「泉こなたを自殺させる方法」を考える25at ANICHARA2
「泉こなたを自殺させる方法」を考える25 - 暇つぶし2ch350:赤いK悪魔の終焉2-8
08/09/10 10:46:38 cv62wpk6
「はい、とりあえず竜崎と呼んで下さい」。苦笑して答える竜崎。
「それも偽名みたいだけど、竜崎さん、私のノート持っているよね」。
「はい、持っています。焼いたりしたら貴方の記憶が飛んでしまうので」。
「偽物とすり替えたりする時間は、無いはずだよ。だよ」。
「はい、この事態は想定外でした。対応する時間は全くありませんでした」。
事実、竜崎はここに来て、初めてノート(1ページ分)がまだある事を知ったのである。
「竜崎さんが持っているノートは本物だよ。私には判るよ。感じがするの」。
「ノートに書く際は、心臓麻痺、眠るように死亡で良いですか」?
「OK。他の人は書かないよ。竜崎さんが死んだら、ノートを持って投降するよ」。
「ありがとうございます。ただし、私以外の名前を書いたら生命の保証は出来ません」。
「じゃ、早く書いてね。ここから見える位置でお願いするね」。
「1つ、最後の願いがあるのですが、良いですか、直ぐ終わります」。
「良いよ、あっ助命はダメだよ」。余裕の表情を見せるゆたか。
「最後におやつを食べさせてください。この時期だと、苺大福と、桜餅が良いですね」。
「うん、良いよ。誰かに買いに行かせてね」。竜崎は、近くの評判の良い菓子店の場所を教えた。
「かがみさん、この前の何か奢るという約束を果たしてください。予約は無くても買えます」。
「そこの半月堂さんで買ってきてください。饅頭もあると良いですね」。
かがみは悲しそうな顔で買いに行き、10分ほどで戻ってきた。
「竜崎さん、本当にいいの?食べ終わったら、死んでしまうんだよ」。
「竜崎、考え直してください」。かがみとワタリが止めようとするが、
「彼女が持っているのは、最後のノートです。もうこれ以上キラ事件で
死者が出ることは無くなります。私の名前が最後に書かれる事で、キラ事件に永遠に幕が引けるのであれば」。
全員竜崎の覚悟に、言葉を発することも出来ない。竜崎はおやつを美味しそうに食べた。
やがて「最後のおやつ」も終わり、竜崎はペンを手にした。
「ワタリ、私が死んだら、後継者達をお願いします。(MとN)支えになってください」。
全員竜崎のそばから離れる。つかさやみゆきは泣いている。
竜崎は迷わずに名前を書いた・・・しかし、最後の1文字を書こうとした時、無線が騒がしくなる。
「入ってはならない。下がりなさい」。誰かを制止する複数の声だ。竜崎の手が止る。
「ゆたか、もう止めて」!振り向くゆたか、そこに居たのは…?

351:赤いK悪魔の終焉2-8
08/09/10 10:55:10 cv62wpk6
 今回は、ここまでです。午後にまた投稿するかもしれません。
後1日くらいで終わりそうです。
ありがとうございました。

352:JEDI_tkms1984
08/09/10 12:29:24 DWXLd+HA
今夜9時頃、予定通り投下しますのでよろしくお願いします。

353:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 16:33:41 6FkHY20Y
逃走中、重ね着脱ぎ七変化=ひったくりの「カメレオン」男-大阪

男性のバッグをひったくったとして、大阪府警生野署に窃盗容疑で逮捕された男が、捜査を惑わすために、
自転車で逃走するたびに重ね着した上着を脱ぎ捨て「七変化」していたことが26日、分かった。
署員の間では「カメレオン」と呼ばれていたという。
男は大阪府茨木市新和町、無職李博被告(42)=窃盗罪で起訴=。「犯人像と違う色のシャツを着ていたら、
カムフラージュできると思った」と話しているという。
同署によると、李被告は5月27日、東大阪市足代北の路上で、自営業の男性(69)から現金などが入ったバッグをひったくった後、
Tシャツを数枚脱ぎ捨てながら自転車で逃走した。

URLリンク(www.jiji.com)

>大阪府茨木市新和町、無職李博被告(42)

朝日新聞
URLリンク(www.asahi.com)

>同府茨木市新和町の無職、石原博容疑者(42)

354:デフォ北
08/09/10 16:52:29 LU6lbgme
>>352
いよいよですか。楽しみですねw
じゃあ自分は今晩の0時くらいにでも

355:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 17:18:45 dsVzgTAX
なんという豪華さ

356:『勘違い』(問題編)
08/09/10 18:48:07 riLT+uaS
これから続き投下します。

357:『勘違い』(問題編)
08/09/10 18:49:10 riLT+uaS
>>324

「あのね……私……」
ガララッ
「ほーら、席につけー」
彼女が何かをいいかけた。しかし、タイミング悪く担任の先生が入ってきた。そ
のまま話を聞くのも悪いと思い「また、後でね」と告げると私は自分の席へ向か
った。


「みんな揃っとるな?今日は入学式やからざっと自己紹介しておわるで!」
入ってきた先生は金髪で関西弁。見た目、いい感じのお姉さんと言った感じだっ
た。
「私は黒井ななこや。気軽に黒井先生っていってくれてええで♪よろしゅーな♪

そういって笑う先生を見ていると、クラスに恵まれたなと思わずにはいられなか
った。
「じゃ、みんな自己紹介してもらおか♪」
その黒井先生の一言に生徒一同急にざわめきだす。
自己紹介で何を言おうかと考え込む人、さっきまで平然としていたのに急に緊張
し始める人……。
いろいろだった。入学式ともなれば自己紹介することくらい簡単に予想できただ
ろうに。と、私は思った。
そんなこんなでざわめきつつも名前の若い順に自己紹介していくことになった。
「ほな泉、前にでて自己紹介しぃ?」
一番目は、泉さんだった。泉さんは頭文字が『い』だからその可能性は十分高か
った。
だが、泉さんが前に出る気配はなかった。
気になってそちらをみれば、泉さんは体をカタカタと震わせてうつ向いていた。
また緊張しているのだろうか……。
しかしそれにみかねた黒井先生が話しかける。
「クラスの自己紹介くらいでそんな緊張することないで?もっと気楽に。な?」
「……は、はい」
ふと、泉さんが不安そうにこちらをみる。
だから私は、頑張れ!という意味を込めてガッツポーズをした。
すると、泉さんは少しだけうなずいて前に出る。


358:『勘違い』(問題編)
08/09/10 18:50:12 riLT+uaS
>>357

スー……ハー……
と、深呼吸をする。
「……い、泉こなたです。特技は、昔空手を習っていたので、空手が出来ます。
これから一年間よろしくお願いします。」
「趣味とかはなんかないん?」
「趣味は…………」
黒井先生が質問する。
が、泉さんはそこで何故か声が少し小さくなる。
黒井先生は、それでもなにか聞き出そうと続ける。
「なんでもいいんやで?ゲームとか漫画とか。先生も好きやし」
「………ゲームは…少しやります」
「なるほどな。はい、ありがとう」
やっと終わったよとでも言うかのように息をつくと、泉さんは一礼してそそくさ
と席につくと、恥ずかしそうにうつ向いた。

泉さん頑張ったね……。お疲れ様……

それから数人の自己紹介が続き、いよいよ自分の番となった。
「初めまして、柊かがみといいます。家は神社で、時々手伝いをしています。趣
味は文庫小説を読むことです。よろしくお願いします」
よし、こんなものかな……。
あんまり喋りすぎてもイメージ悪いしね。
「ほい、よろしく……。じゃあ次、平塚雷鳥やな………」

それから少しして、一通り全員の自己紹介も終わり、今日することは終わった。
「一通り終わったな。ほな、今日は解散!」



359:『勘違い』(問題編)
08/09/10 18:51:08 riLT+uaS
>>358

放課後、生徒が皆帰っていったにもかかわらず、泉さんはうつ向いたまま座って
いた。
私は泉さんの席へむかった。先程言いかけた話を聞こうと思ったからだ。
「泉さん!」
「…………柊さん」
私の声に反応すると、顔をあげてこちらをみる。
「……かがみでいいわよ、その方が気が楽だわ」
「うん……。じゃあ私もこなたでいいよ、かがみ♪」
元気に反応するこなたをみて私も安心する。
「うん、じゃあこなた。さっき先生来る前に何か言いかけてたじゃない?それを
聞こうと思ったんだけど……」
だから私はすぐさま本題に入ろうとする。
けれど、こなたはまたうつ向き気味に言った。
「あ、うん……。それはまた今度でいいかな?」
「?……わかったわ」
頭上に疑問マークが浮かびつつもこなたの仕草をみる限りは、それ以上詮索しな
いほうがいいと判断し、そのまま私とこなたはしばらく他愛もない会話をしてい
た。
そのおかげでこなたのことが少しだけわかった気がする。
帰り道が途中まで同じこと、こなたは実は漫画やアニメやゲームが大好きなこと

それでいてオタクだって馬鹿にされるのが嫌で自己紹介ではいわなかったこと。
人見知りしやすくて他人の前では恥ずかしがりやなこと。
そのせいであまり友達がいなかったこと。
他にもいろいろあるが、ここで確実にひとついえることがある。
それはこなたが私を信頼してくれているということだ。それがとても嬉しくて、
私は上機嫌になる。

「それじゃあ、私はそろそろ帰るけど……」
「あ、じゃあ私も帰るわ。途中まで一緒に帰ろ?」
「うん♪」
嬉しそうに笑うこなたを見ていると、私も自然と笑みがこぼれる。
それから帰り支度をすると、私とこなたは教室を出た。


360:『勘違い』(問題編)
08/09/10 18:52:54 riLT+uaS
>>359
以上です。続きは、今日の夜中か明日にでも。
ではでは。

361:『勘違い』(問題編)
08/09/10 19:00:17 riLT+uaS
『勘違い』の入学式でこなたが椅子にぶつけて音をならしてしまったときの涙目なこなたを描いてみました。

URLリンク(pksp.jp)



362:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 19:34:21 4Yua1xDL

そう

この
なんか


わかr

ないい
のなに


363:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 20:36:17 8NToHDJr
あとがき見ると3人とも今晩投下予定or可能性ありか。
こなた自殺SSの人気に嫉妬w

そういえばこなたって格闘技経験者なんだよな。
ふと思ったんだけどこなた位の背丈で格闘技習ってた人って
素人の男子相手に勝算はどれ位あるんだろう?
現実的な意味で。

364:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 20:46:15 SEQ+XED0
バイトいじめ

URLリンク(www.uploda.org)

「ハルヒ厨帰れ!」
普通の絵じゃん、これ。スレチすまん

365:JEDI_tkms1984
08/09/10 21:12:55 6Y+PYtN2
みなさん、こんばんは。
ただいまから投下します。
今回はグロテスクな表現がありますのでご了承ください。

366:惨劇館1
08/09/10 21:14:45 6Y+PYtN2
「えっ、別荘?」
こなたが眠そうな目をこじ開けて大仰に驚いた。
「あ、いやまあ……厳密には別荘ってわけじゃないんだけどね」
かがみが慌てたように取り繕う。
「でもお話を聞くと別荘というより豪邸に近いようですね」
小振りな弁当箱をつつきながらみゆきも話に乗ってくる。
こなたはすでにチョココロネを食べ終えており、ブリックパックのカフェオレに吸いついている。
「うーん、豪邸ってほどでもないと思うけど。でもけっこう広かったわ」
件の別荘を想い起こしてか、かがみは遠い目をして言った。
彼女の脳裏に、少し前に見た光景が広がる。
ジャングルのような森林の中にある洋館。
絵画などでしかまずお目にかかれないようなシンメトリーの古い館だ。
「お父さんの知り合いの人が持ってるんだけどね。ずいぶん使ってなかったらしいのよ。
それで夏休みの思い出づくりにどうだ、って」
弁当箱を丁寧に片づけながらかがみが言った。
「それはもったいないですね」
「でしょ? で、どうせならみんなで行かないかなと思ってさ」
ただおの旧友にそこそこの資産家がいるらしい。
いかにして財を成したかは分からないが、各地に別荘をいくつも所有するほどの金持ちだという。
今回、その旧友が離島にある別荘を貸してくれるというのだ。
長いこと放ったらかしにしていたようで埃まみれではあるが、石造りの丈夫な館のため瑕疵はないらしい。
「それってタダなの?」
こなたが訊いた。
「知り合いからお金はとれないって言ってる。でも手入れしてないから汚いのは我慢してくれって」
つまり宿泊代を取らない代わりに、掃除は各自でやってくれということだ。
「心配しなくていいわよ。もう私がやってあるから」
と言ってかがみはニヤっと笑った。
「離島と仰いましたが、遠いのですか?」
今度はみゆきだ。
「けっこう遠いわね。いちおう最寄りの港で送迎船を頼むんだけど、30分くらいかかるかな」
というかがみの口調からして、館を掃除するために何度か往復したようだ。





次の連休に遊びに行かないか、と誘ったのはかがみだった。
いつもゴミゴミした都会にいるから、たまには自然の空気を味わおうという趣向である。
彼女は2か月ほど前から計画を立てており、休日にはちょくちょく館に出向いて手入れをしていた。
周辺の草を刈ったり、室内の汚れを洗い流したりとかなりの重労働である。
洋館で過ごすなど平民には滅多にない機会だからと、この申し出にはこなたも承諾している。
特に予定のなかったみゆきも、そんな貴重な体験ができるとあって二つ返事で誘いに乗った。





「それでさ、こなた」
やや間をおいて、かがみが言い難そうに切り出した。

367:惨劇館2
08/09/10 21:15:36 6Y+PYtN2
「私たちだけじゃ寂しいから……ゆたかちゃんも誘ってほしいのよ。駄目かな?」
”寂しい”という部分で急にトーンを落とす。
こなたは何か考えるようにしばらく俯いた後、
「……かがみがそのほうがいいなら、今日にでも声をかけてみるよ」
いつもの眠そうで、しかし真剣な顔つきでそう答える。
それから、とかがみは今度はみゆきに向きなおり、
「岩崎さんも呼びたいんだけど……」
この時もやはり歯切れの悪い口調で申し出た。
急に話を振られたみゆきは一瞬、キョトンとした顔つきで固まったがすぐに、
「え、ええ……分かりました」
曖昧な笑顔で頷く。
「ゆーちゃんが行くって言えば、みなみちゃんもきっとついて来るよ」
百合っぽい想像しながらこなたが言った。
彼女の頭には波打ち際を追いかけっこする2人がかなり鮮明に描かれている。
逃げるゆたかを追いかけるみなみ。
数十メートル走ったところで、ゆたかが苦しそうに胸を押さえてうずくまる。
慌てて駆け寄るみなみ。ゆたかが心配をかけまいと額に汗を浮かべて笑顔を返す。
最後はお姫様抱っこされて恥ずかしそうに俯くゆたかと、もっと恥ずかしそうに俯くみなみだ。
「―聞いてる?」
ツンデレのツンの部分を前面に押し出したかがみが、ぐいっとこなたの顔を覗き見た。
「あ、ごめん、何だっけ?」
ピンクの妄想にひとり萌えていたこなたが我に返る。
「だから、田村さんにも声をかけてほしいんだって」
若干イライラした様子でかがみが言った。
こなたの言動に呆れることはあっても、怒ることなど滅多にない彼女にしては珍しい反応だった。
「ひよりん? いいけど…………?」
かがみがいつもと違うことに、こなたはようやく気付いた。
田村ひよりといえば、立ち位置的には自分に近い。
オタク繋がりで親しくなったが、かがみと彼女はさして接点はない。
(やっぱり賑やかなほうがいいのかな……まあ、そういう気持ちもあると思うけど……)
ならば、とこなたは思いついたように顔を上げた。
「だったらさ、みさきちと峰岸さんも誘えばいいじゃん? 多いほうが―」
「ああ、駄目なのよ。2人とも予定があってさ」
こなたが言い終わらないうちにかがみが制した。
その様子を頬に軽く手をついて眺めているみゆき。
「じゃあ、私たちを入れて全員で6人ね」
この話はこれでおしまい、といった様子でかがみが手をパンと叩いた。
そこにみゆきが口を挟んできた。
「あの……いくらお知り合いの方の別荘とはいえ、私たちだけで大丈夫でしょうか?
どなたか保護者の方にもお付き添いいただいたほうが…………」
良識を弁えた彼女らしい提案だ。
念のために、ということなのだろう。
しかしかがみは、
「うーん、でも送迎の船が6人乗りなのよね。あ、船頭さんは数には入れないわよ?」
さほど考えていないように即答した。
そういう理由ならば仕方がない。
「私たちも子供じゃないんだからさ」
こなたの押しもあって、みゆきは渋々ながら納得した。
あんたはどう見ても子供だけどな、というかがみの指摘が入って再び和やかな雰囲気に包まれる。
しかし誰も笑わない。
重苦しい空気はどこからともなく入り込み、3人を陰鬱な気分にさせた。
「かがみさん…………」
翳りのある表情にまず気付いたのはみゆきだった。
「やはり今回の―」
「いいの! もう決めたんだから! ほら、あんたもそんな顔すんな」
柄にもなく気遣うような視線を向けるこなたに、かがみは虚勢を張った。
口調にツンデレらしい鋭さがない。
気丈に振る舞っているのが痛いくらいに分かるだけに、2人もどう返せばいいか分からない。
「とにかく次の連休は楽しもう。そのために準備してきたんだから」
濡れた瞳でかがみがそう言った時、チャイムが鳴った。

368:惨劇館3
08/09/10 21:16:32 6Y+PYtN2



「天気予報じゃ雨だって言ってたけど、晴れてよかったわね」
潮風にツインテールをなびかせながらかがみが言った。
「そうですね……てるてる坊主を吊るした甲斐がありました」
その横に座るみゆきが目を細めて海の向こうを眺める。
さらさらと流れる髪だけを見ても、彼女が育ちのいいお嬢様だと分かる。
「へぇ~、みゆきさんもそゆことするんだね」
こなたが割り込んできた。
みゆきは少し頬を赤らめて、
「ええ、まあ信じているわけではありませんが、あくまでおまじないということで……」
困ったように俯く。
そういう仕草がいちいち可愛いと思ったこなたは、
「でもさ、みゆきさん。晴れにならなかったらそのてるてる坊主がどうなるか知ってる?」
やや挑戦的な目で問いかけた。
「たしか童謡では首を斬られるんでしたよね」
みゆきは即答する。
「ほほぉ~、さすがみwikiさんだね! じゃあ晴れたら?」
「金の鈴をつけるんですよ」
これまた考える暇もなく答える。
彼女はただ博学なだけではない。
訊かれたことに対して、記憶の中からすぐに該当する項目を引っ張り出して答える。
「残念だったわね、こなた」
かがみが意地悪な笑みを浮かべた。
てるてる坊主の顛末はこなたが知っている数少ないトリビアのひとつだろう。
さすがのみゆきでも分からないだろう、と思っての出題だったがあっさり正答を言い当てられた。
「みゆきは何でも知ってるのよ」
まるで自分のことのようにかがみが威張る。
空と海。濃度の違う青に挟まれて6人は別荘を目指す。
小波に乗って船が小さく揺れた。
「ゆたか、大丈夫?」
てるてる坊主談義の陰で、横たわるゆたかと介抱するみなみがいる。
決して弱くない日差しと船の揺れのせいで、ゆたかは10分ほどこうして体を休めている。
「うん、大丈夫……」
大粒の汗をかいてはいるが血色はよい。
その口調にまだ力強さがあるのを感じ、みなみは少し安心した。
その様子を別の理由で見守るのはひよりだ。
普段、滅多に乗ることのない船。
その中で繰り広げられる百合の世界。
(これっスよ、これ! ありがとう! 小早川さん、岩崎さんッ!)
ひよりの脳内ではすでに次回作の同人誌10ページ近くが完成している。
「お嬢ちゃん、もうちぃっと辛抱してくんな。もうすぐ着くからよ」
操舵席から船頭の声がした。
50代くらいに見える気のよさそうなおじさんだ。
その柔和な顔にみなみが軽く会釈をした。
飛ばせば20分もかからない距離だが、ゆたかを気遣って船頭は速度を落として船を走らせてくれる。
ひよりは落ち着きなく辺りを見渡す。
見えるのは船べりと海しかないのだが、こういう風景をよく目に焼き付けておこうと思った。
「いいッスね~……」
珍しくオタクとしてではなく、ひとりの普通の少女としてひよりは感慨に耽った。
しかし視界にちらちらと飛び込んでくるのは―。
「まだ寝てたほうがいい……」
「い、いいよ、みなみちゃん。もう大丈夫だから」
やはり甘美な世界をおかまいなしに築いている2人だった……。




369:惨劇館4
08/09/10 21:18:23 6Y+PYtN2
「はいよ、お疲れさん」
絶妙なコントロールで船着場に横づけし、船頭が真っ黒に日焼けした顔をひょいと覗かせた。
ゆたかの体調も元に戻り、今はみなみの手を借りずとも自力で船から降りている。
「じゃあ、わしはこれで。迎えは明日の夕方でいいんだな?」
まだ船に乗っていたかがみに、船頭が帰りの予定を訊ねる。
「はい、いつもすみません。明日もお願いします」
と言って、鞄から封筒を取り出し手渡す。
だが船頭はかぶりを振った。
「いや、いいよいいよ。この程度の送迎でお金をとるわけにはいかん。それにきみたち、まだ学生だろう?
そういうお金は大事に取っておいて、必要な時に使いなさい」
「いえ、でも……」
「いいからいいから」
というやりとりをしばらく続けたが結局、船頭は一円のお金も受け取らなかった。
「ありがとうございました」
申し訳なさそうにお礼を述べ、かがみはゆっくりと船を降りた。
すでにこなたたちは浜辺にいる。
「おーーい、みゆきさーーん!!」
こなたの呼び声にかがみが振り返ると、みゆきは何やら船頭と話していた。
「……あ、はい。今行きます! どうもありがとうございました」
前半はこなたに、後半は船頭にそう言って足早に向かってくる。
全員が降りたのを確認してから、送迎船はくるりと向きを変えると飛沫をあげて地平線に消えた。
「すごくきれいだね」
ゆたかの感嘆に、一同がそろって眺める。
都会ではまずお目にかかれない絶景だ。
宝石を敷き詰めたような海。
覗き込めば底まで見通せそうだ。
海鳥の鳴き声に今度は空を見上げると、これもまた透き通るような青が続いている。
地元で見るのとは明らかに違う、自然が生み出した美があった。
風光明媚は何も遠方にだけあるわけではない。
微風でもさらさらと舞い上がる繊細な砂浜がいっぱいに広がっている。
真珠色の砂、そのところどころに打ち上げた流木。
「みんな、水着持ってきた?」
こなたが背丈ほどもあるバッグをおろしながら言う。
「あんた、何持ってきたのよ? 一泊だって言ったでしょ?」
1週間は泊まれそうな荷物の大きさに、かがみが呆れた口調でこぼした。
こなたは立てた人差し指を左右に振りながら、
「分かってないな、かがみん。DSに携帯プレイヤーは旅のお供の必需品だよ?」
小馬鹿にしたような顔でしれっと返す。
反論する気にもなれず、かがみはみゆきたちに向きなおった。
「別荘はあっちよ。ちょっと歩くけど、先に荷物を置いてからにしましょ」
という言葉に、早くも砂の城を作りかけたゆたかとみなみが慌てて立ち上がる。
それぞれに活動的な恰好で来ているため、もちろんこのまま波打ち際で戯れることはできる。
だがせっかくこんな綺麗な海に来ているのだ。
荷物を置き、水着に着替えて泳ぎたいと思うのが自然な欲求だ。
「ここからは遠いんですか?」
みなみのこの問いは、やはりゆたかの体調を気遣ってのものと思われる。
「そんなにないわよ。10分か15分くらいね」
ゆたかの歩く速度を計算しながらかがみが答えた。
「じゃあ行こっか」
肩越しに5人に告げ、かがみが先頭に立って歩き出す。
植物園で見るような背の高い樹木が乱立している。
足元には名前も知らない草が茂っていて、6人の歩みを阻むように足に絡み付いてくる。
「なんだか、LOSTを思い出しますね……」
興味深そうにきょろきょろと視線をさまよわせるみゆきが言う。
「LOSTって何ですか?」
今やゆたかの保護者のように病弱な少女の手を引いているみなみが、抑揚のない声で訊ねる。
「海外のドラマですよ。旅客機が孤島に墜落して、乗客が力を合わせて危機を乗り越える……というお話です。
登場人物が魅力的なんですよね。みな、それぞれに重い過去を背負っていて―」
「あ、それ知ってる。最後は怪物に食べられちゃうんだよね」
重い荷物を抱えながら、息切れひとつしないこなたが割り込んでくる。

370:惨劇館5
08/09/10 21:19:17 6Y+PYtN2
「ちょっと違うと思いますが……」
みゆきが苦笑するが、表情の端々に不安の色が見え隠れしている。
栄養状態がいいのか、この辺りの植物は大きく生長している。
高木から傘のように垂れ下がる葉が頭上に無数のアーチを作っている。
そのせいで陽光を完全に遮ってしまい、夜のような暗さになる場所もある。
「でも本当に怪物が出てきたりしないッスかね?」
木々の揺れる音に、ひよりが柄にもなく怯えたように言う。
「ええ~、怖いよ~」
すぐ横を歩いていたゆたかが不安げな顔になると、
「大丈夫。私がゆたかを守るから」
引いていた手をぎゅっと握る。
草木をかき分けて歩く。
不意に視界が開けた。
日光の直射を浴びて6人が反射的に目を細める。
「おおぉ~~!!」
最初にそれを見たこなたが仰天した。
ここに来てから目に飛び込むもの全てが新鮮だったが、これはレベルが違った。
一見すると黄土色の巨大な壁が鎮座しているように思える。
しかしじっくり観察すると、それは単なる館の外壁である。
高さ2メートルを超す外壁に囲まれた敷地の中に、件の洋館があった。
想像していたよりも少し小さいが、それでも館と呼ぶに相応しい荘厳さである。
「これは……すごいですね……」
みゆきでさえ、”すごい”という言葉しか出てこない。
「大っきいね~」
「うん」
遅れてやって来たゆたかとみなみも、呆然とした様子で洋館を見上げた。
「本当にここ泊まっていいんスかね……?」
2人の甘美な世界をしばらく堪能していたひよりは、我に返ったようにかがみに聞いた。
「許可はもらってるから。さすがに壺とかヨロイとか壊したりしたら弁償だと思うけど」
「えっ!? そんなのまで……?」
ひよりが大仰に驚く。
絵画から切り取ったような洋館は日本人向けに縮小化されているが、作りは本場と変わりない。
おそらく中も同じなのだろう。ひよりの脳内に、調度品の数々が浮かんでは消えた。
「花言葉は復讐……」
不意にこなたが呟いた。
「また、あんたは……いったい何のアニメよ?」
「弟切草知らないなんて、かがみもまだまだ浅いね」
あきれ顔のかがみに、にやりと笑みを浮かべる。
「さ、入るわよ」
その笑みを無視し、かがみが鉄扉に手をかける。
ギギギ……と、耳障りな音を立てて人ひとりが通れるくらいの隙間ができた。
雑草だらけの庭を踏みしめる。
「さすがにこれは刈る気にはなれなかったわ。他人の敷地だしね」
腰ほどの高さがあるススキのような雑草に向かってかがみが呟いた。
こなたなどは葉先が首のあたりまで達している。
「大丈夫とは思いますが、蛇などに注意したほうがよさそうですね」
こなたのすぐ後ろを歩くみゆきが不安そうな顔で言う。
「あるいは怪物とか?」
そう付け加えるひよりは、まだLOSTの話が頭にあるようだ。
数十歩歩いた先にようやく扉が見えた。
かがみがバッグから鍵を取り出し、錆だらけの鍵穴に差し込む。
大掛かりな建造物の割りに施錠は甘い。
取っ手を握り、力いっぱい開く。
「うわぁ~~」
直後に広がる光景に全員が息を呑んだ。
赤いカーペットが足元から伸び、数メートル先で左右に分かれている。
分かれた先は木製の格調高い階段が続く。
「これは驚きました……」
ロビーの広さにみゆきが目を丸くした。
まさしく映画のワンシーンだ。

371:惨劇館6
08/09/10 21:20:51 6Y+PYtN2
目の前にあるソファも、装飾用の西洋甲冑も、吊り下げられたシャンデリアも。
そのどれもが極上だ。
1泊2日の旅行にしては贅沢すぎる。
「車椅子のミイラとかコウモリのお姉さんとか出てきそうだね」
顎に手を当ててこなたが言った。
「はい、これ」
こなたのボケを無視して、かがみがそれぞれに四角く折った紙を渡す。
この館の見取り図だった。
1階と2階の間取りが簡単な線で描かれている。
1階は中央のロビーから東西に廊下が伸び、その左右に個室が6部屋ずつ。
ロビーの北側には厨房や浴室などが設備されている。
ほぼ同じ構造で2階にも個室があるから、都合24室の部屋が並んでいることになる。
「この赤いマークはなんですか?」
手渡された見取り図を覗きながらゆかたが訊く。
見ると1階のロビーに近い東側の3部屋、西側の3部屋にマークがついている。
「ああ、それね。私たちが泊まる部屋よ。手入れが間に合わなかったら、とりあえずその6部屋だけ」
「他の部屋はどうなってるの?」
というこなたの問いに、かがみは一瞬狼狽したように、
「あ、まあ……散らかってるからさ。ほら、そんな部屋使うわけにはいかないでしょ?」
取り繕うように言った。
ふーん、と興味なさそうに返すこなた。
「トイレはこことここ。お風呂はこっちね。で、これが食堂で―」
顔を突き合わせ、見取り図を使って各場所を説明する。
中が広いから歩き回って説明するより、こちらの方が手っ取り早い。
だいたいの位置を確認したところで、名々がマークのついた部屋から好きな場所を選ぶ。
かがみ、こなた、みゆきは東側の3室。
ゆたか、みなみ、ひよりは西側に決まった。
「上はどうなっているのでしょうか?」
「2階は私もほとんど見てないのよ。とりあえずロビーから順に掃除してただけだからね」
ここに永住するわけではないのだから、自分たちが使う場所だけ手入れしていればいい。
「それにしても……」
ひよりが見取り図から顔を上げてぐるりと見渡した。
「すごいッスね……」
玄関のすぐ右手には長テーブルとソファが、談話しやすいように配置されている。
左側には剣を持った甲冑がこちらを向いて立っている。
そのすぐ横に暖炉がある。が、この館には煙突はないからこれはただの飾りだ。
ロビーだけを見ればちょっとしたホテルのようなものだった。
「じゃあさ、とりあえず荷物置いてこようよ。遊びに行くのはそれからってことで」
遊びに関しては抜群の力を発揮するこなたが、重い荷物を抱えてさっさと部屋に向かう。
「ではここで落ち合いましょう」
みゆきの言葉に、それぞれ自分にあてられた部屋へと移動する。





10分後。
荷物を片付け、水着姿になった6人がロビーに揃った。
ここから砂浜まではあの森林を通らなければならない。
水着姿といっても、彼女たちは上から薄手の上着を羽織っている。
「おまっ……またそれかよ……」
かがみがジト目で見た先には、小学校時代のスクール水着を見事に着こなすこなたがいた。
その横に立っているゆたかも体格では大差ない。
ただしこちらは高校生としては妥当なチョイスをしている。
「それでは参りましょうか」
純白のレオタードタイプに身を包むみゆきは、20代後半でも通りそうなほど大人っぽい。
ぞろぞろと館を出ようとしたところに、
「あ、ごめん。みんな先に行っててくれる?」
ロビーの真ん中あたりでかがみが言った。

372:惨劇館7
08/09/10 21:22:25 6Y+PYtN2
「ん、どしたの?」
洒落か本気か、浮き輪まで用意しているこなたが訝った。
「ちょっとやる事ができたのよ。すぐに行くから。道は分かるわよね?」
「それでしたら私も手伝いますよ。2人のほうが用事もすぐに―ー」
「いいから、みゆきも先に行っててよ」
「ですが―」
「っていうかさ、このメンバーだとみゆきがいないと不安なのよ……」
特にこなたが、という意味を込めてかがみが流し目を送った。
「そういうことでしたら……」
かがみとこなたを交互に見つめてから、みゆきが苦笑して言った。
下級生チームは2人が先導すれば問題ないだろう。
「本当にいいの? なんなら私が……」
今度はやりとりを見ていたこなたが申し出るが、かがみは同じように協力を断った。
それでは、と言い残しみゆきを先頭に続く4人も館を出て行く。
雑草だらけの庭を抜け、生い茂る草木をかき分けて進む。
少し前に一度通っている道だから、来た時よりも抜けるまでに時間はかからなかった。
「ねえ、あっちの方に行ってみない?」
着くなりゆたかが、みなみとひよりに言った。
彼女が指し示すのは離れにある岩場だ。
あそこから日陰もあるから、疲れてもすぐに日差しを避けることができる。
「うん」
「いいね、行こっか」
岩場の利点を素早く察知した2人が頷く。
「お姉ちゃん、私たちあっちに行ってるから」
「ほいよ~、気をつけてね」
2人がついているから大丈夫だろうと思ったこなたは、特に何の心配もしていない。
「ビーチパラソルでも持って来たほうがよかったでしょうか?」
「いいんじゃない? かさ張るだけだしね」
眠そうな目で言いながら、こなたはすでに浮き輪につかまってプカプカ浮いている。
活動的なみゆきではないが、今日ばかりは波と戯れたいのかこなたの傍で背泳を披露した。
背中に当たる冷たさと陽光の暖かさが心地よい。
みゆきは泳ぐのをやめ、しばらく漂った。
「ねえ、みゆきさん」
不意に声をかけられ、そちらを振り向こうとバランスを崩したみゆきの顔に海水がかかった。
「は、はい……ふぅ、なんでしょうか?」
「あのさ、かがみの事だけど」
浮き輪に体重を預け、こなたが声をひそめた。
ゆたかたちはやや離れた岩場で砂の城造りに熱中している。
聞き取られることはないだろう。
「ええ、私も気になっていました……ずいぶん無理をされているみたいですね」
「私もそう思う。きっと寂しかったんじゃないかな……だからこうやって私たちを誘ってくれたのかも……」
とろんとした眼差しで、しかし口調は真剣そのものにこなたが言う。
この辺りの波は優しい。
揺籃のような心地よさがほどよく眠気を誘う。
「いいのかなって―」
「えっ?」
「楽しんでていいのかなって。つかさの事は私にも―」
「泉さん」
みゆきが落ち着いた口調で制した。
「……泉さんのせいではありませんよ。あれは事故ですから……誰のせいでもありませんから」
「だけどさ―」
「お気持ちは分かります。ですがあれは偶然です。それに泉さんがそんなこと仰っていたら……。
私たちを誘ってくださったかがみさんにも悪いですよ」
淀みなくみゆきは述べたが、言葉の選択には彼女も熟慮したようだ。
こなたへの言葉、かがみを想っての言葉に適切な表現が見つからない。
「おーーい!!」
塞ぎ込むこなたが何か言いかけた時、森の方向からかがみの声がした。
こちらへ向かって走ってくる。
「遅くなってごめーん!」

373:惨劇館8
08/09/10 21:24:13 6Y+PYtN2
体の上下にわずかに遅れて、決して豊かとはいえない胸が小さく弾む。
「行きましょう」
言うが早いか、みゆきは綺麗なフォームで浜へ泳ぐ。
こなたも浮き輪を掴みなおしてその後を追う。
砂の城を完成させたゆたかたちもやって来る。
「これ探してたのよ」
かがみが棒状の包みを置いた。
ほどくと中からビーチバレー用のネットが出てきた。
「せっかくだからさ、みんなでやろうと思って」
肩で息をしながらかがみが笑う。
こなた、ゆたかが率先してポールを砂に差し込む。
直立したところで比較的長身のみゆきとみなみがネットの高さを調節する。
その間にかがみが一緒に持ってきたビーチボールを膨らませる。
「チーム分けはどうするの?」
こなたが訊くと、
「あの……私はパスってことでいいッスかね……」
おずおずとひよりが手を挙げた。
「運動は苦手なもので」
恥ずかしそうに頭を掻く。
私も、と続いて声をあげたのはゆたかだ。
こちらも理由は同じ。激しい運動は体に障る。
結局こなたとかがみ、みゆきとみなみでチームが組まれた。
「私が審判やりますから」
「じゃあ私は得点数えるね」
それぞれに役割が決まり、ゲームが始まった。
単なるお遊びだからルールも何もかもいい加減なものだ。


「ちょ、かがみん! 今のは取れるでしょ」
「うっさいわね。あんたほど器用じゃないのよ」
「さすがみなみさん。お上手ですね」
「みゆきさんも……」
「柊先輩、すごいっスね」
「お姉ちゃん、がんばって~」



374:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 21:34:01 ARMrfzvc
>>363
いくら格闘技をやってたからって、真正面から戦ったら筋力やリーチ等の面で不利だと思う。抱えて持ち上げられたら何も出来なくなるだろうし…。
もしヤるなら不意打ち。後ろから鈍器で頸椎を一撃とか。相手が複数ならゲリラ戦。
まあ、こなたの事だから戦うとか喧嘩以前に、そうならない状況にするんじゃないかな。

とはいえ原作でデンプシーロールとか二重の極みとか一生懸命練習した様な事言ってたし、アミノ式のCMの運動なら全部出来るとも言ってたから、その運動能力をフルに活かして男子をフルボッコする所も見たいけど。

375:JEDI_tkms1984
08/09/10 22:00:11 6Y+PYtN2
以上、キリのよいところで今夜はここまでにします。
(この最後の投稿がちょうど規制に)
それではまた明日。

376:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 22:27:19 CIuvKJLt
>>363
「格闘技やってたこなたの強さってどれ位?」
スレリンク(asaloon板)
ネタレスも多いけど真面目な考察もあるから読んでみれ。
全体的に相手がマジなら辛い反面、二次キャラだから書けば何でもありって意見よ多めかな?


>>375
まさに嵐の前の静けさだな……

377:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 22:56:56 SMH8QdzX
てめえら大生復活したからさっさと去ね
まじで目障りだ虫唾が走る

378:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 23:30:49 sOBuHyNZ
6巻読んでると、こなた自殺させたりかがみボッチにするより、
みゆきボッチネタ展開したくなる今日この頃。
作者絡んでのみゆきいじめかよw
>>377
大生戻った途端にお前運営に突撃する

オチが読めんぜ。一昨日来な。

379:デフォ北
08/09/11 00:01:51 LU6lbgme
ではそろそろ

実は、こなたは泉家や小早川家の両親どころか
かなた側の両親とさえ顔を合わせた覚えが無いのである
それは、そうじろうの周りの親戚関係が完全に断絶していることを物語っていた
その原因はある小さな誤解から生まれたもの

田舎の石川から逃げるように埼玉にやって来た
そうじろうとかなたは同居生活を始めた
当時かなたの父親が大麻所持で逮捕されたことが発覚し
そうじろうの両親とかなたの両親の関係は最悪になっていた
しかし、親の確固たる反対を無視してまで
隠居生活を始めた二人は数年の交際を経て、親戚に内密な結婚を遂げる
そうじろうは小説家への道を極め、かなたは出産の為の準備期間を過ごしていた

そんな中、かなたの病気が発覚した
それは、元々のかなたの持病が悪化したものであった
かつて覚醒剤所持の父親に暴行を加えられ続けていたかなたが
一生傷は出来なかったもののストレスや痣を作って
ついには精神的な無治の持病まで患ってしまったのだ
それを知らされたのは妊娠の診断を下された日の事である
その日、家に帰宅するとそうじろうは
待ち兼ねていたかのようにかなたを出迎えた
食べ切れない程並ぶ豪華料理やシャンパン
まるで妊娠しているのを悟っていたかのように
こんなに嬉しそうなそうじろうに
かなたは病気のことを切り出す事が出来ず、時間だけがどんどん過ぎて行った

そうじろうは毎日家に居て小説家でありながらも家事もあらかた手伝ってくれる
かなたはいかにそうじろうに支えられて生きているか身をもって実感した
そして、かなたが出産間際に入院しだした頃
漸くそうじろうはかなたの病を知ることになる

だが、かなたは初めから子供を産むと決めていたので
今更降ろすなどということはしなかった
5月28日、ようやく一人の女の子が生まれ
その子供の名はこなたと名付けられた

しかし、その日を境にかなたが家に帰る事は二度と無かった
かなたの両親も、そうじろうの両親から勘当されてまで
交際を始めた二人を未だ許すことのない頑固者である上に
何処へ行くかの置き手紙も無かった
それ故に共に病院に来ることが無かった為に
かなたの現状を知らないままであった

とうとうかなたが死ぬと、漸くお互いの両親に訃報が回った

その時、かなたの両親の偏見からかそうじろうが毎日毎日小説を書き続け
かなたの事を気にも止めず筆を進めていたのではないかという
勝手な誤解が生まれてしまったのである

噂が町中に広がり、そうじろうの両親はその誤解から故郷を追い出されて自殺
そうじろうは完全に悪人扱いにされ、親戚関係は断絶状態
かなたの両親はこなたが小学生になる前に早死にし
ついには小早川家にまで疎外されたのである

ゆたかを引き取ったのもそのためである

そうじろうは孤独に苦しみ努力しながらこなたをここまで育ててきたのだ

380:デフォ北
08/09/11 00:03:26 LU6lbgme
しまった安価忘れてましたorz↑は>>339の続きです

「今からでもいいよ。小早川こなたになろう?」
「嫌だ!」
「こなた!!」
「やめてよ二人とも!!」

ゆたかが泣き声混じりに叫ぶ
あまりに二人の声が五月蝿かったので起きてきたようだ

「ゆたか…」
「やっぱり駄目だよ…こんな事は…こなたお姉ちゃんの自由でいいじゃない…」

「何で誤解だって判ったのに執拗に泉家を拒むの?
私には全然関係無いことじゃない」

こなたは今までに見せたことの無いような剣幕で指摘する

「お母さんは叔父さんのせいで両親が死んだと思ってるんだよ…
それは誤解なんだけど…自殺したのは事実だし
だから私達も頼んだんだ
お母さんになんとか泉家を許して欲しいって
そしたらこう提案してくれたの
もし叔父さんが死んで、こなたが小早川家に来るんだったら疎外はやめるって…」
「…そっか。もういいよ
二人して私を裏切るんだね
私達を疎外するような小早川家なんて、こっちからお断りだよ…もう来ないで。
勿論グルの成実家にも来てもらわなくていいから
単なる誤解だけでお父さんの死を望んでるような輩が
我が家に居ること事態に虫酸が走るんだよ!!!」
「こ、こなた…聞いてよ」

こなたはゆいとゆたかを玄関へ追い出す

「出てって!!さっさと出ていけ!!もう親戚の面して二度と来るな!!」

こなたは二人を外へ押し倒し、砂利の上に転ぶ二人を蔑むような目で睨みながら
勢いよくドアを閉めた
その音は閑静な住宅街に大きくこだました

ゆたかは泣き出してしまい
ゆいもこなたの憐れさに耐えられなくなって涙を零した
あの事実だけは言えないから…

こなたは自室に駆け戻り、布団を涙に濡らした
もう、小早川家は敵なんだ
ひとしきり泣いたら睡魔が襲い掛かり、こなたはそのまま眠りについた

翌日、こなたはまだ太陽が顔を出す前に目覚めた
布団の上で暫くほうけていたが、自分のすべき事を思い出し
朝食と昼食用弁当の支度を渋々始めた
もはや卵焼きすら喉を通らなかったこなたは
作った食事を食べるなり戻してしまった
一先ず弁当を詰めたこなたは、溜息をついて病院を目指した

381:デフォ北
08/09/11 00:04:30 LU6lbgme
こなたは一人病室に入り
単調な電子音が等間隔に鳴り響く心電図を一目見ながら
未だ目覚めないそうじろうの隣に座る
そうじろうの腕には何本もの点滴の針が刺さっており
酸素マスクには一定のペースで水蒸気が張り付く

そうじろうはゆたかを実家に送り出す時は普通だった
そういえばあの日、ゆたかが罪悪感に満ちた顔で帰ったような気がする
恐らく二度と泉家に住むことは無いと知っていたのだろう
そうじろうが倒れて意識不明になっていたのは翌日の朝方

それ以来、そうじろうの意識は無い
こなたはそうじろうの手を握りしめる
…まだほんのり温かい

そうじろうは前日よりも痩せ細っており、かなり窶れているようだった
ふと病床の脇を見ると、棚の上に写真立てが飾られてあった

その写真にはこなたがまだ赤ん坊でかなたに抱かれており
その隣でそうじろうが笑っている、そんな写真だった
泉家の居間の棚の上にあるあの写真である

「あ、おはようございます」

白い服を纏った昨日の男性医師が病室に入って来る
医師は突然の来客に一瞬驚いた姿を見せ、挨拶する
こなたも席を立って軽く頭を下げる

医師は聴診器をそうじろうの胸に当てたり
点滴柱にぶら下がる薬の量を確認していた

「…容態はどうですか?」

ふと、こなたは尋ねる

「昨日からお変わりはありません
ですが、やはり脳細胞の欠落が多いようで…
このままですと目覚めないまま亡くなることも…」
「そんな…嫌です、嫌です!なんとか治して下さいよ!」

こなたは医師の白衣を引っ張って言う

「落ち着いて下さい、まだそうなると決まった訳では無いですから…
貴女は…そうじろうさんの娘の、こなたさんでしたね」
「…はい」
「そこの写真立て…見ましたか?」
「…今見ました」
「あの写真は、そうじろうさんが倒れられた時に
ずっと握り締めていた写真なんですよ
お父さん、家族の事をよっぽど愛されてるんですね
貴女は本当に幸せな娘さんです
お父さんのことを誇りに思ってあげて下さい」

こなたは思わず照れ笑いする
しかしその笑みも次第に再び涙に変わり、ほんのり焼けた頬を濡らしてゆく

「私達も全力を尽くしますが…覚悟はしておいて下さいね」
「…はい」
「では」

382:デフォ北
08/09/11 00:05:23 m+6GQEnk
そう言うと、医師は病室から静かに出て行った
沈黙が病室を包む
余りに静かで耳鳴りがする

こなたはそうじろうにゆっくりと近づき、再び手を両手で包む

「お父さん…」

思わずそう呟いていた
すると、そうじろうの瞼がぴくりと微かに動いた

「お父さん?」

そうじろうは目を薄く開き、辺りを見回して最後にこなたの方を向く

「お父さん、お父さん!良かった…良かったよぉ…」

こなたは何度目か判らないが、あまりの嬉しさに泣いたのは初めてだった
しかしその嬉しさもつかの間であり
こなたにとって一番辛辣な言葉がそうじろうにより投げ掛けられることとなった

「…誰ですか?」
「えっ…?」

383:デフォ北
08/09/11 00:09:39 m+6GQEnk
キリがいいのでここまでです
今書いてる部分に追いつかないように少しずつ投下していますので
その点についてはご了承下さい
ではまた明日。

>>375
あなたの文章力には本当に感服させられる限りです
これからも頑張って下さいね

384:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:28:41 mmHbk04T
こなたのうざさは異常ッ!!

ソースは俺

385:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:30:06 mmHbk04T
つかさ「くさくてさー」
かがみ「くさいよねー」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「くさいよね~ふふふっ」
(ああ~なんて幸せなんだ…こんなかわいい女の子に囲まれて会話を交わすなんて…
髪が紫なのと、変なメガネブタがいるのが少し気になるけど取るに足らないことだぜ…これであいつさえいなければ…)
こなた「ん?どったの?なんの話してんのさ~!?」
俺「ああ!?てめえのことだよボケ!寄るなゴキブリが!!」
こなた「え…」
かがみ「ちょ、ちょっと~!!ど、どうしたのよ急に!!それは酷いすぎでしょ!!」
つかさ「そうだよ~酷いと思うな~」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「え…ちょ…」
かがみ「早くこなたに謝りなさいよ!」
つかさ「そ、そうだよ~!」
みゆき「たしかにそれはありますね!」
こなた「み、みんな…」
俺「ご、ごめん…なさい…」
こなた「い、いやそんな気にしてないからいいのに…ははは…」
かがみ「もうこんなやつほっといて行こっ、こなた」
みゆき「たしかにそれはありますね」
つかさ「あ~お姉ちゃんたち待って~」
俺「…」

あああぁぁ!!!!こなたうぜええええ!!!!!



386:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:31:16 mmHbk04T
俺「へぇ~、つかささんはそうなんだ~」
つかさ「え…つかささん…」
俺「いやいや柊さんじゃどっちかわからないじゃん?」
つかさ「あ、うん、そうだよね、でもなんだか恥ずかしいな」
俺「そういうとこ可愛いよね、つかささんは☆」
つかさ「え…///」
俺(ふふ、この馬鹿女、完全に俺にフォーリンラブってんな。よし、もう一押しってとこか…)
こなた「おはよーつかさー!」
俺(でた!KYチビガリクソンッッ!!!)
つかさ「あーこなちゃんおはよー」
俺「お、おはよ」
こなた「そういやチョココロネなんだけどさー」
俺(はいでました十八番どうでもいい話)
つかさ「難しいよね~」
みゆき「お恥ずかしながら、私ははちぎって~」
俺(あ、ピザメガネいたんだ)
みゆき「そうすることにより~」
俺(うんちくなげぇ~…)
こなた「さすがみゆきさん!!」
俺「あああもう!!さすがじゃねぇよハゲ!!さっきからゴミみてぇな話ばっかしやがってよぉお!!!
それもこれもてめえが悪ぃんだよゴキブリがぁ!!」
こなた「え…」
ガラッ
かがみ「またあんたこなたいじめてんのね!!いい加減にしなさいよ!」
つかさ「あたしもそういうの酷いと思うな~」
みゆき「たしかにそれはありますね」
かがみ「ほら早く謝りなさいよ」

俺「ご、ごめん…なさい…」


あああああぁぁぁ!!!こなたうぜええええええ!!!!!!

387:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:32:14 mmHbk04T
かがみ「~ってわけよ」
俺「ははは」
みゆき「それは傑作ですね」
つかさ「そ、そんなことしてないよ~」
かがみ「いやいや言い逃れはできないわよ~」
つかさ「そんなこと言ったらこの間お姉ちゃんだってこの間ご飯のとき…」
俺「え、なになに?」
かがみ「ちょ、それは!!」
つかさ「それがさ…」
かがみ「だぁーー!!つかさ!もうやめなさいよ!!」
俺「気になるな~ニヤニヤ」
かがみ「気にしなくていいの!///」
俺(まったく、焦るお前も最高にキュートだぜかがみ…。ああ、かがみかわいいよかがみ…
ていうかつかさもかわいいよつかさ…。柊かわいいよ柊…
相変わらず変なブタが一匹混じってるけど、そんなこと差ほど気にならないぜ…幸せすぎるぜ…)
こなた「焦るかがみん萌え~」
俺(てめえさえいなけりゃな!!こなた!!!)
こたな「そういや萌えで思い出したんだけどさ~こないだゲマズ行ったらさ~」
ガシッ
俺「いちいちオタ話を被せてくるんじゃねぇ!!」
こなた「…ヒッ!」
俺「てめえがッ!絡んでくるとッ!甘酸っぱい雰囲気もッ!汗酸っぱい雰囲気にッ!なるんだよッ!
親父のッ!枕みたいなッ!すえた臭いがッ!すんだよおッ!!」
つかさ「やめてー!」
かがみ「あんたいい加減にしなさいよ!!」バシッ
俺「へぶしっ!」
つかさ「こなちゃん!大丈夫!?」
こなた「ゲホ、ゲホッ!あ、う、うん…平気…だよ…」
かがみ「やだ震えてる…あんた女の子にこんなことするとか何考えてんの!」
俺「だ、だって…」
こなた「い、いいよかがみん…だ、大丈夫…だから…」
かがみ「こなたこんな怯えてるじゃない!もう先生に言うからね!いこっ!」
つかさ「こういうことするの最低だと思う…じゃあね!」
みゆき「たしかにそれはありますね。それでは失礼します」
俺「…」


あああぁぁぁ!!!!こなたうぜええええぇぇ!!!!!!!

388:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:33:28 mmHbk04T
つかさ「はいどーぞ」
かがみ「まあ入って入って」
俺「おじゃましまーす…」
つかさ「ん?どうしたの?ボーとして」
俺「いやぁ女の子の部屋ってこんなんなってるんだな~って思ってさー」ニヤニヤ
かがみ「ヤダ、そんなジロジロみないでよ!」
つかさ「へへへーいつもより綺麗にしてるねお姉ちゃん」
かがみ「ちょ、馬鹿、そんなことないわよ!つかさの部屋なんて凄いんだから!ちょっと見に行ってみよっか」
俺「いくいく」
つかさ「あーーー!!やめてぇー!ウソウソ!」
かがみ「なら余計なこと言わないの!」
つかさ「ごめんなさ~い」
かがみ「わかればよろしい。あ、ちょっとそこで待っててくれる?今飲み物とお菓子持ってくるね」
俺「あ、お気遣いなく」
つかさ「お姉ちゃんあたしはね~え~と」
かがみ「つかさも手伝うの!ほら、いっしょにいくわよ!」
つかさ「ふええ、はぁ~~い」
バタン
俺(まったく、なめ回したくなるほどカワイイ姉妹だぜ…
て、ここはかがみんの部屋…あのベッドで毎晩寝てるのかハァハァ…ムムッ!
あのタンスの中にかがみんの…下着が…!!イカン!思わずおいらの股間がサマーキャンプ!!
いやーにしてもまさかここまでこぎつけるとは…我ながら女の子の部屋に来るとか神だろ!全知全能の神だろ!
俺始まったな。いや始まりすぎだろこれは!!)
こなた「なんか漫画ないかなーと」ガサゴソ
俺(てめぇさえいなければな!!こなた!!!)


389:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:34:22 mmHbk04T
こなた「ん~本ばっかだなぁ~あたし活字ダメなんだよなぁ~」
俺(ふん、無能が。
にしてもかがみ知性溢れてかわいいよかがみハァハァ…)
こなた「あ、ゲームあった。ねーねー、これ対戦しようよ。」
俺「…!?」
こなた「そーそーキミだよキミ。」
俺「てめぇ気安く…!!」
(いかん駄目だ!冷静になれ雄一郎。ここでまたキレたら二人に嫌われてしまう…!我慢だ…我慢…クールになれ雄一郎…)
俺「…お、俺とゴキ…、泉さんがかい?」
こなた「うんそだよ。対戦しよーよ!あたし負けないよー!」
俺「わ、わかった。いいよ。やろうよ。」
こなた「ワーイ!悪いけど手加減はしないよー」
俺「…はは、お手柔らかに…」
ピコピコ
つかさ「はーい持ってきたよ~」
かがみ「ごめんね、遅くなって~。って二人でゲームなんてやって~」
つかさ「仲良しだね!」
俺「…」


390:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:35:49 mmHbk04T
俺「…」ギジギジ
こなた「甘い!」
俺「…!」
こなた「はいパターン入ったぁ」
俺「!!」
こなた「へいへいへいへ~い!成す術無しとはこのこ…ヘボラッッ!」
俺「やってられっかボケ!!何がパターン入っただボケ!!髪長いし死ねッ!ゲーオタだし死ねッ!」
つかさ「やめてーー!」
かがみ「ちょっと!負けたぐらいでコントローラー投げ付けるなんてあんたどうかしてんじゃないの!?」
俺「だ、だって…」
こなた「いいんだよ…、あたしも調子乗りすぎたし…」
かがみ「よくないわよ!大丈夫こなた!?怪我ない!?」
つかさ「こなちゃん大丈夫!?」
こなた「いやホントちょっと当たっただけだからさ…ジョブジョブ…」
かがみ「…帰ってよ。」
俺「いや、その…魔がさして…」
かがみ「帰ってよ!!もう二度とこないで!!」
つかさ「お姉ちゃんの言うとおり、今日はもう帰って…」
みゆき「たしかにそれはありますね!!」
俺「あ、いたんだ」
かがみ「早く帰って!!」
俺「…おじゃま…しました…」


あああぁぁぁ!!!!こなたうぜぇええええ!!!!!!


391:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:37:26 mmHbk04T
こなたのうざさは異常シリーズ
まだまだ続くよ☆
スーパー田中ちゃんタイムはこれからだよ☆

392:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:40:01 w58aiqvH
お前バカか

393:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:41:51 if4a/q+A
さっきから頑張り過ぎたろWWW

394:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:04:42 s0BMgdjB
なんかダるー なんかデるー
あいしテるー あれ一個が違ってるんるー
なやみン坊ー 高鉄棒ー
おいしん簿ー いーかげんにシナサイ

飛んでったアイツの火照るカラダって
所謂(いわゆる)ふつーのおにゃのコ
驚いたあたしだけ?豚骨ハリガネおかわり
だだだだだ…だぁッ!!
俺「うおおおお!!」
かがみ「ちょっとぉ!!またぁ!?」
つかさ「こなちゃん!大丈夫!!」
こなた「ゴフッ!だ、大丈夫だよ…ちょっくら前蹴りが水月にクリーンヒットしたぐらいだから…ゴフッ」
かがみ「あんた何してんのよ!!こなたが何したっていうのよ!!」
俺「いや…その、つい…」
かがみ「つい、でこんなことするとかあんたおかしいんじゃないの!?」
つかさ「そうだよ酷いよ!ただみんなで歌ってただけじゃない!」
みゆき「たしかにそれはありますね!」
俺「あ、いたんだ」
こなた「…み、みんな、だ、大丈夫だから…」
かがみ「あんたはしゃべんないで!ほらいっしょに保健室いこっ!立てる?」
こなた「かがみん…ありがと…」
つかさ「あたしもいくよ。こなちゃん心配だし」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「あ、じゃあ俺も…」
かがみ「あんたは来なくていいわよ!!馬鹿!死んじゃえ!」
俺「…」

ああああぁぁぁ!!!!こなたうぜぇええええ!!!!!


395:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:05:28 s0BMgdjB
こなた「うおっ!なんということか、夏休み終わったっていうのに宿題やってないや…
まあいっか、かがみに見せてもーらおっと」
俺「そうはいかんざき」
こなた「ギョ!な、何なのさ」
俺「テメエみたいな害虫がかがみさんの宿題をみようなんて100世紀早えんだよ」
こなた「いやいやあんたに関係ないでしょ」
俺「とりあえず俺を倒してからいくんだなフフフ」
こなた「はは~んこりゃ新しいネタかなんかだね!
フフフ、あたしは一応格闘技経験者なんだぞ~シュシュシュ…テボラァッ!!」
俺「笑止ッ!!女の力で男に敵うと思ったか!!このうつけものめがッ!!」
こなた「う、うう~」
かがみ「ちょ、ちょっと!あんた何してんのよ!!」
俺「!!」
こなた「か、かがみ…なんで…?」
かがみ「そ、その、あんたにゲーム借りようと思って!あとほら、どうせ宿題やってないと思って…」
俺「おやさしいですね」
かがみ「あんたはうっさいわよ!もう…こなた痛がってるじゃない!!」
こなた「だ、大丈夫だよ…ちょっくらボディブローで肋骨何本かいっちゃったぐらいだから…ゴフッ」
かがみ「こなた!!しっかりして!捕まって!いっしょに病院いこっ!」
こなた「かがみ…ありがと…へへおかげで宿題…やらずに済みそうだね…」
かがみ「バカ…」
俺「お役に立てて光栄です」
かがみ「あんたはもう黙って!!死ね!あんたなんかもう二度と見たくもない!!じゃあね!!」
俺「…」


あああぁああぁ!!!!こなたうぜえええええ!!!!!


396:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:07:32 s0BMgdjB
規制されたからパソコン変えましたwwwどんどんいきます
まだまだ田中ちゃんタイムは終わらない

397:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:11:16 s0BMgdjB
俺(あーかがみつかさで姉妹丼してぇ~
ベッドの上だと思いの外積極的なつかさ、ベッドの上だだと思いの外恥じらうかがみ…たまらん
にしてこなたうぜぇな)
白石「おい、おいってば」
俺「あ、ああ、ど、どうしたんだよ」
白石「いや、どうしたもこうしたもお前があんまり思い詰めた顔してたからよ」
俺「そ、そんなことないけど」
白石「無理すんなよ!へへっわかるんだぜ俺には…泉のことだろ?誰にも言わないからさ」
俺「ああ…まぁそうだよ…あいつだよ…」
白石「やっぱり!…気持ちはわかるよ」
俺「だろ!だってあいつ空気読めないし、オタだって開き直っててキモいし、
チビでキモいし、髪長くてキモいし、口変でキモいし、声変でキモいし…」
白石「小さくてカワイイしな。わかるよ」
俺「いや、お前俺の話聞いて…」
白石「オーーーイみんな!!田中が泉のこと好きなんだってぇーー!!」
俺「…!!!」
「えぇーマジかよ」「うそー」「あのクラスのイケメン担当の田中君が!?」
ガヤガヤ
俺「いや…ちょ…ちが」
つかさ「えぇ~ホントなの?キャー」
俺「いや、まって、ちが」
こなた「な、なんと!」
俺「いやホント違うから!」
みゆき「これは傑作ですね」
俺「ブタ、てめえは黙れ」


398:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:14:43 UmyGILoy
田中圭一のほうが幾らかマシだ

399:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:15:10 s0BMgdjB
白石「ヒューヒュー!!ほら泉もなんとか言えよ!男に恥かかすなよ!ヘイヘ~イ!」
こなた「…う、うん、そ、その…嬉しい…よ///」
白石「ヒャッホー!!同意とみてよろしいですね!同意とみてよろしいですね!!」
つかさ「キャー」
俺「ま、マジで違うから!!」
白石「あらあら~ムキになっちゃってキャワイイ!」
俺「いやホントちがっ」
こなた「…///」
白石「そーれ、キス!キス!キス!キス!」
『キス!キス!キス!キス!キス!キス!』
俺「…死にたい」
ガラッ
ナナコ「コラー!いつまで、さわいどんねん!授業始まるから席つきー!!」
白石「いやー田中くんと泉さんの赤い実が弾ける瞬間を見ちゃったもんで、パチッ☆」
ナナコ「ほほー、そりゃめでたいな。でも残念ながら学生の本分は学業なんでな、いまからテスト返すでー」
『えぇー!!』
俺(ふう…なんとか命拾いしたぜ)
こなた「…///」
俺「ッッ!!!こっち見てんじゃねぇよ!!ゴキブリがぁ!!」
ナナコ「コラッ!痴話喧嘩もそんぐらいにしーやー、授業中やで」
白石「妬けるね~オフタリサン!」
『アハハハハハ』
俺「…」


あああああぁぁぁ!!!!こなたうぜぇえええええ!!!!!


400:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:19:10 s0BMgdjB
つかさ「ねーねー今日放課後空いてるかなー」
俺「え!?う、うんまぁ」
(え、あらやだこの馬鹿女いつになく積極的じゃない。フヘヘいよいよ完全に俺にイカレちまったようだなフヘヘ)
つかさ「お姉ちゃんとゆきちゃんとでいっしょにでかけないかな?」
俺「え…!!」
(え、何この姉妹丼フラグ…まあ小煩いブタが一匹混じってるけどもとから空気みたいなもんだしどうでもいいか。
飛べない豚はただの豚だし。いや…まてよ!ゴキブリが…!!)
俺「えーと、その、ゴキ…泉さんは?」
つかさ「ああ、こなちゃんならバイトなんだってさ。えっと、こなちゃんが来ないといやかな?」
俺「いやいやそんなことないよ!!いやー楽しみだなぁ!!」
つかさ「そっか。んじゃ5時に駅ね!」
俺「うんじゃああとでね~♪」
(ゴキブリにしては珍しく空気読んだなありがとうフヘヘ)

放課後
俺「ところでどこいくの?」
つかさ「へへへ~ヒミツ」
かがみ「きっと喜んでくれると思うわよ」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「ワクワクしちゃうなぁ~」
トコトコ
俺「こ、ここは…」
つかさ「まあ開けてみてよ」
俺「ゴクリ…」バタッ
こなた「お帰りなさいませご主人様!」
俺「キモッ!!!」
バタン



401:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:20:04 s0BMgdjB
俺「俺帰る」
かがみ「ちょ、ちょっとどうしたのよ~!」
つかさ「そーだよ照れ臭いのはわかるけど、せっかくだから…ね」
みゆき「たしかにそれはありますね」
俺「…」

402:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:55:54 6Um08lhc
田中だけど、また規制されたwww
続きはまた今度で

403:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 02:50:46 TTMZyo8W
>>355
中尉、うつ☆すた大阪、SF655、デフォ北、JEDI…
神すぎワロタwwwwwww

404:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 08:16:28 so4wwyRJ
活きのいい馬鹿がやってきたw

405:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 11:56:35 5gYiEJPq
やけに伸びていると思ったらプチ祭りがあったのか


406:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 12:43:19 3uyB92aO
このスレに飛び込もうと考えてる人たちも、
彼くらい元気よくな!

407:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 17:24:13 OfEEFQFa
沖縄氏なんか描いてくれー

408:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 17:38:22 i4WPIJiF
振り込め詐欺容疑、韓国籍の男ら逮捕・警視庁

融資保証金名目などで現金を振り込ませてだまし取ったとして、警視庁少年事件課は25日までに、
韓国籍で住所不定、無職、李貴信容疑者(29)ら計8人を詐欺などの疑いで逮捕した。
李容疑者は容疑を認めているという。
同課は、李容疑者を中心とした振り込め詐欺グループが昨年3月から同5月までの間、
全国の多重債務者など計約250人から約1800万円をだまし取ったとみて、調べを進めている。
調べによると、李容疑者らは昨年3月中旬ごろ、「日本総和株式会社」と称する金融会社社員を装い
ダイレクトメールを送付し、当時60歳だった山形県の飲食店店員の女性に架空の融資話を持ちかけ、
「融資には保険加入が必要」などと話し、計約284万円をだまし取った疑い。
李容疑者らは多重債務者リストを名簿業者から入手し、ダイレクトメールを送っていた。(13:01)

URLリンク(www.nikkei.co.jp)

409:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 17:45:36 8wUR9W0R
>>402
それVIPで何日か前に立ったウザこなた突発スレのだろうw


410:(≡ω≡.)神奈川
08/09/11 20:45:18 uylmZyg4
なんか祭りみたいだから参加しても良いかな?
空いてる時間で良いんで。

411:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:03:06 n6/VLIUQ
大歓迎。てか今誰も居ないっぽいから、カム

412:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:04:44 m+6GQEnk
>>411
いや、そろそろジェダイさんが…

413:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:05:30 n6/VLIUQ
ああそうか、いつも21時頃だったな

414:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:06:04 FgvtHLwi
ああセンスのない虐待の人か
まあ勝手に投下したら?
ID変えんなよNGするから

415:JEDI_tkms1984
08/09/11 21:10:31 c+jUmJVi
皆さん、こんばんは。
今夜も投下させていただきます。
そういえばいつもこのくらいの時間ですね。
別に決めてるわけじゃないですが……。

416:惨劇館9
08/09/11 21:12:07 c+jUmJVi
そうして1時間ほど白熱した試合を展開した頃。
「あれ……?」
ボールの行き来を目で追っていたひよりが空を見上げた。
青かった空がいつの間にか灰色に染まっている。
そのあちこちから落ちてくる水滴。
「うそ、さっきまであんなに晴れてたのに?」
雨に気付いたかがみも天を仰ぐ。
ぽつぽつと降る雨は次第に勢いを増してくる。
「このままでは風邪をひいてしまいます。戻りましょう」
言いながらみゆきはすでにネットの取り外しにかかっている。
雨量が多くなるにともなって強い風も吹きつけてくる。
手早く後片付けをすませると、かがみたちは小走りに館を目指す。
水分を含んだ泥土に足をとられそうになりながら、ようやく館にたどり着いた時には、
ザーザーと轟きをあげながら、大粒の雨が容赦なく降り注いでいた。
「山の天気は変わりやすいっていうけど、海もそうなのかな?」
というこなたの問いに、
「小さい頃に沖縄に行った時も、こんな風に雨が降りました」
ぼそりとみなみが答えた。
とにかく間一髪だったと一同は揃って荷物をおろす。
「ゆーちゃん、大丈夫?」
常人にはただの降雨でも、ゆたかが当たればそれだけで発熱することもある。
「うん、平気」
屈託なく笑う様子を見る限りでは心配はなさそうだ。
「濡れたままじゃ風邪ひくわね。交代でお風呂入ろっか」
かがみがロビーの北側を指差した。
「今からお湯を張ったのでは時間がかかるのでは?」
というみゆきの指摘があり、入浴はあっさりシャワーに変更された。
体調を考えてまずはゆたかが先に浴びることになった。
残った5人はその間に濡れた体を拭き、厚手の上着でしのぐことにする。
「もうこんな時間……」
ロビー脇のソファにもたれていたひよりが腕時計を見て呟く。
古臭いアナログの針は午後5時23分を示している。
「夢中になって遊んでたからね。それにこんな天気じゃ時間の感覚も狂うし」
こなたが窓の外を覗き見る。
白と灰と黒が混ざり損ねたような雲が空をすっかり覆っている。
先ほどまでの勢いはないにしても、沛然として雨が降っている。
ほどなくしてゆたかが戻ってくる。
その後ひより、みなみと順に浴室に消え、最後のかがみが出てくる頃には午後6時を過ぎていた。
「あれ? あんなのあったっけ?」
こなたが間抜けな声を出した。
かがみたちがその視線の先をたどると、装飾用暖炉の上に真鍮製の燭台が置いてある。
煤けているがそれなりに高価そうな代物だ。
「枝付きの燭台ですね」
みゆきが言った。
台座から先端が5本、横に並ぶように分かれている。
そのそれぞれに蝋燭が立てられ、ほのかに火が灯っている。
魔術やパーティーで使うような、高さ30センチほどもある豪華な蝋燭だ。
「いつの間に……」
「いいじゃない。雰囲気出ててさ」
かがみが笑いながら言った。
褒め言葉に応えるように、5つの火がゆらりと揺れた。
「ところで、夕食はどうしましょうか?」
思い出したようにみゆきが言った。
全員の視線がかがみに集まる。

417:惨劇館10
08/09/11 21:14:22 c+jUmJVi
「……カ、カップ麺くらいならあるけど……?」
ぎこちない笑みから何の準備もないと分かり、奇妙な空気が流れる。
「いちおう材料はあるのよ? でも、ね……」
料理は得意ではない、という事実をかがみは言葉を切ることで伝えた。
しょうがないなあ、とこなたがおもむろに立ち上がる。
「材料あるんでしょ? だったら私が作ってみるよ」
「私も手伝う」
ゆたかがそれに倣う。
「では私たちは食器などの準備をしますね」
示し合わせたようにみゆきとみなみが2人の後を追って厨房に消えた。
「え、えっ……?」
気がつくとかがみとひよりだけがロビーに取り残されていた。
「……私たちはどうしたらいいっスかね?」
自分だけ何もしないことに後ろめたさを感じてか、ひよりが低頭して言った。
しばらくの間があって―。
「掃除……かな。食堂の」


 食堂のテーブルに6人が揃った。 
並べられた料理はこの場の雰囲気からあまりにもかけ離れた、一般家庭の料理だ。
肉じゃがと味噌汁。それに少しばかりのサラダ。飲み物は麦茶。
食後のデザートは誰かが持ってきたスナック菓子だ、
「いただきます」
各々が箸をつける。
「美味しい!」
まず声をあげたのはひよりだった。
「本当に美味しいですね。お味噌汁もとても」
みゆきは食べ方のマナーを心得ており、上品に椀に口をつけた。
ステーキだのワインだのが出なくてもいい。
肉じゃがだって、味噌汁だって立派な一品だ。
「よかったね、お姉ちゃん」
高評を得られてゆたかが嬉しそうに笑う。
「うちじゃよく作ってるからね。あ、かがみにも教えてあげよっか?」
口元に手をあて、したり顔でこなたが言った。
その口調が何とも憎たらしい。
「ま、まあ、そのうちね……」
かがみは中空に目を泳がせた。



418:惨劇館11
08/09/11 21:15:58 c+jUmJVi
食後の片づけが終わると、誰が誘うともなしに6人はロビーに集まる。
この館にはテレビもラジオもない。
こなたは最初、深夜アニメが観られないと不満を言っていたが、今はそんなこともすっかり忘れている。
「ちょっと部屋に行ってきますね。すぐに戻ってくるッスから」
ひよりがいそいそと立ち上がる。
「お、創作意欲に火がついたね?」
「そうなんスよ。ラブラブ百合物語第7集! 忘れないうちにメモっとこうと思いましてね。
小早川さん、岩崎さんのおかげだよ!」
なぜか名前を出された2人はキョトンとして互いに顔を見合わせた。
ひよりの発言の意味はこなたにしか分からない。
軽い足取りで廊下に消えるひよりを見送ると、こなたがバッグからトランプを取り出した。
「旅行の定番だよね。TCGのほうがいいんだけど、今日はこっちで」
「当たり前だ。そんなの、あんたたちしか分からないっつーの」
ツッコミながら、手際よくカードを切って配るこなたを見て相当カードゲームをやりこんでいるな、とかがみは思った。
「じゃ最初はババ抜きね」
こなたが勝手に決めてゲームを始める。
特に誰も口を挟まなかったから、そのまま5人でババ抜きをやることになった。

「あら、私のところにジョーカーが……」
「みゆき、それ言っちゃ駄目なんじゃ……?」
「大丈夫ですよ。引かせる自信がありますから」
「ゆーちゃんは順調だね」
「あ、ゆたか、それ取ったら駄目……」
「え、そうなの? じゃあこっち…………みなみちゃん、これって―?」
「岩崎さんもなかなかやるわね。ってことはゆたかちゃんが今持ってるわけか」
「そういうことになりますね。はい、フルハウスです」
「甘い! こっちもフルハウスよ」
「では引き分けですね」
「よく見てみなさい、みゆき。こっちはキングとクイーンよ」
「…………フォーカード」
「ポーカーフェイスのみなみさんはやはりお強いですね」
「じゃあこっちはファイブカードで」
「はあ? そんな役柄なんて……ちょっと、なんでジョーカー入れてるのよ」
「ふふん。そういうルールもあるのだよ、かがみん」

ババ抜きはいつの間にやらポーカーに変わり、気がつくと大富豪が始まり、七並べに転じていた。
「田村さん、遅いですね」
たっぷり1時間は遊んだ時、思い出したようにみゆきが言った。
そういえば、と4人も顔を見合わせる。
ゲームに集中し過ぎてひよりのことをすっかり忘れていた。
「すぐに戻ってくるって言ってたけど?」
「筆が進んでるのかもね。2人ともラブラブだったし……」
にやり、とこなたが笑う。
「寝てるのかもしれません」
みなみが言った。
「雨に当たったから風邪を引いたのかも―」
「ちょっと見てくるわ」
かがみが立ち上がる。
私も、とこなたも同行する。
ひよりの部屋はロビーの西側、割り当てられた3室の中では一番奥にある。
「日中はけっこう暑かったからね。熱中症とかになってなかったらいいけど」
2人は赤いカーペットの廊下を足早に進む。
ロビーや食堂に比べて照明が暗いため、廊下の突き当たりまでは見えない。

419:惨劇館12
08/09/11 21:17:10 c+jUmJVi
「なんだか寒いわね……」
かがみは言いかけた言葉を途中で切った。
そしてこなたを見る。
なんとなく空気が重くなっているのを2人は感じていた。
ひよりの部屋の前に立ち、かがみがノックする。
「田村さん?」
…………返事はない。
「おーい、ひよりーん」
少し強くドアを叩きながらこなたも呼びかけるが、中からは何の反応もなかった。
寝ているのかも、とこなたは思ったが、なぜか厭な予感がしてドアノブに手をかける。
「ちょ、ちょっと。入るのは駄目だろ。マナーってものが、あんたには―」
「倒れてるかもしんないじゃん」
なぜか真剣な表情のこなたを見て、かがみは押し黙った。
年季の入った木製のドアは、少し開くだけで不気味な軋りを立てる。
「うっ…………!」
鼻をつく不快な臭いが室内に充満していた。
ただならぬ気配を感じてこなたが一気にドアを開ける。
ひよりが壁にもたれて座っていた。
四肢をだらんと力なく伸ばしたまま。
「あ、あ、あ…………!!」
2人とも言葉を発せなかった。
丁寧に置かれた人形のように座るひよりには首がなかった。
何かに斬り飛ばされたような綺麗な切断面から、赤とも黒ともつかない血液が噴き出した跡がある。
「ああ、あ……こ…んな…………!」
こなたは腰が抜けたようにその場にへたり込んだ。
似たような状態のかがみはしかし気力だけで体重を支えると、廊下をロビーに向かって走り出す。
血相を変えたかがみに、みゆきたちは何事かと問い詰めた。
「どうしたんですか!」
みゆきとゆたかが同時に訊いてくる。
「田村さんが……田村さんが……!!」
廊下の奥を指さしながら、同じ言葉を繰り返す。
「落ち着いてください、かがみさん! いったいどうしたんですか!?」
「田村さん……田村さんが……!!」
なおも繰り返す。
埒が明かないと思い、みゆきはひよりの部屋へ向かった。
その後ろからゆたかとみなみもついてくる。
「あっ……?」
目の前に情けなく座りこんでいるこなたがいる。
怯えたような表情で、開けっぱなしのひよりの部屋を見つめ続けている。
「お姉ちゃん?」
ゆたかの問いにこなたは答えない。
(………………?)
みゆきはそっと部屋を覗き込んだ。
「見てはいけませんッッ!!」
惨状を目撃した瞬間、みゆきは反射的に後ろを振り返った。
しかしその制止はわずかに遅く、ゆたかとみなみはすでにその光景を見てしまっていた。
ほとんど凝固しかけている血の海の中、居眠りするようにもたれる首のないひよりを―。
「なに……これ…………」
理解が追い付かない出来事に、ゆたかは呆けたようにひよりを凝視した。
眩暈を覚えながら、みゆきは乱暴にドアを閉めた。
バタン! と大きな音にようやくこなたの意識が現実に引き戻される。
「みゆきさん……」
ふらふらと立ち上がり、みゆきの顔を見る。
「…………ロビーに」
泣きそうになるのを懸命に抑え、みゆきは肩で息をしながら歩き出した。
その後ろにみなみに体を支えられながらのゆたか、こなたが続く。



420:惨劇館13
08/09/11 21:18:56 c+jUmJVi

「なんで田村さんが…………」
かがみが思いつめたような顔でこぼした。
少し前まで一緒に楽しく過ごしていた彼女はもういない。
「信じられないよ!」
こなたが叫び、4人は反射的に西側の廊下を見てしまう。
「田村さん……」
肩をぶるぶると震わせながらも、ゆたかは懸命に堪えた。
少しでも意識が緩んでしまえば、その瞬間にも気を失ってしまいそうである。
みなみがそっとゆたかの肩に手を回し、なかば強引に自分のほうに引き寄せた。
みゆきたちはひよりの死に直面してから、この洋館が異常なほど不気味に思えてきた。
シャンデリアの明かりが怖い。
その明かりを遮る調度品の陰に、何かがいるのではないかと錯覚させる。
「どうしよう…………」
かがみが俯いた。
あり得ない出来事に正常な思考ができなくなっているようだった。
「犯人を探そうよ!」
こなたがとんでもない事を言い出した。
「無茶ですよ!」
みゆきが慌てて止めに入る。
「あんなことをする人ですよ!? 探すなんてとんでもないことです! 危険すぎます!!」
冷静さを幾分か失っているみゆきは、彼女らしからない激しい口調でまくし立てた。
でも、と食い下がるこなた。
「このままじっとしてられないじゃん! 私たちも殺されるよ!!」
「ですから危険を冒す必要はないと言っているのです!」
「犯人を捕まえれば安心できるでしょ? こっちは5人もいるんだし、ひよりんが可哀想だよ!」
「そういうことは警察に任せて…………警察!!」
みゆきが弾かれたように顔をあげた。
「そ、そうよ、警察よ! 早く通報しなきゃ!」
言うより早くかがみが立ち上がっていた。
電話は階段の横にある。
洋館に似つかわしくない、ファックス機能が付いた普通の家庭用固定電話だ。
受話器を耳にあて、110番をプッシュする。
「あ、あれ…………?」
かがみがフックを何度も押す。
「どうしたんですか?」
表情は変わらないが、切羽詰った様子でみなみがやって来た。
訊かずともかがみの行動を見れば何があったのかはすぐ分かる。
「繋がらないのよ」
苛立ったようにフックを押す。
横からこなたが受話器をひったくり耳に当てた。
「電話線が切れているのかもしれません……」
無駄と分かっていながら、みゆきも受話器をとって繋がっていないことを確認する。
厭な空気が流れた。
電話が繋がらない、警察に通報できない。
思考がそこまでたどり着くと、次に湧き上がるのが恐怖だ。
「あの、携帯電話ならどうでしょう?」
みなみに言われ、3人は顔を見合わせた。
我先にとケータイを取り出す。
だが―。
「うそ……圏外!?」
ほとんど同時に声があがる。
どのケータイも同様に圏外の表示が出ている。
試しにとかけてみるが、
”電波状況の良いところでおかけなおし下さい”
と警告されるだけだった。

421:惨劇館14
08/09/11 21:19:53 c+jUmJVi
「ふふふ…………」
不意にゆたかが笑った。
「ふふ、ふふふ…………」
ゆっくりと立ち上がる。
「ゆ、ゆーちゃん……?」
その様があまりに不気味で、こなたは搾り出すように彼女を呼んだ。
ゆたかは虚ろな目で天井を見上げ、
「死ぬるぞよ、死ぬるぞよ」
唇をわずかに動かして言った。
「魂、我に捧げよ。ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ……罪深き汚穢なる魂、我に捧げよ」
「……ゆーちゃん、何言ってるの?」
半笑いでこなたが訊ねる。
しかしゆたかはその声を無視して、
「血の大河流せ、骨の山築け。ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ……。
魂、集め、集め、我に捧げるなら、血骨を以って命、生まれるぞよ。血の大河流せ、骨の山築け。
ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ…………」
ゆたかは中空を見つめながら繰り返し繰り返し、その言葉を続けた。
「やめてください!!」
ついに耐えかねてみゆきが怒鳴ると、ゆたかは急に力が抜けたようにその場に倒れた。
「ゆーちゃん!!」
我に返ったようにこなたが駆け寄り、自分よりもさらに華奢な少女を抱き起こす。
気を失っているようだ。
「ゆたか」
みなみがそっと額に手を乗せ、発熱していないことを確かめる。
「ま、待ってください」
部屋へ運ぶため2人が抱きかかえたところへ、みゆきが厳しい口調で言った。
「ここに寝かせましょう」
ソファを指差す。
ひよりがあんな目に遭ったのだ。
彼女をひとり部屋に寝かせるのは危険だ。
みゆきの言わんとすることを理解した2人は、窓際のソファにゆたかを横たえた。



422:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:33:08 n6/VLIUQ
規制かー。
>>410
解除支援がてらに、投下しちゃったら?

423:JEDI_tkms1984
08/09/11 22:01:09 c+jUmJVi
以上、今夜はここまでにします。
今までと毛色が違うのでグロテスク表現が苦手な方はご容赦を。
それではまた明日。
(なぜかいつも、この最後の挨拶のところで規制に)

>>383
恐縮至極です。頑張ります。

>>403
そこに自分の名を連ねられるのはまだまだ早いかと……。

424:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 22:21:17 Q9Loa76w
ところで>>214って、以前ここで何描いた人なんだ?
絵柄的に初めて見るっぽいけど、久々に描いたって言ってるが…

425:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 22:42:32 m+6GQEnk
>>424
えーと、多分スケッチ2の「絵馬に願いを」の人ではないかと

426:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 23:51:30 mJANBwo5
>>350 10分 規制で止ったみたいなので赤い悪魔投稿します。
予定3分後
話の展開上2レスだけです。

427:赤いK悪魔の終焉2-9
08/09/11 23:54:41 mJANBwo5
「みなみちゃんどうしてここに」。そこは居るはずの無い、岩崎みなみがいた。
「ゆたかを止めに来た。もうこれ以上、罪を重ねさせる訳には行かない」。
みなみの真剣な表情とは裏腹に、ゆたかの表情は冷酷だった。
「そうか、みなみちゃんも私を捕まえに来たんだね。裏切るんだね。許せないよ」。
「何なら、竜崎さんの名前の変わりに、みなみちゃんの名前でも良いや。書いて良いかな」?
ゆたかの言葉に、驚くみなみ、しかし次のみなみの言葉はゆたかの想定外だった。
「それで、ゆたかの気が済むのであれば書いて」。
「本気で言ってるの?私はキラなんだよ。もう何人も殺したんだよ。どうして信じられるの」。
「親友だから。私は無口だから、高校まであまり友人がいなかった。高校で初めてゆたかに
会って、初めて親友といえる存在が出来た。だから、私だけはゆたかを信じる」。
「みなみちゃん、うっくうわあああああん」。号泣するゆたか。それは数年ぶりの本当の涙だった。
ふらふらと、ペンを動かし、ノートに自分の名前を書こうとするゆたか。ピシャーン
「みなみちゃん、何するの」。ゆたかは頬を押さえる。
「ゆたか、死んだら償う事もできない。もし自分の名前を書いたら私も自分の名前を書く」。
「ダメだよ、みなみちゃんは死んではダメだよ。うわあああああん」。
「信じてる。ゆたかが、必ず再起できると信じている。だから一緒に行こう」。
ゆたかの手から、デスノートのページが落ち、みなみが拾う。受話器を取り、
「今から、ゆたかを連れて行きます」。
「ありがとうございます、みなみさん。おかげで来年も苺大福を食べれそうです」。
「別に貴方の為に助けた訳ではありません。ゆたかの為です」。
「絶対にゆたかに危害を加えないでください。もし危害が加えられたら、
絶対に許さない。どんな手段を使用してでも竜崎さんの事を調べ、ゆたかの仇を討ちます」。
「解りました。直ちにSATは後方に下げさせます。しばらくお待ちください」。
直ぐに、指示が飛びSATや機動隊は後方に下げられた。

428:赤いK悪魔の終焉2-10
08/09/12 00:01:45 mJANBwo5
10分後、みなみに連れられたゆたかが、警察に投降し事件は終息した。みなみは、
デスノートのページを竜崎に渡した。その前に、竜崎は自分の名前が書かれた(最後の1文字が書かれて
いないので発動しない。)ノートのページを破り、大石のライターを奪い、火を付けて燃やしてしまった。
「私の名前は、自衛隊のこんごう級イージス艦の誘導システム級の機密なので
見せる事は出来ません。みなみさんは、今日は家に帰ってください。御家族も心配されるのは」。
「調査が終わったらこのノートを焼いてください」。みなみの願いに対し、
「気持ちは解りますが、それは出来ません。ゆたかさんの記憶が消し飛んでしまうからです」。
ゆたかさんの贖罪の為には、このノートは必要です。記憶が消えても罪は消えません」。
無論、ワタリと相談し、厳重なセキュリティーの元監視し、使用できなくします。
「そういえば、岩崎家は高良家の近くでしたね。松田さん、お手数ですが送って行って貰えますか」?
「OKっす。じゃあ車に乗ってください」。お礼を言い、みゆきが乗る。みなみが乗ろうとした時、
「南さん、私の負けです」。突然竜崎が負けたなどと言い出した為、全員が驚いた。
「どういう意味ですか。私は、貴方と勝負していない」。
「私は、以前かがみさん達に、ゆたかさんは更正出来ないと言いました。その判断が、間違っていたとは思いません」。
「しかし、みなみさんはゆたかさんに本物の涙を流させる事が出来ました。もしかしたら彼女は更正できるのかも」。
「みなみさん、貴方も私の後を継げるかも知れませんね。考えてみてください」。
「お断りします。ゆたかの事お願いします」。みなみが車に乗り、車は夕闇の町へと走り去った。
「残念です」。竜崎は本当に残念そうな表情で答え、1個だけ残っていた饅頭を食べた。
「熊ちゃん、鷲宮まで柊さん姉妹を送ってあげて下さい。課長へは私が連絡しておきます」。
車に乗ろうとした、つかさが足を止め竜崎に尋ねる。
「もうこれで事件は終わったんだよね。こなちゃんの無実を証明してくれてありがとう」。
「はい事件は終わりました。私はまだ1人だけ会わねばならない人がいますが、貴方達は知らない方が良いでしょう」。
「えっ、誰かな、かな。気になるんだよ、だよ」。
「つかさ、早くしないと置いていくわよ」。かがみが、車の窓を開けて叫ぶ。
「お姉ちゃん、待ってよー」。つかさが慌てて乗り込み、発進した。
竜崎は、急速に暮れつつある空を眺めた。予報では今夜から崩れるらしい。
「明日は、雨になりそうですね。涙雨と言うやつでしょうか」?

429:デフォ北
08/09/12 00:03:50 m+6GQEnk
えーと…おkですか?

430:赤いK悪魔の終焉2-10
08/09/12 00:09:59 wGtcajlg
 今日はここまで。次から後編というか、終章に入ります。
前回かがみが、「最後の晩餐」ならぬ「最後のおやつ」を買いに行った
店の名前の元ネタは、「あんどーなつ」に出てくる老舗の「満月堂」
です。現在ドラマも放映中。

431:デフォ北
08/09/12 00:15:15 TD8nNRO6
>>382の続き投下します

今の言葉は本当にそうじろうのものなのか、それすら疑問に思えた
こなたは思わず病室を飛び出してしまい、激しい動悸に胸が苦しくなった
背筋には寒気が走り、額には大量の汗がこびりつく
こなたは深呼吸して再び病室に入った

そうじろうは写真を眺めていた
そう、さっきのこなた達が写っている写真である

こなたは恐る恐るそうじろうに近づく
そうじろうがこちらを向くと、こなたは目を泳がせながら言う

「…?」
「あ、あの…その写真…」
「あぁ、これ?可愛いでしょ。こなたっていう娘なんですよ」
「え…お父さ…私…」
「こっちはかなた。自慢の妻です。こなたによく似てて可愛いでしょ」

そうじろうは写真を渡す
こなたは頭を真っ白にさせながら受け取る

「あ、はあ…可愛い…ですね…」
「おい!」
「…え?」
「何盗ってるんだよ!早く返せよ!汚い手で触るな!」
「え1?ちょっ…やめて、それ服だよ!引っ張らないでぇ!」

そうじろうはそのままこなたの服を引っ張り続け
とうとうビリっと音を立てて大きく裂けてしまった

こなたは脇腹が露になった服のまま、その場から動くことも出来なかった
ナースコールさえも忘れ去り、頭の中には虚無しか残らなかった

こなたは写真を見ながら完全に自己の世界へ入っているらしいそうじろうを見る
目の前にお父さんが居るのに、お父さんと呼べない事実
気が付いたらこなたは病室を出て、ドアの正面にある椅子に座っていた

無表情のまま、真っ白に磨かれた地面を延々と凝視する
涙を拭うこともせず、ズボンは2つのシミを作っていた

「おーす、こなた」
「こんにちは、こなちゃん」

こなたはせっかくやってきてくれたかがみとつかさの声すら耳に届かない

「どうしたの?こなた…ねえ」
「こなちゃん…」

かがみはこなたの肩を揺する
いくら呼んでも返事が無いので
かがみはこなたの両肩を掴んでぐいっとこちらに向ける

「こなた…!何があったの!?」

こなたの緑色の瞳が微かに動いた

「か…が……みん」
「そう、判る?こなた」
「かがみん…かがみん…」

432:デフォ北
08/09/12 00:16:18 TD8nNRO6
こなたはかがみに身を委ねるように倒れこむ

「こなた、しっかりして!ちょっ…つかさ!医者呼んで!」
「う、うん…判ったよ!」


こなたは診察室のベッドで目が覚めた
かがみの顔がこなたの網膜に大きく映った

「こなた…よかった…もう、心配したんだから」
「こなちゃん…」
「かがみん…つかさ…あれ…?私…どうしちゃったんだろ」
「お姉ちゃんにいきなり倒れ込んだんだよ、こなちゃん」

つかさはかがみの後ろから顔を覗かせる

「え…そうだったのか…ごめん、かがみん」
「そんなことはどうでもいいのよ。あんた一体どうしちゃったのよ」
「……お父さんが…」
「え、こなたのお父さんがどうかしたの?」
「ひっく…うぇ…っく」

すると、かがみはそうじろうの病室に向かって診察室を飛び出した

「お、お姉ちゃん!」

かがみは息を切らせながらもそうじろうの病室の扉を開く
勢いよく開かれた扉の音にそうじろうはかがみを見る
しかし、そうじろうは首を傾げて言う

「…君は?」
「柊…かがみです」
「かがみ…?先生ですか?」
「ち、違います。高校生ですよ私は
以前お会いしたじゃありませんか。こなたの友達です」
「…こなた?何でこなたに高校生の友達がいるんですか?」
「そりゃ居ますよ!こなたも高校生ですから!」
「…何を言ってるんだい君は。出鱈目もいい加減にしてくれないか
こなたが高校生な訳ないじゃないか。だってこなたはここに居るんだぞ?」

そうじろうは写真を指差す

「何言ってるんですか!違いますよ!目を醒まして下さい!おじさん!!」

必死になって叫ぶかがみをそうじろうは見向きもせず
再び写真を見つめる

「早く帰ってくれ。付き合いきれない」
「おじさん!!」

ふと、服の袖をこなたが引っ張った
かがみはこなたに引かれて病室を出る

「もういいよ、かがみん…もういいから…」
「でもこなた!あんた…」

かがみは反論しかけるが
こなたの大粒の涙と崩れた顔を見て口籠る

「こなちゃん、とりあえず病院出ようよ」

433:デフォ北
08/09/12 00:17:10 TD8nNRO6
つかさが優しく声をかける
一先ず、3人は病院を出た

「そういえばみゆきは?」
「ゆきちゃんは委員会だって。遅くなるから今日は行けないって言ってたよ」
「…そう」
「…」

会話が中央のこなたの顔色の悪さから時折遮られる

「うっ…!」
「こなた!」
「こなちゃん、大丈夫!?」

こなたが突然地面に座り込んでしまった
かがみはこなたの背中を何往復も擦る
つかさはいつものように右往左往している

「こなた、家に来なさい」
「…でもかがみん」
「いいから。引っ張ってでも連れていくわ」
「こなちゃん、今日はゆっくりしていってよ
全然気なんか使わなくていいから」
「…ありがとう。ごめん、二人とも…」
「だから謝らなくていいんだってば。ほら、肩に掴まって」

3人は、ゆっくりと柊家目指して歩んでいった

家に辿り着くとかがみはみきに訳を話し、こなたは家に泊まる事となった
3人でトランプをしたり、談笑したりしてこなたの気を紛らせたかった
こなたの機嫌が徐々に戻っていくのが感じられた
そこで、かがみはある提案を示した

「ねぇこなた、あんた家の養子にならない?」
「えっ…?」
「そうだよ、こなちゃん。それがいいよ」
「…ごめん、それは出来ない」
「どうして?」
「これ以上お世話になる訳には行かないし
私、実は誰の養子にもならないって宣言しちゃったから…」

こなたは再び俯く

「宣言って…誰に宣言したのよ?」
「ゆーちゃん達に」
「ふうん…ゆたかちゃんの家族も養子になろうって言ったんだね?」
「そうなんだけど…小早川家はお父さんの死を望んでるみたいだった
だから、私怒って追い出しちゃったんだよ
私は誰の養子にもならないって。泉を貫き通すって」
「…そんな強情張らなくてもいいじゃない、こなた」
「私は本気だよ。あんなに断言した矢先から柊家の養子になってたら
小早川と成実に揶揄われるよ」
「こなちゃん…私達は違うよ?おじさんに死んでほしいなんて思ってない
ゆたかちゃん達も、本当はこなちゃんの事を想って言ったんだよきっと」
「…つかさはゆーちゃん達を味方するんだ」
「えっ…そ、そういう意味じゃなくて…」
「とにかく、私は誰の養子にもならないよ。死んでもならない」
「……そっか。うん、そこまで言うんなら
私達も無理に養子にさせようとはしないわ」
「お、お姉ちゃん…」

434:デフォ北
08/09/12 00:18:13 TD8nNRO6
「でも、もし私達が必要だったら何でも言ってね。力になるから」
「…うん、ありがとう…かがみん」

こなたは柊家の養子になることを断固断った
きっと裏で大きな何かが関わっているのだろうが
それをこなたに深く追及したりはしなかった
いくら追求したとしても、こなたが柊家の養子になることは無いだろうから

もし、今日もあのままこなたを見逃していたらどうなっていたことだろう
考えただけでも寒気がする
ただでさえ繊細なこなたが、これほどのショックを受けて
自力で立ち直れるはずがない
もしかしたらそうじろうがこなたの記憶を失ったのをいいことに
自殺していたかもしれない
かがみはそんな悪寒に身を震わせながらも
隣で静かな寝息を立てているこなたの寝顔を見て安堵しつつ
こなたの頭をさっと撫でた

でも、今少し元気なこなたがここにいる
少なくとも、私達と遊んだから元気を取り戻したに違いない
そう思うとかがみは嬉しくなって思わず笑みが零れ出た

翌日こなたは柊家で朝食に呼ばれ、かがみとつかさは学校
こなたは病院へと向かった

正直、あまり気が進まなかった
また病院でつらい思いをするのかと思うと
足を止めて帰りたくなる
でも、いつそうじろうが死ぬかも判らない今
目が覚めていることだけでも幸いに思うべきだろう

こなたが病院にたどり着くと、医師が待っていたかのように飛び出してきた

「どちらに居られたんですか、いくら掛けても留守番電話で…」
「すみません…家の番号しか教えてなくて…友達の家に居ました」
「それはともかく、そうじろうさんが
化学薬品を飲用していた事が判明致しました
恐らくそれがこの脳細胞の破壊に繋がっているのかと…」
「化学薬品…ですか?」
「はい。かなり多量を服用されたようで、もう手の施しようもありません…
もう少し発見が早ければ迅速に対応出来たのですが…」
「え…先生、それって…」

医師はこなたから目線を下げながら言う

「…延命治療は行いますか?」

435:デフォ北
08/09/12 00:20:36 TD8nNRO6
ここまでです
ジェダイさんや中尉さんの文章を見ると
日本語はとても単語が多いということを身をもって実感します

436:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 00:25:59 jOYXzxSy
>>435
だからこそ作者それぞれの個性が出るんだと思うよ
結構単語の使い方とか表現で誰が書いたとかわかるよね

>>425
違うよ全然違うよ!

437:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 00:28:28 SPZ8sb7C
>>421
GJ!!
これからの展開に期待します
でもひよりってこういう作品だと真っ先に殺されちゃうんですよね・・
使いづらいキャラだからかな?

>>435
日本語って難しいですね
僕も前に書いたSSがとてもじゃないが見れなくて・・・

438:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 01:38:02 3AzLnnTY
マジで祭り状態だなw
規制に引っかかるだろうけど、乱入させてもらいます。
割り込み大歓迎です、規制解除が早くなるから。

人によってはちょっとグロイかもしれません。
あと、かがみ好きな方は題名かIDでNGしちゃって下さい。

439:psyGOA
08/09/12 01:39:18 3AzLnnTY
 自宅最寄駅を出て、溜息を一つつく。
下らない茶番に付き合わされたものだ。私が今日担当した案件を思い出すたび、
胃からさっき飲んだブラックコーヒーが逆流しそうになる。
そのくらい、下らない茶番だった。そもそも民事裁判において、
クライアントが弁護士に隠し事なんてするなよ…。
ちゃんと集めておくように指示した証拠物は集めてくれ…。
少なくとも集めようとした努力の跡くらいは見せてくれ…。
愚痴は尽きない。
 お店のウィンドウに映った自分の顔をふと眺めると、
傍からでも分かるくらいに不機嫌そうだった。
クライアントの前でこの表情を出さなかった事に関しては、
素直に自分を褒めよう。
だが…。こんな夜叉の如き恐ろしい顔のまま帰宅するわけにもいかない。
愛しい愛しいつかさに、こんな表情は見せたくなかった。
 そうなると…家に向かう前に、気分転換でもしたほうがいいかもしれない。
そう思い立った私は、郊外のコンビニに入る。
ここで慈善事業に勤しむのだ。気持ちがささくれ立っている時は、
善行をするに限る。
 そのコンビニでは、稜桜学園高等学校時代の同級生、泉こなたが働いていた。
フリーター、というやつだ。彼女の経済状態は、
一般のフリーターと比べてもなお、悪い状態にあるらしい。
というのも、彼女の父親が病の床に臥せっており、
彼の看病もしなければならない。作家の父親ではあるが、
印税は悉く治療費に持っていかれ、生活費をすら逼迫していた。
それに父親の看病をしながらでは、こなたは正規職員として働く事は難しいだろう。
だからこそ、私はここで慈善活動に励まねばならない。

440:psyGOA
08/09/12 01:40:51 3AzLnnTY
 こなたは店に入ってきた私に気がついたようだが、
敢えて知らないフリを通していた。けれでもそんな態度も気にはならない。
こなたがレジに入っている、それだけで私の慈善活動も功を奏すのだ。
 私は「うまい棒」を一本手に取ると、こなたが居るレジへと向かった。
「こちら、10円になります」
 目の前に私が居るというのに、こなたは淡々と事務的に業務をこなしていた。
私はそんなこなたに一万円札を手渡した。
「一万円からお預かりします。こちら、まず大きい方、五千、六千、七千、八千、九千、
九千円のお返しになります。お確かめ下さい」
 丁寧に数えられた札束が私へと手渡されたが、私は敢えて財布にはしまわなかった。
こなたはそんな私に構う素振りも見せずに、
「こちら、990円のお返しになります。お確かめ下さい」
と事務的な口調で、小銭も手渡してきた。
 さて、ここからが慈善事業のスタートだ。
富める者から貧しい者へと、施しはなされなければならないだろう。
それが、強者の義務であり、能力のある者の役割というものだ。
 私は先ほど受け取ったお釣りの内、札束をこなたの目の前にかざして見せる。
かざした札束と私の顔に、こなたの訝しげな視線が交互に注がれた。
そんな目で見ないで欲しい。私が行おうとしているのは、
間違いなく善行であり、貧しい者に救いの手を差し伸べる事なのだから。
 私はこなたの顔を見つめて、にっこりと微笑んだ。
きっと聖母のような優しい微笑みが、私の顔に称えられている事だろう。
聖母ならば、微笑んだまま恵まれない者へと施しを与えるのだろう。
だから聖母たる私は、こなたに微笑を向けたまま慈善活動を
実行へと移した。

441:psyGOA
08/09/12 01:41:52 3AzLnnTY
 札束からまず千円札を一枚抜き取り、ゆっくりと募金箱へと投入する。
こなたは驚いたようにその様子を眺めていた。
「家、おじさんが病気で貧しいんですって?」
 もう一枚、千円札を募金箱へと投入する。
「大変ね、こなた。お大事に」
 更にもう一枚。
 ここに来てこなたは、初めて憎悪の眼差しで私を睨みつけた。
でも私は慈善活動に勤しむ聖母。アフリカの恵まれない人々の為に、
募金をしている心優しき聖母なのだ。
聖母たるもの、例え敵意の視線でもって迎えられたとしても、
常に微笑みを絶やすべきではないだろう。
だから私の顔からは、笑みは消えていなかった。
ただ、もしかしたら笑みの種類は変わっているかもしれない。
弱者に対する優しい微笑みから、当てつけめいた嘲笑へと。
 憎悪の視線を一身に受けながら、最後の千円札を募金箱へと投入した。
こなたは依然として憎悪をその醜い顔に漲らせていたが、
瞳にはある種の卑しい光が宿っているように見えた。
媚びを売る人間がよく瞳に浮かべている、
あの吐き気を催させる物欲しそうな羨望の光のことだ。
「あ、いけないいけない。またはした金ケチる所だったわ」
 「はした金」という単語に強いアクセントを加えながら、
私は五千円札も募金箱へと投入した。
こなたの顔から憎悪の色が消えた。こなたはあからさまに物欲しそうな瞳でもって、
ごくりと唾でも飲み込む音が聞こえそうなほどの飢餓に満ちた表情でもって、
五千円札が募金箱に落ちていくのを見つめていた。
 こなたの胸中を想像すると、踊り出したいほどの高揚感に襲われる。
喉から手が出るほど欲しいお金が、無造作に募金箱へと投入されたのだ。
きっと焼けるような思いに囚われている事だろう。
ああ、今日あった嫌な事も簡単に吹き飛んでしまうくらいに、
至福に満ちたひと時だ。満悦満悦。
「こなたぁ、なんて顔して募金箱見つめてるのよ?」
 こなたはなおも募金箱を見つめていたが、私に指摘されると
途端に顔を赤く染めてそっぽを向いてしまった。
「別に」

442:psyGOA
08/09/12 01:42:49 3AzLnnTY
「そお?その五千円を私にくれ、って感じの視線で募金箱見つめてたけど」
 こなたは私を強く睨みつけた。
「ばっかじゃないの?そんな目してないよ」
 強がるこなたを見下ろしながら、心優しい私はある提案をしてあげた。
小銭の990円をこなたの前に掲げると、余裕に満ちた声音で語りかける。
「ふーん?私の勘違いだったのかしら?
でもね、こなた。もし本当に欲しいんだったら、
正直に欲しい、って言った方がいいわよ?
何だったら、コレ、恵んであげようか?
『施しをわたくしめに』って言うのなら、コレあげるけど?」
 どうせ無用な強がりで突っ撥ねるだろう、そう踏んでいたのだが、
なんとこなたは一瞬ではあるが考える素振りを見せた。
その姿に私は思わず笑いそうになった。
プライドというものがないのだろうか?1000円に満たない額で、
プライドを売ろうなどと一瞬でも考えたのだろうか。
「要らないよ」
 こなたは結局、迷いの素振りを見せこそすれど、私の心優しき提案を無碍にした。
「ああ、そうよね。だってコレ、世界中の恵まれない人の為のものだもんね」
 私は小銭も募金箱に全て投入してやった。
「っ」
 こなたは弾かれたように私を睨みつけた。瞳に涙を溜めながら、
今にも掴みかかってきそうな勢いで私を睨み上げてくる。
 もしこの視線が、頑健な体格の持ち主から注がれたものであるならば、
私も恐怖の一つくらいは感じた事だろう。
だがこなたのような幼い体格の人間がそんな視線でもって私を睨んでも、
ただただ滑稽なだけだ。
 さて、こなたの無様な姿を見てストレス発散をしたことだし、
そろそろ帰るとしようか。それにしても、いい表情をしていたな。
絶望と羨望と怒りがない交ぜになった表情。
こなたにお似合いの表情だったよ。
「あ、そうだこなた」
 帰り際に、私はこなたにも施しを与えてやることにした。
「コレ、あげるわ。最初からこんなモン欲しくなかったし。
ご馳走でしょ?味わって食べてね」
 うまい棒をこなたに押し付けると、
清清しい思いを胸に抱えながら私はコンビニを出た。
こなたの敵意に満ちた視線はコンビニを出るまで感じていたけど。
 
 善行を積んだおかげで、その日一日私は気分良く過ごせた。
それにしても…どうしてこなたはつかさと別れようとしないのだろう。
つかさを不幸にしかしない、というのが分かりきっているはずなのに。
つかさの姉として、そんなこなたを許すわけにはいかなかった。

443:psyGOA
08/09/12 01:43:44 3AzLnnTY

*

 次の日の夜、つかさが泣き腫らした目で帰宅してきた。
「ど、どうしたのつかさっ」
 慌てて駆け寄る。つかさが泣いているのだ、
落ち着いてなどいられない。
「こ、こなちゃんがっ、こなちゃんが…」
 こなたですって?私の心は憎悪に燃えあがった。
昨日の腹いせに、こなたがつかさに何かしたのだろうか。
許せない、絶対に許せない。
「こなたに何かされたのっ?」
 つかさはふるふると首を左右に振った。
「こなちゃんが…自殺しちゃったの…」
 憎悪に燃え嵐が吹き荒んでいた私の心は、途端に平穏を取り戻した。
こなたが自殺した、それは私にとっては朗報だった。
こなたと付き合っていたつかさにとっては辛いことかもしれないが、
長い目でみればこれで良かったのだ。あんなのと一緒になっても、
つかさは幸福にはなれない。それにつかさには私が居るのだ。
こなたが死んだことにより空いた隙間は、私が埋めてやればいい。
ほら、愛しい愛しい私のつかさ。涙を拭いて?
あなたには私が居るじゃない。
「つかさ、それは悲しいわね…。でもね、前向きに生きないと駄目よ?
恋人が居るのに、勝手に命を絶つような人間に縛られてちゃ駄目だからね」
「…。お姉ちゃん、でも私にとって、こなちゃんが私を支えてくれた。
その支えを失っちゃった今、私一人でなんて立ってられないよ」
 つかさが一瞬沈黙したのが少し気になったが、
それよりも今は後半の発言の方がより強く私の関心を引いた。
私が入りこむ隙間が、あっさりと見えたのだから。
まるで運命であるかのように、あっさりと。
「つかさ、私じゃだめ?私じゃつかさの支えになれない?」
「でもお姉ちゃん、私達、姉妹だよ?いいの?」
「いいに決まってるじゃない」

444:psyGOA
08/09/12 01:45:17 3AzLnnTY
 つかさを強く強く抱きしめた。つかさの心を手に入れた。
その幸福感に満たされていくのを私は感じていた。
でも何故だろう?どれだけ強く抱きしめても、
つかさの温もりが伝わってこない。まるで氷柱を抱きしめているようだ。
いや、ハリネズミを抱きしめているような感覚、
といったほうが近いだろうか。つかさの中の何かが鋭く私を刺している、
そんな錯覚に囚われた。
「…。お姉ちゃん、着いて来て欲しいところがあるんだ。
一人じゃ行けそうもないから、一緒に来てくれる?」
「何処へ行くの?」
「こなちゃんの家」
 私は驚いてつかさを見つめた。今更何の用があるというのだろう。
「何をしに行くの?」
「まだ、お別れの挨拶言ってなかったから。
それなしじゃ、次のステップにも進めないよ。
でも一人じゃ行く気になれなくて。一人じゃ、こなちゃんへの想いを
断ち切れそうにもないから…」
「付き合うわ」
 私は即答していた。
ロマンチックな展開になったものだ。これから一緒に未来を歩む二人が、
二人一緒に過去を断ち切りに行く。これほど未来への門出を演出する儀式として
相応しいものが他にあるだろうか。
「じゃあ、行こうか」
「ええ、一緒にね」
 私達は、連れ立ってこなたの家へと向かった。
ありがとね、こなた。死んでくれて。
生まれて初めて、私はあの下賎の存在に感謝の念を抱いていた。

445:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 01:58:07 xq8ZI+Hn
規制?

446:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/12 02:01:31 TD8nNRO6
ひ、ひぇぇ…
勘弁して下さいよ
このスレのSSレベルどれだけ高くなるんですか

447:psyGOA
08/09/12 02:01:54 3AzLnnTY

*

 泉家は暗かった。明かりなど何一つ付いてはいない。
こなたが死んでも、父親はまだ生きているはずだから
明かりの一つくらいついていても良さそうなものだが。
それとも、病人らしくもう寝てしまったのだろうか。
それにしても、病人を置いてけぼりにして自殺してしまうなんて、
こなたもつくづく無責任な人間だ。やっぱりつかさは任せられなかったな。
いや、仮に完璧なる存在が居たとしても、つかさを譲る気は毛頭ないけど。
「お姉ちゃん、入ろうか」
「え?でもおじさんが寝てるんじゃない?」
「大丈夫だよ」
 つかさは玄関の引き戸を開けると、靴を脱いで泉家へと上がっていった。
泉家の状態に違和感を覚えつつも、私もつかさに従う。
そう、違和感。つかさの後を追って階段を上がりながら、
違和感の正体を考えていた。何かがおかしい。
 私がその正体に気付くのと、こなたの部屋の前につかさが立ったのが
ほとんど同時だった。
「じゃ、入ろうか。お姉ちゃん」
 そうだ、こなたが死んだのなら、泉家は葬式の準備の最中のはずだ。
なのにその気配すらない。確か親戚は居たはずだから、
そうじろうが病床に臥せっていても彼女達が取り仕切っているはずだった。
それとも、経済的に頼られるのを恐れて泉家から
親戚一同距離を置いているだけなのだろうか。
こなたの部屋のドアを潜りながら、ぼんやりと考えを巡らせる。
 つかさは私がこなたの部屋に入ったのを確認すると、
ベッドを指差した。
「まずはお姉ちゃんから、こなちゃんへの最後の挨拶をお願いしていい?」
「いいけど…」
 正直なところ、『死んでくれて有難ね。生まれてこなければ、
それが一番良かったけど』とでも言ってやりたいのだが、
つかさの手前そんな事を言うわけにもいくまい。
こなたのベッドの前に跪きながら、弔いの言葉を必死に考える。
だが、そんな必要などなかった…
「つかさ…これ…」


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