09/05/25 00:38:14 fmrr5cV5
京太郎はヒラヒラと手を振ると鞄を持って扉へと向かって歩き出す。
「京ちゃん待って!」
咲の呼び止めにも振り返る事もせず、京太郎は部室から立ち去って行った。
「勝てば勝つほど俺の周りから人が離れていく……か」
京太郎は歩きながら手に持ったツヨナールを見つめる。
確かに俺の周りから人はいなくなった。しかし、どっちにしても同じ事だ。
弱いままでも俺は誰からも相手にされないだろう。
なら俺は―強者として生きていく。
でなければ……麻雀部を去った意味がないんだからな。
「京ちゃん!」
京太郎は後ろを向く。そこには肩で大きく息をする咲の姿があった。
「……何しに来たんだ咲」
「お願い京ちゃん、帰って来て……皆も京ちゃんの事を心配しているよ!」
「馬鹿だなぁ、咲…俺はやめるってはっきり言っちまったんだぞ? 今さら帰る事なんて出来るかよ」
「じゃ、じゃあ……一緒に謝ろう! 私も京ちゃんと一緒に皆に謝るから! 皆だってきっと許してくれるよ!
だから……だから戻って来て京ちゃん! お願い…やめるなんて言わないで…!」
目を潤ませながら咲は京太郎に戻ってくる様に説得する。
京太郎は何も言わず、ジッと咲を見つめる。