08/11/22 23:06:48 r0nsjlFQ
そしてイザベラも自前の通信端末から流れる声に耳を向けていた。
「呼ビ出シ。緊急オペ。行ッテクル」
その言葉を聞いた皇帝はイザベラの警護を部下の一人に命じる。イザベラは青く長い髪
を振り乱して屈強そうな警護兵と共に走っていった。
そして普段はボンヤリしているヤンも今はボンヤリしていなかった。まだロイエンター
ルと繋がったままの通信機に飛びつく。
「いきなりすいません、新領土総督。実は、差し障りがなければ教えて欲しいのです。先
ほどの地球教徒に関する情報は、どこから得たのものですか?」
その問いにロイエンタールは一瞬沈黙する。ただし口の端を釣り上げた、人の悪い笑み
を浮かべて。その表情を見たヤンは回答を聞くまでもなく、自分の予想が当たっている事
を理解した。
横目で見ていたラインハルトが口にした。ヤンが予想した答えを。
「トリューニヒト、だな」
その名前を聞いた時、ルイズとティファニアはどういう事か分からなかった。ヤンがい
きなり顔を紅潮させ、ラインハルトが嫌悪の感情を浮かべ、通信機越しのロイエンタール
が皮肉めいた笑みを浮かべたままだったから。一体その人物が何なのか、異邦人の二人は
知らなかった。
「よーよー、それって誰なんだ?」
尋ねてきたのは、ようやく駆けつけてきたユリアンとフレデリカ、ではなくユリアンが
持っているデルフリンガー。だが、その場の誰もトリューニヒトが誰かを二人と一本に説
明しなかった。
ヨブ・トリューニヒト。それは新領土総督となったロイエンタールの高等参事官の名。
旧自由惑星同盟の最後の首班。舞台俳優のような優れた容姿と、国民の心をつかむ演説の
才能から、40代半ばで自由惑星同盟の元首の座を得るなど、政治家としての人気取り能力
は卓越した人物。
そして、旧同盟を帝国に売り渡して滅亡に導いた張本人。にも関わらず帝国に仕官し自
分が売り渡した同盟領に高等参事官として任官した厚顔、とうより鉄壁の面の皮を持つ人
物。腐敗した民主主義の象徴、扇動政治家の具体例、保身のみに長けた政治業者、妖怪と
呼ばれた男…。
つまり、口にしたくもないほどラインハルトとヤンが毛嫌いしている人物。なおかつ、
かつては地球教徒を味方にしていた人物。
「・・・では解除コードを伝えます。一つめ、男子トイレのは『cogito, ergo sum』、二つめ
の女子トイレのものは『De omnibus dubitandum』です」
ワーレンはモニター上の痩せた男が目を閉じてそらんじた言葉を記録する。
「分かった、入力させる。少し待て」
司令室のデスクに座るワーレンに、通信機のスピーカーから港湾にある二カ所のトイレ
において爆弾解除に成功した旨を告げる兵士の声が響いてきた。同時に、その爆薬の中身
は二つとも花火用の黒色火薬でしかなかったことも。
《イゼルローン要塞に多数の爆弾を仕掛けた事、全爆弾の解除コードを私が記憶して
いる事、信じてもらえましたか?》
416:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:06:57 0bJUrwl+
ゼロな提督支援します
417:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:07:29 +Wq2BFWS
>>414
32秒後に投下しはじめるのが投下予告なのか?
こんなのしてないのとかわらん、たんなる免罪符代わりのレスだろうが
418:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:07:51 VvB7f2aO
つまんねーSSより余程面白いからいいや
がんがんこいや!
419:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:08:09 r0nsjlFQ
正面の大きなモニターでは、鋭角的な印象の痩せた男が優越感に浸った笑みを浮かべて
いる。
「…分かった、信じよう。ド・ヴィリエ大主教」
これに対応するワーレンは苦虫を噛み潰したような表情だ。
《では、こちらの要求通り召喚門を拡大してもらいます。こちらの船に搭載している
小型機で通過するので20m程で構いません。通過後に解除コードと設置場所を送信し
ます》
「まて、私の権限では召喚門通過を許可出来ない。まず皇帝陛下へ」
《では今すぐ皇帝を出せばよいでしょう。わざわざ皇帝がイゼルローンにいる時を選
んだのですから》
司令官は務めて平静を装っている。だが口から漏れる歯ぎしりの音を隠す事には失敗し
てしまった。
「・・・承知した。だがすぐには無理だ。皇帝陛下へ事態を報告するので」
《時間を稼ぐのは交渉人の基本ですが、我々は待つ気はありません。時限式の爆弾も
待ってはくれません。忘れないで頂きたい、爆弾の中には熱核兵器が混じっているこ
とを。
我々はこのまま『ゲート』へ向かいます。もちろん邪魔をしないで頂きたい》
そう捨てゼリフを残して大主教は通信を切った。ワーレンはしばしこめかみに右手を当
てて黙考した後、力一杯デスクを殴りつけた。
兵士やオペレーターが慌ただしく出入りし様々な報告が飛び交う司令室。指揮官席に座
るワーレンが皇帝への通信回線を開く。
即座に回線は繋がり、金髪を風に揺らす皇帝の金髪が映る。ヴィークルに乗って司令部
へ向かっているようだ。ワーレンは手早く現状を報告する。
「奴等は間違いなく地球教徒です。ついさっきまで地球教団の総書記代理、ド・ヴィリエ
大主教が交渉に立っていました。要求は召喚門拡大と通過です。奴等の船は『ゲート』へ
航行中で、あと一時間ほどで現地へ到着してしまいます。
爆弾は現在捜索中。森林公園の監視カメラからゴミ箱に爆弾を仕掛けた人物の映像を確
認し、全監視カメラの映像データを検索。要塞内での動きを割り出しました。ですがその
人物の足取りから捜索した結果、発見された二つの爆弾は黒色火薬を詰めた花火みたいな
物ばかり。ダミーです。他の実行犯が分からない以上、今は総員を上げてしらみつぶしに
捜索するしかありません。
奴等は小型熱核兵器をも仕掛けた、と言っています」
《自爆した艦船の方はどうだ?》
「入港時の申請内容と、その船に出入りしていた人物も監視カメラから調査中です。です
が、まだ何も発見出来ていません」
皇帝へ報告しているワーレンの元へ、別部署からの報告も次々と送られてくる。その中
の一つ、『ゲート』からの望遠拡大映像に目を止めた。
「陛下、今『ゲート』から奴等の船の映像を捉えました。そちらでも確認出来ますか?」
ワーレンの言うように、星が煌めく漆黒の宇宙を背景にした一隻の船が艦首を向けてい
る映像が皇帝の元へも送信された。
《確認した。この船に関する情報は?》
「お待ち下さい…イゼルローンの入港記録にはありません。要塞には入らず離れた宙域で
待機していたようです。実行犯は要塞内に爆弾を仕掛けた後に要塞を離れ、この船に集合
したのでしょう
船種は、ごく一般的な貨物船です。この船に関する情報も集めます」
《うむ。ロイエンタールからの情報もそちらに送らせる》
言うが早いかロイエンタールからのデータが受信され、ワーレンのモニターにも表示さ
れた。そこには『地球教徒が廃棄予定の旧同盟軍備から小型核爆弾を三個とゼッフル粒子
発生装置、そして強襲降下艇一機を盗みだし、イゼルローンへ向かった』との情報があっ
た。
420:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:08:28 TFMYZXQ8
>>417
泣きながら投下してるんだよ。ほっとこうぜ。
421:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:08:45 DSmCKFWf
今は支援に集中すべし
それ以外の方は、毒吐きへとどうぞ
そして、もし意見があるのでしたら、荒らしや因縁つけてると思われない、理性的な言葉づかいでお願いいたします
422:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:09:29 TFMYZXQ8
>>421
あなたキモチ悪いです。
423:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:09:38 gnWpjvfD
ビッテンフェルト何やってんだw
しかししつこいようだが、ハルケギニア世界とそっちに残ってる連中がどうなったかの方が気になるよ
424:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:10:06 CoYsRDWn
お願い、お願いだよみんな!
この作品に関わる全てのレスは毒吐きで行ってよ!
作品とか投下出来る雰囲気じゃなくなっちゃうよ!
425:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:10:10 lSWJIU5h
トリューニヒトキター
426:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:10:19 r0nsjlFQ
要塞の広い通路を走る大型ヴィークルにはラインハルトとヤンをはじめ、舞台袖に来て
いたヤンの関係者全員も乗っていた。その前後に数台の警護車輌が随伴している。疾風が
駆け抜ける中、全員がラインハルトとワーレンの通話に意識を集中させている。
ワーレンが一通り報告を終えて通信を切ると同時に、即座に次の報告を始めたのはキャ
ゼルヌ副司令。
「現在、一般人の要塞からの待避を進めています。全研究データと軍事情報のコピーと緊
急送信も行っています。ですが、時間が足りません。核爆弾のリミットは、恐らく奴等が
通過し終える頃を見計らって設定しているはずです。つまり、三つの爆弾が順番に爆発す
るとするなら、一発目は数時間以内でしょう。
ブリュンヒルトの緊急発進準備は整いました。このヴィークルを向かわせますので、陛
下も急ぎ待避して下さい」
キャゼルヌからの再度の待避を勧める言葉に、ラインハルトは冷笑をもって応じた。
「差し出がましい事を言うな。あのような旧時代の亡霊に殺されはしない。予は逃げも隠
れもせぬ。このまま司令室へ向かえ」
さらに待避を進言しようとしたキャゼルヌだが、その言葉を遮るように『ゲート』から
の緊急通信が彼等の前に繋がった。そこにはシャフト、コルベール、そしてビダーシャル
の三人が映っていた。
最初に口を開けたのはコルベール。広がり続ける額に汗を浮かべながら早口でまくした
てた。
《皇帝陛下!連絡を見ましたぞ。絶対に召喚門を通らせてはなりません!召喚門を通
られたら、ハルケギニアが、私の故郷が、破壊されてしまいますぞ!》
「承知している。ビダーシャルよ、サハラのエルフに連絡してくれ。早急に召喚門を精霊
で封印するよう伝えるのだ。奴等に関する情報も送る」
ビダーシャルも緊張した面持ちで頷く。だが、彼の口から伝えられるのは皮肉にも科学
の力を認める物だった。
《既にエルフの各部族に伝えてある。だが、エルフが総力をあげたとしても、恐らく
は船の通過を止められない。お前達の科学の力は様々な面で精霊の力を上回っている
のだ。単純な物理的パワーは、その最たる物だ》
その言葉にヴィークル上の人々は頭を抱えてしまう。そしてビダーシャルは更に問題を
提起した。
《だが、憂慮すべきは奴等が通過する事それ自体ではない。召喚門を閉じられると、
その後こちら側からは長期間に渡りサハラへ、お前達の言う第二地球へ行く事が出来
なくなる事だ》
「なに?どういうことだ。確かに召喚門を閉じられれば門は通れないが、向こうの宇宙へ
行くための座標計算は済んでいるはずだ。多少の手間と時間がかかってもワームホールを
通って向こう側にいけるのではないのか?」
その問いに答えたのはモニターに前のめりで詰め寄るシャフト。ツバをまき散らしなが
ら激しくまくし立てる。
《無理なのです!
その座標計算は『現在の召喚門の位置』を基準にしているのです。召喚門という基
準点があるから、本来は不可能な座標計算が可能となっています。もし召喚門が閉じ
たら、計算が成り立たないのです!
つまり再度、宇宙のどこかで召喚門を捕獲しないと、向こう側へはワープ出来ませ
ん!》
さらにコルベールがシャフトに負けず画面へ割り込み、もっと深刻な予想される事態を
報告する。
《おまけにですぞ!あの召喚門はハルケギニアにおける虚無の力に比例して活性化す
るのです…ですが、今現在、ハルケギニアにいる虚無の使い手はロマリアの聖エイジ
ス三十二世のみ!他の虚無の使い手は、運悪く、三人ともこちらの宇宙に来ているの
です。
つまり召喚門は今、極めて活動を弱めているのです!だから、次に召喚門を手に入
れるのは、何年後になるのか予想がつきませんぞ!他の方法でも、どうやっても、や
はりすぐには行けないのですぞ!》
427:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:10:26 0woJ/rQV
メイジが遺伝だとして
地水火風の属性とレベルってどんな関係なんだろ
428:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:10:46 0bJUrwl+
支援だ
429:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:10:54 UUE2FdbY
来るもの拒まず去るもの追わず
支援
430:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:12:32 lSWJIU5h
シャフトが活躍してるのがいいわぁ
431:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:12:46 Yz05Vixh
拒絶反応すげぇw
下手すりゃ、まとめの方も消されたりするんじゃないか?
今日はスレが荒れまくるだろうね。
432:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:13:05 r0nsjlFQ
「な!な・・・な、な!」
ルイズが言葉を詰まらせ、ワナワナと震えてしまう。ティファニアの頭にはハルケギニ
アの絶望的未来像が駆けめぐる。足が震え、体が崩れ落ちそうになるのをフレデリカが支
える。
「そ、そんな事になったら…アルビオンも、ハルケギニアも、サハラも東方も…彼等に全
部、無茶苦茶にされて…何年後かに行っても、既に手遅れで…」
同じ想像をルイズもコルベールもビダーシャルも、向こう側から来た全ての人々が脳裏
に描き、大きな不安に押し潰されかけているだろう事は想像に難くない。銀河帝国側宇宙
の人々にとっても絶望的な事態だ。この一年、彼等が想い描いてきた希望に満ちた未来像
が全て破壊されてしまう。
今まで黙って話を聞いていたデルフリンガーがヒョコッと鞘から飛び出した。
「おうおう!おでれーたなぁ。こりゃ、なんだか良く分かんない話だったけど、大変な事
になっちまったな。
んで、ヤンよ。それに皇帝さんよぉ、黙って奴等を通す気かい?」
背中から聞いてくるデルフリンガーに、ボリボリと頭をかくヤンがノンビリと答える。
「そんなワケにはいかないなぁ。彼等には暗殺されたりとか、色々と嫌な目に会わされて
るし。
今の僕はタダの一般人だけど、出来るだけ邪魔させてもらおうか」
そしてラインハルトも一笑に付す。
「笑わせるな。これは逆にチャンスだ。奴等を、この宇宙に巣くうダニである狂信者の残
党を一網打尽にする好機なのだ。
ふん、奴等に自分たちが時代遅れの化石だという事を教えてやる」
「ほうほう、すっげー自信だな。んで、具体的にはどーすんだ?」
ラインハルトは、まるで悪戯をする少年のような笑顔でヤンを見た。瞬間、ヤンはため
息を漏らす。
「やっぱり、僕達ですか?」
「ふふ、卿のおかげで到来した新時代なのだからな。責任を取って、しっかりと卿と卿の
長剣には働いてもらおうか」
「分かりました。でも僕とデル君が働くためには」
「承知している。爆弾は全軍をあげて捜索し、必ず発見する」
ユリアンはラインハルトとヤンの間で視線をせわしなく往復させる。作戦内容を口にす
るでもないのに同一の作戦を組み立てているかのような二人に驚嘆と、僅かな嫉妬を感じ
てしまう。
「それと、爆弾捜索と解除は奴等を捕縛することで更に確実になる。そのためには、予が
自ら助力を請うべきだろう」
「そうですね。僅か数時間で全爆弾の発見と解除をするには、実行犯を捉える事が早道で
すから」
まるでそれが当然の事かのように二人は話を進め、皇帝はルイズとティファニアへ向い
て頭を下げた。
「済まぬが、奴等を捉えるために協力して欲しい」
ユリアンは女性二人へ素直に頭を下げる皇帝の姿に驚きと、今度は尊敬の念を抱いた。
「もちろんですわ!このルイズに任せて下さい!」
「わ、私も出来るだけの事をします。頑張ります、陛下」
ルイズは胸を張り、ティファニアは頭を下げて皇帝の頼みを快諾した。
433:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:14:20 r0nsjlFQ
その後もラインハルトとヤンは手早く相談を勧め、作戦の内容を詰めていく。
「…これでいいだろう。必要なものは急いで届けさせる」
「ですね。それでは我々はブリュンヒルトへ向かいます」
「うむ。予はこのまま司令室へ向かう。キャゼルヌも予と共に来い」
「了解です」
言うが早いか皇帝は車列を停車させ、風のように颯爽と別の警護車輌へ乗り換える。慌
てて後を追うキャゼルヌも乗せた後、車列を急発進させて司令室へと疾走していった。
「では、ブリュンヒルトへお願いします」
「承知しました」
ヤンの依頼に大型ヴィークルを駆る運転手の若い兵士は軽く敬礼を返す。残った人々を
乗せ、悲鳴のような音を立てるタイヤで床を削りながら方向転換と急発進をした。
ヤンは妻と息子に声をかける。
「それじゃ、後は頼むとするよ」
フレデリカとユリアンは強く頷いた。
「ええ、あなたも頑張ってらっしゃい」
「僕も全力を尽くします。どうか、生きて戻ってきて下さい」
434:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:14:29 lSWJIU5h
虚無の使い手がこっちの世界で世界扉を開いたらどうなるんだろうな支援
435:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:14:39 EMBNzbXJ
纏め勝手に削除はアク禁だぜ支援
436:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:14:44 0bJUrwl+
支援
437:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:15:15 Ua+SU7WW
ああ……またここが糞ウザい珍英厨の溜まり場になるのか……
それ以外になんで作者は自分が争いの種になるの承知で本スレに投下するのかね
せめて避難所か勝手にサイト作ってやってよ
438:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:15:56 nAifCwk1
283:ゼロな提督:特別編① :2008/11/22(土) 20:50:45 ID:n9VFvzla
383:ゼロな提督:特別編② :2008/11/22(土) 22:53:08 ID:r0nsjlFQ
439:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:16:22 r0nsjlFQ
②、以上
残りは、また後日。
440:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:16:40 lSWJIU5h
今日は銀凡伝の新作も読めたし、いい日だな
441:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:16:56 0bJUrwl+
支援
442:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:17:24 KsyPdIMv
>>417
というかな、元々投下予告なんてものは
『同時に投下されて被るのが嫌』だからするのであって
あらかじめ他の誰かの投下がされないようであれば
別に『投下します→どうぞ』なんて受け答えは不必要だと
支援
443:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:18:15 lSWJIU5h
>>439
乙でした。
マチルダさんの後日談もあると信じて待っています。
444:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:19:35 z8WPWHiN
とりあえず終ったみたいだから一言
相手が荒らしのようなものだとしても、作品投下中の支援以外のレスはルール違反だからやめようぜ
相手がルールを破ったから、こっちもルールを破っていいって事にはならないんだから
445:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:19:53 k5s9fXvo
あと一時間も経って日付が変わったら「後日」とされるのであれば、
もはや荒らし以外の何者でもありませんな。
446:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:21:37 NcLGVEwM
大作の連投おつかれさまでした
続きが気になる良作ですね
447:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:22:01 retmQ04r
>>442
だからこそ投下予告して速効投下したら意味ないんじゃないか
予告同士が被ることだって珍しく無いんだから、時間空けなきゃ本編まで被るかもしれないだろ
ルール守ってるとは思えない
448:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:22:24 0bJUrwl+
乙でした
449:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:23:11 UUE2FdbY
地球教ばんざーい
ブリミル教ばんざーい
450:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:26:45 VvB7f2aO
投下乙でした。後でじっくり読もう
それにしても荒れ具合が酷いなあ
451:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:27:07 0woJ/rQV
先住魔法を使える
翼人の繁殖牧場とかありそう
翼人は平民より下の階級とか
452:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:29:18 TFMYZXQ8
「ジャイアントロボ 投下が静止する日」 なんとかしてください・・・orz
453:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:30:08 arTlCWv6
スレの容量潰しで削除依頼をだしてもいいかもな
454:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:32:48 Cgpm5xLR
これはゼロ魔の原作より面白いですね。
提督がいなければスレはここまで大きくならなかったと思います。
賛否両論のレスが他のSSに比べて桁外れに多いのが証拠。
つまり、GJ!
455:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:33:50 VSoEWIyA
提督乙。
しかし後日談扱いははもったいないな。
普通に続編というか続いてるからいろいろとキャラの今後とか気になる。
456:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:34:30 TFMYZXQ8
本気で言っているのん?
457:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:34:32 VvB7f2aO
まあ今日が終われば投下も始まるさ。荒れるのもID変わるまでだろう
後たった30分だ
458:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:35:21 //0cv9VN
>>453
きみはじつにばかだな。
459:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:35:27 JgO9J3Vn
とりあえず、これだけは言いたい。
この次の投下される方、頑張ってください。
460:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:38:07 lSWJIU5h
>>451
翼人の脳の一部を移植して平民も魔法が使えるようにするとかできそう
461:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:41:12 KsyPdIMv
>>447
まあさっきのは一介の視聴者の意見だからあまり意味も無い話だったわけだけれどね
あと多分、氏は普通に自分以外の誰かが投下をしないだろうと確信して投下したと思うぞ
現状で定期的に投下されてる人でゲリラ的に投下する人は殆ど無いし
氏もスレを定期的に覗いているだろうからそれを知っているだろうしな
462:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:41:32 BtJyx6oU
URLリンク(data.tumblr.com)
463:ゼロのエルクゥ ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:41:40 x1ZNabcF
なんだか変な雰囲気なので、小ネタでも投下して1クッション置いてみましょうか。
本能にまかせて書いたはいいものの、忙しくて続きなど書けそうにない第一話的なものですが。
よろしければ10分後に。皆様落ち着いていただければ幸い。
464:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:43:19 qljQCJDi
名前!名前!
465:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:44:03 JgO9J3Vn
>>463
全力で支援
466:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:44:16 k5s9fXvo
>>463
歓迎します。
大部分の人たちだって本当は荒れたくないと思うんですけどね。
467:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:44:16 +Wq2BFWS
>>463
これはきちんと他人に配慮された礼儀正しい投下予告ですね
是非支援させていただきます
468:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:45:05 N93B7ob2
おっけ、超期待するわ♪
頑張ってなー!!
言いたい事は毒吐きでいってくるわw
てことで支援!
469:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:45:16 Yz05Vixh
支援いたすw
コレでこのスレの空気も変わるといいなぁ。
470:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:48:00 VzZo3gmO
エルクゥの人待ってました支援!!
471:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:48:48 CrPY/gmU
>>463
強く支援
472:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:51:29 oDaTfXU0
フレデリカが音符つき高笑いしながらヤンを追っかけまわして光線で村を焼き払う話のどこが銀英伝とのクロスだ
473:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:51:45 4rT5Vw42
支援させてもらいます
474:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:52:04 VSoEWIyA
支援
475:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:52:21 TFMYZXQ8
>>472
しつこすぎるw
476:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:52:44 E2qdevkf
ヤンとラインハルトによるハルケギニア救済乙でした
477:ゼロメロディ1/6 ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:52:49 x1ZNabcF
それでは、『エターナルメロディ』より『ウェンディ・ミゼリア』召喚です。
よろしくお願い致します。
------------------------------------------------------------
空を見ると思い出す。
あの青空に漂う雲のように自由だった、彼の事を。
「はふゥ……」
下宿兼職場である教会兼孤児院の屋根裏部屋の小さな窓から空を見上げた少女、ウェンディ・ミゼリアは、吐息とともに肩を落とし、その空色の長い髪を揺らした。
「今日もいい天気……」
今日も、このパーリアの街は晴天らしかった。
外は朝の陽に溢れていた。静けさの中に、徐々に人々の活動の音が混じり始める、暁の時。
「よッと」
軽やかな体さばきで布団から跳ね起きて、一伸び。
寝巻きを脱ぎ捨て、髪をトレードマークである三つ編みに編んで普段着に着替えると、気分は仕事モードだ。
「あはは……なんだか、ウソみたい」
ついこの間まで、こんな仕事、嫌で嫌で仕方がなかったのだが。
一年以上に渡る旅を終え、パーリアに戻ってきたウェンディは、しばらく気が抜けた状態だった。
それを見かねたのか、旅のパーティメンバーの一人だったカレン・レカキスは、ウェンディにこの仕事――教会の孤児院での、住み込み家政婦――を紹介したのだ。
最初は、慣れない子供達の世話に四苦八苦して、さめざめとすすり泣く事もあったが……彼女は、もう旅を始める前の、人間不信でひねくれているだけの少女ではなかった。
決して楽ではない――どころか、まるで物語の英雄が辿るような、封印されたダンジョンと凶悪なモンスターを相手にし続けた旅によって、肉体的、精神的に鍛えられていた事もあった。
しかし、それよりも……彼女の中に、一本のゆずれない芯が通っていたのだ。
『好きです。この気持ち、ずっと忘れませんから』
別離の際のその言葉が、今の彼女の原動力だ。
彼に恥じない自分になりたい。それが、彼女にその本来の強さと優しさをどんどんと取り戻させていた。
「――さん。私、今日も頑張ってみます」
空に向かって一言呟き、ウェンディは自室のドアを開け、
「こぉらっ、ピーター! またイタズラして――!」
そして、ドアの外に待ち構えていたイタズラ小僧に注意しようとした、その時だった。
『我が導きに、応えなさい!』
「えっ!?」
魔法で大きく響かせた声のように思えたそれは、涙を堪えた少女の、切羽詰ったようなものだった。
「えええええッ!?!?」
そして、目の前に現れる巨大な光の鏡。
子供の首根っこを引っ掴もうとしていた手が避ける間もなくソレに吸い込まれ、そこから体全部を引きずり込まれてしまう。
ああ、旅をしていた頃はこんなトラブルもあったなぁ、などと視界いっぱいに広がる光の中で思いながら、ウェンディの意識はそこであえなく爆ぜた。
§
478:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:53:12 +Wq2BFWS
支援
479:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:53:43 UUE2FdbY
換気期待支援
480:ゼロメロディ2/6 ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:53:53 x1ZNabcF
「平民だ! ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
トリステイン魔法学院、春の使い魔召喚儀式の場は、嘲笑に包まれた。
その中心にいる少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが杖を振るうと、いつものように起こる爆発。
その最後の一発が盛大に巻き上げた土煙が晴れ始めたそこにいたのは、どう見ても自分達貴族が着るような物ではない簡素な服を着た、一人の少女だったのだ。
「あたた……もォ、なんなんですかァ……?」
三つ編みにした空色の髪が盛大に乱れ、ふらつく頭を押さえるように、その手がぐしぐしとかきあげている。ウェンディだった。
やがて、完全に煙が晴れる。
杖を振り上げた体勢のまま、ぷるぷると肩を揺らしていたルイズが、大股でウェンディに近付いていった。
「あんた誰?」
「はァ……?」
不機嫌そのものの声をかけられて、ウェンディは眉を寄せた。
声質自体は、鈴が鳴るような可憐なものだったが……惜しいかな、それはあまりに不機嫌さを含んでいて台無しになっている。
「あなたこそ誰ですか? っていうか、ここどこですか?」
「っ! あんたねえ! 平民のくせに、貴族に向かって何よその態度っ!」
ウェンディが少し不機嫌を乗せて返事を返すと、途端にヒステリーを起こす桃色の髪を持つ少女。
ああ、と、ウェンディはなんだか懐かしさを感じた。
レミット・マリエーナ。公国の王女であるという彼女が、よくこんな怒り方をしていた気がする。旅の後半は、だいぶ丸くなっていたけれど。
「はあ、それは失礼しました。でも、名乗ってもいないのに、見た目だけで貴族だなんてわかるはずないじゃないですか」
「……何言ってんのよ。マント着てるのが見えないの?」
ウェンディとしては当然の疑問を口にしただけだったが、ルイズは青筋を浮かべて怒りに震えていた。
ルイズにとっては、『マントを着てたってお前は貴族には見えない』と言われているも同然だったからだ。
それは、彼女のコンプレックスを何よりも刺激した……いや、そのコンプレックス自体から来る被害妄想だからか。
「はぁ……マントを着ていれば貴族なんですか?」
ウェンディのそれは、『マント着てたって魔法使えないお前じゃ貴族じゃないよねーpgr』というような皮肉など一切篭められていない、純粋な疑問であったが、今のルイズにそんな事に気付く余裕はなかった。
「あ、あんた、死にたいの? 死にたいのね?」
「はァっ!? な、なんでそんな事になるんですかァ!」
というか、思いっきりそんな被害妄想バリバリだった。手に持っている、聖歌隊の指揮棒のようなタクトを振り上げ、今にも振り下ろしそうだった。
「ハハハ! 平民にもバカにされてるぜ!」
「さすがゼロのルイズだ!」
爆発が完全に収まり、彼女達のやりとりが聞きとれたのか、周囲がどっと笑いに包まれる。
それには、ルイズのみならず、克服しかけていたウェンディの体も震わせるほどの嘲りが含まれていた。
「…………」
「あ、あの……?」
ルイズは、振り上げていた杖を力なく下ろし、うつむいて肩を震わせる。
その顔には、酷く見覚えがあった。――かつての自分の姿、そのものだ。
嘲られ、見下され、そして何よりも自分自身が、見下される事を是と思っている。自分をいじめている連中を憎みながら、見返してやると息巻きながら、心のどこかでは、自分なんていじめられて当然なんだと諦めてしまっている。
「……ハァ」
481:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:54:00 4rT5Vw42
支援
482:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:54:20 N93B7ob2
支援していってね!
483:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:54:21 IROVLtZQ
風通しをよくしましょう 支援
484:ゼロメロディ3/6 ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:54:35 x1ZNabcF
ウェンディは、とりあえずここがどこかという問題を棚上げした。旅をしていた頃には、別のところにワープする魔法陣だなんてそれこそいくらでもお目にかかっている。
こんな遠くっぽいところまで飛ばされるほど強力な魔法なんて、どうやってかけられたのか皆目見当もつかないが、まあそういう事もあるのだろう。あの古代文明キラーの引き起こすトラブルなら、起こりかねないと思った。
そんな事よりも……ウェンディは、それ以上儚げに揺れる桃色の髪を見ていられなかったのだ。
「だいじょうぶ」
「っ!?」
ぽふん、と、その小さな体躯を抱きしめた。びくん、と桃色の髪が震え、体を硬くする。
「だいじょうぶ」
もう一度、泣いている幼子をあやすような声で抱きしめる。
言葉による慰めなど効かないどころか逆効果だ。それは、自分の経験でわかりきっている。
――あの旅の始めの頃、近付いてくる彼に対して行った数々の無礼を思い出してちょっと情けなくなるが、今は割愛だ。
いきなり抱きすくめられて呆然としてしまっている桃髪少女をそっと離し、ウェンディはすっと立ち上がった。
「あなた達ッ!」
まるで慈母のような雰囲気を纏ってルイズを優しく抱擁した少女に声を失っていた周囲の生徒達は、いきなり怒鳴られてビクっと飛び上がった。
「こんな女の子を皆していじめて、恥ずかしいと思わないのッ!?」
以前のウェンディだったらとても言えないような言葉だったが、孤児院での家政婦経験が、彼女の神経を図太くさせていた。
やんちゃなガキどもと来たら、もう言葉が通じないサルと同レベルなのだ。大人しくしているのはお菓子を食べている時ぐらいの。
怒鳴る事には、慣れてしまっていた。
「い、いや、だってそいつ、魔法の成功確率ゼロだし……」
剣幕に気圧されたのか、小太りの少年がおそるおそると反論するが。
「はァ!? 魔法!? そんなもん使えようと使えまいとどうでもいいでしょ! そんな程度の事であんないじめをしてるのあなたはッ!? それでも男の子ですかッ!」
「ひィっ! す、すいませんっ!」
一瞬で撃墜された。
伏せてしまった少年の顔がどこか恍惚に赤らんでいたのは、幸運な事に誰も目にする事はなかった。
「おい平民、聞き捨てならないな。我ら貴族の力たる魔法がどうでもいいだって?」
「はァ?」
太っちょの少年を蔑むように見ながら、別の男子生徒が前に進み出る。
「始祖より受け継いだ魔法の力をどうでもいいなどと口にするその無礼。事と次第によっては、ただではすまないぞ?」
「始祖……?」
少年は、杖を構えながら凄んでくる。
とはいえ、超古代の防衛システムすら打ち破ったパーティの一員であるウェンディには子供の背伸びもいいところだったので、それに対処するよりも、聞き慣れない言葉に首を傾げる方が先であった。
旅を続けている時に、何回かこんな感覚を覚えた事がある。そう、文化の違い、という奴だ。
信じている神からちょっとした生活習慣まで。ところ変われば、人はガラリと変わる。自分とは違うそれに引っかかった時の感覚だった。
結構遠くまで飛ばされちゃったのかしら、と考えたところで、周囲にいた子供達の人垣から、一人の中年男性が現れた。
「ミスタ・ロレーヌ! いたずらに力を誇示するのは止めなさいと言っているでしょう!」
「み、ミスタ・コルベール」
少年を一喝したその男性は……見事にハゲだった。
「どうも、失礼をお許しください、ミス」
「ああ、いえ……」
こちらへと近付き、頭を下げてくる男。
節くれだった杖を持ち、知的な目にメガネを光らせるその姿は、熟練の魔導師と言えなくもなかったが……頭のつるピカが、どこか親しみやすさを演出していた。
485:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:54:57 y05yCNxL
これだけ人が居れば一度で充分なんだろうな支援
486:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:55:11 4rT5Vw42
支援あるのみ
487:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:55:44 JgO9J3Vn
正直、元ネタは知らないが支援。
488:ゼロメロディ4/6 ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:55:47 x1ZNabcF
「あの、すいません、ここはどこですか? 光の鏡みたいなものに吸い込まれたと思ったら、いきなりここにいたんですけど」
「はい。ここはトリステイン王国、トリステイン魔法学院。あなたはそこのミス・ヴァリエールの『サモン・サーヴァント』によって、ここに召喚されたのです」
「……聞いたコトないですけど。はぁ、召喚ですか……」
落ち着いた態度で返答されて、とりあえずは落ち着いた。
地名や魔法名を聞いた事がないのは、知人の古代文明マニアに散々わけわからん話を聞かされてもう慣れている。ウェンディに深く溜め息をつかせたのは、『召喚』という単語だった。
「よくわかりませんが、魔法学院ということは、私は何らかの魔法でここに呼ばれてしまったと、そういうわけですね?」
「はい、そうなります」
いやそうなりますじゃねーだろこのハゲ丸、と心の中で毒づいたが、周囲は子供ばかりのこの場で唯一話が通じそうな大人だったので、なんとか喉まで出かかったのを堪えた。
「じゃ、早く返してください」
「はい?」
「いや『はい?』じゃなくて。さっさと返してください。忙しいンです、私」
雇い主のズボラさを思い出して、ウェンディは暗澹たる気持ちになった。
あのスチャラカ神父にまかせておいたら、三日で教会がゴミ捨て場同然になる。一刻も早く戻る必要があった。
「うーん、と言われましてもですねえ……」
だが、男は困ったように頬をかいていた。
……まるで、雇い主の神父が言いにくい事を頼んでくる時のようだ。ウェンディは嫌な予感しかしなかった。
「……もしかして、返せないとか言うんじゃ?」
「実はその通りでして、ハイ」
ハイじゃねーよこのダラズ、と、自らの使える最大威力の物理魔法『ヴァニシング・レイ』をカマしたくなるのを、寸前で堪えた。
「……詳しく説明してもらえますか?」
三白眼で睨みつけられた男、ジャン・コルベールは、汗をかきかき事情を話し始めた。
§
「――ここは貴族に魔法を教える学校で、二年生に上がる際に魔法で動物を呼んで使い魔にする。元々知性のない動物を呼び出す魔法だから、送り返す魔法なんて作られていない。そして、この子、ルイズちゃんがそれを使った時に、なぜか人間である私が召喚されたと……」
学院の教師であるというコルベールが話した事を要約すると、そういう事だった。
「動物扱いですか、私……」
「い、いえいえ。決してそのようなわけでは……人が呼び出されるというのは、非常に珍しいというか、前例のないケースでして……」
「はァ……それで、使い魔を召喚出来ないとルイズちゃんが進級出来ないので、使い魔になってほしいと」
「そ、そういう事になります」
「はぁ、勘弁してくださいよォ……」
とんでもない事に巻き込まれた、とウェンディは頭を抱えた。
まったく、ようやく仕事にも慣れてきたところだったというのに……これなら、まだあの古代文明ヲタクの起こすトラブルの方がマシ……でもないような気もするが、こんな見も知らない場所に飛ばされる事はさすがに……その内あるような気もするが、ええい、まあとにかく。
久しぶりに、ウェンディは自分の不運を嘆いたのであった。
「もう一回その『サモン・サーヴァント』とやらを使えば、違うのが出てくるンじゃないですか?」
「い、いえ、実はこれ、結構神聖な儀式でして……やり直しというのは、原則認められないのですよ。最初に選ばれた使い魔が、始祖のお導きによりもっとも相性のよい相手とされていますので……」
「だからって、人を使い魔にするなんて無茶すぎです。っていうか転移魔法で無理矢理に拉致ってほとんど一生束縛されるなんて普通に人道に反してます。勘弁してください」
「む、むう」
489:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:56:24 4rT5Vw42
男は黙って支援
490:名無しさん@お腹いっぱい
08/11/22 23:56:42 alozCztn
嫁が召喚された、全力支援だ
491:ゼロメロディ5/6 ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:56:49 x1ZNabcF
ウェンディとコルベールの舌戦を、周囲は固唾を飲んで見守っている。
先ほどウェンディに絡もうとした少年をはじめとしたプライドの高そうな幾人かは、平民風情が生意気に、とでも言いたげに眉を歪めているが、それ以外は頭がついていっていない様子だった。
「し、しかし、平民の方にしてはご理解が早いですね……もしかして、魔法についてお詳しいので?」
コルベールのそれは苦し紛れの話題そらしのようだったが、紛れのない好奇心も多分に含まれていた。
ウェンディの、身の上を嘆きはするも、魔法については疑問を持たず、なおかつ一定の理解をしている様子に、ただの平民ではないと直感したのだ。
未知と常識外の匂い。
自らも変人であると自覚のあるコルベールは、興味さえ向けば、そういうものに敏感なのだった。
「魔法? まぁ一通りは使えますけど、詳しいってほどじゃ」
事も無げに言ったウェンディに、ざわっ、と周囲の空気が変わった。
一番驚いたのは、呆然と教師と少女のやりとりを見ていたルイズだ。
「あ、あなた、メイジだったの!?」
「メイジ? はあ、魔法使いの事をそう呼ぶ事もありますね。私は専門じゃないですけど」
「せ、専門じゃないって何よ。メイジはメイジでしょう?」
「うーン……?」
どうにも話が噛み合わない。さきほど少年が噛み付いてきた時と同じ感覚だった。
「魔法についての風習が違うのかな……? 始祖がどうとか、貴族がどうとか言ってたし……」
貴族しか魔法を使う事を許されていないとか、そんな感じだろうか。とウェンディは当たりをつけてみた。そしてそれは、結構的を射ていた。
「うーっ! 何をごちゃごちゃ言ってるのよ! 魔法が使えるっていうなら使ってみなさいよ!」
「はあ。じゃあとりあえず……『ウォーター・レストレイション』!」
ヤケっぱちに叫んだルイズは、聞き慣れない呪文を唱えた目の前の少女を包むように表れた水の塊に心底驚き、声も出ずに口をぱくぱくさせている。
『ウォーター・レストレイション』。それは、地水火風を司る精霊に呼びかけ、力を貸してもらう精霊魔法の初歩の初歩。水の精霊の力を借り、少しずつ傷と体力を癒していく魔法だ。
そしてルイズの反応は、そのままそっくりと周囲の生徒達も同じだった。唯一驚いていないのは、『精霊と仲良しさんの人間なんて珍しいのね、きゅいきゅい♪』と微笑ましそうに呟いて主人に杖で殴られている竜種ぐらいである。
「はい、使いましたよ……って、どうしたんですか、そんなハトがビームくらったような顔をして」
「せ……」
「せ?」
「先住魔法ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!???」
ルイズの叫びで、周囲の生徒たちの様子が、はっきりと恐怖のそれに変わる。
ゆらゆらとウェンディの周りを取り巻いて浮いている水の塊を、ルイズもコルベールも周囲の生徒も、お化けでも見るかのように見つめていた。
起こっている現象自体は、メイジ達の扱う系統魔法でも不可能な事ではない。空気中の水蒸気を集めて流水にする水の魔法と、物を浮かせる事の出来る『レビテーション』を組み合わせれば出来る事だが……彼女は杖を持たず、しかも同時にそれをやってのけたのだ。
「せんじゅうまほう? いや、これ精霊魔法ですケド……」
「なななな何よそれ! そんな魔法聞いた事ないわよ!」
「うーん、冒険用の、ごく一般的な魔法のはずなンですが……」
「う、うーむ、これは……驚きましたな」
もしや、魔法そのものも何か違うのだろうか。だとしたら、どんな遠くまで飛ばされてしまったというのだろうか……。
ルイズだけではなくコルベールすら同じ反応をしているのを見てそんな事を思ったウェンディの頭に、ふと嫌な予感がよぎった。まだいじめられっ子だった時から、こんな風に閃くような予感は――特に悪いものに関する事は、よく当たったものだ。
異世界。
ここが、住んでいたところとは違う世界であるという可能性だ。その存在を、ウェンディは知っていた。
『彼』が住んでいたという異世界『チキュー』は、魔法の存在しない世界であるらしいから、ここはそうではないのだろう。
しかし、旅の途中の打ち捨てられた廃坑で見つけた謎の鏡は、それまた別の異世界――確か、怪獣と異常気象の飛び交うオモシロカッコいい世界だとか鏡自体が言っていたが――に繋がっていた。(くぐらなかったから実際にあるのかはわからないが)
もしかしたら、『世界』というのはいくつもあって……ここは、そんな中の一つなのかもしれない。
492:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:58:04 4rT5Vw42
支~援
493:ゼロメロディ6/6 ◆yxbMPy6fic
08/11/22 23:58:40 x1ZNabcF
……うわァ。
そこまで思いついて、ウェンディは再び頭を抱えた。
知り合いの古代文明グルイならば小躍りして喜びそうな状況だったが、なぜそれが自分に振りかかるのか。もっと喜びそうなヤツ他にいるじゃん。どこぞの古代文明ストーカーとかさァ。
こんな見知らぬ土地に一人で放り出されてどうしろと――。
「――あ。それって……」
そして気付く。
それは、『彼』と同じじゃないのか。
魔法の使えぬ世界からウェンディ達の世界に事故で飛ばされて、確実に帰れるかどうかもわからないまま一年半も旅を続けて、それでも優しく笑っていた『彼』と。
……というか、同じ状況になってみてわかる。それは異常だ。私なんて、本当にそうかもわからない、ただ思いついたというだけで、こんなにも取り乱しているというのに。
「あの」
「あ、は、はい。なんでしょうか?」
「ほんっっとーに、帰る方法ってないんですか?」
驚きと恐怖一辺倒の生徒達とは違い、それに好奇心が半分ほど混じり合った、どこか子供のような眼で『ウォーター・レストレイション』の水を眺めているコルベールに、ウェンディは少し凄みながら聞いた。
――私にも、やれるかな。
『彼』に会う前の自分だったら、思いつきもしなかったであろう思考。
「う、うーん。どうしてもと言うのであれば、そこまでの旅費ぐらいだったら出させていただきますが……トリステインを知らないというのであれば、帰り道もわからないのではないですか?」
「そうですね……確かに、帰り道がわかりません」
先ほどの説明の中では『神聖な儀式だからやり直しは認められない』とかいうような事を言っていたのに、随分と妥協した返事になっていた。先住魔法とかいうのは、そこまで恐ろしいものなのだろうか?
しかし、そのコルベールの言葉は、徒歩で帰る事を前提にしたものだった。異世界に帰る方法など想定もしていないのだろう。
――無理かもしれない、と不安が襲ってくる。
でも。
もし帰る事が出来たのならば、胸を張って『彼』に会える気がする。
『彼』に会うために、異世界でもどこでも行ける気がする。
「わかりました。帰るための魔法を探してくれるという条件を飲んでくれるなら、使い魔、やってあげます」
だからその一歩目を、大好きな『彼』と同じ道程を、いじめられっ子だった少女、ウェンディ・ミゼリアは踏み出した。
494:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:00:06 v2s8sqk8
懐か支援!
このゲームを中古屋で買ったのがマイノリティな趣味に走る切っ掛けになった。
495:ゼロのエルクゥ ◆yxbMPy6fic
08/11/23 00:01:47 x1ZNabcF
というわけで、自分が道を踏み外すきっかけとなったゲームからでした。
支援ありがとうございます。
・いじめられっ子
・編み物が得意
とかでルイズと絡ませると面白そうだなぁ、という思いつきだけで書いたものなので、粗はあると思いますが、楽しんでいただければ幸い。
496:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:02:07 lSWJIU5h
乙です
497:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:02:08 rUdlOHnw
乙
498:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:03:03 JFx3kzqh
乙
これで思いつき……だと……!?
499:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:03:34 9Kvr804s
乙。
鳩ビームで笑ってしまった。
500:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:04:58 AhHK/UtX
.,⌒ γ⌒., 。
[皿 ・´] 。
⊂| |つ 。お前さん、かっこいいよ!
| ヽ_,rァ 。
丿 λ 、´ヾゝ 。
""" """ 。
501:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:05:48 5n4EccjI
まさかのエタメロwww激しく乙です!
悠久シリーズも全て集めたなぁ・・・誰か召喚されてたっけ?つーかスゲェ懐かしいw
502:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:05:55 0x8r/r14
ほのぼのしたので乙
503:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:06:01 5fh8oIo5
乙
でもコレは普通に一話だよね。
小ネタとかいって召喚だけで終わらせるなんて許されざるよ。
504:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:06:49 RtK2bejO
エタメロはやったことないけど、なんだか続きを期待したくなる
内容でした乙
505:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:08:53 m/7uFDD3
ゼロメロディ乙でした
提督くらいの大作を書けるようになってください
506:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:14:45 xYVopDCG
乙!
元ネタは知りませんが、面白いけど詰め込みすぎなどっかの完結長編ものと違って、読みやすくて面白い!
ぜひ続きをお願いします!
507:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:16:01 60hsb8GU
>>505
少しは空気を読んでください・・・
エタメロかSSでプレイした記憶が懐かしいですね
508:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:16:25 /Wfr8K/V
うわー先が読みてー!
実に乙です!
509:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:24:50 fQ3v3krF
ウェンディにひどいことしたら叩く
510:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:25:43 BBTQrQDf
鉄骨鉄骨鉄骨落下で異世界へ
乙でした!
511:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:27:43 AsDWvg3L
うぉー俺がレミットの次に好きなウェンディだー
乙であります
512:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:32:03 UWW2mM73
乙&GJでした
エタメロや悠久で道を踏み外した人は結構いそう、俺もだけどw
お気に入りはティナだった、こっちが召喚されてたら大混乱だったろうなw
513:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:33:08 ElEgAzHI
変わらずのテンプレマンセーなSSばっかな中で提督のオリジナリティは貴重
514:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:36:22 CIIsnfkO
>>513
空気を換えようと投下した作品の直後にその発言はちょっとどうかと思うですよ?
あのオリジナリティは嫌いじゃないけど、それを理由に他を叩きたいなら毒吐きへどうぞ。
貴方の本音はその一行の前半ですか? 後半ですか?
515:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:38:16 9wep6SWS
オリジナリティを理由にマンセーされてもな
ありゃあ既に荒しだろ
516:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:40:30 0x8r/r14
はいはい、換気換気
517:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:40:33 FD+4KEZR
オリジナル展開の作品は好き。
MtLとか普通に面白い。
でも提督は無いわ。
518:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:42:24 gPGCJ04Q
>>514-515、>>517
相手しても喜ぶだけだからスルーしようぜ
519:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:42:42 KHLGXkLO
エターナルメロディから召喚乙。
ウェンディが説教と魔法実演でハルケギニアの文化を蹂躙していて面白いですね
。
ハルケギニア未開人の貴族の誇りとかボコボコに破壊してください。
520:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:43:18 iKdNNxVv
>>513は皮肉と解釈した
521:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:43:58 CIIsnfkO
褒めるのであれば他者と比較せず、良い所をアピールすればよくないですかね?
ここは品評会じゃないんですからいい所を出し合って、皆で気持ちよく使っていきませんか?
つーか、エタメロとか懐かしすぎるw
もっとやってくれ!w
522:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:44:54 48cwYkCt
もうルイズに『スルー』の魔法を使わせるのはやめようぜ。
爆発してばかりじゃないか。
523:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:45:12 xaDbup28
エタメロ懐かしいです。
青春時代でした……。
524:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:45:32 UWW2mM73
>>510
鉄骨と同化、その後増えたり馬と合体するんだよな。
525:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:46:59 5aGKN9D2
終わったんモノ掘り返すのは勘違いした大作家様の常だよなw
どうせなら己のウンコ同士をミックスさせてゼロの薔薇提督でも書けよ
526:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:47:31 BBTQrQDf
>>524
貴様!あのアンソロを読んでいたな!w
……あれから、もう12年か。時が経つのも早いなぁ。
527:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:53:08 5fh8oIo5
エタメロでウェンディと聞くと最初にノベライズ版を思い出すのがファンの嗜み。
いずれは、世界扉で自分の世界ではなく『彼』の元に行くのだろうと想像すると幸せになれます。
528:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 00:58:41 KeOq8a4g
今前スレから読み終わった。
毒吐きスレじゃなくてここで言わせてもらうが。
何この読者様方は?
提督は正直ゼロ魔分が少ないからアレだと思うが、
粘着してる奴らこそスレの私物化だろうに。
529:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:00:51 MI8n+6kc
そういや、ゼロ魔SSで読める範疇にあるのって憑依ものばっかだな。
ルイズに召喚されたのが別キャラってSSには皆無って感じだが。
530:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:02:15 AB2tXXP9
憑依物になんて地雷しか有りませんよ……
531:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:02:27 hYtQQaqY
>>529
ならなんでこのスレにいるの?
532:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:02:42 hWMSoFvF
ケンシロウ「シエスタそのサラダ食ってみろ」
シエスタ「え!?い、いえ私は今食べたばかりで…」
ケンシロウ「そんなに苦いサラダがあるか!」
533:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:05:33 g6bqdKXI
まじかる☆アンティークからスフィー・リム・アトワリア・クリエールを召喚。
召喚されたとき勢い余ってルイズ死亡。
蘇生した結果スフィーは身長:135cm / スリーサイズ:64-53-69 の素敵な体型に。
公爵家三女死亡→蘇生ってやばくない?
それとシエスタは長瀬の血を引いている。
534:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:06:12 AbyVlDCQ
>>528
本当にスレを読んでみたのか気になるが、
今回は作品の内容ではなく、本スレでは問題がありそうだと理解しながら本スレに投下した作者の行動に対する非難だろ?
535:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:07:49 wHDJSrVn
>>534
問題視してる方が問題なんじゃないのかい( ´ー`)y-~~
536:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:10:49 G0hAkhlj
単発が多いねぇ
537:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:10:54 UWW2mM73
>>526
唯一の公式アンソロだからなw
「黙れ虫」ネタも好きだった。
>>527
小説版も買ったけどまだあるかな?
ゲムドラナイトのラジオドラマも聞いてたなぁ…
538:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:11:13 AB2tXXP9
>>535
この場面で面白くもない冗談言わないで下さい(;><)
539:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:17:09 KeOq8a4g
>>534
いや、非難する気持ちは分かるよ。
でもスレ上から下まで読んでて、いい加減粘着しすぎだと。
今回の問題も、
「最初は避難所に投下するつもりだったけど、やっぱり本スレに投下します」
ってだけだろ?
それなのにいつまでもグダグダと、ほんとスレ住人様、読者様だと思うわ。
540:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:19:08 xaDbup28
>>539
毒スレへどうぞ。
擁護したい人もそうでない人も、今はあっちへどうぞ。
というかスレの正常な運営の妨げになっています。
541:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:22:55 wHDJSrVn
>>540
運営スレにどうぞ
542:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:23:23 GdLOkCjy
SSは面白ければ正義だと思う
543:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:27:55 o0+rKhUP
戦争って敵対する両方が「俺達が正義だ」って思念でやってんだぜ?
544:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:30:49 B1+8V8TP
面白かったら何やってもいいのか、DQNの発想だなw
545:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:31:17 j1roqBRh
提督を叩いてるのは単に嫉妬してるだけだろ
546:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:32:42 wHDJSrVn
>>544
そう言う君はどこまでOKなのか線引き出来るのかね?
ぜひ聞かせて貰いたいね
547:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:34:09 4Sx8TJCW
ダメそうかなと思ったら避難所に投下すれば終わる話だな
548:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:39:19 B1+8V8TP
>>546
どこまでOKって…マジで聞いてるのか?
面白い=正義って本気で思ってるの?
549:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:39:55 hbkFsrys
提督は単純にキモイ
作品も作者も信者もアンチもすべてがキモイ
550:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:42:01 wHDJSrVn
>>548
面白い=正義などといつ言った?
線引きを聞かせろといってるだけなのだが日本語が不自由なのか?
それならば申し訳ない失礼した。
551:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:44:18 xaDbup28
>>550
毒スレへ行ってくれ、頼む。
あんたが行けば残るのは煽り荒らしと粘着の単発IDだけだから。
552:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:44:25 X2xkNVWr
>>542はそればっかりだな
553:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:48:10 BnmbDVBr
新しくクロノトリガーから召喚されないかなぁ
DSになるし
554:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:48:13 B1+8V8TP
>>550
俺の542に対するレスにレス付けたんだから、そういう事じゃないのか?
何の線引きが聞きたいのか分からん。
555:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:50:47 CIIsnfkO
やっぱさ、空気を読むってのは大事だと思うんですよ。
確かに賛否両論でそれを叩けは粘着乙で、褒めれば信者乙でしょ?
そこで、スレが荒れる(荒れるのが分かっている)のであれば空気を読んで避難所へ向かうのが、
社会生活をする上でのモラルじゃないでしょうか。
面白ければ正義と仰る方も居ますが、その面白さを殺す荒らしへの起爆剤っぷりと毒要素の強い作品ならば、
作者自身の不人気っぷりはまさしく悪でしょう?
自分で自分の首を絞めて「自分は悪です」ってどんなマゾですかw
面白い=正義と仰るのであれば
『自分の作品を以下に楽しんでもらえる環境を作るか?』ぶっちゃけプレゼン能力やプロデュース能力で、
作品を正義にも悪にもしてしまうという事を考えてもらいたいです><
線引きですか?
それを聞かねばならないほど、線引きに苦心されているのでしたら
>>1をご覧になってまとめサイトをご覧なられるのが宜しいかとおもいます。
それでもまだ燻るのであればこのスレから立ち去ることをお勧めします
……ああ、長文になってしまった
556:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:53:52 UWW2mM73
>>553
クロノトリガーからはカエル召喚くらいだっけ?
DS版買ったけど何度やっても面白い。
557:ゼロと波動 第八話
08/11/23 01:55:54 1PJin8JM
問題なければ02:00から投下しようと思います。
第7話への多くのレス、多謝であります。
558:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:57:54 L/I+wCU6
よっしゃ、波動の人キタ!
これで勝つる!!!
559:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 01:59:03 60hsb8GU
支援致します
560:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:00:18 1PJin8JM
チュドーン!
チュドドーン!!
チュドドドーン!!!
リュウが『型』を行っている隣で連続爆破を続けるルイズ。
中庭の地面は既にそこらじゅう穴だらけになっている。
知らない者が見ればテロだと思われても仕方がない惨状だった。
「だあぁぁぁっ!なんでこうも毎回毎回爆発するのよ!」
どんな呪文を何回唱えても相変わらず爆発しかおこらないことに痺れを切らして叫ぶルイズ。
「乱れた心では何事も成せない。まずは落ち着いて集中することだ」
落ち着いた声で言うリュウは、先ほどから同じ動きを延々と繰り返している。
オスマンやコルベールの話では、ルイズには普通の魔法が使えない可能性がある。
それはつまり、今の練習をいくらやっても効果がないということだ。
しかし、リュウは確信している。
この世に無駄な努力などないことを。
一見意味がないように見えることも、後から振り返ってみれば必ず血肉になっているものだ。
「解ってるわよ!ファイアーボール!!」
チュドーーーン!!
リュウのアドバイスもどこ吹く風と荒れ狂うルイズ。というよりも、そもそもルイズが落ち着くなど無理だった。
「ああ!もう!こうも爆発が続くと流石に飽きるわね!一回でも成功してくれれば色々工夫できるのに!」
相変わらずプリプリ怒っているルイズ。
「ところでリュウ。あんたここ数日ずっと同じこと繰り返してるだけだけど、それって飽きない?」
気分転換にとリュウに話しかける。
「同じことを繰り返していても・・・例えば、ただ殴るという動作を繰り返しているだけでも一回ごとに常に新しい発見があるもんだ。飽きたりしないさ」
ルイズの質問にひたすら同じ動作を繰り返しながら笑顔で答えるリュウ。
「ふうん・・・あんたのことだから練習でも色々工夫してるんじゃないかと思ったけど、そうでもないのね」
「工夫は大事だが 基礎はそれ以上に大事だ 」
至極当然といった感じで答えるリュウ。
「リュウみたいな人でも基礎は大事なんだ・・・」
ルイズはぼやくのを止めると、再び呪文を唱えだした。
561:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:01:12 B1+8V8TP
支援
562:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:02:23 60hsb8GU
支援!
563:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:03:11 1PJin8JM
「しかし、あれだね、相棒に貴族の娘っ子に平民の娘っ子ときたもんだ。最近はここも賑やかになったもんだあね。」
木に立て掛けられたまま一人(一本?)呟くデルフリンガー。
リュウが夜中に中庭で修行しているのを知って以来、ルイズは毎晩リュウの隣で魔法の練習をするようになった。
それと、相変わらず建物の陰からこっそりリュウを見ながら練習するシエスタ。
「あの娘っ子もこっちでやりゃあいいのにね。どうせバレてることも気づいてるだろうに。それにしても、今日はいつにも増して賑やかだあね」
見れば寮の方から二人の人影が近づいてくる。赤い髪の長身の女と、碧い髪の小柄な少女。
ルイズは二つの影に気づくと露骨にいやな顔になった。
「ちょっと!何しにきたのよ!」
嫌な顔を隠そうともせずに赤い髪の女、キュルケに食って掛かる。
「あのねぇ。夜中にそれだけ騒いでおいてそういう言い草もないんじゃない?
ここ最近、やたらと煩いから何かと思って来てみれば・・・一人無差別テロごっこ?」
呆れた顔で答えるキュルケ。
「な・・・何よ!いくらなんでも寮まで聞こえるはずないじゃない!」
中庭と寮は結構離れているので、気になるほどの音が届くとは思えない。
「この子は風のメイジなの。だから風の流れとか音に敏感なのよ。寝不足になっちゃったら可哀想でしょ?」
そう言ってタバサの頭を撫でるキュルケ。
「で、どうなの?少しは魔法使えるようになった?」
タバサが音に敏感なのは本当だが、実際には『静寂』の魔法で外の音を遮断してしまうので、ルイズの爆音など関係ない。
単にキュルケがルイズを心配していただけなのだが、それをストレートに言うのも恥ずかしかったのでタバサを理由に使っただけである。
真相を知っているタバサは無表情のまま小さくボソッと「不器用」と呟いた。
「ばばば馬鹿にしないでよね!」
キュルケとしてはルイズを気にしているからこそ出た言葉だったのだが、当のルイズはそれを馬鹿にされたと思ってしまった。
だから、思わず言ってしまった。
「魔法ぐらい使えるわよ!!」
ただ、こういう言い方をされるとキュルケの方も悪戯心が鎌首をもたげてしまう。
「あら?それは頼もしいわね。じゃあ、あそこに転がってる石。なんでもいいからあれに魔法をかけてみてよ、歩く無差別テロリストさん?」
ニヤニヤしながら言うキュルケ。
「テテテテロリストが歩くのは当たり前でしょ!みみみ見てなさい!!」
意外とまともなツッコミを入れつつ、ルイズは数メイル先に転がる石に向けて、呪文を唱えながら杖を振った。
「ファイアーボール!!」
チュドーーーーーンッ!!
一際大きな爆音が轟く。
だが、石には何の変化もない。
変化があったのは学院の塔の上の方の壁。丁度宝物庫のある辺りだった。
壁がモウモウと煙をあげている。
しばらくして煙が晴れてみると、壁に大きなヒビが入っているのが見てとれた。
「あ~あ・・・」
大きく溜息をつくキュルケ。
「た・・・たまたま調子が悪かっただけよ」
それでも尚強気のルイズ。
「調子が悪いのは別にいいんだけどね。あれ、どうするつもり?」
自分のこめかみを押さえながらルイズを問い詰めるキュルケ。
それでも何か言い返そうとしたルイズだったが、それは適わなかった。
塔のすぐ傍の地面が盛り上がり、そのまま30メイルはあろうかという巨大な人影になると塔のヒビ割れた部分を殴りつけたからだった。
564:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:04:23 60hsb8GU
支援あるのみ
565:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:06:04 1PJin8JM
ドゴーン!
大きな音と共に塔の壁に人一人入れるほどの穴が開く。
すぐさま巨大な人影の肩の辺りに乗っていたマントとフードに包まれた誰かが穴の中に入っていった。
「クレイゴーレム・・・」
タバサが小さく呟く。
「噂の”土くれのフーケ”ね!?行くわよ!!」
キュルケが叫ぶと、リュウと3人の少女は駆け出した。
「あたしってばツイてるねぇ!どうしたもんかと思ってたら、なんだか知らないけど突然爆発とはね!」
壁の穴の中に入っていったのはキュルケの指摘通り”土くれのフーケ”。
色仕掛けでコルベールから得た情報では、宝物庫の壁はスクウェアクラスのメイジたちによって固定化がかけられているとのことだった。
スクウェアメイジの固定化がかけられている以上、トライアングルの自分の錬金ではどうにもならない。
が、自分のゴーレムなら物理攻撃で破壊できる。そう踏んでいた。
しかし、実際に目の前にしてみると固定化よりもその壁の分厚さ自体が問題だった。
いくら自分のゴーレムでもここまで分厚い上に固定化までかかった壁は流石に破壊できない。
どうしたものかと思案していると、突如壁の一部が、それも丁度宝物庫の辺りが爆破され、ヒビが入ったのだ。
フーケはこれ幸いにと急いでゴーレムを練成すると、ヒビの入った部分を思い切り殴りつけた。
さしもの分厚い壁もヒビが入っていればゴーレムで破壊できる。
めでたく穴の開いた宝物庫の中に侵入するフーケ。
「あったあった・・・」
宝物庫の際奥に保管されていた箱に書かれた『破壊の珠』の文字を見つけ、ほくそ笑む。
箱を開け、中から人の頭程の大きさの珠が連なった輪を取り上げる。
「これが『破壊の珠』だね・・・確かに頂戴したよ」
フーケは宝物庫の壁に『フーケ参上。破壊の珠は確かに頂戴した』
と書きなぐると、再び壁の穴から飛び出し、ゴーレムの手から腕を伝って肩に飛び移る。
「さてと、あのリュウとか言うのがこっちに来るまでに逃げないとね」
が、見ればリュウはすぐ近くまで来ていた。
566:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:07:04 60hsb8GU
支援
567:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:09:35 1PJin8JM
「・・・って、やけに速いじゃないか」
基礎体力からして常人とは違う次元にいるリュウはフーケの予想を遥かに超える速さで走ってきた。
フーケは急いでゴーレムから飛び降りると、闇の中へと身を隠す。
「逃げるまで時間稼ぎしなきゃね」
ゴーレムで傍に生えていた10メイルほどの大木を引き抜くと、リュウたちに向けて狙いをつける。
「大丈夫、時間稼ぎしたいだけだから当てたりしないよ」
物は盗るが命は取らない。
それがフーケの美学だった。
「ファイアーボール!!」
ルイズが途中で立ち止まって呪文を詠唱し、杖を振った。
もちろん火の玉は出現しなかったが、突然ゴーレムの表面で爆発が起こる。
が、先ほどよりも遥かに弱い爆発しか起こらず、ゴーレムの表面が軽く焦げた程度でしかない。
「馬鹿!なんてことするんだい!!」
思わず叫んでしまうフーケ。
爆発はゴーレムにたいしたダメージを与えはしなかったが、しかしそれでもゴーレムの手元を狂わすには十分だった。
リュウの目の前に投げつけるつもりだった大木は大きく狙いを外れてずっと後方、
呪文を唱える為に立ち止まり一人離れた場所にいたルイズに向けて一直線に飛ぶ。
「え!?」
避けることすらできず、自分目掛けて飛んでくる大木をただ見ているしかできないルイズ。
ルイズを助けようとリュウが振り向いて走るが、あまりに距離が離れているのでとても間に合わない。
タバサも”エア・ハンマー”をぶつけて大木の軌道を変えようとする。
が、こちらも詠唱が間に合わない。
キュルケに至っては反応することすらできなかった。
ドウンッ!!
ルイズ目掛けて飛んできた大木は無情にも直撃し、辺りに激しい土煙が巻き上がる。
「嫌ぁぁぁっ!!」
キュルケの悲鳴。
杖をギュッと握り締め、きつく目を閉じるタバサ。
そして、リュウの瞳孔が開く。
――おおおおおおおおおっ!!!――
地獄から沸きあがるような雄叫びと共に、リュウの全身からあまりに濃厚な殺気が噴き出す。
それは、先日のギーシュと闘ったときとは比べることすら愚かしいほどの、果ての見えない、深い暗い殺意だった。
その殺気にあてられてリュウの周りの草花が半径数メイルに渡って一瞬で枯れていく。
赤黒く光る禍々しい瞳でゴーレムを睨み付けると両手を揃えて腰に据え、半身を捻る。
左手のルーンが、篭手の上からでも判るほど激しく妖しく光った。
568:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:11:19 60hsb8GU
支援
569:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:12:12 1PJin8JM
――滅・波動拳!――
ゴーレムに向けて両手を突き出すと、合わせた両の掌からリュウ自身初めて見るほどの巨大な気の塊が放たれる。
放たれた気の塊は30メイルもあるゴーレムの腰から上全てを一瞬のうちに消し飛ばし、
そのまま微塵も勢いを衰えさせずにその直線上にあった塔の上部をも完璧に消し去り、空の彼方に消える。
――ぬぅんっ!――
奈落の底まで響き渡るような呻き声をあげると、信じられない速度で地面を滑るように移動するリュウ。
瞬きひとつの間に下半身しかないゴーレムの足元まで辿り着くと、無造作にゴーレムの足を殴りつける。
ゴバアァッ!!
拳の一振りでゴーレムの足が数メイルにわたり、大きく抉り取られた。
更に殴りつける。
再び大きくゴーレムの足が抉り取られる。
フーケのゴーレムには強力な再生能力がある。
周りに土さえあれば、破壊されても即座にその場所を修復できるのだ。
だが、そんな能力はあってもなくても同じだった。
上半身は既に消滅しているし、下半身にしてもどんなに高速で回復しようにも、破壊のスピードにまるで追いつかない。
たった数度拳を振るっただけで最早足をほとんど失った30メイルのゴーレムの下半身は自重を支えることができなくなり、膝から崩れ落ち始める。
目の高さまで落ちてきたゴーレムの部位を、手当たり次第に尚も殴りつけるリュウ。
・・・脚・・・膝・・・腿・・・腰・・・
全ての部位が、拳が触れた瞬間に塵芥と消え果てる。
「な・・・なんだい・・・あれは・・・」
盗賊の本能が勝手に身体を動かしてくれたおかげで、どさくさに紛れてその場から逃げることには成功したが、フーケは放心状態だった。
人を殺めてしまったこともあるが、それよりもリュウの化物としか表現のしようがない強さ。
そして何よりリュウの放つ殺気。それは生命の根源から湧き上がるような恐怖。
本能から来る恐怖に身体中が震えている。
「あの貴族の娘には悪いことしちまったね・・・それにしてもあのリュウって男・・・何者なんだい・・・」
呟くと、フーケはガタガタと震える身体を無理やり動かして闇の中に消えていった。
570:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:12:16 vNsVP+Al
俺の拳が血を求めている支援
571:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:13:28 60hsb8GU
支援
572:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:15:57 1PJin8JM
リュウの中に僅かに残った冷静な自分が全力で”殺意の波動”の暴走を止めようとしていた。
―何故だ?何故”殺意の波動”が勝手に!?・・・抑えられない!!ここで正気を失ってしまえば大変なことになる―
今正気を失えばキュルケたちを手にかけてしまうかも知れない。
理性が飲み込まれそうになるのを必死で堪える。
「お怪我はありませんか?ミス・ヴァリエール?」
大木が落ちた辺り、土煙の中から声が聞こえた。
リュウがかろうじて残る理性でそちらの方を見ると、収まりつつある土煙の中に二人の人影が見える。
一人は腰を抜かしてへたり込んでいるルイズ。
そしてもう一人は、大木を手で支えているシエスタだった。
シエスタが誰もいない方に向けて支えていた大木を手放す。
ルイズの無事を確認したリュウはそのまま意識を失った。
キュルケとタバサもルイズの無事を確認すると、安堵の溜息をつき、
ルイズの方は大丈夫だと判断してリュウの介抱に向かう。
キュルケは地面に座り込んで自分の膝にリュウの頭をそっと乗せてやると、額の汗を拭ってやった。
「あなた・・・何者なの・・・?」
意識のないリュウから返事が来るはずもないが、誰に言うでもなくつぶやく。
ドットメイジであるギーシュならともかく、トライアングルクラスのメイジが作ったと思われる
30メイル級のゴーレムですらリュウの相手にはならなかった。
そもそも、あの手から出た術のようなものは何だったのか。魔法ではないようだったが・・・
底の見えない強さを持つこの男は、一体どこまで強いのだろう。
そして、その天井知らずの強さに驕ることもなく深い優しさを湛えた瞳を思い出す。
「やばいなぁ・・・本気で好きになっちゃったかも・・・」
隣にいたタバサでも聞き取れないほどの小さい声を漏らすキュルケだった。
建物の陰から見ていたシエスタは、リュウたちが爆発のあった方に走っていったのを後からこっそり、見つからないように距離を離して追いかけていた。
そこで見たのはルイズ目掛けて一直線に飛んでくる10メイルはあろうかという大木。
慌てるシエスタ。
「おじいちゃん!わたしに力を貸してっ!!」
シエスタは全力で走るとルイズの前に飛び出し、大木を受け止めたのだった。
「あ・・・ありがとう・・・大丈夫よ・・・」
腰が抜けたまま、なんとか言葉を紡ぐルイズ。
「とにかく、間に合って良かったです。走るのが速いのも、力が強いのも、たまには役に立つんですね」
シエスタが微笑んだ。
573:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:16:45 60hsb8GU
支援
574:ゼロと波動 第八話
08/11/23 02:17:38 1PJin8JM
以上で投下終了です。
ありがとうございました。
575:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:19:47 vNsVP+Al
乙です
576:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:22:30 60hsb8GU
乙でありました
577:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:27:29 5n4EccjI
乙であります
殺意のリュウ無双・・・よりシエスタの潜在能力がwww
今後の展開も激しく期待してます!
578:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:29:34 g6bqdKXI
波動さん乙です。
ルイズピンチ→殺意の波動ONという図式。
ていうかシエスタ強っ。
シエスタが見よう見まねで波動拳使いそうな予感。
579:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:31:11 +Mh/6DSd
乙です。
今後に激しく期待!
580:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 02:53:45 yfylfBDK
乙w
シエスタがさくら化するのか!?w
というか、おマチさん、無事に逃げられて良かったねw
581:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 03:13:42 wokhZ1+e
>>555
とりあえずあんたは悪決定
SSでもない長文を本スレに投下ってテンプレ荒らし並にひどいぞ
582:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 03:25:23 CIIsnfkO
あい、自重します
583:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 05:41:59 8sTEI7YG
ところで、多重クロスや他作品のキャラと一緒にサイトも召喚される話は本スレでもok?
584:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 05:42:13 Fp56GDMS
>>580
さくらの恰好したシエスタ…だと…
超見てぇー!!
波動の人GJです。
次回に超wktk。
585:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 05:43:10 8Du8TY+3
>>583
Ⅴ3などの傑作前例があるし、いんでない?
586:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 05:48:42 Fp56GDMS
>>583
OKだと思うよ。前例あるし。
ただスンゴイ難しいよ。ハッキリ言って。
587:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 06:43:37 /DG0xhCO
俺には、俺には見えるぜ 褌一丁で隈取をしたシエスタが・・・むしろそれ以外思いつかん
588:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 07:47:18 rk7Jh4dA
全シエスタ入場とかいうネタみたいな
589:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 08:19:19 2sjqYDlf
>>587
私は、”日焼けしたシエスタ”しか見えんかった(w
590:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 09:23:22 sfUto/D8
提督を批判してるのが特定のIDばかりでワロタwww
591:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 09:25:54 OhuNsaj+
提督を擁護してるのも特定のIDばかりでワロタwww
592:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 09:30:05 J02kMZDK
>>590-591
自演乙!!
>>592
自演乙!!
593:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:07:11 7EagfuVl
やっぱりエドモンドさんでシャンコナヴェなんですかね
594:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:14:53 DbtoitOr
タルブの村が凄まじい事になっていそうな予感
595:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:15:39 AbyVlDCQ
村の中央に土俵があるとか?
596:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:19:26 Gme9s5Vu
ストキャラで男の黒髪なんてリュウ、ケン、本田ぐらいしかいないから特定は容易
597:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:21:08 2olpJw3i
現在の相撲と違い、元々は戦争で徒手空拳で戦う為の技術だったとか。
……エドモンドの流れを汲んでいると仮定するなら、そのくらい無茶でもアリな気がする。
598:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:23:49 K50R0JvK
相手を転倒させてマウントポジションとって短刀でグサリまでが一挙動だからね>戦場格闘技としての相撲
599:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:32:47 JFx3kzqh
つまりシエスタが空を飛んで頭突きをするのか…。
600:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:34:54 J02kMZDK
>>599
ということは、タルブ戦は零戦でなくシエスタに乗って空中戦を……
601:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:35:54 6FJm0rRb
DJ!も黒髪じゃなかったっけ…?
あとフェイロン。ケンは金髪だったような…染めてるんだっけ?
602:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:36:26 RfaqaM+S
>600
それ、リュウじゃない。桃白々だ。
603:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:37:27 6FJm0rRb
>>602
いや、キン肉マンゼブラかもしれんぞ?
マッスルリベンジャー的な意味で。
604:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:37:29 wVWGnsRD
アフガン航空相撲ですね、わかります。
605:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:43:05 wVWGnsRD
>>596
ベガ様も黒髪だったはずだ。
だからシエスタは秘密結社タルブーの総帥かもしれん。
606:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:48:05 JFx3kzqh
ここであえて春麗の可能性を提示……ごめん、なんか無理があるような気がする。
607:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:48:43 nkEBPs8+
タルブ名産の美味しいシャドルーワイン……
キャッチコピーは「舌先に光臨する神の世界」「心を天に解放する」「目を閉じれば広がる極楽浄土」
グラス一杯でもう病み付き、これ無しでは人生の意味が無いってか
608:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:50:24 YKQbThct
>>607
何か危ないクスリが入ってそうな気がするのは気のせいですか?
609:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:50:38 X2xkNVWr
>>581
ここは別にss投稿スレじゃないんだけど、なんか勘違いしてる?
610:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:52:02 JFx3kzqh
>>608
シャドルーは麻薬の密売もやってたみたいだからな。
611:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:54:30 SaRyUbmh
ストキャラならダルシム最強じゃね?
体伸びるわ、空飛ぶわ、火吹くわ、テレポするわでチートすぎる
612:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:58:03 J02kMZDK
ソドムは黒髪だっけ? 奴なら素晴らしい日本文化をハルケにもたらしてくれそうだ。
613:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 10:58:22 iPGql1d5
>>610
たしかナムカプでは「表向きは麻薬密売組織」とか言う言われようだったな
表向きの顔でさえ犯罪組織
614:ゲーッ!熊の爪の使い魔
08/11/23 10:58:51 XNanNl8k
短いですが11:15ごろから投下します。
615:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:00:24 JFx3kzqh
1200万パワー支援
616:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:02:43 BjmIolHY
シエスタのじいさんは武道やってたって言ってんのにベガとか無いしw
ごっついタイガ-バズ-カの人に決まってんじゃん。
617:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:02:52 AbyVlDCQ
正義超人はいいなぁ~支援
せめて、二次創作では活躍してもらいたい……
618:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:03:37 6FJm0rRb
ミハイルマンが見守っていますよ支援
619:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:04:09 YKQbThct
>>610
ですよねー、ベガ様居ついてたなら花畑くらいは
620:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:11:40 iPGql1d5
ファイティングコンピュー支援
621:ゲーッ!熊の爪の使い魔
08/11/23 11:16:07 XNanNl8k
では、次から投下します。
622:ゲーッ!熊の爪の使い魔1/4
08/11/23 11:18:10 XNanNl8k
第九話 ウォーズマンのいる日常
さて、ギーシュとの決闘やルイズたちとの話を経てウォーズマンには新たな日常がやってきていた。
ウォーズマンの朝は早い。
日も昇る前から起き出すと、学園の敷地の一角に用意してもらったスペース
(もともと使われておらず空いていたため使わせてもらっている)でトレーニングを始める。
いらなくなったぼろきれを巻きつけた棒に向かいタックルを繰り返し、
同じくいらなくなったボロ屑などをもらってきてそれをつめて作ったサンドバックに拳を打ち込み、
ダンベルを持ち上げ筋力トレーニングを繰り返す。
もちろん器具を用いないストレッチや腕立て伏せといった練習も欠かさない。
そして日が出てくると、ルイズのものに加えシエスタの洗濯物も持って行ってやり、一緒に洗濯をする。
ウォーズマンが正体を表して以来ルイズは彼に洗濯を頼んでもいいのか不安になっていたが、
シエスタの手伝いをするということもあり今でも洗濯は行ってくれている。
もちろん、今のウォーズマン相手にさすがに着替えまでは頼めなかったが。
それはさておき、オーバーボディを脱いだウォーズマンはもう普通に洗いものもできるようになり、
シエスタを二人で洗いものを洗濯して干していく。
そしてそれが終わるとシエスタと別れルイズを起こしに行く。
なお、ウォーズマンに起こされるとルイズはスパッと起きていた。
もちろん怖いからだ。
眠さよりも恐怖が上回る。
623:ゲーッ!熊の爪の使い魔2/4
08/11/23 11:19:41 XNanNl8k
だが、それでも数日続けると少しはこの起床リズムにも慣れてきていた。
そしてルイズを食堂へ送ると再びトレーニングを始める。
そして食後にはルイズとともに授業に出る。
この世界で戦っていくためには魔法についてより深く知る必要があると考えたからだ。
そしてそのあともルイズの昼食の間はトレーニングし、午後の授業を一緒に聞く。
その後はさらにトレーニングを始めるがそこにはもう一人が加わることになる。
ギーシュである。
ウォーズマンはトレーニングの傍ら、ギーシュに稽古をつけてやっていたのだ。
このことを知ると皆は一様に意外そうな顔をするのだが、
ウォーズマンはギーシュに自分と同じにおいを感じ取っていたのである。
さまざまな世界で、召喚された使い魔の実力を見せるていのいいやられ役、
そう、かませ犬のにおいである。
ステカセのかませにされ、牛のかませにされ、体内をリングにされ、真っ先にマスクを狩られ、象にはウギャアされ、
その後20年余り、作中時間では三十四年たった後、再び老害仮面とメシウママンモスにゴーヒューな目にあわされた自分と同じにおいを。
だからこそ、自分のふがいなさを自覚し向上しようとしているギーシュに声をかけ、技や戦法を教えている。
また、ウォーズマンもギーシュに錬金でダンベルなどの金属製の練習器具を準備してもらったり、
稽古の成果を試すことも兼ねてワルキューレを相手にスパーリングを行ったりしている。
624:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:19:54 iPGql1d5
植物メイジ支援
625:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:20:03 6FJm0rRb
今度は『実況』が何時出てくるかが凄く気になってしまう支援
たしか風メイジだっけ…?
626:ゲーッ!熊の爪の使い魔3/4
08/11/23 11:20:42 XNanNl8k
そしてルイズの夕食後は、ルイズやシエスタたちに何か用事や困ったことがないか聞いた後、
トレーニングをしてから与えられた自分の部屋で休む。
当初はルイズと一緒の部屋にいたのだが、ルイズに限界が来た。
さすがに一緒にベッドで寝る気にはなれなかったので、
もらってきた毛布を重ねて敷いて布団のようにしていたのだがその結果、、
夜中静かなところでコーホーコーホー、
おまけに壁には修繕の終わった中身のない着ぐるみがだらんと掛けられている。
怖すぎる。
結局ルイズがマルトー達に頼み込み、寝れさえすればどこでもいいということで
物置に使われていた小さい部屋を整理して空けて、ウォーズマンの寝床にしている。
これが平日の一日。
休日の虚無の曜日には、シエスタたちに手伝えることがあればそれを手伝い、
そのあとの時間は一日中トレーニングとギーシュへの指導。
何でもギーシュは今では前のように女生徒に声をかけて回ることはなくなり、
モンモランシーとだけ付き合っているらしい。
そして空いた時間でウォーズマンに指導を受けている。
なお、一度ルイズに休日に剣を買ってあげるといわれたが、ウォーズマンは断固拒否した。
「俺は正義超人レスラー、用いるのはこの鍛え抜かれた五体とリングのみ。
凶器など使わない」
「え、でもあんたこの前爪つけてたじゃない……」
「ベアークローはおれの一部だ」
「でも凶器になるんじゃ、」
「俺の一部だ」
というわけで結局この話は流れた。
「……あれ、このデルフリンガーさまの出番は?」
その時どこぞの武器屋ではそういう声が上がったという。
627:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:21:19 iPGql1d5
かませ犬吹いた
支援
628:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:22:32 iPGql1d5
取り外し可能なくせに体の一部支援
デルフばいちゃ
629:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:22:38 6FJm0rRb
待ってウォーズマン、アナタの主観時間では未来のはずの出来事が認識されてないか支援
まあ、ゆでキャラだし。
630:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:22:40 76Dx3woa
やっぱり気にしてたのね……支援
631:ゲーッ!熊の爪の使い魔4/4
08/11/23 11:23:46 XNanNl8k
そんな日常に変化がやってきた。
「大変、ウォーズマン!今度姫様が学園にこられてそのとき使い魔のお披露目をするんですって。
皆、何か特技とかを披露しないといけないそうなの」
「そうか、ならこのおれの鍛えた技を、」
「ごめんなさい、姫様の前だしあまり荒々しいことはやめてほしいの」
「そ、そうなのか……」
「うーん、攻めて笑顔とかできれば、でもその仮面じゃあ」
「それなら問題ない」
「え、できるの、どうやって?じゃあちょっとやって見せて」
そう言われるやいなや、
「ウォーズマンスマイル!」
なぜ笑うのにわざわざ叫ぶのか、一瞬そう思ったが、そんなルイズの前で黒いマスクの口がパカッと……
「ひぃいいやあああぁぁぁああああああああああぁーーーーー」
結局、笑顔は取り止めになったという。
632:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:25:12 iPGql1d5
スマイル支援
コサックダンスくらいしか芸無いものね
633:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:27:13 AbyVlDCQ
支援
友情の素晴しさについて語ればいいよ!
634:ゲーッ!熊の爪の使い魔
08/11/23 11:27:54 XNanNl8k
以上で投下を終了します。
ウォーズマンにデルフを使わせる展開がおもいつかなかったので彼には流れてもらいました。
デルフファンの方すいません。
ところでウォーズマン負けちゃいましたけど割といい負け方でしたよね。
ウギャアのときと違って。
635:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:30:05 iPGql1d5
乙ー
でもウォーズマンのやったことは結果的に強敵を増やしただけ・・・ゲフンゲフン
セイウチンを改心させたようにワルドだって完璧メイジから正義メイジに戻せるさきっと!
636:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:31:59 AbyVlDCQ
乙でした
いつかギーシュとウォーズマンのタッグフォーメーションAが見られるのだろうか
637:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:34:18 uRc0ZyNX
ネプチューンマンは老害やない
乙
638:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:39:41 AbyVlDCQ
そういえば、2世でサタンが出てきたのを見て、
ルイズが金のマスクを召喚、それを被って謎のマスクマン、悪魔将軍に変身なんて馬鹿なことを考えた事もあったよ
639:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:41:49 iPGql1d5
イエッサー悪魔将軍!
そういえば超人にライトニングクラウドってどの程度効果が有るんだろう
ネプチューンマンクラスになれば雷を掴んで武器にすることも出来るけど
ウォーズマンやその他の超人にとってはちょっとはダメージになるのかな
640:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:44:43 Fp56GDMS
>>638
ジェネラルストーンでよくね?
そしてルイズはガチムチ超人に…ガクガクブルブル
641:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:49:30 AbyVlDCQ
>>639
ウォーズマンはロボット超人だから、電撃とかかなりまずいんじゃね?
642:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:52:26 o+g53ZPN
その場のノリによってはエネルギーを吸収する可能性も考えられる
643:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:55:16 Fp56GDMS
ストレンジ・プラスから美国探偵事務所一同召喚…
ルイズやシエスタやテファを見て欲望に火がつく正宗や巧美のストーカーと化すワルドを幻視したw
644:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 11:56:51 70GAsx3Z
バイクマンはすげーいい加減な接続方法でバッテリー補充してたよな
645:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 12:12:41 +Mh/6DSd
>>643
やべえw
それは超見たいw
正宗にとっては天国かもしれんな、トリステインはw
巧美の腹黒さはバンパイアセイバーのバレッタに勝るとも劣らないからいいSSになりそうw
しかし・・・
>>巧美のストーカーと化すワルドを幻視したw
これがリアルに想像できていやだw
646:零姫さまの使い魔
08/11/23 12:23:05 ft1WjCZG
投下予約無いようでしたら30分より投下します
647:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 12:27:56 1r9p2eY8
乙です
デルフはこの際デルフマンというオリジナル超人にでもして活躍を…
しない方がデルフは幸せですね
648:零姫さまの使い魔 第六話①
08/11/23 12:30:23 ft1WjCZG
「あっしは手の目だ
先見や千里眼で酒の席を取り持つ芸人だ
あっしの芸が当てにならないってのは 先刻述べた通りだが
これがどういうわけか 占うまでも無い 分かりきった未来に限って
妙にはっきり見えやがる事が 往々にしてある
何でこんな事話すかってェと こうしてる今も見えてんのさ
そう 丁度ここ…… ニューカッスルに来た時から ずっとこんな調子さ
尤も この国の行く末なんぞ 本来なら手前の知った事じゃねぇ
手紙さえ手に入れば こんな辛気臭い場所ともおさらばって寸法な筈だが……
あ~ぁ 何でこういう 大事な先は見えないかねぇ?」
―ニューカッスル
レコン・キスタとの決戦の準備が進む中、城内の一室では
机の上に置かれた封筒を、三人の男女がそれぞれ見つめていた。
「―さあ これが姫からいただいた手紙だ アンリエッタに宜しく伝えてくれ」
「殿下……」
部屋の主、アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーの晴れ晴れとした笑顔に、ルイズの表情が曇る。
目の前に置かれた、アンリエッタの手紙。
これを無事に持ち帰れば、見事、王女からの依頼は果たされる事となる。
だが、王女がルイズに対して望んでいたのは、こんな小手先の使い走りでは無いだろう。
ニューカッスルの置かれた絶望的な状況を見るにつけ、ルイズは改めて感じずにはいられなかった。
アンリエッタは、想い人であるウェールズの亡命を望んでいたのだろう。
それは、政治的に見るならば、進んで災厄を招き入れる行動であり、指導者の立場にある者が下してよい命令ではない。
だからこそ、彼女はこの任務を、切れ者の宰相でも有能な魔法衛士隊隊長でもなく、
唯一無二の友であるルイズに頼んだのだ。
そんな、乙女の切なる願いも、ルイズの言を尽くした説得も、遂には王子の決意を崩すことは出来なかった。
任務を達成しつつある現状とは裏腹に、ルイズの胸中は重く沈んでいた。
「夕刻には宴が始まる
しばし客間にて休息をとった後 是非 出席してもらいたい」
「…………」
649:零姫さまの使い魔 第六話②
08/11/23 12:31:54 ft1WjCZG
ルイズはもはや、王子の覚悟を揺るがすほどの言葉を持ち合わせてはいない。
小さくため息をつき、部屋を後にしようとした。
その動きを、傍らにいたワルドに、軽く抑えられる。
「ワルド……?」
「子爵殿 いかがなされた?」
「おそれながら 殿下に折り入ってお願いしたき儀がございます」
穏やかではあるが、やや緊張が感じられるワルドの口調に、ウェールズが先を促す。
「もし叶うならば 明日 城内の礼拝堂において ウェールズ殿下の媒酌の下
私と 傍らにいる婚約者 ルイズ・フランソワーズとの結婚式を行うこと お許しください」
「!」
「ワ ワルドッ! あなた こんな時に何を……」
「勿論 式といっても あくまで儀礼的なものさ
立会いはあくまで殿下ひとりにお願いするつもりだし
これまでの生活が変わるわけでもない
ただ…… どの道 遠からず永遠の愛を誓い合うことになるのなら
面識の無い司祭の前より 誇り高き騎士である殿下にお願いしたいと思ったんだ」
「…………」
「殿下」
ルイズの沈黙を肯定と捉えたか、ワルドが改めてウェールズに向き直る。
「ニューカッスルに留まる兵達の覚悟 このジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド
武門に名を連ねる者として まこと 深い感銘を受けました
残念ながら 私は重大な任務を帯びたる身 供をすることは叶いませぬが
この上はせめて 殿下の媒酌を誉れに 今生の別れに致しとうございます」
ここまで、二人のやりとりを呆然と見ていたウェールズであったが
ワルドの最後の懇願に対し、穏やかな笑顔を見せた。
「素晴らしい話ではないか
この無能たる我が身に残せる物があると言うなら
喜んで お役目引き受けさせて頂こう」
・
・
・
650:零姫さまの使い魔 第六話③
08/11/23 12:33:53 ft1WjCZG
「ワルド…… 何で あんな大事なことを突然?」
「ああ
あれは何も僕たちの為だけではない
あの申し出は ウェールズ殿下の為でもあるんだ」
「ウェールズ様の……?」
客室へと続く渡り廊下を、二人が進む。
視線を向ける事無く、ワルドが言葉を続ける。
「お優しい殿下の事だ 愛する王女に何一つ残せぬ事も
その使者として現れた 君の誠意を袖にした事も
内心では相当気に病んでおられる筈さ
その彼が 僕達に対し残せるものがあると分かれば
少しは心労を和らげる事が出来るんじゃないかと思ってね……」
「…………」
ルイズが視線を落とす。
もし、ワルドの予想通り、ルイズの態度が王子を苦しめているというのならば
その憂いを取り去る為のワルドの方便を、止められる道理は無かった。
「―それから この話は彼女…… 君の使い魔には秘密にしておいた方がいい」
「え?」
ようやく平静を取り戻しつつあったルイズの思考が、再び揺さぶられる。
形だけの使い魔とは言え、彼女とは公的には主従の間柄であり、私的には大事な友人である。
いかに内々の式とはいえ、これまで危険の多い任務に従ってきてくれた彼女を、参列させない道理は無い。
「ここ数日 供に旅をしてきて感じた事だ
やはり 彼女は我々とは違う」
「それ…… どう言う事?」
「いや 決して悪い意味じゃない
ただ 今は契約で繋がれてはいるが
彼女の価値観は あくまで漂泊の民のそれなのだろうと思う」
「漂泊の民?」
「何一つ権利を持たずに生まれ それ故に 何の義務も負わずに生きてきた人間と言う事さ
様々な特権に守られ その分 貴族としての在り方に縛られている 僕等とは真逆の存在だ
世間の荒波に揉まれながら 自らの芸に由って身を立てて来た事だけが彼女の誇りだ
死に望もうとする貴族の矜持も 今生の誉れを抱きたいという心理も
彼女は理解しようとはしないだろう」
「それは…… でも」
「レコン・キスタの圧力が迫る城内に留まり
任務そっちのけで結婚式ごっこに興じると知れば 彼女は決して良い顔はしない
君と彼女の関係に 必要の無い亀裂を生む事は無いだろう?」
651:零姫さまの使い魔 第六話④
08/11/23 12:35:26 ft1WjCZG
どこかワルドに言いくるめられた感はあったものの、結局ルイズは押し黙るしかなかった。
手の目が危険を覚悟でついて来たのは、あくまでルイズの身を守るためである。
それを知りながら、結婚式に時間を費やすことは、彼女の献身に対する裏切りに感じられたからだ。
「終わったかい? おふたりさん」
部屋の入り口では、話題の中心人物である手の目が、二人を待ち侘びていた。
「手の目……」
「ああ 王女の手紙は 無事に返却されたよ」
咄嗟に言葉がでなかったルイズを遮り、自然な口調でワルドが言う。
「ついては今後の話だが……
明朝 城内から避難民を乗せた船が出る
君はそれに同乗し 一足先にトリステインに戻ってほしい
我々は 後からグリフォンで追う
長距離ではあるが 二人乗りならば何とかなるだろう」
「……言ってる意味がさっぱり分からねェ
手紙が手に入ったんなら こんな所に長居する理由は無いだろうに
一緒に船で帰ればいいじゃねぇか?」
「―君の立場から言えば 確かにその通りだろうが……
今の我々は トリステインを代表する大使でもある
アルビオン皇太子の厚意に甘えっぱなしで 挨拶の一つもせずに去るわけには行くまいよ」
「ふぅん……」
もっともらしいワルドの説明を、いかにも胡散臭げな態度で聞いていた手の目であったが
やがて詮索にも飽いたか、クルリと背を向けると、あてがわれた自室の扉を開けながら―、
「どうでもいいけどよォ 木乃伊取りがナントカってェのだけは勘弁だぜ」
「!」
「なッ……!」
―と、二人が反論する間もなく、バタンと扉を閉めた。
・
・
・
652:零姫さまの使い魔 第六話⑤
08/11/23 12:38:19 ft1WjCZG
―夕刻
ホールでは、アルビオン王国にとって久方振りの宴が開かれていた。
トリステインの有力貴族であるルイズでも、目を見張る程の贅を尽くしたパーティー
テーブルには豪勢な料理の数々が所狭しと並び、着飾った貴族や貴婦人達が会話に花を咲かせる。
時折、老王自ら、ここまで付き従ってきた忠臣たちを慰撫して回るが
宴の歓喜に当てられたは、王の真摯な憂いすらも冗談として笑い飛ばした。
一切の翳りが無い、明るく、華やかな宴
それが却って、事態の傍観者であるルイズにとって、印象的な光景に映る。
「やれやれ こんな七面倒臭い宴席は初めてだ」
ようやく周囲から開放された手の目が、辟易といった感じで近付いてくる。
その表情は、既に先の冷めたものへと戻っている。
「手の目」
「あ~ぁ あんな浴びるように煽りやがって
滅多に無ェ上等な酒だぜ あんなの見たら蔵元が泣くよ」
複雑な表情のルイズに対し、手の目の態度は傍観者そのものである。
余りのデリカシーの無さに、ルイズの心中に先の怒りが込み上げて来る。
「アンタねぇ…… あの人達が無理して明るく振舞っているのが分からないの?
もうちょっと とるべき態度ってものがあるでしょうが」
「そんな事ァ こちとら百も承知さ お嬢の方こそ あいつらに入れ込みすぎなのさ
目の前の光景は 所詮 隣国で起こってる他人事の一部なんだからよォ」
「そんな言い方……」
尚も反論しかけたところで、ルイズが違和感に気付く。
普段から冷淡な手の目ではあるが、いくらなんでも、今日の彼女の突き放した態度は余りにおかしい。
余りにも冷め過ぎた、傍観者の目線。
その意味するところは……
「手の目 アンタまさか……」
「まさかもなにも こうしてる今もはっきり見えるよ
これから【先】の映像が 握り締めた刺青の上から流れ込んできやがる
こんなにも見通しが利くのは こっちも初めての事さ……」
ルイズが憂いを抱えているのは、これから先、ニューカッスルで起こる出来事を予想するが故である。
そして、今宵の手の目がどこまでも冷め切っていたのは、これから起こる出来事を確信するが故であった。
「―でも 先が見えると言うのなら あるいは……」
「どうしようもないね
今の彼らに何を言った所で 情熱に水を差すことしか出来ないし
どう助言してみたところで 盤上では既に詰んでるんだ
あっしが見たものを余す所なく伝えたとしても
精々 道連れに出来る敵さんの数が増えるってェだけさ……」
653:零姫さまの使い魔 第六話⑥
08/11/23 12:40:17 ft1WjCZG
「そんな……」
「彼らは別にそれでいいのさ
今の彼らに残された問題は いかに誇り高く死ぬかってだけだからな
だがよ お嬢はそうじゃねェだろ?
だったら あんなモンに巻き込まれちゃいけねェや」
「…………」
「―他に まだ何か 抱え込んじゃいないか?」
ルイズが再び息を呑む。今宵の手の目の冴えは、まさに異常である。
もっとも、相手は年下とはいえ、長年酒の席を取り持つ事を生業としてきた手練である。
憂いを隠し切れない貴族の令嬢の心理など、裸同然なのかも知れない。
「察するに ワルドの旦那の事だろう?」
「……ええ」
と、ひとまず肯定はしたものの、それっきり、ルイズは言葉に詰まる。
明日起こる出来事を、手の目に話すわけにはいかないが、
その確信を避け、どのように悩みを打ち明ければ良いかが分からなかった。
「あの旦那は 何と言うか 少し近すぎるな」
「近い?」
「ああ あっしは勿論 初対面だし
お嬢は小さい頃の馴染みとは言え 十年来会っていなかったんだろ?
あの旦那は その辺の垣根を易々と乗り越えて近付いてくるのさ」
人と人の距離感。
それは、常に人と向き合う仕事で糊口を凌いできた手の目だからこそ、気になる部分であった。
人同士の付き合いには、それぞれに守っておきたい距離が存在し
人付き合いの旨い者であるほどに、踏み越えてはならない一線を把握して、
他人との間に、絶妙な距離感を保つものである。
これがワルドの場合、自分の本心は隠したままで
いつの間にか対手の内側に入り込んでこようとするきらいがあった。
彼がどこまで自覚的にやっているのかまでは分からないが
それこそが、ルイズが感じたある種の違和感、手の目が感じた本能的な嫌悪感の正体だった。
「―ともあれ ワルドの旦那は強引な流れを作り出す節はあるが
後はお嬢が その流れに乗るか あるいは逆らうか 問題はそこだけなのさ
だから 本当はあっしがちょっかい出す事でも無いんだが……」
言いながら、手の目がルイズの右手を取る。
「何?」
「なぁに ちょっとしたおまじないだ
どうしても お嬢が自分で判断を下せなかった時は
こいつを試してみるのもいいだろうよ」
・
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654:零姫さまの使い魔 第六話⑦
08/11/23 12:42:01 ft1WjCZG
「やれやれ やっぱり当分は乗り込めそうにないね」
明朝、港内に集まった人だかりに対し、手の目が絶句する。
脱出に使えるのは、城に残った戦艦一隻のみというのだから
いかに城内に人が少ないとはいえ、混雑を起こすのは当然であった。
出航まで時間がかかるであろう事を覚悟し、手の目が港内の片隅に腰を下ろす。
手の目がトリステインからの大使の一行と知れば、乗員達も率先して道を開けてはくれるのだろうが
不安な表情を浮かべる女子供を押し退けてまで乗り込む程、安っぽいプライドは持ち合わせていなかった。
―と、
後方から感じた気配に、ゆっくりと手の目が振り向く。
洞窟の影から現れたのは、昨夜のパーティで見知った顔。
「あんた…… 王子様 かい?」
手の目の記憶に間違いが無ければ、確かに目の前にいるのは
アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーであろう。
昨夜見たとおりの穏やかな笑みを浮かべ、ゆっくりと近付いてくる。
手の目としては、その光景を額面通りに受け取るわけにはいかない
アルビオンの皇太子は、本来なら今頃、ルイズ達の別れの挨拶を受けていなければいけない筈である。
「……わざわざ出向いて下さったのは有難いが
こんな所で 油売ってていいのかい?」
疑惑の色が混じった手の目の軽口に、男は応じない。
相変わらずの笑顔で、ゆっくりと体を沈め……
次の瞬間、風を巻き、獣の如き跳躍で、手の目の鼻先へと迫った。
「!」
咄嗟にかざそうとした手の目の右手首が、閃光の一太刀で斬り飛ばされる。
「ぐッ……」
返す刀で打ち込まれた強烈な刺突が、手の目の右胸を深々と貫いた。
655:零姫さまの使い魔
08/11/23 12:45:22 ft1WjCZG
以上、投下終了です。
一話完結の葉介作品だとまず無い引きですが、区切りが良かったので。
ここ二話ほど、手の目が芸を見せていないので、次回は全開で行きたいと思います。