08/09/11 01:19:10 s0BMgdjB
つかさ「ねーねー今日放課後空いてるかなー」
俺「え!?う、うんまぁ」
(え、あらやだこの馬鹿女いつになく積極的じゃない。フヘヘいよいよ完全に俺にイカレちまったようだなフヘヘ)
つかさ「お姉ちゃんとゆきちゃんとでいっしょにでかけないかな?」
俺「え…!!」
(え、何この姉妹丼フラグ…まあ小煩いブタが一匹混じってるけどもとから空気みたいなもんだしどうでもいいか。
飛べない豚はただの豚だし。いや…まてよ!ゴキブリが…!!)
俺「えーと、その、ゴキ…泉さんは?」
つかさ「ああ、こなちゃんならバイトなんだってさ。えっと、こなちゃんが来ないといやかな?」
俺「いやいやそんなことないよ!!いやー楽しみだなぁ!!」
つかさ「そっか。んじゃ5時に駅ね!」
俺「うんじゃああとでね~♪」
(ゴキブリにしては珍しく空気読んだなありがとうフヘヘ)
放課後
俺「ところでどこいくの?」
つかさ「へへへ~ヒミツ」
かがみ「きっと喜んでくれると思うわよ」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「ワクワクしちゃうなぁ~」
トコトコ
俺「こ、ここは…」
つかさ「まあ開けてみてよ」
俺「ゴクリ…」バタッ
こなた「お帰りなさいませご主人様!」
俺「キモッ!!!」
バタン
401:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:20:04 s0BMgdjB
俺「俺帰る」
かがみ「ちょ、ちょっとどうしたのよ~!」
つかさ「そーだよ照れ臭いのはわかるけど、せっかくだから…ね」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「…」
402:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:55:54 6Um08lhc
田中だけど、また規制されたwww
続きはまた今度で
403:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 02:50:46 TTMZyo8W
>>355
中尉、うつ☆すた大阪、SF655、デフォ北、JEDI…
神すぎワロタwwwwwww
404:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 08:16:28 so4wwyRJ
活きのいい馬鹿がやってきたw
405:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 11:56:35 5gYiEJPq
やけに伸びていると思ったらプチ祭りがあったのか
乙
406:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 12:43:19 3uyB92aO
このスレに飛び込もうと考えてる人たちも、
彼くらい元気よくな!
407:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 17:24:13 OfEEFQFa
沖縄氏なんか描いてくれー
408:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 17:38:22 i4WPIJiF
振り込め詐欺容疑、韓国籍の男ら逮捕・警視庁
融資保証金名目などで現金を振り込ませてだまし取ったとして、警視庁少年事件課は25日までに、
韓国籍で住所不定、無職、李貴信容疑者(29)ら計8人を詐欺などの疑いで逮捕した。
李容疑者は容疑を認めているという。
同課は、李容疑者を中心とした振り込め詐欺グループが昨年3月から同5月までの間、
全国の多重債務者など計約250人から約1800万円をだまし取ったとみて、調べを進めている。
調べによると、李容疑者らは昨年3月中旬ごろ、「日本総和株式会社」と称する金融会社社員を装い
ダイレクトメールを送付し、当時60歳だった山形県の飲食店店員の女性に架空の融資話を持ちかけ、
「融資には保険加入が必要」などと話し、計約284万円をだまし取った疑い。
李容疑者らは多重債務者リストを名簿業者から入手し、ダイレクトメールを送っていた。(13:01)
URLリンク(www.nikkei.co.jp)
409:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 17:45:36 8wUR9W0R
>>402
それVIPで何日か前に立ったウザこなた突発スレのだろうw
410:(≡ω≡.)神奈川
08/09/11 20:45:18 uylmZyg4
なんか祭りみたいだから参加しても良いかな?
空いてる時間で良いんで。
411:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:03:06 n6/VLIUQ
大歓迎。てか今誰も居ないっぽいから、カム
412:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:04:44 m+6GQEnk
>>411
いや、そろそろジェダイさんが…
413:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:05:30 n6/VLIUQ
ああそうか、いつも21時頃だったな
414:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:06:04 FgvtHLwi
ああセンスのない虐待の人か
まあ勝手に投下したら?
ID変えんなよNGするから
415:JEDI_tkms1984
08/09/11 21:10:31 c+jUmJVi
皆さん、こんばんは。
今夜も投下させていただきます。
そういえばいつもこのくらいの時間ですね。
別に決めてるわけじゃないですが……。
416:惨劇館9
08/09/11 21:12:07 c+jUmJVi
そうして1時間ほど白熱した試合を展開した頃。
「あれ……?」
ボールの行き来を目で追っていたひよりが空を見上げた。
青かった空がいつの間にか灰色に染まっている。
そのあちこちから落ちてくる水滴。
「うそ、さっきまであんなに晴れてたのに?」
雨に気付いたかがみも天を仰ぐ。
ぽつぽつと降る雨は次第に勢いを増してくる。
「このままでは風邪をひいてしまいます。戻りましょう」
言いながらみゆきはすでにネットの取り外しにかかっている。
雨量が多くなるにともなって強い風も吹きつけてくる。
手早く後片付けをすませると、かがみたちは小走りに館を目指す。
水分を含んだ泥土に足をとられそうになりながら、ようやく館にたどり着いた時には、
ザーザーと轟きをあげながら、大粒の雨が容赦なく降り注いでいた。
「山の天気は変わりやすいっていうけど、海もそうなのかな?」
というこなたの問いに、
「小さい頃に沖縄に行った時も、こんな風に雨が降りました」
ぼそりとみなみが答えた。
とにかく間一髪だったと一同は揃って荷物をおろす。
「ゆーちゃん、大丈夫?」
常人にはただの降雨でも、ゆたかが当たればそれだけで発熱することもある。
「うん、平気」
屈託なく笑う様子を見る限りでは心配はなさそうだ。
「濡れたままじゃ風邪ひくわね。交代でお風呂入ろっか」
かがみがロビーの北側を指差した。
「今からお湯を張ったのでは時間がかかるのでは?」
というみゆきの指摘があり、入浴はあっさりシャワーに変更された。
体調を考えてまずはゆたかが先に浴びることになった。
残った5人はその間に濡れた体を拭き、厚手の上着でしのぐことにする。
「もうこんな時間……」
ロビー脇のソファにもたれていたひよりが腕時計を見て呟く。
古臭いアナログの針は午後5時23分を示している。
「夢中になって遊んでたからね。それにこんな天気じゃ時間の感覚も狂うし」
こなたが窓の外を覗き見る。
白と灰と黒が混ざり損ねたような雲が空をすっかり覆っている。
先ほどまでの勢いはないにしても、沛然として雨が降っている。
ほどなくしてゆたかが戻ってくる。
その後ひより、みなみと順に浴室に消え、最後のかがみが出てくる頃には午後6時を過ぎていた。
「あれ? あんなのあったっけ?」
こなたが間抜けな声を出した。
かがみたちがその視線の先をたどると、装飾用暖炉の上に真鍮製の燭台が置いてある。
煤けているがそれなりに高価そうな代物だ。
「枝付きの燭台ですね」
みゆきが言った。
台座から先端が5本、横に並ぶように分かれている。
そのそれぞれに蝋燭が立てられ、ほのかに火が灯っている。
魔術やパーティーで使うような、高さ30センチほどもある豪華な蝋燭だ。
「いつの間に……」
「いいじゃない。雰囲気出ててさ」
かがみが笑いながら言った。
褒め言葉に応えるように、5つの火がゆらりと揺れた。
「ところで、夕食はどうしましょうか?」
思い出したようにみゆきが言った。
全員の視線がかがみに集まる。
417:惨劇館10
08/09/11 21:14:22 c+jUmJVi
「……カ、カップ麺くらいならあるけど……?」
ぎこちない笑みから何の準備もないと分かり、奇妙な空気が流れる。
「いちおう材料はあるのよ? でも、ね……」
料理は得意ではない、という事実をかがみは言葉を切ることで伝えた。
しょうがないなあ、とこなたがおもむろに立ち上がる。
「材料あるんでしょ? だったら私が作ってみるよ」
「私も手伝う」
ゆたかがそれに倣う。
「では私たちは食器などの準備をしますね」
示し合わせたようにみゆきとみなみが2人の後を追って厨房に消えた。
「え、えっ……?」
気がつくとかがみとひよりだけがロビーに取り残されていた。
「……私たちはどうしたらいいっスかね?」
自分だけ何もしないことに後ろめたさを感じてか、ひよりが低頭して言った。
しばらくの間があって―。
「掃除……かな。食堂の」
食堂のテーブルに6人が揃った。
並べられた料理はこの場の雰囲気からあまりにもかけ離れた、一般家庭の料理だ。
肉じゃがと味噌汁。それに少しばかりのサラダ。飲み物は麦茶。
食後のデザートは誰かが持ってきたスナック菓子だ、
「いただきます」
各々が箸をつける。
「美味しい!」
まず声をあげたのはひよりだった。
「本当に美味しいですね。お味噌汁もとても」
みゆきは食べ方のマナーを心得ており、上品に椀に口をつけた。
ステーキだのワインだのが出なくてもいい。
肉じゃがだって、味噌汁だって立派な一品だ。
「よかったね、お姉ちゃん」
高評を得られてゆたかが嬉しそうに笑う。
「うちじゃよく作ってるからね。あ、かがみにも教えてあげよっか?」
口元に手をあて、したり顔でこなたが言った。
その口調が何とも憎たらしい。
「ま、まあ、そのうちね……」
かがみは中空に目を泳がせた。
418:惨劇館11
08/09/11 21:15:58 c+jUmJVi
食後の片づけが終わると、誰が誘うともなしに6人はロビーに集まる。
この館にはテレビもラジオもない。
こなたは最初、深夜アニメが観られないと不満を言っていたが、今はそんなこともすっかり忘れている。
「ちょっと部屋に行ってきますね。すぐに戻ってくるッスから」
ひよりがいそいそと立ち上がる。
「お、創作意欲に火がついたね?」
「そうなんスよ。ラブラブ百合物語第7集! 忘れないうちにメモっとこうと思いましてね。
小早川さん、岩崎さんのおかげだよ!」
なぜか名前を出された2人はキョトンとして互いに顔を見合わせた。
ひよりの発言の意味はこなたにしか分からない。
軽い足取りで廊下に消えるひよりを見送ると、こなたがバッグからトランプを取り出した。
「旅行の定番だよね。TCGのほうがいいんだけど、今日はこっちで」
「当たり前だ。そんなの、あんたたちしか分からないっつーの」
ツッコミながら、手際よくカードを切って配るこなたを見て相当カードゲームをやりこんでいるな、とかがみは思った。
「じゃ最初はババ抜きね」
こなたが勝手に決めてゲームを始める。
特に誰も口を挟まなかったから、そのまま5人でババ抜きをやることになった。
「あら、私のところにジョーカーが……」
「みゆき、それ言っちゃ駄目なんじゃ……?」
「大丈夫ですよ。引かせる自信がありますから」
「ゆーちゃんは順調だね」
「あ、ゆたか、それ取ったら駄目……」
「え、そうなの? じゃあこっち…………みなみちゃん、これって―?」
「岩崎さんもなかなかやるわね。ってことはゆたかちゃんが今持ってるわけか」
「そういうことになりますね。はい、フルハウスです」
「甘い! こっちもフルハウスよ」
「では引き分けですね」
「よく見てみなさい、みゆき。こっちはキングとクイーンよ」
「…………フォーカード」
「ポーカーフェイスのみなみさんはやはりお強いですね」
「じゃあこっちはファイブカードで」
「はあ? そんな役柄なんて……ちょっと、なんでジョーカー入れてるのよ」
「ふふん。そういうルールもあるのだよ、かがみん」
ババ抜きはいつの間にやらポーカーに変わり、気がつくと大富豪が始まり、七並べに転じていた。
「田村さん、遅いですね」
たっぷり1時間は遊んだ時、思い出したようにみゆきが言った。
そういえば、と4人も顔を見合わせる。
ゲームに集中し過ぎてひよりのことをすっかり忘れていた。
「すぐに戻ってくるって言ってたけど?」
「筆が進んでるのかもね。2人ともラブラブだったし……」
にやり、とこなたが笑う。
「寝てるのかもしれません」
みなみが言った。
「雨に当たったから風邪を引いたのかも―」
「ちょっと見てくるわ」
かがみが立ち上がる。
私も、とこなたも同行する。
ひよりの部屋はロビーの西側、割り当てられた3室の中では一番奥にある。
「日中はけっこう暑かったからね。熱中症とかになってなかったらいいけど」
2人は赤いカーペットの廊下を足早に進む。
ロビーや食堂に比べて照明が暗いため、廊下の突き当たりまでは見えない。
419:惨劇館12
08/09/11 21:17:10 c+jUmJVi
「なんだか寒いわね……」
かがみは言いかけた言葉を途中で切った。
そしてこなたを見る。
なんとなく空気が重くなっているのを2人は感じていた。
ひよりの部屋の前に立ち、かがみがノックする。
「田村さん?」
…………返事はない。
「おーい、ひよりーん」
少し強くドアを叩きながらこなたも呼びかけるが、中からは何の反応もなかった。
寝ているのかも、とこなたは思ったが、なぜか厭な予感がしてドアノブに手をかける。
「ちょ、ちょっと。入るのは駄目だろ。マナーってものが、あんたには―」
「倒れてるかもしんないじゃん」
なぜか真剣な表情のこなたを見て、かがみは押し黙った。
年季の入った木製のドアは、少し開くだけで不気味な軋りを立てる。
「うっ…………!」
鼻をつく不快な臭いが室内に充満していた。
ただならぬ気配を感じてこなたが一気にドアを開ける。
ひよりが壁にもたれて座っていた。
四肢をだらんと力なく伸ばしたまま。
「あ、あ、あ…………!!」
2人とも言葉を発せなかった。
丁寧に置かれた人形のように座るひよりには首がなかった。
何かに斬り飛ばされたような綺麗な切断面から、赤とも黒ともつかない血液が噴き出した跡がある。
「ああ、あ……こ…んな…………!」
こなたは腰が抜けたようにその場にへたり込んだ。
似たような状態のかがみはしかし気力だけで体重を支えると、廊下をロビーに向かって走り出す。
血相を変えたかがみに、みゆきたちは何事かと問い詰めた。
「どうしたんですか!」
みゆきとゆたかが同時に訊いてくる。
「田村さんが……田村さんが……!!」
廊下の奥を指さしながら、同じ言葉を繰り返す。
「落ち着いてください、かがみさん! いったいどうしたんですか!?」
「田村さん……田村さんが……!!」
なおも繰り返す。
埒が明かないと思い、みゆきはひよりの部屋へ向かった。
その後ろからゆたかとみなみもついてくる。
「あっ……?」
目の前に情けなく座りこんでいるこなたがいる。
怯えたような表情で、開けっぱなしのひよりの部屋を見つめ続けている。
「お姉ちゃん?」
ゆたかの問いにこなたは答えない。
(………………?)
みゆきはそっと部屋を覗き込んだ。
「見てはいけませんッッ!!」
惨状を目撃した瞬間、みゆきは反射的に後ろを振り返った。
しかしその制止はわずかに遅く、ゆたかとみなみはすでにその光景を見てしまっていた。
ほとんど凝固しかけている血の海の中、居眠りするようにもたれる首のないひよりを―。
「なに……これ…………」
理解が追い付かない出来事に、ゆたかは呆けたようにひよりを凝視した。
眩暈を覚えながら、みゆきは乱暴にドアを閉めた。
バタン! と大きな音にようやくこなたの意識が現実に引き戻される。
「みゆきさん……」
ふらふらと立ち上がり、みゆきの顔を見る。
「…………ロビーに」
泣きそうになるのを懸命に抑え、みゆきは肩で息をしながら歩き出した。
その後ろにみなみに体を支えられながらのゆたか、こなたが続く。
420:惨劇館13
08/09/11 21:18:56 c+jUmJVi
「なんで田村さんが…………」
かがみが思いつめたような顔でこぼした。
少し前まで一緒に楽しく過ごしていた彼女はもういない。
「信じられないよ!」
こなたが叫び、4人は反射的に西側の廊下を見てしまう。
「田村さん……」
肩をぶるぶると震わせながらも、ゆたかは懸命に堪えた。
少しでも意識が緩んでしまえば、その瞬間にも気を失ってしまいそうである。
みなみがそっとゆたかの肩に手を回し、なかば強引に自分のほうに引き寄せた。
みゆきたちはひよりの死に直面してから、この洋館が異常なほど不気味に思えてきた。
シャンデリアの明かりが怖い。
その明かりを遮る調度品の陰に、何かがいるのではないかと錯覚させる。
「どうしよう…………」
かがみが俯いた。
あり得ない出来事に正常な思考ができなくなっているようだった。
「犯人を探そうよ!」
こなたがとんでもない事を言い出した。
「無茶ですよ!」
みゆきが慌てて止めに入る。
「あんなことをする人ですよ!? 探すなんてとんでもないことです! 危険すぎます!!」
冷静さを幾分か失っているみゆきは、彼女らしからない激しい口調でまくし立てた。
でも、と食い下がるこなた。
「このままじっとしてられないじゃん! 私たちも殺されるよ!!」
「ですから危険を冒す必要はないと言っているのです!」
「犯人を捕まえれば安心できるでしょ? こっちは5人もいるんだし、ひよりんが可哀想だよ!」
「そういうことは警察に任せて…………警察!!」
みゆきが弾かれたように顔をあげた。
「そ、そうよ、警察よ! 早く通報しなきゃ!」
言うより早くかがみが立ち上がっていた。
電話は階段の横にある。
洋館に似つかわしくない、ファックス機能が付いた普通の家庭用固定電話だ。
受話器を耳にあて、110番をプッシュする。
「あ、あれ…………?」
かがみがフックを何度も押す。
「どうしたんですか?」
表情は変わらないが、切羽詰った様子でみなみがやって来た。
訊かずともかがみの行動を見れば何があったのかはすぐ分かる。
「繋がらないのよ」
苛立ったようにフックを押す。
横からこなたが受話器をひったくり耳に当てた。
「電話線が切れているのかもしれません……」
無駄と分かっていながら、みゆきも受話器をとって繋がっていないことを確認する。
厭な空気が流れた。
電話が繋がらない、警察に通報できない。
思考がそこまでたどり着くと、次に湧き上がるのが恐怖だ。
「あの、携帯電話ならどうでしょう?」
みなみに言われ、3人は顔を見合わせた。
我先にとケータイを取り出す。
だが―。
「うそ……圏外!?」
ほとんど同時に声があがる。
どのケータイも同様に圏外の表示が出ている。
試しにとかけてみるが、
”電波状況の良いところでおかけなおし下さい”
と警告されるだけだった。
421:惨劇館14
08/09/11 21:19:53 c+jUmJVi
「ふふふ…………」
不意にゆたかが笑った。
「ふふ、ふふふ…………」
ゆっくりと立ち上がる。
「ゆ、ゆーちゃん……?」
その様があまりに不気味で、こなたは搾り出すように彼女を呼んだ。
ゆたかは虚ろな目で天井を見上げ、
「死ぬるぞよ、死ぬるぞよ」
唇をわずかに動かして言った。
「魂、我に捧げよ。ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ……罪深き汚穢なる魂、我に捧げよ」
「……ゆーちゃん、何言ってるの?」
半笑いでこなたが訊ねる。
しかしゆたかはその声を無視して、
「血の大河流せ、骨の山築け。ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ……。
魂、集め、集め、我に捧げるなら、血骨を以って命、生まれるぞよ。血の大河流せ、骨の山築け。
ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ…………」
ゆたかは中空を見つめながら繰り返し繰り返し、その言葉を続けた。
「やめてください!!」
ついに耐えかねてみゆきが怒鳴ると、ゆたかは急に力が抜けたようにその場に倒れた。
「ゆーちゃん!!」
我に返ったようにこなたが駆け寄り、自分よりもさらに華奢な少女を抱き起こす。
気を失っているようだ。
「ゆたか」
みなみがそっと額に手を乗せ、発熱していないことを確かめる。
「ま、待ってください」
部屋へ運ぶため2人が抱きかかえたところへ、みゆきが厳しい口調で言った。
「ここに寝かせましょう」
ソファを指差す。
ひよりがあんな目に遭ったのだ。
彼女をひとり部屋に寝かせるのは危険だ。
みゆきの言わんとすることを理解した2人は、窓際のソファにゆたかを横たえた。
422:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:33:08 n6/VLIUQ
規制かー。
>>410
解除支援がてらに、投下しちゃったら?
423:JEDI_tkms1984
08/09/11 22:01:09 c+jUmJVi
以上、今夜はここまでにします。
今までと毛色が違うのでグロテスク表現が苦手な方はご容赦を。
それではまた明日。
(なぜかいつも、この最後の挨拶のところで規制に)
>>383
恐縮至極です。頑張ります。
>>403
そこに自分の名を連ねられるのはまだまだ早いかと……。
424:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 22:21:17 Q9Loa76w
ところで>>214って、以前ここで何描いた人なんだ?
絵柄的に初めて見るっぽいけど、久々に描いたって言ってるが…
425:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 22:42:32 m+6GQEnk
>>424
えーと、多分スケッチ2の「絵馬に願いを」の人ではないかと
426:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 23:51:30 mJANBwo5
>>350 10分 規制で止ったみたいなので赤い悪魔投稿します。
予定3分後
話の展開上2レスだけです。
427:赤いK悪魔の終焉2-9
08/09/11 23:54:41 mJANBwo5
「みなみちゃんどうしてここに」。そこは居るはずの無い、岩崎みなみがいた。
「ゆたかを止めに来た。もうこれ以上、罪を重ねさせる訳には行かない」。
みなみの真剣な表情とは裏腹に、ゆたかの表情は冷酷だった。
「そうか、みなみちゃんも私を捕まえに来たんだね。裏切るんだね。許せないよ」。
「何なら、竜崎さんの名前の変わりに、みなみちゃんの名前でも良いや。書いて良いかな」?
ゆたかの言葉に、驚くみなみ、しかし次のみなみの言葉はゆたかの想定外だった。
「それで、ゆたかの気が済むのであれば書いて」。
「本気で言ってるの?私はキラなんだよ。もう何人も殺したんだよ。どうして信じられるの」。
「親友だから。私は無口だから、高校まであまり友人がいなかった。高校で初めてゆたかに
会って、初めて親友といえる存在が出来た。だから、私だけはゆたかを信じる」。
「みなみちゃん、うっくうわあああああん」。号泣するゆたか。それは数年ぶりの本当の涙だった。
ふらふらと、ペンを動かし、ノートに自分の名前を書こうとするゆたか。ピシャーン
「みなみちゃん、何するの」。ゆたかは頬を押さえる。
「ゆたか、死んだら償う事もできない。もし自分の名前を書いたら私も自分の名前を書く」。
「ダメだよ、みなみちゃんは死んではダメだよ。うわあああああん」。
「信じてる。ゆたかが、必ず再起できると信じている。だから一緒に行こう」。
ゆたかの手から、デスノートのページが落ち、みなみが拾う。受話器を取り、
「今から、ゆたかを連れて行きます」。
「ありがとうございます、みなみさん。おかげで来年も苺大福を食べれそうです」。
「別に貴方の為に助けた訳ではありません。ゆたかの為です」。
「絶対にゆたかに危害を加えないでください。もし危害が加えられたら、
絶対に許さない。どんな手段を使用してでも竜崎さんの事を調べ、ゆたかの仇を討ちます」。
「解りました。直ちにSATは後方に下げさせます。しばらくお待ちください」。
直ぐに、指示が飛びSATや機動隊は後方に下げられた。
428:赤いK悪魔の終焉2-10
08/09/12 00:01:45 mJANBwo5
10分後、みなみに連れられたゆたかが、警察に投降し事件は終息した。みなみは、
デスノートのページを竜崎に渡した。その前に、竜崎は自分の名前が書かれた(最後の1文字が書かれて
いないので発動しない。)ノートのページを破り、大石のライターを奪い、火を付けて燃やしてしまった。
「私の名前は、自衛隊のこんごう級イージス艦の誘導システム級の機密なので
見せる事は出来ません。みなみさんは、今日は家に帰ってください。御家族も心配されるのは」。
「調査が終わったらこのノートを焼いてください」。みなみの願いに対し、
「気持ちは解りますが、それは出来ません。ゆたかさんの記憶が消し飛んでしまうからです」。
ゆたかさんの贖罪の為には、このノートは必要です。記憶が消えても罪は消えません」。
無論、ワタリと相談し、厳重なセキュリティーの元監視し、使用できなくします。
「そういえば、岩崎家は高良家の近くでしたね。松田さん、お手数ですが送って行って貰えますか」?
「OKっす。じゃあ車に乗ってください」。お礼を言い、みゆきが乗る。みなみが乗ろうとした時、
「南さん、私の負けです」。突然竜崎が負けたなどと言い出した為、全員が驚いた。
「どういう意味ですか。私は、貴方と勝負していない」。
「私は、以前かがみさん達に、ゆたかさんは更正出来ないと言いました。その判断が、間違っていたとは思いません」。
「しかし、みなみさんはゆたかさんに本物の涙を流させる事が出来ました。もしかしたら彼女は更正できるのかも」。
「みなみさん、貴方も私の後を継げるかも知れませんね。考えてみてください」。
「お断りします。ゆたかの事お願いします」。みなみが車に乗り、車は夕闇の町へと走り去った。
「残念です」。竜崎は本当に残念そうな表情で答え、1個だけ残っていた饅頭を食べた。
「熊ちゃん、鷲宮まで柊さん姉妹を送ってあげて下さい。課長へは私が連絡しておきます」。
車に乗ろうとした、つかさが足を止め竜崎に尋ねる。
「もうこれで事件は終わったんだよね。こなちゃんの無実を証明してくれてありがとう」。
「はい事件は終わりました。私はまだ1人だけ会わねばならない人がいますが、貴方達は知らない方が良いでしょう」。
「えっ、誰かな、かな。気になるんだよ、だよ」。
「つかさ、早くしないと置いていくわよ」。かがみが、車の窓を開けて叫ぶ。
「お姉ちゃん、待ってよー」。つかさが慌てて乗り込み、発進した。
竜崎は、急速に暮れつつある空を眺めた。予報では今夜から崩れるらしい。
「明日は、雨になりそうですね。涙雨と言うやつでしょうか」?
429:デフォ北
08/09/12 00:03:50 m+6GQEnk
えーと…おkですか?
430:赤いK悪魔の終焉2-10
08/09/12 00:09:59 wGtcajlg
今日はここまで。次から後編というか、終章に入ります。
前回かがみが、「最後の晩餐」ならぬ「最後のおやつ」を買いに行った
店の名前の元ネタは、「あんどーなつ」に出てくる老舗の「満月堂」
です。現在ドラマも放映中。
431:デフォ北
08/09/12 00:15:15 TD8nNRO6
>>382の続き投下します
今の言葉は本当にそうじろうのものなのか、それすら疑問に思えた
こなたは思わず病室を飛び出してしまい、激しい動悸に胸が苦しくなった
背筋には寒気が走り、額には大量の汗がこびりつく
こなたは深呼吸して再び病室に入った
そうじろうは写真を眺めていた
そう、さっきのこなた達が写っている写真である
こなたは恐る恐るそうじろうに近づく
そうじろうがこちらを向くと、こなたは目を泳がせながら言う
「…?」
「あ、あの…その写真…」
「あぁ、これ?可愛いでしょ。こなたっていう娘なんですよ」
「え…お父さ…私…」
「こっちはかなた。自慢の妻です。こなたによく似てて可愛いでしょ」
そうじろうは写真を渡す
こなたは頭を真っ白にさせながら受け取る
「あ、はあ…可愛い…ですね…」
「おい!」
「…え?」
「何盗ってるんだよ!早く返せよ!汚い手で触るな!」
「え1?ちょっ…やめて、それ服だよ!引っ張らないでぇ!」
そうじろうはそのままこなたの服を引っ張り続け
とうとうビリっと音を立てて大きく裂けてしまった
こなたは脇腹が露になった服のまま、その場から動くことも出来なかった
ナースコールさえも忘れ去り、頭の中には虚無しか残らなかった
こなたは写真を見ながら完全に自己の世界へ入っているらしいそうじろうを見る
目の前にお父さんが居るのに、お父さんと呼べない事実
気が付いたらこなたは病室を出て、ドアの正面にある椅子に座っていた
無表情のまま、真っ白に磨かれた地面を延々と凝視する
涙を拭うこともせず、ズボンは2つのシミを作っていた
「おーす、こなた」
「こんにちは、こなちゃん」
こなたはせっかくやってきてくれたかがみとつかさの声すら耳に届かない
「どうしたの?こなた…ねえ」
「こなちゃん…」
かがみはこなたの肩を揺する
いくら呼んでも返事が無いので
かがみはこなたの両肩を掴んでぐいっとこちらに向ける
「こなた…!何があったの!?」
こなたの緑色の瞳が微かに動いた
「か…が……みん」
「そう、判る?こなた」
「かがみん…かがみん…」
432:デフォ北
08/09/12 00:16:18 TD8nNRO6
こなたはかがみに身を委ねるように倒れこむ
「こなた、しっかりして!ちょっ…つかさ!医者呼んで!」
「う、うん…判ったよ!」
こなたは診察室のベッドで目が覚めた
かがみの顔がこなたの網膜に大きく映った
「こなた…よかった…もう、心配したんだから」
「こなちゃん…」
「かがみん…つかさ…あれ…?私…どうしちゃったんだろ」
「お姉ちゃんにいきなり倒れ込んだんだよ、こなちゃん」
つかさはかがみの後ろから顔を覗かせる
「え…そうだったのか…ごめん、かがみん」
「そんなことはどうでもいいのよ。あんた一体どうしちゃったのよ」
「……お父さんが…」
「え、こなたのお父さんがどうかしたの?」
「ひっく…うぇ…っく」
すると、かがみはそうじろうの病室に向かって診察室を飛び出した
「お、お姉ちゃん!」
かがみは息を切らせながらもそうじろうの病室の扉を開く
勢いよく開かれた扉の音にそうじろうはかがみを見る
しかし、そうじろうは首を傾げて言う
「…君は?」
「柊…かがみです」
「かがみ…?先生ですか?」
「ち、違います。高校生ですよ私は
以前お会いしたじゃありませんか。こなたの友達です」
「…こなた?何でこなたに高校生の友達がいるんですか?」
「そりゃ居ますよ!こなたも高校生ですから!」
「…何を言ってるんだい君は。出鱈目もいい加減にしてくれないか
こなたが高校生な訳ないじゃないか。だってこなたはここに居るんだぞ?」
そうじろうは写真を指差す
「何言ってるんですか!違いますよ!目を醒まして下さい!おじさん!!」
必死になって叫ぶかがみをそうじろうは見向きもせず
再び写真を見つめる
「早く帰ってくれ。付き合いきれない」
「おじさん!!」
ふと、服の袖をこなたが引っ張った
かがみはこなたに引かれて病室を出る
「もういいよ、かがみん…もういいから…」
「でもこなた!あんた…」
かがみは反論しかけるが
こなたの大粒の涙と崩れた顔を見て口籠る
「こなちゃん、とりあえず病院出ようよ」
433:デフォ北
08/09/12 00:17:10 TD8nNRO6
つかさが優しく声をかける
一先ず、3人は病院を出た
「そういえばみゆきは?」
「ゆきちゃんは委員会だって。遅くなるから今日は行けないって言ってたよ」
「…そう」
「…」
会話が中央のこなたの顔色の悪さから時折遮られる
「うっ…!」
「こなた!」
「こなちゃん、大丈夫!?」
こなたが突然地面に座り込んでしまった
かがみはこなたの背中を何往復も擦る
つかさはいつものように右往左往している
「こなた、家に来なさい」
「…でもかがみん」
「いいから。引っ張ってでも連れていくわ」
「こなちゃん、今日はゆっくりしていってよ
全然気なんか使わなくていいから」
「…ありがとう。ごめん、二人とも…」
「だから謝らなくていいんだってば。ほら、肩に掴まって」
3人は、ゆっくりと柊家目指して歩んでいった
家に辿り着くとかがみはみきに訳を話し、こなたは家に泊まる事となった
3人でトランプをしたり、談笑したりしてこなたの気を紛らせたかった
こなたの機嫌が徐々に戻っていくのが感じられた
そこで、かがみはある提案を示した
「ねぇこなた、あんた家の養子にならない?」
「えっ…?」
「そうだよ、こなちゃん。それがいいよ」
「…ごめん、それは出来ない」
「どうして?」
「これ以上お世話になる訳には行かないし
私、実は誰の養子にもならないって宣言しちゃったから…」
こなたは再び俯く
「宣言って…誰に宣言したのよ?」
「ゆーちゃん達に」
「ふうん…ゆたかちゃんの家族も養子になろうって言ったんだね?」
「そうなんだけど…小早川家はお父さんの死を望んでるみたいだった
だから、私怒って追い出しちゃったんだよ
私は誰の養子にもならないって。泉を貫き通すって」
「…そんな強情張らなくてもいいじゃない、こなた」
「私は本気だよ。あんなに断言した矢先から柊家の養子になってたら
小早川と成実に揶揄われるよ」
「こなちゃん…私達は違うよ?おじさんに死んでほしいなんて思ってない
ゆたかちゃん達も、本当はこなちゃんの事を想って言ったんだよきっと」
「…つかさはゆーちゃん達を味方するんだ」
「えっ…そ、そういう意味じゃなくて…」
「とにかく、私は誰の養子にもならないよ。死んでもならない」
「……そっか。うん、そこまで言うんなら
私達も無理に養子にさせようとはしないわ」
「お、お姉ちゃん…」
434:デフォ北
08/09/12 00:18:13 TD8nNRO6
「でも、もし私達が必要だったら何でも言ってね。力になるから」
「…うん、ありがとう…かがみん」
こなたは柊家の養子になることを断固断った
きっと裏で大きな何かが関わっているのだろうが
それをこなたに深く追及したりはしなかった
いくら追求したとしても、こなたが柊家の養子になることは無いだろうから
もし、今日もあのままこなたを見逃していたらどうなっていたことだろう
考えただけでも寒気がする
ただでさえ繊細なこなたが、これほどのショックを受けて
自力で立ち直れるはずがない
もしかしたらそうじろうがこなたの記憶を失ったのをいいことに
自殺していたかもしれない
かがみはそんな悪寒に身を震わせながらも
隣で静かな寝息を立てているこなたの寝顔を見て安堵しつつ
こなたの頭をさっと撫でた
でも、今少し元気なこなたがここにいる
少なくとも、私達と遊んだから元気を取り戻したに違いない
そう思うとかがみは嬉しくなって思わず笑みが零れ出た
翌日こなたは柊家で朝食に呼ばれ、かがみとつかさは学校
こなたは病院へと向かった
正直、あまり気が進まなかった
また病院でつらい思いをするのかと思うと
足を止めて帰りたくなる
でも、いつそうじろうが死ぬかも判らない今
目が覚めていることだけでも幸いに思うべきだろう
こなたが病院にたどり着くと、医師が待っていたかのように飛び出してきた
「どちらに居られたんですか、いくら掛けても留守番電話で…」
「すみません…家の番号しか教えてなくて…友達の家に居ました」
「それはともかく、そうじろうさんが
化学薬品を飲用していた事が判明致しました
恐らくそれがこの脳細胞の破壊に繋がっているのかと…」
「化学薬品…ですか?」
「はい。かなり多量を服用されたようで、もう手の施しようもありません…
もう少し発見が早ければ迅速に対応出来たのですが…」
「え…先生、それって…」
医師はこなたから目線を下げながら言う
「…延命治療は行いますか?」
435:デフォ北
08/09/12 00:20:36 TD8nNRO6
ここまでです
ジェダイさんや中尉さんの文章を見ると
日本語はとても単語が多いということを身をもって実感します
436:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 00:25:59 jOYXzxSy
>>435
だからこそ作者それぞれの個性が出るんだと思うよ
結構単語の使い方とか表現で誰が書いたとかわかるよね
>>425
違うよ全然違うよ!
437:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 00:28:28 SPZ8sb7C
>>421
GJ!!
これからの展開に期待します
でもひよりってこういう作品だと真っ先に殺されちゃうんですよね・・
使いづらいキャラだからかな?
>>435
日本語って難しいですね
僕も前に書いたSSがとてもじゃないが見れなくて・・・
438:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 01:38:02 3AzLnnTY
マジで祭り状態だなw
規制に引っかかるだろうけど、乱入させてもらいます。
割り込み大歓迎です、規制解除が早くなるから。
人によってはちょっとグロイかもしれません。
あと、かがみ好きな方は題名かIDでNGしちゃって下さい。
439:psyGOA
08/09/12 01:39:18 3AzLnnTY
自宅最寄駅を出て、溜息を一つつく。
下らない茶番に付き合わされたものだ。私が今日担当した案件を思い出すたび、
胃からさっき飲んだブラックコーヒーが逆流しそうになる。
そのくらい、下らない茶番だった。そもそも民事裁判において、
クライアントが弁護士に隠し事なんてするなよ…。
ちゃんと集めておくように指示した証拠物は集めてくれ…。
少なくとも集めようとした努力の跡くらいは見せてくれ…。
愚痴は尽きない。
お店のウィンドウに映った自分の顔をふと眺めると、
傍からでも分かるくらいに不機嫌そうだった。
クライアントの前でこの表情を出さなかった事に関しては、
素直に自分を褒めよう。
だが…。こんな夜叉の如き恐ろしい顔のまま帰宅するわけにもいかない。
愛しい愛しいつかさに、こんな表情は見せたくなかった。
そうなると…家に向かう前に、気分転換でもしたほうがいいかもしれない。
そう思い立った私は、郊外のコンビニに入る。
ここで慈善事業に勤しむのだ。気持ちがささくれ立っている時は、
善行をするに限る。
そのコンビニでは、稜桜学園高等学校時代の同級生、泉こなたが働いていた。
フリーター、というやつだ。彼女の経済状態は、
一般のフリーターと比べてもなお、悪い状態にあるらしい。
というのも、彼女の父親が病の床に臥せっており、
彼の看病もしなければならない。作家の父親ではあるが、
印税は悉く治療費に持っていかれ、生活費をすら逼迫していた。
それに父親の看病をしながらでは、こなたは正規職員として働く事は難しいだろう。
だからこそ、私はここで慈善活動に励まねばならない。
440:psyGOA
08/09/12 01:40:51 3AzLnnTY
こなたは店に入ってきた私に気がついたようだが、
敢えて知らないフリを通していた。けれでもそんな態度も気にはならない。
こなたがレジに入っている、それだけで私の慈善活動も功を奏すのだ。
私は「うまい棒」を一本手に取ると、こなたが居るレジへと向かった。
「こちら、10円になります」
目の前に私が居るというのに、こなたは淡々と事務的に業務をこなしていた。
私はそんなこなたに一万円札を手渡した。
「一万円からお預かりします。こちら、まず大きい方、五千、六千、七千、八千、九千、
九千円のお返しになります。お確かめ下さい」
丁寧に数えられた札束が私へと手渡されたが、私は敢えて財布にはしまわなかった。
こなたはそんな私に構う素振りも見せずに、
「こちら、990円のお返しになります。お確かめ下さい」
と事務的な口調で、小銭も手渡してきた。
さて、ここからが慈善事業のスタートだ。
富める者から貧しい者へと、施しはなされなければならないだろう。
それが、強者の義務であり、能力のある者の役割というものだ。
私は先ほど受け取ったお釣りの内、札束をこなたの目の前にかざして見せる。
かざした札束と私の顔に、こなたの訝しげな視線が交互に注がれた。
そんな目で見ないで欲しい。私が行おうとしているのは、
間違いなく善行であり、貧しい者に救いの手を差し伸べる事なのだから。
私はこなたの顔を見つめて、にっこりと微笑んだ。
きっと聖母のような優しい微笑みが、私の顔に称えられている事だろう。
聖母ならば、微笑んだまま恵まれない者へと施しを与えるのだろう。
だから聖母たる私は、こなたに微笑を向けたまま慈善活動を
実行へと移した。
441:psyGOA
08/09/12 01:41:52 3AzLnnTY
札束からまず千円札を一枚抜き取り、ゆっくりと募金箱へと投入する。
こなたは驚いたようにその様子を眺めていた。
「家、おじさんが病気で貧しいんですって?」
もう一枚、千円札を募金箱へと投入する。
「大変ね、こなた。お大事に」
更にもう一枚。
ここに来てこなたは、初めて憎悪の眼差しで私を睨みつけた。
でも私は慈善活動に勤しむ聖母。アフリカの恵まれない人々の為に、
募金をしている心優しき聖母なのだ。
聖母たるもの、例え敵意の視線でもって迎えられたとしても、
常に微笑みを絶やすべきではないだろう。
だから私の顔からは、笑みは消えていなかった。
ただ、もしかしたら笑みの種類は変わっているかもしれない。
弱者に対する優しい微笑みから、当てつけめいた嘲笑へと。
憎悪の視線を一身に受けながら、最後の千円札を募金箱へと投入した。
こなたは依然として憎悪をその醜い顔に漲らせていたが、
瞳にはある種の卑しい光が宿っているように見えた。
媚びを売る人間がよく瞳に浮かべている、
あの吐き気を催させる物欲しそうな羨望の光のことだ。
「あ、いけないいけない。またはした金ケチる所だったわ」
「はした金」という単語に強いアクセントを加えながら、
私は五千円札も募金箱へと投入した。
こなたの顔から憎悪の色が消えた。こなたはあからさまに物欲しそうな瞳でもって、
ごくりと唾でも飲み込む音が聞こえそうなほどの飢餓に満ちた表情でもって、
五千円札が募金箱に落ちていくのを見つめていた。
こなたの胸中を想像すると、踊り出したいほどの高揚感に襲われる。
喉から手が出るほど欲しいお金が、無造作に募金箱へと投入されたのだ。
きっと焼けるような思いに囚われている事だろう。
ああ、今日あった嫌な事も簡単に吹き飛んでしまうくらいに、
至福に満ちたひと時だ。満悦満悦。
「こなたぁ、なんて顔して募金箱見つめてるのよ?」
こなたはなおも募金箱を見つめていたが、私に指摘されると
途端に顔を赤く染めてそっぽを向いてしまった。
「別に」
442:psyGOA
08/09/12 01:42:49 3AzLnnTY
「そお?その五千円を私にくれ、って感じの視線で募金箱見つめてたけど」
こなたは私を強く睨みつけた。
「ばっかじゃないの?そんな目してないよ」
強がるこなたを見下ろしながら、心優しい私はある提案をしてあげた。
小銭の990円をこなたの前に掲げると、余裕に満ちた声音で語りかける。
「ふーん?私の勘違いだったのかしら?
でもね、こなた。もし本当に欲しいんだったら、
正直に欲しい、って言った方がいいわよ?
何だったら、コレ、恵んであげようか?
『施しをわたくしめに』って言うのなら、コレあげるけど?」
どうせ無用な強がりで突っ撥ねるだろう、そう踏んでいたのだが、
なんとこなたは一瞬ではあるが考える素振りを見せた。
その姿に私は思わず笑いそうになった。
プライドというものがないのだろうか?1000円に満たない額で、
プライドを売ろうなどと一瞬でも考えたのだろうか。
「要らないよ」
こなたは結局、迷いの素振りを見せこそすれど、私の心優しき提案を無碍にした。
「ああ、そうよね。だってコレ、世界中の恵まれない人の為のものだもんね」
私は小銭も募金箱に全て投入してやった。
「っ」
こなたは弾かれたように私を睨みつけた。瞳に涙を溜めながら、
今にも掴みかかってきそうな勢いで私を睨み上げてくる。
もしこの視線が、頑健な体格の持ち主から注がれたものであるならば、
私も恐怖の一つくらいは感じた事だろう。
だがこなたのような幼い体格の人間がそんな視線でもって私を睨んでも、
ただただ滑稽なだけだ。
さて、こなたの無様な姿を見てストレス発散をしたことだし、
そろそろ帰るとしようか。それにしても、いい表情をしていたな。
絶望と羨望と怒りがない交ぜになった表情。
こなたにお似合いの表情だったよ。
「あ、そうだこなた」
帰り際に、私はこなたにも施しを与えてやることにした。
「コレ、あげるわ。最初からこんなモン欲しくなかったし。
ご馳走でしょ?味わって食べてね」
うまい棒をこなたに押し付けると、
清清しい思いを胸に抱えながら私はコンビニを出た。
こなたの敵意に満ちた視線はコンビニを出るまで感じていたけど。
善行を積んだおかげで、その日一日私は気分良く過ごせた。
それにしても…どうしてこなたはつかさと別れようとしないのだろう。
つかさを不幸にしかしない、というのが分かりきっているはずなのに。
つかさの姉として、そんなこなたを許すわけにはいかなかった。
443:psyGOA
08/09/12 01:43:44 3AzLnnTY
*
次の日の夜、つかさが泣き腫らした目で帰宅してきた。
「ど、どうしたのつかさっ」
慌てて駆け寄る。つかさが泣いているのだ、
落ち着いてなどいられない。
「こ、こなちゃんがっ、こなちゃんが…」
こなたですって?私の心は憎悪に燃えあがった。
昨日の腹いせに、こなたがつかさに何かしたのだろうか。
許せない、絶対に許せない。
「こなたに何かされたのっ?」
つかさはふるふると首を左右に振った。
「こなちゃんが…自殺しちゃったの…」
憎悪に燃え嵐が吹き荒んでいた私の心は、途端に平穏を取り戻した。
こなたが自殺した、それは私にとっては朗報だった。
こなたと付き合っていたつかさにとっては辛いことかもしれないが、
長い目でみればこれで良かったのだ。あんなのと一緒になっても、
つかさは幸福にはなれない。それにつかさには私が居るのだ。
こなたが死んだことにより空いた隙間は、私が埋めてやればいい。
ほら、愛しい愛しい私のつかさ。涙を拭いて?
あなたには私が居るじゃない。
「つかさ、それは悲しいわね…。でもね、前向きに生きないと駄目よ?
恋人が居るのに、勝手に命を絶つような人間に縛られてちゃ駄目だからね」
「…。お姉ちゃん、でも私にとって、こなちゃんが私を支えてくれた。
その支えを失っちゃった今、私一人でなんて立ってられないよ」
つかさが一瞬沈黙したのが少し気になったが、
それよりも今は後半の発言の方がより強く私の関心を引いた。
私が入りこむ隙間が、あっさりと見えたのだから。
まるで運命であるかのように、あっさりと。
「つかさ、私じゃだめ?私じゃつかさの支えになれない?」
「でもお姉ちゃん、私達、姉妹だよ?いいの?」
「いいに決まってるじゃない」
444:psyGOA
08/09/12 01:45:17 3AzLnnTY
つかさを強く強く抱きしめた。つかさの心を手に入れた。
その幸福感に満たされていくのを私は感じていた。
でも何故だろう?どれだけ強く抱きしめても、
つかさの温もりが伝わってこない。まるで氷柱を抱きしめているようだ。
いや、ハリネズミを抱きしめているような感覚、
といったほうが近いだろうか。つかさの中の何かが鋭く私を刺している、
そんな錯覚に囚われた。
「…。お姉ちゃん、着いて来て欲しいところがあるんだ。
一人じゃ行けそうもないから、一緒に来てくれる?」
「何処へ行くの?」
「こなちゃんの家」
私は驚いてつかさを見つめた。今更何の用があるというのだろう。
「何をしに行くの?」
「まだ、お別れの挨拶言ってなかったから。
それなしじゃ、次のステップにも進めないよ。
でも一人じゃ行く気になれなくて。一人じゃ、こなちゃんへの想いを
断ち切れそうにもないから…」
「付き合うわ」
私は即答していた。
ロマンチックな展開になったものだ。これから一緒に未来を歩む二人が、
二人一緒に過去を断ち切りに行く。これほど未来への門出を演出する儀式として
相応しいものが他にあるだろうか。
「じゃあ、行こうか」
「ええ、一緒にね」
私達は、連れ立ってこなたの家へと向かった。
ありがとね、こなた。死んでくれて。
生まれて初めて、私はあの下賎の存在に感謝の念を抱いていた。
445:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 01:58:07 xq8ZI+Hn
規制?
446:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 02:01:31 TD8nNRO6
ひ、ひぇぇ…
勘弁して下さいよ
このスレのSSレベルどれだけ高くなるんですか
447:psyGOA
08/09/12 02:01:54 3AzLnnTY
*
泉家は暗かった。明かりなど何一つ付いてはいない。
こなたが死んでも、父親はまだ生きているはずだから
明かりの一つくらいついていても良さそうなものだが。
それとも、病人らしくもう寝てしまったのだろうか。
それにしても、病人を置いてけぼりにして自殺してしまうなんて、
こなたもつくづく無責任な人間だ。やっぱりつかさは任せられなかったな。
いや、仮に完璧なる存在が居たとしても、つかさを譲る気は毛頭ないけど。
「お姉ちゃん、入ろうか」
「え?でもおじさんが寝てるんじゃない?」
「大丈夫だよ」
つかさは玄関の引き戸を開けると、靴を脱いで泉家へと上がっていった。
泉家の状態に違和感を覚えつつも、私もつかさに従う。
そう、違和感。つかさの後を追って階段を上がりながら、
違和感の正体を考えていた。何かがおかしい。
私がその正体に気付くのと、こなたの部屋の前につかさが立ったのが
ほとんど同時だった。
「じゃ、入ろうか。お姉ちゃん」
そうだ、こなたが死んだのなら、泉家は葬式の準備の最中のはずだ。
なのにその気配すらない。確か親戚は居たはずだから、
そうじろうが病床に臥せっていても彼女達が取り仕切っているはずだった。
それとも、経済的に頼られるのを恐れて泉家から
親戚一同距離を置いているだけなのだろうか。
こなたの部屋のドアを潜りながら、ぼんやりと考えを巡らせる。
つかさは私がこなたの部屋に入ったのを確認すると、
ベッドを指差した。
「まずはお姉ちゃんから、こなちゃんへの最後の挨拶をお願いしていい?」
「いいけど…」
正直なところ、『死んでくれて有難ね。生まれてこなければ、
それが一番良かったけど』とでも言ってやりたいのだが、
つかさの手前そんな事を言うわけにもいくまい。
こなたのベッドの前に跪きながら、弔いの言葉を必死に考える。
だが、そんな必要などなかった…
「つかさ…これ…」
448:psyGOA
08/09/12 02:02:47 3AzLnnTY
私が驚愕すると同時に、部屋の鍵が閉まる音がした。
慌ててドアに視線を走らせると、
つかさがドア鍵とドアノブをガムテープで縛っているではないか。
「つかさ?何やってるの? それにこのベッド…
こなたの身体が無いわよ?」
布団の中に敷物を詰めて、人間が寝ているように見せかけているだけだった。
「だってこなちゃん、生きてるもん」
「えっ?」
私は絶句していた。こなたが生きている?
ならばつかさの行動は、何を意味しているのだろうか。
私が脳の中に浮かんだクエスチョンマークの
解消に四苦八苦しているその時、押入れが音を立てて開いた。
「つかさ、どうだった?」
その押入れから、こなたが飛び出してきた。
私の存在など気にも留めることなく、こなたはつかさと話を始めた。
「やっぱり私の言った通りだったよ。
こなちゃんが自殺した、って言ったら、お姉ちゃん、
大喜びで私と付き合おうとしたよ。録音してあるから、聞いてみる?」
「お願いするよ」
呆然としている私を余所に、つかさはポケットから録音機能付きの
ハードディスク内蔵型携帯オーディオを取り出し、こなたに手渡した。
「一番新しいヤツを再生すればいいのかな?」
「うん」
こなたはイヤホンを耳に挟むと、オーディオの操作を開始した。
「つかさ…どういう事なの?」
縋るような視線をつかさに投げかけながら、私は問いかけた。
「ああ、さっきね、私がお姉ちゃんに『こなちゃんが自殺しちゃった』
って言った時あったでしょ?その時録音してたんだ。
オーディオを隠しながら音声拾う以上、
オプションのマイクをつけなきゃならなかったから、
ポケットが膨らんじゃってお姉ちゃんに気付かれないか冷や冷やしたよ。
で、それを今こなちゃんが聞いてるってわけ」
「何で、そんな事を…」
449:psyGOA
08/09/12 02:03:39 3AzLnnTY
「お姉ちゃんが私を好きだ、っていう事をこなちゃんに教える為だよ。
こなちゃん、半信半疑だったから。お姉ちゃんの私に対する態度見てれば、
誰でも分かるはずなんだけどね。当事者である私ですら、
お姉ちゃんが私に対して恋愛感情抱いているって分かったくらいだもん」
「何でそんな事をこなたに教える必要があるのよ…。
それにどうして、こなたが自殺したなんて嘘を…」
「あながち嘘でもないけどね」
気付くと、こなたは既にイヤホンを耳から外していた。
「つかさ、やっぱりつかさの言う通りだったよ。
でもやっぱり、気乗りしないかな。私一人で」
「嫌だって言ったよね?私こなちゃん無しじゃ生きていけないもん」
私は眩暈を覚えた。こなたなんて居なくても、つかさには私が居るのに。
「ああそうだ、かがみ。さっきの話の続きをしてあげるね。
自殺したのがあながち嘘じゃないっていうのはつまり、こういう事だよ」
こなたは右手の袖をまくって、手首を私に見せた。
そこには、生々しい傷跡と縫合の跡が刻まれていた。
「昨日、かがみからあんな仕打ちを受けた後、自殺しそうになったんだ。
で、手首を縦に刃物で切ったんだけど、
お父さんの事思うとやっぱり死ねなくて。応急の止血措置した後、
病院に連絡したんだ。そして、当然私が自殺未遂した事は
お父さんの知るところにもなった。その時にね、
私が自殺を思い至った原因について正直に話しちゃったんだよ。
つまり、かがみが昨日私に対してした事をね。
で、私が病院で一日だけ入院して家に帰ってきたときに…
私が見たのは…」
こなたは声を一旦詰まらせると、鼻を啜った。
450:psyGOA
08/09/12 02:04:50 3AzLnnTY
「私は…お父さんが自殺しているのを見ちゃったんだ…。
お父さんの遺書には、こう書いてあったよ。
『すまない、こなた。お父さんが病気になったばっかりに。
これ以上迷惑かける訳にもいかないから、
お父さんはかなたのもとへと逝くよ。
だからこなたはお父さんの事なんか忘れて、幸せになりなさい』
ってね。お父さん、きっと自分を責めちゃったんだよ。
もし自分が病気にさえならなかったら、私が自殺なんて考えなかったんだろうって。
自殺を考えるくらいの惨めな思いをせずに済んだはずだって」
こなたは涙声になりながらそこまで語り終わると、嗚咽を漏らし始めた。
私は不愉快だった。同情でも引こうとしているのか。
同情でも誘って、つかさの関心を寄せようとしているのだろうか。
大体、あの程度の事で自殺なんて馬鹿げている。
「あのねぇ、あんた何言ってるの?あの程度の事で自殺って、
あり得ないじゃない。どうせ他の原因があったんでしょ。
それを私のせいにして、つかさを騙そうとしてるんじゃないわよ」
つかさが私を睨みつけ、口を開きかけたがこなたが声を発する方が早かった。
「あの程度の事だって?私がどれほどの屈辱を味わったか、
それをかがみは分かってないんだっ。
弱者と強者の圧倒的な差異、それをまざまざと見せつけられたんだから」
こなたは声を荒げてそこまで言うと、力の抜けた表情で続けた。
「でも、かがみの行為はただのトリガーに過ぎないのかもしれないね。
実際にね、何度も何度も今まで自殺を考えてきたから。
それだけ貧窮は私の心を蝕んでいたから。
たまたまかがみの行為が、
それまで自殺ギリギリ一歩手前だった私の背中を押した、
っていうだけなのかもね」
そうね、などと同意してしまってはつかさにまで嫌われかねない。
かといって、私が悪かった、などとこなた如きに謝るのも私のプライドが許さない。
さて、どう出るべきか。私は神妙な面持ちを作りながら、考えを巡らせた。
「でもね…」
私が思案している時、こなたが再び静かに口を開いた。
451:psyGOA
08/09/12 02:05:47 3AzLnnTY
「それでもかがみは許せないよ」
背筋の毛が逆立つような冷たい声で言い放つと、
こなたは私に向かって突進してきた。
回避しようと右に避けたが、こなたは足首の力で姿勢を右に向けると、
そのまま私に体当たりを食らわせた。
腹部が…焼けるように痛い。
「な…によ…」
膝を折り、私は腹部を押さえてうずくまった。
生暖かい液体が、私の手に纏わりつく。
「何…すんのよ…」
腹部を襲う激痛が声を掠らせたが、構うことなく私はこなたを睨みつけた。
視界にこなたが映ると同時に、手に纏わりつく生暖かい液体の正体を知った。
こなたは、血に塗れた包丁を手に持ちながら、私を冷たい目で見下ろしていた。
「つかさっ。逃げてっ。早くっ」
私は叫んだ。考えるよりも早く叫んでいた。
この身がどうなろうとも、つかさだけは逃さなければならない。
「逃げる?どうして?」
つかさはベッドに座り込むと、不思議そうに私を見やった。
この状況が見えていないのだろうか。
「つかさ…」
こなたが包丁を持ったまま、ゆっくりとつかさに近づいていく。
冗談じゃない。次はつかさを刺すつもりなのだろうか。
「逃げてっ。お願い、早く逃げてっ」
声を振り絞って叫ぶが、つかさはベッドから動こうともしなかった。
こうなったら、私が直接こなたを止めるしかない。
立ち上がろうと足に力を込めたが、力を入れた途端に腹部を激痛が走り抜けた。
「っ」
痛みで立ち上がる事すらままならない。こうしている間にも、
こなたがつかさに一歩一歩近づいているというのに。
「つかさ…ごめんね」
こなたはつかさの眼前で立ち止まると、申し訳なさそうな声で詫びた。
452:psyGOA
08/09/12 02:06:53 3AzLnnTY
「私の我侭な復讐心で、かがみ刺しちゃって」
つかさは信じられないことに、首をふるふると左右に振った。
「分かってた事だよ。予め、そういう話をしてたじゃない」
「でも…本当に良かったの?」
「いいよ。私にとっては、こなちゃんの方が大事だし、大好きだし」
聞きたくなかった。つかさの言葉は、私の腹部を貫いた刃物よりも
深く鋭く私の心を抉った。
「つかさ…でもさ、やっぱりつかさは引き返しなよ。
後の事は、全部自分でやるから」
「だから嫌だって言ったはずだよ。私こなちゃん無しじゃ生きていけないもん」
後の事?何の話だろう。
「でもさ…」
「こなちゃんも生きるっていうのなら、私も一緒に生きるけど」
「何の話をしているのよっ」
私は思わず叫んでいた。
だが二人は、私の咆哮など気にも留めなかった。
「それは無理だね。お父さん居ないし、もう生きる理由もないよ。
私の力じゃ、つかさを幸せに出来ないし」
それを自覚しているのなら、素直に身を引いて私に譲れば良かったのだ。
私ならつかさを幸せに出来るのに。
「私も生きる理由ないよ。私じゃ、こなちゃんを幸せにしてあげられないから」
つかさはただ自分が幸せになる事だけ考えていればいいのだ。
私に身を委ねていれば、つかさは幸せになれたはずなのに。
もどかしい想いに胸を掻き毟りながら悶えていた私に、
不意にこなたが視線を向けた。
「かがみ、どうして私が敢えて急所を外したか分かる?
かがみに見てもらいたいモノがあるからだよ」
こなたはそう言い放つと、事もあろうにつかさの唇を奪った。
「何をするのよっ?」
私はヒステリックに叫んだ。叫ぶたびに腹部を激痛が襲うが、
構っていられない。つかさの唇を奪われたのだ。
許せない許せない許せない。
453:psyGOA
08/09/12 02:07:51 3AzLnnTY
二人を引き剥がすべく、私は這いずりながら進む。
痛みが邪魔をして中々前へ進まない。手間取っている間にも
つかさの可愛らしいマシュマロのような唇が、
あの不細工に貪られているというのにっ。
「こなちゃん…」
長い長い接吻が終わると、つかさは恍惚とした表情でこなたの名前を呼んだ。
その表情は、私の為にあるはずなのに…。
「お父さん、ごめんね。葬式も挙げてやれないで。
かがみをお父さんと一緒に連れて行く為には、
お父さんの死を役所や親戚に知らせる訳にはいかなかったんだ。
つかさは一緒にお父さんの死を見ちゃったけど、
かがみを殺すのを手伝ってくれるって言ってくれた。
それともう一つ、私とつかさが恋仲関係である証拠を眼前で見せ付けてやれば、
かがみは絶望するだろうって提案もしてくれた」
こなたは押入れに視線を投げかけながら、淡々と語った。
まさかそこに、こなたの父親の死体が入っているのだろうか。
私がこの部屋を訪れるまで、狭い押入れの中で
父親の死体と一緒に過ごしていたのだろうか。
「その効果は、確かにあったね。
かがみのあの顔を見れば、どれだけ深い絶望を与えられたか、
その効果がよく分かるよ」
「こなちゃん、私が提案したのはそれだけじゃないでしょ。
私と一緒にこなちゃんが自殺するのを見せれば、
死を超えた愛で結ばれている事を見せ付けてやれば、
深い絶望を与えてやれるって。そう提案したでしょ?」
一瞬耳を疑った。つかさがそんな事を言うはずがない…。
ましてやつかさが死ぬなんて、あってはならない。
「つかさ?何を言っているの?」
幻聴であって欲しい。祈りながら私はつかさに問いかけた。
だが、つかさの返答は残酷なものだった。
454:psyGOA
08/09/12 02:08:52 3AzLnnTY
「私はね、お姉ちゃんを赦せないんだよ。
こなちゃんの心をズタズタにしたお姉ちゃんが。
こなちゃんがどれだけ苦しい思いをしていたと思っているの?
それともう一つ。私がどれだけこなちゃんを愛しているか、
それを分かってるの?
ああ、更に一つ。私がどれだけお姉ちゃんの干渉を鬱陶しく思っていたか、
それを分かってるかな?」
身体中から、力が抜けていく。
どうして私の気持ち、分かってくれないの?
こなたなんかより何倍も、つかさの事を愛しているのに。
こなたなんかとは比較にならないくらい、優れた人間なのに。
「つかさ、本当にいいの?」
「こなちゃんと一緒に死ねるなんて、理想の最期だよ」
つかさは天使のような笑顔でこなたに微笑んでいた。
その微笑みを、私に向けて欲しかった…
「ごめんね、つかさ」
こなたは押入れまで歩いていくと、ライターで紙の束に火をつけた。
予め油でも染み込ませてあったのか、勢いよく炎が燃え上がる。
「お父さん、一緒に行くからね」
室内には、他にも似たような紙束が幾つもあった。
その一つ一つに、こなたは火をつけて回った。
それらの行為を完了すると、再びこなたはベッドに戻った。
「こなちゃん、これからはずっと一緒だよ?」
「つかさ、引き返すなら今のうちだよ?」
「嫌だよ、引き返さない」
455:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 02:09:08 TD8nNRO6
支援
456:psyGOA
08/09/12 02:10:04 3AzLnnTY
こなたとつかさは抱擁し、唇を接合させた。
私はただただ、息を荒げながら憎悪を込めた瞳でこなたを睨みつけてやる事しかできない。
声を出すことさえできない。
それにしても…認めたくはないけど、つかさの表情は本当に幸福そうだった。
つかさにそんな顔をさせられるのは、私しか居ないと思っていたのに。
その自信が音を立てて崩れ去っていく。
二人は口づけを交し合ったまま、互いに自らの頚動脈を刃物で切り裂いた。
つかさが事切れて倒れこむ様が、スロモーションのように私の瞳に映った。
鮮血がベッドのシーツを汚していく。
それは抱き合ったまま倒れこんだ二人の姿と相まって、
処女喪失の瞬間を連想させた。
実際に奪われたのはつかさの処女ではなく、命と心だったが。
命も心も、こなたに持っていかれてしまった。
私の愛しい愛しいつかさは、もう私のものではなくなった。永遠に。
その事を思った瞬間、身を焼かれるようなジェラシーが身体中を駆け巡った。
ジェラシーは呼吸する事さえ困難にさせ、腹部の痛みをすら忘れさせた。
つかさがこなたに全てを─文字通り命を含めた全てを─捧げた。
こなたなんて幸福から程遠い人間だと思っていたが、
最後には私が最も望んでいたものを手に入れてしまったのだ。
つかさという、何よりも私が求め、何よりも私を焦がした者を。
なのに、灼熱の如きジェラシーを感じずになんていられようか。
本当に熱く息苦しい。それほどまでに私はつかさを奪ったこなたに嫉妬していた。
気が狂いそうな熱を持ったジェラシーに私は正気を保つことさえで
きそうにもない私は呼吸することさえ困難になるほどまでにこなた
に嫉妬しているのだろうかつかさの事を太陽に焼かれるような熱を
持って愛していたのだろうかこれほどまでに私がつかさを愛してい
るというのにどうしてつかさは私を選ばずにこなたなんかを選んだ
のだろうか理解できな熱い熱い熱い苦しい苦しい苦しい熱いあつい
あついあついあついくるしいくるしいくるしいあついあついあつい
いや違う。熱いのはジェラシーによるものじゃない。
実際に炎が私を焼いているんだ。
息苦しいのは実際に煙に包まれているからだ。
その事に気づいた時には、痛みも熱さも息苦しさも、
意識とともに私から失われつつあった。
<FIN>
457:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 02:11:03 3AzLnnTY
>>439-456
以上です。
解除してくれた方、及びお読みくださった方、有難うございました。
では、次の機会に。
458:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 02:26:19 TD8nNRO6
>>457
乙です
何か本当に凄惨で…儚くて…文章が凄くて……………凹みました
い、いえいえこういう方が居られる方がスレは活性化される訳ですよ
次回作も是非頑張って下さいね
459:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 03:53:15 xq8ZI+Hn
>>457
乙です
こなた幸せそうでよかったです
460:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 06:26:01 wQbx5sAe
かがみざまぁw
461:田中 雄一郎
08/09/12 17:18:15 0mIB3HUv
おまたせしました。みんなの心のサプリこと田中雄一郎です。
>>401の続き投下します。
どうぞご堪能くださいまし
462:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 17:19:28 0mIB3HUv
こなた「ほら、メニューを持ってきたわよ!ありがたく思いなさい!」
俺「…!!」
つかさ「いろんなメニューがあるんだぁ、あたしアイス!」
かがみ「あたしはケーキをもらおっかな!」
みゆき「ではわたしはコーヒーを」
俺「…えぇ~と、俺は~、どうしよっかな~」
こなた「さっさと決めなさいよ!愚図!」
俺「あぁ!?馬鹿か!!気持ち悪ぃんだよさっきから!!てめえはハイハイ言ってりゃいいんだよ!!
視界に入ってくるだけでも不快なのに生意気な口利くんじゃねえよクソが!!」
こなた「ヒッ!し、仕様だし…」
かがみ「ちょっとぉ!!何そんなことで怒ってんのよ!!」
みゆき「たしかにそれはありますね!」
つかさ「仕様なんだからしようがない。なんちって」
俺「っせんだよ!気にくわねぇんだよこいつに偉そうにされるのがよぉ!!」
グワシ
こなた「ウグッ!い、いやだから仕様だから…!」
かがみ「もう!!あんたいいかげんにしなさいよ!!」バシッ
俺「ヘボラッ!」
つかさ「こなちゃん大丈夫!?」
こなた「ゲホゲホ…平気だよ…ゲホゲホ」
かがみ「もう!こなたは一生懸命働いてただけじゃない!それをこんなにしなくても…!!」
俺「だ、だって…」
こなた「い、いやあたしの説明不足もあったよ…ははは」
かがみ「あんたはまたそんなこと言って!!無理しないで!もう最低よあんた!」
俺「…」
463:田中 雄一郎
08/09/12 17:20:32 0mIB3HUv
パティ「ナニヤッテルデスカ!」
つかさ「こなちゃんが…こなちゃんが…!!」
こなた「うう…」
パティ「ッッ!!ランボウナヒトカエッテクダサイ!」
俺「…え」
かがみ「そうよ帰りなさいよ!!」
つかさ「帰れ!帰れ!」
みゆき「たしかにそれはありますね!」
パティ「アナタハモウコナイデクダサイ!!」
キョン「帰りやがれこのやろぉー!!」
キモヲタA「フヒィ!そうだそうだ!帰れ!!」
キモヲタB「フヒィ!フヒヒィ!!」
こなた「み、みんな…」
『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!!』
俺「…す、すいませんでした」
バタン
ああああぁぁぁ!!!!こなたうぜええぇぇ!!!!!!
464:田中 雄一郎
08/09/12 17:21:58 0mIB3HUv
ナナコ「今日はテスト近いからガンガン当ててくからよろしくな~」
『えぇ~!!』
俺(あ、教科書忘れた。まあいっかどうせ当たらないだろ)
ナナコ「ハイじゃあここ田中!」
俺「ひぅ!!」
ナナコ「お~?どうした?まさかわからんのか~?」ニヤニヤ
俺「え、え~と…」ガタガタガタガタ…
ナナコ「教科書112ページやで~」ニヤニヤ
俺「あ、あうあう…」ソワソワソワソワ…
こなた「田中くん!ここ!」サッ
俺「!!」(ゴキブリ!!俺に教科書を…!!こ、こいつ…!!)
俺「ってこれ一年のじゃねぇかッッ!!」
バシン
こなた「ぐおっ!」
俺「てめえは!!そんなに!!俺に!!恥を!!かかせたいのか!!」
バシバシバシバシ
こなた「いたっ!痛い!いや悪気はなかったんだよ!」
465:田中 雄一郎
08/09/12 17:23:18 0mIB3HUv
ナナコ「何やっとるんやおまえは!」
俺「い、いや…その…これは…」
白石「ヒューヒュー!まったく授業中も痴話喧嘩なんて見せ付けてくれるぜい!」
『アハハハハハ』
ナナコ「お前ら仲の良いのは結構だけど授業中ぐらい自重しろな~」
白石「田中自重!泉自重!」
『ブワハハハハハ!!』
キモオタA「自重しろwww」
キモオタB「自重www」
つかさ「こなちゃん自重www」
みゆき「たしかにそれはありますねwww」
俺「…」
こなた「…」
ああああぁぁ!!!!!こなたうぜええぇぇえ!!!!!!
466:田中 雄一郎
08/09/12 17:25:41 0mIB3HUv
かがみ「…はいどーもー!」
俺「うわぁぁあ!!かがみん最高ぅ!最高でおま!!」
かがみ「いや~どもども」
つかさ「え~と、あたしは何いれよっかな~」
俺(ふひゅひゅ、ましゃか俺が女の子達とカラオケ来るなんてな…
こうトントン拍子でうまく行くとか…ウッホホーイ!進研ゼミの漫画かっつーの!
まったく…うまく行き過ぎて怖いぜ…)
こなた「冒険でっしょ!でっしょ!」
俺(てめえがいるその一点を除けばなぁ!!こなたぁ!!)
467:田中 雄一郎
08/09/12 17:26:31 0mIB3HUv
つかさ「わぁ~こなちゃんうまぁ~い」
こなた「へへへ~」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「あ、いたんだ」
かがみ「誰にでも取り柄はあるわよね」
こなた「ムムッ、その褒め方はカンに障るなぁ~」
つかさ「あれ?次入ってないよ~?」
かがみ「次は田中くんよね」
俺「あ、ごめんごめん」
(カラオケは言うならば漫才…つかみが重要…そして鮮度が命だ…
さらに溜めれば溜めるほどハードルが高くなる法則性がある…
また見落としてはいけない点としてはこれが俺の一曲目ということ…
そしてまだ来たばかり…それらを考慮して最善の選択肢は…これだ!)
こなた「かーわいたぁーベブッ!!」
俺「ってなんでてめえがまた歌ってんだよボケが!!」
こなた「い、いや、だって田中くん歌わないと思ったから…」
俺「考えてたんだよ!何が悲しくてお前のキーキー声を続けてきかされにゃならんのだ!!」
かがみ「ちょっと!!だからってマイク投げることないじゃない!」
つかさ「そうだよ!酷いよ!」
俺「だ、だって…」
かがみ「もともとあんたがもたもたしてたのがいけないんじゃない!!」
つかさ「そうだよ愚図!」
こなた「二人とも…」
俺「…」
468:田中 雄一郎
08/09/12 17:28:54 0mIB3HUv
かがみ「もうあんた帰りなさいよ!」
つかさ「そうだ帰れ帰れ!」
俺「…」
こなた「いやいや、せっかくカラオケきたんだからみんなで楽しくやろうよ~」
俺「ゴキ…こなた…お前…!」
かがみ「ふぅ…まぁあんたが言うならいいわよ。まったくあんたは…」
つかさ「こなちゃん…」
俺「みんな…ご、ごめん!」
こなた「まーあたしも悪かったしさ、気にしてないよ」
かがみ「こなたが言うならいいけど…次やったらイヤだからね!」
つかさ「ほら、じゃあいれなよ~」
俺「みんな…ありがと!それではいかせてもらいます、私の18番!!」ピッ
タッタラ、タータータターターララー
つかさ「あ、ドラゴンボールだ!」
かがみ「懐かしいわね~」
こなた「いよっ!待ってました!」
俺「光る雲を突き抜けフラィアウェ~!!」
こなた「フライアウェ~…ヘブッ!」
俺「ってんめえ!勝手にのってくんじゃねえよコラ!!」
かがみ「あんたもう帰れ!!」
つかさ「帰れ!!」
俺「…」
『帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!』
俺「…すいませんでした」
みゆき「お恥ずかしながらわたし最近の曲に疎いもので…迷いますわ…あれみなさん、何かあったんですか?」
かがみ「お前も帰れ」
あああああ!!!!こなたうぜぇえええ!!!!!
469:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 17:37:17 nv+nAymL
かがみざまぁw
470:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 17:53:46 shM5TAbe
最近マジ活性化しまくりだな
かがみぼっちやつかさビッチにも分けて欲しいw
471:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 21:00:25 TD8nNRO6
つかさ「明日地震来るんだってねこなちゃん」
こなた「愛知だから関係ないよ」
つかさ「関係ないって、こなちゃん日本人じゃないの?」
こなた「えっ…いや…でもそれは」
つかさ「ふふふ、やっぱりこなちゃんは心まで腐ってるんだねぇ」
472:JEDI_tkms1984
08/09/12 21:07:53 LjWjoO/K
皆さん、こんばんは。
今夜も投下させていただきます。
473:惨劇館15
08/09/12 21:09:28 LjWjoO/K
「何がどうなってるのよ……」
かがみが今にも泣きそうな顔でぼやいた。
誰にも分からない。
楽しい旅行になるハズが、一転して惨劇の渦中に放り込まれてしまったのだ。
「あっ!」
みなみが普段は絶対に出さないような大声を上げた。
「今度は何!?」
過敏になっているこなたは、みなみの声にもいちいち驚いた。
みなみが無言のままに暖炉を指差す。
5本の蝋燭に灯っていた火が、ひとつ消えている。
「消えてる……」
ぼそりとこなたが呟いた。
右端の1本を残して4本は最初に見た時と同じように火を揺らめかせている。
やっぱり犯人を捜そう、と言いかけてこなたは口を噤んだ。
ふと窓の外を見る。
灰色の雲と降る続ける雨は相変わらずだ。
「まさか……!?」
異様に流れの速い雨雲を見ながら、何かを思いついたこなたが声をあげる。
「な、なんですか?」
「ううん、なんでもない」
みゆきの不安そうな顔に、こなたは思っていたことを口にするのを躊躇った。
「気になるじゃない。言いなさいよ」
不機嫌そうにかがみが急かす。
(………………)
みゆきの顔を見ると、彼女も聞きたがっている様子だ。
「うん……雨、降ってるじゃん?」
「それがどうしたのよ?」
「てるてる坊主の唄を思い出しちゃって」
「…………」
てるてる坊主 てる坊主
あした天気に しておくれ
いつかの夢の 空のよに
晴れたら金の鈴あげよ
てるてる坊主 てる坊主
あした天気に しておくれ
私の願いを 聞いたなら
あまいお酒を たんと飲ましょ
てるてる坊主 てる坊主
あした天気に しておくれ
それでも曇って 泣いたなら
そなたの首を チョンと切るぞ
歌詞もメロディーも知っているみゆきは、頭の中で3番まで歌って身震いした。
晴れれば金の鈴。
”泣いたなら”は涙、つまり水のことでこれは雨を指している。
彼女は昨夜、おまじないのつもりでてるてる坊主を吊るした。
そのおかげか昼間は快晴に恵まれたが、ビーチバレーの最中に急に雨が降ってきた。
雨が降ったら―首を斬られる。
「ごめん、そんなつもりじゃ―」
必要のない罪悪感に駆られたみゆきを見て、こなたが慌てて取り繕う。
「い、いえ……」
ぎこちない笑みを返す。
上級生のやりとりをよそに、みなみは横で眠るゆたかを見守りながら先ほどのことを考えていた。
ゆたかの口から発せられた、あの呪文のような言葉。
どう考えても何かに憑依されたとしか思えない。
474:惨劇館16
08/09/12 21:10:43 LjWjoO/K
「さっきのゆーちゃんだけどさ」
てるてる坊主から離れたくなったのか、こなたが切り出した。
「あれって何かの呪文なのかな?」
自分と同じ考えを口にされ、みなみはドキッとしてこなたを見た。
「なんか数えてなかった? ひとつ、ふたつ、って……」
かがみも乗ってくる。
「よく分かりませんが、どうして小早川さんはあんな事を言ったのでしょうか?」
「誰かに操られて……?」
「そんな漫画みたいな話があるわけないだろ。きっと混乱してたのよ」
「混乱したからってあんな呪文みたいなの言うわけないじゃん」
「……そう、ですね。ハッキリと憶えてはいませんが、意味のある文章のようでした」
みゆきも難しい顔をして、必死にあの言葉を思い出そうとする。
しかしあの奇妙さに気をとられて内容をほとんど覚えていない。
「とにかく出ようよ。こんなところにいたくないよ」
他人に借りた別荘を、”こんなところ”呼ばわりしてこなたが立ち上がる。
発言自体は失礼極まりないが、みゆきも同意見だったようで、
「そうですね」
短く言って立ち上がった。
「どこ行くのよ? 迎えは明日まで来ないのよ?」
そう制するかがみには腰をあげる気配はない。
みなみもゆたかが気になっているようで、行動を起こしかける2人を不安げに見つめていた。
「ぅぅ…………」
ゆたかが目を覚ました。
「ゆたか!」
ハッとなって小さな肩に手をかける。
ゆっくりと上体を起こしたゆたかは、何も分からないように目をぱちくりさせた。
「あれぇ……みなみちゃん…………?」
ようやく視点が定まりみなみの顔を認めると、彼女は寝惚けたような声を出した。
その様子にこなたたちも安堵する。
「よかった」
蚊の鳴くような声でそう言うと、みなみはそっと頭を撫でた。
「ゆたか、覚えてる?」
目を覚ましたばかりで悪いと思いながらも、みなみはこれを訊かずにはいられなかった。
ゆたかは目を伏せて、
「うん……田村さんが…………!!」
声を震わせて涙した。
「……違う、その後の―」
「…………?」
みなみの問いにゆたかはキョトンとした目で見返す。
その仕草からあの出来事の記憶はないのだと全員が悟った。
(………………)
数秒の間があり、みなみはみゆきに視線を送る。
(言わないほうがいいと思います。小早川さんを不安にさせるだけですから)
みゆきは無言でそう伝えた。
ゆたかが自分の知らない間に不気味な言葉を吐いたと知ったら、それこそ錯乱しかねない。
記憶がないのならわざわざ教える必要はないだろう。
視線だけのやりとりでみなみはみゆきの言い分を理解した。
「かがみ、鍵貸してよ」
いつの間にか玄関にいたこなたが振り向きざまに言った。
「鍵なんかかけてないわよ」
やはりイラついた口調で面倒臭そうに立ち上がる。
こなたを押しのけるようにして、玄関扉に手をかけるが……。
「なんで?」
電話の時と同じようなリアクションをとる。
押しても引いても扉はびくともしない。
施錠していないにもかかわらず、まるで溶接されたみたいに動かないのだ。
横からこなたも手を伸ばして一緒に押す。
―動かない。
それならと今度は思いっきり引いてみる。
―動かなかった。
475:惨劇館17
08/09/12 21:12:26 LjWjoO/K
「ま、まさか……閉じ込められた……なんてことは…………」
少し離れたところで見守っていたみゆきがぼそりと言った。
誰に、というみなみの問いに、
「犯人に……」
力なく返す。
ふん、とツンデレのツンの部分を引き出したようにかがみが踵を返した。
「どうせ迎えは明日まで来ないのよ。ここから出たってしかたないじゃない」
「でも近くを通りかかる船があるかもしれないじゃん? その船に―」
「こんな離れた島に誰が近づくっていうのよ。それにこんな雨じゃ外にいるほうが危ないわよ」
「それはそうだけどさ…………」
「泳いで帰るわけにもいかないし、まだ中にいたほうがいいわ」
「でも人殺しと一緒にいたくなんかないよ!」
2人は本気なのか冗談なのかよく分からない強い口調で言い合った。
どちらの言い分にもそれなりに説得力があり、みゆきは言葉のラリーを静観する。
かがみは冷静に、こなたは感情的になって争っている。
普段ならやんわりと仲裁に入るハズのみゆきは、状況が状況だけに、
「一縷の望みはあります。少し外に出てみませんか?」
こなたの肩を持つ発言をした。
「もしかしたら通りかかる船があるかもしれません。駄目なら戻って来ればいいじゃないですか」
かがみは明らかに不愉快そうな顔になる。
「出るったって、どうするのよ。玄関が開かないんだからどうしようもないじゃない」
「窓からなら……」
みなみが割って入った。各々がロビーをぐるりと見回す。
正面の窓はかなり厚いガラスに覆われているうえに嵌め殺しだ。
どうやっても破れそうにない。
「部屋の窓だったら開けられるかも?」
諦めかけた時、ゆたかがおずおずと言った。
「ゆーちゃん、ナイス!!」
暗中に光明を見た想いでこなたが親指を立てた。
「行きましょう!」
一刻も早く出たいという想いはみゆきも同じなのか、勢い込んで言う。
5人はみなみの部屋へ走った。
ロビー西側の一番手前が彼女の部屋だったからだ。
2つ向こうの部屋には……ひよりの遺体がある。
できるだけそちらを見ないようにしてドアを開けて中へ。
荷物は丁寧に片づけられており、みなみの几帳面さが窺える。
入って右側にベッドがあり、左側にはクローゼット。突き当りに求めていた窓がある。
洋館には不釣り合いな横引きの窓だが、開閉できれば問題はない。
「………………」
ひとつ問題があるとすれば、その位置が異様に高いことだ。
窓枠の底辺はこなたの頭くらいの場所にある。
「けっこう高いね…………」
発案したゆたかが申し訳なさそうに言った。
彼女などは手をまっすぐ上に伸ばして、ようやくへりを掴めるくらいだ。
「ちょっと見てみます」
だが比較的長身のみなみはひょいっと飛び上がり、金属製のへりにしがみついた。
「あ、レールで手を切らないように気をつけてください」
不安定な姿勢で腹這いになりながら、体を前のめりに外を見やる。
風雨は先ほどよりも勢いを落としている。
「みなみちゃん、パンツ見えてるよ」
こなたがぼそりと言った。
みなみはさらに体を持ち上げて俯瞰した。
地面は多少ぬかるんではいるが着地できそうである。
「大丈夫です―」
一瞬の出来事だった。
開いていた窓がガシャンと音を立てて、凄まじい勢いで閉じた。
「………………?」
呆然と立ち尽くす4人。
476:惨劇館18
08/09/12 21:13:44 LjWjoO/K
飛び散った赤い液体が何であるのか。
床に転がるこれは何なのか。
そもそも何が起きたのかもすぐには分からなかった。
「いや……いやあぁぁぁぁぁッッ!!」
ゆたかの絶叫がこだました。
窓にべっとりと塗られた血液。
足元にあるのはみなみの腰から下だ。
その先は……どこにもつながっていなかった。
断面からは夥しい量の血が流れ、腸がだらんとはみ出していた。
「ああぁぁ…………」
数秒遅れて事態を理解したみゆきは、へなへなとその場に座り込んだ。
こなたもかがみも呆けたように真っ赤な窓を見ていた。
「出よう……」
からからに渇いた咽喉でこなたが言った。
「出ようよっ!」
血の臭いに吐き気を覚えながら、こなたは泣き崩れるゆたかを強引に立たせた。
続いて腰が抜けてしまったみゆきを。
「かがみも!」
3人を引きずるようにして足早に部屋を出る。
1秒もいたくなかった。
死んだみなみが可哀想だとかいう感情は湧いてこない。
とにかくここから離れたかった。
ぞくりと首筋に奇妙な感覚を感じ、こなたは恐る恐る振り向いた。
窓がゆっくりと開いていく。
(………………ッッ!!)
こなたは叩きつけるようにドアを閉めた。
477:JEDI_tkms1984
08/09/12 21:16:12 LjWjoO/K
以上、少し少なめですがキリがよいので今夜はここまでにします。
それではまた明日。
>>457
こういう直喩・暗喩が巧みな文章大好きです。
478:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 22:29:08 SPZ8sb7C
>>477
相変わらず、ぞくぞくと夢中にさせる文章GJ!!
あと、なんとなくですが犯人がわかったような
たぶん外れてるでしょうけど・・・
479:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 23:30:27 htN9Fq97
呪いなのか……?
それとも……
480:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 23:44:12 dnYFWjsk
>>458
よく見るレスだけど、凹む意味が分からない。
競う為にSS書いてるわけでもないでしょうに。
481:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 23:55:33 opqn3aJ0
>>471
こなた「あの人、東京の地震の時点で予知外れてたじゃん。だから、もうどうでもいいかなーって」
つかさ「へぇ…東京さえ無事だったら、もうどうでもいいんだ?」
こなた「っていうか、あの人最近になって愛知の地震は半年延期になったとか言ってたよ。延期て。」
つかさ「マジで?バロスwwwwwwwww」
482:デフォ北
08/09/13 00:07:22 TD8nNRO6
最近スレの勢いが物凄いですねぇw
では続きを投下致します
>>434
こなたは首を振りながら涙ぐむ
「嫌です、そんなの嫌です!!」
「もう手遅れなんです!!昨日からの衰頽を見たでしょう!
…もうそうじろうさんの脳細胞が殆ど欠落しています
このままですと、記憶どころか心肺機能も停止してしまいます
むしろ、今亡くなっていないのが奇跡なくらいなんです」
こなたはその場にへたりと座り込み、それ以来何も口にすることは無かった
絶望と虚無がこなたを襲う
医師の言葉も右から左
医師が去ってもこなたはその場に座り続けた
だがこのまま居る訳にはいかないので
こなたは定まらない足取りで病室へ向かった
誰にぶつかろうが声をかけられようが無反応
こなたが病室にたどり着くと
そうじろうはこの前のように目を閉じて眠っていた
そこには前まであった希望も無く
センチメンタルなこなたの心は確実に蝕まれていった
…お父さんが薬物乱用をしてたとでも言うのか
あの医師は何を言い出すんだ
私の心を欠片どころか粉々になるまでボロボロにしたいのか
こなたは漸次窶れていくそうじろうを見るだけでさえ胸が痛むというのに
揚句の果てにはこの病は薬物のせいだったなんて
そうじろうはたまに外出するが、こなたよりもたいてい家に居る
それに、倒れる二日前に健康診断の結果が帰って来たと言っていたので
仮に以前から薬物を乱用していたらすぐに発覚するだろう
となると、ゆたかが帰った日だけが残る
あの日は荷造りや何やらで忙しいかったので、恐らくそんな暇は無かった
となると、食べ物や飲み物に誰かが仕組んでいた可能性が上げられる
それは殺人事件を意味する
あの日こなたは三食全てを作り、そうじろう達に食べさせてあげていた
つまり、食べ物に含まれていた可能性は無い
仮にメタミドホスのような薬が食材に含まれていたとしたら
三人とも被害を受けているはずである
…となると、残るは飲み物である
あの日、そうじろうはゆたかの荷造りを手伝っていたので
飲み物の事もこなたに頼んでいた
ただ、荷造りが終わって休憩していた時には
ゆたかが自主的にコーヒーを入れてくれた
しかし、ゆたかはその時随分手が震えていたのが判った
483:デフォ北
08/09/13 00:08:10 vAcbOqnn
ゆたかにとって3人分は多かったのだろうか
いや、違う。あれは重くて震えていた手では無い
あの日のゆたかは気が動転したかのような喋り方だったから
それ以来、ゆたかが帰るまでこなた達は何も飲んでいない
つまり、その薬品が含まれていたのはコーヒー
信じ難い事だが、この結論から言うと
ゆたかが犯人、ということになる
それが理由で家を去る時に罪悪感染みた表情をしていた
というのなら辻妻が合う
それに、そうじろうに死んで欲しいと思っている小早川家のことだから
罪を犯してまでそうじろうを死に追いやるのは想像に難くないであろう
寧ろこなたにとって、それがゆたかを犯人と決定づける事実であった
奴らが罪を犯してまで私の大切な人を殺すのなら
私も同じ事をやろう
もはや、一度思い込めば自制すらきかない
こなたはカッターナイフをポケットに入れて
ジャンパーを着て帽子を深く被り、サングラスをかけて陵桜学園へ向かった
この時間は電車も空いている
こなたは僅かに不敵な笑みすら見せつつ、通学路を歩く
学園にたどり着くといつも警備員が挨拶するが、偶然にも警備員は居なかった
こなたはその隙を見計らって学園に入り、1年生の教室を目指した
丁度授業時間も終わって休憩時間であり
こなたはすれ違う生徒の不審な視線を気にも止めずに進んでいく
こなたは教室の中で一人本を読んで孤立しているゆたかを見つけた
どうやら、いつもゆたかにくっついている付属品達はまだらしい
今のうちに殺しておけば
特にゆたかに集中してもいないクラスメートに
暫く発覚しないまま逃げられるかもしれない
こなたはそのままゆたかに近付く
「…どなたですか?」
こちらを向いてきょとんとするゆたかの首元にこっそりカッターを構え
静かにさっと引こうとしたその時
「グッドモーニング、ユタカ?」
「あ、おはようパティちゃん」
「おわっ…!?」
こなたは慌ててカッターを隠す
くそっ…もう少しだったのに黄色髪の付属品の邪魔が入った
「オ、オゥー…ソチラノカタハ?」
「え、あっ…えーとそのー…」
こなたは挙動不審になっていた
どうやら自分がこなたということはバレていないようだ
ふと、パティが被っている帽子を取ろうとすると
こなたはさっと後退りして教室から逃げた
「変ナ人デスネ…」
「何だったんだろう…?」
484:デフォ北
08/09/13 00:11:44 vAcbOqnn
こなたはトイレに入って暫く作戦を考えた
最終的に、こなたは念のために逃げる寸前
屋上に来るよう促す手紙をゆたかの机に入れておいた
しかし、この格好で誘えばきっとゆたかのことだから付属品を連れて来るだろう
こなたは昼休みまで作戦を練りつつ、トイレの中で待つことにした
時折憤りがピークに達して、何度もトイレから飛び出して
あの悪魔の首を取ろうという衝動に駆られたが
騒ぎが大きくなるのは流石にこちらの身も危ない
こなたは怒りを温存するために死ぬ思いで堪えた
昼休みのチャイムが鳴ると深くこなたは被っていた帽子を取った
さっきの格好で屋上へ呼ぶのは不審がられるに違いないので
それならいっそこなたの格好で行くことに決めたのである
病院から制服も着ずに突然来たというのは違和感があるだろうが
家庭事情について内密に話し合うと瞞着しておけば
恐らく付属品は気を遣ってついては来ないであろう
こなたはゆたかの教室に入る
ゆたかは緑髪の付属品とご飯を食べていた
こなたは手を上げて声をかける
「ねぇ、ゆーちゃん」
「えっ…お姉ちゃん…」
ゆたかは以前のこなたに恐怖を覚えたのか、微かに震えているようだ
みなみは相変わらずか細い声で話す
「あっ、こなたさん…ゆたかがどうかしたんですか…?」
「あぁうん、ちょっと話があってね」
「どういう話ですか?」
「あぁ…うーん…ちょっとここでは言えないね
ゆーちゃんと二人になりたいんだ」
「内密な話ですか…?家庭事情とか…」
「うん…そそ。だから、悪いんだけどみなみちゃんはここで…」
「…そうですか…判りました。じゃあね、ゆたか…」
ゆたかはこなたに手を引っ張られて進んで行く
屋上へ着いて少し時間が経過しても、みなみが来ることは無かった
もはやこなたの思惑どおりであった
屋上の入口の建物は避雷針や通風孔の穴もあり、そこそこ広範囲の死角がある
こなたはゆたかを屋上端のフェンスに網が拉げるくらい押し当てる
「ひっ」
「正直に答えて。お父さんを殺したのは、ゆーちゃん?」
「…うっ…お姉ちゃん、病院はいいの…?」
ゆたかは顔を引き攣らせる
「さっさと答えろ!!」
「…ごめん」
ゆたかは唇を震わせ、涙をぽろぽろ零す
「私が、殺しました…」
485:デフォ北
08/09/13 00:13:22 vAcbOqnn
こなたは溜息をつきながらも、素直に自供するゆたかに若干驚いていた
まあ、別にゆたかは嘘をつくのが得意な訳でもなし、当然のことか
キリリと歯軋りの音を立てながらカッターナイフを取り出す
「お…お姉ちゃん…何を…?」
「…決まってんじゃん。
お前がお父さんを殺したように、私がお前を殺すだけだよ」
「…そっか。そうだよね…私の意志じゃなくても、幇助に繋がっちゃうよね…」
「何だ、ゆたからしくないね。命乞いくらいすると思ってたけど」
「お姉ちゃん…本当にごめんなさい…当然の報いだと思ってます…」
「マジで?弄り甲斐ないなー。どこまでムカつく女なんだよ」
ゆたかは目を閉じる
こなたはカッターを首元に構える
後はこれを引くだけ
それで復讐が出来る
手に汗が握り、背筋にも冷や汗が湧き出る
これを引くだけ
引くだけ
引く…だけ…
…何故だ、手が動かない
代わりに涙が溢れんばかりに出てくる
何をやってるんだ私は、目の前に居る奴は人殺しなんだぞ…?
「くっ…駄目だ…」
こなたは首元からカッターを離す
自分のことが信じられ無かった
こんなに酷い事をされたのに、実の父親を殺されたのに…
何で復讐さえ出来ないのだろう…
例えここでゆたかを殺したとして、お父さんは元気になるのか?
…なる訳がない
自分は臆病だな…
ゆたかとの思い出が脳裏を過る
病弱だったけど元気な姿を精一杯こなたに見せてくれたゆたか
一緒にゲームもしたり、沢山楽しく遊んだ
そんなゆたかが人殺しだなんて、実は信じたくも無かったのだ
でも、今の私は気が立ってて…
親戚であるゆーちゃんまで殺しそうになって…
ゆーちゃんを殺しても何も得しないのに…
その時ゆたかが私のカッターを握る手を掴み、そのまま自分の胸元に刺した
「ゆーちゃん!?」
486:デフォ北
08/09/13 00:16:17 vAcbOqnn
キリがいいのでここまでです
あっという間に執筆地点に到達してしまったので
少しの間投下はお休みします
そろそろ期末考査も控えていますので
487:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/13 00:28:30 25PDDYDB
赤い悪魔が赤い天使になった
488:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/13 01:14:12 6wOo+XRB
>>350まで読んだ。
お、追いつかねぇw
489:お漏らし中尉
08/09/13 01:41:37 j1ns271e
投稿数が半端じゃない・・・
>>197のつづきを投下します
自殺が出来ない・・・・
不可思議な表現方法である
「しない」でも「したくない」でもない、「できない」のだ
それは人間の自由意志を脅かされた、まさにそんな表現方法
第三の因子が介入した「行動制限」である
それは泉こなた本人が知らぬ間に植えつけられた、ある種の足枷によるものだ
時は少し遡る
その日は酷く日差しが強く、惨劇とは裏腹に太陽はカラカラと嗤っていた
晴天の日光浴日和
明るく包まれたその世界で
陵桜高校の屋上に集まる三人の女子生徒達
柊かかみ、つかさ そして高良みゆきである
柊姉妹はみゆきを囲むようにして話に耳を傾けていた
その内容は
「実は最近、面白いものを手に入れまして・・」
「何々?」
「面白いって事は、映画か何かなの?」
「これです・・ふふ」
みゆきは鞄から取り出したそれを手のひらにのせて微笑む
それは何かの・・・
「「ケース・・・?」」
指輪を入れるには小さいそのケースの中には、
髪の毛並みに細い針金のような物が大事そうにしまわれている
「これは、電子チップの一種なんです」
「電子チップって・・・」
「ポテトチップとは違うの?」
みゆきの眉がかすかに動いたのを察知してかがみはつかさを牽制
「・・・・・つかさ、アンタちょっと黙ってなさい・・・」
「え、うん・・・」
490:お漏らし中尉
08/09/13 01:43:22 j1ns271e
つかさは一瞬、不満そうな顔をしたが素直に口をつぐむ
それを合図にしたかの様にみゆきが再び口を開いた
「人間の感情や運動といったものが、どういった経過で伝達されるかはご存知ですか?」
「・・・また、難しい質問ね・・・」
「ふふ・・・簡単に教えてしまうのもつまりませんから、頭の体操ですよ」
「それもそうね・・・・えー・・・・と・・神経、いや・・・科学物質かしら?」
「流石かがみさんですね、7割といった所でしょうか」
「ありゃ?外れなの?」
「ええ、応えは電気信号です・・・まあ、質問が曖昧でしたので正解というのもあつかましいですが」
「電気信号ねぇ・・・思いつかなかったわぁ、で・・それの何が面白いのよ?」
「・・・電気信号・・・・?」
首を捻るつかさをよそに、秀才二人は話を進める
「実はこのチップは試験品なんですが、人間のある感情に対して『抑制効果』を発揮するものでして」
「抑制効果・・また、随分難しい言葉ね」
「ふふ・・・・ここからが面白いんですよ」
「・・・・・・」
みゆきの顔はいつもの穏やかな顔から、まるで悪魔のような顔に変貌している
もっともトレードマークの笑顔はそのままなのだが
その麗しい笑顔が禍々しさをさらに不気味なものに変えていた
そして、数十分後
いつものありがたーく迷惑な『みWIKI』なんかより
ずっと面白いウンチクを散々語られ、専門用語を幾多と使われたにも関わらず
かがみとつかさは満面の笑みで「すごい!それ本当!?」とチップを見つめていた
「ええ、ですからこの特殊な電子チップを泉さんの首に埋め込めば・・・・・」
「あの馬鹿の自殺癖を止めれる訳だ・・・」
「ざまぁ!・・・だね♪」
491:お漏らし中尉
08/09/13 01:45:42 j1ns271e
談笑の最中、それを沈黙へと変えたのは屋上の扉の音
鋼鉄の扉は冷たく、重々しい音を軋ませながら闇から少女を吐き出した
「こなた・・・・」
特に驚いた様子も無く、無感動にその名前を吐き捨てるかがみ
何をしに来たのかと言わんばかりに柊姉妹はこなたを睨む
「・・・・そんなに見ないでよ、私がそんなに怖いの?」
こなたは強気だ、苛められても苛められてもこなたは平然と学校に来る
それもその筈
こなたは知っているのだ
かがみとみゆきがいくら利口であり、巧妙に嫌がらせをしてこようが
こなたの遺書に名前が載れば死して尚、復讐が出来ることを・・・
『所詮は三人とも自分が可愛いお嬢様、自分を自殺に追い込める程の器は無い』
そうたかを括っているのだ
「どいてよ、私はみゆきさんに呼ばれてここに来たんだからさぁ、かがみんには用なんかないんだよ?」
「・・・・・あんた、ちょっと生意気よ・・・」
「なに?だったら殴ればいいじゃん・・・内申響くんじゃない?弁護士になれないよ?」
「・・・くぅ・・・」
放っておいたら殺し合いが始まりそうな雰囲気が息を凍らせる
つかさはジンジンする肺を両手で抱えるようにして震えていたが
たった一人、みゆきだけは笑顔で その可憐さを纏ったままだった
「まあまあ、お二人とも・・・宜しいじゃ有りませんか」
みゆきの声は真冬の暖炉のように、その冷ややかな空気を一掃する
かがみは「ふん・・・」と鼻をならすとこなたから目を背けて
みゆきを恨めしげに見た
492:お漏らし中尉
08/09/13 01:49:09 j1ns271e
こなたにいたっては「かがみに目を逸らさせた」という小さな余韻に浸りつつ
苛められっ子とは思えない程に傲慢な態度でみゆきに噛み付いていく
「みゆきさん、用事って何?まさかここで私を殺そうって言うんじゃないよね?」
「いいえ、そんなはず無いじゃないですか」
「ふーん、どうだかね?」
「どうして私が友人である泉さんを危険にさらさなければならないんですか?」
みゆきは未だ平静を保ち、凛とした声を響かせたが
こなたは違った
「良く言うよ!私がウザイからって理由で苛め始めた張本人が友達なんて言わないでよ!!」
「・・・・ふふ、それもそうですね」
「・・・・・・ふん」
こなたは少し哀しそうな顔をしたが、かがみとつかさの瞳にはそれが愉快に映る
一方、みゆきの目じりも若干『微笑み』とは違う形で笑顔を表現していた
「貴女みたいな方の為に私の経歴が汚れるのは不本意ですからね、たとえそれが自殺でも
迷惑千万なんですよ・・・・ね?かがみさん・・」
「・・・・そうね・・・」
この会話の流れで自分の名前を呼ばれたかがみは若干戸惑ったが
そこは秀才である
これがみゆきからの「合図」である事を瞬時に悟るとズカズカとこなたの前に歩き出した
「就学、進学、就職、成功・・・あんたみたいなオタクには縁のない話よね?」
「・・・・!!」
「ほら、言い返せないじゃないの?ほんと、あんたって駄目よね~」
「・・・そんな事・・・そんなこと無いもん!」
「あんたって私がいないと駄目だもんね~、なんなら仲直りでもする?」
「・・・・え・・・?」
493:お漏らし中尉
08/09/13 01:51:14 j1ns271e
かがみはこなたの動きが止まった一瞬を見逃さなかった
『今だ』・・・・
即座にこなたの背後を取ったかがみはそのまま腕を絡めて羽交い絞めにすると
「つかさ!足!!」と妹に応援を要請した
つかさはやっとの思い出状況を把握し、こなたの足にしがみ付く
「はなせ!はなしてよ!!」
身長の小さいこなたは力も弱く、格闘技の経験や運動成績も嘘ではないかと思うくらいに華奢である
「残念だったわね、あんたと仲直りするつもりなんかこれっぽっちも無いのよ?」
「馬鹿ぁ!アホ!はなせ、デブ!」
こなたの執拗な罵声もいまのかがみには無意味である
「言ってなさいよ、それよりもっと面白い事が今から始まるんだからさぁ・・・あはは」
「そうですよ、泉さん・・・ふふ」
気が付いたら、みゆきが目の前におり・・・不安は骨頂に達する
「いや!なにするの!?」
「ほらほら、じっとしなさいよ!」
「こなちゃん、蹴らないで!!酷いよ!?」
みゆきの顔が少しずつ近づいてくる
恐怖が脳天にくいを打った瞬間・・・・
冷たいものが首にのめり込む・・・・・?
「ひあ・・?」
そして・・・一瞬首に違和感が走ったかと思うと
今まで感じたことの無い程の衝撃がこなたを襲った
494:お漏らし中尉
08/09/13 01:52:49 j1ns271e
「ひいいいいい・・・・・!!!!!!!!」
それは電気とも刃物とも鈍器とも違う刺激・・・
苦しいという部分では共通するが、ほかの何にも表現しようがない感覚だった
そして、それはとても切ない感覚だ・・・・
ドサ・・・・・
こなたはそのまま冷たい地面に倒れこんだ
日の光が消えていく・・・いや、瞳を閉じているのだ
はじめてのその感覚は少女の小さな体には刺激が強すぎたようだった
こなたの意識はそこで途切れる
「こなちゃん~、死んじゃったかな・・かな?」
「まさか殺してないわよね、みゆき?」
「ふふ・・・殺してなんかいませんよ・・・ただ、死ぬほど気持ち良かったでしょうけどね・・・」
かくして、こなたの地獄の日々が幕を開けるのである
つづく
495:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/13 11:11:19 kX72WLq1
やっぱ中尉とJEDIさんの文章素敵だわ。
前者は本当に流暢ですらすら読める。
後者は力強くぐいぐい引き込んでくるね。
何読んでりゃこんなん身に付くんだ?
流暢っていやラノベだし、力強く引き込んでくるのは文学だが、
二人ともラノベや文学につき物といえる、しつこ過ぎる比喩という弱点がない。
496:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/13 12:48:39 OB1UzCNS
まあ、そういうのがSSってものだからね。
ちゃんとした文章力ある人がSS書けば、そういう感じになるのでは。
たまにラノベチックな過剰な比喩とか挟む人もいたりするけど
そういう人は大抵文章自体がどこか怪しかったりするし。
(このスレには、そういう人はいないです。念のため)
プロが文章に過剰な装飾するのは、まあ文字数稼ぎ的な意味も
あったりするんじゃないのかね。
497:赤いK悪魔の終焉2-10
08/09/13 16:18:35 pe5DqcFl
>>427 投稿無い様なので赤い悪魔終章2レス投稿します。
3分後投下予定。
498:赤いK悪魔の終焉3-1
08/09/13 16:23:31 pe5DqcFl
事件から数日が経過した、大型連休も終わり本格的に5月が始まった。
テレビ・新聞では連日事件の事が報道されている。今までは、デスノートの事は秘匿されて来たが
ゆたか篭城事件により秘匿は困難になったと判断され公表される事になり世界中が驚倒した。
しかし死神の事は秘匿され、ノートは古代文明のオーパーツではないかという発表がなされた。
死神界の存在を公にするのは、宗教的にまずいので隠匿するのはやむをえないだろう。
最後のノートは、ゆたかが死亡するまで保管される事になった。年に一度Lと関係者によりノートが確認される。
ゆたかより先に、Lが死亡した場合はLの後継者の1名が新たに代表になり、ゆたか死亡後葬儀終了を待って焼却される。
竜崎の予想通り、解決した日の夜から雨になり、数日小雨が降り続いた。「キラ事件の犠牲者の涙雨」
と報じたマスコミも多かった。ようやく天候も回復したが、気温もあまり上がらず肌寒い一日だった。
夜11時のニュースを見終えた竜崎は外出の準備を始めた。
「ワタリ、今から出かけてきます。最後にある人に会います」。
「解りました、気を付けて下さい。」ワタリが竜崎に市内地図を渡す。
既に人通りは少ない、竜崎はコンビニでおにぎりや菓子パン、肉まんなどをいくつか買うと再び歩き出した。
竜崎は人気の無い、公園のベンチに座り、買って来たおにぎりを食べしばし休んだ。
ふとある気配を感じ、周囲に誰も居ない事を確認すると、ゆっくりと誰もいない空間に向け呼びかけた。
「そろそろ話しませんか、夜も更けてきました。心の準備は出来ています」。
ぼんやりとした光が立ち込め、やがて人の形を形成した。それはこなたにとてもよく似ていた。
「泉かなたさんですね。私の事は竜崎とお呼び下さい」。動揺も無く話しかける竜崎。
「こんばんわ、今日は竜崎さんに聞きたい事があります」。
「単刀直入に言います。4月19日に駅のホームからゆたかさんを突き落としたのは貴女ですね」。
「はい、私がやりました。こなたやそう君と仇を討ちたかったの。しかし、貴方が助けてしまった」。
「どうしてなの、もう少しでこなたやそう君の仇が取れる筈だったのに、場合によっては」。
「ゆたかさんの様に殺しますか。その気持ちは解ります」。
「そこまでは、力も使ってしまったので、でも変わりにストーキングしちゃいます」。
「なるほど、オヤシロさまならぬカナシロ様と言うわけですね」。竜崎は妙に納得した様子で答える。
「竜崎さんは、そう君みたいに面白い人ですね」。どうやらこの2人気が合うようです。
やがて再び両者の顔が真剣な物になる。竜崎がおもむろに口を開き、
「それでは何故ゆたかさんを助けたのか話します」。
「それは、貴方の愚かな犯行を止める為です。月並みな表現ですみません」。
499:赤いK悪魔の終焉3-1
08/09/13 16:33:22 pe5DqcFl
「私も、様々な犯罪者と戦って来ましたが、幽霊の犯行を阻止したのは初めての経験です」。
「ゆたかさんが死亡した場合、事件の真相究明は難しくなっていたでしょう。
日本には古来より死者に鞭打つ事をダブー視する傾向があります。犯人が自殺し真相究明が出来なかった例もあります。
それで済めばよい方で、こなたさんが犯人ということで事件捜査が打ち切られていた可能性もあります。
事実私がいなければそうなっていたでしょう。貴女の行為は全くの逆効果です」。
かなたの顔は青ざめていた。自分の愚かな行為の意味を知らされた衝撃は大きい。
「私、母親失格ですね。こなたに取り返しの付かない汚名を着せようとしていたのね」。
「はい、その通りです。」ずばりと言い切る竜崎。かなたは怒る気力も消えうせた。
「うう、少し位フォローしてくれてもいいのに、そう君に言いつけてやるー」。泉かなたの憤慨
「いいえ、私もこなたさんを助けられなかった点では全く同じです。後10日早く帰国していれば・・・と考えてしまいます。
さらにゆたかさんを助けた事で、不可効事ではありますが4名もの犠牲者を出してしまいました。
今後私を非難する人も出るかもしれませんね。それが公正な世論と言う物です」。
「あの子を地獄に落として、こなたの痛みを・・・・今更遅いですね」。
「気持ちは解りますが、残念ながら、ある事情によりそれは不可能なのです。」
「何を言っているの、あんな酷いことをしたのだから地獄に落ちるのは当然じゃないですか」?
「所で、キラ事件に付いては知っていますか?最初のキラ事件の方ですが」?
「知ってます。レイさんと美空さんと言う方と友人になり教えて貰いました。貴方が解決したのでは」。
「そうです。実は、ゆたかさんも同じキラの能力を用いて犯行を行いました。
「ええっそうなの、こなたもそう君も・・・・酷い」。かなたの怒りは当然であろう、しかしかなたは知らなかった。
「実はキラの能力には厳しい掟もあります。能力を使用したものは天国にも地獄にも行けない、無だそうです」。
つまりゆたかさんが死亡した場合、ゆたかさんの苦しむ時間は僅か数秒です」。
「ええそうなの!知らなかった」。泉かなたの驚愕@@レイや美空は詳しいルールは知らないので当然である。
かなたは、大きく安堵の息を漏らし竜崎の方を向いた。微笑を浮かべている。
「竜崎さん、私を止めてくれてありがとう。これで思い残す事無く、2人の所にいけます」。
「こなたさんに、いずれゲームの再戦をしたいとお伝えください。半世紀ほど後になるかもしれませんが」。
それと、美空さん達に、Lがごめんなさいと言っていたとお伝えください」。
「責任を持って伝えますね。ではさよなら竜崎さん」。淡い光が立ち込め、一瞬視界が奪われる。
数秒後、竜崎が気付くと既にかなたの姿は無かった。
「さて、ヴァルハラでどんなゲームでこなたさんと対戦するか、60年後までに考えねばなりませんね」。