09/01/24 00:54:03 a3niRT84
>>983 出て行ってもなお残るくらいなんですねww
>>984 トップモデルなハルヒ……想像するとカッコイイなw GJ!
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すっかり遅くなってしまった帰路を急いではいるのだが、途中で少し寄り道をしたのは訳がある。
今日という日を忘れていたらあいつは怒るのは考えるまでもないし、俺にとっても大切な日であることは間違いない。
「ただいま」
「おかえり!」
必ず鍵を開ける音を聞きつけて玄関まで迎えに出てくれるハルヒは、俺に高校時代から変わらない笑顔を見せてくれた。
「……で、それは?」
俺が手にしている柄にもないものを目にして、ハルヒはきょとんとしている。おい、まさかお前忘れてるのか?
「在り来たりで悪いが、お前にだ。……一年間ありがとう、これからもよろしくな」
そう言いながら調達してきた花束を渡すと、ハルヒは目を丸くして驚いていた。本当に忘れていたのか。
今日はお前と結婚してちょうど一年だったよな。
「覚えてたの?」
って、驚く場所はそっちかよ!
「ああ、本当は外食でも誘おうと思ってたんだが、ここんとこ早く帰れない日が続いてたからな。
せめて何かと思ってたんだが、結局思いつかなかった」
「忙しいから忘れてるかと思ってたわ。覚えてくれてただけでもいいってことにしておいてあげる」
ハルヒはまた花束に負けないような笑顔になると、
「あたしもキョンを待ってたらお腹空いたわ。ご飯にしましょう」
と台所へと戻っていった。
「なあ、一つ聞きたいんだが」
「なによ」
「なんで食器が紙なんだ?」
ハルヒはやはり結婚記念日を祝いたかったんだろう、かなり気合いの入った料理が並んでいたのだが、
その料理はなぜか紙皿に並べられている。晩酌も紙コップでするのか?
「うーん、あたしも考えたんだけどさ。結婚一年目は『紙婚式』って言うから、それにちなんでみたんだけど」
紙婚式? 金婚式とかなら聞いたことあるが、一年目からそんな名前がついてんのか。
イベントごとに何かをしようとするのはハルヒらしいな。
「そうよ。二年目は藁婚式、三年目は革婚式って言うらしいわ。これは毎年祝わないとダメってことじゃない?」
まあ、名称はともかく、俺にとっても大切な日だってことには違いないさ。
「そうよ、ダイヤモンド婚式までちゃんと祝ってやるんだから!」
「それって結婚何周年なんだ?」
「七十五周年よ!」
ななじゅうごしゅうねん? おい、てことは俺は何歳まで生きなきゃならないんだ!?
「絶対に全部祝うわよ! ダイヤモンド婚式だから、ダイヤで何かお祝いしなきゃダメよね」
おい、この年金制度も怪しい時代に、仕事で収入を得る手段なんかとっくになさそうな年になってダイヤかよ!
……まあ、ダイヤはともかく、せいぜい長生きして七十五周年を迎えようじゃないか。それまでよろしく頼むぜ、ハルヒ。
「当たり前でしょ! ……それから、あたしも一年間ありがとう、キョン。これからもずっと、よろしくね」
中途半端でおしまい。