リリカルなのはクロスSSその87at ANICHARA
リリカルなのはクロスSSその87 - 暇つぶし2ch11:リリカルガウザー ◆tLVkxXSbUQ
08/12/26 13:20:51 1eSocHPZ
本来それらの人々を助けるための政策を行うはずの時空管理局は、海と陸の両部隊の管轄問題など、武力についての問題について協議を続けるのに精一杯で、
そう言った人々への救済が追いついていない。
せめて人々の悩みを聞き、アドバイスを与えるカウンセラーが必要であったが、そのカウンセラーの数も全く足りていなかった。
なので黒岩のように、異世界とは言えそれを本業として活動していた人間の力は、喉から手が出るほど欲しかったのだ。
黒岩も慣れた仕事が出来るならこれは好都合と思い、シャッハの紹介した仕事で働くことを決めたのだった。

「まだ昼過ぎか…まだまだ相談者は来そうだな。」

黒岩は吸ったタバコの煙を吐いて呟きながら、デスクの傍に設置した小型液晶テレビのスイッチを入れた。
丁度ニュース番組が放送していて、それに目を通す。
内容はニュース速報、現在の株価など、地球となんら変わりない平凡なニュースだ。
黒岩はシャッハに、このミッドチルダについて、そして時空管理局についての事を相談所を始める前に聞いていた。
ミッドチルダは魔法文化が発達した国で、時空管理局に所属する武装局員達はその魔法を武器として駆使し、ミッドチルダを守る地上部隊と次元世界を守る次元航行部隊(この世界では「海」と呼ぶらしい)に分かれ、
無限に存在する世界を守るために時空犯罪者を取り締まったり、ロストロギアと呼ばれる古代の危険な遺産を回収したりしているらしい。
聖王教会とは、ミッドの大きな宗教団体のようなもので、管理局を全面的にサポートしているようだ。
だが、黒岩は管理局を良く思っては居なかった。
評論番組などで評論家や管理局の将官達が「地上部隊は行動が遅い。これでは事件や災害で助かる命も助けられない。」
「海の連中は優秀な人間ばかりを引き抜いてばかり。だから地上の守りはおろそかだ」という論議を繰り広げるたびに「馬鹿馬鹿しい」と感じた。
どんなお題目を並べても結局彼らが行っていることは責任の擦り付け合い、手柄の取り合いだ。
自分達が優位に立つことばかり考え、一番に考えるべきはずの庶民のことなど二の次にしか考えていない。
ダークザイドの騎士であった昔の自分なら地球と同じように、今にでもこの世界を征服し、ダークザイドの支配する世界へと作り変えようとしていただろう。
だが、そんな意欲も今はわいてこない。
黒岩にとって今大事なのは、全てを忘れ、ミッドチルダ人黒岩省吾として第二の人生をスタートすることだった。
「今の俺には何も関係ない。余計なことは考えず、ひっそりと生きていこう。」
黒岩は自分に言い聞かせると、ニュースを見続けた。
そしてニュース番組が終わり、朝の連続ドラマの再放送が始まったと同時にインターホンが鳴り響いた。
午前中から働きづめだった黒岩はできるなら一人でドラマを見て居たい気分だったが、もし仕事の依頼なら断れないため、客を入れることにした。

「どうぞ。」
「は~い♪」
「お邪魔します。」

相談所のドアが開くと、セインとシャッハが入室してきた。
客だと思っていた黒岩は少し落胆した。
これが客ならテレビ画面の前に座れず、客への対応を考えながらでも落ち着いてドラマの内容を聴けるが、
やかましいやり取りの多いセインとシャッハの場合、テレビ画面の前に座れたとしても落ち着いてドラマが聴けないからだ。
彼女達はたびたび黒岩の様子を伺いに来る。
黒岩は「途中で仕事を投げ出すことはないからいちいち来なくてもいい」とは言っていたが、シャッハ曰く、
「助けた人の働きぶりをよく見なければ折角助けた私も満足しない」らしいので、彼女はセインを連れてよくここを訪れていた。
煩い女だとは思ったが、命を助けられたと言う立場上、突っ返すことはしなかった。

「シャッハ…それにセイン…またあんたらか…」
「またとは何よ~!折角来たんだから、コーヒーくらい出しなさいよ~!」
「セイン!」

シャッハはセインの我侭な一言に腹を立て、彼女の頭部に空手チョップを見舞った。

「痛った…何すんのよシスターシャッハ!」
「マナーが悪いです!いくら私達がお客とはいえ、聖王教会の修道女がコーヒーをねだるなんていうはしたない真似がどうして出来るんですか!」
「冗談だって!ったくクソ真面目なんだから…」

12:リリカルガウザー ◆tLVkxXSbUQ
08/12/26 13:22:12 1eSocHPZ
セインはシャッハから顔を背けて口を尖らせた。
セインとは医務室で会ってはいたが、詳しく彼女と話し合ったのは相談所がまだ出来る前、聖王教会本部に数日間身を寄せていたときだった。
彼女は明るく楽観的な性格で、シャッハと違い、自分の薀蓄を聞くのは苦手なタイプだった。
黒岩はシャッハが女版速水克彦なら、セインは涼村暁の女版だと思っていた。
もちろん、彼女は暁と違って金遣いは荒くなく、人を傷つけるような発言はしなかったが。
セインはシャッハから顔を背けて口を尖らせた。
セインとは医務室で会ってはいたが、詳しく彼女と話し合ったのは相談所がまだ出来る前、聖王教会本部に数日間身を寄せていたときだった。
彼女は明るく楽観的な性格で、シャッハと違い、自分の薀蓄を聞くのは苦手なタイプだった。
黒岩はシャッハが女版速水克彦なら、セインは涼村暁の女版だと思っていた。
もちろん、彼女は暁と違って金遣いは荒くなく、人を傷つけるような発言はしなかったが。

「だいたい貴方はいつも…」
「ああもう!うっさいから説教は止めてよ!」
「う…うっさい!?セイン!口の聞き方に…」
「おい、静かにしろ。今やっと時間が空いたんで、ドラマを楽しんでいるところだ。」

そう言っても数分後にはまた二人の言い争いが始まるのだが、例えその場しのぎでも静かにしてもらいたかった。
この二週間、まともな休憩時間が合ったことは少ない。
管理局も軍備の話ばかりではなく、失業者や悩みを持つ者達のために、自分のようなカウンセラーの増加や景気の安定を考えろとなんども心で文句を言ったことがある。
なのでどれだけ無駄なのかは分かっていても、休まる時間がある時くらいは静かにして欲しかった。

「ドラマって、そんなの夕方にも再放送やってるじゃない。そんなのにかまけて、大切なお客様にコーヒーの一杯も出さないなんて…」
「セ~イ~ン~!」
「だって黒岩さん、命の恩人に向かって何の感謝も示してないんだもん。」
「貴方は何もしてないじゃないですか!それに、命を助けたからって生意気な口を聞くというのは修道女として…」

黒岩は溜息をつき、ドラマを見ながらまたその場しのぎの注意を行おうとしたときだった。

「ん?」

テレビ画面の上端に、「ホテル・アグスタでの従業員、利用客行方不明、三十人を突破」というテロップが表示された。

「おい、シャッハ!」
「あ…は、はい!」
「これは何だ?」

黒岩はテレビ画面をシャッハのほうに向けて回し、表示されたテロップを指差した。
忙しいとはいえニュースは見ていたが、こんな事件は聞いたことが無い。

「ああ…それですか…遂に隠せなくなったんですね…」
「どういうことだ?」
「はい、実は…」

シャッハはこの事件についての説明を始めた。
この事件が起きたのは二週間前、ちょうど黒岩が相談所を開いた頃だ。
ミッドチルダでも高級ホテルの一つであるホテルアグスタで、二人の男性利用客が姿を消した。
すぐに捜査班が編成され、ホテル周辺をくまなく探したが、失踪した二人は遺体も見つからなかった。
管理局と協力関係にある聖王教会側は反対したが、管理局地上部隊は徹底的な捜査を行って遺体も見つけられなかった事への責任追及と糾弾を逃れるため、この不思議な事件を内密に捜査をしようとしたために公のニュースにはならなかった。
だが、それ以降も犠牲者が増えすぎたため、事件を隠し通せなくなったのだという。
ちなみに犠牲者の共通点として、消えた人間は皆ミッドでも有数の大富豪だということが上げられている。

「…これが事件の全容です。」
「…そうか。」

13:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 13:23:04 UcqoUH3Z
さすがシャンゼ世界の人はw
支援

14:リリカルガウザー ◆tLVkxXSbUQ
08/12/26 13:24:42 1eSocHPZ
黒岩は顎に手を当て、親指で数回なぞると、テレビのスイッチを消した。

「あれ?見ないの?」

セインが顔を覗いてきたが、黒岩の意識はその不思議な事件にあった。
遺体が全く見つからない大富豪と言う共通点がある犠牲者たち…
黒岩は「遺体が見つからない」「被害者には共通点がある」という二点の事件の特徴に焦点を絞り、事件の真相について考えてみた。
この二点の特長は、自分がよく知っている者達が行う行為と似通っていたからだ。
そして、その答えはすぐに導き出された。というより、事件の特徴から導き出される答えは黒岩の中では一つだけしかなかった。

「まさか…!」

黒岩は驚きの色を顔に表し、椅子から勢いをつけて立ち上がった。
この事件の真相は高い確率でダークザイドの仕業だ。
なぜこの世界にまでダークザイドが居るのかも、考えてみれば不思議ではなかった。
自分達ダークザイドは全てが地球に移住してきたわけではない。
地球への移動中に次元の狭間に飲み込まれ、姿を消した闇生物達も数多く存在する。
もしそれらの闇生物たちがこの世界に逃れてきているのなら、或いは…

「…今日はこれで仕舞いだ。」

黒岩はドアの方に向かい、隣にかけてあった本日休業のプレートを手に取った。

「黒岩さん?」
「どうしたのよ?」
「そのアグスタというホテルへ…案内しろ。」

黒岩はシャッハとセインの二人に事件の場所であるアグスタへの案内を頼んだ。
本当はこのまま傍観することも出来た。だが出来なかった。
もしこれが本当にダークザイドの仕業なら、自分にも無関係ではないと思えたからだ。
そして自分はこの世界でカウンセラーとして生涯生きていくのか、もしくはこの世界に迷い込み、隠れて生きていかなくてはいけないダークザイド達のために再び皇帝として立たなければならないのか、
どちらを選ばなければならないかがこの事件の向こうにある気がしたからだった。

投下終了です。
エラーは多く出ちゃうわ、容量は一杯になっちゃうわで大変でした。
皆さんの文章に比べると全然ですが、感想・批評もらえればありがたいです。

15:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 13:29:46 UcqoUH3Z
投下とスレ立て乙&GJ。黒岩さん大好きだったから嬉しいね。

あ、でも気になったところが。ラーム吸われた人って体は残っていたような。
……もし伏線の類だったらごめんなさい。

16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 13:32:11 1eSocHPZ
えっと、エリやるいはラーム吸われた時に姿消したり闇生物の体内で固まって「アレ」になったりした事があったんで、そっちの表現にしました。

17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 13:51:59 UcqoUH3Z
>>16
ああ、そういうことですか。了解です。

18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 13:57:18 pALWmcyr
GJ!
ついに僕らの皇帝閣下が事件解決に動きだした!
この人はいい組織人。

19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 13:57:40 1eSocHPZ
あれ?>>12

>セインはシャッハから顔を背けて口を尖らせた。
セインとは医務室で会ってはいたが、詳しく彼女と話し合ったのは相談所がまだ出来る前、聖王教会本部に数日間身を寄せていたときだった。
彼女は明るく楽観的な性格で、シャッハと違い、自分の薀蓄を聞くのは苦手なタイプだった。
黒岩はシャッハが女版速水克彦なら、セインは涼村暁の女版だと思っていた。
もちろん、彼女は暁と違って金遣いは荒くなく、人を傷つけるような発言はしなかったが。

という部分が一つ多い…
修正お願いします…

20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 19:14:08 RpcT6o5e
GJ!

閣下の『知っているか!?』であのテーマが脳内に響いたw

21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 19:41:50 1sYJRSR3
GJ!
閣下!ミッドチルダは閣下が統治すべきです!

22:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 20:31:59 Tqt5qFQM
367氏GJ!
…で、この話はどの辺が嘘ですか

23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 20:43:01 mhgDjnw1
盗作だな

24:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 20:50:51 LeUoYQ/6
盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作盗作
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25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 21:19:25 +Gz3kW4Z
GJ!
荒らしに負けず頑張れ
投下するときは容量に気をつけてな

26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 21:45:42 q55txSEt
元ネタがわからないから何とも言えないが
始めたからには荒らしに負けるな
完結まで走り続けろ

27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 22:37:09 15pSOQXb
荒れるからもう投下するな

28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 22:51:15 Po0VElGE
不正をしていない限りは一住人がどうこう言う問題じゃない。
ついでに言うと荒らしは不正だ。荒れるのが嫌いなら君らが消えれば良い。

29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:06:32 5pekXSZ/
取り敢えず盗作言うやつは他のとこで議論してくれ
ここではバイト数が足りなくなるからな

30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:11:10 QN5VlGb7
GJがんばってください

ところでLeUoYQ/6のいう盗作ってどこら辺が盗作に当たるんでしょうか?

31:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:13:31 xBE2BhVq
>>30
荒らし曰く
一応ウィキペディアから得た知識を使った部分があるので、その箇所には出典を記しておきました。
この部分が盗作にあたるらしい

32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:23:21 YnSUb1LT
NGID:LeUoYQ/6
    mhgDjnw1
    15pSOQXb

33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:24:50 qeHNg2rp
丸写しではなく部分的・少量の使用にとどめ
その上で使用した際は出典を明記すればウイキペディアって特に問題は無いのではなかったっけ

34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:28:28 1sYJRSR3
知識を使うだけなら出典表記いらんだろ。

35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:30:16 YnSUb1LT
出典表記が必要なのは引用(文章丸写し)する場合だな

36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:30:40 xBE2BhVq
あれ?あれって出典記せば良いって聞いたのですが、違うのですか?
という作者への返答が
盗作は正当性にはならない
だからな。
しかも上げてるし堂見ても荒らしだろ

37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:40:12 Ug+R/toV
空いてますかね?
空いてたら、みっどちる大王3話を23時45分頃から投下させていただきます。
とりあえず、変な空気を入れ替えになればいいのですが。

38:みっどちる大王
08/12/26 23:45:49 Ug+R/toV
では時間なんで投下しまーす

39:みっどちる大王
08/12/26 23:46:37 Ug+R/toV
「本当にやるんスか?」
「確かにね。これは相当リスクが大きいよ」
「バカヤロウ。ここまで来てビビってんじゃねえ」

暗がりの中、ヒソヒソ話が聞こえます。
話をしているのは、3人。
それぞれ闇に顔を隠しながら、張りつめた声を出しています。

「やるかやらないか、じゃねえ。やるしかねえんだ。忘れたか」
「―確かに。そうだったっスね」
「はあ、仕方無い。いい加減腹をくくりますか」

仕方無い、という口調とは裏腹に、全員の声に固い覚悟が宿りました。
空気が、ますます張りつめます。
闇の中、六個三対の瞳がギラリと光りを放ちます。

「それじゃあ、いくぞ?」
「おうっス」
「いつでもどうぞ」

そうして、闇の中から3つの人影が一斉に立ち上がりました。
一人が、呟きます。


「私ら盗賊。欲しいものは奪い取るぞ」





みっどちる大王 第三話
「セイン、ノーヴェ、ウェンディが列車強盗するそうです」





―で、失敗してました。

「「ギャアアァァァァァァ!!」」
「……キュー」

40:みっどちる大王
08/12/26 23:47:47 Ug+R/toV
ガタンゴトン、ガタンゴトンとレールの上を走る貨物列車。
その上で、2人の悲鳴と1人の呻き声が響いていました。
涙目で悲鳴を上げているのがノーヴェとウェンディ、目を回して呻いているのがセインです。
ノーヴェとウェンディは左右からセインの肩を抱え、悲鳴を上げながら貨物列車の上を走っていきます。
そして、転がり込むようにコンテナの陰に隠れました。
一瞬遅れてその場に魔力弾が迫り、コンテナ表面をガリガリ削っていきます。
響き渡る金属音と、飛び散る火花。
ムチャクチャ怖いです。心底ビビります。
ウェンディがそろそろとコンテナの影から視線を覗かせると、こちらに向けて銃型デバイスを構えるオレンジ髪の少女と、ハチマキをたなびかせる青い髪の少女がいました。

「コラ~! いい加減観念しろ~!!」
「今なら情状酌量の余地もあるわ! 大人しく出てきなさい!!」

ハチマキとオレンジ髪が、大声でなんか言ってます。
それを見届けてから、ウェンディはノーヴェに向き直りました。半分涙目になってます。

「ノノノノノ、ノーヴェ! どうするんスか~!!」
「知らねえよ! 私に聞くな!!」

小声で叫ぶ、という器用な真似をするウェンディに、ノーヴェもまた叫び返しました。こっちも涙目です。
そもそも、何故セイン、ノーヴェ、ウェンディの3人が列車強盗などしているのか?
理由は、お金が無いからです。
基本的に、スカリエッティ一家で定期収入を得ている人はいません。
時々、スカリエッティさんのよく分からない発明品が妙に高値で売れたりして臨時収入が入ることもありますが、本当に時々です。
スカリエッティ一家の収入は、スカリエッティさんのスポンサーからの援助と、クラナガンに出稼ぎに出ているドゥーエさんからの仕送りに頼っているのが現状なのです。
そんな、愛の貧乏大家族なスカリエッティ一家ですから、娘たちのお小遣いは少ないです。
年ごろの娘さんたちとしては、本当に少ないです。
それでも、しっかり者のチンクさんやクアットロさんはしっかり貯金を積み立てているのですが、如何にも無計画で物欲の強いセイン、ノーヴェ、ウェンディの3人は当然のように毎月使い切り、それでも足りなくなるのです。
一家の家計を切り盛りしているウーノさんに頼んで前借するのも、いつまでもは無理です。
というか、現段階で5年分くらい前借してます。いっそ甘過ぎるくらいです。
消費者金融に手を出したら一家まとめて破滅することが目に見えていましたから、その辺はスカリエッティさんと姉たち全員で、厳重に厳重を重ねて禁止していました。
そういうわけで3人は思いあまり、遊ぶ金欲しさ、という実によろしくない理由で犯罪に走ったのでした。

……え? レリック?
なにそれ食えんの?


「何でこんな貨物車にあんなのが乗ってんだーっ!!」
「知らないっスよそんなのーっ!!」

列車の上に、ノーヴェとウェンディの泣き言が響きます。
ハチマキとオレンジ髪が「レリックは渡さない!」とか「ロストギアがどーの」とかよく分からないことを言っていますが、余裕がないので無視です無視。
空を見上げれば、一緒に持ってきたお手伝いロボのガジェットドローンが、桃色の閃光やらデカイ鉄球やらにバリバリ撃ち落とされていきます。
本当、なんでこんな強い連中が列車の警備なんてやってるんでしょう? 意味分かりません。
おかげで、脱出時にはディープダイバーで大活躍するはずだったセインがいきなりやられてしまいました。
エアライナーやエアリアルボードで列車から飛び出すことはできますが、そんなもんただの的です。
全力全壊の桃色バズーカで吹っ飛ばされる未来が有り有りと見えます。

41:みっどちる大王
08/12/26 23:49:12 Ug+R/toV
「「いやああぁぁぁぁぁぁっ!?」」
「………きゅ~」

2人の悲鳴と、1人の呻き声が響きます。
なんというか、ダメですね。
本当にダメダメですね。
あまりにもアンポンタンです。
スカリエッティさんも、草葉の蔭で泣いていることでしょう。死んでませんが。
ビックリするほどのボンクラぶり。
これからは、この3人のことを「ボンクラーズ」と呼ぶことにしましょう。


「「「ボンクラーズじゃねー!!!」」」

うるさい黙れ。



何にせよ、大ピンチですボンクラーズ。
今でも、ハチマキとオレンジ髪に追い詰められてます。
ここに桃色バズーカと赤いゲボ子が加われば、もう王手でしょう。
ああ、このままボンクラーズは時空管理局の手に落ちてしまうのでしょうか?



「ハロー」



「っ!?」
「なにっ!?」

突然響いた声に、ハチマキとオレンジ髪が体を震わせます。
一方、ノーヴェとウェンディは固まってます。「え? なんで?」という顔です。



「アイ キャン フラアアァァァイ」



再び、声が響きました。
やたらと低く、渋く、粘っこい声です。
ノーヴェとウェンディは、目に見えてゲッソリしていきます。
それまでの緊張感が、ヤスリでゴリゴリ削られていくようです。


42:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:50:25 EQNP+o76
支援

43:みっどちる大王
08/12/26 23:50:45 Ug+R/toV
「……っ! ティア、上だよっ!」
「上っ!?」

ハチマキとオレンジ髪が、バッと上を向きました。
その先には、一つの影。
頭上に達した太陽の逆光の中、列車と同じ速度で空を飛ぶ何者かがいます。
鳥か?
飛行機か?
空戦魔導師か?
いえ―

「…………なにアレ?」

―ネコです。
正確には、ネコっぽいなにかです。
オレンジ色の扁平な体。
パッチリお目々。
ニョロリンと長く伸びた手足。
そう、彼こそが、先代聖王にしてスカリエッティ一家末っ子であるヴィヴィオのお父さん―通称ヴィヴィ父です。
ビビ父と言ってはいけません。すごく怒られます。
お父さんは発音に厳しいのです。

「「…………………………」」

沈黙が降ります。
お父さんと初めて遭遇した人が例外なく陥る、緊張感も緊迫感もない、ただこの後どう行動したらいいのか分からなくなっての沈黙です。
ウェンディとノーヴェも、気持ちはよく分かるので深く頷いています。

「アイウィッシュ アイワー ア バード」

相変わらずの渋みボイスをまき散らしつつ、お父さんが列車の上に下りてきます。
ハチマキとオレンジ髪は、意味もなく一歩後ずさります。

「……もし私が鳥だったら?」
「私は鳥ではない。吾輩はネコである」
「えと……ネコなんだ……」
「ネコ以外のなんだというのだ」
「……なんだろう……?」

問いかけられても困りますね。現にオレンジ髪は心底困った表情で首を捻っています。
なんだろう? 以外に返す言葉がありません。

「吾輩はネコである。断じて鳥ではない。ああ、翼がほしい」
「……そうですか」
「しかし、そんな私は翼がなくても空を飛べる。ネコは本来空を飛べないはずだというのに」
「……そうですね」
「そんな私は一体なんだというのだ? さあ、応えてみなさい」


44:みっどちる大王
08/12/26 23:51:59 Ug+R/toV
応えてみなさい、とか言われても心底困ります。
首を捻ったまま沈黙してしまったオレンジ髪に代わり、ハチマキがポツリと呟きました。

「え、と……ネコじゃないなら……」
「うむ、ネコではないなら?」
「……タヌキ? の妖怪、とか……?」
「………………」
「………………」
「………………………………………………っ!!!!??!!!」
「ヒ、ヒイ!? ス、スバル、アンタ謝んなさい!!」
「あ、あううぅぅ!? ご、ごめんなさいいいぃぃぃ!?」

無言のまま、ガタガタと振動し、七色に変色し、目をビビカーッと光らせて。
それはもう凄まじい気配を放ち始めたお父さんに、オレンジ髪とハチマキが半泣きになります。
それはそうですね。とんでなく怖いです。
なんだか宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)な感じです。くとぅるー。

「いやいや、怒っているわけではない」
「そ、そうですか?」
「ところで、君は自分が狸の妖怪呼ばわりされたらどういう気分になるかね?」
「えーと、嫌です」
「なんで自分がやられて嫌なことを人にするかねっ!?」
「う、うわーん、ごめんなさいいいぃぃぃぃ!!」

お説教はしばらく続きました。

「……そ、それで、貴方は一体何者……いや、もうそれはいいですから何しに来たんですか?」

オレンジ髪が、疲れ切った表情でいいます。
ハチマキはなんだか精神に傷を負ったのか、「うわーんティアーこわいよーくらいよーたすけてー」と泣きながらオレンジ髪の腰にしがみ付いてます。
大丈夫でしょうか?
心という器に罅が入っていないことを祈りましょう。曖昧になったゲンヤさんなんて見たくないですしね。

「うむ。実は、娘に友達ができたのです」
「……はあ」
「というわけで、その娘の友達を救出しに来たのだよ」

言うが早いか、お父さんの腕がビローンと伸びました。
そのままスルスル伸び続けて、コンテナの影から覗いていたセイン、ノーヴェ、ウェンディの体に巻きつきます。

「え?」
「あ?」
「ほえっス?」

それぞれの言葉に答える暇もあらばこそ。

「ヘイ、パース」

ポーンという軽い擬音付きで、お父さんはウェンディたちを列車の外に放り出しました。

45:みっどちる大王
08/12/26 23:53:38 Ug+R/toV
「……って、ちょっ!?」

慌てたオレンジ髪がようやく再起動しましたが、既に時遅し。
ああ、このままボンクラーズは地面に叩きつけられてマグロになってしまうのでしょうか?


「―ゲッチュウウゥゥゥゥっ!!」


なんということでしょう。
その時、列車の走る岩山の影から飛び出した白銀の竜が、宙を舞うボンクラーズ3人を拾い上げました。
竜の背に乗った桃色髪の少女が、手にした巨大虫取り網でボンクラーズ3人を掻っ攫います。
あと、『スバゲッチュ絶賛応援中! ピポスバル可愛いよ!!』という上り旗が竜の尻尾に立てられてパタパタ揺れています。
何のことでしょう? さっぱり分かりません。
でもピポスバルは可愛いよね。

「……って、キャロッ!?」
「話は後! さっさと逃げますよ!
フリード! 全力でトンズラーッシュッ!!」

言うが早いか、竜は翼を一打ちして、そのまま逃げだしました。旗をパタパタ揺らして。
一瞬の早業です。こういうトンズラに慣れているとしか思えません。
ポカーンとしたオレンジ髪は、ただ見送るしかありません。ハチマキは未だに再起動せずにぶつぶつ言ってます。

「うむ、ナアァイスプレェイ。
それでは私も帰るとしよう。アアァディオオォォス」

やたらと渋い声をまき散らしつつ、お父さんがふわりと浮きあがりました。
そのままクルクルと回転しながら、青空へと飛んでいきます。

「ま、待てーっ!!」

その時、その場に今まで無かった声が響きました。
見れば、ガジェット・ドローンを破壊していた二人のうち、白い服に身を包んだ女性がこっちに飛んできます。
白いバリアジャケット。大きな杖型デバイス。長い茶色い髪。
そう、我らがエース・オブ・エース。全力全壊砲撃魔法少女、高町なのはさんです。
ところで19歳の女性を魔法少女と呼称することについてはこの後真剣に話し合う必要があると思うからお前ちょっと体育館裏来いや。

「逃がさないよ! ディバイン・バスタ-ッ!!!」

流石は全力全壊魔法少女(仮)。いきなりの全力攻撃。マジ容赦ありません。
ウェンディたちが恐れた桃色の全壊バズーカが、お父さんに迫ります。



「……………」

ガインッ

跳ね返されました。



「「「嘘ぉっ!?」」」

46:みっどちる大王
08/12/26 23:55:26 Ug+R/toV
なのはさんとオレンジ髪、ようやく復活したハチマキの声が響きます。
まあ気持ちは分かります。でもお父さんに常識を期待した方が負けです。
お父さんはそのまま回転しながら、青空の彼方へ消えました。
列車の上には、ポカーンと呆けたオレンジ髪とハチマキ。
そして、なにやた自信喪失したのか、膝を抱えていじけてしまったなのはさんが残されたのでした。
どっとはらい。







「……ということで、件のレリック奪取は失敗に終わったらしい」
「ふん、『無限の欲望』も存外に大した事の無い。所詮は試作品の一つに過ぎんか」
「………………」
「しかし、それを防いだのは、あの機動6課であるという話だ」
「ほう、あの夜天の小娘のか。
ならばよかろう。あそこのデータが収集できるのは有意義だ」
「………………………」
「ところで、『無限の欲望』だが本当に大丈夫なのか?
なにやら、培養ポッドから出た際に頭を打って、それ以来様子がおかしいと聞いていたが」
「問題あるまい。確かに妙に従順だったのは気がかりだが。
これまで問題になるような行動ととったことも、その兆候もない」
「……………………………」
「………オイ」
「………起きんか」
「………………はっ」
「やあ、おはよう」
「よく眠れたかね?」
「……いや、違うぞ? 目を瞑って考えていただけで……」
「子供のような言い訳を……」
「そもそも我々に目は無いだろう」
「うう、志を同じくした同士が信用してくれない」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ごめんなさいー、ねてましたー」




(…………まるで萌えないわね)

キュッキュッとガラス容器の表面を拭きながら、ドゥーエさんは内心で呟きました。
時空管理局本局の奥。
隠し通路を通ったその先にある薄暗いこの部屋には、生命維持ポッドに3つの脳みそがフワフワ浮かんでいました。

47:みっどちる大王
08/12/26 23:56:57 Ug+R/toV
時空管理局 最高評議会。通称3脳です。
バラバラだった世界を平定し、時空管理局を生み出した人物たちであり、今も肉体を捨てた頭脳のみの存在となって、裏から時空管理局の意思決定の全てを司る、まさに時空管理局の真の支配者―
―ということになっていたはずなのですが、最近ではいい感じにボケが進行してきて、変なことばっかり言ってる脳みそ爺さんと化しています。
天然ボケの関西美少女が言えば萌えるかもしれないセリフも、ボケ始めた脳みそ爺さんが言っては不気味なだけです。
というか、脳みそが喋ってる時点で不気味さ100%ですね。
ちなみに、時空管理局の意思決定は、レジアス中将の陣頭指揮の下、各部署の責任者が揃って会議を行い、方針を決定する合議制へと移行していました。ビバ民主主義。

(……なんで私がこんなことを)

そして、そんな3脳の納まっている生命維持ポッドの掃除を、現在ドゥーエさんは行っているのでした。
この3脳のお世話、時空管理局本部の秘書課の皆さんの業務範囲だったりします。

(仕事変えようかしら……)

乾いた布巾でポッドの表面をキュッキュッと擦りながら、ドゥーエさんは内心で嘆きます。
毎日の仕事ではなく、秘書課の面々で持ち回りで行っている事なのですが、それでもいつも変なこと言ってる脳みそ爺さんたちのお世話は、ドゥーエさんに結構なストレスを与えているようでした。
一日3回くらい「今日の昼飯はまだかね?」とか聞かれるし。アンタら口ないだろうがどこから食う気だ。
老人介護というのは、やっぱり社会全体で取り組まなければならない問題ですね。

(ってダメ! ダメよドゥーエっ! 今は私が一家の稼ぎ頭なのよっ!!)

ブンブンと頭を振り、弱気な考えを振り払います。
空を見上げ―と言っても実際に見えるのは薄暗い天井ですが―ドゥーエさんは改めて思いを確かにします。

(待っててね、ドクター、皆! お姉ちゃん、頑張るからね!)

愛しい家族の姿を思い描きつつ、心に誓うドゥーエさんなのでした。


「ふむ、ところでドゥーエ君。今日の昼食はまだかね?」
「ドゥーエ君、私の眼鏡はどこだろう?」
「先生すいません忘れ物しましたー」


「………………」

とりあえず、今日はオーリス誘って飲みに行こう。
そう決めたドゥーエさんなのでした。





「「「………………」」」
「……お前たちは……」

いつも愉快なスカリエッティ一家秘密研究所。
そこで、セイン、ノーヴェ、ウェンディの3人は正座させられていました。
場所は、リビングです。

48:みっどちる大王
08/12/26 23:57:48 Ug+R/toV
カーペットも座布団もないところに正座させられているのでとても足が痛いのですが、今の3人に文句をいう気力はありません。
そして、その3人の前でプルプルと震えながら俯いていたチンクさんが、唐突にクワッと目を見開きました。

「こんの、大バカ者どもがああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「「「ひいぃぃぃっ! ごめんなさいいいぃぃぃぃぃっ!!」」」

チンクさん、咆哮。
怒ってます。怒りまくってます。
怒りのあまり、髪が逆立って見えます。
まさに、怒髪天を衝く、って感じです。

「突然いなくなったと思ったら、列車強盗だとっ!? 一体なにを考えているんだ!!
お父さんやキャロが居なかったら、どうなってたと思ってるっ!?
いやその前に、遊ぶ金欲しさに強盗など言語道断だっ!!
姉はお前たちをそんな風に育てた覚えはないっ!!」

アンタに育てられた覚えはない、と返すのがこういう時のパターンなのでしょうが、覚えがない、どころか、ナンバーズ年少組を誰より面倒見ていたのがチンクさんであることは、一家全員の共通認識です。
姉どころか、その存在感はもはや母、と呼んでも過言ではないくらいです。
あふれ出るお袋さんオーラに、幼児体型であるはずのチンクさんが不動明王の如く巨大に見えます。
チンク明王。きっと家内安全や子供の健康にご利益があることでしょう。でも身長が伸びなくなります。

「……ねえクアお姉ちゃん。セインお姉ちゃんたちどうしたの?」
「ん~、セインちゃんたちは、ちょっととっても悪いことをしちゃったのよ~。
それでチンクちゃんに怒られてるの」
「悪いこと? つまみ食い?」
「ある意味つまみ食いかもしれないわねぇ。
ほら、じぃっと見てても面白くないから、オットーたちに遊んでもらってきなさいな」
「ハーイ」

横で、ヴィヴィオとクアットロがのんびりとしたやり取りをしています。
ヴィヴィオの純真な視線が、ボンクラーズの胸にグサグサと突き刺さりました。

「……う~ん」
「どうですか? ドクター」
「やっぱり、色んなところで話題になってるねぇ」

ガミガミガミガミと、背後で延々と落ち続けるチンクさんの雷とボンクラーズの悲鳴をBGMに、スカリエッティさんはPCを弄ってました。
覗いているのは、各ニュースサイトです。
後ろに控えていたウーノさんが覗きこめば、ブラウザ上には、今日の列車強盗事件に関するニュースがずらずら並んでいます。
機動6課のお手柄を称賛する記事が多いようでしたが、中にはセインたちの写真を公開しているサイトもありました。

「……これは、まずいのではないですか?」
「まずいねぇ。このまま放っておいたら、私たちの所まで捜査の手が入ってくるかもしれないし」

フウッとスカリエッティさんとウーノさんが揃ってため息をつきます。
仕方無い、とばかりに、スカリエッティさんは首を振りました。

「全く、しょうがないね。
ウーノ、ドゥーエのところに連絡しておいてくれるかい?」
「分かりましたドクター。今すぐに」
「うん、よろしく。
さて……チンク、お説教はその辺にしておこう」

49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/26 23:58:35 9YgAUvyy
おっと遭遇支援

50:みっどちる大王
08/12/26 23:58:55 Ug+R/toV
スカリエッティさんが、チンクさんとボンクラーズに声をかけます。
チンクさんは「しかしドクター!」と不満そうな様子でしたが、ボンクラーズは地獄で仏とばかりに輝いた顔をしてました。
その様子に苦笑しながら、スカリエッティさんは口を開きます。

「さて3人とも。
これから出かけるから、用意してきたまえ」
「……? 出かけるって、何処にっスか?」

ウェンディの問いかけに、スカリエッティさんはフフッと笑って答えます。

「悪いことをして、人に迷惑をかけたんだ。
迷惑をかけた人に謝りに行くのは、当然のことだろう?」






「おーいボンクラーズー! ちゃんと働いてるー?」
「うっせーハチマキ! いちいち来んな! 暇なのかよテメエ!」

渡り廊下からかけられた声に、ノーヴェは鎌を振る手を止めて叫び返しました。
視線を上げれば、そこにはニマニマとした笑みを浮かべたハチマキ―スバルの姿があります。

「ほらほら、さぼってないでちゃんと草むしりしなきゃダメだよー」
「うるせーっての! 言われないでも分かってるっ!」

からかうような声に、ノーヴェはキャンキャンと叫び返します。
現在、ノーヴェは時空管理局本部の中庭で、草むしりをしている最中でした。
スカリエッティさんに連れられて時空管理局まで事情説明と謝罪に来たのが3日前。
散々嫌味を言われましたが
(「お子さんの躾はご夫婦お二人できちんとやってくださらないと困りますよ」と言われてスカリエッティさんの隣に立っていたウーノさんが「いやそんな、夫婦だなんて!」とクネクネしてました。とても嬉しそうでした)
一応は、TVなどで報道されている、ロストギアを狙ったテロリストなどではない、ということは納得してもらえました。
普通はそんなにあっさり納得したりしないんでしょうが、きっとドゥーエさんが物凄く苦労して色んな人を説得してくれたのでしょう。
そして、強盗自体は未遂に終わったのでこの一件は立件したりもせず、代わりにボンクラーズ3人は時空管理局で罰掃除をする、ということになったのでした。
一応バイト代も出ることになっているので、ノーヴェたちの金欠も解決です。

「その格好も、似合ってるじゃん!」
「余計なお世話だ! つーかそっちから言い出した格好だろうが!!」

顔を真っ赤にして、ノーヴェが怒鳴ります。
そんなノーヴェは現在、体操服にブルマー、という格好でした。
体操服の胸には、「1ねん3くみ ノーヴェ」と書かれたゼッケンが縫い付けられています。
ボンクラーズが罰掃除をする、と決まった時に、レジアス中将が「この格好じゃなきゃ嫌だっ!!」と駄々をこねたので決まったユニフォームでした。
なお、「体操着の裾はブルマーの中に入れる派」のレジアス中将と、「外に出す派」のスカリエッティさんとの間で、夜を徹した熾烈な論戦があったことは記憶に新しいです。
朝日が差し込む会議室の中、貫徹で激論し続けた2人の間には、夕暮れの河原で殴りあった番長たちのごとく奇妙な友情が芽生えたそうです。
結論は、『一日交代で裾を出したり入れたりしよう』ということでした。
死ねばいいのに。

「まあまあホラ、他の二人もちゃんとやってるわけだしさ」
「あの格好だって似たようなもんだよ! っつーかお前らダメ過ぎだ!!」

ちなみに、ウェンディは割烹着姿で局内の掃除を、セインはメイド服でお茶汲みをやってます。
この服装と仕事は、時空管理局内に意見箱が設けられ、そこに寄せられた実に5325通もの応募の中から、厳正に厳正を極めた審査の上で決定したものです。
この内容が発表された時、時空管理局本部から発せられた勝ち鬨と嘆きの声は、クラナガン全土を揺るがしたと言われています。
今の建物内で、そしてノーヴェの姿が窺える植え込みの中で、仕事そっちのけで美少女の激写に励む局員たちの雄姿があちこちで散見できます。
もうダメですね時空管理局。法の塔もなにも崩れ落ちればいいと思います。

51:みっどちる大王
08/12/27 00:01:30 8Tf5cvBI
「チックショウこのやろう! 勝負だ、今日こそ泣かしてやる!」
「へっへーん! 列車の上で半泣きになってた人にやられたりしませーん!」
「泣いてたのはテメエだろうが! お父さんに迫られてピーピー泣いてたくせに!!」
「なんだとー! やるかー!?」
「やらいでか!!」

思考回路の似ている二人が揃うと、とめどなく話は暴走していきます。
腕まくりをし、額がくっつくほどに顔を近づけて睨みあう脳みそ筋肉な二人。
今まさに戦いの火蓋が切って落とされようとした、その時―

「―止めんかバカ者」

「あ痛ぁっ!?」

―スコーン、と音をたてて、ノーヴェのコメカミに先の丸まったスティンガーが食い込みました。
驚いてスバルが視線をやれば、そこにはスティンガーを投げ放った姿勢のまま、疲れたように溜息を吐くチンクの姿があります。

「あ、チンクさん」
「げぇ、チンク姉、に皆!?」

ノーヴェがビックリした声を出しました。
チンクさんの後から、スカリエッティ一家の皆さんがゾロゾロとやってきたのです。

「あー! ノーヴェお姉ちゃん可愛い!」
「確かに。ノーヴェ姉様によく似合ってると思う」
「そ、そうかな。ちょっと刺激的な気もするけど……」

ヴィヴィオが無邪気に嬉しそうな声を出し、それにヴィヴィオを肩車したオットーと隣のディードが答えます。
オットーはノーヴェのむき出しのフトモモやらチラチラ覗くヘソやらが恥ずかしいのか、少し顔を赤らめています。
そんなオットーの態度に恥ずかしさがぶり返したらしく、ノーヴェは両腕で体を隠しながら、慌てて言いました。

「な、なんで皆がここにいるんだよっ!?」
「お前たちがさぼってないか、確かめに来たんだ」
「後はまあ、折角のノーヴェちゃんたちの可愛らしい格好を、一目この目で見ておこうと思ってね~」

真面目な顔のチンクさんの答えと、明らかにからかっているいるクアットロさんの答え。
ノーヴェはもう顔を赤くするしかできません。
と、そこでスバルが意地の悪い顔をして、元気よく手を挙げました。

「ハイハーイ! チンクさん、昨日ノーヴェがさぼって木の下で昼寝してました!」
「あ、てめえハチマキ! 告げ口してんじゃねえ!!」
「……ほう、ノーヴェ。詳しく話を聞かせてもらおうか」

楽しそうな顔のスバル、涙目のノーヴェ、真顔でにじり寄るチンク。
その様子を、スカリエッティ一家の面々が楽しげに見守ります。
撮影対象の美少女が増えた局員たちは、より一層気合いの入った動きでシャッターを切りまくります。

きょうも、クラナガンは平和なのでした。


晴れ渡った空の上を、お父さんと、「待つのー! リベンジなのー!」と叫びながら追いかけまわすなのはさんが高速で飛んでいきました。

52:みっどちる大王
08/12/27 00:05:44 8Tf5cvBI
投下しゅーりょー

なんかもうギャグじゃなくてほのぼのコメディとか目指そうかなぁ、と思い始めた今日この頃。
文章で笑いを作るって本当に難しいな。
とりあえず、思いついた頃からやりたかった「ディバイン・バスターを跳ね返すお父さん」を書けたのでちょっと満足です。

あと、×DOD氏。
すんませんでしたああぁぁぁぁぁっ!!!(土下座
でもピポスバルは可愛いと思います!!

53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 00:17:51 GsS6ZIHB
GJ!さすがおとうさん!

54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 00:21:06 DySgTVpR
GJ。果てしなく和んだww

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 01:11:54 aLzTgMdH
アクセルシューター位は跳ね返すと思ってたけどw
しかも管理局がUCAT並にダメになっとるww

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 01:15:07 BShCWF3E
お父さんならアルカンシェルも楽勝だ!

57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 02:10:27 e6DjzMPv
きっと管理世界ではマホカンタとかリフレクの類は禁呪扱いに違いない。

58:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 02:23:16 5Ea2pF/8
かわええ、和んだわぁwww

GJでした、実に良い和み。

59:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 03:12:42 J5yQm9w3
出たwwお父さんの「大丈夫、跳ね返した」
というかホント、平和すぎるww

60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 08:53:41 yWLGjAbb
GJ!
お父さん、宇宙的恐怖ですかw
確かにsan値減少しますが

61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 09:33:02 1ImLKZ5T
GJ!お父さんはピポスバルを応援しているようです。

あとゆりかごは面白いことになってると思う、お父さん的に考えて。

62:リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE
08/12/27 09:42:06 2zh2aCIy
どうも、おはようございます。
1000ごろ、投下いいですか?


MYPCが吹っ飛んでデータ全部消えた……

63:リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE
08/12/27 10:06:12 2zh2aCIy
皆有明に行ったのかな?
とりあえず投下しますね。

リリカル・コア捏造依頼集その3です。

64:リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE
08/12/27 10:10:20 2zh2aCIy
依頼:ネクストチーム無力化支援
依頼主:リンディ・ハラオウン
作戦領域:PA-N51
作戦目標:敵ネクスト無力化

ミッションを説明します。

アルゼブラ社の所有する、エリア“PA-N51”に存在する新資源プラントの査察を行います。
ですが現在のところ所有者であるアルゼブラ社は査察を拒否し、あまつさえ警備の増強として複数のネクストを派遣して徹底抗戦
の構えを見せています。
現在確認されているネクスト機は四脚型のランク・15:レッドラム、軽量型のランク・19:スタルカの二体です。

あなたの任務は私と協力し、この二体を無力化、我々の査察を実施できるようにすることです。
しかし、私はフロントでの魔力を使った戦闘にはお世辞にも適してはいません。
大量の魔力を利用した戦闘は得意とするのですが……。
その為、私は支援に回ります。
あなたにはフロントでの戦闘をお願いします。
現地の天候は降雪を伴った濃霧により視界がかなり制限されており、悪天候により巡航艦や衛星からの支援も期待できません。十
分な索敵兵装を用意しておいてください。

これは管理局からの正式な依頼です。
危険な任務とは思いますが十分は報酬を用意いたしました。
なお、追加の成功報酬としてこちらが把握しているあなたの重罪となる幾つかの違法行為に対する減免も考慮しても良いとの事で
す。悪い条件ではないでしょう。

良い返事を期待しています。


依頼:ギア・トンネル確保
依頼主:クロノ・ハラオウン
作戦領域:管理世界“オルセア”ギア・トンネル
作戦目標:大型エネルギー砲“プロキオン”の撃破

時空管理局、執務官・クロノ・ハラオウンだ。
ミッションを依頼したい。
管理世界“オルセア”の交通の要衝、ギア・トンネルに潜んでいる大型エネルギー砲“プロキオン”を全て破壊してほしい。

同地は現在、武装勢力同士の境界線上にあり、交通の要衝ということもあり激戦が繰り広げられている。
トンネル内を自由に出入りしている“プロキオン”は脅威度の高い目標だ。
旧式とは言えその火力は高く正面から当たるのは危険だ。
幸い、交通の要衝ということもあり複数の道路が交差するトンネルで横から回り込むことが出来るだろう。

地中深く掘られているトンネルは上空からの砲撃では一切効果が出せず、二度に亘り突入したノーマル部隊も連絡を途絶した。
このまま放置しておけば同地における微妙な戦力バランスを崩す原因に成りかねず、その場合、バランスがどちらかに傾くのは目
に見えている。

これは秘密事項だが現在、我々主導で停戦協定の協議がひそかに行われている。
両者とも主力となるアームズ・フォートを失ったので戦力の再編成の時間を稼ぎたいのが本音だろう。
この状況で表立って我々が動けば協議は流れ、折角の和平への道筋も流れてしまうのは目に見えている。

君達に依頼しなければならないのは苦渋の決断だが、この状況においては君達を頼りにせざるを得ない。
では、よろしく頼む。

65:リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE
08/12/27 10:13:09 2zh2aCIy
依頼:クラニアム防衛
依頼主:フェイト・T・ハラオウン
作戦領域:“アルテリア・クラニアム”
作戦目標:侵入者撃破

緊急の依頼の為、依頼を直接送信しています。

ミッドチルダに点在するエネルギー供給施設、“アルテリア”の中でも最大の規模を誇る“アルテリア・クラニアム”に対するテ
ロ攻撃が計画されているという情報が入りました。

本来ならミッドチルダ方面管区の部隊でもって対応したいのですが、現在ミッド駐留部隊は他のアルテリア施設防衛に対処中でこ
ちらへの支援は出来ないとの事です。
本局にも打診しましたが、こちらも地上の一世界の案件に対して本局直卒の教導隊等は投入できません。
ただ本局からの増援が許可されたとしてもミッド到着まで時間がかかります。

予想される戦力は通常部隊に加えて間違いなくレイブン、もしくはリンクスが投入されるでしょう。
“クラニアム”には警備部隊、防衛システムが配置されていますが侵入を許す可能性が高いのです。

そこで私と共に“クラニアム”中枢で侵入者を捕捉し、交戦状態になった場合、迎撃、撃破します。
しかし、出来得る限り侵入者を生きたまま逮捕したいのです。
難しい条件だと思います。ですがこれは譲る事の出来ない条件です。

少ないかもしれませんが報酬も用意いたしました。
連絡を待っています。


依頼:輸送車両襲撃
依頼主:エムロード
作戦領域:ミッドチルダ・クラナガン高速輸送路T-20
作戦目標:輸送車両破壊、積荷調査

ジオマトリクス社の輸送車両を襲撃してほしい。
目標はクラナガンの高速輸送路T-20を進行しているがこのルートは平時のジオ社の輸送ルートから外れている。
通常とは違うルートを進んでいるという事は何か特別な積荷を運んでいる可能性がある車両という事だ。
輸送車両を撃破し搭載している積荷を調査してくれ。

襲撃地点だが、輸送車両は秘匿のためか交通量は少ない高速輸送路T-20を通過が予想されている。このルートの分岐も少ない。
護衛部隊も少数しか随伴していないので襲撃は容易だろう。
しかし目標は高速で走行するため、一度見失えば再補足は困難となる。気を付けてくれ。

積荷を調査し、ジオ社の違法研究を白日の下に曝す事が出来れば我々はシェア争いにおいて有利な立場に立つことが出来る。

君達レイヴンに依頼する理由は、ミッドは管理局地上本部のお膝元である以上、我々企業が不用意に動けば例え管理局といえど我
々に対し圧力をかけざるを得ない。
ジオ社がここを輸送ルートに使用したのもそれを利用しようとしているのだろう。
そこで君達の出番というわけだ。
では、朗報を期待している。

66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 10:16:54 2zh2aCIy
依頼:B7R占拠部隊排除
依頼主:ティアナ・ランスター
作戦領域:最深度採掘施設“B7R”
作戦目標:オーメル社占拠部隊排除

ミションを説明させてもらいます。
トーラス社所有のコジマエネルギープラント、“B7”を武装占拠しているオーメルサイエンス社のノーマル部隊を排除します。
これはトーラス社の要請により我々管理局が奪還する事になった為です。

あなたに依頼するミッションは私達管理局突入部隊の進入に際して先行し施設各所に展開しているノーマル部隊を無力化してくだ
さい。
閉鎖空間であるため本来は拡散する筈のコジマ粒子が高濃度で滞留しており、長時間の作戦行動は事実上不可能です。
占拠部隊の兵力は多数のノーマルが中心と見られていますが詳細は不明です。
さらに難しくしている要素は施設最奥部に存在する三基のコジマエネルギープラントで、これが破壊されればさらに高濃度のコジ
マ粒子が流出しさらに危険なことになるでしょう。
これに関連してトーラス社からコジマエネルギープラントの被害に応じて追加報酬が支払われます。

このような状況から、悔しいですが我々だけでは実力による短時間の排除は不可能に近いでしょう。
そこで戦力の増強の為、あなた達の出番となります。

危険なミッションですが十分な報酬を用意いたつもりです。
あなた達の働きに期待します。


依頼:最深度採掘施設“B7”エネルギープラント破壊
依頼主:トーラス
作戦領域:最深度採掘施設“B7”
作戦目標:コジマエネルギープラント破壊

ミッションの概要を説明します。

ミッション・ターゲットは最深度採掘施設“B7”最下層にある三基のコジマエネルギープラントです。
“B7”は現在、オーメルに武装占拠されており、相当数の部隊が展開しているのが予想されます。
本施設占拠事案に関連してトーラスは管理局に対してオーメル部隊の排除を要請しています。
ですがトーラスは現在施設内に展開中の管理局部隊に対する攻撃に関して許可しています。
管理局部隊は執務官に率いられた小部隊です。たいした存在ではありません。
現在、管理局部隊は施設内のシャフト及び地下施設の一部に展開し、オーメル部隊は施設最下層に展開しており、睨み合いが続い
ています。

施設内に滞留するコジマ粒子による機体ダメージが想定されます。さらにプラントを破壊すれば高濃度の流出したコジマ粒子によ
って状況はさらに悪化するでしょう
従って今回のミッションプランは抵抗するオーメル部隊並びに、突入した管理局部隊を排除しつつ施設最下層に侵入、ターゲット
をすべて破壊、その後速やかに脱出して頂く流れとなります。

ミッションの概要は以上です。
危険なミッションです。だからこそオーメルはあなたを希望しています
良い返事を期待していますね。

67:リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE
08/12/27 10:19:59 2zh2aCIy
依頼:証拠物件破壊
依頼主:GA社
作戦領域:エルセア近海
作戦目標:AF“ギガ・ベーズ”破壊

作戦を説明する。
雇い主はいつものGA。
目的は管理局に差し押さえられたGA製の主力AF、“ギガ・ベース”の破壊だ。

目標は現在、管理局艦隊に護衛されエルセア港に向けてエルセア近海を曳航されている。
予想される進路では最短で数日中にも到着、調査の手が入るとの事だ。
護衛の管理局艦隊は第八艦隊の巡航艦を中心に多数の護衛要員に守られており、数だけは十分に揃えている。

この護衛部隊を突破し、目標を破壊しろとのお達しだ。
偉いさん、詳しい話をしなかったが、管理局に差し押さえられると色々と面倒な代物なんだそうだ。
まあ、偉いさんには偉いさんなりの事情があるんだろう。

ああ、それと今回はおまえさんの同業者が関与してくる可能性もある。
悪い事は言わないから武装は充実させておいた方がいい。

こんなところか。
危険な作戦だが見返りは十分に大きいぞ。
連絡を待ってる。


依頼:証拠物件護衛
依頼主:管理局第八艦隊
作戦領域:エルセア近海
作戦目標:証拠物件AF“ギガ・ベース”の護衛

ミッションを連絡します。
我々が証拠物件として差し押さえたAF、“ギガ・ベース”を輸送航路上での護衛をお願いします。
あなたは“ギガ・ベース”に直接乗船し、我々第八艦隊の輪形陣を突破した敵性兵力を撃破してください。

現在、護衛対象は我々の護衛下、エルセア港に向かって曳航されています。
本護衛対象はGA社が我々が兵器の輸出入を禁止している世界、“オルセア”に密輸出しようと準備していたモノです。
主兵装である大口径砲の艤装はされており、副兵装の艤装も完了し、後は移送を待つだけの状態で九割方完成しています。

おそらく本証拠物件の破壊の為、GA社による本格的な妨害工作が予測されています。
我々の護衛だけではGA社の本格的な攻撃には対応しきれません。
ですが本証拠物件の調査によってGA社、ひいてはこれを糸口に企業連全体の不法行為を白日の下に照らす事が出来るかもしれま
せん。
その為にもこれを失うわけにはいきません。

これは貴方達にとっても悪い話ではないでしょう。
企業や武装勢力が大型兵器や、より安価な“ハイエンド・ノーマル”に対する依存を再考する一助になるでしょう。
今度は貴方達に対する依存度を強め、貴方達“独立傭兵”にとって仕事に困る事はなくなる筈です。

我々にとっては不本意な事ですが、次元世界の安定の為にはあくまでも“管理できる戦力”が必要なのです。

説明は以上です。
是非とも貴方の力を我々にお貸しください。
協力をお願いします。

68:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 10:24:30 2zh2aCIy
依頼:“イクスヴァリエ”確保
依頼主:キサラギ
作戦領域:ミッドチルダ・管理局海上隔離施設
作戦目標:“イクスヴァリエ”確保

管理局の保護下に在る“マリアージュ”事件における重要参考人、“イクスヴァリエ”を確保してください。

管理局内の内通者からの情報で目標の正確な位置が突き止められました。
目標の“イクスヴァリエ”、通称“イクス”は現在、管理局所有の海上隔離施設に保護されている模様です。

こちらの調査で“イクス”は“マリアージュ”と呼ばれる生態兵器の一種の司令塔であり、さらに生産も可能な古代ベルカの“冥
王”だという事が分かりました。

彼はこの世に現存する古代ベルカの貴重なサンプルです。
オリジナルかどうかは不明ですが、例えクローンであったとしても、新暦以前、旧暦を更に遡る時代に存在した彼女を研究する事
が出来れば我々の研究に多大なプラス要素をもたらすでしょう。
是非とも我々の手に入れたいサンプルなのです。

“イクス”の保護されているミッド方面管区海上隔離施設の警備は自律式のガードロボットが中心で、武装した警備要員は極僅か
であると予想されます。
特に警戒するべき存在はありません。
ただ騒ぎを聞きつけた管理局部隊に急行される可能性があります。
そのため、本作戦は増援の到着前に完了してください。

では、貴方の活躍に期待します。

69:261
08/12/27 10:33:05 2zh2aCIy
依頼:ラインアーク侵攻部隊迎撃
依頼主:ラインアーク
作戦領域:連合部隊FOB
作戦目標:管理局・企業連連合部隊

依頼の内容を説明させてください。
管理局・企業連連合部隊によるラインアーク中央区画に対する攻撃が開始されようとしています。
彼らは我々と話し合いの場による解決を望む、そう言いながらついに牙を剥いて来たのです。

我々には“ホワイト・グリント”という強力な切り札があります。
ですが彼らが本気を出したとすればこの切り札も決して十全な戦力であるとはいえません。
そこで貴方には我々のもう一枚の切り札となって頂きたいのです

利潤のみを追求し地上を捨て、地上を汚染し続ける企業連と、汚染されていく地上を軽視し、次元宇宙に浮かぶ揺り籠から世界を
管理しようとする管理局、彼らは人類にとって独善的寄生虫と、選民的な高ランク魔導士による独裁的管理を標榜するもはや正当
な経済・管理主体であるとはいえません。 
彼らの望む未来、そこに人類の未来などありません。
我々地上の自治市民達こそが、共に手を取り合い世界をそして道を切り開いていくのしかないのです。

難しい依頼かもしれませんが勿論、出来る限りの謝礼も用意させて頂きます。
貴方の力を我々に、そして自由の為に貸してください。

依頼:ホワイト・グリント撃破
依頼主:企業連
作戦領域:ラインアーク近郊
作戦目標:ホワイト・グリント撃破

ミッションを連絡します。
ラインアークの主戦力、ホワイトグリントを排除してください。

現在、我々と管理局の合同して実施されているラインアークに対する強制査察はホワイト・グリントの存在によって膠着状態にあります。
ホワイトグリントは登録上のランクでは比較的上位に入っているに過ぎませんが実際には、そのランクよりもはるかに強力なリンクスです。
そうでなければ現在の膠着状態は生まれていません。

あなたであっても、例え彼が単機といえど苦戦は必至です。大変危険な相手といえるでしょう。
本作戦に併せて、ランク1・“ステイシス”に同様の任務が発令されています。
彼と協力し、ホワイトグリントを撃破してください。

戦力の中核であるホワイトグリントを撃破すれば彼らの抵抗の意思は砕けるでしょう。
そうなれば我々の体制は更に磐石なものとなります。
我々はこのミッションの為に最高の戦力を用意しました。
後はあなたにお任せします。

依頼:ラインアーク防衛部隊排除
依頼主:管理局
作戦領域:ラインアーク近郊
作戦目標:ラインアーク防衛部隊撃破

我々は企業連の協力のもと、地上における最大の連合勢力であるラインアークに対して一斉捜索を行う事になった。
君にはそれに先立ち、強い抵抗が予想されるラインアーク防衛部隊を撃破、無力化してもらいたい。

敵の編成はノーマルを中心とした防衛部隊が中心だが、一番の難敵として予想されるのは彼らの切り札、“ホワイトグリント”だ。
君一人では間違いなく苦戦は免れないだろう。そこで今回は企業連側が用意したランク・1、“ステイシス”と協同し、これを撃破してくれ。

ラインアークは複数のテロリストを匿っているという複数の信頼できる情報源からの情報がある。
このまま彼らを野放図にしておけば早晩、最悪の事態を招く事になる。それを阻止する為にも今回の一斉摘発が必要なのだ。

作戦の説明は以上だ。
それでは、君の生還を祈っている。

70:リリカル・コア ◆QX1.NIIFiE
08/12/27 10:45:37 2zh2aCIy
以上でございます。
今回のコンセプトは……

「こんな話聞いてないぞ!!」
例:海上隔離施設襲ったらN2Rが相手になります。(ハードだとスバルにティアナが付きます)
例:トンネル内を走ってたらそこにはAFよりキツイ相手が!!
例:「ちょ、トーラス、話が違う!!」(依頼人がだまされています)

と、まあこんな感じです。


71:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 13:52:10 7K+ABZ4D
ひょっとして、ロボゲ板の「いろんな世界にレイブンを…」というスレにいませんでした?

72:みっどちる大王
08/12/27 15:17:56 Uds14+6l
むう、ACは名前くらいしか知らないのでネタが分からない……

ところで、いい加減にまとめの方での掲載を連載に移そうか、と考えているのですが
(まとめに掲載してくれた方、ありがとうございます)
過去に別の名前で書いた短編へのリンクも、自分の連載ページに載せていいものでしょうかね?

73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 15:20:11 ygF58e+6
その方がいいですね。

あと、他作品の名前を作中で出して、あとがきで謝るくらいなら最初からしない。
もしくはチャットなりどこなりで許可取ってからの方が

74:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 15:35:18 BxngJQhm
GJ!!です。
管理局からの依頼の場合、依頼者が実は嫌がってるのが笑えるw

75:一尉
08/12/27 15:52:30 WMXqXJJr
むしろ依頼主はいずれ裏切りしまうよ。

76:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 17:08:32 ejEYUmcK
2日も過ぎてから何ですが・・・



クリスマスって、ハンス・グルーバーとスチュアート大佐の命日で良いんだよね?



という訳で、20:00よりR-TYPE Λ 第二十二話を投下させて頂きます

リインフォース?
ああ・・・居たなァ、そんなのも・・・


77:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 17:10:57 nI8GrVV8
このミッションに挑むレイブンのSSをだれか、書いてくれないかな

78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 17:40:50 BxngJQhm
支援

79:高天 ◆7wkkytADNk
08/12/27 18:00:52 qMFwiaV8
こんばんわです。
今年最後のラクロアを投下いたします。
時刻はR-TYPE Λ様の前、19時を予定しています。
よろしくお願いいたします。

80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 18:17:41 0dyf0mI6
>>76
もしもし・・・

エスペランザ将軍を御忘れでは?

81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 18:29:20 46I0C5XN
預言者ムハンマドとのクロス→はやて、ヴィータ、なのは、フェイト(もち
三人娘は9歳)が犯される

82:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 18:45:32 GUmVWYBA
>>76
惑星破壊波動砲チャージ開始!

83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 18:57:33 cHBv3SKh
連続大作投下支援

84:高天 ◆7wkkytADNk
08/12/27 19:05:10 qMFwiaV8
申し訳ありません、投下時間を遅らさせていただきます。
R-TYPE Λ様の後、21時でお願いいたします。

85:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:00:13 ejEYUmcK
それでは投下します
回数が多い為、できる限り支援をお願いします



『フェイト・T・ハラオウン執務官以下7名、小型次元航行艦にて人工天体内部より帰還』

その報告を受けた瞬間、リンディの脳裏へと浮かんだのは安堵だった。
本局を含め、次元世界の全てが隔離空間内部へと取り込まれ、全世界を巻き込んでの艦隊戦が勃発してから、既に2時間。
魔導砲と波動砲、そして陽電子砲の光が乱れ飛び、次元震と核爆発が乱発生する、混沌と狂騒の戦場。
その最中にあって、本局はまるで取り残されたかの様に、無傷のまま人工天体の程近くに浮かんでいた。

何も、理由なく戦火を避けられた訳ではない。
単に本局と各世界艦隊との間に、汚染艦隊が群れを成しているだけの事だ。
巨大な壁となった艦艇群は、背後の本局艦艇へは見向きもせず、只管に不明艦隊へと攻撃を仕掛けていた。
汚染艦隊の攻撃対象となっている不明艦隊こそが、国連宇宙軍・第17異層次元航行艦隊であるとの事実が捕虜の証言から判明したが、しかし彼等が繰り広げる戦闘は管理局の想像を絶する熾烈なものだ。
撃ち掛けられる核弾頭を各種光学・熱化学・実弾兵器で迎撃し、反撃として更に大量の核弾頭と、艦首陽電子砲を中心とする戦略兵器を汚染艦隊へと撃ち込む。
どうやら地球軍の主力艦艇は性能面で汚染艦艇のそれを大きく上回っているらしく、敵の陽電子砲最大射程の更に倍近い距離から攻撃を実行しているのだ。
そして戦域へと展開した数百機のR戦闘機が攻撃に加わり、地球軍艦隊周辺域での戦況は、宛ら殲滅戦の様相を呈している。
一方的な攻撃に、為す術なく撃破されてゆく汚染艦隊。
更に、形勢を立て直した管理局艦隊の突撃による無謀とも思える近距離からのアルカンシェル一斉砲撃により、地球軍による攻撃とも併せ既に400隻以上の汚染艦艇が撃破されている。
其処に各世界の戦力による、魔法・質量兵器を問わない大規模な攻撃も加わり、隔離空間内部は汚染艦艇が爆散する際に放つ強烈な発光によって埋め尽くされていた。

しかし、それだけの猛攻が汚染艦隊を襲っているにも拘らず、戦況は悪化の一途を辿っている。
理由は単純、敵の数が多過ぎた。
たとえ100隻の汚染艦艇を撃破したとしてもその都度、見計らったかの様に撃破した艦艇数の3倍近い汚染艦艇が、何処からともなく戦域へと転送されるのだ。
地球軍の出現後は彼等にのみ向けられていた攻撃の矛先も、汚染艦艇の数が爆発的増加を果たすにつれ再び、管理局艦隊を含めた各世界の戦力へと向けられ始めた。
第97管理外世界に関しては、地球軍が鉄壁と云っても過言ではない防衛網を構築してはいる。
それでも、1つの惑星全域を僅か40隻の艦艇と数百機の戦闘機だけで防衛し続けるのは、彼らならば不可能ではないにせよ、決して長続きはしないだろう。
他の世界に関しては更に酷い状況で、圧倒的な性能差と物量差に押し潰され、無数の核弾頭により惑星全土を焦土と化された世界もあれば、何とか迎撃に成功してはいるものの数発の防衛網通過を許し、首都を文字通りの灰燼と化された世界もある。
中には陽電子砲と次元跳躍砲撃での一斉攻撃により、地形の大部分を、それを構成する大陸ごと消し去られた世界すら存在する有様だ。
現在までの2時間余りの戦闘で、既に14の世界の壊滅が確認されていた。


86:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:01:34 ejEYUmcK
だが逆に、惑星を攻撃した汚染艦隊が現地勢力により激しい反撃を受け、壊滅に追い込まれる事例も少なからず観測されている。
艦隊と惑星地表面の双方から間断なく掃射される弾幕により殲滅される機動兵器、地表より放たれた極大規模魔導砲撃に呑み込まれて蒸発する艦艇、現地艦隊より放たれた核弾頭により消滅する汚染艦隊。
形は違えども、汚染艦隊に対して実行される猛攻に次ぐ猛攻により、観測済み世界の7割以上は未だ健常を保っていた。
ミッドチルダも例外ではなく、未だ修復作業中の1基を除き、完全ではないが応急的に修復された2基のアインへリアルが放つ猛烈な砲撃により、既に接近しつつあった7隻のゆりかごを撃破している。
「AC-51Η」の更なる発展型、拠点用大型魔力増幅機構「AC-88Κ」による砲戦能力の強化は、それまでの常識を覆す超長距離砲撃戦の展開を可能としていた。
空間歪曲等の特殊反応誘発機構を有さないが故に、純粋破壊力と射程を極限まで強化された魔導砲撃は、あらゆる装甲を撃ち抜き融解させ、内部機構を破壊するに留まらず全てを貫通し、射線上の全てを薙ぎ払う。
その配置ゆえ、クラナガンを中心とするミッドチルダの一部地域のみを防衛するに留まるアインへリアル。
しかし隔離空間内部に於いては各惑星の公転が停止している上、汚染艦隊は常に人工天体を中心として拡散する波の様に出現しては侵攻を開始している。
ミッドチルダがクラナガンを人工天体へと曝すかの様な角度を保っている現状は、当然ながらリスクも大きいが、アインへリアルの能力が最大限に活かせる状況だった。
現在までに判明した、汚染艦隊が有するあらゆる長距離戦用兵装の最大射程を僅かに上回る距離から、一方的な砲撃を加える事に成功している。
更に時間が経過すれば、修復の完了した3基目が砲撃に加わるだろう。
戦況は芳しくないものの、敗北が決した訳ではない。

そんな中で本局は状況の把握に追われ、下部構成員から上層部に至るまで、組織全体が混乱の極みにあった。
最前線で交戦中の艦隊戦力、若しくは各世界での対応に当たっているであろう部隊は独自の判断で行動せざるを得ないが、本局や支局の様に単体の施設内で組織としてのあり方を求められる状況に於いては、混乱を収束する手立ても時間も存在しない。
情報を収集しつつ状況の把握に努めるのは当然だが、その内容を精査し判断を下す段階となると、途端に情報の流れが鈍るのだ。
何せ本局の位置は、余りに人工天体に近過ぎた。
直衛のXV級が40隻、更に第2・第4支局艦艇が周囲に展開してはいるものの、下手に動けば汚染艦隊からの熾烈な攻撃に曝される事は解り切っている為、動くに動けない。

それだけでなく、通常の次元世界・宇宙空間では有り得ない程に各世界が密集したこの状況下では、管理局としては迂闊な動きを見せる事は出来なかった。
全ての世界がバイドによる攻撃を受けているこの状況に於いても、現体制の転覆を狙う世界は確かに存在するのだ。
次元航行部隊の戦力が分散している現状ならば、本局を落とす事も、危険ではあるが決して不可能ではない。
現にその意図を窺わせる動きが、既に10以上の世界に於いて観測されている。
なけなしの本局防衛戦力を下手に動かして、結果として飽和攻撃を受けては堪らない。
様々な意図が交錯し生まれた未曾有の混乱。
其処に呑み込まれたリンディはレティと共に、要請と指示との間で焦燥に駆られつつ業務を行っていた。

そんな中での、フェイトの帰還報告。
転送事故により人工天体内部へと送られた彼女は、数少ない隊員と共に生存者を求めて内部を捜索し、更に1機のR戦闘機と、バイドにより汚染されたと思しき別のR戦闘機を撃墜。
隊員が発見した小型次元航行艦により人工天体を脱出、最寄りの管理局艦艇である本局へ向けて進路を取ったのだという。
そして約15分前、1隻の次元航行艦が本局ドックへと入港した。
リンディとしてはすぐにでも義娘の無事を確認したかったのだが、目まぐるしく変化し続ける状況に追われ、通信すらも儘ならず今の今まで業務に没頭していたのだ。

だが、つい先程、フェイトの方から連絡があった。
喜び勇んでウィンドウを開いたものの、伝えられた言葉は簡潔なもの。


87:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:01:37 hHVzJ3Zo
支援

88:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:02:48 ejEYUmcK
『すぐに研究区画まで来て欲しい』

その内容に疑問を抱きながらも、同時に表示されたラボ主任の名に、リンディの身体に緊張が走る。
表示された人物の名は、ジェイル・スカリエッティ。
どんな目的があるのか、フェイトは帰還と同時に彼のラボへと直行したらしい。
戸惑いつつも、レティによって研究区へと追い立てられ、今は本局内部を走るリニアレールから降り立ったところだった。
センサーによる人物特定を受け、許可が無ければかなり上位の士官であっても立ち入りの叶わぬ研究区、その入口に展開された障壁が解除されるのを待つ。

数秒後、淡い光を放つ壁が消失すると同時、彼女のリンカーコアに掛かっていた重圧が嘘の様に掻き消えた。
同時に彼女は、区画内の全域に対しサーチを開始する。
これは最早、彼女にとって次元犯罪者と相対する際の癖の様なもので、僅かな異変までも察する為の慣例だった。
彼女の意識に飛び込む、複数のリンカーコアが放つ魔力の波動。
流石にリンカーコアを有し、更に研究区を頻繁に訪れる様な知人ともなると数が多くはない為、既知の波動は義娘であるフェイトのそれと、過去に2度ほど間近にした事のあるスカリエッティのもの位だ。
その周囲に存在する複数の波動は、リンカーコアを有する研究員とスカリエッティの監視任務に就いている武装局員のものだろう。
そして、それらに囲まれる様にして存在する、1つの波動。
リンディにとっては、決して忘れ得ぬそれ。

「・・・え?」

その瞬間、リンディの意識は全くの無防備となった。
業務に関する思考から現状に対するそれに至るまで、全てが脳裏より消え失せる。
其処に時空管理局本局所属・総務統括官の姿は既に無く、1人の女性としてのリンディ・ハラオウンだけが存在していた。

手にしていた数枚のハードコピー、機密の問題から電子化できなかったそれらが、リンディのしなやかな指の合間を擦り抜け、人工重力に引かれて落下を開始する。
それらを纏めていたバインダーが自身の役目を放棄し、耳障りな音を立てて床面へと跳ね返った。
しかし彼女はそのいずれにも反応を示さず、何かに急かされる様にして駆け出す。

スカリエッティのラボまで、あと400m。
久方ぶりの激しい運動、そして決して機能的とは言い難いヒールでの疾走に幾度となく体勢を崩し掛け、だが彼女はそれらの事象に一切の関心を払う事なく駆け続ける。
息が上がり、決して体温の上昇によるだけではない汗を噴き、形容し難い感情に翻弄されながらも、リンディは決して足を止めない。
そして、荒い息を吐き出すその口から、微かで弱々しい、普段の彼女からは想像もできない声が零れる。

「嘘・・・」

ラボまで、あと200m。
筋肉疲労により脚を縺れさせ、リンディは固く冷たい床面へと倒れ込んだ。
咄嗟に腕で庇ったものの、衝撃と共に口の中へと鉄の味が拡がる。
膝頭には疼く様な痛みが生まれ、叩き付けられた身体には軋みが奔った。
それでも彼女はすぐさま身を起こし、再度ラボへと向かって駆け出す。

「嘘・・・嘘よ・・・!」

あと50m。
彼女の理性が、リンカーコアが、悲鳴にも似た音を上げる。
23年前、闇の書によって暴走したエスティアと共に、空間歪曲の果てへと消えた筈の良人。
遺体すら戻らず、息子を抱き締めながら絶望と共に泣き崩れた、あの悲しい記憶。
永遠に失われた筈の、会う事など二度と叶わなかった筈の、愛しい人の魔力。
それが、その懐かしい魔力の源が、彼のリンカーコアが放つ優しい波動が、すぐ其処にある。
もう抑えられない。
抑えようとも思わない。

「クライド・・・!」

震える声、零れ出る名。
漸く辿り着いたラボのドアは彼女の目に、胸の内に宿った微かな希望を撥ね退ける、絶壁の様にも映った。
僅かに残った冷静な自我は、ドアに反射する冷たい光と同調するかの様に、冷酷な認識を囁き続けている。
それは致命的な毒の様に、彼女の心を徐々に侵食していた。


89:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:04:06 ejEYUmcK
希望なぞ持って何になる。
本当に彼が生きているとでも思っているのか。
たとえこの奥に居る人物が本当に彼だとして、あのパイロットの言葉通りならば非人道的な処置を受けている筈だ。
諦めろ、望みを捨てろ。
希望が大きければ大きい程、それが裏切られた際の絶望も深く、大きくなるのだ。
今までに何度、それを実感したのだ。
死んだ筈の彼と再開し、目が覚めてそれが夢だったと気付いた時の絶望。
全てが冷えゆき、惨めさだけが全てを支配する、あの瞬間。
そんな事を繰り返す内、遂にはその夢の中でさえ喜びは欠片も浮かばず、絡み付く悲しみと諦めだけが浮かぶ様になった。
このドアの奥にも、きっとそんな現実が待ち受けているに違いないのだ。

そんな思考が脳裏を埋め尽くしてゆくにつれ、胸中の高まりもまた徐々に醒めてゆく。
クライドの生存が信じられない訳ではない。
信じてそれが叶わなかった時に、嗚呼またか、と絶望する事が怖いのだ。
だからこそリンディは、無意識の内に希望的観測を消し去り、総務統括官としての自身を取り戻す。
あれ程に荒れ狂っていた感情の波は既に、嘘の様に静まり返っていた。

人物特定が終了し、最後の確認としてスキャナーへと手を翳す。
些か旧式な方法だが、確実な確認方法だ。
金属製のドアが、エアの音と共に横へとスライドする。

まず目に入ったのは、治療と検査を受ける複数名の武装隊員達だった。
バイド係数を計測する機器の中央に立つ者も居れば、傷を癒す為に医療魔法を受ける者も居る。
中には、両脚の膝下より先が切断されている隊員の姿もあった。
其処で漸く、リンディは嗅覚を刺激する血の臭い、そして彼等がフェイトと共に帰還した攻撃隊の生存者であると気付く。
どうやら医療区へと赴く暇も無く、この研究区へと直行してきたらしい。
その行動に疑問を覚えつつもリンディは歩を進め、その人物に気付いた。

ディエチ。
JS事件にて拘束、更生プログラム中に戦力として動員された、戦闘機人の1人。
壁際に座り込んだ彼女は、両腕へと抱え込んだ膝に顔を埋めたまま微動だにしない。
周囲の全てを拒絶するその姿は、まるで悲しみに沈む幼子の様だ。
傍らに転がる彼女の固有武装が、持ち主の心情を無視するかの様に冷たい光を放っている。
少し離れた場所では1人の男性局員、確か旧六課のヘリパイロットを務めていたその人物が、言葉を発する事なく壁へと背を預けていた。
既に検査を終えたのか、治療を受ける攻撃隊員を見つめるその目は、此処ではない何処か、或いは何者かを見据えている。
その瞳、酷く濁った殺意が渦巻いているかの様な錯覚すら覚える双眸に耐え切れず、リンディは彼から視線を逸らした。
そしてその瞳が、見慣れた姿を捉える。

「ッ!」

簡易ベッドに横たわる、薄手のバリアジャケットを纏った女性。
逸らした視線の先に、彼女は居た。

「・・・フェイト」
「・・・義母さん」

フェイトだ。
彼女は仰向けに寝かされ、医療魔法による治癒を受けている。
どうやら余程に激しい戦闘だったらしく、高度な医療魔法が継続発動しているにも拘らず、癒え切らない傷が全身へと刻まれていた。
更に、かなりの出血があったのだろう。
輸血を受けるその顔色は、まるで死人のそれだ。
思わず息を呑んだリンディは、すぐに義娘へと駆け寄ろうとする。
だがその行為は、他ならぬフェイトが翳した掌によって押し留められた。

「待って」

思わず足を止めるリンディ。
義娘の行動に戸惑いながらも、何か重要な件についての話があるのだと察する。
程なくしてフェイトは、静かに語り始めた。


90:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:04:30 IWkVQjOU
支援

91:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:05:19 ejEYUmcK
「クラナガンに出現した、あの機体・・・撃墜したよ」
「・・・そう」
「多分、あれから強化されたんだと思う。天候操作魔法に、召喚魔法まで使用してた・・・私達の知る同種魔法の、どれよりも強力な・・・!」

突然、激しく咳き込み始めるフェイト。
口元に手をやり、横たえた身体を痙攣するかの様に折り曲げながら咳を吐き続ける。
余りにも唐突な事に、リンディは反射的に手を伸ばすと、彼女の背を撫ぜ始めていた。
十数回ほど身体が跳ね、ようやく落ち着きを取り戻すフェイト。
彼女は優しく背を撫ぜ続けるリンディの手に自身のそれを重ねると、荒い息を吐きながらも安心させるかの様に笑みを浮かべ、赤く充血した目を義母へと向けた。

「ごめん・・・もう、大丈夫・・・」
「何が大丈夫なものですか。良いから、もう休みなさい。本当に・・・本当に、良く帰ってきて・・・」
「義母さん」

幼子をあやす様にして、フェイトを寝かし付けようとするリンディ。
しかしフェイトは再度リンディの行動を遮ると、荒い息もそのままにラボの奥を指差し、言った。

「会ってあげて、義母さん」
「何を・・・」
「23年振りでしょ? お願い、あの人に・・・会って、あげて」

そう言い終えると、フェイトはゆっくりと瞼を下ろす。
後には穏やかな寝息だけが残り、リンディは軽く安堵の息を吐くと義娘の頭を優しく撫ぜた。
しかし数度目に手を這わせた時、彼女は自身の指に絡み付く物がある事に気付く。
リンディは何気なくそちらに視線をやり、視界へと映り込んだ物に絶句した。

「ッ・・・!?」

金色の光を放つ、幾本ものきめ細かい金色の線。
蜘蛛の糸の様に指へと絡み付くそれは、明らかに異様な本数の毛髪だった。
信じられない思いで簡易ベッド上のフェイトを見やるが、彼女は穏やかな寝息を立てるばかり。
堪らず呼び掛けようとするが、その肩を掴む者があった。
反射的に振り返れば、其処には既知の人物の姿。

「マリー・・・」
「お久し振りです、艦長」

マリエル・アテンザ。
彼女はリンディを促し、ラボの奥へと誘う。
戸惑いながら幾度かフェイトへと視線を投げ掛けるも、結局はその傍を離れマリエルの後に続く。
そうして最初のドアを潜ったところで、マリエルは唐突に言い放った。

「重度の放射能汚染です。彼等、全員が被曝しています」

リンディの足が止まる。
次いで、マリエルの足も止まった。
返す言葉は無い。
ある筈もなかった。
更に、マリエルの言葉が続く。

「脱毛の症状は化学物質による汚染が原因であり、放射能ではありません。しかし、このままでは被曝により、遠からず全員が死亡します」

マリエルが振り返り、正面からリンディの姿を捉えた。
自分は今、どんな顔をしているのだろう。
そんな事を考えるリンディの思考は既に、齎された現実を受け止める事だけで精一杯だった。


92:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:06:11 ejEYUmcK
被曝?
化学物質による汚染?
では、何だ。
フェイトは、攻撃隊は、帰ってきただけだと云うのか。
自分達にできる事は、ただ座して彼等の生命が死神の鎌によって刈り取られる、その瞬間を待つ事しかできないと云うのか?

「その事も含めて、スカリエッティから話があるそうです。彼は第4隔離室に居ます」

リンディが我に返った時、マリエルの姿は既に無く。
人気の無い通路に唯1人、リンディは自身の影を見下ろしていた。
暫し呆然と佇み、ゆるゆると視線を上げれば、長く冷たい通路だけが視界へと映り込む。

「隔離・・・」

力ない呟き。
昂りも、ただ一欠片の希望すら無く。
リンディは、闇の様な深い諦観と共に、第4隔離研究室のドアの前へと立っていた。
数瞬ほど躊躇い、しかし遂にセンサーへと触れる。
ドアが、開いた。

「・・・スタビライザー破壊、対象に影響はありません」
「グレード8を20μ投与。第5スタビライザーの物理的破壊に取り掛かる」
「補助回路に異常電圧・・・電圧低下。自壊シークエンス、阻止しました」
「第5スタビライザー破壊。次の・・・」

部屋の中央、幾重にも展開された環状魔法陣。
それらの中央に存在するものを雁字搦めにするかの様に、無数の結界魔法・魔力障壁が常時発動している。
直径2m程の光の柱となった結界群は、物理的脅威と云うよりは情報面での脅威を警戒してのものらしい。

「全思考抑制機構、無力化を確認。脅威レベル2に低下」
「宜しい、結界を解除してくれ・・・ああ、ハラオウン統括官。少しお待ちを」

すると、何らかの術式が終了したらしく、結界の一部が解除される。
同時に指示を出し終えた1人の男性が、振り返る事もなくこちらへと呼び掛けてきた。
聞き覚えのある、しかし決して親しみなど抱き様も無い声。
ジェイル・スカリエッティ。

「・・・時間がありません。用件を聞きましょう」
「おやおや。久方振りの夫婦再会だというのに、奥方は中々に冷たいね。義娘が自分の命と引き換えにしてまで、地球軍から最愛の良人を取り戻してきてくれたというのに」

用件を問い質すも、嘲る様な物言いであしらわれてしまう。
しかしリンディにとっては、それ以上に言葉の内要こそが重要だった。
信じられないとばかりに、言葉が零れる。

「まさか・・・本当に・・・?」

その言葉に、おや、とばかりに首をかしげてみせるスカリエッティ。
彼は数秒ほどリンディを見つめると、確認する様に声を発した。

「執務官から聞いていなかったのかな、統括官? クライド・ハラオウン提督はこの結界の中に居るよ。ほら・・・」

続けて放たれた、近くに寄ると良い、との言葉に恐る恐る1歩を踏み出すリンディ。
光の柱へと近付くにつれ、それを構成する結界群が数を減らしゆく。
徐々に拡がる結界の隙間、其処から覗く空間には何も存在しない。
彼は座らされているのか、それとも横たえられているのか。


93:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:06:53 ejEYUmcK
「制御パルス、完全消失を確認、全結界を解除」

そして研究員の声と同時、残る全ての結界が同時に消失した。
光の柱が掻き消え、残るはその中央へと据えられた人物の姿のみ。
その、筈だった。

「え・・・?」

呆けた声。
リンディは、それが自分の声であると気付くまで、数秒ほど掛かった。
そもそも何故そんな声が零れたのか、それすらも認識できなかったのだ。
正確には、そんな事を意識している暇が無かったとも云える。

「クラ・・・イド・・・?」

確かに感じられる、最愛の人の魔力。
しかしその発生源たる目前に、彼の姿は無かった。
其処にあるのは唯1つ、人の姿とは似ても似付かぬ、歪な鉄塊。

灰色の塗装を施された、50cm程の円筒形のポッド。
強引に取り外されたのか、上部と側面には無数の傷が刻まれ、破壊された固定用機構が付随している。
ポッド下部には無数の電子機器を内蔵しているらしき台座があり、見るからに強固な保護チューブに覆われたケーブルが2本、ポッドへと接続されていた。
灰色の塗装の表面に窪む様にして刻まれた、細かな文字の羅列。

『LINKER CORE UNIT - ORIGINAL Ver.5.8 Upgraded』

そして、その更に下。
更に小さく、特に重要でもないと云わんばかりに、付け足されたかの様な表記。



『The person who became the base of the system - Clyde Harlaown』



目前の光景の意味を理解すると同時、リンディはその場に崩れ落ちた。
力なく床面へと座り込んだまま、呆然と金属製のポッドを見つめる。
何ひとつ声を発する事もなく、全ての感情が抜け落ちた様に。

予感はあった。
たとえクライドが戻ってくる事があったとしても、それは最早、自身の知る彼ではないだろうという、漠然としながらも確信にも似た予感。
捕虜の証言からしても、R戦闘機開発陣の非人道性は明らかだった。
地球軍によって確保され、恐らくは魔法技術体系を応用するR戦闘機の開発に利用されたクライドが無事である可能性は、限りなく低い。
彼が此処に居るのだと聞かされた時も、思考の何処かではこんな結末を予想していた。
結局、初めから自分は、希望など信じてはいなかったのだ。

なのに。
なのに、この湧き起こるものは何なのだろう。
胸の最も深い場所から込み上げる、痛みとも苦しみともつかぬ、異様な感覚。
否、若しくは感覚ですらないのかもしれない。

実態があるか否かも定かでないそれに押される様にして、瞼の奥より熱いものが溢れ出す。
喉の奥より込み上げてきたものは嗚咽となって吐き出され、咽る様なか細い啜り泣きとなって隔離室に響いた。
切り捨てたつもりでも確かに意識の片隅へと息衝いていた微かな希望は、計り知れない絶望となってリンディの心を切り刻み、蹂躙する。
周囲の研究員達も、何ひとつ言葉を発しない。
だが、その陰鬱なる沈黙を、楽しげな声が切り裂いた。


94:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:07:39 LFvImB1G
さすが外道!支援

95:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:07:46 ejEYUmcK
「理解できないね。何故、泣く事があるんだい? ハラオウン統括官」

スカリエッティの言葉が、無慈悲にもリンディへと突き刺さる。
だが彼女は、それを気に留める事もなかった。
スカリエッティという人物が情緒という概念を理解しているとは到底思えなかったという事もあるが、何より目前の残酷な現実を受け入れる事に精一杯で、これ以上の事象を受け入れる余裕など無かったのだ。
彼女は崩れ落ちた体勢のまま、微動だにしない。
しかし、続けて放たれた言葉は、崩壊しゆく彼女の心を瞬時に目覚めさせるものだった。



「彼は無事じゃないか。回帰措置に関しても何1つ問題は無い。何を悲しんでいる?」



その瞬間、リンディの意識が忽ちの内に覚醒する。
しかし同時に、周囲の空間が凍ったかの様な寒気を感じた。
口元を覆っていた手も、頬を伝う涙もそのままに、限界まで見開かれた目をスカリエッティへと向ける。

今、何と言った?
この男は、何と言ったのだ。
「回帰措置」だと?
それは真実なのか。
彼を、こんな姿になった彼を。
地球軍によって人としての肉体を、尊厳すら奪われた彼を。

戻せるというのか。
彼を、クライドを。
もう一度、人としてあるべき姿に戻せるとでも言うのか?

「どう、いう・・・」
「どうも何も、そのままの意味だがね。現在の彼はほぼ脳髄のみだが、保存環境は最高としか云い様がない。思考抑制の為のインプラントこそ施されてはいるが、それも本質的な人格への影響及び肉体的な負荷は皆無と云って良い。
インプラント類の機能は既に破壊したから、活性状態に移行すれば彼の人格が復活する筈だ」

流れる様に言葉を連ねるスカリエッティ。
リンディはただ呆然と、興奮の念すら滲んだ声を発し続ける彼を見つめ続ける。
しかし言葉の意味を理解するにつれ、彼女の内に形容し難い熱が生まれ始めた。
内に燻る炎をそのままに、リンディは言葉としてそれを目前の狂人へとぶつける。

「彼は・・・彼は、人としての自我を保っていると?」
「自我どころか記憶に至るまで、確実に残っているよ。恐らくは、深層意識の消滅によるリンカーコアへの影響を恐れたんだろう。魔法に対する知識の蓄積が無かった事が、却って彼という意識の保持に繋がったという事かな」
「身体は、どうするのです」
「それこそ君達次第だ。幸いにも管理局と私自身には、戦闘機人の開発を通して得た知識と技術がある。後は・・・プレシア・テスタロッサ女史の研究成果かな。それだけのデータがあるんだ。
設備さえあれば、中身の無い器など幾らでも製造できる」

其処まで言い終えるとスカリエッティは、何かに気付いたかの様に空間ウィンドウを呼び出すと、幾つかのデータを中空へと表示した。
原子構造などを始めとする、非常に高度な情報の集合体。
それが、捕虜となったパイロット達が所持していた自殺用の、そしてR戦闘機の残骸より採取されたナノマシン、其々の解析結果であるという事はすぐに解った。
理解できないのは、その下に表示された別のナノマシン構造情報だ。
「臨床試験・未実施」と併せて表示されたそれは、何らかの医療用ナノマシンらしい。
リンディの内に沸いた疑問に答えるかの様に、スカリエッティは言葉を紡ぐ。

「地球軍に於いて実用化されているナノマシン関連技術は、破壊にせよ修復にせよ、いずれの用途に於いても私達の知るそれを大きく凌駕した性能を有している。
兵器群の自己修復機能、人体の破壊・修復、限定域に於ける破壊工作、大規模構造体の自動構築、生態系の操作・・・ありとあらゆる局面に於いて、彼等はナノマシン技術を用いているらしい。
医療に於いても同様だ」

ウィンドウ上に指を走らせるスカリエッティ。
表示された映像は、ラボの簡易ベッドに横たわるフェイトを始めとする、帰還した攻撃隊各員の姿だった。
彼等の置かれた状況を思い起こし、再び沈痛な思いに囚われるリンディ。
だが、またもスカリエッティは、彼女の絶望を嘲る様に言葉を吐いた。


96:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:09:01 ejEYUmcK
「違法実験である事は重々承知しているが、何分、時間が無かったものでね。御息女を含め、攻撃隊各員には臨床試験の検体となって戴いた。なに、危険は無いに等しい。
パイロット達が所持していたナノマシンは、元々が医療用である事が判明したのでね。汎用性が非常に高いので、放射能除染と損傷部修復のデータを組み込んで作り変えただけだ。
リンカーコアへの影響こそ未知数だが、18時間後には身体的な異常は全て除去・修復される筈だよ」

一息に言い終えると、彼はコンソール上に置かれたカップへと手を伸ばし、中身を啜る。
コーヒーだろうか、既に湯気も立ってはいないそれを一口、続けて顔を顰めながら一気に飲み干した。
余程に不味かったのか、些か乱暴に口元を拭うと空のカップを助手であるウーノへと手渡し、君が淹れてくれ、と告げる。
その様子を呆然と見つめながら、リンディは漸く彼の言わんとするところを理解した。

クライドが戻ってくる。
フェイト達も助かる。
未だ危機的状況にあるとはいえ、家族が戻ってくる。
失った筈の、これから失う筈だったものが、全て戻ってくる。
戻ってくるのだ。

「あ・・・」

だから、その言葉が発せられようとしたのは、決して無意識によるものではなかった。
管理局の上層部に属する人物が、司法取引に応じたとはいえ未だ危険視される人物に対して放つものでは決してない、敵意や警戒からは程遠い言葉。
しかし今にもリンディの口から放たれんとしたそれは、他ならぬスカリエッティが取った仕草によって押し止められる。
彼が自身の唇の前に翳した、1本の指によって。

「それは言わない方が良い、ハラオウン統括官。私が欲しいのはそんなものではなく、実験の正当性を保証する言葉だ」

そう言うと、ウーノが淹れてきたコーヒーを一口飲み、満足げな表情を浮かべるスカリエッティ。
彼が欲しているのは、煩わしい倫理観に囚われる事なく研究可能な環境であり、その提供を正式に認可する言葉、管理局員としての信念を捻じ曲げる事を良しとする言葉だ。
通常であれば、頷く事などある筈もない要請。
しかし、今は違う。
リンディの個人的な願いだけでなく、管理局としてもクライドの復帰は大きな魅力である筈だ。
現状でも彼の持つ情報を引き出す事はできるだろうが、その鮮明さは肉体が存在する状態で伝達されるそれに制度で劣る。
単に文章や音声のみでは伝わらない、漠然としながら確固たる情報というものも、確かに存在するのだ。

だが、この男が欲しているのは、管理局の総意としての言葉ではない。
リンディ・ハラオウン個人として、それを許容できるか否かという問いこそが、彼の発言に隠された真意だ。
良人の為、家族の為。
何より自分自身の為に、禁忌たる技術を用いる覚悟はあるかと。

リンディの心は決まっていた。
たとえ違法だろうと、禁忌であろうと、クライドに人間としての姿を取り戻す為ならば、管理局高官として可能な如何なる手段でも講じようと。
第一に、この件に関しては許可が通る公算が非常に高い。
此処で口約束に応じたとしても、何も問題は無いだろう。
リンディ自身としては最早、そんな事にまで思考は及んでいない。
しかし事実として、非常にリスクの低い案件である事は間違いなかった。
問題は、問われた人間の良識の壁のみ。
それですら今この瞬間、リンディには存在しないも同然だった。

艶やかな唇が開かれ、決然とした意思の込められた言葉が放たれんとする。
局員の数名が息を呑み、スカリエッティが薄く笑みを浮かべた。
それを知覚する事すらなく、リンディは微かな力を喉の奥へと込める。
そして遂に、その意思が音として放たれた瞬間。

「ッ! 何だ!?」
「な!」

全てが、闇に包まれた。
あらゆる光源が同時に沈黙し、暗闇の中にうろたえる局員達の声のみが響く。
数秒後、魔法を扱える者が浮かべた魔力球を光源に、何とか視界を確保する事はできた。
しかし明かりが戻る事はなく、入り混じって響く声の内容は更に焦燥を強めてゆく。


97:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:09:12 LFvImB1G
なんという裸足のゲン支援

98:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:10:18 ejEYUmcK
「・・・駄目です。全ての機器が沈黙しています。原因は不明」
「中央センターに連絡は?」
「試みましたが、繋がりません! 一切の回線が切断されています!」
「念話は繋がりますが・・・区画内のみです。それ以上となると・・・」
「ドアが開かない・・・空調も止まっているぞ。こいつは停電か」
「復旧を待ちますか? それとも抉じ開ける?」
「攻撃を受けた・・・いや、振動は無かったが・・・」

その時、突如として照明が復旧する。
他の機器も全てが機能を回復し、室内には無数の光源が生まれた。
リンディもまた、復旧した電力に安堵する。
しかし、ウーノの上げた声が、その安堵を打ち砕いた。

「ドクター」
「何かね」
「中央センターより緊急。通常回線ではありません。非常回線を使用しての、全区画に対する非正規通信です。如何致しましょう」
「繋いでくれ」

非常回線を通じての、中央センターから全区画への通信。
その言葉に、リンディの身体へと緊張が走る。
これは、只事ではない。
開かれた空間ウィンドウはホワイトノイズのみを映し出し、音声だけが正常に出力される。
そして直後、オペレーターの叫びが木霊した。



『・・・繰り返す! システム中枢が内部からのハッキングを受けている! 転送地点、特定! 研究区画、第4隔離室! 付近の局員は急行し、プログラム発信源を破壊せよ! 繰り返す! システム中枢が・・・』



咄嗟に、振り返る。
クライドの脳髄を内包したポッド、その前面に1つの空間ウィンドウが展開されていた。
管理局のものと同じデザインだが、それを展開したのは研究員ではあるまい。
リンディの掌よりも小さなそれは表面に、これまた小さな文字列を浮かび上がらせていた。
彼女やスカリエッティを含めた数人が駆け寄り、文字列を読み取る。

『Now Transferring』

その意味を理解すると同時、微かな振動が隔離室を揺るがした。
そして、リンディは理解する。
この状況を引き起こした存在が、何者であるかを。

何て事だ。
何故、クライドを乗せたR戦闘機が撃墜されたのか。
何故、黙って彼をこちらへと明け渡したのか。
何故、彼等は今まで本局を攻撃しなかったのか。
全てが今、繋がった。

これは「罠」だったのだ。
フェイトの目前でR戦闘機が墜ちた事も、彼女がクライドを回収した事も。
地球軍にとっては全て、初めから定められた作戦行動の一環であったのだ。
フェイトとクライドの機が遭遇したのは、果たして偶然か?
彼女の魔力を探知し、その後を追跡して眼前へと現れたのではないか?


99:R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA
08/12/27 20:11:25 ejEYUmcK
そう、全てはこの瞬間の為。
クライドを、R戦闘機のパーツとなった彼を局員による回収を通じて本局へと送り込み、最も無防備な中枢からシステムを掌握する為。
情報を奪取し、それを外部へと転送する為。
そして、迎撃システムを停止させる為。

何の為に?
考えられる理由は、1つしかない。
彼等の目的は、彼等の任務とは。



『所属不明シャトル2機、外殻を破壊して侵入・・・更に6機、急速接近中!』
『A12、F25にて侵入者を確認! 武装隊は当該区画へ急行、直ちに迎撃を開始せよ!』



捕虜の、救出だ。

『E区画全域、電力ダウン! 予備電力に』

唐突に、回線が途切れる。
誰もが呆然と立ち尽くす中、再度の振動が隔離室を揺るがした。

*  *  *

『作戦開始予定時刻まで120秒』

その通信を耳にしながら、彼は作戦の概要を反芻していた。
電子的強化を施された脳は余す処なく情報を再確認し、その何処にも問題が無い事を確認すると並列処理を一時的に終了する。
作戦開始前の、短いクールダウン。
通常の単体処理を以って思考するのは、この作戦が決行に至るまでの経緯である。

旧R-9WF、つまりは現「R-9WZ DISASTER REPORT」の制御ユニットである人物についての詳細が判明した時、この救出作戦は立案された。
609のR-13Aと交戦した時空管理局執務官とは義理の父娘に当たり、その背後関係を捕虜となったパイロット達より齎された情報を基に洗い出した結果、制御ユニットを執務官に回収させる事で本局へと侵入させようと考えたのだ。
ヴェロッサ・アコース査察官の記憶に含まれていたフェイト・T・ハラオウン執務官の傾向分析情報から、彼女が義父の救出を実行する可能性は非常に高いと判断された結果である。

管理局バイド攻撃隊が人工天体内部へと転送された事実が判明した直後、6機のR-9ER2が同じく人工天体へと送り込まれた。
ハラオウン執務官の魔力反応を捜索・探知し、その座標近辺へとR-9WZを送り込む。
そして遭遇後、彼女達の目前でR-9WZを撃墜を装って墜落させ、制御ユニットを回収させる。
それが、この作戦の大まかな筋書きだった。

ところがR-9WZと管理局攻撃隊はA級バイド汚染体、更には破棄された上で汚染されたR-9Wと遭遇、交戦状態へと突入してしまう。
一時は彼等による制御ユニットの回収自体が危ぶまれたものの、最終的には何とか当初の作戦通りに事が進んだ。
後は、制御ユニットに組み込まれたプログラムの発動を待ち、浅異層次元潜航で本局へと接近、迎撃システムの停止を以って浅異層次元潜航解除、突入。
そして捕虜を救出し、回収されたR戦闘機の残骸を破壊した上で脱出。
再度、浅異層次元潜航へと移行し、同じく潜航状態にあるヴァナルガンド級巡航艦へと帰還する。
それで、全てが終わるのだ。
無論、作戦失敗時の対応策も用意してある。
艦隊にこちらへと戦力を回す余裕は無い為、その実行も救出部隊が担当する事となるが。


100:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:12:57 LFvImB1G
孔明の罠支援

101:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:19:15 hHVzJ3Zo
さあ、どうなる?支援

102:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/27 20:20:28 qMFwiaV8
支援、とにかく支援!!

103:R-TYPE Λ代理
08/12/27 20:26:08 LFvImB1G
そして、もう1つ。
捕虜救出とR戦闘機の破壊以外に、更に別の任務が彼等には与えられていた。
それは、とある人物を始めとする数名の確保。



「ジェイル・スカリエッティ」。
「戦闘機人」No.1・3・4・7・10の身柄、及びNo.2の残骸。



現在、本局内部に存在する戦闘機人については、つい先程に制御ユニットより情報が齎された。
彼等を確保した上での、周囲に存在する全局員の殲滅、及び当該区画の完全破壊による隠滅工作。
どうやら「TEAM R-TYPE」の次なる興味の向かう先は、アルハザードとやらの古代文明が有した技術と、あの生態兵器群が持つインヒューレントスキルと呼称される特殊技能についての様だ。
如何なる方法を用いても彼等を確保し、艦隊へと連行しろとの事。
スカリエッティに関しては最悪、脳髄だけでも確保できれば良いらしい。
戦闘機人に至っては損傷を考慮する必要は無く、最初から殺害を前提として交戦しても問題は無いとの事だ。
どちらにせよ、余計な危険を背負い込む事は避けたい。
隊には既に、友軍以外は発見次第射殺せよとの指示が下されていた。

特に厳命された事例が、対象の年齢を考慮するなとの指示だ。
先の戦闘に於いても確認されていた事実だが、管理局は基本的に最少年齢を考慮しない組織形態であるらしい。
後方は兎も角、前線に於いても齢10にも満たない少年少女の存在が、既に多数確認されていた。
入手した情報によると、管理局は希少な魔導因子保有者を片端から局員として取り込み、中でも戦闘に適性を示した者は年少の内より実戦任務に就く事が通常らしい。
こちら独自の分析では、年長者が有すべき良識の欠如と云うよりも、魔導因子保有者の精神的成熟が異常に速いのではないかとの結論が下された。
この理由から、魔導文明では古来より年少者の社会進出が早く、同時に戦力としての運用に際しても抵抗が少ないのではないかというのだ。
だとすれば、戦場に於いて年端も行かぬ少年少女の魔導師と遭遇し発砲を躊躇うのは、単に愚かな上に無意味な行為としか云い様がない。
子供を戦場へと送り込んだのは彼等であり、しかも当人達はその状況に納得し受け入れている。
殺害を躊躇い見逃せば、次の瞬間にはこちらの身体が蒸発しているかもしれないのだ。
そうでなくとも、バインド等という対象捕獲用魔法を用いる猶予を与えては、それこそ一方的に殲滅されるのが関の山だろう。
だからこその厳命、繰り返し発せられた意志確認だった。

『目標、迎撃システム沈黙まで30秒。突入に備えろ』
『武装確認』

パイロットからの通信。
強襲艇内部に、金属質な音が幾重にも鳴り響く。
それが収まる頃、機内のエアが減少を始めた。
数秒で真空状態となり、照明がノーマルからレッドへと切り替わる。

『20秒前』

固定器具の肩元が解放10秒前の点滅を開始。
同時に視界へと、照準を始めとする各種環境情報がリアルタイムで表示される。
インターフェースを通じて齎される各種情報は、肉眼のみでの情報重要速度を遥かに上回っていた。

この状況判断の素早さこそが、個人携行火器で魔導師を相手取る上での最大の強みだ。
既に銃弾は対魔力障壁用に開発された物を実装してはいるが、マルチタスクと常識外の火力を兼ね備えた魔導師相手には、これでも不安が残る。
何せ魔導師と歩兵戦力との戦闘記録が存在しない為、実際の交戦では何が起きるのか予測が付き難い。
ならば考え得る最高の対処法は、先手を取っての一方的にして徹底的な弾幕による殲滅。
人工筋肉を内包した装甲服に身を包んだ隊員の半数近くは、生身では決して持ち上げる事などできない大型の分隊支援火器を装備している。
通常の自動小銃やPDWを手にした隊員も居るには居るが、やはりそれとは別に面制圧が可能な火器を携帯していた。
明らかに過剰火力であるとは理解していたが、魔導師に対する無知から来る不安がそれを打ち消しているのだ。

おまけに艦隊は、最高の援護を寄越してくれた。
通常戦域での総合性能も然る事ながら、閉鎖空間では間違いなく並ぶものの無い圧倒的な性能を発揮する機体。
エースパイロットの中でも限られた者のみが搭乗を許される、正にエースオブエースの為の機体。
いざとなればそれらの支援を受ける事で、如何な高ランク魔導師とはいえど数秒と掛けずに殲滅できるだろう。

104:R-TYPE Λ代理
08/12/27 20:27:17 LFvImB1G
『10秒前』

そして遂に、その瞬間が訪れる。
カウントが始まり、総員のゴーグルに微かな光が点った。
指揮官たる彼は8名の部下に対し、インターフェースを通じて告げる。
可能な限り、全員で生還する。
それを成し遂げる為の、仕上げの言葉を。

『目標を除き即時射殺。復唱せよ』
『目標を除き即時射殺、了解』

突入5秒前。
彼の右側面、自動擲弾銃を持つ手とは反対のそれには、黒く塗装されたケースのハンドルが握られていた。
その片隅には、小さな白いマークが刻まれている。
円を中心とした、3つの扇形。

『突入』

そして、衝撃。
数瞬後、固定器具が解放され、続いてハッチが開け放たれる。
一糸乱れない行動で4分隊、計36名が機外へと展開。
火花と破片、破壊された構造物。
真空の中、激しくのたうちもがき続ける、複数の熱源。
それらを視界へと捉え、銃口のレティクルとピパーが重なった瞬間にトリガーを引く。
発射される榴弾、3発。
爆発、生命反応消失。
暫し友軍の発砲を意味する表示が視界へと瞬き、やがて鎮まる。
周囲の安全を確保した事を確認し、捕虜の位置を確認。
部下を促し、その区画へと向かうべく足を踏み出した、その瞬間だった。



『・・・バイド係数、増大!』



壁面の遥か向こう、次元航行艦ドック。
バイド生命体の存在を意味する表示が、小山の様に膨れ上がった。

*  *  *

阿鼻叫喚、地獄絵図。
極端に言い表すならば、これらの言葉が当て嵌まるだろう。
レティはウィンドウに映る光景を見つめながら、きつく拳を握り締めた。
表示されている区画名は艦艇停泊区、第26ドック周辺域主要通路。
現在その区画は、多様な光を放つ魔導弾が乱れ飛び、破壊音と悲鳴、断末魔が響き渡る戦場と化している。
敵は2種、余りにも異様な存在だった。

1つは、防衛用のセキュリティ・オートスフィア。
本来、局員を守るべく配備されているそれらは出動と同時、周囲の局員に対し無差別攻撃を開始した。
攻撃の全ては非殺傷設定を解除されており、標的となった周囲の人間は乱射される魔導弾によって次々に弾け飛ぶ。
地球軍による再度の襲撃を警戒して、新型を大量に配備していた事が現状では逆に仇となっていた。
汚染されたそれらは正規の信号を一切に亘って受け付けず、只管に周囲の生命体へと攻撃を繰り返す。
更に、致命的な損傷を受けるや否や、局員達の中心へと突撃し魔力暴走による自爆を実行するのだ。
如何に百名を優に超える魔導師が現場に存在するとはいえ、無限とも思える程に存在するオートスフィアの群れには太刀打ちできない。
防衛線が押し潰されるのは、時間の問題だった。


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