「泉こなたを自殺させる方法を考える」23at ANICHARA2
「泉こなたを自殺させる方法を考える」23 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 01:04:36 Q3+gSOoo
      ⊂≧≦⊃=、_人人人人人人人人人人人人人人人_
    ,.-'",-'"  ,、 i >   ゆっくりしていってね!!!   <='"
   /   / / ヽ |ヽ ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ ヽ
   / / ,./ / ,   ヽ! \ |  | | ー==ニ,     ,イ   ハ ト、  \!
  / / /|/ ー'"    ヽ_  ヽ|  | |    /      / |   | | |--、  ヽ
  |  X ,.==ミ    ,==、, |   | |   /  ,イ  /!/ ̄,|   | | | ヽ   i
  | ,-、  f: :・!   /・::!   |  //  / / /  イ !ィ=、|!  | テ==、   |
  | |、   弋ソ  .ゞ'"  リ ∧!  /  |  |/ | |:::・::|!、 | f::・:::/ iヽ |!
  N/ `ヘ     ,=、   ,/!/ /       | |! | `=  ヽ|  ` - / V|
   |∧ /、_  `ー' ,.-'" / /        |/  丶、 `T´`T´  ,.イ  | |
      V VVV|`ー"|VVV         /   ノ ノ` └ー┘ィ  /  | \
     __,.-"|   |\        _,.-'",.-/ _,.-'"´ i-'" ̄ i`ヽ |   / i、

3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 09:25:38 8W0wVE29
>>1

と言う事でちょいとSS投下さしていただきます。
前スレの終わりらへんで言った航空機ネタです。

4:ゲーヲタエアフォース泉こなた 1
08/07/06 09:26:38 8W0wVE29
高校を卒業した後、かがみ達はそれぞれ大学に進学し、各々の夢へ目指して勉強していた。
しかし、こなた一人だけは違った。大学に進学するワケでも無く、かと言って就職するワケでも無く、
ただただコスプレ喫茶でバイトする毎日を送っていたのである。

それでも後々の事を考え就職しようと、ちょくちょく職安に行ってはいるのだが
自分が出来そうな職業がそうそう見付かりはしない。その帰りにムシャクシャして
ゲームセンターで色んなゲームをして遊んだ。ゲームだけがこなたの取り得だった。
だが、ゲームが上手いだけでどんな仕事に就けるだろう?
おかげでゲームをしている最中は楽しくても、終えた後で空しさが込み上げてくる。

「もうこんな生活はいやだよ!! 就職したい!! 就職したいよ!!」

ヤケクソになり、周囲に人がいる事も構わずこなたは泣き叫んでいた。
しかし、そんな時にこなたは一人の男から声を掛けられた。

「就職先が無くてお困りの様ですな…。」
「おじさん誰?」

突然話しかけて来た男にこなたは不貞腐れながらもとりあえず彼の方を向いた。

「失礼ながら君のゲームの腕…拝見させて頂きました。実にお見事。」
「いくらゲームが良く出来ても…こんなの就職で役に立たないよ…。」

こなたはやはり不貞腐れていたが、男は笑いながら言った。

「そこでですが…君のゲームの腕…生かせる仕事がありますけど…どうですかな?」
「え…。」

こなたは我が耳を疑った。こなたの得意なゲームの腕を生かせる職場があると言うのである。
しかし、不安もあった。上手い話には裏がある。これもきっとヤバイ仕事なのだろうと
思ったのだが…その男の話を聞いて見ると、何とそれは自衛隊だった。

5:ゲーヲタエアフォース泉こなた 2
08/07/06 09:27:26 8W0wVE29
ゲームの達人には機動兵器の操縦に関しての適正の高さがあると睨み、
自衛隊はゲームの達人を集めたパイロット部隊を作ろうとしていた。
こなたはゲームの腕を買われ、それにスカウトされたのである。

「うん…やるよ…。」

以前のこなたなら自衛隊の仕事はきつそうで嫌だと断っていたかもしれない。
しかし、今は違う。この機を逃せば次の就職の機会は無いかもしれない。
だからこそ…こなたは自衛隊で働く事を選んだ。

その後、こなたはパイロット候補生として自衛隊に入隊した。こなた以外にも日本中の
各地から集められたゲーヲタ上がりのパイロット候補生が沢山おり、彼らとの共同生活が始まった。
そして始まる連日の厳しい訓練。最初は戸惑い、何度も挫けそうになったが、
幸いこなたは真面目に運動やってさえいればオリンピック選手になれるのも夢では無いと
思われる程の運動神経の高さがあった為、次第にその厳しい訓練にも慣れて行った。

それからさらに一時し、ついにこなた達がスカウトされた所以と真価を試される時が来た。
これまでの訓練は航空機を操縦する際に身体にかかるGに耐える為の基礎体力作りであり、
これから本格的に航空機の操縦に入る事になったのである。

航空機のマニュアルを渡された時、その複雑さにこなたも頭がクラクラしそうになった。
しかし、実際に機を動かして見ると、まるで本当にゲームをやっているかの様に
頭では無く感覚で操縦法を覚えて行った。自衛隊の睨んだ通り、こなたを初めとする
ゲーヲタ上がりのパイロット候補生達は機動兵器の操縦に関して高い適正を発揮していたのである。

この辺りからこなたにとって自衛隊での暮らしも徐々に楽しくなって来た。
訓練は相変わらずキツイが、その分こなた自身も体力が付いたのか、決して出来ないと言う事も無い。
そして周囲の仲間もこなたと同じ様にヲタである為に話題が合い、仲良くもなれ、
時には競い合い、また励まし合い、ヲタ談義で盛り上がりながら訓練に励んだ。

6:ゲーヲタエアフォース泉こなた 3
08/07/06 09:28:41 8W0wVE29
一時し、こなたは本格的に航空自衛隊のパイロットになった。与えられたのは
「ゲーヲタ1」と言うコードネームとF-4EJ改ファントムⅡ。
初期型よりも強化されているとは言え、現在における自衛隊主力のF-15Jイーグルや
F-2に比べて遥かに古く、性能的にも劣る機体だが、こなたにとってはパイロットに
なれただけでも誇らしかった。そして、同時に自由時間に戦闘機もののアニメや
漫画を楽しむ様になった。そして…

「ジャジャ~ン! どうだい? ファントムの翼に涼宮ハルヒのイラスト描いて貰っちゃった!」
こなたは早速自分のファントムに彼女の好きなアニメのヒロインのイラストを描いてもらい、
痛戦闘機にしていた。これに関して自衛隊は
「元々ヲタばかり集めた部隊だから仕方が無い。」
と、特にとやかく言う事は無かった。

こなたが戦闘機のパイロットになったとは言っても、日本は憲法9条によって戦争はしない。
故に、この後も特に戦う事も無く、平和な日々が続いた。

他の基地の部隊とペイント弾を使用した模擬戦をして、性能で勝るF-15JやF-2に勝つ活躍をしたり…
基地祭の際にアトラクションとして航空ショーでアクロバット飛行を披露するのだけど、
その時にたまたまかがみ達が来ていて…
「あんた本当にパイロットになってたのか!?」
と驚かれたり…
「今更だけど…今の私って何だかファントム無頼みたいだね~。」
とのん気に呟いてみたり…

実に平和でのどかな毎日が続いていた。しかし…その平和も何の脈絡も無く破られた。

7:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 09:30:24 8W0wVE29
とりあえず今回はここまで…っつーか……突っ込み所ありすぎてスマソ
自衛隊描写に関しても「多分こんな感じだろうな~」って想像で
書いてる部分とかありまくりですから、「実際の自衛隊は~」
とかの突っ込みは勘弁してくださいorz

続きは明日の夜辺りに書きます。

8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:08:22 25g2+wTD
GJ、ちょっと説明口調っぽいな。「○○だった」系の文章を
数行に渡るの情景描写やセリフにしていけば良い作品になると思う


9:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:25:39 NqkpJl/m
前スレはどうなった?

10:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:27:09 cq/5d0JU
容量オーバー

11:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:34:30 IC06J2GX
自殺未遂でハッピーエンドはありなのか?
ありなら投下する

12:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:36:03 OfgeZKXo
「泉こなたを自殺させる方法」なんだから、自殺させようとすれば可じゃね?

13:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:38:29 IC06J2GX
>>12
ありがとう。

それと、11下げ忘れすまない。

でもってここは一度のレスでどのくらい打てる?

14:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:45:51 NqkpJl/m
容量オーバーてwww荒らしおおかったからか?
そろそろ犬学に拠点を置きたいのだか

15:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:51:23 JGQFnR6Z
>7
ここからどうやって自殺に持っていくか興味ある。
>13
60行だったと思うよ

16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:55:09 IC06J2GX
>>15
ありがとう。

17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 12:56:50 cq/5d0JU
いや、42行くらいだった気が。

18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 13:03:17 cq/5d0JU
上のレスは気にするな

19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 13:39:40 IC06J2GX
ではでは投下します…が、いろんな作品のネタを借りてるので……。
さて、何作品紛れ込んでいるしょうww
ともかくも、開始です。

~タイトル未定(未定かよ!)~
※これはタイトルです。

「あなたを、殺させてください…」

学校からの帰り道……。いつもとなんら変わりない風景。
そこに突然、いきなり、何の前触れも前置きもなしに言われた。
それも小学校高学年くらいでかなりかわいらしい少年に。
だけど、無論そんな見ず知らずの少年に素直に殺されるつもりなど一切ない。
だから……。
「遊びたいのはわかるけどそんな物騒なこと言っちゃいけないよ?」
そう茶化した。少年はすこし涙目になったかと思えばクスリと笑った。
面白い子だなーと思ったその時、少年の右手にナイフが握られているのに気づいた。
そのまま少年は私に飛び込んできた。
身体能力は高かったためうまく避けたものの、状況は変わらなかった。
「ちょ、本気?」
「最初から言ったでしょ、お姉ちゃん?」
「私がころされなきゃいけない意味がわからない!」
「あなたを殺して柊かがみの出方を見る。それが僕の目的」
「Σかがみ?」
かがみがどうして出てくるの?意味がわからない。

20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 13:55:28 IC06J2GX
>>19
「あなたは柊かがみによって作られた存在。それはわかるよね」
「は?」
「知らない…?」
「なんのこと?」
「だから、柊かがみによって作られたアンドロイド。それがお姉ちゃんなんだよ?」
私が……作られた存在?そんなはずが……。
「なーんてね、冗談だよ。僕のこと信じた?」
「そ、そうだよね。あはは、君に合わせてあげただけだよ」
そっか冗談か、一瞬でも信じた私がバカだった。殺されそうになって気が、……あ。
思い出したかのように少年の右手を見た。が、ナイフはどこにもなかった。
「僕の暇潰しにつき合ってくれてありがとっ、じゃね!」
そう言って去っていった。その後ろ姿を見送り、帰宅した。
なんとも言えない不安を抱えつつ……。

21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 13:59:32 IC06J2GX
>>20
プロログ終わり。
すでに二作品出てますね、さて何でしょう?

出かけるので休憩します。
続きは夜へ


22:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 14:00:36 cq/5d0JU
だから予めメモ帳にry

23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 14:08:27 NqkpJl/m
>>19らきすたでおK

24:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 17:26:13 iO+Y6Iw+
>>1URLリンク(uproda11.2ch-library.com)

前スレで漫画投稿しよう思ったんですけど投稿できなかったでした(.∀')
容量が一杯だったみたいです(゚Д゚)
wikiの方に更新したんで良かったら見てください( '∀`)

25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 17:30:35 cq/5d0JU
乙。そうだよな、ウィキのアレは新編だよな。
レスしようかと思ったが、記憶違いだと恥ずかしいから放置してたわw
>デスクトップ前の貴方もry
25迎えて無職なら、一緒に逝ってやんよ。
あと10ヶ月でチェックメイトだひゃひゃひゃ

26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 18:24:01 OfgeZKXo
>>24
あんたがいないと何か足りないと思ってた

27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 19:31:10 8W0wVE29
自分もちょいと絵を描いて見たくなったけど、うpするのは
>>24のリンク先にあるうp板で良いのかな?

28:こなたさんは名前がない ◆.9uPnKH15k
08/07/06 19:34:10 iO+Y6Iw+
>>27僕のは恥ずかしいんでやめてくださいwww

29:こなたさんは名前がない ◆.9uPnKH15k
08/07/06 19:36:26 iO+Y6Iw+
すいませんw今のはスルーしてくださいwww

いいと思いますよ

30:ガンガン福岡
08/07/06 19:42:17 7O1Ln6k+
>>24
なんというさわやかな病みこなたwww
アンタの絵、キレがあってやっぱ好きだわw

つーことで>>1乙、結構気に入ってた死神さんを
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)
しかし1000行かずに次スレとはまた珍しいもんだ

もう一つ、SS書いたんだが投下していいだろうか?
今回、挿絵は無いんだが…

31:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 19:48:51 8W0wVE29
普通に良いと思うよ

32:ガンガン福岡
08/07/06 20:09:39 7O1Ln6k+
今回はまったく絵のイメージがわかなかった。
ということで文章のみ、また規制喰らうまで投下。

「存在意義」

知らなかった方が幸せだということもある。
真実とは時に、残酷をももたらすものである…

そう、私の場合もそうだった。
私は泉こなた。どこにでも居そうなありふれた
ごく普通の女子高生…だと思っていた。


あの本を見るまでは。


蒸し暑い夏の日だった。
夏休みに入った私は、ただ暑さにだらけて家でゴロゴロしていた。
「あつ~い…なんもやる気しな~い…」
宿題など毛頭やる気などさらさらなかった。
かといって、遊びに行こうとも、今の私の懐具合は冬のように寒かった。
「お金あればかがみ達と遊びに行けるのに~お金お金…」

「…そうだ!お父さん。どっかにへそくりとか隠して無いかなぁ?」
私はひょいと立ち上がり、書斎のある二階へ駆け上がって行った。
ちなみにお父さんは、編集者の人との打ち合わせの為に、泊りがけで
東北のあたりに取材に行っているので、家には今、私一人だった。




33:ガンガン福岡
08/07/06 20:10:38 7O1Ln6k+
>>32

普段はまったく見向きもしいお父さんの書斎。
何だか難しそうな本が並んでいて、私はちっとも見る気は起きなかった。
「大抵、へそくりってのはこういった本棚にあるもんなんだよね~」
私はごそごそと山のようにある本をかき分けていった。
蒸し風呂のような部屋の中、汗をかきかき探すこと数十分
どことなく異質な一冊の本を探し出した。
「完全自○マニュアル」と題された本は、あきらかに他の本とは
違った感触を、私に教えてくれた。
ゆっくりと開けてみると…案の定へそくりが入っていた!

…のだが、その額はとてもへそくりと呼ばれるような可愛い額ではなかった。
ご丁寧にも、内部の本の真ん中をくりぬいて、その中に納められていた。
「ち、ちょっと…お父さん。隠すにも限度があるでしょ…」


「…一枚くらい、いいよね?ごめんねお父さん。」
ざっと見ただけでも数十枚はあるだろうか、その中から一枚
私は紙幣を抜き取った。
「さて、あとはばれないように、キレイに戻しとかなきゃ…」
私が本を元通りに戻そうとした時、ふと、一冊の本に目が留まった。
まるで…私の視線を引き付けるかのように…
気づいたときには…私はその本を手に取っていた。
表紙には丁寧な手書きで「研究日誌」と書かれていた。
何となく、私は本をパラパラとめくり、中を見てみた…
冒頭は、こんな文句が書かれていた。

34:ガンガン福岡
08/07/06 20:11:46 7O1Ln6k+
>>33

××年 5月14日
『ついにかなたの研究が開始した。本来メンバーに組み込まていない俺は
どうしても彼女の近くにいたいが為、頼み込んで研究スタッフに組み込んでもらった。』

お父さんとお母さんがが研究員…?たしか自分ではどこにでもある普通の学部だって言ってたが…

色々と読んでいったが…内容はあまりにも酷いものであった。

××年 6月3日
『毎日、研究室にて作業をする俺たち。しかし俺にとってはそんなことどうでもいいことだ。
彼女と同じ空間、同じ空気を吸っているということが何より大事なのだ。
他の連中も同じ空気を吸っていることが気に食わないが仕方が無い。お前らは俺の排気でも吸ってろ。』

「何…これ…」

××年 7月9日
『かなたの帰りをつけて行き、住処を確認した。どうやら一人暮らしのようだ。
ああ、俺が一緒に住みたい。』

「これ…お父さん…ストーカーじゃん…」
しかし続きが気になった私は…続きを見ざるをえなかった…

××年 8月15日
『なりゆきで彼女と二人きりで研究を行った。
俺に話しかけてくる彼女はとても可愛い。襲いたくなる衝動をこらえるのに必死だった。』

××年 9月24日
『彼女と親しく話してるヤツがいる。やけに馴れ馴れしく、だ。
くそ、いまいましい…死ねばいいのに。』

××年 11月3日
『どうやらあいつら、付き合いだしたらしい。
あいつ…俺のかなたに…かなたに…くそ!』

××年 12月24日
『当然のように二人がかなたのマンションに入っていった。
二人でイブを祝おうってか?俺はこんな寒い思いで外にいるってのに』

あまりに歪んだ文面のため、私は吐き気を感じた。
最低だ…最低すぎるよお父さん…

35:ガンガン福岡
08/07/06 20:12:25 7O1Ln6k+
>>34

×△年 2月21日
『かなたを楽にしてやった。あんなヤツに愛しいかなたを渡してたまるものか。
これでかなたは俺のものだ。俺の。』

なんてことだ…これは…楽にしたって…
つまり…殺した…お父さんが…そんな…
しかし…文面はここで終わりではなかった。
核心とも言える真の出来事が、この後につづられていたのだ。
私は続きを読んでみることにした…

×△年 3月15日
『かなたの捜索願が出ている。警察は事件として捜査しているみたいだ。
俺は絶対に捕まらない…証拠は完全に消した。心配ない。』

×△年 5月24日
『かなたが逝って数ヶ月、俺は再び研究所に舞い戻っていた。
かなたもいなくなり、研究が打ち切られスタッフも解散したこの研究所に。
今こそ…いや今だからこそ彼女提示した研究の生かされる時ではないだろうかと。
俺は研究に没頭した。それこそが生きる全てのごとく…』

×△年 10月2日
『財産をもなげうって研究費用にしたがそれでも足りない。俺は職で資金を作りつつ
研究を行うことにした。何年かけてもいい…成功させてやる…』

私は…なにか寒気のようなものを感じた。
狂気…そう、それはまさに狂気を感じてしまうほどの文面だった。執念ともいうべきか。

×□年 5月28日
『ついに、被験体の一部の培養に成功した!コードネームは…そうだな
「KONATA」と名づけることにする。ああ、愛しい「KONATA」。俺の娘。』


えっ…!?

どうして…私の…名前?
ま、まさか…そんな…


そして…

36:ガンガン福岡
08/07/06 20:13:24 7O1Ln6k+
>>35

○×年 1月17日
『ついに完成した。かなたの論理、クローン人体生物学の粋を集めて作った被験体「KONATA」
外見は、さすがにかなたのDNAを元に作られただけあって我が愛しいかなたにそっくりである
しかし、人格はそうはいかない。俺の記憶情報の一部を基盤にし、プログラムで構築するとしよう
これこそ、俺の求めている最高の女性だ!』

○×年 1月19日
『さすがに住み慣れたここに留まるわけにはいかない。遠くへ引っ越すことにしよう。
そこで新しい生活をはじめるのだ。俺の作った「KONATA」と共に。』


日付は…2年前のこの文面で終わっていた。
2年前…ちょうど私が高校に入る前の時期だ…
私は頭が真っ白になっていた。これは…きっと嘘だ…
お父さんのネタ帳か何かに違いない…そうなんだきっと…



37:ガンガン福岡
08/07/06 20:15:32 7O1Ln6k+
>>36

ガチャ…
「ただいまー。ん?何だ?真っ暗にして…こなた?居ないのか?」

「…お父さん…」

「何だ、居たのか。一体どうしたんだ?電気もつけないで。」
「お父さん、私に隠してることあるでしょ?」
「えっ?何のことだ?」
「…研究日誌…」
笑っていたお父さんの瞳が、みるみる険しいものに変わった。やはり…
「見たのか…」
「見た。」
「…」
「教えて…私は17歳の高校生なんだよね?」
「いや、正確にはお前は生まれて2年、2歳ということになる。」
「お母…かなたさんの仏壇はどうしてここに?殺したんでしょ…あなたが…」
「お前に母親が居たということを信じ込ませるためだ。離婚したというより信憑性が高いからな。」
「じゃあ私の過去は?小学校中学校と今まで過ごしてきた私の過去は!?」
「お前が過ごしてきたと思っているよう俺がプログラムしたものだ。
厳密に言えば2年前からのお前の記憶など現実には存在しない。」
「そう…なんだ…」

私はもう何を聞かされても驚かなかった。
これが…突きつけられた現実。私のちっぽけな存在意義。
彼は淡々と語りながら私を見つめていた。私は…涙を流していた。

「私を…愛してくれていた…?」
「…」

黙って私を見ている。

38:ガンガン福岡
08/07/06 20:17:18 7O1Ln6k+
>>37

「ねぇ…何か言ってよ…お父さん…”私”を愛してるって…言ってよ…」
「俺は…」
「…」
彼の視線は私には向いていなかった…私という物理的存在に向いていた
彼の人形でしかなかったのだ。ベタベタくっついてきてたのも、モノに対する愛着だったのか…

私はきびすを返し、走り出した。
「おい!どこへ行く!?」

私は台所に入り、包丁を手に取った。そして…

ザクッ!!!

私は、包丁を自分の身体に突き立てた。何度も何度も…
痛い…痛いよ…
でも、この身体は私のものではない。かなたという女性のもの…
最後の力を振り絞り、私は心臓に包丁を付きたてた。

力が抜けていく…私の身体は床に崩れ落ちた。

「やめろおおおおおお!オレの最高傑作に!!!!」

台所に入ってきて、惨劇を目撃した彼は、床にひざを着き、頭を抱えて叫んだ。
ああ、やはりこの人は…私の事を…
薄れてゆく意識の中で私は絶望した。それと同時に己が欲望の為に私を生み出したこの男に
一矢報いることが出来たのだ…私は…ニタァと笑った…


夢を見た。
暖かい光があたりを包んでいた
目の前に、キレイな女性が立っている。私とそっくりな女性。
私はすぐぴんと来たね。この女性はかなたさんだ。
彼女が私の手を引いて、歩き出した。一体、どこへ行こうとしてるんだろう…
まぁ、何でもいいや…もう、どうだっていいよ…どうでも…






39:ガンガン福岡
08/07/06 20:18:24 7O1Ln6k+
>>38

「お父さん、いってきまーす~」
「おう、いってらっしゃい。気をつけて行くんだぞ~」
「分かってるって♪」

ガラガラガラ…


「…」




「うかつだったな。あいつがコレを発見してしまうとはな。
書斎をあつかう事ないようプログラムされていたはずだが…
…やはり実際には完璧には行かなかったか。
仕方が無い。記録を抹消するのは惜しいが、処分するしかあるまい。
しかし…どっちにしろアレも処分しなければならないからな…」

そう言うと、彼はクローゼットにしまわれた、異臭のする大きなキャリーケースに目をやった。

「予備に一体、保存しといてよかったが…一体作るのにいくらかかると思っているんだ…まったく」




私はいつもの待ち合わせ場所にて、電車を降り駅の出口へ出た。
「あ。こなちゃん来たよ」
「おーこっちこっち~」
「おまたへ~。今日も暑いね~」
今日はかがみたちと遊びにいく約束をしていたのだ。
「あれ?アンタ今日はいつもと雰囲気ちがうような?」
「んふふ、気づいたかね?香水つけてるんだよ?これでちょっとは大人の女性っぽいかな?」
「あ、ホントだ。いいにおい~」
「アンタの場合は外見からしてアウトでしょ(笑)」
「かがみ~嘘でもお世辞言ってくれてもいいじゃ~ん」
私たちは、他愛もない話をしながら、休日で賑わう人ごみのなかに消えていった…



私は… 泉KONATA…




40:ガンガン福岡
08/07/06 20:22:49 7O1Ln6k+
最後まで行ったか。
ちなみに、これのSSは途中を書き直したSSなんだけど
書き直す前の元のヤツもとりあえず上げてみる
興味のある人だけどうぞ、微妙に何だか話の流れが妙になってるので。
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)
(保存後、拡張子をdocへ。保管は無論無しで)

41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 21:10:01 CkOaRpKd
>>40
お疲れ様です

絵もSSもGJ!!
狂気のキャラが実に上手いですね、叶うものならアニメで見てみたい程です
ハデスみゆきさんはこんな感じだったのだろうか?

42:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 21:27:41 NqkpJl/m
>>40
どこの西村京太郎だよ

43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 21:31:43 CkOaRpKd
列車トリックを使ってみゆき達を殺して最後に
崖から飛び降りるこなたを想像しちまったじゃないかw

44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/06 22:00:49 bxfVCmxA
>53 :名無しさん@お腹いっぱい。 sage :2008/07/06(日) 19:43:29 ID:cq/5d0JU
>猫目好きなので改めて乙するぜ。ここからどうこなたを自殺させるのか、
>wktkして待ってますわ。
>こなたが追い詰められて死ぬところって、マジたまんね。
>この小さい身体に宿る心が、死を選んじまうくらいに追い詰められるなんてほんとエクスタシーだわ。

(=ω=.)<だってさ。よかったねぇ作者さん。

45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 00:04:11 bISJ77Yk
>>4-6の続き書きます。
>>7で「続きは明日の夜辺りに書きます」と書きましたが、
この時間だって立派に>>7を書いた時点から見れば
明日の夜です。

>>8
説明口調っぽいままですがスマソ

46:ゲーヲタエアフォース泉こなた 4
08/07/07 00:05:42 bISJ77Yk
突如として某国が日本に宣戦布告をして来たのである。
当然、こうなれば自衛隊は日本防衛の為の出動を余儀無くされるワケで、
こなた達もまた防空の為に某国から日本の領空を守らねばならなかった。

そんな最中にこなたはそれまで使用していたファントムに代わる新たな機を与えられる事になる。
それはこの非常時に乗じて日本が何とかアメリカから購入する事に成功したF-22ラプターであった。
勿論こなたはそれの翼にもやはり当然のごとく涼宮ハルヒのイラストを描いてもらった。

F-22を駆るこなたの活躍は目を見張る物があった。機種転換訓練に関しても
こなたはゲーム感覚で操縦法の全てを身体で覚え、異例の早さでのクリアをした上に、
実戦に関してもF-22の性能の高さに加え、こなたの操縦センスの高さによって
凄まじいまでの活躍をした。そして何よりもゲーム感覚で戦っているが故に
敵機を容赦無く攻撃出来る点こそが今のこなたにとって最大の強みだった。

「やった! また敵機撃墜! これがゲームなら一機UPは確実だね!」
この日もこなたはまた日本領空に侵入した某国の爆撃機を、その護衛機ごと蹴散らす活躍を見せていた。

今のこなたに殺人の意識は無かった。あたかもシューティングゲームをやっている様に
ただただ向かって来る敵キャラを倒している…その様な感じだった。

日本は幸いにも周囲を海に囲まれている故、某国も日本を攻める為には海を渡れねばならない。
その為、内陸国相手の戦争とは違い一度に大部隊を送り込む事は不可能で、特に地上部隊に関しては
装備の貧弱な輸送機や輸送艦を使う他は無かった。そうやって部隊を送っても、結局はその海を
渡っている最中に日本の海上自衛隊や航空自衛隊の迎撃を受けるパターンにはまっていた。
そして日本防衛もある程度進み、余裕が出て来た故に、こなた達にも休養を取らせる意味も兼ねて
帰宅許可が下りていた。

47:ゲーヲタエアフォース泉こなた 5
08/07/07 00:07:08 bISJ77Yk
久々に実家に帰宅した後で、こなたはそうじろうやかがみ、ゆたか達と再会した。
そして久し振りに昔の様にワイワイと楽しくやっていたのだが…そこでたまたまテレビで
某国の侵攻から日本を守る自衛隊の戦闘に関する映像が流れていた。皆はただ漠然と
見ていただけなのだが…そこである映像が流れる。それは翼に涼宮ハルヒのイラストが
描かれたF-22が某国の兵員を大勢乗せ、日本へ向かっていた大型輸送船へ対艦ミサイルを
撃ち込む映像だった。無論その輸送船は忽ち大炎上を起こし、中に乗っていた大勢の人間が爆発で
死亡し、炎で焼け死に、海に落ちて溺れ死ぬ…その様な生々しい姿が映し出されていたのである。

「これこれ! これやったのは実は私なんだよ~! ほら、あのラプたんにハルヒのイラストが
描かれてるでしょ? 自衛隊でもハルヒラプたんって呼ばれて有名なんだよ~!」
「え………………。」
こなたは誇らしげに自分の戦果を語っていたが…かがみ達はドン引きしていた。
忽ち部屋中の空気が凍り付く。

「あれ? どうしたの?」
こなたは何故皆がドン引きしたのか理解出来なかった。日本を守る為に頑張った
自分を褒めて欲しかったこなたとしては皆の反応が不思議だったのである。

「ほら見てよこれ、日本に上陸して蹂躪しようとしてた敵国の大型輸送船を撃沈した時の
戦果で勲章貰ったんだよ勲章!」
気を取り直して、こなたは勲章っぽい物を見せて自慢しようとするが、部屋の空気は変わらない。

「ねぇどうしたの? かがみ~どうしたの~?」
「あ……こなた……。」
何故皆がドン引きするのか理解出来ず、こなたはかがみに寄るが、かがみはこなたを避けていた。

「ゆーちゃん? ゆーちゃんもどうしたの?」
「あ…お姉ちゃん…。」
ゆたかにも歩み寄るが、ゆたかもやはり避けていた。それだけでは無く、他の皆も
同様にこなたを何処か恐れの眼差しで避ける様になっていた。

48:ゲーヲタエアフォース泉こなた 6
08/07/07 00:08:33 bISJ77Yk
「どうして? どうして皆私から逃げるの? ねぇ…どうして?」
こなたはここで初めて気付いた。自分の手が大量の血で汚れていた事に。
自分が今まで撃墜した航空機の中にも、艦船の中にも当然人が乗っていた。
特に艦船に関しては、クルーだけを見ても数百人単位の人間がいたはずである。
それをこなたはF-22の操縦桿に付いたミサイルや機銃の発射ボタンを押し、
ゲーム感覚で数え切れない程の人命を奪って来たのである。

「そっか…私は……人…を殺しちゃったのか…。人殺しになっちゃったんだね…。」
確かに相手は現在戦争中の敵国の兵隊であり、また日本防衛の為のやむを得ない行為なのだから
殺人罪に問われる事は無い。しかし、こなたが人を殺してしまったと言う事実は変らなかった。

かがみ達に避けられてしまったのは悲しかったが、こなたに落ち込む暇は与えられなかった。
基地に戻って早々にスクランブルがかかり、こなたはF-22に搭乗して発進したのだから。
そして某国の航空機との空中戦を繰り広げる内にこなたの中である考えが芽生えていた。

「人殺しでも…良いよ。私一人が人殺しになって、皆に避けられても…それでお父さんや
かがみん、ゆーちゃん達が救われて、平和に過ごしていけるなら安い物だよ。」

あくる日の晩、こなたは夢を見た。それは某国の歩兵部隊が上陸し、日本を蹂躪すると言う夢。
某国兵は日本各地を暴れ回り、こなたにとって聖地であった秋葉原も壊滅。
父であるそうじろうも殺され、親友のかがみやみゆきは某国兵に捕まり、陵辱された。
だがそれだけに終わらない。某国によって日本が制圧された事によって、日本人は
全て某国の奴隷にされてしまい、過酷な強制労働を受けさせられるのである。
勿論彼等は身体の弱いゆたかに対しても容赦はせず、重労働を課してしまう。
そしてゆたかは重労働に耐えかねて病気になるが、某国の者は医者に見せる事はおろか
休ませる事さえさせてくれない。みなみはゆたかを庇い、ゆたかの分も働こうとしたが
ゆたかは少しずつ弱って行き、苦しみながら死んでいった…。
だが、その死んだゆたかにさえ某国の者は容赦する事は無く、葬式をあげる事も
墓を作る事もさせてもらえず、死体を切り刻んで畑にばら撒き、肥料にされてしまった……。
まさに地獄…日本はチベットがパラダイスに見える程の地獄と化してしまったのである。

「うっ! うわぁ!! はっ………夢……。」
こなたが目を覚ました時、彼女の顔は涙で濡れていた。それだけ恐ろしい夢だった。
現実・非現実問わず、こなたが今まで見た物の中で一番恐ろしい光景。
こなたにとって、自分が戦いで傷付く事よりも自分の大好きなそうじろうやかがみ、
ゆたか達が戦火に巻き込まれ、殺されてしまったり、銃を持って戦わねばならない
状況にされてしまう事の方が遥かに恐ろしい物だった。

「そんな事…させないよ…。お父さんやかがみん…ゆーちゃん達は…私が守るよ…。」
迷いを完全に吹っ切ったこなたは鬼神のごとく戦った。戦って戦って戦い抜き、
ついには某国の艦船や航空機を一つたりとも日本本土に入れさせはしなかった。しかし…

49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 00:11:36 bISJ77Yk
相変わらず突っ込みどころ満載でスマソ
ってか現時点じゃどう考えてもF-22が自衛隊に配備されるなんて
ありえなさ過ぎですよね~orz

と…とりあえず次回で完結する予定です。

あとついでに絵も描きました。
下手な上にコピー用紙にシャーペンで描いた奴をスキャンしただけですが…
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)

50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 00:27:38 J+clQwE1
>>49
最後ちょっと良く分かんなかったけど良かった。

51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 00:32:58 PbiNB9BS
こなた立派だわ
gj

52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 02:15:25 znOFoiia
いいところで次回に続く

53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 08:12:05 fHgOLBx5
>>21
>続きは夜へ
…。

54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 16:13:56 R65RvS3h
ほう、◆.9uPnKH15k帰ってきたのか。
貴方が居ない時のビッチは、つかさアルバイトの人が頑張っていたが、
これでヘッドがご到着だな。後は…ヤケクソか。
これでつかさビッチも再興できる。

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:01:45 Y5PipXRo
       _
      〃⌒ヽ
      {{
       ヾ、___/ヽ___
        /::.::.::.::.::.::.::.::.::|::.::.::.::.:>
     /::.::./::.::.::.::.::イ::.::.|::.ヽ::. \
      |::.::/::.::.r::ナメ |::.::∧ヽ}::.:r、:\
      |::. レ'::.::.〃  |::./ ∨|::.:リ\:|
     |::.::.|::.;イ≡≡|/ ≡≡l:.::|
.      〉::.:K}::ヽ''' 、__,   ゚{::ト、|    < >>1
      |::.:/::.|:.::.:ヽ し' ,.イ::l
      /::/::.::j::>‐-、ヽ7フノ/::/
.    /:://       |_"______
   /::/ |   l..   /l入浴剤&洗浄剤`l
    |::.{:: ヽ  丶-.,/  |ワクワクお風呂セット|
    |::.|:: /`ー、_ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:24:10 8Xj13CiB
>>49
面白いよ。
ただ、夢の部分はこなたっていうより作者自身の考えかね。

あと、こなたの身長じゃFー22無理じゃね?ってのは野暮だな。

57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 19:32:39 j1MNbfA2
なんとなく
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)

58:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:51:18 R65RvS3h
>>49
その漫画は…相当に上手いな。
二刀流、もう一人誕生か?
>>57
4コマ目のかがみ、デフォ北っぽいな。乙。

59:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:02:51 3OvzNzpO
なんという良スレ。
これからこのスレに依存することにするわ

60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:05:01 DwvI9MUb
>>59
ならまずはsageてくれ

61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:15:55 3OvzNzpO
>>60
すまなかった。今度から気をつける。


62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:22:44 R65RvS3h
短冊に「こなたが自殺しますように」って書いて軒先にぶら下げといた。
泉家のな。

63:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:39:58 3OvzNzpO
とりあえず32の一番最初だけ描いてみた。
処女作。一枚のみ。よくみんなあんなに描けるな、、、、
やっぱ絵師はすげえわ

64:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:40:56 3OvzNzpO
リンク張り忘れた。しかもsage忘れ
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)

65:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:46:17 j1MNbfA2
>>64
こなたそっくり

66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:18:04 bISJ77Yk
>>46-48の続き書きます。これで完結編です。

67:ゲーヲタエアフォース泉こなた 7
08/07/07 23:19:23 bISJ77Yk
その日もまた何時もの様にこなた達はそれぞれの機に搭乗し、スクランブル発進した。
敵は何時もの様に某国の航空隊。だが、これまでの戦いで某国の方も疲弊していたのか
博物館から引っ張り出して来た様なファントム以上に古そうな旧式戦闘機であった上に
パイロットもまた先の戦いで熟練パイロットを失っていたと思われ、新兵を無理矢理
乗せていると言う、もはや雑魚も雑魚としか言い様の無い布陣だった。

これが漫画ならば、素人集団が意外なビギナーズラックを見せたりもするのだが、現実は厳しい。
性能もパイロットの腕も何から何までがこなた達空自の方に分があり、彼らは成す術無く
次々に撃墜されて行った。

「あんなショボイのしかいなくなるなんて…敵さんも余程苦しいと見えるな~。」
こなたと共に戦っているパイロットの一人がそう呟いたりもする。
こうして、某国の航空隊を蹴散らした彼らは揃って帰還しようとしていたが…
しかし…その後が違っていた。

「あっ! あれは!!」

こなたは見た。某国から発射された高層ビル程の大きさはあるかと思われる超巨大大陸間弾道ミサイルが
こなた達空自が某国のショボイ航空隊に気を取られていた隙を突いて日本列島に接近していた事を。
某国は最後の勝負に出るつもりだった。この巨大弾道ミサイルで日本を焦土に変えるつもりだったのである。

「いけない! 迎撃しなきゃ! ってミサイルも機銃も残弾ゼロじゃん!」
弾道ミサイルを迎撃しようにも、先程の敵航空隊との戦闘でこなたのF-22は
装填していた弾丸を全て使い尽くしていた。無論、他の味方も同様。
当然補給している時間は無い。そんな事をしていれば弾道ミサイルは日本に着弾する。
恐らくあの弾道ミサイルに核が搭載されている事は間違い無く、しかもあの巨大さである。
そんな物が日本列島で爆発しようものなら…広島長崎原爆以上の悲劇になるのは必至だ。

「ど…どうしよう…どうしよう…このままじゃ…このままじゃ…。」
こなたは震えた。とてつもない程の恐怖を感じた。だが、それは自分自身の命の危機に関してでは無かった。
「こ…このまま弾道ミサイルが日本に落ちたら…日本全体がはだしのゲンみたいになっちゃう…
お父さんやかがみん…ゆーちゃん達が…はだしのゲンみたいになっちゃう…。」

アニメ・漫画ヲタでもあるこなたは当然はだしのゲンを読んだ事もある。
それにおける原爆投下直後の描写が余りにもグロテスクで、トラウマになった物だが、
こなたの大好きなそうじろうやかがみ、ゆたか達が弾道ミサイルの爆発によって
それと同じ様な事になってしまうと言った光景をこなたは連想してしまっており、
それが自分自身の死以上に恐ろしかった。

68:ゲーヲタエアフォース泉こなた 8
08/07/07 23:20:31 bISJ77Yk
「嫌だよ! 嫌だよ! お父さんやかがみん、ゆーちゃん達が死んじゃうなんて嫌だよ!」
こなたは一心不乱にF-22の機首を弾道ミサイルへ向け、エンジン全開!
アフターバーナーを吹かし、弾道ミサイルへ向けて突っ込んだ。

「ゲーヲタ1! 何をしている!? やめろ! 無茶だ!!」
他のパイロットがそう言ってこなたを止めようとした。しかしこなたは止まらなかった。

そして、日本列島へ向けて超音速で飛行している巨大弾道ミサイルへ向け、
それ以上の速度で追跡していたこなたのF-22がジリジリと接近して行く。

「お父さんやかがみん、ゆーちゃん達を死なせない! 死ぬのは私だけで良い! 私だけで良いんだよぉ!!」

こなたは号泣しながら搭乗していたF-22ごと弾道ミサイルへ向けて特攻していた。
F-22の機首が弾道ミサイルに突き刺さり、破裂した弾道ミサイルから放たれた
爆風、熱風はF-22の機体を容易く砕き、ひしゃぎ、、コックピットに搭乗していた
こなたの身体もまた…一瞬にして細胞の一つも残さずに跡形も無く消滅していた…………

間も無く、日本に迫っていた弾道ミサイルは一人の勇気あるパイロットの尊い犠牲によって
日本海上空で撃墜され、日本は救われたと言うニュースがテレビで報じられた。

それに伴い、某国が降伏したと言うニュースも流れた。そこで、某国は元々大した国力も無いのに
日本に対する私怨だけで宣戦布告した事によって、その国内事情は貧困の極みと
なっており、その苦しい中で必死に日本に部隊を送ってみても海上で迎撃されると言う
あちらはあちらで凄い必死だったんだと言う事実が明らかとなり、
イタチの最後っ屁として放った弾道ミサイルも日本に届かなかった以上、
これ以上継戦する事は出来ないと日本政府に降伏を申し込んで
来ていたのである。こうして、戦争は終わった。

69:ゲーヲタエアフォース泉こなた 9
08/07/07 23:22:02 bISJ77Yk
F-22は非常に高価な戦闘機である。日本円に換算して二百億円以上は下らない。
一応整備性や運用コストに関して従来機に比べ安く済む様に工夫されて作られてはいるが、
それも十年以上の長期にわたって運用し続けてこそであるが故、ここでは余り意味のある物では無かった。

こなたがそのF-22で特攻したと言う事は、二百億円以上の大金をドブに捨てた事も同義だが、
逆に弾道ミサイルが日本に着弾していれば、何十万と言う日本国民の命や、その他日本の各施設は
吹飛ばされ、それに伴いライフラインの切断による混乱等で何百億どころの騒ぎでは無い程の
損害になっていたであろう。だからこそ政府はこなたがF-22を損失した事を問う事は無く、
むしろ自分の命と引き換えに日本を救った英雄として、国民栄誉賞を与えた。

無論、日本近海で警戒していたイージス艦群や、列島本土の各地に設置された
パトリオットミサイル等に任せれば良かったのでは無いか? とか
特攻を過剰に賛美するのは戦前の特攻隊を賛美する事になって危険なのでは無いか?
等々、こなたの行動を批判する者も少なからずいた。しかし、結果としては
こなたの行動によって日本に住む数え切れない程の人々が救われたのは事実であり、
人々はこなたの勇気を称えた。

しかし……その事に喜べない者もいた…

「こなたが亡くなったって本当ですか!?」
かがみ達が泉邸に殺到した時、そこではそうじろうが一人悲しげに座り込んでいるのが見えた。
「ああ…さっき自衛隊の人が来てな……こなたが……戦死したと聞かされたよ。
だが犬死じゃない…あの日本に迫っていた巨大弾道ミサイルに特攻して…
日本の危機を救った英雄として………二階級特進したんだとさ……………。」
淡々と説明するそうじろう。しかし…その目は涙で潤んでいた。

「馬鹿野郎! 何でお前まで死んじまうんだよ! 確かにお前のおかげで
何万人と言う人の命が救われたかもしれない…だが…こなた…お前はどうなんだ!?
残された父さん達はどうなるんだよ!! かなたのみならずこなたまで父さんを
残して逝ってしまうのか!?」

そうじろうはやるせなさの余り、切れた様に叫んでいた。その光景は痛々しく…
見ていたかがみ達もまた目に涙が浮かばせる。そして、こなたの国民栄誉賞ついでに
自衛隊から貰った大量の恩賞金の記入された小切手を投げ捨てていた。
「こんな紙切れが何になるんだ!! こなたが…こなたがいなけりゃ意味が無いじゃないか!」

70:ゲーヲタエアフォース泉こなた 10
08/07/07 23:23:06 bISJ77Yk
「あ…こなちゃん…ごめんなさい…あの時避けたりして……こなちゃんは………
私達を守ってくれていたんだね………ごめんなさい…ごめんなさい…。」

つかさはあの時こなたにドン引きして避けた事に罪悪感を感じ、涙が込み上げてきていた。
確かに戦争であったとは言え、人を殺すと言う行為は許されない事かもしれない。
しかし、だからこそそうじろうやかがみ、ゆたか達は今こうして傷一つ負う事無く、生きている。
だがこなたはもう帰って来ないと言う矛盾…。それが余りにもやるせなかった。だが…

「何さ! ヲタクのくせに自衛隊に入ってパイロットになるなんて生意気な事するから
こんな事になるのよ!! こなたのくせに!!」
「お姉ちゃん!?」
皆が涙する中、かがみ一人が何か怒った様に叫ぶ。
「私達を守る為にミサイルに特攻して…英雄にでもなったつもり!? そう言うのが生意気なのよ!!」

「お姉ちゃん! そんな言い方無いじゃない! おじさんも何とか言ってあげてよ!」
つかさはそうじろうの服の袖を軽く引っ張り、かがみを注意して欲しくそう言ったが、
そうじろうはかがみを叱る事はしなかった。それ所か…
「あんな姿を見せられちゃぁ…何も言えないさ…。」
「え………あああ!!」
改めてかがみの姿を見たつかさはある事に気付いた。

「何が国民栄誉賞よ!! こなたのくせに似合わないって言うのよ!! 生意気だって言うのよ!!
うっ! ひぐっ! こなたのくせに! うぅ…。感謝なんかしないんだからね!? 感謝なんか……。」

かがみは泣いていた。それでも必死に涙を堪えながら…既に亡きこなたに対して罵声を
浴びせようとするかがみの姿が余りにも痛々しかった。

「死んで何になるのよ! あの世にはこなたの好きな漫画もアニメもゲームも…私が
あんたに勧めたかったラノベだって無いかもしれないのよ!! そんな所でこれから
どうやって生きて行くつもりなのよ!! いや…もう死んだのに生きて行くって
どう考えても我ながら変な事だとは思うけど……こなたの馬鹿………
あんたに勧めたいラノベとか色々あったのに……………。」

既にこの世に何一つ残さず消えて行ったこなたに対し、皆が涙する中かがみは
必死に訴え続けた。こなたには届かないとしても…訴えずにはいられない…そして…

「こなたに救ってもらったこの命…大切にするからね…。こなたの分も生きてやるからね…。」

71:ゲーヲタエアフォース泉こなた 11
08/07/07 23:24:05 bISJ77Yk
戦争は終わった。しかし、この後も人の世は続いて行くし、むしろこれからが大変なのである。
確かに日本本土が直接某国によって叩かれる事は無かったが、某国程では無いにせよ日本も疲弊していた。
戦闘機に搭載するミサイル一発でも数千万円もする代物であるし、戦闘機に関しては一機百億以上する。
その運用費やその他を含めると、とても考えられない金額になるだろう。日本を防衛する為とは言え、
日本もそれだけの大金を消費して来たのである。だからこそ、戦争が終わった今度の為に
経済を建て直しをしなければならない。それは生き延びた国民一人一人の頑張りにかかっているのである。

「こなた…代われる物ならお父さんが代わってやりたかった…。だが…もうこうなっては仕方が無い…。
お父さんはお前の分も生きるよ。そしてこれからも小説を書いていく…。だから空から見守っててくれ…。
…と言っても…お前はきっと今でも遥か空の上で…お父さん達がこうして悲しんでる事も知らずに
ゲームを楽しんでいるのだろうな~?」

皆は悲しげな目で空を見上げた。
心なしか…こなたがTVに向かってゲームを楽しんでいる…
その様な光景が見えた様な気がした。

                      おわり

72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:25:09 bISJ77Yk
これでおしまいです。一緒に挿絵も投下しようと思ってたのですが
色々忙しくて出来ませんでした………と言うか……
特攻は果たして自殺の内に入るのでしょうか?

入らなかったらごめんなさいorz

73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:26:11 j1MNbfA2

何か空戦のキメ細かさにパヤオ投影したわ
すげぇ

74:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:30:38 R65RvS3h
特攻も自殺のウチに普通に入るだろ。
しかしこなた凄いな、ICBMの速度に追いつけるとは。
これも、こなたの皆への愛ゆえか。
何にせよ、乙。

75:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:33:38 3OvzNzpO
乙。
なんかBGMに未来への咆哮が入りそうだ

76:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:16:21 Uj8+g0l3
>>63-64
こんだけこなたが上手けりゃ、貴方も立派な絵師だ。
よろしくな、職人さん。

77:64
08/07/08 00:21:23 JRXCj9cy
あの絵描くだけで20分近くかかった、、、、
時間かけてもいいなら大丈夫だが、、、

78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:21:47 mZN+9i3/
>>6
その後にかがみも入隊して2人で部隊№680のファントムに乗り換え。

79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:53:52 Xq3bTKMa
>>44
こなた本スレに投下してたとはww
一番やっちゃいけない誤爆をww

80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 02:29:55 Fm7gxjjr
>>72
乙。
勢いだけで押し通した感じだね。ハリウッド的で良かったよ。
ただ、軍事ネタを書くならもう少し調べてから書いてみたら?
そんなに詳しくないなら適当にぼかした方がマシ。おかげで本題が霞んでるし。

81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 17:00:44 BxzEDtZa
こなた「ふぅ、やっとできた。やれやれ、あたしってば頑張り屋さんだねぇ☆」
そうじろう「……ん? こなた、今日も徹夜したのか?」
こなた「あはは、そうなんだよ。もう三日目」
そうじろう「なにをそんなに頑張って─」
こなた「小説」
そうじろう「小説?」
こなた「っていうか、ただのSSだけどねwなんていうかなー、最近急に創作意欲が沸いてきて。
他人様のつくったものをただ楽しむだけじゃなくて、わたしも誰かに喜んでもらえるものをつくりたい、って思えてきて。
……あはは、わたしも父さんの子供だった、ってことかなぁ///」
そうじろう「……」
こなた「─えっと、変かな。わたしが小説なんて……」

 ─ぎゅ

こなた「と、父さん……?」
そうじろう「変なんかじゃないさ」
こなた「父さん?」
そうじろう「変なんかじゃない。父さんは嬉しいぞ。感動するだけじゃなくて、その感動を伝えたいと願う……人として大切なことだ」
こなた「……お父さん…………」
そうじろう「さっ、こなた、もう行きなさい。学校に遅れるぞ?」
こなた「あ、う、ぅん。わかった。行ってきます」

 とことこ。がちゃ。
 ……くるり

こなた「お父さん」
そうじろう「なんだい?」

こなた「……何かを書くのって、こんなにうれしいことだったんだね。
こんなに、素敵なことだったんだね。
─わたし、お父さんの娘で良かった」

 ばたん─たったったっ

そうじろう「……ふふ」
 頬をかく。
 ─どうしてだろう。
 娘の笑顔……その日なたに輝く朝顔のような満面の笑みの向こうに、
 亡き妻の、
 かなたの微笑みを見た気がした。

82:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 17:01:32 BxzEDtZa
 ─
 ─
 ──ったったった

こなた「ぉーい、かがみーん!!」
かがみ「おーっす、こなた。─って、あんた、その目の下のクマどうしたの」
こなた「いやぁ、ちょっと小説書くのに土日熱中しちゃってねぇ」
かがみ「小説? あんたが? ……ふーん、どんなの?」
こなた「いやぁっはっはっは、なんか急に書きたくなっちゃってさ」
こなた「戦記モノでねぇ、某国と日本が戦争になっちゃって、その中でわたしと同じ名前の
少女パイロットが大活躍するんだよ。最後はICBMに体当たりで日本滅亡を救っちゃったりして─」
かがみ「おいおい、自分を主人公にするか」
かがみ「ま、こなたらしくていいかもね。ふふ……ちょっと興味が出てきたから、今度読ませてよ」
こなた「ふふふーん、そういうと思って、なんと今ここに持ってきてるんだよ、原稿」

 ごそごそ

こなた「はい、どーぞ!」

 こなたは原稿を手渡しながら、今朝の父とのやり取りを思い出していた。
 そのやさしい言葉。
 その腕に抱きしめられたときのぬくもり。
 心が暖かくて。
 胸がいっぱいで。
 産まれてきて、本当によかった。
 本当にそう思ったのだ。

かがみ「へぇ、けっこう分厚いわねぇ。これは楽しみだわ」

 一時間後

こなた「ね、ね、どうだった、かがみん?」
かがみ「>>80


 ……午後のニュースです。
 ……今日の朝10時頃、陵桜学園高等部の校舎で、同校に通う女子生徒が……ているのを、
担任の教師が発見しました。……は手首をカッターナイフで深く切った上で……当局は自殺と
みて、関係者から事情を……

83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 17:06:30 BxzEDtZa


84:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 17:17:48 ZNpLfIIs
クソワラタw
SS評論をSS形式で行うとはクオリティ高いな。
これは凄いわ。神現る。

85:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 17:26:36 fE6Dcttg
不覚にもマジワロッタわ

86:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 18:12:51 eyWS5nmk
その発想はなかったわ

87:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 20:49:55 t6wsyCra
胸糞悪い気分が一瞬で吹っ飛んだよw

88:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 23:09:38 mF0gSYUR
1945年 3月26日 沖縄  

こなた「うう・・・」
???「HEY!!CAME ON!!」
・・・・・・・・・・・・

こなた「はっ!!?」
こなたは何が起こったか理解できていなかった。
気がつくと、とても狭い部屋に9人の人たちがいた。
しかも自分たちの服装は赤い服とかで2枚しかない。
その部屋にはベッド、トイレなどはある。
知り合いから誰かも分からない奴まで・・・
???「ちょっと、ここどこよ!!」
???「ほんっとどこやねん!!」
???「どこだよ・・・」
???「母さ~~~~ん!!」
みんな分からないらしい。
こなた「あの・・・」
???「何よ!!?ここはどこなの??教えてよ!!」
こなた「えっと・・・あなたのお名前は?」
???「かがみ・・・柊かがみ。」
こなた「私は泉こなたです。まあ落ち着いてください。」
かがみ「・・・確かね・・・私の記憶では沖縄にかりだされて・・・
どこかを撃たれて・・・そこから記憶がないの。」
こなた「私もです。アメリカ兵に突っ込んで・・・」
かがみ「そうなの・・・。」
ドン!!
???「CAME ON!!」
こなた「なんていってるの・・・」
かがみ「手の動きからして・・・こっちに来いってことじゃない?

89:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 23:18:22 mF0gSYUR
アメ兵「HI!!They Are・・・」
こなた「なにをいってるのかわかんないよ。」
かがみ「わたしも・・・ぜんぜん。」
???「おい!!ふざけんなよ!!なんでこんなことすんだよ!!
早く帰らせろ!!!!死ね!!」
アメ兵「Shit!!」
パァン!!
???「うっ・・・」
激しい銃声とともに一人の男から血が流れる。
ザワザワ・・・
???「今・・・撃ったの?」
???「・・・・」
かがみ「もう・・・」
こなた「どうしたの・・・!!」
かがみが泣いている。
かがみ「もう・・・これ以上血を見るのはイヤ・・・」

アメリカ兵の説明が終わった。
日本語で途中から話されたとこをまとめてみると、
自分たちは捕虜になった。
自分たちは重労働はさせられない。
日本にはこれは報告されてない。 などである。


90:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 23:33:39 mF0gSYUR
かがみ「ねえ、捕虜っていったらさ、死ぬってイメージがあるんだけど・・・」
こなた「多分大丈夫だよ。いつか日本へ帰れるよ・・・・」
かがみ「そう・・・だよね。」
???「あぁ~~~!!何でだよ!!なんでこんなことになったんだよ!!
なあみんな!!教えてくれよ!!」
・・・・・・・


捕虜と言っても本当に労働はないし、食事も見たことのない
豪華な食事だった。それはそれで幸せだった。
だが一番心配なのが、お父さんだ。
赤紙は届いていないか。ちゃんと仕事をしているだろうか。
それ以前に・・・生きているのだろうか。
それだけが頭をよぎった。

なんだかんだいっても一年は生きられるものだ。
死んだものは8人。全員自殺だ。

91:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 23:43:27 mF0gSYUR
今日はここまでにします。
感想や要望はどんどんお願いします。

92:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 23:54:51 kptKu1by
>>91
ついに来たか・・・戦中らき☆すた。

93:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 00:03:14 0CFn8qpL
しまった
先越されたw

94:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 00:03:18 /L0oCoca
心中を図るんですね分かります

95:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 00:53:04 tB74PuX3
>>93
おいおい、ネタ被りでも内容同じじゃなけりゃ是非とも投下してくれよ。
いじめネタなんて驚くほど被ってるんだし。

96:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 01:00:46 0CFn8qpL
>>95
まあまだプロット段階だけどw
とりあえずこのSSの様子を見ることにして
もう一つのSSに取り掛かっておく

97:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 01:03:41 tB74PuX3
しかしデフォ北氏も情熱的だなぁ。

98:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 01:22:02 MuauFckA
大学に進学するも就職難で自殺するこなた

99:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 12:34:32 KODK/nKe
戦国武将なこなた

でも他国との戦で負けてしまって、こなた自身も敵軍に捕まる。
それで、家臣の身の安全の保障を条件に敵国武将の目の前で自害するこなた。

100:筋肉
08/07/09 12:58:19 3HlsJUxk
URLリンク(www.uploda.org)
グロ注意
落書き帳をカメラで取ったので変なのが写ってます


101:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 13:34:06 zA+W9FZr
URLリンク(www.nicovideo.jp)
このスレで苛められてる こなた のイメージってこんな感じかな?

>>100
乙!もはや軽くホラーですねwww

102:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 13:47:52 3HlsJUxk
>>101
3分ぐらいでこなたの中学時代って画像があるけど
これで点と線が結ばれたね

103:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 16:43:26 RqG0EF9D
>>99
石田三成=こなた
田中吉政=かがみ
小早川秀秋=ゆたか

を連想してしまった

104:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 17:42:25 Zytn5b6d
>>64
時間はいくらかけてもいいぞ。
兵庫様の手によって、待たされるのは訓練されているからな。

105:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 19:01:05 zt2gI+19
>>90
捕虜生活開始から4ヶ月。
こなたたちもここになれたころ・・・
バン!!
ドアが勢いよく開く・・・
アメ兵「Hey!!New・・・」
こなた「何言ってるんだろう・・・」
アメリカ兵の威圧のある声が終わり、2人の少女が入ってきた。
そのとき、
かがみ「つかさ!!」
こなた「どしたの?知り合い?」
かがみ「私の妹よ。つかさ~~~!!会いたかった。」
つかさと呼ばれている少女はこちらに近づいて、
かがみを確認した。すると・・・
つかさ「おねえちゃ~~~ん!!会いたかったよ~~~
グスッ・・おとうさ・・・んたち・・・がい・・なくな・・て
わた・・し・・ね。1人だった・・・んだよ。」
かがみ「つかさ・・・なんでここへ来たの?」
つかさ「私ね・・沖縄に行ってね・・・先生たちは、みんな
[みんな沖縄でアメリカ兵をぶっ殺してこい!!]
って言ってたんだけど私そんなことできなくて・・・
それでね、沖縄に行ったけど私は沖縄でずっと隠れてたの。
でも、とても外に出られないし、食べ物も少しだけもってきたから、
そこにいたの。そしたらね、アメリカ兵が来て・・・
私をここへ連れて行ったの。」
かがみ「そうだったの・・・」

106:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 20:21:58 o9aSTEcK
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)

最近自重という言葉を忘れかけている気がする

107:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 20:33:34 RqG0EF9D
GJ!!

沖縄もいいけど満州も合いそう
不謹慎だが

108:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 21:04:22 Zytn5b6d
>>105
確か要望も受け付けてるんだよな?
では早速一つ。
投下始めと、投下終わりには宣言入れてくれ。

109:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 21:06:10 1uiQaCD2
>>106
あなたの描くつかさは二の腕の感触が気持ち良さそうなんだ。

110:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 22:12:40 7FitZIFt
>>106
Lesson8 Announcement 解答はp18だぞwww
丸つけたのか?wwwwww
本文にアンダーソン商会って書いてあるしwwwwww

111:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 22:25:54 o9aSTEcK
>>110
んふふーwwww
実はp15なのだよワトソン君wwwww

112:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/09 22:50:50 7FitZIFt
>>111
なんとっwwwww

113:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 00:47:43 WLKUE2Uv
>>44
このこなたを捕まえて、自殺させちゃおうかな。
死体はしっかりと本スレに送ってやろうかしら。

114:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 07:34:46 e+MyAeCh
>>108
すいません。
これからはそうします。
あと、今日も続き書くんでよろしくです。

115:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 10:56:36 g5IBepWk
みさおが「ミートボールと柊は渡さねー」とか言ってこなた苛めて自殺に追い込む展開

116:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 13:17:26 5vEO4mVS
北大阪さんとデフォ北大阪さんって同じ人なの?

117:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 13:27:56 WQnbNnK/
>>107
>満州

一瞬、チャイナドレスを着てニャーハオとか言ってるミーシェン(こなた)や
ジングティ(かがみ)が南京で父母その他を百人斬りされた挙句
レイープされまくって自殺するシナリオを考えた俺は間違いなく売国奴

ちょっと切腹してくるノシ

118:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 13:39:51 JalqcQux
幸運☆星

119:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 16:35:01 K5pHudw+
>>117
そういう戦争系の理不尽ネタなら西洋風のやつで幾つか思いつくが
サッコ・ディ・ローマって言っても意味分からない奴が多いだろうからやめとく('A`)

120:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 17:02:52 WQnbNnK/
諦めるこたぁないさ。俺達にはヴィキペディア先生がついてるんだぜ?

URLリンク(ja.wikipedia.org)

121:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 17:29:06 iiNO0h7i
教員採用試験で裏金を使ってしまい、生徒・PTA・同僚・浪人・エスケープ組から
吊るし上げに合い、自殺してしまうこなたん。

122:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 17:57:26 0O3OTtwv
>>117
ソ連兵にそうじろうが連行されるやつでは
赤い月らき☆すた版で

123:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 18:24:14 vZs6U8d7
>>116
うん

124:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 20:32:47 e+MyAeCh
>>105
1945年 7月5日
こなた達は捕虜ながらも
豪華な食事、1日中遊ぶものは野球とかしかないが、労働もなく、
想像していたよりも嫌ではなかった。
そんなある日・・・
バタン!!
???「これから10号室でミーティングを始める。急いで来い。」
ザワザワ・・・
こなた「なにがあったんだろう。」
かがみ「また捕虜の人が増えたんじゃないの?」

同日 某時刻 10号室にて・・・

将校 「今、アメリカ兵から大事なお知らせがあった。心して聞けよ。」
ザワ・・ザワ・・
将校「実はな・・・アメリカ兵の話によると、
この捕虜収容所の定員がオーバーしたらしい。
それで、ここにいる将校・下士官以外の人全員を
ここから400km西の収容所に移動させるらしい。」
ザワザワ
こなた「どういうこと?」
かがみ「つまり、ここから400km西の収容所に私達が移動させられるのよ。」
将校「実行は1ヵ月後。つまり8月5日になった。
そこでだ・・・ここから・・・脱走したい。」


125:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 20:50:04 x1ZM4SH0
カウラw

126:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 21:19:45 e+MyAeCh
>>124
将校 「ここからは白石くんに任せたい。じゃあ。」
ガチャ。
人事のように将校は去っていった。
白石が続き・・・
白石 「さっき将校が言われたように、脱走を計画している。」
かがみ「脱走・・・ですか。」
白石 「そうだ。あそこへいくとなにをされるか分からん。
それと、武器は・・・
食事用のフォーク、スプーン、野球の金属バット。これくらいだ。」
かがみ「え・・・じゃ、じゃあアメリカ兵はどんな武器を・・・」
白石 「恐らく機関銃だ。」
???「機関銃!!?冗談じゃねぇ!!どうやってそいつらに
対抗しろって!!?武器が3つだけ!!?ふざけんな!!」
白石 「静かにしろ。」
つかさ「あの・・・仮にその人たちを倒して・・・その後どうするんです?」
白石 「その後の計画は・・・ない。」
ザワザワ・・・
???「おい・・・どうなるんだよ・・・」
???「私達は死ぬために脱走するの???」
???「そんなの反対だぜ。」
白石 「うるさい。・・・というわけで、今から
この紙に脱走に賛成する者は○、反対の者は×、を書いてくれ。」

127:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 21:30:42 G72lx6NY
>>114
守ってないワロタw
まあ俺は気にしないけどね


128:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 22:13:25 e+MyAeCh
>>127
すません!!少し忘れてたみたいです。
今日はここまでにしようと思います。(遅い)
多分明日は無理かもしれません。明後日も無理っぽかったらすいません。
自分の作品にもし期待してる人がいたら嬉しいですけど。
少なくても来週の水曜には完結使用と思います。
よろしくお願いします。

129:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 22:48:27 vZs6U8d7
>>128
がばてね

130:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:11:12 iiNO0h7i
今夜投下予定の人って居るのかな?

131:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:13:40 vZs6U8d7
何か投下するのかね?

132:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:15:17 g5IBepWk
>>130-131
ちょいとSS投下したいです。OKですかな?

133:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:17:51 vZs6U8d7
いつでもおk

134:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:21:43 iiNO0h7i
>>132
どぞー

135:オタトラガール 1
08/07/10 23:21:49 g5IBepWk
「皆さんは…ある日突然常識を超えた力を手に入れたとしたら…それで一体何をしますか?
その力を持って世界を滅ぼす悪魔となるか…逆に世界を救う英雄となるか………。
この私、泉こなたはある日突然その恐るべき力を手に入れてしまうのです。
宇宙の彼方、OTAKUの星からやって来た超人オタトラマンから力を与えられた超人…
その名もオタトラガール!!」

泉こなたは世間一般的に言う所の「オタク」と呼ばれる人種である。
彼女の父親であるそうじろうは小説家兼オタクであり、その影響を受けたと言う点もあるが、
自分が生まれて間も無くして母親であるかなたを亡くした悲しみを紛らわす為と言う意味もあった。

そんな中、こなたは一本の特撮番組を見た。街を破壊する巨大怪獣を退治する巨大ヒーローが主役の番組。
その巨大さ、強さ、頼もしさにまだ幼かった頃のこなたが憧れるのは必然。
そして、大きくなったらTVのヒーローみたいになって怪獣の魔の手から地球を守りたいと
夢見る事もあった。

それから時は流れ、こなたは高校三年生18歳の立派なオタク女子高生になっていた。
幼き日と違い、今のこなたは各種漫画・アニメ・ゲームは勿論の事、巨大ヒーローものの特撮もまた
フィクションと完全に割り切っており、フィクションとして楽しんでいた。しかし………

埼玉に突如として巨大怪獣が飛来し、手当たり次第の破壊を始めたのである。
それまでTVや映画の中の存在でしか無かったはずの巨大怪獣。
爬虫類とも哺乳類とも鳥類とも魚類とも付かない。明らかに地球の生態系とは異なり、
なおかつ身長は50メートルを楽に超える恐るべき怪獣だった。

人々は成す術無く逃げ惑うしかなかった。怪獣は恐ろしかった。恐ろしいと言う他は無かった。
今埼玉を襲っているのはTVや映画に出て来る様な、CGや着ぐるみで出来た怪獣では無い。
紛れも無い現実。この現実に実在している化物なのだから。

だが…この日…この怪獣の襲来は…一人の少女の運命を大きく変えるきっかけに過ぎなかった。

136:オタトラガール 2
08/07/10 23:23:34 g5IBepWk
「あ…おじさん…誰…?」

怪獣の破壊から逃げ惑う中、友達や父親とはぐれ、途方に暮れていた泉こなたは
全身から眩い光を放つ謎の男と出会った。

『私の名はオタトラマン。宇宙の彼方。OTAKUの星から来た戦士だ。』
「え? まさか…宇宙人?」

こなたは思わず後ずさりした。確かに彼女の好きな漫画やアニメなんかにも宇宙人は良く出て来ていたし、
その影響によって宇宙人に会いたいと言う考えはあった。しかし、実際この目で宇宙人を見ると言うのは
どうしても恐ろしいという感情を抱いてしまうのである。だが、オタトラマンと名乗る宇宙人は
構わずにこなたへ告げた。

『今この星は危機に瀕している。何故ならば宇宙各地から様々な怪獣がこの星へ向かっているのからな。
今暴れているあの怪獣など氷山の一角にしか過ぎない。』
「え? どうして? どうして?」
『それは私にも分からない。だが、如何なる理由があろうと不当な侵略行為は許されるものでは無い。
だからこそ、私は怪獣の脅威から地球を守る為にやって来たのだ。』
「え!? じゃあ早くあの怪獣をやっつけてよ!! じゃないとお父さんが! かがみ達が!!」

こなたは泣きながらなおも埼玉を破壊している怪獣を指差し叫ぶが、オタトラマンは首を左右に振った。

『残念だが、私がこの星で戦うにはこの星の誰かの身体と同化しなければならない。
そこで私が選んだのは君だ。頼む。私と共に戦って欲しい。』
「ええ!? 何故私なの!? おじさんもしかしてロリコンなの!?」
『ロリコンではない!!』

ここでこなたは思い出した。昔TVで見た特撮ヒーロー番組で、ごく平凡な人間であった主人公が
ヒーローに選ばれるシーン。今こなたがおかれている状況はそれに似ているのだ。
しかし、TV番組として楽しみ憧れたこの光景も、実際現実に目の当たりにされると…
流石のこなたでも退いてしまわざるを得ない。

「どうして? どうして私なの? もっと強い人を選べば良いじゃない! 格闘家とか軍人とか!
私なんかただのオタクだよ! こんなオタクと同化したってまともに戦えるはず無いよ!」

彼女らしくない至極現実的な事を訴えるこなた。しかし…オタトラマンは言った。

137:オタトラガール 3
08/07/10 23:24:30 g5IBepWk
『残念だが誰でも良いと言うワケでは無いのだ。この私と同化するには、一定量異常の
OTKパワーを備えた人間が必要なのだ。』
「OTKパワー…って何?」
『OTAKU…略してOTK。君は先程言ったな。自分はただのオタクだと。
だが、それこそ私の求める高いOTKパワーを持った人間なのだ。』
「えええええ!?」

オタトラマンの論じる理論に流石のこなたも退かざるを得ない。だが、オタトラマンは
こなたに歩み寄り、その手を掴んだ。

『この地球において君程優れたOTKパワーを持った人間はいないだろう。
だからこそこの私と同化し、オタトラマン…いや…君は女の子だから…オタトラガールに
変身し、あの怪獣の魔の手から地球を守るのだ!』
「ええ!?」

こなたが戸惑う中、オタトラマンは光を放ちながらこなたの身体の中へ吸い込まれて行った。
だが、痛みは無い。それ所かむしろ温かささえ感じられた。
そして、こなたと同化したオタトラマンはこなたの脳に直接訴えかけるのである。

『さあ! これで君はOTAKUの力を持った超人オタトラガールとなる事が出来る!
その力を駆使し…あの怪獣と戦うのだ!』
「嫌だよ!!」
『何と!?』

速攻で拒否されて戸惑うオタトラマン。しかしこなたは泣いていた。

「怖いよ! あんなグロテスクな怪獣と戦うなんて怖いよ!」

こなたは怪獣が恐ろしくて恐ろしくてたまらなかった。いくら普段からオタク少女として
のほほんとしていても、やはりその根底は普通の女の子。怖い物は怖い。だからこそ
いきなり戦えと言われても、戦う事等出来はしなかった。

『ならば君はあの怪獣によって世界が滅茶苦茶にされても良いと言うのか!?
君の家族や好きな人達が蹂躪されても良いと言うのか!?』
「え…。」

何とか説得しようとするオタトラマンの言葉に、こなたは思い浮かべた。
父であるそうじろうや、親友のかがみやつかさ、みゆき達が怪獣の破壊によって命を奪われ、
そして、こなたにとっての聖地である秋葉原もまた怪獣の破壊によって焼け野原と化してしまう光景を…。

138:オタトラガール 4
08/07/10 23:25:44 g5IBepWk
「そんなの嫌だよ! 嫌だよぉ!!」
『嫌ならば戦うのだ! 心配は無い! 今の君はただの人間では無い! 
何故ならばOTAKUの力を持った超人オタトラガールなのだからな!!』

こなたが決意すると同時に…こなたの身体が眩い光を放った。
そして、次の瞬間にはこなたは身長40メートルの巨人になっていたのである。
だがただ巨大化しただけでは無く、こなたの全身がまるで特撮ヒーローを思わせる
特殊なスーツで覆われていた。彼女のトレードマークの青く長い髪はそのままだったが…
これこそオタトラガールとしてのこなたの姿だったのである。

「凄い! 何だかアル○ィメット○ールみたいだよ!」
『いや…私としてはウ○トラ○ンに例えて欲しかったのだが…。』

先程まであんなに怖がっていたというのに、いざ実際に超人化するや否やこなたは喜んでいた。

「うわー! また何か出て来たぞー!」
「今度は巨人だー!」
「怪獣だけでも大変なのに巨人まで…一体どうなってるんだ!?」

オタトラガールの登場に埼玉県民は大パニックに陥った。
彼らにとって見れば、オタトラガールも怪獣の一種に過ぎないのだろうから。

「あ! 大変だ! 怪獣がこっちに来るぞー!?」
「何ぃ!?」

こなたの存在に気付いた怪獣がこなたへ急接近した。怪獣は本能で理解したのだろう。
今のこなた=オタトラガールが自分に仇成す存在なのだと。

「う! うわぁ! 怖い!」

いくら超人オタトラガールになったと言っても、怪獣がグロテスクである事は変わらないし、
何より大きさが違う。巨大化したと言ってもこなたは40メートルに過ぎないのに対し、
怪獣は50メートルを楽に超える。下手をすれば60メートルはあるかもしれない。
体格的にこなたが負けているのは明らかだった。

139:オタトラガール 5
08/07/10 23:26:53 g5IBepWk
『少し大きさが違う程度で恐れるな! 今の君は超人オタトラガールなのだぞ!』
「そんな事言われたって怖い物は怖いよ!」

こなたは思わず逃げ腰になっていたが怪獣の動きは思いの他素早く、こなたは地面に叩き伏せられていた。
だが…

「うっ! あれ…? 思ったより痛くない…。」

こなたは思いの他ダメージが軽い事に気が付いた。普通なら自分より大きな相手に叩かれ、
なおかつアスファルトの地面に叩きつけられれば凄く痛いし、直ぐには起き上がれないはずである。
しかし、こなたは大した痛みも感じなかったし、起き上がる事も出来た。無論身体に異常は無い。

『これで分かっただろう? 今の君は超人なのだ。怪獣など恐れるな!』
「うん! 分かったよ!」

ここで初めて自分が凄い存在になったのだと理解したこなたは怪獣に対して構えた。そして…

「ていやぁ! てやー!」

調子に乗って怪獣を攻め立て始めた。怪獣を殴り飛ばし、蹴り飛ばし、怪獣の動きが鈍った所で…

『今だ! オタリウム光線で奴を倒せ!』
「うん! オタリウム光線!!」

こなたの両手から放たれたOTKパワーを集束させた光線が怪獣を爆散させていた。

「やった! 倒した!」
『うむ。だがこれからが大変だぞ。これからも怪獣は沢山やってくるであろうからな。』
「えー?」

せっかくの勝利の喜びも、オタトラマンの一言で絶望に変わっていたのだが、
そこでさり気無く上を見上げてみると、空自の戦闘機の姿があった。

140:オタトラガール 6
08/07/10 23:28:16 g5IBepWk
「自衛隊やっと来たの? 怪獣ならもう私が倒しちゃったよ。」

とぼけ顔でそう呟くこなたであったが…次の瞬間、戦闘機のミサイルがこなたに命中していた。

「痛い! 何するんだよー! 私は怪獣じゃ無いよー!」

超人オタトラガールとなっている今のこなたは人類製ミサイルを受けてもちょっと痛いで
済む程度であったが、それ以上に守る対象であるはずの人間から攻撃を受ける事が信じられなかった。
だが仕方の無い事かもしれない。人間にとっては今のこなたもまた怪獣なのだから。
そして、戦闘機はこなたへ向けて次々にミサイルを撃ち込んで行った。

「痛い! 痛いってば!」
『やむを得ん! ここは逃げよう!』
「うん! 分かったよ!」

そしてこなたは飛び上がった。オタトラガールとしてのこなたはマッハ5以上の速度での
飛行も可能とし、空自の戦闘機の追撃を楽々振り切り、逃げ切る事が出来た。

しかし………これはまだ始まりに過ぎなかった。

                      つづく

141:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:29:41 g5IBepWk
とりあえずここまでが序章です。
今回はモロにウル○ラマ○を意識した内容にして見ました。
ここまでは自殺SSらしからぬ展開ですが、ここから鬱展開になったりして
最終的にはちゃんと自殺SSになるようなENDを考えてますので安心して下さい。

142:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:30:25 vZs6U8d7
ゲーヲタエアフォースの人か
相変わらず斬新過ぎるなwwww
乙www

143:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:32:37 d11nMg5k
>>141
おつかれさまでした

144:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/10 23:34:45 +6pkcfae
パニックものという新たなジャンルを築くつもりかwww

145:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 00:14:53 bOxukFkS
自殺スレでいうのもアレだけど
この設定ならむしろ自殺ネタじゃない方向で見たいわw

146:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 01:08:54 KdfzL+P9
乙であります。
さて、落とさせて頂きますか。

147:幸福拘束
08/07/11 01:09:35 KdfzL+P9
「ここか」
男はデパートを見上げる。上下運動用ジャージという服装にも関わらず、
周りの注目をさほど浴びなかったのは日曜故なのだろう。
持っている細長い皮袋と相まって、剣道の練習に何処かのジムに通っている若者、
そういう印象しか周囲には与えていないのかもしれない。
 しかし、皮袋に収まっているのは竹刀や木刀ではなく、日本刀だった。
また、チャックを閉めたジャージの裏には、ナイフまで隠してある。
(社会への復讐、それと安楽死。二つとも達成してやるさ)
男はいわゆる就職氷河期と新規学卒が被っていた。
尤も、この男は在学時代に就職活動などほとんどしていない。5、6社受けて落とされただけで、
以後就職活動に対する意欲など無くしてしまっていた。しかし、時が経つにつれ
その記憶など風化し、今や自分は時代の犠牲者であると疑っていなかった。
(この国には、経済的理由による安楽死なんて認められちゃいないけど、
死刑っていう安楽死システムがあるんだよなぁ)
 男の目的は、無差別殺人だった。屋外より屋内の方が
逃げ場が限られる以上襲撃しやすいと踏んでいた。このデパートを選んだのは、
閉店間際のデパートと、自分の人生を重ね合わせたに過ぎない。
「さて、行くか」
下見にすら訪れた事がないデパートに足を踏み入れる。
ホームページで軽く店の構造を確認したに過ぎない。
下見などに訪れてしまうと、襲撃できない理由ばかり作りそうで怖かったのだ。
できない理由を作る、というのはかつて彼が就職活動期に陥っていた思考だった。
自らの怠慢を社会に帰責させつつも、自らの性質については自覚していた。

*

 デパートの中は休日だというのに閑散としていた。それもそのはず、
閉店セールを三日後に控えているデパートに訪れる人間などそうはいない。
分かっていたことだが、こなたの口から思わず独り言が漏れる。
「ふぃー、やっぱり空いてるね」
「全くだな。てか何で平日に閉店セールやるかねぇ。普通休日にやるもんじゃねー?」
「ていうか、そういう当たり前の経営判断ができないから閉店に追い込まれたんじゃないか?」
みさおとかがみの発言は店側にとっては無遠慮ともとれるものだったが、幸い辺りに店員は居ない。
「そうでもありませんよ。平日に安売りされるのは生活必需品や安価な品物だけです。
お値段の張る物は土日から安売りされるみたいですから。
セール時の混雑緩和の為に敢えて日時をずらしてるんでしょうね」

148:幸福拘束
08/07/11 01:10:37 KdfzL+P9
「そうだよね、流石みゆきさん。誰かさんと違って浅い考えはしないんだね」
「そうそう、柊とは大違いだよな」
「うるさいな。そもそも日下部が最初に言ったんでしょうが」
「わ、皆仲良くしようよ~」
つかさが慌てて割って入った。冗談交じりのやりとりではあるが、
それでもつかさのような純粋な少女は和やかな雰囲気で過ごしたいのだろう。
「ほら、もうすぐ目的地なんだし」
 彼女達5人は、買い物目的で訪れたわけではない。
このデパートは屋上を憩いの場として開放しており、
そこで雑談をする為にデパートに訪れたに過ぎない。本当は喫茶店でケーキでも食べながら、
というのが少女達の本音ではあるが、いずれも趣味以外の事に対しては倹約家の集まりである。
 屋上にまで通じるエレベーターが一基あるが、運動やダイエットも兼ねて
いつも階段を使って屋上まで登っていた。売り場最上階から屋上までの
階段はモザイク加工が施されており、階段を使って登った方が
綺麗だというのも理由の一つであるが。
 数あるエレベーターの内、一基しか屋上まで通じさせないのも
階段をモザイク加工してあるのも、店側の作戦の一環なのだろう。
それは、一階から売り場最上階までの階段と、屋上へと通じる階段が
直結していないという事から窺える。屋上まで階段で行くには、
一旦売り場に出なければならない。勿論火災時の避難経路上、
階段間の距離は大して離れていないが。その二つの階段の間に挟まれた売り場には、
目を引く装飾品が配置されている。椅子、花瓶、杖などに至るまで、
個性的なデザインがなされており、屋上目当ての人間にもそのデザインは強く印象に残る。
少しでも売り上げに貢献させようという、在りし日の店側の工夫を感じさせた。
「そういえば日下部ー、峰岸は何で来ないの?」
「柊ぃ、それを聞くのは野暮いって」
「あー、あー、二人きりでお熱いわけですか。日下部も寂しいんじゃない?」
「寂しくないってば」
「ほらほら、拗ねない拗ねない。今度デートしてあげるから」
「…柊、変な趣味ないよな?」
「正常な嗜好だと思ってるけど?」
みさおの頬を弄りながらかがみは妖艶な笑みを浮かべた。
「お二人さん、お熱いところ申し訳ないのですが、もうすぐ屋上ですよ」
屋上へと通じる踊り場を指し示しながら、みゆきはいじけた様に文句を漏らす。
「誰かに見られたら、変な集団だと思われてしまいます。
人前であまりいちゃつくのは止めて下さいね」

149:幸福拘束
08/07/11 01:11:11 KdfzL+P9
「うーん、でもゆきちゃん、屋上にも人居ないんじゃない?」
 屋上を開放している関係上、火災への対策としてヘリポートの他に
フェンスにはしご車への移動をスムーズにする為のドアが各所に設置されている。
ただ、その構造は飛び降り自殺にも利用されかねない為、少し前までは監視員が一人は
配置されていた。その監視員すら雇う余裕がなくなったのか、最近は見なくなっていた。
「有り得るね。これだけ閑散としてるなら、屋上にも人は居ないかも」
先陣を切って屋上へのドアを潜り抜けたこなたの瞳に、見知った人物の顔が映った。
「おっ、泉と愉快な仲間達やないか」
陽の光が差し込む屋上に、一際朗らかな声が響き渡る。
「先生、どしてこんなトコに居るんですか?それも一人で」
「泉、一人で、は余計や」
屋上には黒井以外の人物は見当たらず、つい一月ほど前にはあった屋台も消え失せていた。
地面に敷き詰められた人工芝と所々に置かれたベンチが、
ここがかつて憩いの場であった事を寂しげに主張している。
「まぁたまには一人になりたい時があるんや。閉店セール直前のデパートに来る
酔狂なヤツなんてそうはおらんと思ってな。公園は親子連れでいっぱいやし、
この年の女が休日に一人で喫茶店いうのもな」
「先生、何か悩み事でも?クラスに問題児が居るとか」
黒井の表情に一抹の寂しさを見て取ったこなたは、慰めがてらにおどけてみせた。
「アンタの事でしょうがっ」
案の定、かがみが調子を合わせる。これで少しは元気が出てくれるといいな、
そう思っての発言だったが、意に反し黒井は真面目に対応してきた。
「いや、そうやないで。泉はいい生徒や。柊姉妹もな。高良も日下部も、
可愛い生徒やと思っとるで。家庭の問題や、何処にでもある、な」
「家庭の問題、ですか。そういう事情に立ち入れないけど、元気だしてよ先生。
そうだ、今日は徹夜でネトゲやりましょうよ」
こなたは黒井に元気を出してほしかった。仲がよいだけではなく、
常に本音で生徒と向き合う黒井を心から尊敬していた。
「いやいや泉。そんな深刻な事情やないで」
こなたの表情から真剣さを感じ取ったのか、黒井は慌てて笑顔を作る。
「単にな、親から結婚はまだかー、彼氏はできないのかーって話ばかりされとるから、
それでちょっとアンニュイになってただけや。早く孫の顔が見たいって言われても、
そんな年やないっちゅーねん」
「そうですか。大人って方々から圧力かけられて大変なのですね」
「みゆき、違うんじゃない?このケースだと、
親からはまだ子供扱いされてるから大変なのよ。
ほら、こなた、日下部。私だってみゆきより考えが浅いわけじゃないわよ」
先ほどの意趣返しとばかりに、かがみが得意満面の笑みを浮かべながら胸を張った。
(かがみも負けず嫌いだなぁ)
半ば呆れ気味にその笑顔を受け流すと、こなたは黒井に向き直る。

150:幸福拘束
08/07/11 01:12:13 KdfzL+P9
「それだけ親御さんに愛されてるって事ですよ。それに私もオタクやってるから、
彼氏なんかできそうもないし、将来似たような悩み抱えてそうだ」
「私も彼氏とか現実味ないからなー。あやのが羨ましいぜ」
「ちょっと、日下部っ。アンタには私が居るでしょーが」
「こらこらそこの二人。教師の前で不純な事やらかしとるんやないで」
みさおの胸に手を伸ばしたかがみを見咎めて、黒井は苦笑交じりに注意を促した。
「まぁ、お前等愉快な連中と居ると面白うてかなわんわ。
ちっぽけな悩みなんて吹き飛んでまうな。よっしゃ、これから奢ったるで」
「うわ、先生本当かよ。駅前行きましょう、駅前のケーキ屋。甘い物が必要なんだってば」
みさおは満面の笑顔を浮かべながら、先陣を切って歩いていく。
「ほんっとにもう。すぐに食べ物に釣られるんだから」
かがみの声音は呆れ気味ながらも、口元は緩んでいた。
先陣切って歩いていったみさおを追いかけるその足も、踊るように軽やかだった。
「ふぅ、二人とも食いしん坊だねぇ」
「では私達も向かいますか」
「やれやれ、しゃーないな」
4人も、かがみ達を追って歩き出した。
 まだこの時には、彼女達には信頼関係があった。
だからこそ、彼女達は心から笑っていられた。

*

 階段へと向かうと、踊り場でかがみとみさおが待っていた。
いや、待っていたという表現はおかしいかもしれない。
二人だけの空間を形成していたのだから。
「お二人さん、何を盛ってらっしゃるんですか?」
 みさおの腰に手を回して耳を甘噛みしていたかがみに、みゆきは冷ややかに問いかける。
「プ、プロレスごっこしてるだけだってば…」
 頬を高潮させながら、みさおは消え入りそうな声で答えた。
「遅かったじゃない。
ま、あともうちょっとゆっくりしててもらった方が都合よかったけどね」
気まずい素振りすら見せずに、かがみは微笑みながら答えた。
「でしたら、エレベーター使った方が良かったですね」
「それ、私達置き去りじゃない。ケーキ食べられないじゃない」
「そちらの、みさおさんでも食べてらしたら良かったでしょう?」
「まぁまぁ二人とも、いいじゃん、いいじゃん」
こなたは冷や汗をかきながら、二人の間に割って入る。
そのこなたの手を、つかさが掴んだ。

151:幸福拘束
08/07/11 01:13:53 KdfzL+P9
「えへへ、お姉ちゃん達仲良かったね。私達も、あんな感じに仲良くなれるといいね」
「あらあら、私だけ一人ぼっちですか」
いじけたような声を出すみゆきの肩に、黒井が手を回した。
「安心せい高良、ウチも一人や」
「今のところ、お姉ちゃん達が一番進んでるんだね」
「何言ってんだよ、妹ぉ。そんなんじゃないってば」
「ではいつまで、肉体を接合させてらっしゃるのですか?」
敢えて情欲的に表現されたみゆきの台詞に、みさおは急いでかがみの腕を振り解く。
「そ、そんな事より早くケーキ行こうぜ、ケーキ。
デパートの入り口で先に待ってるぜ」
冷やかされて顔を耳まで真っ赤に染め上げたみさおは、照れ隠しのように早足で歩き出した。
「いつの間にかケーキに確定しとるわ」
「ほんとですね」
こなた達は苦笑しつつも、売り場へと消えたみさおの後を追って歩き出した。
が、その足は一瞬止まる。つんざくような悲鳴が売り場に上がり、
階段という閉鎖空間に反響していく。
「日下部っ」
一瞬足を止めたかがみだったが、声の主を判断するや否や弾かれたように飛び出していった。
「何が起こったんや」
「とにかく急ごう」
こなた達も後を追い、飛び出していく。
飛び出す直前に、再び怒声が響いた。
「来るなっ。逃げろ」
 階段から売り場へと飛び出したこなた達は、その目を疑った。
陳列棚はところどころ破壊され、床には血が飛び散っている。
客も店員も一人として見当たらない空間に、夥しい血で服を赤く汚したみさおが
おぼつかない足取りでこちらに歩いてくる。
「逃げろ…お前等」
「逃がさねー」
みさおの後ろから、男が大上段に構えた日本刀を振り下ろそうとしていた。
咄嗟にこなたは近くにあった売り物の椅子を投げつける。
男は振り下ろそうとした手をとめると、飛んできた椅子を身軽に躱した。
その隙にこなたは売り物の杖を掴むと、男目がけて突っ込んでいく。
黒井も弾かれたようにみさお目がけて走り、その血に染まった身体を抱きかかえた。
 男は日本刀を構えなおすと、こなた目がけて袈裟掛けに斬りつける。
こなたは後ろに退いて躱すと、杖で男を殴りつけようとした。
が、いともあっさりと杖は切断される。
(お年寄りの防犯を兼ねた、樫の木製の杖だよこれ…)

152:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 01:15:28 KdfzL+P9
>>147-151
キリ悪いけど連投規制来そうなんで撤退しますわ。
また明日。

153:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 01:17:56 HptaJ/xo
支援!

154:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 01:18:40 HptaJ/xo
>>152
一足遅かったか・・・。
ともあれ乙です。

155:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 01:25:23 bwpnuamE
コントラストの人か
相変わらず情景模写が巧みすぎる
wktk

156:(≡ω≡.)神奈川
08/07/11 04:20:11 21EzlvrB
次々と上手い人が登場し、なんか肩身が狭いです。
新作の前半を載せます。全部書き終わってるけど、とりあえず。

『脅迫』

かがみ「ちょっとしたアルバイトのつもりだったの―」

男「大丈夫、大丈夫。髪型変えちゃえば分からないって! 」
かがみ「でも……」
男「やっぱ駄目? 拘束時間含めて1時間で2万円だよ? ブランドの新作とか欲しくない? 」
かがみ「(欲しいラノベはあるけど…… それにこなたに付き合って遊んで今月ピンチなんだよね…… )」
かがみ「絶対に大丈夫よね? 」
男「絶対に大丈夫だから。それだけは保証するし。」
かがみ「じゃあ、前金で頂戴。なら良いわよ。」
男「よ~し! 決まった。それじゃ、案内するね。」


かがみ「何事も無く2ヶ月経った。だけどあの日―」

「みさきち、かがみん居る? (≡ω≡.)?」
みさお「柊? 居るよ。呼ぼうか? 」
「お願い~ (≡ω≡.)」
みさお「お~い、柊。ちびっ子が遊びに来てるぞ~ 」
かがみ「ちょっと、こっちのクラスには来ないでって言ったじゃない。噂されて迷惑なんだから。」
「いや~ 我慢できなくて。かがみんに一刻も早く見せたい物があってね。 (≡ω≡.)ゞ」
かがみ「またHなゲーム? あんたいい加減に…… 」
かがみ「そ、それ…… 」
「『投稿写真館』。Hな雑誌だよ。 (≡ω≡.)」
「お父さんが毎月買ってるんだけどね。今月の見たら驚いてね~ ここのページなんだけど…… (≡ω≡.)」
かがみ「場所移さない? 」


157:(≡ω≡.)神奈川
08/07/11 04:21:54 21EzlvrB

「トイレの個室にかがみんと二人っきり。むひゅひゅ、変な気持ちになっちゃいそう。 (≡ω≡.)」
かがみ「休み時間短いから、さっさと用件話して。」
「つれないな~ まぁ、かがみんのそんな所が好きなんだけどね。 (≡∀≡.)」
「さて、このページの女子校生。かがみんでしょ? (≡ω≡.)?」
かがみ「ば、馬鹿言わないでよ。どうして私なの? そんな雑誌に載るわけ無いじゃない! 」
「でも髪の毛の色とか同じだし…… (≡ω≡.)」
かがみ「こんな髪の娘なんて幾らでもいるわ! 馬鹿馬鹿しい。クラスに戻るわよ! 」
「ほい。 ⊂(≡ω≡.)」
かがみ「ひっ! 」
「顔はモザイクかけられてるけど、こんなの私にかかればチョチョイだよ。髪型変えてても無駄だね~ かがみん♪ (≡∀≡.)♪」
かがみ「……何が望み? お金? それとも…… 」
「別にそんなの要らないよ~ ただね…… (≡ω≡.)」

「また、昔みたいに仲良くしてくれる? (≡ω≡.)?」

かがみ「えっ? それだけ? 」
「かがみん最近冷たいじゃん。3年生で受験勉強とかあるしね~ 放課後の付き合いも悪いし。 (≡ε≡.)」
かがみ「ま、まぁ…… 」
「私と毎日一緒に帰ること。毎週末遊ぶこと。これが条件。簡単でしょ? (≡∀≡.)」
かがみ「それじゃ、私が勉強する暇が…… 」
「そうやって私を独りぼっちにするの? 良いよ? それならこれ明日にでもネットに流すから。 (≡ε≡.)」
かがみ「わ! 分かったわよ! 」
「やった♪ かがみん大好き! それじゃ、放課後ね。じゃね~ ヽ(≡ω≡.)ノ」
かがみ「……どうしよ。」


かがみ「午後の授業はほとんど頭に入らなかったわ。一生こなたに脅され続けるのかと思って―」

みさお「柊、帰らんの? 」
かがみ「う、うん。ちょっと人待ってるの。」
みさお「妹さんか? でも隣のクラス、なんか騒がしいぞ。まだホームルームやってるみたいだし。」
かがみ「そう、結構時間かかりそうだった? 」
みさお「そこまでは分からないな。」
かがみ「ふ~ん。じゃ、もう少し待ってみる。ありがとね。」
みさお「それじゃ、お先~ 」

かがみ「……」
かがみ「先に帰ろうかな」

158:(≡ω≡.)神奈川
08/07/11 04:23:02 21EzlvrB


かがみ「嫌な予感はしてたわ。でも、誰が想像できた? ―」

かがみ「おはよう! 」
みさお「…… 」
かがみ「どしたの? 元気無いじゃない。」
みさお「いや、その…… 」
教師「柊、居るか? 」
かがみ「はい。」
教師「居たか。悪いんだが職員室まで来てくれ。」
かがみ「はぁ…… 」

かがみ「……」
教頭「黙ってちゃ分からないだろ! この雑誌に写っているのは君なのか? どうなんだね! 」
かがみ「どこでこれを? 」
教頭「そんなのどうでも良いだろ! これは君か? 君じゃないのか? 」
かがみ「……私です。」
教頭「いったい何を考えてるのかね! こんな事して恥ずかしくないのか! 名門である我が校の歴史に泥を―」

黒井「柊、ええか? 」
かがみ「グスッ はい、なんですか? 」
黒井「いやまぁ、停学はしゃあ無い。むしろ退学にならんかっただけ儲けもんや。」
黒井「でな、ウチ雑誌の方も見たんや。顔は隠れてるし、正直あれだけなら別人で通しても大丈夫やと思う。」
かがみ「じゃあ、なんで…… 」
黒井「昨日、ホームルームの時に抜き打ちの持ち物検査したんや。そん時な、泉がアレを出したんや。」
黒井「なんで泉があんなんを持ってたか知らんが、不幸やったな。」
かがみ「こなた……」
黒井「自分、なんか知っとるか? 」
かがみ「……」


かがみ「こなたがあんなの持ってこなければ、こんな事にならなかった。もちろん私も悪いけど。」
かがみ「あいつが首突っ込まなければ、とか考えると憎らしいの。」
かがみ「もう停学期間が切れるけど、正直怖い…… 」
つかさ「……」
つかさ「お姉ちゃん、心配いらないよ。」
かがみ「あはは、慰めは要らないわ。この状況をどうすれば良いのよ! 」
つかさ「むしろこなちゃんのせいだからどうにかなるんだよ。」
かがみ「?」

159:(≡ω≡.)神奈川
08/07/11 04:34:54 21EzlvrB


「かがみん、今日からだっけな。顔合わせにくいけど、お昼食べたら会いに行こうかな。 (≡ω≡.)」
黒井「泉、泉はおるか~ 」
「モグモグ なんか用? ξ(≡ω≡.)」
黒井「昼飯か。すまんな。終わったら職員室に来てもらえるか? 」
「いいよ~ (これじゃかがみんに会えないよ。) (≡ω≡.)♪」

「失礼します。 (≡ω≡.)」
黒井「おっ、来たか。こっちの応接室に来てくれ。」
「!? かがみん。どしたの? (≡ω≡.)?」
かがみ「……」
警官「泉こなたくんだね? 」
「は、はい。 (≡ω≡.;)」
警官「こちらの柊さんから被害届が出てね。君に話を聞きたいんだ。」
「被害届け!? 私、何もしてないよ! Σ(≡ω≡.)!」
かがみ「何言ってるのよ! あんたとあんたのお父さんで私の写真撮って脅迫してた癖に! 」
「!? Σ(≡Д≡.)!」
かがみ「そして毎日お金を要求して、払えなくなったら雑誌に投稿して…… 」
「な、なんの話? 見えないんだけど? (≡ω≡.;)?」
かがみ「しらばっくれないで! 」
警官「落ち着いて。」
警官「君のお父さん、泉そうじろうさんは何度か小中学校近辺で職質されたようだし、少し詳しく話を聞きたいんだ。良いかい? 」
黒井「泉、お前ほんまにそんな事を…… 」
「そんなわけないじゃん! 全部かがみんの嘘だよ! ヽ(≡Д≡.;)ノ」
「かがみん、なんでそんな嘘言うの? ねぇ、かがみん…… (≡ω≡.;)?」
かがみ「ウワ~~ン」
「…… (≡Д≡.)」
黒井「よしよし、怖かったんだな。すまんな、先生気づけなくて。ほな、向こう行こうか。良いですよね? 」
警官「柊さんの方は大体聞き終わりましたから結構です。」
「ちょっ…… (≡Д≡.;)」
警官「さて、泉こなたさん。まずは―」

160:(≡ω≡.)神奈川
08/07/11 04:36:14 21EzlvrB

そうじろう「大変な事になったな…… 」
「…… (≡ω≡.;)」
そうじろう「もちろん俺はかがみちゃんの写真なんか撮ってないし、それを投稿なんてしてない。」
そうじろう「でも、職質されたのも事実だし、証拠資料として提出した写真にはそれ以外の誤解を産みそうな写真が…… 」
そうじろう「まぁ、証拠が無いんだ。不起訴処分は間違いないな。安心しろ、こなた。」
「……けるな。(≡ω≡.)」
そうじろう「?」
「ふざけるな! あんたがその辺の女の子を写真に撮ってなかったら、こんな事にはならなかったんだよ! 少しは反省しろ! (≡皿≡.)」
そうじろう「なに怒ってるんだ。別にお前が悪いことした訳じゃないだろ。気にせず学校に行けば良いじゃないか。」
「そりゃ、半分ヒッキーなお父さんは良いよ。でも、私は学校中に事件の事が広まったんだよ! どの顔さげて行けば良いんだよ…… (≡ω≡.;)」
そうじろう「かがみちゃんの嘘だって分かればみんな普通に接してくれるよ。少しは辛いだろうけど…… 」
「お父さんも知ってるでしょ!? 中学までの私。 (≡Д≡.;)」
「毎日虐められて、何度自殺しようとしたか。どんなにこの口を恨んだか。どんだけ牛乳飲んで背を伸ばそうとしたか。 (≡ω≡.;)」
そうじろう「牛乳飲んでも背は伸びないぞ。」
「ふざけないで! 少しは娘の心配してよ! それとも何? 自分さえ良ければ娘が学校で虐められても良いの? (≡皿≡.)」
「そうだよね。中学の頃だってどんだけ言っても助けてくれなかったもんね。 (≡ε≡.)」
「私なんてお母さんに似てるから育ててくれてるだけなんだよね。分かるよ。お父さんは何時も私の後ろのお母さん見てるもんね。 (≡ε≡.)」
そうじろう「おい、こなた。いい加減にしないか! 」
「いい加減にするのはあんただ! 少しは父親としての自覚を持て! 馬鹿~~ Σ(≡皿≡.#)!」
そうじろう「こなた!! ……はぁ。」

161:(≡ω≡.)神奈川
08/07/11 04:36:51 21EzlvrB
前編終了です。後編は今晩にでも。

162:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 08:02:28 L04fxk2+
うまいとかじゃないよ

あんたは特別なんだ



163:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 10:13:15 oNcYixhr
毎回のことだけど、(≡皿≡.)のうざさっぷりに痺れた。

164:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 14:18:56 azyPxaV/
乙です
こなたもかがみもうぜえーw

165:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 16:07:07 uvMSFVO7
こな川ウザ過ぎワロタw
ていうかこれ、リアルに居たらフルボッコしてるんだが。

166:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/11 18:19:38 Lddv0mkU
今夜投下予定の人多いんだな。
では、彼等が来るまでの時間潰しを努めさせて頂きますか。
>>147-151の続きです。

167:幸福拘束
08/07/11 18:20:21 Lddv0mkU
 日本刀といえど、人を斬れば油脂や血液が切れ味を鈍らせ、
刃自身も欠けるとこなたは聞いたことがあった。
だが、考えてみれば多少切れ味が鈍ったところで、杖くらいは簡単に切断してのけるだろう。
元が鉄で作られ鋭角を持った、殺人用の道具なのだ。
 男が着ているジャージに付着している返り血の量を見るに、
みさおを斬る前に多くの店員や客を
襲撃していたのだろう。それが故に、この売り場からは人っ子一人居なくなった。
棚の影に死体が隠れているかもしれないが。
だが、だからこそみさおは生きていられるのかもしれない。多少の刃の欠けや
切れ味の鈍り、それがあったからこそみさおは即死を免れているのかもしれない。
尤も、何処を斬られたのかさえ確認していない現状、推測の域を出ない妄想であるが。
(でも切れ味云々を考えなくても、あれだけの重量を持った鉄の塊だ。
直撃すれば致命傷は免れない。はやく抜け出さないと)
 男は日本刀を振りかぶりながら、こなたに襲い掛かってくる。
丸腰となったこなたは乱舞する刃を避けるので精一杯だ。
「泉、逃げるでっ」
 黒井が椅子を男目がけて投げつけた。右往左往しているだけの他の
少女達に比べて、対応は些か冷静なようだ。
 男が椅子を避けたのにあわせて、こなたは近くの棚を男目がけて倒すと
バックステップで男から距離を取っていく。
黒井もみさおを抱えたまま、後退を開始した。
 しかしその男は、こなた達を無理に追撃しようとはしなかった。
下へと通じる階段を守るように、ゆっくりと距離を詰めていく。
(これはヤバイよ…)
 みさおを抱えたまま迂回して、反対側にあるエレベーターまで向かうのは不可能に近い。
その前に斬り殺されるだろう。下へと通じる階段へと向かうのは、みすみす殺されに
出向くようなものだ。逃げ道は屋上からのエレベーターしかない。
 屋上へと通じる階段に一同は集結すると、防火シャッターを下ろす。
これも屋上にまだ屋台があった頃の名残なのだろう。
「先生、日下部はっ?」
 かがみは涙を目に湛えながら、みさおを抱きかかえた黒井に詰め寄った。
みさおの口から、荒ぶる呼吸音と共に弱弱しい声が漏れ出る。
「生きてるよ、柊…」
「日下部っ」
 かがみは黒井から奪うようにみさおを受け取ると、その手の中に抱きかかえた。
 こなたの見たところ、みさおは腹部を斬られた様子である。
服をまくって傷口を確認する度胸はないが、
その出血量から早急の手当てが必要な事が見て取れる。
「さて、早いトコ上に行かないとね…」
防火シャッターの横には売り場へと通じる避難用の扉がある。当たり前だが、
扉に鍵は掛けられない構造になっているので、いともあっさりと男の侵入を許してしまうだろう。
「どうせ分散した途端に乗り込んで来るわ。
エレベーターには日下部を先に乗せるとして、黒井先生…」

168:幸福拘束
08/07/11 18:20:59 Lddv0mkU
 かがみは避難用扉を指し示しながら、黒井に語りかける。
「避難が終わるまでの時間稼ぎをしてきて貰えませんか?」
「なっ?」
「お、お姉ちゃん?何言ってるの?」
黒井とつかさの素っ頓狂な声が階段に木霊する。こなたも声こそ出さなかったものの、
かがみの発言には驚いた。
「教師じゃない…。早く行ってきて、人殺しがここに来る前に…」
「そうですね、生徒を守るのは教師の役目ですよね」
みゆきもかがみに同調するように言葉を紡ぐ。恐怖に唇が震えているが、
発音に淀みは見られない。
「ウ…ウチに死ね言うんか?」
「そうだよ、ゆきちゃんまでどうしちゃったの?」
こなた自身も困惑していた。黒井も教師とはいえ人の子だ。ましてや、
こなたが言うのもおかしな話だが、まだ27歳という死ぬには若すぎる歳だ。
「それが教師の役目じゃない。責任果たしてきなさいよ…」
かがみが詰め寄る。こなたは、かがみの気持ちもよく分かる。
恐らく、この極限の状況下でみさおを生かす事に必死なのだろう。
沈没寸前の船の救命具が乗組員の数に満たないならば、誰かが弾かれる。
その対象に、黒井が選ばれた。みゆきも自身が弾かれる対象に選ばれないように
必死なのだろう。死ぬのは誰だって怖い。みゆきの気持ちもこなたにはよく分かった。
「お姉ちゃん、どうしちゃったの?皆で仲良く助かろうよ。
屋上で物でも投げつけて時間稼いでいれば、警備員の人や警察の人が来てくれるよ」
「警察は間に合わないでしょうね。警備員が居れば、とっくに彼は捕まっていたはずです。
売り場の状況を見るに、日下部さんを斬る前から彼は暴れていたみたいですから。
恐らく、閉店間際で客が少ないという事で警備員を配置していなかったのでしょう。
銀行と違ってデパートに警備員が配置されるのは、万引き対策が主ですし。
先生に時間稼ぎをお願いするしかないですね」
「みゆきの言う通りよ。つかさ、あまり聞き分けのない事言ってんじゃないわ」
「でもでも、教師と言っても今日は日曜日だよ?それに、
お給料の中に危険勤務手当てなんて入ってないでしょ?それなのに死ねっておかしいよ」
つかさは必死の形相で、自らの姉とみゆきに食って掛かっていく。
「つかささん、私は先生に死ねとは言っていませんよ。
時間稼ぎが終わったら逃げてくれて構いません。いや、倒してしまうのが一番いいでしょうね」
「不可能だよそんなの。男対女、それも日本刀持ってるんだよ?
ゆきちゃんだって分かるでしょう?」
「つかさ、いい加減にしないと怒るわよ」
「お姉ちゃんは黙ってて。大体、お姉ちゃんやゆきちゃんが先生の立場だったら
死ねるって言うの?自分が助かりたいから、それらしい理由つけてるだけじゃないの?」
恐らく、つかさの言う通りなのだろう。かがみの場合はみさおを助けるため、
というのもあるのだろうが。
 こなたは自問する。みゆきやかがみの気持ちも分かる。こなただって死にたくはない。
助かる側に回りたいのだ。それでも、つかさを応援したい気持ちでいっぱいだった。
黒井に対する同情心だけではなく、たかが仕事の為に、いや生活の資金を得るための
手段のせいで、死に追いやられるという現象に矛盾を感じていた。
生きるための手段が、自分を死へと追いやる現実。何のための労働なのだろう。


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