山口県だっけか? 壇ノ浦
まで勝負がもつれこんだ。平氏最後の戦の場だった・・・はずだ。それがどうしたんだ?」
「ええ。その戦いのあと、敗戦した平氏は各地に散り散りになって、瀬戸内を転々んとしたという逸話がある
んです。だから四国や山口広島あたりは平氏の落人と呼ばれるひとたちが作った村が点在する」
「和は、その集落のひとつがここじゃないかと言いたいわけね。根拠は?」
部長は楽しそうにしている。
「家紋です」
「イーソウ?」
咲が言う。
「ええ。あれは蝶だと言っていましたよね。平氏の家紋には蝶が意匠されているものがあると聞きます」
「その話はわしも聞いたことがあるわ。この島には落人の墓みたいなのもあるらしい」
黙って聞いていたマコがそう付け加えた。
「そっか・・・本家が二つってのは、そういうことなのかしら。平家物語ではその後の平氏の細かい部分までは
描写されていないわ。幼い安徳天皇を抱えた乳母は負け戦が決定した船の上で入水自殺を図った。
我が身は女なりともかたきの手にはかかるまじ極楽浄土とて、めでたき処に具し参らせさぶろうぞ─か」
部長が一節をそのまま暗唱した。
「うーん。じゃあ染谷先輩のおうちはかなり由緒正しいのかもしれませんね」
咲が言う。
「いいや、うちの家は長野の染谷じゃけん、こことは違うはずよ。本家は本家。うちはうち」
そういうものだろうか、と京太郎は思った。しかしマコの家もそう言う意味では本家のはずだ。たしかに
部長の言う本家が二つというのもうなづけるかもしれない。
「さすがのどちゃんだじぇ! タコ食うか」
岸壁でタコスが拾った(!)タコを調理した足を受け取って、京太郎は口にほうりこんだ。
マコが母屋の手伝いに向かったので京太郎は、先ほど聞いたマコの家のことを全員に話した。
逃げろといわれたことはふせて。
「サイイン? 加茂の齋院のことかしら・・・え?」
ガバリと立ち上がった部長は口に手をあて、しばらくうろうろと歩き回ったあと「そういうことか」と
呟いた。
「な、なんすか?」
「いや、待てよ。それでも動機が見つからないわ。とすると動機はまた別のところにある。だから
ひふみ唱文か。流れ流れて結びついたと考える・・・それで? 京太郎くん! マコは子供の頃
ここで麻雀をしたって言ったのよね!?」
「はい、言ってましたけど・・・」
「麻雀。麻雀・・・それって麻雀だったのかしら・・・いや、それよりも・・・」
ドカドカと部長はそのまま歩いて部屋を出て行ってしまった。部員も全員であとに続く。行き着いた先
はあの、咲が発見した隠し扉だった。
「またここですか・・・私ここはなんだか嫌な気分になります」
和が言う。部長はそれにかまわずに独り言をぶつぶつと呟いていた。
「悪霊を祓う。とんでもない。加茂の齋院なら話がまったく違うことになる。ならば─」
─ここには、一体なにが居るのよ。
恐ろしいものでも見るように、部長はそう呟いた。
458:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 19:31:20 vggwr0bE
この二人が仲良くなった過程が気になる、幼馴染ではなく中学で知り合ったんだよね?
正直あの咲の性格で中学で知り合った男にちゃん呼びとか信じられない。
459:名無しさん@お腹いっぱい。
09/06/30 23:03:25 Kb2sXfD6
>>457
「なんの御用でしょう・・・」
竹緒婦人が京太郎たちの部屋をおとずれたとき、既に日付は変わっていた。夜半より降りはじめた雨は、
瓦屋根を激しく叩いて徐々に強くなっていった。
「明日警察が来る前にはっきりさせておきたかったのでご足労願いました」
咲が立ち上がって婦人を招き入れる。
「込み入った話になるので染谷先輩とタコスは席をはずしてもらっています。最初に質問させていただき
たいのは、最初に殺人が起こったとき、竹緒さんはなにをやっていたかということです」
「ですから、私は母とおりましたと─」
「そうです。貴女はそうおっしゃった。当時、ここにいる京ちゃんは一人寂しく寝ていたのでちょうど
アリバイがありませんでした。しかし遺体を調べていて妙なことに気が付いたんです」
「妙な─こと」
まず最初に死後硬直についてお話しましょう。と咲は言った。
風が障子を叩き、うすぐらい部屋の中でオレンジ色の灯りだけがちいさく明滅している。
京太郎はその異常な空間のなかでこれから何がおこるのか、固唾をのんで見守っていた。
「死後硬直、という言葉があります。読んで字の如く、死後人体が硬直していくという現象のことです。
これは死後、人体への酸素供給が停止して代謝が阻害されるからで、そのままにしておくと筋肉中の
たんぱく質が強固に結合することになりますが─」
そこまでで一度くぎり、咲はぐるりとあたりを見回した。
バチリ。 雷鳴とともに部屋の明かりが消えた。
「停電・・・」
和がつぶやく。しゅっという、小さな音とともに蝋燭に火が入れられた。咲はそれを持ってゆっくりと歩く。
ちいさな灯りが皆の影をゆらし、車座ですわる一同の顔を照らした。
「─筋肉に乳酸がたまるのがだいたい2時間ほど。ここで死後硬直は完成します。その後数時間を
かけてゆっくりと硬直は弱まり─」
「待ってください」
竹緒婦人が声をあげた。
「それが・・・そのことが私と何の関係があるのでしょう」
「話はまだ続きます。硬直は一日から二日で解けはじめ─これを解硬といいますが、三日ほどで完全
に死後硬直は無効化します。ここで今回の件にあてはめると、妙なことになります」
「な、なんだよ・・・」
京太郎はのどが激しく乾くのを感じた。
「二人目の犠牲者である大奥様が亡くなったときの遺体です」
遺体。
土に埋まって首が無かった。
「あれを掘り出すときにどのくらいかかったでしょう。深くまで埋まっていたので、1時間ではきかなかった。
そうすると死後どのくらい絶っていたかを考えれば、十分に死後硬直がはじまっていい時間でした。
ところが、掘り出された遺体は硬直がなかった」
「なかった、のか」京太郎のひとりごとに「ええ。宮永さんと調べました」と和が応えた。
「完全に解けていたんだよ京ちゃん。そうするとおかしなことになる」
「なにが─でしょう」
竹緒婦人が言う。
「ご存知のはずです。死後硬直が3日で解けるのならば、大奥様が殺されたのは最初の犠牲者よりも
前の段階だという事になる。貴女は最初の事件のとき、私たちになんと言いましたか」
─私は、母とおりましたから。
「そうだ! そう言って─おい、それじゃあ」
「そうだよ京ちゃん。この人がそう言ったとき、すでに大奥様は殺されていたことになる。竹緒さん、
貴女はなぜそんな嘘をついたんですか?」
皆の視線が一同に夫人に集まる。
部屋の隅にすわったその人は、頭をふかく垂れて顔色をうかがうことは出来なかった。ただオレンジ
色のあかりに照らされてそこに座っていた。
「それは─私が殺したからです」
雨音が急に強くなった。
460:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 00:21:27 NGipqzy/
>>459
「やはり、貴女だったんですね・・・」
咲の言葉は妙に落ち着いていた。そればかりではない、部員全員がさほど慌てることなく
事態を飲み込んでいるようだった。
「あなたがたに危害を加えるつもりはなかったのです」
「わかります。京ちゃんにアリバイがなかったのはたまたまで、すぐに警察が来るのにおかしな
工作をする必要もなかった。この程度なら検死がはじまったらすぐに露見する事実でしょう。わからない
のは、なぜ今こんなことをしたのか、なぜ首を切り落としたのか、ということです。上手くやろうと思えば
いくらでもできたはず。どうしてこんなことを・・・」
それもそうだ、と京太郎は思う。ただ住民を殺すだけならば別に今出なくても良い。こんなわかりやすい
形にする必要もなく、あえて猟奇的な方法をとる必要もなかった。それは犯人を報せるようなものだ。
「それは─」
「咲。それは必要だったからよ。貴女が言うとおりだった」
「え─」
咲が意外そうに部長を見た。
「なにが、必要だったんですか。部長は、何を知ってるんです」
「こんな小さな島で大金持ちになるなんて難しいのよ。それはやっぱり最初に大きな財力がないと。
和が言うとおり、この家は元々平氏の残党なんですね? しかしその財力をいつまでも保持することは
できなかった。コウジモトの本家はそれをいつまでも栄えるように増やさねばならなかった」
「貴女は─」
竹緒婦人が部長を見上げる。
「だいたいのことは知っています。 この島の住人は、ずっとこういうことを続けていたんですね?」
「ずっとって・・・何をだじょ・・・」
話が飲み込めないタコスが口をはさむ。京太郎も同じ気持ちだった。
「死体の首を切り落とすことよ」
「そんな!」
和が息をのむ。
「部長! そりゃいくらなんでも・・・」
「いいえ京太郎君。そうじゃないと説明が付かないわ。第一、こんな事件が起こってるのに誰も騒いで
ないじゃない。それってどういうこと? ”たまにはこういうこともあった” この島のひとたちにとっては、
そういうことなんじゃないかしら」
「で、でも、いくらなんでもソレは・・・」
咲も納得できないようだった。部長の主張はあまりにも常軌を逸している。
「ひふみよいむなやこともちろらねしきるゆゐつわぬそをたはくめかうおえにさりへてのますあせゑほれけ」
突然部長は何事かつぶやいた。
「ひっ」
それを聞いて竹緒夫人は小さく悲鳴をあげる。
「これはひふみ唱文と言います。別名を物部真言とも」
「私は! 私はそんなもの─」「知っているはずよ。あの壁に書いてあったのはまぎれもなくこの文句です」
部長の声は硬い。
「これは古くは死体を生き返らせるためにも使われた呪文。陰陽道の古道にのっとって悪霊払いにも使われ
るようになりました。しかしもう一つ、ある儀式にも使われる真言ですね? あなたはそれを知っているはずだ」
京太郎が見ると、夫人はガタガタと震えている。
「それは、それは─」
「イザナギ流ですね」
「貴女は─」
「私はあなた方を責めるつもりはありません。こういうことはままあることですから。私は─」
─この子達の先輩です。
部長はそう言った。
461:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 00:51:35 NGipqzy/
>>460
「イザナギ流というのは、四国に今も残る陰陽道の一形態です。独自の進化をとげたのか、はたまた
伝わった年代が古いのか、それはわかりませんが、その源流はひょっとしたらこの小さな島ではなかった
だろうか。私はそう考えます」
「部長。そ、それは、そのなんとか流は、首を切るんですか・・・」
京太郎はやっとそれだけを言った。
「陰陽道は、さかのぼると中国大陸に行き着くわ。そこで開発されたある種の科学よ。自然の理を如何に
して人間に有益な方法で使役するか。そもそもはその程度のものだった。しかしやがて呪法が開発される
にしたがって、有益という言葉を取り違えた使用法も開発されてしまった」
それは。
京太郎は背筋が寒くなるのを感じた。
「蠱毒と言います。動物を一箇所に集めて飢え死に、ないしは殺しあわせて、その魂を利用して使用する
呪い。これは憎い相手に使役することによってとり殺すことができる」
「いや、部長、それと今度の話とどんな関係が─」
和がタコスを抱きしめながら言う。
彼女は震えるタコスをまるでかばうかのように毅然としていた。
「蠱毒というのは、いわば巨大な力を作る方法なのよ。それは使役することで人を殺すこともできるし、
家で飼うことで財を蓄えることもできる。しかし養うには人間を餌として与えなければならない」
「そんな・・・」
思わず息が漏れた。
「そうやってコウジモトの本家は財を蓄えていた・・・違いますか?」
「うちの家では、お稲荷さんと呼ばれています」
夫人が力なく言う。
「稲荷・・・狐か。それもあるでしょう」
「でもそんな、動物でことがすむなら誰も死ぬことなんてないじゃないですか」
咲が異論をとなえる。
「そうね。その前に陰陽道の話に戻りましょう。大陸で発生したこの体系は、日本に伝わり、やがて陰陽道
という学問に進化しました。その進化はこの瀬戸内の島でもうひとつの進化をとげます。いま伝わっている
いざなぎ流では、その蠱毒を利用したもう一つの呪法が完成した─」
そこで部長はぐるりとあたりを見回した。
「これは動物を使って一つの神とも呼べる強大な力を生み出す呪法です。今伝えられている呼称では、
これを『犬神』と呼ぶ」
犬神。
その言葉はこの場にいかにも相応しく、禍々しい香を発していた。
「その神を作り出していたのが、このコウジモトの本家ですね?」
「そんな・・・じゃあ染谷先輩は」
「咲、これはマコも関係している話よ。でも日本にはいくつもこんな話はあるわ。生きていくためにはソレが
必要だった時代もあるの。今だって悪いことはいくらでもあるわ。動物を殺したって、どうしたって自分の
赤ん坊を生かしたいと思うのは、人間なら誰だってそうでしょう?」
「それは・・・」
「ここの島の人たちはそれを納得していたのよ。だから騒がない。皆が生きるためにはすこしの犠牲は、
どうしても必要だった。コウジモトでは、動物や虫のかわりに、人間を使って蠱毒を行っていたんですね?」
「なんだって!」
京太郎は立ち上がる。それはどうしても許せないことだった。
「人間を、他人を殺して生きてきたのかよ! この─」
バケモノ、と罵ろうとした。
しかし、目の前で小さくうつむいている夫人の影を見て、京太郎は黙ってしまう。誰だってそうだろうか。
自分も生きるためにはそうするしかないならば、皆が納得しているならば、そうやってしまうだろうか。自ら
煩悶しながら言葉を捜した。
「犬神という呪法はね、飢えた犬を土中に埋めて首を切り落とすことで完成するのよ」
462:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 01:45:17 NGipqzy/
>>461
「コウジモトは代々、分家の子を生贄に荒神さまをお祀りしてきました。小さな集落で富を作りあって、
共同体として生きてきたんです。それで誰もが納得していました。でも長くは続かなかった。悪いときに
麻雀ブームがはじまって、この島に人が流れてくるようになったから・・・」
─この島は、監獄だったんですよ。
「内地で借金をして首が回らなくなったひとがここで麻雀をしていくような、そういう場所でした。本家
ではそれを蠱術にとりいえる方法を考えてしまった」
「そうか。麻雀は四人で打つゲームだから・・・勝ち残った人間をそのまま蠱術に。それで─」
「逆です。元々本家には神さまがおりましたから、それを利用して神の巫女たる女子が麻雀をして、
他の相手を全員殺していったんです」
「その巫女がマコだった」
「はい」
部長と夫人の会話は、あまりにも起伏がなく、京太郎たちも黙って聞き入っていた。
「あの子は内地の本家の子でしたから、何も知りませんでした。ですから自分が負かしたひとが、その
後で殺されているなんて知らなかったんです。でも勝ち続けた巫女は最終的に神の嫁としてお仕えしな
ければならない。そこで仲が良かった娘がマコちゃんの身代わりに取り込まれてしまった」
「そこでマコは知ってしまった・・・のね」
「そうです。だからあの子はもうこんなことをさせまいとしたのでしょう。ここに戻ってきたとき、真っ先に
麻雀牌を探して、島の石碑を壊してまわっていました。あの子はそのときの罪を償おうとして」
「竹緒さん、もうやめませんか。そんなことをしなくても今は生きていける。マコはそう言いたかったんじゃ
ないですか? あの子は─」
「いいえ! 私たちはもう逃げられません。どうして生き方を変えられましょう。それでは、私の母は、
その親は、私たちがしてきたことは何だったんですか・・・」
「だからって! そんな理由で貴女は呪法をいちはやく完成させようとしたのですか?」
「マコちゃんが何かをしているのはすぐにわかりました。でも、もうあの子に関わらせたくはありませんでした。
あの子は外の世界で生きてきた子。もうこの呪われた島に帰ってくることなんてなかった・・・」
ガタリ! と、突然咲が立ち上がる。
「京ちゃん大変!」
「どうした!?」そのまま咲はタコスを指差して「タコスがいるのに染谷先輩がいない!」
それを聞いてタコスが言う。
「先輩なら散歩に行くって・・・」
「京太郎! 走れ!」部長が叫ぶ「マコは開かずの間よ!」
「染谷先輩! 何やってんだよ!」
お札の扉の前に立ち尽くすマコを見て京太郎は叫んだ。あとから咲や部長たちがかけつける。
「あんた・・・こんなところまで来て何を言うつもり。逃げんさい言うたじゃろうが」
マコの声は硬く、京太郎を拒絶していた。
「天元行体神変通力勝、天地玄妙行神変通力、それは犬神を封じ込めるためのものよ。マコ、
バカなことはやめて!」
部長が怒鳴る。そのとき、わずかに空気がざわめいたかとおもうと、辺りに小さな声が響いた。
永久の旅路よ 襲ヶ淵よ めんない千鳥の いてござる
遠き浮世の 夜叉の河原よ お手手を重ねて寝んころり
それはわらべ歌だった。
確かに、隠し扉の向うから聞こえてくる。それは小さな女の子の歌声だった。
「あぁ─あああああああ!」
竹緒夫人が塞ぎこんでとつぜん絶叫する。
「マコ!」
「いやじゃ! この中に! 私が救い出すって決めたんよ!」
「よせ!」
部長が怒鳴る。
「何年前の話よ! マコ!! 聞きなさい!! あなたが高校生ならその子だって同じなのよ!?
食べるものもなしでどうやって生きていくのよ!! そんなことができたら─」
─そんなのはもう人間じゃないわ!!
部長はマコを止めるべく走りよるが、それは隠し扉が開くのとほぼ同時だった。
463:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 02:26:45 mQPlLVGa
緊迫した状況なのにタコス扱いw
464:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 04:35:18 ly8mHAJj
横溝が陰陽師になったか
妖怪相手(だよね?)にどうオチをつけるかwktk
465:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 11:32:22 uKRy1Vpo
惜しむらくはなぜこのスレなのかという……
466:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/01 16:41:02 2L8A8f/j
横溝と言うか京極ね
467:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 00:08:21 uKRy1Vpo
>>462
ギイ―
扉がゆっくりと開き、その向こう側の暗い世界を京太郎たちに見せた。
「マコ・・・」
「来んでください」
近寄ろうとする部長をマコは静かに制した。
「そんなお願いは聞けないわ」「部長!」
部長は京太郎たちを背後に控えさせて悠然と歩をすすめた。
「齋院とは神に仕える巫女のこと。神迎えの機織り、巫女たる齋王は二年の潔斎ののち
神に奉仕する。史実と同じく齋王が未婚の女子と定められ、この開かずの間で潔斎を強要
されていたならば、使えているものは神に他ならない─マコ、その向うにはどのような形で
あれ神と呼ばれるものが居るのよ」
「知っています。だからこそ、見られたくはなかった」
「マコ!」
「私はこれから蠱術の儀式に入りますけん、どうか戻ってください」
その蠱術とは、自らを生贄にする。
「できないわ」
「部長─」
聞き分けのない子を諭すようにマコは言う。
「ここぞという時に引いてきた牌は手放さない。あなたも知ってるでしょ。私は悪待ちの女なの」
「それとこれとは・・・」
「変わらないわ。何も変わらない。あなた、ひょっとして忘れているかもしれないけれど」
─麻雀はひとりではできないのよ。
マコが振り返ると、部長の背後にはすでに見知った後輩たちがいた。
「やることはいつもと変わらないじょ」
「染谷先輩。神様とだって、卓を囲めば同じです」
「そんなオカルトありえませんよ」
呆れた口調の和の声を聞いて、マコは不意に吹きだしそうになる。それはいつもと変わらない、
遠く過ぎ去った過去の記憶だと思っていたものだった。
しかし今は違う。
麻雀は賭け事ではない。
まして命など賭ける必要はない。
そんなことのために来たのではないと自分に言い聞かせた。
「駄目じゃ。巻き込むつもりはないけん」
「それでも、先輩は行こうとしてるんですよね」
京太郎が言う。
「負けるつもりなんですか?」
「勝って財産といっしょに海に沈める。それ以外に方法はないけん」
「入られよ」
そのとき、奥から声が響いた。
それは、マコの良く知った少女の声だった。
468:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 02:47:06 RSD/qOLT
>>467
「返してもらう!」
マコはそう言って奥に進んでいく。その奥にいる少女は、マコが幼いころの記憶と寸分たがわずそこに
存在していた。本来ならそこにいるべきはマコ自身。身代わりとなって十数年そこに幽閉されていた、
齋王そのひとだった。
精進潔斎のための白い着物。黒い髪。あの頃のままずっとそこに立っていた。
「待ちなさい! その子はもう─」
バチリ。
空間が歪み、暗がりに立つ少女の肖像がひび割れる。
「な─」
絶句するマコの目の前で少女の白い白い皮膚はひび割れていった。
「寂寞に見るは午睡の夢なり─人間の巫女なんてそうそう長くはもちません」
それは既に少女の声ではなかった。禍々しい老人の声。ひび割れた声帯から発する、油の切れた機械
のような声だった。
「お待ちしておりました。私の新しい齋王」
少女の体が崩壊し霧散する直後、マコはその声を聞いた。
「マコ!」
駆け寄る部長だったが、すでに遅い。
崩れ落ちる少女の体から流れ出した黒い煙の塊のようなものは、まっすぐにマコを目指して地面を這い、
そのままからめとるように足をつたってマコの中へ侵入する。
「ぐ─―」
短いうめきとともにくずおれたマコは、次の瞬間にはもう別人になっていた。
「何を・・・」
部長のつぶやきはもうマコには届かない。
「まだうまく馴染みません」
立ち上がる、先ほどまでマコだった者はしわがれた声でそう言った。
「こんな・・・ことが」
京太郎は目の前で起こった事実を飲み込めないでいた。ついさっきまで立っていた先輩が、いまはもう老人
の姿になっていたのである。髪型こそマコに近いものの、服装はどこか古代の人間のようにかわり、皮膚は
ひび割れ、手はふしくれだって枯れ木のようだった。
「返しなさい! マコを戻して!」
部長が叫ぶ。
「憤せずんば啓せず。非せずんば発せず。一隅を挙げて三偶を以て返さざれば則ち復たせざるなり。
ならば勝負となるか─命をかけて。また昔日のごとく」
それは不吉な宣戦布告だった。
469:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 06:23:08 s4+h7dDN
イイヨイイヨー
470:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 08:30:33 FLHYN9V+
このスレの すごい 淫獣司書長臭
と思ったら途中からミステリーになってカオス
471:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 16:44:32 lYVjZ/mj
>>470
淫獣司書長についてkwsk
472:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 20:05:32 FLHYN9V+
>>471
某魔法少女世界における京太郎の先人
いいやつなんだけど主役グループの男女カプ要員のためだけに宙ぶらりんにされてる感が否めない紳士
いつまでも半端に残しとくぐらいなら主役以外とくっつけて解放してやった方がまだ幸せな気がしないでもない人
京太郎を全国区クラスのデジタル派雀士にしたようなもの
いい歳してCV水橋
473:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 21:01:36 NrKtUTp1
なのはさん・・・
474:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/02 23:27:14 C9EN/jd1
あれはどこ寄りのファンにも気をつかった結果、誰も満足させない不幸な道をたどってるな
優しさのつもりでどちらもふらす、かえってみんなを不幸にしてる二股男みたいだ
作者や一部スタッフの好みごり押しで変なの押し付けられるのとどっちが不幸なのか
475:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/03 01:15:20 wC9C65fa
>>468
「やってやろうじゃないの。神様と徹麻!」
腕まくりをして髪をしばり、部長は老人のあとに続く。そのあとに京太郎たち部員もおっかなびっくり続いた。
「部長の本気モードだじぇ!」タコスが言うと「必ずみんなで帰りましょうね」と和も応じた。
わかっているのだろうか。と京太郎は思う。
ここは明らかに異界なのだ。ただのゲームではない。長年にわたり一つの一族を縛りつづけたけた怪物
と一戦交えるということを。
「大丈夫だよ京ちゃん」
京太郎の心中を察したように咲が言った。
「大丈夫って・・・」
「大丈夫。私たちが先輩をつれて帰るんだよ」
なぜかそのひと言が頼もしかった。
「手積み・・・望むところだわ」
部長が呟く。
卓を囲むのは部長、タコス、和、そして先ほどの老人だった。
案内された部屋は薄暗く、しかしドコからともなく光が届いている。時刻はすでに深夜のはずだったが、
それでも全員の顔をうかがえるくらいには明るいのだった。
板張りの床に相当の大きさの卓がある。部屋の中央に位置するそれは堅牢な作りで、ある種の調度品
のように威風堂々としていた。
「これは・・・」
和が言う。
卓の中央には鳥居のマークが描かれている。卓の四辺にはそれぞれ「犬」の一字が中央へ向かって描か
れていた。盤上には縦に五つ、横に四つの線。それぞれが格子状になるように引かれている。
「蠱毒の呪符だわ。本来なら鳥居の部分は狐の文字。四方の犬は狐を逃がさないように見張る役目よ。
これは、この卓は既に呪いのシステムに取り込まれている。かつてコウジモトの家ではこれを使って呪い
を行使していたのね」
呪いを。
「蠱毒とは本来、封じ込めた壷のなかで虫を殺し合わせる呪い。この狭い卓上がまさに壷になぞらえられて
いるわ。殺し合うのは─さしずめ私たちよ」
部長の声は重く、そして暗い。
「はじめます」
老人が席に座る。
「落ち着いて、いつもと同じよ。そうね、いつもと違うのは自動卓じゃないくらい。和、平気?」
「大丈夫です」
親を決めるべくサイコロが振られる。
親番はタコス。まだ実力不十分の京太郎は卓を囲むメンツを後ろで眺めていた。
「西は金也―」
タコス正面の老人は何事か呟くと、五筒を捨てた。
一打目からの捨てる牌ではない。続く巡目も迷うことなく筒子を切っていく。
(なんだよコレ・・・染め手か)
京太郎の思いとは裏腹に、老人は薄く笑っていた。
「金は幣、幣は兵也―自西自東、自南自北、服せざるもの、これなかりけり」
老人は止まらない。ゆっくりと、六巡連続の筒子を捨てると同時に牌を横に曲げた。
476:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/03 20:53:11 d8T4z95w
仮にも咲のスレで蠱毒だなんだのと言う単語を見るとは思わなかったべさwww
477:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/03 22:09:30 H52WnEpP
>>475
「うそ・・・」
和はあり得ないものを見るような目でそう言った。
筒子を捨て続けて西ドラ6。初手、發三枚落としからのホンイツドラ4。結果的に上がってはいるものの、
それは到底ふつうの麻雀ではありえない打ち筋だった。
「色―なんだってのよ」
部長が歯噛みする。
「ロン」
またしても初手からの役牌3枚落とし。
「コイツ・・・まともじゃねえ」
京太郎はのどが干上がるのを感じる。
「五行は因果。即ち理也。生命の循環にして悉有の根本原理。悉皆の連鎖也」
親流し。
和が辛うじて対抗するも、老人へ直撃するには及ばなかった。
「そんなオカルトはありませんよ」
如何様にも言葉では反論できよう。
しかし、それは結果がともなってはじめて作用する。
「あり得ないということはね。起こりませんよお嬢さん。一見あり得ないということには実は理由があるのです。
理論は必要ないのですよ。起こった事象から結果を推理していくのです。ある事実が沢山あれば、別の
事実が引き起こされる。理由はいらないのです。別の事実を起こす為には、ある事実が沢山あればいい。
なぜ起こるのか。そういうことは必要ないんです。結果を引き出すための過程のみを集積すればよい。これは、
統計ですよ」
みるみるうちに卓を囲む面子は追い込まれていく。
それほど大きな手は多くない。しかし確実に。少しずつ点棒を削り取られていった。
「─ロン」
「ぐ─」
これでタコスが飛ぶ。胸を押さえ、その場に崩れ落ちた。
「お、おいタコス――!」
京太郎が抱き起こす。顔色は青く染まり、血の気が引いて唇が白い。
「これは─命を賭けてるんですよね」
老人が笑っていた。
「タコス! おいしっかりしろっ」
「京ちゃん下がって。私が入る」
タコスの顔にそっと手をあて、まだ息があることを確認して咲が横に進み出た。
「咲・・・」
「私たちは戦ってるんだ。たぶん、いつだって戦うんだよ京ちゃん」
その言葉は厳かに囁かれた。
京太郎は黙って咲を見上げる。
「事実の集積だって言うなら、いつまでも勝ち続けるひとなんていないよ京ちゃん。それだって同じじゃない」
「お嬢さん私はね。過去500年間は負けていませんよ」
老人は揺るがない。
「大きくでたわね」
しかし、そんなときでも部長は不敵な笑顔を忘れていなかった。
「真打ちってのはね。いつだって最後に来るって相場は決まってんのよ」
そして京太郎はタコスを抱き寄せた。
478:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/04 02:05:36 aaGsyrWA
>>477
「オカルトというのは、人知では計り知れない事柄のことでしょうか・・・。最近ではよく耳に
しますが─これはそういう類のものではありませんよお嬢さん。貴女の言う、統計そのもの
なのです。かつて砂漠の砂粒の数ほど時間を費やし、同じだけ命を賭して築き上げた歴史
の塊なんです。ですから、そういうものとは違いますな。月の障りは月の満ち欠けに関係が
ありましょう。それと同じこと。五行というのはそういうこと」
老人の声はねばりつくように地を這う。
この勝負に賭けられているのは、点棒でも金銭でもなく、精気そのものだった。
暗い。
裸電球では老人の顔が良く見えず、落ち窪んだ眼窩がやけに黒かった。
(なぜこんなことに)
生気のないタコス。
(どうしてこうなった)
無言。
洗牌の音。
「色ね」
部長が言う。
「ほう―」
老人が、滅多にない声を出した。
「五行相克。あなたは色で盤上を支配する」
「それが、わかりますか」
「捨牌は勝つための布石。あなたは統計と言うけれど。それは立派なオカルトだわ」
「そこのお嬢さんが言うとおり、確率論で言えば、もっとも正しいことだとは思いませんか」
中を捨てる。これで2枚目。
「今度は赤―赤は東」
部長のつぶやきはしかし、老人の支配にはなんら影響を及ぼさない。
「よく、ご存知で。これで私は次に東を引く」
老人は静かにそう言った。
「それは許せないな」
咲の背後で京太郎は意思決定する。
「京・・・ちゃん?」
「振り向くなよ咲。お前の親で、お前が引くんだ」
体が熱くなる。
京太郎はドクリドクリと鼓動が脈打つのを感じていた。
479:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/04 02:31:50 aaGsyrWA
>>478
「ロン。ダブ東ドラ3─」
咲の親。連荘してはや3回。ここにきてようやく逆転の兆しが見えはじめていた。
「なんと・・・」
老人の顔からは動揺は伺えない。
「そういう命の捨て方がありましたか・・・」
「構わねぇよ。この親で、手前ぇを潰すんだ」
「京ちゃん」「見るな!」
咲の後ろで京太郎は辛うじて立っていた。腕からつたった血は足元に大量の血溜まりをつくっている。
もう何分そうしているだろうか。切り裂いた腕はジンジンと脈打ち、固まるたびに何度も傷つけた。
「仕組みさえわかりゃ怖くない。この場は、この俺が支配する」
血。
それも大量に。
人間はどれほどの量まで血液を失うことに耐えれるだろう。京太郎はそれを考える。
「どっちでもいいや」
目的はこの勝負に勝つことだった。
ここで何人の命が失われたか。それも京太郎にとってはどうでもいい。誰かがやるならばと。もう一度
強く腕を切り裂いた。
「誰だって命は惜しいわよ。あなたはそれでも生きたいと思ったことはないの」
部長が言う。
「私は・・・」
「不老不死なんて夢だわ」
「おお・・・」
はじめて。
はじめて老人は前を向き。その相貌を京太郎たちに晒したのかもしれなかった。
「そこまで知っていらっしゃる」
「最初に見たときから・・・あなたもかつて使命を持っていたのね」
「身体髪膚受之父母不敢毀傷孝之始也─潮時ですか」
「潮時にしては遅すぎたわね」
「私とて、生きねばならなかった」
「それでも私たちには私たちの都合があるわ」
「左様─しかし生きるためにはこうするしかなかったのです。土地のものに秘術を教え、財と引き換えに
自らを神に祀り上げさせ、それでも成し遂げられなかった。人間というのは。やはり─」
─死にますな。
その老人の寂しげな声と同時に、咲の和了の声を京太郎は遠くで聞いた。
480:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/04 03:23:23 aaGsyrWA
>>479
「おっぱい!」
「起きぬけに無礼ね京太郎君」
やや胸を隠しぎみで部長は言った。
「・・・失礼しました。先輩と言おうと思ったんですけど、間違えてしまって」
ねえよ! とパンチしてくるタコスを持ち上げて和に託すと、京太郎はあたりを見回した。
寝かしつけられている布団はいつもの座敷で、そこには咲、和、部長、タコスとそろっているのだった。
「そうか・・・アレは、上手くいったんですね」
「ええ。あなたの、まさに身を切ったような覚悟のおかげ」
「そうですか・・・そりゃ良かった。それにしても部長は、あの爺さんの正体を知ってたんですか?」
部長は少し考えるようなそぶりを見せる。
「そうね。途中で気が付いたってのが本当かしら」
「一体、誰だったんですか?」
和が言う。
「イザナギ流なんて亜流も亜流。どこから伝わったかなんてわかんないのよ。きっとコウジモトの家が
平家の落人ってのは和の言うとおり。でもね。最初にイザナギ流を伝えた人物ではなかったんじゃないか
って、そう思ってたの。イザナギ流は大陸の五行と強く結びついているわ。日本の陰陽道とも源流が違う
のかもしれない。そうすると、最初にこの島に伝えた人物は大陸の人間じゃないかって・・・」
それは。
「最初にヘンだなって思ったのは家紋を見たときね。次に確信したのは実際に会ったとき。大陸にはね、
ずっと昔、不老不死を求めて東に旅立った人物がいたのよ。その人物が日本に伝えた植物が、葵だって
言われているわ・・・」
「それは・・・あ!?」
続きを聞こうとして京太郎は大声を出す。
「染谷先輩は!?」
すると一同は黙って顔を見合わせた。
「中庭にいるわ・・・平気よ。あの子は強い子だもの」
部長の声を最後まで聞かずに、京太郎はその場所を目指した。
苔むした岩といくつかの木々がその少女を隠している。
彼女がみつめる先には太鼓橋があり、その向うにあの開かずの間があった。そこには今、女主人が
立って少女を見下ろしている。
そこには数百年にわたり人々の命が失われ、それを糧にして糊口をしのいできた一族の歴史があった。
ある人はそれを『必要なことだった』と言い、許そうとしていた。
しかし彼女には許せなかったのだろうか。おそらくは時を待たずしてやってくる警察がその二人を永遠に
引き裂くだろう。それでも二人に会話はなかった。
481:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/04 03:32:51 aaGsyrWA
>>480
京太郎は思う。
ひとりたたずむ少女にかける言葉はない。その家が、その歴史が失われることに郷愁というものが
もしあるならば、きっと寂しいのだろう、と。
それでも、今あることが重要なのだと京太郎は考える。今、その少女がそこに立っていることこそが
最も尊いことなのだと。
「人間は自分勝手だもの」
京太郎の後ろには部長がいた。
その向うには咲たちが。それでいいのだと京太郎は思った。
「あれ? そういえば、部長はなんでその・・・呪いとかに詳しいんです?」
部屋にもどりしな、そう質問した京太郎はのちに後悔する。
「あら。女性を詮索するなんて随分無粋じゃない。そんなことしてると─」
─呪い殺しちゃうわよ。
それはいつも以上に凄みのある笑顔だった・・・ような気がした。
_
\ヽ, ,、
`''|/ノ
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\`ヽ、|
\, V
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|ヽ、)
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/ ヽYノ
.| r''ヽ、.|
| `ー-ヽ|ヮ
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ヽ, .|
ヽ, 、ノ
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l:.:.:.:./:.:.:.:./:.:.:.,:.:.:.|:.:.:.:.:l.:..:i.:..:...:....:.....',
li:.:.:.|:.:.:.:.:l:.:.:./l:.:./!:i:.:.i:ハ:.:|l:.l:.:.:.:l:.:.:...i
|:.r‐!:l:.:.`iー/‐ァァT':.:/フTナiT´:.:.|:トi、|
{:.{ ‐N、:.:{r―r-r l/!'―r-i'|:.:.:,リ:リヽ!
ヽ!ヽ _ `{. _ヒソ _ヒソノ/イ:|
`ヽ!ゝ ////////////j:i:/|ハ!
,∠_ ̄〈: :` こ__ー--_ュ,/く'【咲 -Saki-】 心霊探偵宮永咲 【見せ場なし】
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
482:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/04 17:56:28 IjnwMcJn
めずらしく誰も死ななかった
483:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/05 07:34:44 Z1xF7ta5
ワンチップ丈夫wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
484:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/05 09:56:40 veTbdaEx
京の使い方がいいな
麻雀で役に立っちゃ台無しだけど
こういう舞台なら使い道があったか
485:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/05 22:38:23 BFbEcAM5
>>484
/\-―‐- 、
, --=7 丶 `ヽ
/, ヽ ヽ
∠/.. / 、 .┃┃ i
/ i ! l. ━┛┗━|
/ ,/ ! ! l|| ! |、 ━┓┏━ | 、
/_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 ┃┃,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
// l i `i _/,、/
´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′
丶 ー ―‐ / |′
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!:.:.:.:.ヽ:.{:.:.l:.:.:.:.:l. i /:.:.:.:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.i
486:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/06 05:07:54 U64v3jbc
URLリンク(up2.viploader.net)
イケメン
487:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/08 10:11:43 pJ386+hQ
>>481
咲が空気になってしまったw
488:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/08 16:04:27 176q1gjo
URLリンク(up2.viploader.net)
489:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/08 16:35:09 176q1gjo
URLリンク(up2.viploader.net)
490:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/09 03:08:27 uK+zlZhg
牙はタコス!筋肉もタコス!燃える瞳は原始のタコス!
491:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/09 18:43:40 +MJd//vK
URLリンク(up2.viploader.net)
はじめちゃん
492:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/10 13:35:47 Y1aaFxfu
>>491
これ作ってんの同じひとなのかな・・
493:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/12 14:00:54 cORDU8VE
>>492
URLリンク(kita.kitaa.net)
URLリンク(kita.kitaa.net)
URLリンク(kita.kitaa.net)
URLリンク(kita.kitaa.net)
URLリンク(kita.kitaa.net)
URLリンク(kita.kitaa.net)
同じようなネタがある・・・同じ人なのかもね
494:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/12 14:01:44 cORDU8VE
最後の間違えたw
495:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/14 06:23:12 3CFxGCsy
(´・ω・`)またキャプテン日記読みたいなぁ………
496:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/15 02:31:04 aLQHeEua
のどっち「須賀君の気を引く為に幼なじみだなんて嘘を付いたんですよね」
497:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/15 03:44:15 5BsK0jPn
再掲>>441
498:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/15 10:16:04 45WEWSB6
書いちゃえばいいじゃん
著作権があるわけでもなし
499:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/15 19:13:42 D58lnWqe
ツヨナールの続きも頼む。
500:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/15 22:56:14 qZr9UOem
500
501:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/16 23:20:31 IxmCZFjh
京ちゃん
502:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/17 00:35:36 1sz/vyZz
好き…
503:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/17 01:25:28 /kw+HZ7/
URLリンク(up2.viploader.net)
504:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/18 20:14:59 cvOptC+d
>>263勝手に続き
京太郎が麻雀部を去ってからだいぶ経った。
その日以来、京太郎は麻雀部に顔を出していない。
「彼、やっぱり戻る気はないんでしょうか……」
「もうあんな奴、知らないんだじぇ」
京太郎が去っても、麻雀部の活動はいつも通り行われている。
少しずつだが、以前の活気も少しずつ戻ってきた。
しかし、京太郎がいた時に比べるとどことなく寂しさが漂っている。
そして京太郎がおかしくなった原因を、咲だけは知っている。
ツヨナール。飲むと麻雀が劇的に強くなるという薬。
自分の弱さにコンプレックスを抱いていた京太郎は、この薬に手を出した。
そして彼は、悪魔の力を手に入れた。
ツヨナールの力で部長達をボロボロに負かし、彼はツヨナールの力に心酔した。
弱者が突然強い力を手に入れれば、次にやることはすの力の誇示。
「風越も、京太郎にやられたそうじゃな……」
「やっぱりあのお姉さんでも、ダメだったじぇ」
京太郎は麻雀部を去ってから、県内のあちこちの強豪校へと挑戦をし始めた。
そして千曲東や東福寺など、麻雀で有名な高校に乗り込んでは圧勝を続けた。
彼は先の大会で好成績を残した鶴賀学園すらも破り、そして風越女子も彼の毒牙にかかった。
最近では、藤田プロをも完膚なきまでに叩きのめしたという噂もある。
彼がまだ戦ったという話を聞かない高校といえば、龍門渕くらいのものだ。
「ごめんなさい、私のせいでこんなことになっちゃって。皆にも……須賀君にも、申し訳ないわ」
久は現状を作り出した最も大きな原因となっている人物だ。
そのことを久は、ずっと気に病んでいる。
「そんな、部長のせいじゃ……」
「そうじゃ、気にせんとき」
「と、とりあえず、麻雀しようじぇ!」
タコスの一声で、皆が麻雀の準備を始める。
まるで、京太郎のことを忘れようとしているかのように。
そんな中、咲だけは動かず喋らず、ずっと窓の外を見続けていた。
「宮永さん、どうしたんですか?」
「え……あ、ごめんなさい」
慌てて咲も卓に向かう。
しかし咲の心には、ずっと京太郎のことが引っかかっていた。
(京ちゃん……京ちゃんは今、何をしているの……)
505:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/18 20:17:45 cvOptC+d
その日の夜、龍門渕麻雀部の扉を開く者があった。
現れた人物を見て、一同が身を固くする。
「お前だな、噂の須賀京太郎ってのは」
「……………………」
「たいそう、強いそうだね」
「ここに来たということは、目的は一つですわね」
「……よく知ってるな。話が早くて助かるぜ」
部室にいたのは5人。井上純、沢村智紀、国広一、龍門渕透華。
そして。
「今宵は満月、それも夜は衣の力が最も発現せし時」
「ええ、それを狙いましたからね。天江先輩」
「貴様は妖異幻怪の気形なのか?」
「さぁ……その身で確かめてみたらどうでしょう」
「こんなにも月が紅いから、本気で玩弄して打ち毀す」
「こんなにも月が紅いのに」
「「楽しい夜になりそうだ」」
須賀京太郎VS天江衣、死闘の幕が開いた。
506:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/18 20:30:58 zA9DGuHo
BGM:亡き王女の為のセプテット
507:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/19 21:36:08 oQvamOIf
>>504-505
心を込めて乙!
意地を張ってるタコスがかわええのうw
508:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/20 17:15:07 993lzOty
良作が多い良スレだ
509:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/20 22:44:55 Z+gnrtKj
URLリンク(up2.viploader.net)
510:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/21 19:29:43 /JudoQzk
このオスいらね
コイツが控え室に居なければ
タコス娘*のどっち+αが拝めるにの・・・
原作によるとタコスむすめ自慰してるし
511:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/21 21:14:09 2FaAedlH
須賀京太郎スレが落ちた…。
512:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/22 05:26:55 NEpMkMFc
ツヨナールはちゃんと咲と京の絡みがあっていいな
513:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/22 06:47:55 FT1c2k0P
>>511
ちょww
514:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/22 07:04:05 KqsKUDGs
なんてスレだ……もっと早く見つけておけばよかった……
515:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/22 18:36:54 s0RD2TGd
ルールは25000点持ちのアリアリ、赤ドラなし。
東家から順に透華、衣、一、京太郎という席順になり、純と智紀は観戦である。
東1局。
純の脳裏に先日行われた県大会決勝の場面が浮かんだ。
福路美穂子、竹井久、原村和、東横桃子、加治木ゆみ、そして……宮永咲。
誰も彼もが常人と一線を画した力を持つ、素晴らしい打ち手であった。
(さて……この男はどんな麻雀を打つんだろうな)
純は京太郎の後ろに回って打ち筋を眺めることにした。智紀は衣についている。
まずは配牌。中が対子になっており、ごくごく普通の配牌である。
その7巡目。
「ポン」
衣から出た中を鳴き、テンパイ。そして次巡。
「ロン。中のみ千点」
「なっ……私の親が……」
透華からすぐに和了をとった。
衣:25000
一:25000 透:24000
京:26000
東2局、衣の親番ではタンピン三色の見える好配牌だったが、
「チー」
中盤であっさり喰い仕掛けに以降し、数巡後。
「ツモ。タンヤオドラ1」
これまた早和了りを達成した。
衣:24000
一:24500 透:23500
京:28000
516:名無しさん@お腹いっぱい。
09/07/22 18:39:26 s0RD2TGd
書き忘れた >>505の続きね
(あれ……何だこりゃ……)
純は違和感を覚えた。
京太郎は確かに和了りをとってはいるが、その打ち筋は平々凡々。
先の大会で見た強豪達のような、圧倒的な気配もまるで感じない。
その心境を読んだかのように、衣が口を開いた。
「乏しいな。凡庸極まりない」
衣から凄まじいオーラが発せられた。
ざわ、と皆の体に鳥肌が立つ。京太郎は……動じない。
(き、きましたわ……)
(始まる……衣の支配が……)
「フジタをも倒すほどの打ち手だと聞いてうきうきしていたが……
その程度では、衣の贄となる運命からは逃れ得ぬ。そろそろ御戸開きといこうか」
東3局。
「ポン」
早々に白と九萬を衣は鳴く。
そして京太郎から5巡目に一筒が打たれると、冷たく微笑んだ。
「昏鐘鳴の音が聞こえるか」
そのまま、ゆっくりと牌を倒した。
「ロン。白トイトイ混老頭、満貫だ」
「……………………」
衣:32000
一:24500 透:23500
京:20000