09/04/16 11:37:29 KoQWj4TB
>>319
アークの2巻18ページ付近に、"人間もゲッター線を大量に浴びると危ない"旨の記述がある。
324:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/16 11:53:44 o+gaTcCj
真の早乙女博士みたくアレな人になっちゃうとか?
325:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/16 20:46:54 GnAXVd6T
ゲッター號のラストを初めて読んだときは、まだゲッペラーなんてモノが存在するなんて知らなかったから
素直に感動できたけど、
真を読んだ後に號を読み返したら、
「でもこんなに感動的なラストでも、この先に待ってるのは永劫に続く闘争なんだよなぁ」
って思うようになってちょっと複雑だったな。なまじ綺麗にまとまってたから。
326:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/16 20:58:11 o+gaTcCj
號のスーパーロボット軍団もいいなぁ
327:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/16 23:34:16 u5ZINuhI
>>323
人間がゲッタービームを喰らうとやばいだろ?
そういうことだ
328:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 01:39:46 PyqEBwDu
ゲッター線の全てを受け入れられるほど人類が進化していないだけだ
329:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 02:51:51 /42wgoDh
ゲッター線のデレデレっぷりには参っちまうよ
330:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 09:04:40 QUfJ4Xo8
俺ら愛され過ぎワロタwww
331:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 12:59:33 GkksNjsh
>>322
ゲッター線が人類に寄生、いやむしろ俺達の方が寄生してんじゃない?
332:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 13:51:18 tOgOqPb3
寄生というよりミトコンドリアみたく共生関係じゃなかろうか?
333:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 19:05:26 oJfnDt88
そうかんがえると
ゲッター線は人を進化させて強くして、
人間はゲッターという器を造りそれを強化、ともにつよくなる存在か。
334:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 20:25:16 QUfJ4Xo8
でも器と言っても人類じゃ精々真ゲッターまででしょ?エンペラーにまで強化されたのはゲッター線による進化のおかげ
335:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 20:33:08 ZwlpHF3H
うざいコバエをゲッター線で皆殺しにしてやりたいです。
336:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 22:31:47 MYAPw6SM
てか、ゲッターはゲッター線で進化してるのになんで人間は進化してないんだ?
337:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 22:57:58 a/Yg8yGV
猿→人類
338:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 23:34:08 MYAPw6SM
>>337
人間の純粋な生物としての進化はそこで止まってるじゃないか
ゲッターがゲッターエンペラーになるくらいの時間があるなら、もう一段階くらい進化してもいいはずだろう
339:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 23:41:01 JSPMJmYx
>>338
お前…アークに出て来てたじゃないか。
なんかゲッターみたいな人たちが。
340:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/17 23:41:37 QpKeB0oZ
いや正直ゲッター関係者はだいぶ人間の範疇を超えていると思う
ダイナミック系だとデフォだけどな!
341:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 00:44:06 AIXqFs3Y
あいつら見た目人間でもゲッター人類だよな
多分みんな最低でもゲッターロボパイロット並の身体能力になってる
342:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 02:22:18 JxyQDbZh
てか、そもそも拓馬と獏が人間の進化系でしょ?
田中伍長が世界中でゲッター線の影響を受けて特殊な能力を持った子供が生まれてるとかいってたし
343:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 02:50:46 zc9yQzwD
>>339
あれは……宇宙服みたいなもんだろう
>>342
どの程度かハッキリしていない
アークの描写だと、兵士は自分と同じくらいのサイズの生物を殺すのに
レーザー銃のようなものを使ったほうが効率がいい程度の進化しかしていない
人類ゲッターの進化に追いついてない、まったく追いついてない
少なくとも初期のゲッターくらいの能力はあってほしい
344:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 02:56:27 rKHM25iq
そこまでいくと最初から人類以外の奴を目的にしたほうがいいんじゃねェの?
どっちかっていうと戦闘能力低いけど闘争心があっていろんな兵器を作って敵に対抗してきた事のほうが重要っぽいし
345:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 12:09:11 ALu9zZP4
人類全てが慎一みたいになれば追いついたっていってもいいのかな?
346:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 13:34:20 5ZQKNV2r
進化し過ぎだろw
347:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 19:05:44 4WCSD0N8
精神が肥大化していくのさ…そしてその先にあるものが、進化ッ!!
348:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 20:33:45 +UEEwSSw
突然だけど
受け入れてくれるかわからないけどネタ投稿していい?
349:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 20:36:32 4WCSD0N8
とりあえずどういうの?
350:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 21:08:45 LtCqqKCF
最近できた古本屋でスーパーロボットコミックゲッターロボ編手に入れたんだけど、
飛焔の「今日は良き日だ」って「帝王の帰還」の最後のセリフからとったのかな?とふと思った
というかゴールとゲッターチームの奇妙な絆、最後のシャインスパークの美しさ、ゴールの最期のセリフと
あの中で一番好きな話だ
351:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 21:41:09 kVPQ0FG3
>>348
いいよ。
352:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 22:06:17 5ZQKNV2r
きやがれ!
353:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 22:09:21 +UEEwSSw
………………………8年前、一人の科学者によって引き起こされた浅間山麓の爆発事件によって、日本は全てが蕩けてしまった。
そして現代…
爆発事に発生した超エネルギー「ゲッター線」の暴走により 地球上はゲッター線汚染されてしまった。
その結果、人類はゲッター線に汚染され、その力に溺れてしまい、異形の怪物「イデア」が出現し、暴虐の限りを尽くしていた。
もはや、地球上はイデアにあふれ、人類は絶滅しようとしていた。…………………
ゴゴゴゴゴ!!!
大空に我が物顔で移動している物体があった。万能移動要塞「ゲット・ボマー」であった。
「オラァァ!こんな作戦でイデアをぶっ飛ばせるか!」
ゲット・ボマーの作戦室で一人で騒いでいる男「了」がいた。
がさつで無鉄砲だが、鋼の精神を持っている。両腕はサイボーグ化されていた。
了が一人で暴れていると一人の男が入ってきた。そしてすかさず
バギっ!
了の顔に一撃食らわした。
了は吹き飛ばされて壁に激突する。
「いってえ!ハヤト!なにしやがる!」
そこにはヴィジュアル系の格好をした細身の美青年「ハヤト」が了を睨みつけていた。
「るせんだよ!一人で騒ぎ過ぎなんだよ!バカが!」
すると持っていたケースから一つ薬を取り出した。
薬をかじりついたハヤトが了に言い放った。
「なあ…了…大人しくしてねえと殺すぞ 」
了はその言葉についにキレた。
「ハヤトォォ!!もういっぺんいってみろ!」
了はハヤトに襲いかかった。
するといきなり
「ちょっ!ちょっとぉ、やめなさいよ」
354:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 22:15:29 +UEEwSSw
ツインテールの美少女「ムサシ」が二人の喧嘩を止めにかかった。
「あんた達!今はそんなことしてる場合じゃないのよ!こんなことしてる間にイデアが暴れているのよ!」
「ち…ムサシ、邪魔すんじゃねえよ!」
「あんた達がバカなことしてるとチーム・ゲッターとして成り立たないのよ」
「へっ…むかついたから俺、部屋に帰るわ」
ハヤトは作戦室から出ようとした。
「あっ、ハヤト待って!」
ムサシはハヤトの後を追いかけた。
「ちっ…勝手にしやがれ!」
了は作戦室に置いてきぼりにされた。
ハヤトとムサシは通路を歩きながらしゃべった。
「ハヤト、なんでそんなに苛立ってるの?」
「…」
ハヤトは無表情だった。しかしムサシはまた問いかける。
「そういえばハヤトがいつも口にしてる薬…いつから服用してるの?」
「…子供の時からだ。だからどうした…」
ムサシは驚いた。
「子供の時から!?何でまた?」
ハヤトは止まり、ムサシを睨みつけた。
「うるせえな!どうだっていいだろ!これ以上うるせえと殺すぞ!!」
ハヤトはすぐそこにあった自分の部屋に入った。
「はあ~…あとが思いやられるな…」ムサシをため息をついた。
ハヤトは部屋に入るとイスに座り、背もたれにもたれかかった。
「はあ…どいつもこいつもうるせえな…」
ハヤトは立ち上がると机の方へ向かった。
すると
「ん…なんだこれ…」机の隙間から折りたたんだ紙をみつけた。
ハヤトは紙を拾い、開いてみた。すると、
「これは…俺が小さい時に描いた絵じゃねえか!」
それはハヤトが小さい頃に描いた絵だった。
「懐かしいな…なんでこんな所にあるんだ?
しかし…下手くそだな…くっくっく…」
ハヤトは絵を見て少し笑った。
「ん…誰だこいつ…」
絵の中に自分と友達の絵があったが一人で見慣れない人物の絵があった。奇妙な服を着ていた。
「これって…ん…」ハヤトは悩んでいた。全く思いだせない。
しかし
(マ………)
「あれ、なんだか少し思い出してきたぞ!」
355:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/18 22:17:36 +UEEwSSw
ハヤトはあの時の思い出を思い出してきた……………………
この物語はハヤトがまだ五歳の時のあった超不思議な体験の話である。
「偽書 ゲッターロボDASH外伝 ハヤトのちょー嵐を呼ぶ!金矛の勇者」
序章 完
こんなネタです
356:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 13:20:32 9vZA1Ohq
久しぶりのしんちゃんネタか……
最近、○○とのクロスは~とかの話題が少ないな。
357:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 13:49:08 Xh7AVJ/I
金矛のマタタビは出てきた瞬間から男装美少女と看破させていただきました
本当に可愛かったのぉ
358:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 13:55:30 bsAJ4UAQ
>>356
ゲッター分をウランスパークで弱めねば
359:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 18:17:55 SDHipGN+
ええい、ガイアーの人はまだか!?来週の月曜日には燃え尽きる日の最新刊も出るのだぞ!
360:ハヤトの金矛の勇者 続き
09/04/19 18:30:32 blbILbe4
………………………
ここは浅間山のふもとにある町の施設。子供たちが元気に施設の校庭を走り回っていた。
そこで砂場で一人遊んでいる子供がいた。
「ハヤトォ!遊ぼう!」
「えっ…、ボクはいいよ…」
ハヤトは浮かない顔をしていた。ハヤトは元々捨て子であり、内気な性格で友達は少ない方であった。
「ちぇっ、ハヤトはいつもそれだ」
子供達は去っていった。
ハヤトは一人で遊ぶのがいつもだった。 「ハヤト、何してるの?」
一人の男の子が話しかけてきた。のちのチーム・ゲッターのリーダーでハヤトと犬猿の仲になる了だった。
「砂遊びだよ…。了どうしたの?」
了は笑いながらいった。
「ハヤトと遊びたいから来たよ」
「いいよ…了はみんなと遊んできなよ」
「オレはハヤトと遊びたいの!」
ハヤトの顔は赤くなり、施設の中に走って行った。
了はそんなハヤトを見て、呆れた。
「あいつ……ホントに根暗だよな…」
バタン!
ハヤトは自分の部屋に入るなり、ベッドに倒れた。
「ハァ…ハァ…ハァ…なんでボクはこんなに臆病なんだろ?うう…」
ハヤトの目から涙が溢れてきた。
ハヤトはベッドから起き上がると机に向かった。
「ん…なにこれ…?」
床に一本の定規が落ちていた。
「定規…なんでこんな所に?」
ハヤトは定規を机に置くと部屋を出て行った。
誰もいない部屋。すると定規が光だした。
(見つかったわ!この子こそ「選ばれし者」よ!)
その頃、暗黒の世界「ドン・クラーイ」では…
「ダーク様~」
不気味な生き物達が一斉に叫びだす。
361:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 18:31:33 blbILbe4
するとピエロみたいな姿をした謎の人物が姿を表した。
「マックよ、「金の矛」の位置は分かったか?」
すると紳士の格好をした影が喋りだした。
「「銅鐸」を使っておりますので「金の矛」を持つ「選ばれし者」は直に分かるかと存じます」
すると、セクシーな女の形をした影が喋り出した。
「間もなくでございます、ダーク様。今は我々も影としてしか向こうへ行けませんが…」
「扉さえ開けば全てはダーク様の思うがままでございます。もうしばらくお待ち下さい」
ダークという影は後ろへ向いた。
「ふむ…待とう…」
(地球はこのドン・クラーイの支配者、アセ・ダク・ダーク様の物だ!!」
その頃、施設ではハヤトは相変わらず一人で砂場で遊んでいた。
すると
「クゥゥ~ン…」
一匹の黒い子犬がハヤトのそばについてきた。
「うわぁ~かわいい!どうしたの?」
ハヤトはいつもより笑顔になった。
「クゥゥン…」
ハヤトは頭をなでた。
「ごめんね…。ここじゃあ犬は飼えないんだ。ホントにごめんね」
ハヤトはそう言うと、部屋へ戻ろうとした。
しかし、子犬はハヤトに付いてきた。
「駄目だよ!ついてきちゃダメ!!」
ハヤトはいうもまだま子犬は付いてきた。
「もういい加減にして!」
ハヤトは怒って施設に入っていった。
「クゥゥン…」
子犬はハヤトを見つめていた。
ハヤトは自分の部屋に入るなりベッドに倒れた。
「もう…けどあの子犬、何か不思議な感じが…」
ハヤトはそうゆうと眠たくなったのか、そのまま寝てしまった。
今日はここまでです。
362:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 19:05:45 9BGk9af6
sageじゃあなくてsageですよ。
363:激突!! ゲッター対ガイアー
09/04/19 20:56:29 7nChOdv/
>>359
待たせたな!
スマン、俺がゲッター線濃度15倍の部屋でアマガミをやっていたばっかりに……
などという寸劇はさておき、投下します。
364:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話①
09/04/19 20:58:09 7nChOdv/
荒涼たる山々の風景を眼下に、ガイアーに抱かれたマーズが、西域のさらに果てを目指す。
先のウラヌスとの一戦で受けたダメージは、未だに癒えてはいないのだろう。
磨かれたように冷たい大気に曝されているにも拘らず、額にはうっすらと脂汗すら浮かんでいたが、
その瞳には一切の迷いの色も無く、地平の先、遥かなエジプトの地を見つめ続けていた。
「……それにしても」
マーズがゆっくりと辺りを見渡す。
日本海上空まで彼を護衛してきたF15戦闘機に代わり、現在は中国籍の戦闘機の編隊がガイアーの周囲に展開していた。
「僕が眠っている間に、状況も随分と変わったようだな
いや、それだけ事態も深刻になったと言う事か……」
やや深刻な含みを持たせ、マーズが一人思考する。
現在優先すべきは、拓馬達との合流し、エジプトを襲った神体を撃破する事である。
だが、他の神体がこの差し迫った状況を、黙って静観し続けるとは思えない。
既に事態はマーズ達でのみで収められる範疇を超えている。
神体の、そしてゲッターの存在を知った世界とどのように協力していくか、マーズは今後の行動についても考えておく必要があった。
「うん?」
両翼に展開していた殲撃七型が、慌ただしく動き出したのを見て、マーズが思考を中断させる。
顔を上げた先には、逆光を背にゆっくりと近づいてくる、奇妙な浮遊物が見えた。
「あれは…… 神体なのか?」
前方の障害を排除すべく、編隊を組み直した一団が先行する。
その不用意な行動に、マーズが思わず声を荒げる。
「いけないッ! うかつに近付いては……!」
マーズの叫びは、爆発の衝撃によって遮られた。
閃光と爆音、黒煙が視界を塞ぎ、色めきだった編隊が散開する。
やがて爆風が過ぎ、大きく開いた視界の先に、巨大な神体が姿を露わにした。
それはまるで、今しがた遺跡から発掘してきたばかりと言った風の、古ぼけた巨大な土偶であった。
サーチライトのようにチカチカと瞬く、シンプルで大きな二つの目。
空を飛んでいること自体が悪い夢としか思えないような、ずんぐりむっくりとした体系。
巨大な粘土質の赤土を練って、そのまま窯の中に放り込んだかのような、素朴な赤茶けたボディ。
だが、マーズは知っている、この人を喰ったデザインのロボットが、
各国の軍隊が採用する現役の戦闘機を遥かに凌ぐ、凄まじい戦闘能力を秘めている事を、
仲間の敵を討たんと、合流した一団が空飛ぶ土偶目掛け、一斉掃射を浴びせる。
もし眼前のデカブツが、外見通り素焼きの装甲であったなら、瞬く間に粉微塵と化していたであろう猛攻…… だが
「ダメだ! この場から離れるんだ」
まるで子供の悪戯でも咎めるかのように、無傷の神体がゆっくりと首を回す。
直後、両眼から眩い怪光線が照射され、前線の一機が避ける間もなく消滅する。
土偶はガイアーの存在を気にも留めず、算を乱した一団を、首を振って尚も追撃する。
「クッ、そうか、アイツの狙いは……」
マーズがぐっ、と身を震わす。
現状、ガイアーのバリアに守られたマーズに、神体の光線は届かない。
だが、逆に言うならば、マーズを懐に抱えているうちは、ガイアーは反攻に転ずることが出来ない。
敵はそれを知っているからこそ、ガイアーの前で隙を見せて誘っているのである。
365:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話②
09/04/19 20:59:27 7nChOdv/
「仕方ない、ガイアー、僕を地上に降ろすんだ」
「…………」
しばしの間、ガイアーはマーズの指令が聞こえないかのように、用心深くバリヤーを展開していた。
あるいは、この時のガイアーには、満身創痍の主を守るため、何らかのセーフティが働いていたのかもしれない。
だが、ガイアーはじめ神体の行動は、原則的に主の指令を最優先とする。
「どうした? ガイアー、早く地上に投げ降ろせ」
二度目の指示を受け、ガイアーが高度を徐々に下げ、右手の拘束を緩める。
思いもよらぬ大胆な行動に、スキンヘッドの監視者が、神体の中で驚きの声をあげる。
「なんと! ガイアーの懐を離れるとは
信じられん、マーズは状況が分かっていないのか?
自分が死ねば、そのまま地球が消滅すると言うのに……」
慌ててスイッチを操り、神体の両眼を合わせる。
地上へと降り立ったマーズは、モニター越しにも疲労の色がありありと伺えた。
「いや、そうか…… 今のマーズはガイアーの能力を知らないのか!
ガイアーのバリヤーの堅固さを知らないから、攻撃する事しか頭に無いのだな
よし! それならば、この【シン】にも、十分な勝機がある」
一抹の希望を得た監視者が、ピアニストのような流麗な指使いで、手元の操作盤をまさぐる。
同時に土偶の扁平な頭部が開き、何物かがプシュゥと勢い良く飛び出す。
「ムッ」
神体の奇妙な変形を、地上のマーズが油断なく見上げる。
だが、射出された物体はマーズでもガイアーでも無く、周囲へ広範囲に拡散する。
そのミサイルのような物体は、地表に落下すると直ちに回転を始め、
さながら小型のドリルのように土中へと沈みだした。
「なんだ、これは攻撃では無いのか?」
敵の怪しい行動に、マーズが疑惑の声を漏らす。
監視者は応じない、言葉の代わりに、神体はくるりとガイアーに背を向けた。
「……? 逃走する気か
よし! 追撃しろ、ガイアー」
主の指示を得たガイアーの全身が煌々と輝き、すかさず土偶に対し光弾が放たれる。
元々ガイアーと他の神体では、根本的な出力が違う。
バリアー越しに突き上げる衝撃に、土偶のコックピットが激しく揺れる。
六神体の防御能力ではガイアーに拮抗できない事は、先の一戦で証明済みであった。
だが、愛機を襲った危機に対し、スキンヘッドは不敵な笑みを浮かべた。
「グッ…… フ、フフ……
元々シンの能力で、真っ向からガイアーと渡り合えるとは思ってはいなかったさ」
「アイツ…… 一体、何を?」
「ガイアーがシンのバリヤーを破るのが先か、シンが地下のエネルギーを探知するのが先か……
地球を掛けた鬼ごっこと行こうか、マーズ!」
・
・
・
366:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話③
09/04/19 21:02:36 7nChOdv/
― マーズが第四神体・シンと接触する三時間ほど前、
ゲッターチームはエジプトの地にあって、灼熱地獄を前に苦戦を強いられていた。
「ク、ウゥゥ……ッ」
視界を包み込む眩いばかりの輝きに、さしもの拓馬も唸り声を上げる。
六千度、実に太陽の表面温度に匹敵するほどの熱を放つスフィンクス達の包囲により、周囲が白一色の白光に覆われる。
いかに変幻自在のゲッターの装甲であろうとも、近距離で放熱を浴び続ければ、物の数分と持たない事は明白であった。
だがこの時、真に危険に曝されているのは、むしろ機体の内部の方であった。
空調の処理能力を超えて際限なく上がり続ける室温が、拓馬達の思考と体力を容赦なく奪い去っていく。
「た、拓馬、騙されるな、コイツらは……」
「分かっているさ! 孔明と戦った時と同じだ」
焼けつくような高熱に包まれながらも、拓馬の瞳は冷静にモニターを追っていた。
四方は四体のスフィンクスに囲まれ、目も開けられぬほどに白熱していると言うのに、
画面に映る熱源は、前方の一つのみであった。
すかさずアークが身を翻し、後方の神体目掛けて高速で飛び込む。
モニターのデータが故障であるなら、ゲッターは蒸発をまぬがれないところであったが……
「見ろ、拓馬! 光源が引いていく」
「フン! やっぱり幻か、チンケな手を使いやがって」
ゲッターの飛行速度に合わせ、光源が蜃気楼をように、等距離を守って引いていく。
この幻こそが、エジプトの軍隊を壊滅させた、スフィンクスのもうひとつの武器であったのだ。
「ほぅ、気付いたか…… だが、だからと言ってどうするつもりだ!
逃げてばかりでは勝負にならんぞ」
「うるせェ! こうするまでだよッ!」
言うが早いか、アークが振り向きざまに頭部からビームを放つ。
前回の戦いで、神体が攻撃と防御を同時にはこなせない事を、拓馬は学習していた。
以前の雪山のような、ビームを遮るものも無い。
ゲッターロボの代名詞たる光線は、一直線に敵の装甲を貫くものと思われた…… が!
バシュウゥゥッ
「……!」
強烈なはずのゲッター線の一撃は、対手の装甲にぶつかると、
まるで放水を浴びせたかのように幾重にも分かれ、後方へと消えた。
閃光が収まり、静寂が戻った砂漠には、まるで何事も無かったかのように佇立する、人頭獅子の黒色のボディがあった。
367:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話④
09/04/19 21:05:41 7nChOdv/
「ゲッタービームが、効かない、だと……?」
「フフッ、いやいや、そう悲観したものでは無い
先のビームは、人類には十分過ぎるほどの出力を持っていたよ
―六千度の放熱に耐えられるスフィンクスの装甲でなければ、致命傷だった」
「!?」
「分かるか? この神体は、そもそもバリヤーなど必要とはしないのだ
この機体を破壊出来るもがあるとすれば、それはガイアーだけだ!」
「クッ!」
再び発光を始めたスフィンクスを避け、アークが旋回する。
逃走を始めた獲物を追って、漆黒の獅子が無人の砂漠を駆ける。
今のアークでは、敵を叩くどころか、近づく事すら敵わない。
距離をとったところで、ゲッタービームも相手には通じない。
といって、トマホークを投げ打ったとしても、チョコレートのように蕩けた鉄塊が、
スフィンクスのボディで潰れて張り付くのみであろう。
「どうしたゲッター、このまま日本に逃げ帰るつもりか?
それならそれで構わぬぞ
こちらはこのまま、リビア、スーダン、エチオピアと、順繰りに地上を焼き尽くすのみだ!」
監視者の言葉は、裏を返せば、スフィンクスはゲッターを追う手段を持たない事を意味していた。
だが、その内容はブラフでは無い。
ここで拓馬達が引けば、この神体は、北アフリカ一帯に灼熱地獄を拡大し続けるだろう。
だが、男の挑発に対し、拓馬は不敵な笑みを見せた。
「逃げるだと? フザけるな!
この程度の焚火で、ゲッターを焼き尽くせると思うなよッ!!」
「何だとッ!?」
突如としてUFOのような鋭角的な軌道を見せ始めたゲッターに、監視者が思わず叫ぶ。
アークは体勢を立て直してスフィンクスに向き直ると、直後、超高速での突撃を始めた。
「うおおおおおっ!!」
「……馬鹿なッ! 死ぬ気か、ゲッターッ!?」
監視者の眼前に、真紅の悪魔の姿がぐんぐん迫る。
それはあたかも、太陽に挑むイカロスの如き無謀、
瞬間、男は見た、得物を掲げるゲッターの、その槍投げのような構えを……
「……!? し、しまっ」
「いッけえェ―ッ!! トマホォーク ボンバァァ―ッ!!」
368:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:07:57 M1XRCecY
しえん
369:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:08:03 Xh7AVJ/I
うおお!支援ビィィーム!
370:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話⑤
09/04/19 21:08:10 7nChOdv/
拓馬の咆哮に合わせ、斧槍の刃がバチンと稲光を発し、たちまち眩い輝きを放ちだす。
同時にアークの両足が大地を踏みしめ、機体に急制動を掛ける。
強力な慣性が、膝、腰、肩、肘、そして指先へと連動し、つんのめるような体勢で、アークが白刃を投げ放つ。
帯電する斧槍が光弾と化し、燃え尽きる間もなく一直線に神体を襲う。
「ウオォォ!!」
刹那、閃光が炸裂音と共に大地に満ち、衝撃が投擲したアーク自身をも襲う。
バリヤーを持たぬスフィンクスには耐えられぬ一撃。
いや、元よりあの高速が相手では、バリヤーを展開する余裕すら無かったであろう。
「グッ……、ま、まだ、まだだ……」
胸甲を貫いた斧槍に串刺しとされ、ドス黒いオイルを噴出しながら、
スフィンクスは尚も抵抗せんと、その身を再び発光させようとする。
よろめく身体にとどめを刺すべく、アークが灼熱地獄の中へと飛び込む。
「往生際が悪いんだよォー!」
スフィンクスの周囲は未だ余熱が引かず、胸元から背中へ貫いた斧槍は、早くもグズグズと蕩け始めていたが、
アークは構いもせずにその柄を鷲掴みにして、帯電する避雷針のような翼を扇状に展開した。
「サンダーッ ボンバァーッ!!」
拓馬の叫びと共に、今度はアークの全身が白光し、その身を中心として驚異的な放電現象が巻き起こる。
痛烈な電撃は両腕から斧槍を通し、高熱の渦となってスフィンクスを体内から襲った。
「グッ グオオオォォォ…… これが、ゲッター、か」
「…………」
「だ、だが、これでいい、
お前らが滅んでも、我らが滅んでも、結局は同じ こ と……」
「……何だと?」
サングラスの男の奇妙な言葉に、拓馬が呟きを漏らす。
だが、その疑念に答える声は、既にない。
放電が止んだ後も、スフィンクスはしばしの間、あちこちをショートさせながら、生物のように全身を痙攣させていたが、
やがて、グズグズに熔けた関節が自重を支え切れなくなり、大地にどうっ、と崩れ落ちた。
六神体の一柱
太陽にも等しき力を持った灼熱の人頭獅子は、皮肉にもその身を内側から灼かれて果てた。
・
・
・
371:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:09:44 M1XRCecY
大雪山支援
372:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話⑥
09/04/19 21:10:27 7nChOdv/
バラバラと言うローターの音が砂漠に響く。
騒ぎを聞きつけたエジプト軍の生き残りが現場へと到着したのは、
ちょうど周囲の熱が引いたのを確認した拓馬たちが、ゲッターの外装を点検している時だった。
「流拓馬くんに、山岸獏くんですね」
ヘリから出てきた中年が、流暢な日本語で喋ったことに、二人がほっ、と胸を撫で下ろす。
「私は日本の大使館の者です。
あなた方のことは、日本政府からの連絡で聞いています。
どうか、この場は我々に同行して
六神体に関する情報を提供して下さい」
「日本政府が……」
拓馬の脳裏に、病室で出会った指令の顔がちらりと浮かぶ。
日本を飛び出してから一日半の間に、ゲッターを取り巻く状況は好転しつつあった。
もっともそれは、六神体の猛攻を前に、手段を選んでいることが出来なくなっただけの話ではあったが。
「よろこんで、と言いたい所だが、実はあんまり時間がないんだ。
これから急いで、日本にトンボ返りしなきゃならねぇ」
「マーズ君の事だね、それなら大丈夫。
つい今しがた、彼もこちらへ向かっているという連絡が入ったところだよ」
「何! マーズが目を覚ましたって言うのか!?」
男の報告を聞いた拓馬は即座に顔色を変え、ゲッターのコックピットへと駆け上る。
「点検は終わりだ、行くぜ、獏」
「あ、ああ、分かった!」
突然の空気の変化に、驚いた大使館の男が、拓馬を引き止めようと慌てて声をあげる。
373:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話⑦
09/04/19 21:11:42 7nChOdv/
「ちょ、ちょっと待ってくれ!
大した準備もなしに、一体どこに行こうって言うんだ?」
「六神体の狙いはマーズだ!
敵が既に動き出している以上、一刻も早くガイアーと合流したい」
「そ、そんな、無茶だ!
下手をすると行き違いになるかもしれないし、
それに、このロボットだってメンテナンスをしないと……」
男の言葉に、乗り込みかけていた獏が動きを止め、困った風に振り返った。
「それがよ…… そういうワケにもいかないんだ」
「えっ?」
「つまりさ…… この世界はまだ、ゲッター線の研究が進んでないから、
傷ついたコイツを直す技術が無いんだ。
どれほど時間をかけたとしても、根本的なダメージの修復は、多分できないよ」
「そ、そんな!」
『急げ、獏!』
「オゥッ!」
つい今しがたの話が無かったかのように、獏が威勢の良い掛け声をあげる。
呆然とするエジプト軍の兵士達を尻目に、真紅の悪魔は風のように東の空へと消えた。
・
・
・
374:激突!! ゲッター対ガイアー 第十話⑧
09/04/19 21:13:07 7nChOdv/
幸運の女神は、人類に味方したかに思われた。
チベット近郊で中国空軍の救難信号を探知したアークは、ガイアーの居場所を補足する事に成功したのだ。
連戦のダメージをものともせず、高速航行を続けるアークの前に
やがて、空中に悠然と貯立する偶像が姿を現す。
「見ろ、拓馬! ガイアーが居たぞ!」
「ああ、だが、マーズはどこに……」
スピードを落とし、アークが周囲を巡回する。
ガイアーが無事である以上、マーズの身もひとまずは安心な筈である。
ただ、近辺で中国軍が遭遇したという、土偶型の神体が姿を見せぬ事に、一抹の不安はあったが、
「拓馬、居たぞ、マーズだ!」
獏の通信を受け、われに返った拓馬がモニターに視点を戻す。
そこには確かに、周囲の様子を伺う赤毛の少年の姿があった。
「マーズ! 無事だったかッ!」
巨大な影に気づいたマーズが、ふと上空を見上げる。
その視線が、高速で接近するアークの姿を捉えた瞬間、彼は、思いもよらぬ言葉を発した。
「来るなッ! ゲッター!! これは―」
ドワオォ!!
マーズの叫びは、突如、地の底から轟いた爆音によって遮られた。
「な……!?」
拓馬にも驚いている余裕は無かった。
謎の爆発を契機に、大地が鳴動し、広大な山脈に次々と亀裂が走る。
轟音が一帯に響き渡り、大地を襲う衝撃が、上空にいるゲッターまでにも突き上げてくる。
震動で大地が砕け、なすすべも無いマーズが、岩盤と砂煙の中に姿を消す。
それはあたかも、黙示録の1ページを体現したかのような絶望的な光景であった。
「マ、マーズッ!!」
「クソッ、返事をしろ! マーズ!?」
―チベット地震。
後にアメリカの研究チームによって名づけられたその地震は、
震度7、マグニチュード9.7という、驚異的な測定結果が報告され、
同チームによって、有史以来の最大級の地震であると結論付けられた……。
375:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:16:36 Xh7AVJ/I
いったいゲッターは何所へ行こうとしているんだっ…!
376:激突!! ゲッター対ガイアー
09/04/19 21:17:56 7nChOdv/
以上、投下終了です。
あえて言い訳をするならば、横山先生が六千度とか凄い事を描くので
オリジナル必殺技で対抗せざるを得なかった。
ハルベルトでもジャベリンでもなく、あくまでトマホォーク!! で。
377:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:29:01 bsAJ4UAQ
どうでもいい話だけど、六千度って美勒に浴びせた火柱の温度と一緒だな
378:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:43:50 TfZj1Jc8
ドワ乙
ちなみに太陽の表面温度と同じでもある。>六千度
何万度、とかいう単位に比べショボイように思えるが、大抵の物質は蒸発する温度。
379:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 21:51:25 TfZj1Jc8
ってよく読んだら本文に書いてあったorz
______
|← ドグラ|
| 古墳 |
. ̄.|| ̄ ̄ ┗(^o^ )┓ 三
|| ..┏┗ 三
380:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 23:02:27 Shg1UI/r
>>379
早まるなw
ガイアーの人乙!まさか半ば冗談で催促したら本当に来るとは思わなかったぜ!
てか、そういやこの世界じゃアークの補給は出来ないんだよな。しかも未だパイロットは二人だし
ガイアー相手するときはどうすんだろ
381:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/19 23:57:24 m9Kqqssk
>>376
ゲッター乙!
シンの地震でゲッターがらみの何かが出てくるような……
>>379
ドグラは止めとけw せめて浅間山早乙女研究所跡にしとけ。
382:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 12:40:05 A6+PkC7b
唐突だけど、石川作品の敵のボスって両手を上げて高笑うのが似合う奴が多いよね
383:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 13:18:23 /M5wpW7q
ラ=グースと時天空が両手を上げて高笑うだと・・・・・・
ビックバン以上のエネルギーが発生するのは確実だろ
宇宙が無くなっても十分お釣りがくるな
384:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 14:56:56 LKXT7uB8
>スマン、俺がゲッター線濃度15倍の部屋でアマガミをやっていたばっかりに……
ゲッター線に萌えて炉心がメルトダウンしそうな環境だwww
385:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 16:25:53 rcVZ4iBZ
ゲッター線は他のエネルギーに比べると圧倒的に人類にデレデレ
386:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 17:15:09 jdwpOUtU
> スマン、俺がゲッター線濃度15倍の部屋でアマガミをやっていたばっかりに……
ゲームの登場人物が幽霊となってうろついてるんですね羨ましいです
387:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 18:13:34 racdSGPv
ていうかアマガミってなんだよw
ゲッターアークに甘くかまれるのか?
388:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 18:30:43 fbloqSWO
アマガミ<確かギャルゲーだね!
つまりヒロイン全員イシカワキャラのギャルゲークロスをだね(ry
389:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 18:34:35 D8fOxuIx
ドMの変態紳士向けのゲームだよ!
これがPS2で出てるっていうんだから世も末だよね、スティンガー君
390:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 18:47:20 racdSGPv
>>389
さんくす。そ、そうなんだコーウェン君
>>388
魔空八犬伝の壮姫なんかは普通にかわいいと思うぞ
あと一コマぐらいしか出てないけど真ゲんときのミチルさんとか
391:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 18:50:56 A6+PkC7b
>>389
そ、そうだね、世も末だねコーウェン君
392:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 22:16:00 fsQ0Qjny
コーウェンくんがゲームやってる姿を想像してしまったじゃないか
393:ハヤトの金矛の勇者 続き貼ります
09/04/20 22:22:06 cS8CM3KF
………夜中12時
「ん…」
ハヤトはふと目が覚めた。あたりは真っ暗だった。
「ふぁぁ…夜中の12時…?変な時間に目が覚めちゃったな…」
ハヤトは目をこすり、ぼぅ…としていた。すると
チリーン…チリーン…
どこからか鐘がなる音がした。
「ん…何この音…?」
ハヤトは鐘の音が気になり、恐る恐る部屋のドアに近づいた。
ドクン…ドクン…
ハヤトの心臓の鼓動はドアに近くなる度に大きくなる。
「うう…何だか怖いよ…」ハヤトはドアに手にかけた。
カチャ…キイ…
「うああ……」
ドアを開けた景色は今まで見たことのない空間だった。
ぐにゃぐにゃとした壁、魚達が宙を泳いでいたり、まるで絵本の世界のような廊下だった。
「うわぁ~スゴいな~」
ハヤトは不思議な景色に興奮してきた。ハヤトは不思議な廊下を歩き出した。
見るもの全てが新鮮で五歳のハヤトにとってはとても楽しい出来事だった。
チリーン…
するとまた鐘の音が聞こえてきた。
「ん!?」
ハヤトは後ろを向いた。すると
にゅう~…
チリーン…
「うあああ!!!?」
ハヤトは驚いて尻餅を付いた。
なんと壁から人かすり抜けてきた。長いシルクハット、奇妙な服、肩にイタチを乗せ、小さい銅鐸を持った紳士風の男だった。
男はハヤトの方に近づいていく。
「ああああ……」
ハヤトは恐怖のあまり、体が震えていた。
男はハヤトの前に立つとハヤトを見つめた。
「驚かせてしまったかな?坊や。私の名はマック・ラ・クラノスケだ」
マックという男はハヤトに話しかけた。
「えっ…?」
ハヤトはまだ震えていた。
「ハヤト君、怖がらなくて大丈夫だよ。おじさんは別に怪しくないから」
マックはさらにハヤトに話しかける。
394:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 22:25:57 cS8CM3KF
「ところでハヤト君、君は「選ばれし者」だね?」
「選ばれ…し者?なにそれ…?」
ハヤトは突然の発言に戸惑う。
「おじさんと契約していくつかの物を渡してくれないかい?
もちろんタダとは言わないよ!お礼に札束を上げよう」
するとマックは契約書とペンを出して、ハヤトに差し出した。
「さあ、この契約書にサインして」
しかし、ハヤトは困った顔をした。
「えっ…まだボクお名前書けないよ」
バタン…
マックは倒れた。
「そっ…そうかい?それなら「うん」て言うだけでいいんだよ!」
しかしハヤトは、困った顔をした。
「お札って何?」
ガクっ
マックは崩れた。
無理もない。ハヤトは物心をつく前に捨てられてからずっと施設にいたため、お金のことはあまり知らなかった。
「このガキぃ…」
マックは今まで紳士の顔が一気に怒りの顔になった。
「ひいぃ!!」
ハヤトは怖くなり、体中が震えていた。
「このクソガキぃ!お前も暗くしてやろうかぁ!」
マックは憤怒の顔でハヤトを脅した。
「う…うわああああ!!!」
怖くなったハヤトは泣きながら自分の部屋へ全力疾走した。
マックも全速力で追いかけてきた。
「まちやがれ!」
マックはハヤトを捕まえようとした。しかし
すかっ…
マックの手はハヤトの体をすり抜けた。
「ちっ!!」
マックは追うのをやめた。
バタン!
ハヤトは部屋に入るとドアにもたれた。
泣いたせいか目が赤くなっていた。
「怖かったよぉ…ひっく…」
ドッドッドッ
心臓の鼓動はかなり早かった。
今日はここまでです。ちょうと映画のストーリーにそりつつ、マガイモノの力を見せたいと思います。
395:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:17:23 Xq02Rvuw
乙!
396:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:35:52 zp0tv6hx
以前、魔獣×HELLSING構想中とかカキコしてたやつだけど、1話が書き終わったんで投下します。
397:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:37:23 fsQ0Qjny
ゲッターエンペラーが主食のやつか
398:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:37:54 zp0tv6hx
第1話 「魔獣咆哮」
深い闇が横たわる夜―――霧の都、ロンドン。その中心街で一人の少年が彷徨っていた。
年の頃は10代後半。ボロボロのコートに真っ赤なマフラーを纏い、両拳にはバンテージ代わりなのか包帯を巻き付けている。
イーストエンド辺りにいそうな浮浪者の態だが、たとえ深夜といえど此処はその手の連中が大手を振って歩ける路ではない。
にもかかわらず、彼を咎める者は誰もいなかった。 否、咎められる者はいなかった。
彼の瞳は暗いが眼差しは鋭く、そこには激しく燃え盛るのを抑えて静かに白熱している強い感情と意志が込められていた。
だがそれだけが理由ではない。人々は少年から“獣臭”が、獰猛な獣の気配が吹き出ているのを無意識に感じ取っているのだ。
それ故に少年に近付く者も、進んで関わろうとする者もいないし、少年もまた周囲に関わろうとはしなかった。
少年の名は来留間慎一。
幼き頃、己の父に禁忌の実験のモルモットとされ、その身を化物へと堕とされた少年。
怪物に作り変えられた愛しき母に助けられ、その命と引き換えに生き永らえた哀れな鬼子。
その内に怒りと憎悪をたぎらせ、敵(かたき)を引き裂くべく爪を研ぎ続ける復讐の獣。
彼が追い求める敵は自身と母を化物に改造した父、来留間源三と十二人の科学者――異形の天才たち、神の使徒。
.
399:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:39:24 zp0tv6hx
あれから、「あの夜」から4年も経った。
あの嵐の晩。 暴風が吹き荒び、豪雨が降りしきり、稲妻が落ち続けたあの夜から。
自分が化け物に成り果て、母がおぞましい怪物へと変えられたあの忌まわしい夜から。
父が本当の貌をさらけ出し、自分を殺さんとし、母を惨殺したあの血みどろの夜から。
母の命が自分へと流れ込み、新たな生と肉体を授かったあの奇跡の夜から――!!
母の仇、そして“まだ人間だった自分”の仇である父たち十三人の科学者、神の僕(しもべ)たる『十三使徒』を慎一は探し続けた。
ずっと探し続けた。あの夜からずっとずっと。 復讐するために。やつらにこの爪と牙を突き立て、引き裂いてやるために。
やつらの影を忍耐強く探し、執念深く追い続け4年。 しかし十三人の科学者の行方はようとして知れない、まったくわからない。
生まれた国を探しつくし、少しでも僅かでも“らしい”噂を聞いて海を越え、広大な大陸に渡り探し続けた。それでも見つからない。
その間に様々なことがあった。騙されたことも多くあったし、殺されかけたことも多々あった……そして、殺したことも沢山あった。
慎一はすでに殺人を経験していたのだ。だがそこには一片の後悔も無い。
その行為の理由はすべて自己防衛のためであるが、そんな事情が無くとも慎一は一切悔い改めることはなかっただろう。
彼の心は獣と同じになっていた。 野生の獣は自衛のために殺そうが、食うために虐殺しようが後悔などしない。
後悔するのは人間だけ。そして「復讐」をするのも人間だけ…………
あの夜から慎一の精神はずっと夜のままだ。夜明けが来ることは無い。朝を迎えることは無い。
夜の闇が晴れ、太陽を見ることが出来るようになるのは復讐を完遂できたその時からだろう。
その時まで慎一の心は暗闇よりも黒く、機械よりも冷酷なままだ。
.
400:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:43:13 zp0tv6hx
こうして流れ流れていく内に慎一は英国へとたどり着いた。故郷と似た島国『グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国』に。
けっして何の当てもなく漂着したわけではない。今、この国には奇妙な噂が流れているのだ。それも尋常ではない、怪異な噂が。
いわく 「北部のはずれの村で吸血鬼が現れ少女の血を吸った」
いわく 「田舎の農村の住人がみなゾンビとなって屍肉を喰った」
いわく 「それらは悪魔崇拝主義者の仕業で、そいつらは地獄の扉を開こうとしている」
『吸血鬼』に『ゾンビ』、『悪魔崇拝』、『地獄の扉』。どれもこれもよくある与太話だ。この世紀末にあふれかえる終末思想の産物。
前ふたつは根も葉もない創作。残りふたつもカルト集団の犯罪行為などよくある事件。 どこにでも転がっている都市伝説レベル。
オカルトかぶれの馬鹿なやつらが、何でも知っているかのような口ぶりで吹聴しているアホらしい噂。 最初はそう思っていた。
だがより詳しく聞いていると、これらの噂には元となった事件があった。大量の血が流れた事件が起きているのだ、実際に。
それらはギャングや強盗団の仕業だとか、IRAのテロ活動の一端であるとか報道されていたが、これがどうにもくさい。
そんな現実的な事実が知れ渡っているというのに、どうして吸血鬼だのゾンビだのといった怪奇的噂が発生するのだ?
世間に流れるそんな噂に対し、マスコミがとうに終わった事件の『現実的』内容をしきりに報道し続けているのもまたうさんくさい。
国民の意識を対テロ戦争へと向けようとしているのかもしれないが、むしろこれはまるで事実を隠さんとしているかのような―――
そして吸血鬼とゾンビ。
そんなものは創作、空想のもの。ありもしない存在。 だが『ありもしない存在』を創りだせるやつらがいる。あの悪鬼どもが!!
やつら……十三人の科学者ならば神話の怪物とて生みだせるだろう。 自分を“こんなに”したように、化物をこの世に送りだせる!
怪異の噂は十三人の科学者の手がかりだ。 慎一が知る限り、現実に非現実的事象を引き起こせるのは彼らしかいない。
だから慎一はここにいる。
英国にきて半月。怪異の噂を聞き集め、その源泉たる事件にたどり着き、現場へと趣いてみたが手がかりは少しも掴めなかった。
しかし慎一は諦めない。心が折れ、くじけそうになっても。 目を閉じるたびに母の顔が、狂笑する父の顔が浮かび絶望を打ち払う。
そして心に不安を焼きつくす怒りと憎悪が燃え盛る。それが慎一の原動力だ。
.
401:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:44:19 jdwpOUtU
おっ!初のゲッター以外のssだ!!期待支援
402:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:45:46 zp0tv6hx
慎一はふと夜空を見上げる。闇にぽっかりと開いた穴のごとく、神々しい満月がそこで輝いていた。
こんな晩は血が騒ぐ。 自分の内の獣がざわめく。
『自分の内の獣』―――それは比喩でも何でもない。 それは事実。 まぎれもない、どうしようもない事実なのだ。
その獣たちがさらにざわめいた。不意に血の臭いをかぎ取ったからだ。霧に乗って辺りに漂う濃密な血の臭いを、ヒトの血の臭いを!
血! 血!! 血!!! およそ人間の支配する平安な都会においてはめったに存在しない、流血の臭いが大気に充満している。
それに付け加えてこの屍臭だ。腐り濁ったような屍の臭気も猛烈に嗅ぎとれる。 血の臭い、屍の臭い……大量の『死の臭い』がする!!
普通じゃあない。 尋常じゃあない。 まともじゃないことが起きている。
だがこれこそ慎一が待っていたものだ。 これを待っていたのだ。待ちわびていたのだ!
臭いの源はすぐに解った。地下鉄への入り口。 まるで奈落に通じる穴か、悪魔の顎かのようなそこから死臭が吐き出されている。
すでに消灯されているのか、底の見えぬ暗闇に包まれたそこへ慎一は躊躇することなく飛び込んだ。
階段を降りるほど臭いが強くなる。沢山の人の死が、悲劇が待ち受けているに違いないのに、慎一の顔には笑みが浮かんでいた。
「臭うぞ、臭う……! “やつらの臭い”がする!! 近い、近いぞ! あいつらに近くなった!!」
.
403:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:47:33 zp0tv6hx
地獄絵図――地下鉄駅のホームで繰り広げられるこの光景を表現するのにぴったりの言葉だ。
床は血であふれかえり、そこには百に近い死体があるいは散らばり、あるいは積み重なっていた。まるで血の池地獄。
そしてさらなる地獄の光景の一片。 それら無数の『倒れている死体』の間を血まみれの『立っている死体』が歩いていた。
半死半生の重傷者などではない、彼らは間違いなく死んでいる。 死んでいるのにも関わらず立って歩いている。活動している!
“歩く死体”、“生ける屍(リビングデッド)”、“ゾンビ”。そいつらがまだ生きている人間を襲い、死にかけの人間を貪り食っている。
そしてそいつらの中央に、この地獄の中に君臨した魔王のごとく起立している男がいた。
鴉か蝙蝠みたいに真っ黒い修道服を着て、青ざめた土気色の顔の中で両眼が燠のように赤く光っている。
アングリカン・キャソックと呼ばれるその修道服に、首から十字架を下げているから聖職者なのだろう。ここは英国だから牧師か。
とてもそうは見えないが、名も解らぬのでとりあえず便宜上『牧師』と呼ぶことにする。 その牧師はボソリとつぶやいた。
「ふん、こいつらで少しは時間が稼げるか………」
牧師は自分が作り出したこの光景に対し、無感動な声でそう言うと改めて辺りを見回す。そしてそこで初めて『異物』に気づいた。
裾が擦り切れたコート、同じく端がほつれたみすぼらしい赤いマフラー。傍目には襤褸を纏った浮浪児のように見える。
だが、そんなことはどうでもいいことだ。 重要なのは、なぜ死んでもいないし死にかけでもない人間がここにいるかだ。
ここいる人間はみな死にかけで倒れているか死んで倒れているか、死んで歩いているかのはず。生者はいない、自分を含めて。
進んでこの地獄に入ってくる『マトモな奴』はいない。
この地獄を目の当たりにした奴は腰が抜けて動けぬまま死者の仲間入りをするか、悲鳴をあげて逃げ出すかのどちらかだ。
だから牧師は少しだけこの浮浪児に驚いた。ほんの少し、わずかだけ。すぐにこの不運なまよい子をどうするか考え始める。
哀れな犠牲者にどれだけの恐怖を味あわせながら殺してやろうか。いずれにせよどうとでもできる、とるにたらぬ人間など。
「…………これをやったのは、おまえか?」
そのとるにたらぬ人間が小さく低い声で訊ねた。気に食わないことに声がまったく震えていない。腹立たしいことだ。
人間風情が自分という存在を前にして恐れを抱かぬなど、あってはならない。 怯えて戦慄きながら命乞いするのが正しい。
.
404:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:51:10 zp0tv6hx
「その通りだ、とるにたらないゴミのような人間よ。 私がやった。この私が。
高貴なる夜の一族! ミディアン! 吸血鬼― ヴァンパイアである私がやったのだ!
私がこのゴミどもの血を吸い、喰屍鬼(グール)にしてやったのだよ。
実にくだらん者どもだが、私の糧となったことは光栄に思うべきだ。
おまえもすぐこいつらの仲間入りになる。なに、私に血を吸われる必要はない。
こいつらに襲われて、こいつらに食われればおまえも同じになる。同じ喰屍鬼になるのだ」
そう言って笑いながら吸血鬼の証である長く伸びた犬歯を、獲物の喉笛を切り裂いて血を吸うための牙を見せつける。
浮浪児は俯いていて表情が見えないが、肩が震えていた。吸血鬼を、自分を恐れている。 良い徴候だ。怯えろ。恐怖しろ。
小便を漏らしながら神に祈り、それが無意味だと知ってガクガク震えながら不様に這いつくばって命乞いするがいい。
牧師は圧倒的弱者を支配下に置き、生殺与奪を自由にできる喜びに勝ち誇った。
…………だが、それが間違いであることを、取り返しのつかない誤りであることを牧師はすぐに知ることとなる。
「ク、ク、ク、ク、ク、ク ………」
浮浪児が肩を震わせながら嗚咽 ――― いや、違う。 これは、これは。
「ク、ク、ク、ククククククフフ、クフフフふふふふひゃヒャヒャヒャハハははは、はあ――ははっはあ!」
地下にあふれるこの血生臭い空気も凍りつくような、ぞっとする狂笑。
そして浮浪児―― 慎一は顔を上げる。 そこには満面の笑みが張り付いていた。
口が耳まで裂けているかのような笑みが。まるで猛獣が牙を剥いているかのような笑みが。
牧師はその笑みを見た瞬間、奇妙な感覚に襲われた。 思い出せない奇妙な感情。
まるで轟音をあげて突っ込んでくる大型ダンプカーを前にしたような、自然と身がすくんでしまう感覚。
人間の時は常々感じ、吸血鬼になってからは滅多に感じることの無かったこの感覚は。この、感情は。
.
405:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:54:25 zp0tv6hx
「ク、ククク、ググ、グワハハハハハハハハハァハァハァハァハァッ!!!」
慎一はなおも笑い続ける。獣の咆哮のような声で。
慎一は叫ぶ。 心の底から愉悦に満ち満ちた声で。
「吸血鬼!? グール!? ああ、そうだ! こんなことが出来るのは、こんなのを造れるのはあいつらしかいねえ!
見つけた、見つけたぞ……ついに見つけたぞ!! 俺の旅は間違っちゃいなかった! 無駄じゃなかった!!
あとはおまえらのいるところに行って、ぶち殺すだけだ! 待っていろぉおおおお、親父いいいいい!!」
そして歓びの次に顔に表れたのは憎しみ。毒炎のごとく身を焦がす憎しみ。 どんな慈悲も憐みも燃やしつくす憎悪。
慎一の身体から放射される“それ”によって、牧師はやっと理解できた。
あふれ出るこの感覚が。全身を侵す悪寒のようなこの感情が、何であるかが。
これは恐怖だ。 それも人間であった時にたった一度だけ感じた、凄まじい恐怖。
自分が圧倒的弱者として支配下に置かれ、己の生殺与奪を自由にされているという恐怖。
意識で理解するよりも肉体で、本能で感じ取った恐怖。 生命そのものが悲鳴をあげている恐怖
人間よりも遥かな高みにいるはずの牧師は、獅子の前のウサギと同じ感覚を味わっていた。
意識でそれを必死に否定しようとしても、皮肉なことに吸血鬼の本能がそれを告げている。
『このままでは恐ろしいことになる』、と。
その『恐ろしいこと』が何であるかは解ったが、牧師は決してそんなことは認めたくなかった。
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406:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/20 23:57:51 zp0tv6hx
そしてその“恐れ”の感覚を得たのは牧師だけではなかった。
彼が造り出した喰屍鬼。 理性など無く、まともな思考など出来ぬはずの喰屍鬼もまた恐怖を感じていた。
そして理性無き下等な化物ゆえに牧師の命令を待たず、ただ恐怖に駆られて無策に慎一へと襲いかかる。
恐怖の源泉を排除すべく突進する喰屍鬼たち。 通常ならば、またたく間にそれは成功していただろう。
慎一が普通の、まともな人間であったならば、喰屍鬼によって引き裂かれ叩き潰され、食いつくされていただろう。
だが…………
ボ ン ッ !!
爆裂音―― そうとしか形容できない音とともに、喰屍鬼たちの身体が吹き飛んだ。
上半身は原形を留めないほどに破壊され、下半身の腰から下や二本の脚は倒れこんでいる。
運よく形が残った頭と腕は、蹴り飛ばされたラグビーボールのようにそこらへ飛んで行った。
銃器? 違う、撃鉄の音も硝煙の臭いもしていない。
何が喰屍鬼を吹き飛ばしたのかはすぐ解った。 鉤爪だ。 『 鉤 爪 の あ る 毛 む く じ ゃ ら の 真 っ 黒 い 腕 』 だ。
その『腕』が振り下ろされ、喰屍鬼の身体を抉りとり、吹き飛ばしたのだ。 だがどこから? どこにそんな腕をもつ存在が?
それもすぐ解った。いや、すでに牧師の眼には映っていたのだ。それが理解できなかっただけで。
巨大な『腕』は慎一の身体から、腹から服を突き破って生えていた。 信じがたい光景―― だが牧師はさらに驚愕する。
慎一の胸部が蠢き、何かが浮かび上がる。何か別の生き物の気配が、息遣いがしてくる。
服を破って現れたそれは、『熊の頭』だった。 鯱のように鋭い牙を持つ熊の大きな頭が、慎一の顔のすぐ下にあった。
這い出るようにして慎一の身体から現れた熊は、己の『腕』にへばり付いていた肉片を口に持っていき、咀嚼し始めた。
喰屍鬼の屍を喰らう―― それだけでもおぞましく身の毛もよだつのに、牧師はさらに気づいてしまった。
この怪物のような熊だけではない、慎一の身体からはまだ何頭もの獣の鼓動が、獰猛で凶暴な気配がしているということに。
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407:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 00:00:12 zp0tv6hx
慎一は手近にいた喰屍鬼の頭部を、左手で鷲掴みにする。
人間ではなく、化物の悲鳴をあげながら喰屍鬼はそれを外そうともがいたが、まったく意味の無いことだった。
「うー、でろゴールド……」
慎一の手がズ、ズ、ズと何かが這いずるような音を立てながら変形していく。
「ううっ、ゴールド……でろ!」
指が牙に、手の甲が鼻先と口蓋に変じ、腕全体が膨れ上がってコートの袖を内側から引き裂く。
その腕も金色の毛で覆われていき、そして百獣の王たる証のタテガミとその力強い双眸が現れ――
「出ろおおおっ! ゴールド――!!」
雄々しく勇猛で、そして何より美しい獅子の顎が、喰屍鬼の頭を噛み砕いた。
目玉の無い眼窩と鼻孔より腐った血が水鉄砲のように噴き出すが、慎一の左手より現れたライオンはそれを意に介せず、
卵よりもたやすく割った頭蓋を口内でさらに細かく砕き、あふれでた腐血とこぼれ落ちた脳漿といっしょに骨片を嚥下した。
「まさか――おまえは、まさか――」
牧師は『あの方たち』から聞いたことを思い出していた。
本当の、真(まこと)の吸血鬼は……その身を霧や無数の蝙蝠へと変じさせる変幻自在の魔物であり、
その肉体から“使い魔”と呼ばれる凶悪な獣たちを出すことができる、本物の悪魔(ドラクル)であると。
「お、おまえ……おまえは、本物の――!?」
否。 慎一は、慎一という存在とは。
「 そ う い う こ っ た ! 魔 獣 よ う !! 」
地下に響き渡る慎一の叫び。その声(ボイス)はまさしく、魔獣の咆哮だった
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408:【復讐鬼と吸血鬼】第1話
09/04/21 00:02:49 BmHoj8Ka
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
タイトルはとりあえず【復讐鬼と吸血鬼】でいこうと思います。
感想、批評などありましたらよろしくお願いします。
409:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 00:07:25 5R9gsODU
なかなか本格的でびっくりした
ほんのちょっぴり中二臭いけど石川作品とヘルシングを合わせたらこうなるよな
おつ
410:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 00:07:50 30BTrMF8
うぉおおおお!面白ぇぇぇぇぇ!魔獣もヘルシングもどっちも大好きだからこりゃあ続きが楽しみだ
セラスはどうなるんだ?
乙でした。
411:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 00:56:58 +GjcIcTc
祝・偽書ゲッターロボ復活
ヤングアニマル嵐で偽書ゲッターロボ ダークネスとして復活する事が決定
412:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 02:34:59 Y/7nsI+r
>>411
情報遅すぎるぞ
413:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 07:05:12 +vLNWHz7
こいつは面白ぇ!この先どうなるか楽しみだぜ!
414:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 08:49:55 LAmHZhyp
ヘルシング…読んでみようかな
415:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 10:00:15 mi3DkeDp
うぉぉぉ、これは面白い! どっちの作品も好きなだけに、期待です。
GJです、作者さん。
……真説魔獣×仮面ライダーアギトとか書いてみようかなあ。
敵が“人類の進化を望まず、進化した人類を殺して回る神の尖兵”だし。
416:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 10:04:48 JceXpuEf
>>408
GJ
西洋風では魔獣はキメラだな。
>>415
でも、アギトはもう一人の神がさせた不当な進化だからという解釈もある。
417:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 10:11:02 LAmHZhyp
特撮は結構相性いいかもわからんね
人工太陽プラズマスパークはゲッター線を出すとか
418:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 10:14:46 mi3DkeDp
>>416
でも、マリアとか慎一とか、どう見てもアギトレベルかそれ以上にヤバイ進化してないかw
慎一はどう見ても魔獣だし、マリアはバベルタワー吹っ飛ばすし。
419:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 14:35:43 vToLQMDk
5000光年の虎×ウルトラマンとかな。
キングクラスなら十分ラグースとも戦えるし
420:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 20:46:09 PZ8rd49L
DBとのクロス止まってるのいくつかあるけど、俺が新しいの書いちゃってもいいかな?
421:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 20:58:39 f/3VKduf
>>420
どんどんいけー
422:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 22:27:20 LAmHZhyp
石川作品って強力だよね
何とクロスさせようとしてもクロス先が虚無戦記の一部になってしまう
逆に石川世界を組み込むってないなーと思って
そこで考えたんだが、
虚無戦記を川上世界のOBSTACLE内に全部まとめられないだろうか
世界崩壊因子が竜とか
壊れる世界に腹を立て、都市世界に再生する際に生まれたのがラグースとか
…恐れ多いですね
すいません
423:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/21 23:08:29 Hkq2sDwN
元祖インフレチート小説菊池作品主人公の一人、混沌コックさんがラ・グースを調理します
味と狂気度の判定を下すのは真一、竜馬、時天空の三名です
424:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 00:03:05 G19JUegK
ところで、魔獣クロスはどこにまとめればいいんだ?
425:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 00:06:45 6e8du9t3
普通にゲッタークロスSSでいいんじゃね?
てか、まとめ方知らないから覚えないといかんな
426:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 09:59:15 ofFPzZTA
ゲッターロボ飛焔のラストで、ゲッタードラゴンとか目覚めたら面白そう。
と思ってしまった。これはSSしかないな。
427:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 18:02:01 ofFPzZTA
よし、書けた。ゲッターロボ飛焔ネタなんだけど、投下して良いかな?
後編が出来たら、理想郷にも投下したいと思っている奴なんだが。
428:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 18:50:07 mw5hXIbk
来やがれ!!
429:地球最後の日
09/04/22 18:51:39 ofFPzZTA
ならば行くぜ!
地球最後の日 前編(ゲッターロボ飛焔×ゲッターサーガ)
「――大いなる意志は言ってくれたのさ」
神官のような装いの青年―マニウス・ジャコフは、脇に並ぶ己が母を見て微笑んだ。
母は一度死に、大いなる意志の導きで蘇った。これが奇跡か。
ならば、私は大いなる意志に従おう。
「“新たなる世界で共に生きよう”とね」
新生ゲッターチームのメンバーたる少年は、驚愕に目を見開いてその言葉を聞いていた。
少年の名は天草弾。目の前で父と母をジャコフ一味に殺され、帰る場所を無くした者であり、そのショックで白髪となった繊細な男だ。
震動。地震に等しい、凄まじい揺れが要塞島を揺らし―とんでもない早さで崩れていく。
足場が崩れていく中、弾は確かにマニウスの声を聞いた。
「――聞こえるか、これが大いなる意志の――」
《弾! とっととゲッターに戻れぇ!》
戦友―竜牙剣の声に現実へ意識を取り戻した弾は、急いでゲッターのコクピットへ走る。
コクピットハッチを閉めると同時に、ゲッターロボが黒い翼を広げ、推進炎を吐いて崩れゆく要塞島から脱出した。
遠離っていく風景の中、巨大な触手―否、樹木の蔦が海底から伸びていた。
弾は呆然と呟く。
「なんだ……アレは」
■■■
海水がまるで津波のように持ち上がったかと思うと、海が割れた。
敵の本拠地たる要塞島が崩壊していく。代わりに土煙と水飛沫を巻き上げるのは、天を割る巨大な“樹木”。
異常進化した植物=植物獣による人類へのテロリズムを行っていた狂気の科学者、プロフェッサージャコフ。
その討伐のために派遣された国連軍は、圧倒的な生命力を誇る植物獣の前に壊滅寸前であった。
流線形の装甲で機体を覆った可変人型マシン―米国製スーパーロボット『エクスカリバーⅡ』のパイロット、ロザリオは信じられない気持ちでそれを見た。
それは寓話を連想させる光景だった。『ジャックと豆の木』の、天まで届く豆の木のような悪夢。
五十メートル級ロボット兵器であるエクスカリバーⅡが、酷く小さく見えるほどの太さ、大きさ―直径数キロメートルにも及ぶ、天へ届く樹木。
海底を断ち割って発生した樹木が巻き上げる海水、その衝撃波によって揺らされる機体を制御しながら、ロザリオは呟いた。
《ハハハ……もう、わけがわからねぇ》
このとき、世界中の植物が枯れるという怪現象が、地球のありとあらゆる場所で起こっていた。
森林は痩せ細り、相次いで朽ち果て、枯れ木は力なく倒れていく。鳥獣は逃げ惑い、昆虫は示し合わせたように、天を突く植物が発生している海域へ去る。
まるで地球の生命力が、ある一点へ集められているかのように。南太平洋の異変は、今や世界中に波及し、地球全土から植生を消していた。
そして。
マニウスは母の胸に抱かれながら、恍惚と呟く。
「――これが、“地球樹”。私と母さんの未来を約束する、ガイアの苗床だ」
上空三万メートルの高度に君臨する、巨大な植物の塊。
天を突き、海水も放射線も、極低温すらものともしない、究極の植物。
それこそが―“地球樹”。
430:地球最後の日
09/04/22 18:52:38 ofFPzZTA
青年は赤子のように母の裸体へ指を這わせていた。
「母さん……」
「時間ね……」
それは別れを告げる言葉。
否、そうすることで永久の命を得るための儀式。
「また後で……抱いて上げる」
「わかったよ、母さん……」
名残惜しそうにそう言うマニウスの目は、既に人間のものではない。
額には異形の証のように第三の目が出現している。
マニウスの母はずぶずぶと沈んでいく。
「あとは」
母は尊い存在へと同化されていくのだ。
この地球樹の―いいや、“ガイア”の核になるために。
「父上、貴方のゲッター炉心が必要だ」
■■■
地球樹をゲッター1のコクピット=頭頂部から眺め、竜牙剣から発せられた言葉は一つ。
「この鬱陶しいクソ雑草園の―番人さんが出てきたぜ」
それはさしずめ巨大な甲殻虫に似ており、体内のゲッター炉心を光らせながら、植物獣の王として地球樹の上に君臨していた。
硬い甲羅の内側に、試作ゲッターロボのゲッター炉心を取り込んだ植物獣の進化形―ナイトメア。
その頭頂部で笑う、猿顔の異形/人外―プロフェッサージャコフ。
『今日は良き日だ』
天へ両手を掲げ、植物と同化した科学者は極楽浄土の表情。
そう、まさに―。
『人類滅亡日和♪』
瞬間、剣の中で自制心が弾けた。
絶対的殺意が心を塗り潰し、吠え声が声帯から迸る。
「ヒヒジジィィィィ!」
歯を食いしばりながら、ゲッターへコマンド入力/ゲッター1の手の甲が開く/かぎ爪=全力の打撃としてゲッターロボが拳を振り下ろす。
音速を超えた巨人の拳がジャコフへ向けて迫る、迫る、迫る―!
「死ねぇぇぇ!!」
431:地球最後の日
09/04/22 18:54:09 ofFPzZTA
対するジャコフの動きは、人間離れした跳躍による回避。
推進器と化した背部植物より、合成燃料を噴出してゲッターロボへ襲いかかる。
そう、ゲッター1の頭頂部、コクピットへ向けて恐るべき突進を行っていたのだ。
『キヒヒヒ!』
衝撃音―ゲッター3のパイロット、鋼轟鬼が弁髪を揺らして叫ぶ。
《なにぃ!? おい、剣!》
ガッシリした体躯の彼が驚く理由は、単純。ジャコフが突っ込んだのは、剣が乗っている場所であるためだ。
天草弾もまた、戦友の危機に焦りを浮かべ、その名を呼んだ。
《大丈夫か、剣!?》
■■■
歯を剥き出しにした猿顔の半人半植の化け物。
醜悪な老人のドアップ。コクピットのキャノピーを割って飛び込んできたのは、ジャコフその人だった。
その異形と化した鋭い爪がヘルメットに食い込むのを感じながら、竜牙剣は気丈に笑った。
いきなりクソ爺の顔たぁ、ついてねぇな俺も。
『―剣(つるぎ)? お前は何者だ? 何故ワシの邪魔をするぅ!?』
白目の部分までどす黒く染まった、人外の瞳が剣を睨む。
ビキビキと割れていくヘルメットの音、漏れ出す空気の音、呼吸が苦しい。
だがしかし―。
「俺の名は竜牙剣。けどよ」
殺意はそれ以上に激しかった。
父親を化け物の苗床にされ、友人達を虐殺された恨み。
「理解する前に」
左手が掴むものは、敷島印の改造リボルバー。かつて初代ゲッターチームが使ったという曰く付きの拳銃だ。
強装弾仕様の変態拳銃、一体何に使うんだかわからないような、化け物専用のそれを抜き打ちでぶっ放した。
「死ねぇッッ!!」
反動で腕が痺れた。
炸裂する暴力/とんでもない轟音/大口径銃に相応しい破壊=ジャコフの顔面が吹き飛ぶ―飛び散る肉片をものともせずにさらに右ストレート。
顔から肉と脳漿の混じったミックスジュースを撒き散らし、虚空へ投げ出されるジャコフの悲鳴。
『ひぎゃああああああぁぁぁ! 痛い、いたぁぁぁぁい!』
「思い出せねぇだろうから言ってやるよ! テメエに化け物にされた親父の仇だ!」
432:地球最後の日
09/04/22 18:56:10 ofFPzZTA
ジャコフは顔面を吹き飛ばされても生きていた。
最早人間ではないと言うことなのか、彼はそのままナイトメアのコクピットへ収まり、呻く。
どろりと零れた脳漿を掻き集め、ギギギと歯軋り。
『……竜牙! そうか、ワシが種を埋め込んだラボの警備員か!』
「へっ、脳味噌吹っ飛ばされて思い出したか、化け物爺っ!」
ゲッター1のキャノピーが修復材で再生され、戦闘可能モードへ再度移行。
剣は凄まじく暴力的な笑みを浮かべると、他の二人の仲間へ呼びかけた。
「あの爺をぶっ殺すぞ、弾、豪鬼!」
《……元からそのつもりだ》
《応よ!》
左肩装甲展開、バレルオープン。プラズマ炉からのエネルギー供給完了、発射準備良し。
高速で遠離っていくナイトメアへ向けて、砲身が光を放つ。
「プラズマ――ノヴァァァ!!」
超高温の激流が迫る中、ゲッターを模した醜悪な頭部が開き、凄まじい出力のゲッター線が解き放たれた。
『このナイトメアには大いなる意志の加護があるぅぅぅ! ゲッタービームゥ!!』
ゲッタービーム。本来、ゲッターロボしか持ち得ない最強の砲撃。
ナイトメアがビームを持つことは、ゲッター炉心が盗み出されたときの追撃戦でわかっていたが、これほどの出力とは。
一瞬でプラズマノヴァを喰ってゲッターロボへ襲いかかる光。それに対抗するように、ゲッターロボの右肩装甲が展開される。
現れるのは長大な砲身。恐るべき光を照射する、最強の兵装。
竜牙剣の咆哮―トリガーを引く。
「ゲッタァァァビィィィィムッッッ!!」
『キヒ、やはり炉心を積んでいたか!』
激突する光の強さは互角、ならばと巨人と植物獣は交差する。
ゲッターは長大な大鎌を手に衝突覚悟で突進し、ナイトメアは両腕の爪を振りかぶり。
“地球樹”が、突如として震えたのは、そのときだった。
433:地球最後の日
09/04/22 18:57:59 ofFPzZTA
■■■
“地球樹”を冒すものがある。
たったそれだけの事実に、マニウスは驚愕して叫ぶ。
「馬鹿な! 国連軍は壊滅状態、なにかできるわけがない―」
事実、国連軍の艦隊は戦力の八割を失い、まともに戦闘できるのは護衛艦数隻とエクスカリバーⅡのみという有様だった。
では、何が動いているのか―それはある意味、最も来てはならない存在であり、禁忌であった。
マニウスの超感覚が捉えたのは、凄まじいゲッター線の塊。これはまるで、ゲッター核分裂を起こし続けているような―!?
「真逆! 真逆、そんな―大いなる意志が!」
あり得ない。これはゲッター線が選んだ未来ではないのか、それをゲッター線自らが否定する?
とにかく、とマニウスは決断した。最早、私怨で父を残酷に処刑するのは諦めよう。
故に―触手群がびゅるびゅると伸び、ナイトメアを貫いたのは、必然だった。
父の断末魔が聞こえた。
『ま、マァァニウスゥゥゥ!!』
「さあ、生誕だ―“地球の意志”。地球最強の生命よ!」
■■■
ジャコフの駆るナイトメアが触手に貫かれ、地球樹に取り込まれた直後。
突然の幕切れにゲッターチームが呆然としていると、再び地球樹が震えた。
まるでそれは地震であり、脈動であり、胎動だった。まず最初に、山と見紛う巨大な丘が二つ現れた。
剣は最初それが何なのか分からなかったが、すぐに思い至る。
「でけえ……巨乳ってレベルじゃねぇな」
続いて現れるのは、巨大な胴体/角が生えた複眼の頭部/細くしなやかな腕/柔らかく丸みを帯びた下半身/各部から生えた翼。
すなわち―数十キロメートルはあろうかという、異形の女性だ。まるで女神のような姿のそれに、掠れた笑い声を洩らす。
「ちょ……青少年には刺激が強すぎねぇか?」
通信―早乙女研究所の神隼人からの一方的なもの。
画面に映る壮年の戦士は、剣が初めて見るほど驚愕に満ちた表情だ。
《敵は高濃度のゲッター線を放っている。ガイア理論の権化……さしずめ“ゲッターガイア”か》
「……アレもゲッターなのか?」
《わからんが―》
初めて隼人の顔が歪んだ。まるで自らが、戦場にいないことを悔やむように。
《―地底でメルトダウン、ゲッター核分裂を繰り返していたドラゴンが、そちらへ向かった。
とんでもないことが起きるぞ……剣、弾、豪鬼。精々心して望め、ゲッタードラゴンは人間の手には負えないモノだ》
434:地球最後の日
09/04/22 19:00:03 ofFPzZTA
荒々しい気性の少年、その顔が笑みを浮かべた。
「へっ、今更だぜ。此処まで来たら、アレをぶっ殺す以外やることなんて残ってねぇよ!」
《人類の未来はお前らに掛かっている。戦え!》
「とーぜんっ! そのためのゲッターだっ!」
プラズマ炉とゲッター炉心が唸りを上げ、巨人は天を引き裂く刃を手に駆け抜けた。
ただ一つの信念によって突き動かされる、永劫の時を戦う“進化の巨人(ゲッターロボ)”。
その戦いの幕開けは、近い。
■■■
―遙か未来、或いは時空の狭間
「ゲッタードラゴンが動いた?」
「ええ、虫けらとトカゲの兵器―“バグ”の影響で出来た並行宇宙の一つです。
“皇帝”は特異点そのもので時空の因果崩壊から免れていますが、この世界は特別でして」
「ゲッター線が人類以外を選ぶ、ねぇ……例の世界でサルベージした奴を出せ。“バグ”が出る前に、“特異点”に潰させる」
「真ゲッターか……どうなっても知らんぞ?」
男は笑った。
「このくらいでゲッターは―いや、進化は止まらねぇよ」
斯くして、“進化の物語(ゲッターサーガ)”は廻る。
435:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 19:04:12 ofFPzZTA
文体とかでばれてそうですが、某所でゲッタークロス書いている者の妄想でした。
後編はゲッタードラゴンとかチェンゲとか、色々ぶち込む予定。
個人的には、飛焔はドラゴンが出てないのが不満でして。
早乙女研究所地下のアレは、ガイアに反応しなかったのか、とか気になりますしね。
創作の動機は、そんなところです。
楽しんでいただければ幸いです。
ではでは。
436:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 19:22:40 3QhSo7kI
乙! 飛焔読んでないからこれを期に買おうかな。
437:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 20:47:45 IiEfWU0T
乙乙。てか普通に飛焔もサーガに組み込まれてると思ってたけど
こういう解釈もあるのね
438:ハヤトの金矛の勇者 続き貼り 今回は長いです
09/04/22 22:18:51 XpH/g5KG
次の日
「みんな~!!」
ハヤトは珍しく子供達の方へ行った。
子供達はハヤトを見て驚いた。
「ハヤトぉ!?珍しいね!君から来るなんて」
「みんな聞いてよ! 今日の夜中ね…」
ハヤトは夜中にあった出来事を話した。
「…ということなの。みんな信じてくれるよね?」
しかし、みんなは大笑いした。
「わっはっは!!そんなの嘘だあ!」
「夢でも見たんじゃないの!?」
ハヤトは必死に話した。
「違うもん!嘘じゃないもん!」
しかしみんなは信じようとしない。
「絶対作り話だって!この嘘つきハヤトぉ!」
「ハヤトの嘘つき!」
みんなはハヤトを軽蔑した。
「うう…うわぁあああ!!」
ハヤトは泣きながら施設内に戻っていった。
「嘘つきが泣いてるぞぉ~ わいわい!」子供達はハヤトを見て笑った。
しかし
バギっ!
笑う子供を殴る子がいた。了だった。
「てめぇ、ハヤトを泣かすんじゃねえ!」
了は子供の胸ぐらを掴んだ。
「ひいぃ!!」
子供は今にも泣きそうだった。
「了君やめて!!」
みんなで了を止めに入った。
やっとのことで子供達は了達をとめた。
「ハヤト…」
一方、ハヤトは部屋で一人泣いていた。
「ひっく…みんな…ひどいよ…」
ハヤトは悔しくてたまらなかった。必死で話しているのに誰も信用してくれない。
ハヤトは泣いてる内にまた泣き疲れて寝てしまった…………
………その夜………
こんこん…
突然ドアを叩く音が聞こえる。
「ハヤトく~~ん♪開けて~♪」
「ん…何…?」
ハヤトは声に目を冷ました。
「ハ~ヤ~トくん♪開けて~♪」
どうやら女の子の声のようだ。
「ん…誰…?こんな時間に…」
ハヤトは眠たそうにドアを開けた。
カチャ…
「ハヤト君こんばんは~~♪あたしはプリリンってゆうの♪」
そこには誰もがビックリする超ナイスバディな綺麗なお姉さんが立っていた。
「っ………」
ハヤトは見た瞬間、鼻血が流れた。流石のハヤトも綺麗なお姉さんを前に「反応」してしまった。
しかし
「はっ…」
ハヤトは何かに気付いたかのようにドアを閉めようとした。 「あらん、どうしたの?」
ハヤトは震えてプリリンというお姉さんの方を見ていた。
「お姉さん…まさか昨日の怖いおじさんの仲間?」
439:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 22:20:54 XpH/g5KG
「え~~っ!?そんなワケないじゃなァ~い!!」
「ちょっと借りた物を施設の倉庫へ返しに行きたいだけよォ!
けど倉庫のある所は分かんないし、こんな夜中に女の子一人じゃ心細いでしょ♪
だからハヤト君についてきてもらいたいワケ♪」
「えっ…それじゃあ明日、返しにいけばいいんじゃない?
何でこんな夜中に返しにいかないといけないの?」
(ギクっ…)
プリリンはかなり焦った。
「そっ…それはアレよ!明日中に返さないといけないの!!
だから今返したいのよ!お願ァい!」
「う~ん…」
ハヤトは間を置くと、ドアから出てきた。
「…うん、いいよ」
「ありがとぉ♪助かるわァ♪」
こうしてハヤトとプリリンは倉庫へ向かった。
「……」
子供達が寝静まった夜の廊下はいつもより嫌な気がした。
「ハヤト君、君はなんでこの施設にいるの?」
プリリンはそう質問すると、ハヤトは首を横に振った。
「知らない、気がついたらここにいたんだ」
「ふう~ん…そうなんだ…」
そんな会話をしていると倉庫へたどり着いた。
「ここだよ!倉庫は」
「ありがとぉ♪助かったわァ!ハヤト君、ドアを開けてくれる?」
「いいよ」
カチャ…
ハヤトはドアを開いた。
「ハヤト君♪ありがと!君のおかげだよ♪」
「どうもいたしまして」
(ニヤリっ!所詮子供はこんなもんよ…)次の瞬間
カッ!!
突然、倉庫の中が輝きだした。もの凄い光だ。
「うあああああ!」ハヤトは強烈な光で目をつむり、尻餅を付いた。
「ん……」
ハヤトは恐る恐る目を開けた。しかし目の前は普通の倉庫の中だった。
「あれ…?お姉さんは?」
気付いたらプリリンの姿がどこもなかった。
ハヤトは急に不安を感じた。
「うわあああ~~っ!!」
ハヤトは急いで部屋へ戻っていった。
その頃、ドン・クラーイ世界では…
「ダーク様、扉が開きました。」
プリリンはダークに報告を伝えていた。
440:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 22:29:29 XpH/g5KG
「よくやったプリリン、これで向こう側「地球」のものに触れる事ができる!
ドン・クラーイ世界と地球がつながって我々の意識が向こうに流れ始めた。
しかし、それだけでは足りぬ!!」
ダークはそばにいたマックに命令を下した。
「マック、「選ばれし者」を捕らえろ!!そして「金の矛」と「銀の盾」を取り戻すのだ!!」
「御意!!準備が整いしだい、さっそく!!」
ダークは手を上げ、叫んだ。
「生きとし生ける者を全て、夜の民にするのだ!!!」
その頃、夜中に施設の校庭には
ピシッ、ゴオオ!!
校庭の真ん中に大穴が発生した。
ポン!
穴からなにやら箱みたいなものが飛び出した。
コロコロ…
箱は地上に落ちるとまるで意思があるかのごとく、施設に向けて転がっていった。
一方、ハヤトはベッドに入ったがさっきの怪奇現象が気になり、眠れなかった。
「うう…眠れないよ…」
ぶるぅ!
ハヤトに突然、尿意が襲った。
「うう…オシッコ…」
ハヤトはトイレに向かった。
ジョボボボ……
ハヤトは尿を出したせいか、かなり安心した。
「ふぅ…助かった…」
ハヤトはリラックスしていると
「安心するのは早いと思うよ」
突然ハヤトの後ろに声がした。
「!!だ…誰!?」
ハヤトが振り向くと床にあの箱があった?
「箱…?」
ハヤトは不審そうに見ていた。すると
キュルルルルルル…
なんと箱が分解し、粒子と化した。
「えええ!?」
ハヤトは不思議な光景に驚いた。
粒子は段々、人の形を作っていく。
そして奇妙な服をきた少年の形になった。
「うわあああ!!」
ハヤトは驚き、後ずさった。
すると少年はハヤトに喋りだした。
「驚いた?ボク達の世界では「ヘンジル」っていうんだよ」
ハヤトは震えながら言った。
「君は…一体誰…?」
「ボクの名前はマタ・タミ!」
441:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 22:30:43 XpH/g5KG
「マ…マタ…タミ?」
「そう!君の名前は?」
「ぼっ…ボクはハヤト」
そうゆうとマタという少年は笑った。
「そっか!ハヤト君だね」
しかしハヤトはもじもじしていた。
「…トイレ流していい?」
「あっゴメン!!外で話そうか」
マタは顔を赤くし、後ずさった。
そして…
「君に大事な話があるんだ!」
「大事な話?何?」
マタは間を置き、話しだした。
「ハヤト君、君は「扉」を開いてしまったんだよ!
この世界と「ドン・クラーイ世界」とをつなぐ扉を!」
ハヤトは聞き慣れない言葉に疑問を持った。
「ドン…クラーイ…?」
「君は敵に狙われている!敵は「アラ・コラ・マイッタ・マ・イッカ法術」、略して「ア法」を使うんだ。
魔法みたいな物さ!」
「ア法…?プッ…くっくっく」
ハヤトは変テコな名前で少し笑ってしまった。
「わっ、笑い事じゃないよ!!君はア法の恐ろしさを知らないからだ!」
ハヤトはマタに問いかけた。
「それでボクはどうすればいいの?」
「それは…今考えているところさ…」
するとマタが光だした。
「うわあ!」
ハヤトは驚いた。そしてマタの体が透明になっていく。
「ボクが活動できるのは夜の間だけ…それは敵も同じ…
心配しないでハヤト君、君はボクが守ってあげる!それがパパとの約束だから…」
そうゆうとマタは消えていった。いつの間にか朝になっていた。
「……………」
ハヤトは呆然としていた。
その日の午後…
ハヤトは1人で砂場で遊んでいた。
「…?」
ハヤトは何かおかしいことに気付いた。子供達同士で睨み合いしているように思えた。
「なんかみんな変だな…」
すると了がハヤトの横にいた。
「了…」
「ハヤト…見ろよ、なんかみんな1人1人避けてないか…?全員嫌いみたいに…」
「うん…」
ハヤト達は何かの異変に気付いていた。
「了…そういえば…昨日ね…」
ハヤトは夜中のことを伝えた。
「ふう~ん。そんなことがあったのか…」
「了…信じてくれる…?」
了はハヤトを見て笑った。
「ああ!信じるぜ!」
「ほっ本当に!?」 「ああ!あのお前が必死でみんなに喋っている姿見たのは初めてだったしな!」
ハヤトはその言葉に嬉しくなった。
「あっ、ありがと!」
「何かあったらオレにいってこい!聞いてあげるよ」
そうゆうと了は去っていった。
「了…」
ハヤトはなんだか心が温かくなった。
442:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/22 22:35:03 XpH/g5KG
自分の話を聞いてくれる人がいた。それだけでも嬉しかった。
ハヤトは部屋に戻るとあの定規が床に落ちていた。
「あっ…また落ちてる…どうしてだろ?」
ハヤトは定規を机の引き出しに入れた。
その夜中…
スっ…
ハヤトが寝ていると何かが部屋に入ってきた。
ハヤトは目を覚めた。
「ん…?気のせいか…?」
すると
「気のせいじゃないかもしれないぞ!ハヤト君」
突然声がしたのでハヤトはすぐに立った。
「うわあああ!!」
ハヤトの目の前にあの男、マックが逆吊りになっていた。
「ちょっと聞きだい事があってまた来たんだ」
「ひいい……」
ハヤトは本当の恐怖を感じた。
「わあああ!」
ハヤトは焦って部屋から出ていった。
「フフ…」
ドンドン!
ハヤトは別の子供部屋にいって必死にドアを大きく叩いた。
「みんなぁ!!起きて!!助けてぇ!!」
しかし全く反応がなかった。
「起きるわけないぜ!この施設内の時間をゆっくりにした」
ハヤトの真後ろにマックが現れた。
「俺様の「ア法」はすごいだろ?超高等魔術だぜ!今大きな声で叫んでも起きるのはまぁ…二時間後かな?」
「………」
ハヤトの体はかなり震えていた。
「あっ!あれなんだ!?」
ハヤトは右の廊下側を指差した。
「ん…なんだ!?」
マックは右を見た。しかし、ただの廊下しかなかった。
マックは振り返るとハヤトは左の廊下側を全速力で走っていった。
「ほぉ…このマックとカクレンボしたいのかい?
いいとも、やろうぜ!命がけのカクレンボをな!」
ハヤトはロビーに行き、テーブルの下に隠れた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
するとマックはロビーにやってきた。
「どこだぁ~~い!?ハ~ヤ~ト君!」
マックはロビーを通り過ぎていった。
「ふぅ…行ったかな…?」
443:ハヤトの金矛の勇者
09/04/22 22:50:48 XpH/g5KG
自分の話を聞いてくれる人がいた。それだけでも嬉しかった。
ハヤトは部屋に戻るとあの定規が床に落ちていた。
「あっ…また落ちてる…どうしてだろ?」
ハヤトは定規を机の引き出しに入れた。
その夜中…
スっ…
ハヤトが寝ていると何かが部屋に入ってきた。
ハヤトは目を覚めた。
「ん…?気のせいか…?」
すると
「気のせいじゃないかもしれないぞ!ハヤト君」
突然声がしたのでハヤトはすぐに立った。
「うわあああ!!」
ハヤトの目の前にあの男、マックが逆吊りになっていた。
「ちょっと聞きだい事があってまた来たんだ」
「ひいい……」
ハヤトは本当の恐怖を感じた。
「わあああ!」
ハヤトは焦って部屋から出ていった。
「フフ…」
ドンドン!
ハヤトは別の子供部屋にいって必死にドアを大きく叩いた。
「みんなぁ!!起きて!!助けてぇ!!」
しかし全く反応がなかった。
「起きるわけないぜ!この施設内の時間をゆっくりにした」
ハヤトの真後ろにマックが現れた。
「俺様の「ア法」はすごいだろ?超高等魔術だぜ!今大きな声で叫んでも起きるのはまぁ…二時間後かな?」
「………」
ハヤトの体はかなり震えていた。
「あっ!あれなんだ!?」
ハヤトは右の廊下側を指差した。
「ん…なんだ!?」
マックは右を見た。しかし、ただの廊下しかなかった。
マックは振り返るとハヤトは左の廊下側を全速力で走っていった。
「ほぉ…このマックとカクレンボしたいのかい?
いいとも、やろうぜ!命がけのカクレンボをな!」
ハヤトはロビーに行き、テーブルの下に隠れた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
するとマックはロビーにやってきた。
「どこだぁ~~い!?ハ~ヤ~ト君!」
マックはロビーを通り過ぎていった。
「ふぅ…行ったかな…?」
ハヤトはため息をついた。しかし
「そこにいるのは分かっているぞ!」
「!!」
ハヤトは横をみると、マックがハヤトを見つめていた。
「うっ、わああ!!」ハヤトは必死で逃げようとするも、やはり五歳児では大人からは逃げられなかった。
マックはハヤトの頭を掴んだ。ハヤトの体は恐怖で硬直していた。
「カクレンボは終わりだよ♪ハヤト君」
「い…いやっ…やだっ…」
「万事休すだな!ハヤト君!」
突然
「やめろ!!」
するとあの少年マタがやってきて、マックにけりかかった。しかしマックはそれを素早くよける。
「マタ!!」
444:ハヤトの金矛の勇者
09/04/22 22:52:12 XpH/g5KG
マックは体勢を立て直す。
「おやおや、父親同様にやられにきたかマタちゃん!」
マタはハヤトをかばうようにハヤトの前に立った。
「ハヤト君はボクが守ってみせる!!」
(ニヤっ!)
マックは後ろに下がると何やら言い始めた。
「ヘンジル!!」
ギュオっ!
次の瞬間、施設内の見える全てのものが変わり、別の空間に変化した。
「うわっ!?」
「しまった!!ヘンジラれた!!!」
周りは地平線のような空間だった。
「なっ…何これ…?」
「ドン・クラーイ世界から空間が染み出しているせいさ!
「「ア法」を使って自分の好きな空間に置き換える事ができるんだ!」
ハヤトは驚いた。
「そんなことができるの!?」
「夢だと思うかもしれないけど、現実は現実なんだ!
こうなったらボクもヘンジルよっ!!」
「えっ…?」
ダダダダダダ!!
マックは全速力でハヤト達を追ってきたのでハヤト達も走り出した。
「ボクがハヤト君と力を合わせれば何にでも変身できる!」
「おお!」
「念じて唱えて!!「ヘンジル」って!」
ハヤトは目をつぶり、心に念じた。
「ヘっ…ヘンジル!!」
ビュっ!
マタは粒子になり、ハヤトを取り込んだ。
ボン!!
「こっ…これは…」
なんとマタは「ヘンジル」で戦闘機に変身した。
「すごいよマタ!ヘンジルって凄いね!?」
ハヤトは今までにない程の興奮をしていた。
「いくよ!ハヤト君!しっかりつかまって!」
ブオオオン!
ハヤト達は大空へ飛び立っていった。
「フフ…甘いな」
ハヤト達は上空に上昇し、雲を突きぬけた。
「マタ!このまま逃げちゃおう!!」
「そんなに手ぬるい相手じゃないよ!!」
ブオオオン!
雲の下から何やら大きいプロペラ音が聞こえる。
「ん…何か来る!」
すると雲からハヤト達の後ろに巨大な戦闘機がハヤト達を追いかけてきた。
445:ハヤトの金矛の勇者
09/04/22 23:00:59 XpH/g5KG
「逃がさないぜ!!」
戦闘機にヘンジたマックだった。
「くらえ!!」
ダダダダダダダダ!!
マックは戦闘機に武装している3連装の機関砲を発射してきた。
「うわああ!」
マタは高い運動性能を生かし、攻撃を避ける。
「くああっ!体が動かない!」
ハヤトは戦闘機の運動に体がついていかなかった。
「ハヤト君!ちゃんと操縦桿を握って!」
「ぐああ…」
マックは照準をマタに定めた。
「お尻がガラ空きだぜ!!」
ダダダダ!!
ズドドド!
マックの攻撃がマタに当たった。戦闘機に穴が開いた。
「うあ…しまった…」
「マっ…マタ!大丈夫!?」
マタはダメージを受け、落ちはじめた。
「「うわあああ!」」
「へっ、もう終わりだな!」
ひゅううう!!
ハヤト達は真下を落ちていた
「うわああ!!ハヤト君大丈夫!?」
ハヤトは恐怖で前が見えなかった。
「もうだめだぁ~!!」
ハヤトは諦めかけた。突然…
ズキン!!
「いっ…頭が…」
ハヤトはいきなり頭痛に襲われ、うずくまった。
(ジャマダ、ザコ!!オレトカワレ!!)
(えっ……?)
ハヤトに異変が起きた。
「あっ…ひへっ…これがぁぁ…オレのカラダぁぁ…くっくっく…」
「ハヤト君大丈夫!?返事して!!」
マタはハヤトに問いかけた。
「はっ……あれ…マタ!?」
ハヤトは汗をかいていた。
マタは全くハヤトの異変に気付かなかった。
「勝負はこれからだ!!いくよ、ハヤト君!!」
ハヤトはその言葉に勇気づけられた。
「マタ……うん!いくよ!!」
マタは体勢を整え、通常の飛行に戻った。
しかしまだマックは追いかけてきた。
「さぁ坊やたち、お片付けですよ~~!!」
ハヤト達は前方にあるブリッジ状の橋に突っ込んだ。
マックは上に、ハヤト達は下に潜り込んだ。
「!?」
橋を過ぎるとマックはハヤト達を見失った。どこを見渡してもハヤト達が見当たらない。
「ガキども、どこ行った!?」
ハヤト達はなんと、マックの真下にへばりついていた。マックはハヤト達に気付いた。
「なにぃ!!!!」「ハヤト君!今だ!!」
「うん!!」
ダダダダダダダダ!ハヤト達はすぐさまマックに方へ向き、機関砲の集中砲火を浴びせた。
マックはダメージを受けまくり、ついに墜落し始めた。
「そんなまさか…この俺様……マック様がぁぁぁ!!」
446:ハヤトの金矛の勇者
09/04/22 23:04:04 XpH/g5KG
マックは墜落していった。そして
ドワオオオオっ!!
マックは大爆発を起こした。
ハヤト達は爆発した方向を眺めていた。
「やった…マックを倒したよ!」
「はあ…はあ…」
ハヤトは汗だくだった。
「頑張ったねハヤト君!」
すると
パァ…
マックの空間がなくなり、元の施設に戻った。
マタ達は元に戻り、施設の外に出た。もう明け方だった。
「ハヤト君、これは終わりじゃなくて始まりなんだってことを覚えててね」
しかしハヤトは困った顔をした。
「えっ…?ボクもう怖いのやだな~!」
「大丈夫!ボクが必ず助けてあげる!」
ハヤトはマタに甘えたいのかマタに抱きついた。
「けどマタがいれば怖くないもんね…ん…」
ムニュ!
ハヤトは何かマタの胸に違和感を感じた。
「あれ…?」
ハヤトはマタの胸を触ってみた。
プニュ!
マタの胸が妙に柔らかい…ハヤトは何かに気付いたのかマタにきいてみた。
「もしかして…マタって…女の子…?」
マタは顔を赤らめらしていった。
「…うん…ボクは女だよ…」
次の瞬間
「マタが女の子…?ってええええ!!!!?」
「気付かなかったの?ボクが女だって」
「マタが自分のこと「ボク」てゆうからお兄さんかと思った。 お姉さんなんだね」
「うん!男なのに私ってゆう人と同じ事だよ!」
「そっかあ!」
「あっ…もう朝だ…じゃあね!ボクは夜しか君を助けられないから行くけど…
敵も夜しか現れないはずだよ!またね!」
そうゆうと軽快な動きでハヤトから去っていった。
「マタ…………」
ハヤトはマタの方向を見ていた。しかし浮かない顔していた。
(ジャマダ、ザコ!!オレトカワレ!)
(なんだ…あの声…なんか嫌な予感が…)
以上です。マタは女の子とわかったときはなんか残念な気がしました。
しかし本気のマガイモノを診せたいと思います。
447:【復讐鬼と吸血鬼】
09/04/23 00:03:51 QrnjtDsk
wikiにまとめてくださった方、ありがとうございます。
>>409-410
>>413-416
ありがとうございます。
>>409
厨二っぽいセリフを独特の平野節で魅せて読ませるのがHELLSINGの醍醐味だぜ!
単純豪快なパワー全開の石川作品も単語だけほじくると、厨二っぽくなってしまうが。
>>410
ちゃんとセラスも出ますよ。ヘルシングの吸血鬼として。
>>414
マジでおすすめ。2巻のバレンタイン戦や8巻の死の河展開シーンは圧巻。
>>415
サイボーグ009の天使編の補完的な作品だったアギトの、
圧倒的神・創造主への反逆ってテーマは良いですね。
>>435
乙! >>434の会話シーン、敬語の人間はひょっとしてTV版リョ(ry
>>446
乙! ひさびさの本郷監督だってのに金矛はまだ未見だからDVD借りよかな……
448:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 05:08:50 lyK4B+4W
金矛の作者です。
442のスレは誤りです。
443から読んでください
すいませんでした。
449:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 12:05:20 3mQg0Nv5
442スレ……凄い長寿なスレだな
450:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 13:15:56 DFDzg9cz
このスレが442まで行ってる頃には他の板で「そろそろ時天空と闘うそうだが」とか
「昨日ラグースと会ったんだが強すぎてワロタ」とかありそうだな
451:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 13:20:33 blMI3Dra
もしも石川世界に2chがあったら的な
452:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 14:37:56 JSQKY87C
バキクロス書いた
URLリンク(dec.2chan.net)
のf0572
パスはgetter
453:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 23:10:49 yOj8TKDR
面白かったぜー
郭の爺さん出てきた辺りで全く先が読めなくなったがあっさり終わって驚いた
454:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 23:22:32 blMI3Dra
虚無戦記の中じゃ美勒が一番好き、次が虎
455:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 23:29:22 oHx0jUB1
>>450
既に時間など意味を成さないのだよ
456:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 23:39:57 g10TgUjG
>>452
点線とってないけど、WIkiに保存しておいたぜ!
457:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 23:40:59 oHx0jUB1
>>452
出来ればここに投下してくれるともっと盛り上がるとも思うんだけど
458:オーガの作者です
09/04/23 23:52:14 naIhtktN
>>453
ありがとう。そう言ってもらえると嬉しい
郭海皇好きなんだよねー
オリバを出す余裕がなかったのが残念…
>>454
うちには虚無戦史MIROKUしかないから他の記憶があいまいなんだぜ
でもMIROKUはよく読む
>>456
ありがとう。助かりました
点線はそのままでいいです
>>457
完結しちゃったから…
ごめん
459:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/23 23:59:04 rKMA0zHq
ベルセルクと魔術戦線って似てない?
460:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/24 09:10:22 M5DcYMN0
似てるか?
461:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/24 09:12:26 9kKkEdNj
>魔術戦線
ハリー・ポッターと賢ちゃんの意思みたいな
462:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/24 09:14:46 umJDpD99
だれがうまいこといえと
463:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/24 11:31:03 RHjv3VKO
ハリー・ゲッター
464:名無しさん@お腹いっぱい。
09/04/24 12:12:28 M5DcYMN0
俺は今更ながら飛焔を読み終わった…が、それからの事は?
あ…?あ…?まるで「俺たちの戦いはこれからだ!」をかんじますよ
465:ハヤトの金矛の勇者 続き貼ります。
09/04/24 22:33:18 x+ugScXF
その日の午前中、了とハヤトは校庭の隅の木の陰で話をしていた。
「ふう~ん…、夜中にそんなことがあったんだ…」
「なんか夢と本当がわからなくなってきたよ…」
「ハヤト、そのマタってお姉さんに会わせてくれないかな?
もし本当にそんなことが起こっているならオレもハヤト達を助けてあげたい!」
「了…うん!ありがと!」
すると
「ワン!」
ハヤト達の所にあの時の黒い子犬がやってきた。
「あっ…あの時の子犬だ…どうしたの?」
ハヤトは子犬を抱き上げた。
ペロペロっ…
子犬はハヤトの頬を舐めた。
「ひぁっ…くすぐったいよぉ!あはっ!」
了は黒い子犬を珍しがった。
「へえ~、全身黒い子犬って珍しいな!ハヤトになついているな」
「この子、よくボクの後をついてくるんだ。 エサをあげたわけでもないし…」
「ふぅ~ん…」
了は少し間を置いて、ハヤトにこういった。
「こいつに名前を付けてあげないか?ここじゃあ飼えないけど名前ぐらいなら!」
了はそうゆうとハヤトはうなづいた。
「名前かぁ…えっと…よし!お前は全身黒いからクロだ!」
そうゆうと子犬は嬉しそうに尾を振った。
「そうか!じゃあクロ、よろしくね♪」「ワン!」
夕食の時間
ハヤトは子供達と夕食を食べていた。
ここの施設は色々な事情で親がいなくなった孤児たちを養子としてもらってくれる人が現れるまで育てられる。
子供の人数は少なくとも100近くはいる。従業員たちは子供達が早く誰かにもらって幸せになって欲しいと願っている。
ハヤトや了達もその孤児の1人だった。
「わあい!今日はハンバーグだあ!」
子供達はわいわい騒いでいた。
「ハヤト、どこ行くの?」
ハヤトは席を立った。
「ちょっとトイレぇ~!」
ジャアア…
ハヤトはトイレから出てきた。
「ふうっ…すっきりした…」
ハヤトは食事に戻ろうとして、廊下を歩き出した。すると
「こ~んばんワ~♪プリリンよ♪」
ハヤトの前にあのプリリンが再び現れた。
「あっ…プリリンのお姉さん!!」
「この間は先に帰っちゃってごめんネ?」
ハヤトは恥ずかしがった。
「気にしないで…下さい…」
「ふふっ…かわいい子ね♪」
「実は大変な事が起こっているの…」
プリリンが顔を変えてハヤトに話しかけた。
「大変な事…?」
「とりあえず、その事をみんなに話すから案内して!」
「うん…分かった…」
ハヤトはプリリンをみんなのいる場所まで案内した。
466:ハヤトの金矛の勇者 続き
09/04/24 22:35:32 x+ugScXF
「みんなぁ!ちょっと話があっ…」
ハヤトは戻ると信じられないことが起きた。
なんと子供達はまるで時が止まったかのように硬直していた。
「み…みんなぁ…と…止まっている!!!」
ハヤトには全くわけがわからなかった。
「やっぱり!!あいつのせいだわ!!」
現場を目撃したプリリンは叫んだ。
「あいつのせい?」
ハヤトはそうゆうとプリリンはしゃがんでハヤトを見つめた。
「ハヤト君になぜこうなったのか話しておくわ!」
ごにょごにょ!
プリリンはハヤトに小さな声で教えた。 「なっ…なんだって!?」
同時刻、何かに察知したのかマタは施設に入ってきた。
「ハヤト君!大丈夫!?」
ハヤト達はマタが来たことに気付いた。
「お前は…プリリン・アンコック…?」
マタはプリリンを睨みつけた。
「ハヤト君、言った通りでしょ?」
「………」
ハヤトはうなづいた。
マタはハヤトの様子が変だと気付いた。
「ハヤト君…?どうしたんだい?」
ハヤトは拳を握りしめマタを睨みつけた。
「マタの嘘つき!!」
マタはその言葉にびっくりした。
「え!!?何で!!?」
「プリリンお姉さんから聞いたよ!本当はマタが悪者だって事!!」
(ニヤっ…ハヤト君、この調子よ♪)
プリリンはにや笑いしていた。
「ちがうよハヤト君!!」
「「ア法」で時間をゆっくりにしてみんなを動けなくしてるのはマタだって!!」
「そ~なのよそ~なのよ!!色々変な事が起こるのはみんなこの子のせいなのよ!!」
ハヤト達はマタを責め続ける。
「ハヤト君!!プリリンに騙されないで!!ボクを信じて!!」
「ん~~……」
ハヤトはマタの必死の訴えに少し戸惑ったがプリリンがそれを容赦なくかき消す。
「騙されないで!!封印するわよハヤト君!!」
「はっ…はい!!」
プリリン達は封印の体勢をとった。
「ヘイ!フーイン!フーイン!ボイン!!ボイ~ン!」
シュワ~!!
呪文を唱えるとマタの周りが歪み始めた。
「ああっ!!やっ…やめてぇ!!!」
「フ…フーイン!フーイン!ボイン!ボイ~ン」
ハヤトも呪文を唱えるとマタが段々粒子と化していく。
「うわああ~~~っ!!!」
フュルルルル…
マタの体は粒子になり、下じきと化してしまった。
プリリン達は大喜びではしゃぎ回った。
「やった~♪悪いやつを封印したわ!これで地球は平和になるわ!ありがとう!!これもハヤト君のおかげね!♪」
467:ハヤトの金矛の勇者 続き
09/04/24 22:42:21 x+ugScXF
「本当に…平和になったかな…?」
「うん!これでもう安心よ♪」
そして…
「じゃ、またね♪ハヤト君、一緒にいい世界にしていこうね!」
そうゆうとプリリンは施設から去っていった。
「…………」
ハヤトは思っていた。なんか酷い事をした気がするが、これで世界が救われるなら…と。
すると…
ズキン!!
「うっ…」
ハヤトはまた頭痛に襲われた。頭を押さえ、うずくまった。
(頭が…いたいっ…)
突然
「ハヤクオレトカワレ!カワレ!カワレ!カワレ!カワレ!カワレ!カワレ!カワレェェ!」
ハヤトの心に叫びが聞こえた。
「なっ…何っ…?」
すると頭痛は治まった。ハヤトは立ち上がると嫌悪感に襲われた。
(はぁ…はぁ…、何なんだ?この頭痛は…)
すると
「美味しいね♪今日のご飯」
子供達が元に戻ったようだ。
ハヤトは何もなかったかのように席に戻った。
そして次の日…
子供達が遊んでいると、施設の従業員がみんなを呼び集めた。
「皆さんにお知らせがあります。今日から少しでも時間に遅れるとお仕置きを受けることになりましたので注意してください。」
それを聞いたハヤトと了は驚いた。
「「え!?」」
「あとむかつく子がいれば、どんどんいじめてもよくなりました。みんな、ありのままの自分でいきましょう」
その言葉にハヤト達はびっくりした。
「「え~~~~~!!?」」
「いじめていいとか有り得ないだろ!何だ?このきまり!?」
「了…何かおかしいよ」
ハヤト達は信じられなかった。
それを聞いたあと、みんなは校庭にいくと
「お前、むかつくんだよ!!」
バキっ!
「やあ~い!バ~カ!」
「なんだと!こいつめ!」
子供達は一斉にいじめ始めた。
そして…乱闘みたいに殴り合い、ある子は蔑み、もう子供達の仲は崩壊した。
「「…………」」
ハヤト達はそれを驚いた表情で見ていた。
「ハヤト…これって何かの間違いだよな…?」
「うん…」
ハヤト達は呆然としていた。
「ハヤト、多分ここにいたらオレ達も巻き込まれる!どこか安全な場所に行こう!」
「了、ボクの部屋に来て!」
二人はとりあえずハヤトの部屋に戻った。
「ここでじっとしてるしかないな…」
「うん…」
チカチカっ…
ハヤトは部屋の片隅に何やら光っている物に気付いた。
「………?」
ぺりっ…
ハヤトは光っている物をはがしてみた。すると…
パリ…パリパリ!
468:ハヤトの金矛の勇者 続き
09/04/24 22:43:41 x+ugScXF
何とハヤトの目に前にひびが生じた。段々ひびが大きくなっていく。
「こっ…これは…」
ガシャァァン!!
ひびが割れ、ハヤトの周りの空間がすべてが割れ、別の空間が生じた。
「なっ……」
「ハヤト!何だこれは!」
ハヤト達は外に出てみた。すると外が昼間だったにも関わらず、真っ暗な夜のままだった。
「ハヤト!一体どうなってるんだ!?」
「まさか…敵の空間…?」
ハヤトは了に今までのことを全て話した。
「…オレはプリリンって女が絶対に怪しいと思う。」
「…うん…」
「お前が封印したマタお姉さんはどこに行ったんだ?」
「下じきになってどっか行っちゃった…」
すると了は何かに気付いた。
「下じき?まさかあのカラフルな下じきか?それなら落ちてたからそこの机の中にしまったよ!」
「えっ…本当!?」
ハヤトはすぐそこの机の引き出しを開けた。するとマタが封印された下じきを見つけた。
「よおし、マタお姉さんを復活させるんだ!!」
「でもどうやって?」
「オレに聞かれてもなぁ…」
ハヤト達はどうしたらいいかわからなかった。
すると
…………
了は何かに気付いた。
「ん…、ハヤト?この下じきから何か聞こえないか?」
「えっ?」
469:ハヤトの金矛の勇者 続き
09/04/24 22:47:25 x+ugScXF
ハヤトは耳を下じきに傾けた。
すると…
「…呪文を反対に唱えて……」
「!!」
微かだか、下じきからマタの声が聞こえた。
「マタ…呪文を反対に…よおし」
ハヤトは封印をとく体勢をとる。
「ンイボ!ンイボ!ンイーフ!ンイーフ!!」
し~ん…
辺りは静寂な雰囲気になる。
了はすこし呆れた。「何だその呪文?本当にきくのかよ!?」
ボン!モクモク…
何と下じきが爆発、煙が上がる。
「ちょ…まさか…?」
煙からマタが現れた。しかしマタは浮かない顔をしていた。
ハヤトはマタを見て、少し気まずくなった。
「マっ…マタ…大…丈夫?」
マタはハヤトを睨みつけた。
「ハヤト君、ボクは君を見損なったよ!」
ハヤトはその言葉にショックを受けた。 「えっ……?」
「君はプリリンにそそのかされ、ボクの事を信じてくれなかった…
その挙げ句にボクを封印して、世界がめちゃめちゃになったじゃないか!」
「そ…そんな……」
ハヤトはとても深刻な顔になった。
「今、世界はドン・ クラーイに侵され始め、世界がめちゃめちゃなんだ!君はその責任を取れるのかい!?」
ハヤトはその言葉でプリリンに騙され、世界を混乱させたのは自分だと自覚し、罪悪感と後悔でいっぱいになり、涙が込み上げてきた。
「ごっ…ごめん…なさい……」
ハヤトから涙がこぼれてきた。しかしマタはハヤトを一方的に責める。
「ハヤト君、謝って済む問題じゃないんだよ!君がしたことはとても重いことなんだ!」
「うっ…うっ…」
ハヤトはもう泣き崩れた。
しかし
「やめろぉぉ!」
ドン!
いきなりハヤト達のやり取りを見ていた了はマタを押し倒した 。
「つっ…何するんだよ!」
了の顔は怒りで赤くなっていた。
「あんたなぁ!ハヤトばかり悪くゆうけど、あんたは一度も騙されたり間違ったりした事がねえのかよ!!?」
「なっ……?」
「そもそも、そんな大事なことをなんでハヤトみたいな子供にやらそうとすんだよ!?」
「……………」
その言葉で静寂な雰囲気に包まれる。
「うう…ボクの……せいだ…」
ダッ!
ハヤトは泣きながら机の引き出しを開けた。
ハヤトは机の中からハサミを取り出した。
マタ達はとっさにハヤトが何をしようとしてるか気付いた。