09/04/26 20:59:32 kMz47uzS
片眼鏡が見上げる遥か上空より、恐るべき速度で三体の戦闘機が迫る。
一機を包み込む形で二台が上下からドッキング。
おぞましき異世界の乱入者が、神体の頭上で巌の如き変貌を遂げる。
「クッ、回避を」
「遅ぇぇ―!!」
引力に引かれるままに、岩石の如き巨体が加速する。
両肩の大型スパイクが勇ましく回転し、カーンの全身をすっぽりと包み込む。
見るからに頑丈そうな体躯を備えていた三体目のゲッターは、瞬く間に頑丈そうな砲弾そのものと化した。
「グオッ くっ、こんな…… 監視者を、六神体を舐めるなァ―ッ!!」
「ウルせぇ! このまま擦り潰してやらァ!!」
規格外の弾丸の衝突に、平べったい神体のボディが大きくえびぞり、機体が急速に落下を始める。
唸りを上げるスパイクが容赦なく火花を散らし、眼下に地面がみるみる迫る。
「うおおおおお!?」
ドワォ!!
痛烈な衝撃が再び大地を揺るがし、砕けた岩盤が土柱と共に巻き上がる。
カーンと地面にサンドイッチされた神体は、強固な装甲のド真ん中を穿たれ、やがて、その機能を停止した。
「や、やった…… あとはマーズを……」
「まだ終わっちゃぁいねぇ!!」
「た、拓馬!?」
摩擦熱で蒸気を上げるカーンのハッチをこじ開け、拓馬が瓦礫の海と化した地表に降り立つ。
相方の突然の暴走に、驚いた獏が素っ頓狂な声を上げる。
「野郎、地表スレスレで脱出しやがった! マーズを狙っていやがるんだ!」
「まさかっ!? いくら何でもそんな事……」
出来るかもしれない、と、マーズと出会った時の事を思い出し、獏が考え直す。
無性生殖人間は、風のような速さで走り、十メートル以上もの高さまで飛ぶ事が出来ると、マーズ本人が語っていた。
彼らの身体能力を持ってすれば、落下速度を殺して大地に降り立つ事も可能かもしれなかった。
「待てよ! 拓馬、俺も」
脱出のスペースを空けるため、獏がカーンを動かそうする。
しかし、落下の強い衝撃で、機体は砕けた岩盤の窪地にはまり、容易に脱出できない。
「クソッ! パワーが上がらねぇ」
「お前は残れ、留守になったゲッターを奪われでもしたらシャレにならねぇ」
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