08/09/17 00:06:14 QD9pVkLu
「うそ・・・よね?」
大手外資系証券会社の倒産。
国際金融システムをゆるがせたその事件は、私の人生転落のプロローグに過ぎなかった。
私は陵桜学園を卒業後、ある有名大学の法学部に入学した。
夢であった弁護士になるつもりで勉学に明け暮れる毎日であったが、社会経験をつみたいと三年の夏に何気なく参加したインターンシップが私の人生を変えた。
市場を舞台に数字を操り、個人が巨額の富を生む世界。
国境の枠を超えたキャリアの形成。ブランド物の時計を付け、都心にマンションを持ち、外車を何台も買い換える、まだ20代の先輩達。
暗い図書館での勉学に明け暮れていた私にとって、すべてが輝いて見えた。
「一緒に働いてみないか?」
インターン先のマネージャーからのオファーに、なんの迷いも無かった。
誰もがあこがれる外資系証券会社。
そこからのジョブオファーを受けた自分は特別な存在なんだと心から思った。
自らの輝かしい未来に、胸がときめくのを抑えきれなかった。
そして、そこで持ったおごりこそが、私にとってのターニングポイントとなる。
法律の勉強を大学3年の夏に放棄した私の学生生活は、堕落の一途をたどった。
法曹を志す者の義務と思い、毎日読んでいた新聞の購読もやめてしまったし、ニュース番組も急に興味がなくなった。
高校時代のラノベ熱が復活し、新聞を読むヒマがあれば読書にいそしむ毎日となった。
だから・・・アメリカで低所得者向けローンの貸し倒れが相次いでいることなんかちっとも知らなかったし、自分の就職内定先がそのローンに投資して巨額の損失を出しつつあるなんて思いもよらなかった。
今にして思えば、何でこんなに意識の低い人間に内定を出したのだろう?
地頭力(笑) はは・・笑えないわまったく。
そんなこんなで、堕落したまま卒業をむかえた私は、4月の入社を迎えた。
周りは頭のよさそうなエリート然とした人ばかり。
でも、私だって気後れすることはなかった。
自分も、この特別な空間の一員なんだ。数年後に年収億近いエリートになるんだ。
そう信じてやまなかった頃が、私にもありました。
異変に気づいたのは、最初の研修の終わりごろ、入社一ヶ月目だったかしら。
続く?こんなの需要ある?