【長女】水銀燈と金糸雀 その3.2【次女】at ANICHARA2
【長女】水銀燈と金糸雀 その3.2【次女】 - 暇つぶし2ch67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/28 22:55:44 NmlI1oVq
これはある意味最強の銀金対決
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金糸雀の能力は、超音波を用いた物理的攻撃だ。
ヴァイオリンを始め、弦楽器は基本的に弦を弓もしくは指でこすって振動させ、その振動が楽器の中で増幅されて音楽となる。
圧倒的な出力を持つローザミスティカの能力で、それを再現したらどうなるか。
超音波は指向性が高く、音圧を上げれば金属やプラスチックの研磨・溶接にも使用できる弾性振動波だ。
サイクルを上げてぶつければ、物体を破壊する事も不可能ではない。

だが、逆に言えばそれだけだ。
超音波を用いるという意外性はあっても、破壊力そのものは火薬の爆発と変わらない。
水銀燈が、金糸雀の能力を恐れていなかったのはそのためだった。

金糸雀のヴァイオリン、金糸雀のローザミスティカを分けたDOLLSのエレキギターから、超音波が発振される。
水銀燈はそれらをまとめてBファンクション防壁で受け止めた。

「第二楽章“追撃のカノン”!」

金糸雀の号令で第二波が繰り出される。
再び水銀燈が防壁を展開し、力と力がぶつかり合って突風が吹き荒れる。

超音波攻撃は、明らかに力がセーブされていた。
金糸雀の使用可能なエネルギーが、残り少ないためだろう。
当然、水銀燈は倒せない。このまま戦いが続けば、先に倒れるのは金糸雀だ。

不意に、金糸雀が目を閉じた。

「・・・そろそろかしら」

何の前触れも無かった。
突然、水銀燈の防壁が崩れた。

「・・・・・・!?」

咄嗟に回避しようとする。できない。
水銀燈は気付いた。
通常の聴力では聴こえない、音楽が流れている。
その旋律が、空気に、水銀燈が生み出す防壁に、そして水銀燈自身に浸透している事を。

「共鳴現象・・・!」

水銀燈の表情がこわばった。
この世界の全ての物体は、それぞれの固有振動数を保ち、それらが調和して均衡が保たれている。
だが、位置や周波数など特殊な条件が揃った時、その調和は崩れ、物体は自ら崩壊する。
共鳴現象。
理論上は、鉄筋の高層ビルさえも崩す事ができるといわれているその現象が、今異常な振動として水銀燈を内部から壊し始めていた。

「ぐっ!う・・う・・・」

『警報・・・胸部骨格に亀裂発生・・・第一及び第二動力伝達経路破損・・・
ローザミスティカAファンクション・Bファンクション機能低下・・・
警報・・・両翼火器管制に重大な損傷、アサルトフェザー使用不能・・・
警報・・・左脚部関節に亀裂発生・・・』

警報を告げるメイメイの音声もノイズ混じりだ。
骨格が歪み、関節が砕けていく。どうする事もできない。
ついに水銀燈は、地面に膝をついた。


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