10/02/14 06:46:52 Eb6YST6F
「せいぜい、門限を過ぎた榊がゆかり先生に〆られただけだ。反省文30枚とか、どうやって書くんだろうな。
今日はいつもより機嫌が悪かったからな。特に昼の辺りから。何やら、喧嘩でもしたらしくてな」
「喧嘩?ゆかりちゃんが?」
いつもの事ではないか、と智は思ったが、今回は様子が違うらしい。
「なんでも、昼食のコンビニ飯を争ったらしい。医者と」
コンビニという単語に、智は覚えがあった。
思わず走ったうすら寒さを布団の中で走らせると、震えを堪えて言葉を吐いた。
「…こ、コンビニ?」
「ああ、SEVENな。昼ごろには惣菜の大半が売り切れてたらしいけど」
「ふ…ふぅん…」
その事柄には覚えがあった。
というよりも、原因は彼女本人である。
「ま、どうせ保存料とかをどばどば浸かせた粗悪品だろうけどな。しかも値段はやたらと高かったらしいし」
「…それのせいか」
「何か言ったか?」
「い、いいえ!何でも無いですよ」
「変なヤツだな…ま、いつもか」
反論したい気持ちを堪えて、智は暦に視線を送った。
暦はそれを催促と受け取り、話を続けた。
「最後の幕の内を、お医者さんに取られたらしい。タッチの差だとか、最初に触れたのはこっちだとか、言ってたっけ」
「幕の内…そんなに食べたかったのかな?」
「いや、多分面子の問題だろ。あの先生は引くとか譲るってことには無縁だからな」
「…確かに」
彼女たちには、それを容易に想起させられるほどに数多くのエピソードを、
日常での実体験としてその身に刻まれていた。