09/03/09 00:22:33 Ld98RyfH
こなた「かがみん達が私を愛してる証拠を見せてほしいな」
みゆき「では私のティーバッグの出がらしと」
かがみ「私のと」
つかさ「私のも入れてこなちゃん一人分♪」
こなたは泣きながら薄い紅茶を飲み干しましたとさ
めでたしめでたし
204:お漏らし中尉
09/03/09 00:59:48 2teIR59q
お邪魔じゃなければ投稿します
いつぞやのグロSSの続き
205:お漏らし中尉
09/03/09 01:01:23 2teIR59q
夕暮れの縁
町並みに変化は無い・・・・かの様に見えたのだが
時折カラスの声に混じって断末魔が聞こえてくる
あれから、ゆたかの死を目前にしてから後の記憶が殆ど無い
おそらくそれ程に取り乱したのだろう
覚えているのはそうじろうを突き飛ばして家から逃げ出した事くらいである
気が付けばある方向を目指して駆けるばかり
「はあ、はあ、はあ・・・・・」
駆けていく少女が目を伏せながら進むその道なりが深紅に染まっているのは
きっと夕焼けだけのせいではない
散りばめられた臓物と哀しげなで哀れなその肉塊
喪失感と達成感に恍惚たる表情を浮かべて、愛しかった者の肉を喰らう者
事切れた肉親の亡骸に性的な虐待を容赦なく加える者
様々な者達が待ちの中を埋め尽くしたいる
その光景はすでにこなたが知っている日本では無かった
こなたは目を伏せて走る
向かう先は・・・・・鷲宮神社だ・・・
神社に・・・柊家に行けばきっと皆が助けてくれる
お父さんがおかしくなったって言えばかがみとつかさが私を助けてくれる
お姉さん達も私をかくまってくれるに違いない
おじさんやおばさんもこの悪い冗談なんかに加担するような人じゃないんだ
だっておじさんは神主でおばさんはその妻・・・・
きっと、きっと・・・・
こなたは走った
決して近くないその距離をバスも電車も使うことを忘れて走った
足には自信がある
しかし、流石にこの距離は遠すぎた・・・
時刻は・・・・今、何時だろうか?
ふと携帯電話を見る・・・
『不在着信 1件』
「・・・・」
こなたは恐る恐る携帯を操作する
着信は柊かがみからのものだった
急いでかがみに電話する・・・・が繋がらない
呼び出し音だけが延々と鳴り続ける
こなたの全身の芯に氷点下を超えた寒気が駆け巡った
朱色の夕暮れが、街中をまるで戦慄の赤の様に染め上げるこの空間
あの角を曲がれば、そこは鷲宮神社・・・・
こなたはかがみ、つかさの無事を祈って駆けた
206:お漏らし中尉
09/03/09 01:01:57 2teIR59q
ドンドンドン!!ピンポーン・・・・ピンッポーン!ドンドンドン!!
「こんにちは、こなたです!泉です!かがみ、つかさ!いないの?開けて!!」
神社の境内は薄暗く、そして不気味・・・・
柊家の二階も真っ暗で何となく不吉な空気が漂っていた
その焦りからか、こなたの声もドアを叩く音も自然と大きくなってしまう
返事の無い扉の向こう側
こなたは執拗に声を張り上げる
ドンドンドン!ドンドンドン!ピンポーン!ピンポーン!
「かがみん!つかさ!!」
タッ・・・タッ・・・タ・・・
「!?」
微かだが、家の中から小さな足跡が聞こえた気がする
こなたはやや緊張した様子でドアから離れた
危険の臭い・・第六感がその臭いをおぼろげに嗅ぎ付けたとでも言おうか
足音はドアのすぐ前で立ち止まる
「・・・・誰・・?」
こなたの面持ちとは裏腹にそのドアはやけに軽快に開いた
「こんばんわ♪さっき振りね~こなたちゃん」
「・・・・おばさん・・・・?」
ドアを開けたのは予想外にもみきだった
「やーね、おばさんだなんて・・・みきお姉さんって呼んでよね・・」
「・・・おば・・・・お姉さん・・・」
さっきまでの緊張感が嘘だったかのようにみきの空気に呑まれるこなた
しかし、はっと目的を思い出しそれを言葉へと変えた
「そうだ、かがみとつかさは!?」
「・・・・ふふ・・・」
みきは静かに笑うと「もう寝たわよ?」とにこやかに返事をする
もう?こんなに早く?のんびり屋のつかさならまだしもかがみまで眠るだろうか?
かがみは毎日夜遅くまで勉強している・・・・
いつも12時過ぎまでメールの返事が返ってくるのだ、間違いない
しかし・・・・もしかしたら
こなたは怪訝そうな表情を出来るだけ明るいものへと変えて相槌を打った
207:お漏らし中尉
09/03/09 01:02:29 2teIR59q
「そ、そうか~参ったな・・・・」
「・・・・なんの様だったのかしら?なんなら起こして来ましょうか?」
「え?」
「ふふ・・・・」
こなたからすれば今のみきの言葉は意表を突く言葉だった
起こして来るということは二人はまだここにいるということだ
きっとここは『まだ』安全なのだろう
しかし、安心は出来ない・・・一刻も早くこの事を二人に伝えてこの奇妙な空間から逃げなければ
ここは『もうすぐ』安全じゃなくなりそうだから
「お願いします・・・」
「解ったわ、少し待っててね♪」
こなたは考えたここから先、どこが安全そうだろうか?
自宅も危険だし、ここも神社もなんとなく嫌な予感がする
ひとまずみゆきさんの家に非難して・・
と、思いかけた矢先にゆかりの・・・みゆきの母の言葉がこなたの頭に蘇った
・・・あんな言葉を口にする人間を信用することなんか出来ない
学校・・・・学校なら安全かもしれない、それに明日になれば黒井先生が助けてくれるかも知れないし
こなたは、一応の策として学校に避難する事にした
ひと思案終えた頃、ドア超しに足音が聞こえた
「こなたちゃん・・・お待たせ♪かがみはちょっと電話中で出られないのよ・・・・」
「・・・・そうですか・・」
こなたは眉をひそめる
かがみが、電話中・・・?
そんな筈無い・・・だってさっき電話して、話中なんかじゃなかった筈だ
まさか、もう
「かわりにね、つかさだけ連れて来たわよ・・・ゆっくり話してね♪」
「え・・・あ、はい」
ひょっこりとドアから顔を出すつかさ、寝起きなのだろう目は薄っすらと眼を垂れて
涎も零れっぱなしだった
まったくつかさは仕方の無いお子様である
「こなちゃん、なあに?」
「あ、つかさ・・・・」
208:お漏らし中尉
09/03/09 01:09:29 2teIR59q
カクン・・・
そう頭に音が響いた気がした
気が付けば膝を地面に付き、口から吐瀉物が溢れ出す
「う・・・ヴェエエエ!・・ゲエエ!?・・・」
「ふふ・・・どうしたの?こなちゃん?」
ドン・・・と音を立ててつかさがこなたの横に転がった
つかさのたった10%程の部分
しかし、つかさ本人のものだと十分すぎるほど認識できるソレは切断面から
どろりとした真っ赤なゼリーを流し、朽ち果てていた
「ふふ・・きゃははは♪さあ、お話してあげて☆つかさ、こなちゃんに挨拶は?あははは♪」
「つかさ・・・う・・・・」
こなたはつかさの生首に目を向けて体を抱いた
みきの笑い声も手伝って、おぞましい程の悪寒がこなたを包む
「あ・・あうう・・・・・・ひ・・・・」
「どうしたの、こなちゃん?」
みきは転がったつかさの首を拾うや否や、こなたの顔につかさの顔を近づける
「『コナチャン、ナニヲコワガッテルノカナ、カナ?』なか?うふふ♪」
「いひいっやあ!?」
「ほらほら、どんな気持ち?ねえ、私が殺したのよ?あはは☆」
「ひい・・・」
後ずさるこなた、知らない内に壁を背負ってしまい逃げ場が無い
みきはつかさをこなたに向かってポイッと投げ捨てると
ちょうど、こなたに膝枕されるようにしてつかさが落ちてきた
「いひゃあああああ!!」
こなたは、かつての友達を力いっぱい払いのけると下着がジワジワと濡れていくのが解った
恐怖の余り、尿道の筋肉が緩み尿意の制御が出来なくなってしまったのだ・・・
つまり、失禁したのだ
みるみるスカートを濡らし、柊家の石畳を臭わせる尿・・・・
こなたは生暖かい小便に両足を浸らせながらも恥ずかしげも無く尚、体を震わせていた
209:お漏らし中尉
09/03/09 01:13:55 2teIR59q
振り払ったつかさの顔は、床にぶつかった拍子に鼻や口元が曲がり
あの可愛かった顔が、原型を留めぬほど変形し変色している
やがて、そのサラサラした髪の毛もこなたの小便によって汚れてしまった
「あら、うちの子に随分なあつかいじゃない?」
「うう・・・どうしてこんな事・・・・」
こなたは吐き出した胃液のネバを引いた口でみきを責める
が、返ってきたのは聞きたくも無い言葉・・・
「つかさったら、可愛いのよ♪『おかあさん助けて~!死にたくないよ!お姉ちゃん!』ですって・・」
彼女は大袈裟な身振り手振りで嬉しそうに語る
「最初はね手足をハサミでユックリ斬っていったの、ちゃんと根元は止血してたから出血多量にはならなかったけど・・・・」
自分が腹を痛めて産んだ娘を殺した女はその手で笑う口を隠していた
「何度も失神しながらもがいてたのよ~☆あ、『こなちゃん助けて!』とかも言ってたわよ♪」
ゆっくりとこなたに歩み寄る足音、手には何時の間にか大きな斧が握られている
「この斧で二人の首を切り下としたのよ・・・聞かせかったわ~、あの断末魔♪」
こなたの脳裏にかがみとつかさの悲痛の顔が浮かび上がる
きっと痛かった、きっと恐ろしかった・・・愛する人たちに殺されるのは恐ろしく哀しいに決まっている
「そうじろうさんには悪いけど・・・娘へのはなむけにその首貰うわよ☆」
「ひ・・・・」
『私・・・ここで死ぬ・・・』
210:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/09 01:18:38 Ld98RyfH
支援
211:お漏らし中尉
09/03/09 01:43:36 2teIR59q
こなたは思い切り目を瞑った・・・
思い出される楽しかった日々、お祭りや海に行ったあの思い出
走馬灯・・・これがあの走馬灯なのだろうか?
人間が死ぬ瞬間に見る今までの過去
美しかった過去、そうでなかった過去、様々な光景がこなたの頭を過ぎった
「こなた~、まちなさいよ!」
「こなちゃん~♪」
「こなたさん☆」
思い返せばなんと素敵な友人達だったのだろうか
もっとかがみに優しくしておけば良かった
つかさとも沢山会話をしたかった
みゆきさんにもっと色々教えて欲しかった
素敵な友人、素敵な父親にゆたか、ゆい・・・贅沢すぎるほどの環境
そうじろうはどうしてあんな事になってしまったのだろう
でも、きっと元に戻る
そしたら罪を償って、また幸せになってほしい
今までの人生、ここで死んでしまってもきっと十分すぎるほど幸せだったに違いない
みんなさようなら・・・・
・・・・・
長い、長い沈黙
みきの放った斧が自分の首に達するには長すぎる時間が経過した
もしかしたら、自分は既に死んでいるのかもしれない
そんな恐ろしい事を考えながらそっと目を開けてみると
なにかがみきの体を羽交い絞めにしていた
「離しなさい・・・・!?」
「?」
212:お漏らし中尉
09/03/09 01:44:10 2teIR59q
あの身長・・・あの背格好
「こなたちゃん、早く逃げて!!」
「まつり、どういうつもりなの!?離しなさい!!」
確か、かがみとつかさの姉だ
一瞬かがみに見えてしまったのはきっと心の中の光景がそのまま瞳に映し出されたからだろう
こなたは大きく息を吸う
「でも・・・」
「いいから早く!早くしないと手遅れになっちゃう!!」
「まつり、アンタから殺すわよ!離しなさい!」
「・・・・・」
「だめ!姉さんやかがみ達に手を上げて、こなたちゃんまで殺したら本当の殺人鬼じゃない!?」
「母さんに逆らうの!?」
「こなちゃん、逃げて、はやく!!」
「でも・・・そしたら、お姉さんが・・・」
「まったく、まつりは悪い子だなあ・・・・」
ザシュ!
「あ・・・・」
鮮血が地面を染める
いつの間にか現れた長身の男は優しい笑顔を血で染めて
愛娘の首筋に出刃包丁を突き立てていた
包丁が引き抜かれたと同時にまつりはずるずると倒れこんだ
「ただおさん、遅いじゃないの・・・・もう」
「いやあ、思ったより手間取ってね・・結局・・・おや?」
柊家の健気な次女は、体を真っ赤に染めながらも賢明に起き上がり
二人の足を掴んでいた
「は・・やく・・・逃げ・・・て」
「・・・・・・まったく、柊家の女の子は強いな~、みきの血が濃いのかな?」
「ふふ、女は逞しくないとね☆だけど・・・」
213:お漏らし中尉
09/03/09 01:53:22 2teIR59q
「こな・・・た・・ちゃん、は、はや・・く!!」
「あ・・あ・・・・・」
みきは嬉しそうに斧を振り上げる
「慎ましさもかね揃えなきゃね・・・・」
ザク!
「いいいいいい!!!」
「ああ・・・・」
まつりの左肩が体から分離した
血しぶきがこなたの頬にまで達し、悲鳴が鼓膜に突き刺さった
「いいいいい・・・いひいい・・・」
しかし、まつりの瞳は未だこなたに向けられている
そして『はやく逃げろ』とメッセージを送っているのだ
まつりは残った右手でみきの両足を掴み、賢明に足止めをしていた
「しつこいわね、まったく誰に似たのかしら?」
「はは、君に決まってるだろ?」
和やかに笑うただおもまつりの背中を足で踏みつけて、頭を固定した
今一度振り上げられるみきの斧、今度の標的はまつりの頭だ
こなたは何とか足を動かす
まつりを助けなければ・・・・
が、まつりは首をユックリ横に振るとその唇が動いた
大人の色香を光らせる唇がこなたに放つ言葉は『に・げ・て』の三文字
こなたは涙で瞳が見えなくなる前に道路に向かって立ち上がる
だが、足に力が入らない
このままではまつりの行動を無駄にしてしまいかねない
まつりはその背中にほっと安堵しながら大きく酸素を吸い込んだ
「走って!!」
「・・・う、うううわあああああああああ!」
「まつり、悪い子ね・・・・!!」
まつりの一喝にこなたの足が唸る
一瞬だがかがみの声と錯覚してしまう程のその声は
間違い無くかがみの姉に相応しい気迫が込められていた
214:お漏らし中尉
09/03/09 01:54:07 2teIR59q
『まつりお姉ちゃんはかがみお姉ちゃんと似ててね気が強いんだ、それでいっつもケンかになっちゃうの』
『そうなんだ、かがみが二人なんて大変だね☆』
『でもね、いざと言う時に二人とも頼りになるんだよ?』
『例えば、どんな時?』
『例えばね・・・・』
どうしようもなく怖いときに勇気をくれるんだ
地面を踏みしめるこなたに、つかさの声が後ろから聞こえた様だった
こなたは小さく「ほんと、ソックリだよね」と笑うと涙を拭いながら髪をなびかせ
柊家の敷居を越えた
それとほぼ同時に聞こえたざくろが割れる音
おびただしい量の脳漿が地面に零れたであろう音に振り向くことも無く
いや、振り向く事を恐れてこなたは柊家から逃げ出した
聞こえてくるのは、息の根の止まった愛娘にさらに非道を重ねるただおの声と
みきの不愉快で恐ろしい笑い声だけだった
既に幾多の友人を失ったこなたは・・・残された親友みゆきの家に向かった
一旦終わります
215:お漏らし中尉
09/03/09 05:56:28 2teIR59q
再開
みゆきの家に向かう途中
空を見上げたこなたにむかって雲が夜だと告げてくれた
見渡せば、周囲にはサラリーマンやOLに学生、子供連れの親子もいる
ここにいる人間達はまともなのだろうか?
それとも以上だがまともな振りをしているのだろうか?
一体どんな条件で、どんなルールでこんな惨事が起きているのか
まったく規則性も無く、またある種の規則性を感じさせた
きっと何かしらのキーワードが存在するのだろう・・・
だが、そんな事はどうでも良かった
春日部のあの駅でこなたに届いた一通のメール・・・
みゆきから届いた余りにも短く、そしてその一行で全てが伝わってきそうな内容
『こなたさん、今までお世話になりました』
きっと自分の母親に襲われ、恐怖しているにも関わらず送られてきたこの内容は
いつものみゆきらしくもあり、そうで無いような気もした
死に際を悟った今ですら、彼女は清楚なままでいようというのだろう
わきまえた人間でいようとする姿勢は確かに立派だと思う
しかし、こんな時だからこそ頼って欲しいと思うのが、こなたの本当の気持ちだ
風邪になびいた水濡れのスカートとその中身が若干冷たく現実味を帯びている
張り付いたスカートを膝上までまくると人目もはばからず肩結びで太股の中央までたくし上げ
『ヨーイドン!』でみゆきの家まで駆け始めた
今日は良く走る日だ、すでに10キロ以上は走っているのではないだろうか?
気が付けば体もだるく、息も先ほどと比べ物にならない位に荒くなっている
全身が酸素を欲して、心臓が主に逆らうように鼓動を早める
それでもこなたは走った、残されたみゆきの為に
これ以上誰も失いたくない
「はあ・・はあ・・・みゆきさん・・・待っててね」
みゆきの家は駅からそれ程遠くない
あの花火大会の夜に皆で高良家にお邪魔したのを思い出す
大きく立派なお屋敷で、あの場所はお金持ちに家が連なる一等地
交通の便も良く、もう少し進めばすぐに見えてくる
216:お漏らし中尉
09/03/09 05:57:39 2teIR59q
薄暗くなった歩道を、こなたは懸命に走った
ふと目に入る見知ったソレ
外灯に照らされるその犬は、たしかみなみが飼っているチェリーだ
人見知りで、食い意地のはったあの愛らしい犬がそこに佇んでいた
こなたは立ち止まりゆっくりと歩を進めることにした
チェリーがいる、ただそれだけで忘れかけた日常を取り戻した気がしたからだ
立ち止まった事で、こなたの全身から汗が噴出す
そして、やや安心したせいだろう節々の関節が悲鳴を上げているのに気が付いた
こなたは大きく深呼吸を二、三度すると外灯の影に佇むチェリーに向かって挨拶をする
「はあ・・・はあ・・・チェリーはいつもと変わらないんだね?」
「・・・わふ・・・・」
「あはは・・・・」
普段はなれた人間以外には殆ど無反応なあの犬が返事に応じるなんて、よっぽどご機嫌なのだろう
クッキーでも拾ったのだろうか?
こなたがチェリーの頭を撫でようと近づくと、すぐにその理由が解った
チェリーは食い意地の張った犬だ、何でも食べる
こなたはチェリーの頭にぽんと手を置くと恨めしそうに呟いた
「チェリー・・・いくらお腹がすいたからって・・・・」
チェリーはそんな事気にも留めずに食事を堪能している
その食事の光景は散々たるものだ
「みなみちゃん食べちゃ駄目じゃん・・・」
チェリーの口の周りは真っ赤に染まり、緑色の髪の少女は見る影も無く
全身のいたるところから中身を覗かせている
頬や耳、首筋、腹部・・・・加えて太股や臀部、生殖器などは比較的柔らかく食べやすいのだろう
そこらじゅうに食いちぎられた後が見られてその長身と髪が無ければ本人と解らないほどに原型を留めていない
あの凛々しかった眼と鼻は既に眼球や軟骨に至るまで綺麗に外されてしまい
致命傷を思わせる頭部への一線で脳がはみ出したまま、とめどなく体液が流れ出ていた
「ゆーちゃん・・・・・・みなみんまで・・・・やられちゃったよ」
恐らくみなみを殺めたのはみなみの母だろう
愛犬はみなみちゃんの匂いのするコレを餌だと思い、それにがっついているに違いない
ひょっとしたらみなみと知って食べているかもしれない・・・
これがチェリーなりの弔いなのだろうか?
こなたは勝手な想像を都合よく解釈し、せめてみなみが救われるようにと祈った
チェリーは大型犬だ、きっと残さずみなみを平らげてしまうことだろう
きっとみなみも・・・・・・
こなたはそのままチェリーを殴り倒してしまいたい気持ちを抑えながら、みなみの愛犬の頭をそっと撫でた
「わふ」と小さく吼えたチェリーの瞳が泣いている様に見えたのは、外灯のせいだろうか?
それを目端に再び走り始める少女、彼女に落ち込んでいる暇など無い
目的地まで、あとほんの数十メートルだ
217:お漏らし中尉
09/03/09 05:58:46 2teIR59q
「みゆきさん・・・間に合って!」
電信柱が十数本、見慣れた家屋が数件、角を曲がらずに真っ直ぐ突き進んですぐ左
『TAKARA』と書かれた表札を視覚で認識し、五感の全てをフル稼働させながら
高良家の庭に突っ込むこなた
「みゆきさーん!!」
「泉さん!?」
「余所見なんかしてる場合じゃないでしょ?」
シュン!
「うう!?」
まるで音速の何かがみゆきを襲う
今の一撃で右肩を何かが掠めたのだろう、その柔肌に深紅の一閃
すでに制服やストッキングもところどころ破れ、未熟なグラマラスさを誇るみゆきの体が
なんの遠慮もなくほぼむき出しになってしまっている
が、異様なのはその妖艶な体には自らの血のりで不均等な化粧がされている事だった
その原因は・・・・
「んもう、コレが最後の一本だったのにぃ~」
ゆかりは左手に持っていたボーガンを悔しそうに地面に捨て、ブーブー言っている
こなたはその隙にみゆきに駆け寄った
「みゆきさん、助けに来たよ!」
「泉さん、どうして・・・」
「どうしてって」
「私は・・・私はこんな所見られたくなかったです・・」
思わぬ言葉にこなたは戸惑いを隠せなかった
そうか、彼女は未だに母親を慕っているのだ、こなたはそうじろうを許したいのと同じように
だから、自分を殺そうとするゆかりの姿を親友のこなたには見せたくなかったのだ
それであんな内容のメールをこなたに送ったのだろう
「ごめん、みゆきさん」
「・・・・あ、いえ、私ったら」
深刻そうなこなたの顔に、みゆきは自分の発してしまった言葉を恥じ、改めて友人に向き直る
「私のほうこそ、申し訳ありません・・・その、ありがとうございます」
危険を承知でここまで助けに来てくれた友人に、少しでも当たった自分が恥ずかしかった
こなたもみゆきのその言葉が嬉しく、こんな場所にも関わらず涙が頬を伝う
今、この残酷な世界の中にも友情が存在する
その事に二人は感謝した
218:お漏らし中尉
09/03/09 05:59:51 2teIR59q
見ればゆかりもハンカチを片手に「うんうん、みゆきはいい友達を持ったわね」と涙ながらに二人の様子を伺っている
どうやら暫くは時間稼ぎが出来そうである
それにしても、普段と殆ど変わらないあのゆかりが娘を殺しにかかるなど
もしかしたらゆかりには快楽殺人者の素質が有るのでは無いだろうか?
そう言えば過去にそういった類のよた話を見た事がある気がした
「こなたさん・・・・」
とんでもない事を考えていると、みゆきがこなたに話しかけてきた
こなたは心の中を読まれた様な気がして少しバツが悪そうに耳を傾ける
「かがみさんとつかささんは・・・?」
「・・・」
痛い質問だ、がみゆきらしい質問だった
こなたは黙って首を横に振る
「ゆーちゃんもお父さんにやられて、みなみんも通りに倒れてたよ」
「・・・そうですか」
「一体、なんでこんな事になっちゃったのかね?」
「ほんと、一体どうして・・・・」
「本当にね・・・ぐす・・・」
気が付けばこなたのすぐ後ろにゆかりが立っている
しかし、攻撃してくる様子も無く泣き顔のままハンカチで鼻をかんでいた
柊家のみきとは偉い違いだ
「おばさん・・・」
「お母様・・・」
「でもね、仕方ないのよ・・・だって決まってることなんだもん」
ゆかりの言葉はなんとも不可思議だが、真実味を帯びていた
「どーいうこと・・・?」
「決まってる事って・・・・そんな」
「二人とも、本当に良い子なのに残念ね・・・・こんな若さで死んじゃうなんて」
ゆかりは自分のスカートをたくし上げると太股に隠していたデリンジャーを取り出した
しかし、取り出したのは二丁・・・
「はい、アナタの分よ♪」
219:お漏らし中尉
09/03/09 06:00:38 2teIR59q
ゆかりはデリンジャーをみゆきの目の前に投げる
「デリンジャー・・・・フィラデルフィア・パーカッションスタイルですか」
みゆきはその小型拳銃を手に取ると、そう呟いた
みゆきの博識は本や科学の事ばかりではない
こなたは少し驚いた、もちろんゆかりも例外ではない
「流石みゆきね、ご名答♪ついでに言えばこれはダブルデリンジャー・・・一人二発うてるのよ★」
「もちろん、モデルガンではなさそうですね・・・」
「そんな、馬鹿な・・・本物なんてこのご時勢」
チューン!チューン!
「いい!?」
ゆかりはこなたの足元目掛けて銃弾を発射した
こなたの足元には弾丸が減り込み、中から硝煙が立ち上る
ゆかりは銃を地面に捨てると、今度は胸元からもう一丁のデリンジャーを持ち出した
「ふふ、高良財閥をなめたら痛い目みちゃうぞ♪」
「・・・・・」
「こなたさん、先に行ってて下さい」
「え、でも・・・」
「後で私も合流します、そしたらもう一度花火大会に行きたいですね★」
みゆきの精一杯の笑みがこなたの胸を熱くする
ゆかりも再びハンカチで涙を拭っていた
多くの友を失ったこなた、ここを離れるのは心苦しいが
みゆきはきっと自分なりのけじめを付けようとしているのだろう
こなたにはソレを妨げる権利など無い
ただ、友人としてソレを応援する義務が有る事だけは解った
例え助からなくても、みゆきは後悔しないだろう
「さあ、早く行って下さい!!」
「みゆきさん、きっとだよ!花火大会行くんだからね!!」
少女はそう言って高良家を後にした
220:お漏らし中尉
09/03/09 06:01:11 2teIR59q
「ええ・・・、きっと」
見えなくなった背中を目で追って、呟くみゆき
そして、ゆかりもまた「こなたちゃん、頑張ってね」と涙を流しながら見送った
みゆきは我が親ながら誇らしいような、情けないような不思議な気持ちで苦笑いがこみ上げてくる
そんな中お互い、親子であるにも関わらず銃口を向け合う二人
みゆきは眼鏡の奥で瞳をトリガーに向けて集中している
「お母様、聞いても良いですか?」
「なあに?みゆき」
ゆかりもまたタイトに構え、みゆきの頭部に照準を定めたまま答えた
「何故、私に銃を?」
娘の素っ頓狂な質問に母親は笑って答える
「あら、みゆき・・・・」
「・・・?」
「それ、空なのよ?」
「・・・・え」
みゆきが引き金を引くがカシャ、と隙鉄の音が木霊する
「お母さ・・・・」
チューン!チューン!
静かな空間に二発の銃声、色とりどりのコスモスは深紅に染まり
大空を哀しく見つめる少女を彩る
かつての愛娘をその手にかけた母親は、その亡骸の頬をハンカチで拭い薄く笑った
「ふふ・・・みゆきのおばかさん♪」
みゆきは死して尚、美しかった
つづく
221:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/09 06:53:13 XLPKt1oD
こえーよw
222:名無しさん@お腹いっぱい。
09/03/09 08:54:41 G1LZJ2EG
なんか泣けてきたw
223:グレゴリー
09/03/09 23:18:49 xVSikSQl
>>220
1リッターのラム酒でグデングデンに酔っ払っていてまともなことがいえる自信が
ないけど言わせてくれ。
狂気の中にせつなさを漂わせていて泣ける!
中尉の語彙の豊富さと美しい文章のひとかけらでも俺にあったら
おいらはもっと伝えたいことを皆に伝えられるのにと思います。
あと、シラフならもっといい文章が描ける気がするがそれは無理だす。