あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part187at ANICHARA
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part187 - 暇つぶし2ch241:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 15:59:50 06OJk2df
>>239

大半のイベント(レコンキスタがらみ)が起こらなくなりそうだなw


242:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:05:58 SDMtx0j5
美形で愛人ありなのに弟萌え一筋なんてしっと団からみたら抹殺対象ど真ん中だろうなw

243:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:06:22 KXezUaXx
>>241
レコンキスタとはもてない男達の集団でイチャつくカップルを始祖の名の下に成敗する事を目的としている。
こんな感じで大半のイベントもパッパラ風に起きます。

244:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:06:25 PuTXMqd0
>>239
いや、とびかげ&轟天は召喚されなくても何時の間にかいるのでしょう
で、オスマンが「ややこれはとびかげ先生、お久しぶりです」

245:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:11:48 lLuF5nuN
>>240
才人

246:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:15:09 06OJk2df
しっとマスクがジョゼフに「メリィィィィークリスマーーース!」と言いながらフルボッコにする姿が見えたww


247:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:17:21 NAfWSHdG
ふとタバサへの嫉妬から嫉妬レディ二号となったイザベラとか
ときめも仮面を教皇が召還してしまって双方涙目な姿とかも毒電波に乗って脳裏に……


疲れているんだろうか.......

248:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:28:46 KXezUaXx
きっとタルブには温泉があって「ストライクフリーダム温泉じじい」
とかいう人気者が居たりするんだよ。

249:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:32:31 lSk92KeI
ギーシュが薔薇の湯を見て感激し中に入ったところ…これ以上は書かないでおこう。

250:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:33:49 06OJk2df
アッー!

251:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 16:34:37 QbrI5my6
>>249
そしてマリコルヌがry

252:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 18:15:18 uEJn2uGO
「虚無の使い魔と煉獄の虚神」の続きってまだでしょうか?
滅茶苦茶気になる
サイト君は何時まで女のトコに居るのだろう・・・

253:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 18:25:41 /606Vj/S
>>252
まだでしょうか? とか言われて分かる奴がどこにいるんだ

254:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 18:54:52 MjMWFswd
>>216
ケンシロウ召喚は考えてはいたけどギーシュとの決闘騒ぎは起きずに

ギーシュ「やいメイド、君が機転を利かさなかったからひどい目に会ったぞ!」
シエスタ「ひえー、めんごめんご」
ケンシロウ「あ、ちょっといいですか?虫が・・・ほっ!」
ぺし
ギーシュ「いて」
ケンシロウ「ああ、とれたとれた」
ギーシュ「やれやれ、なんだあいつ・・・はべら!」
マルコリヌ「うわぁ!なんだこいつ、急に死によったぞ」

ってなるからなぁ

255:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 18:58:52 vDoxvq7J
ケンシロウはやるじゃないの人と戦った時も
ちょっとぼこる程度で済ませたよ。
他にもサウザー爆裂死させなかったりと相手はちゃんと選ぶ。

チンピラは必要以上に無惨に殺してたがなw

256:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:02:24 kiQimBsz
マリコルヌ「どこからでもどうぞ」

257:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:45:52 OCgY0oT7
北斗勢召喚はマジで面白そうだなwwケンやレイ、シュウとかファルコなんかはルイズとも上手くやれそうだが、
万が一ラオウやカイオウ、サウザー、アミバ、ジャギ様でも喚んだ日には…ww

258:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:50:09 aANIIA0u
ケンシロウは飛べないからレビテーションを使われたら手も足もでない
飛び道具も天破活殺くらいしかないし

259:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:52:37 oDaTfXU0
下から石でも投げるだろ

260:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:54:52 iEI0IZZh
知らないのか?ケンシロウもラオウも空を飛べるぞ

二人の最初の対決時、ちゃんと空を飛んでいただろ。ラオウは馬ごと





・・・なんで馬まで・・・

261:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:55:13 06OJk2df
北斗剛掌破…

262:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:55:21 vDoxvq7J
レビテーション使ってる間はメイジ側も攻撃できないから大丈夫。

263:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:55:44 uEJn2uGO
ラオウが馬と一緒に召喚されたら・・・・
「異国の王を召喚した!」

各国王族完全位負け

でも、ラオウはタバサの使い魔になって欲しい

264:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:56:19 cPhmdhVF
ケンシロウも北斗剛掌波使えただろ

265:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:56:31 oIbYdBg+
ケンシロウはちゃんと対空技持ってるから(格ゲー的な意味で

266:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:57:10 Rl2G6Vlq
すごいよ!!マサルさんのキャシャリン召喚してちぃ姉さまにつよしスペシャルをですね…

267:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:58:56 vDoxvq7J
修羅の国で天将奔烈も使ってた。
飛び道具反射の二指真空把もある。

268:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 19:59:59 /u6T3kmJ
カトレアがチョッパー召喚

269:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:02:11 /9J3FJlf
激流に身を任せ同化する


270:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:04:29 IJi8+/6q
サイトもギーシュに浮かされて何も出来なかったからなあ
まあケンシロウなら闘気で何とでもなりそうだがw

271:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:06:12 oDaTfXU0
カイオウの魔闘気で浮かされ攻撃受けた前例があるのを忘れたかね
対抗策は既にある

272:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:09:59 o8X3Y2ie
>>268
絶対に元の世界に戻ろうとする
というか今までに召喚されたキャラも普通に契約を了承してて不自然すぎる

273:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:13:56 syLJzMFa
あの遠心力で足場を作るやつかwww
マヌケにもほどがあるわw

274:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:14:43 ZcWztUSC
>>272
「とりあえず戻る方法がないから」ってのはそれなりに十分な理由になるんじゃないかと思うが。
大体の所は「無理してまで戻る理由がない」か、「戻れるようになるまでの間、仕方ないから使い魔」のどっちかパターンじゃない?
それが納得できないとしたら作者の描写不足だろうな。
あるいはキャラが(あるいは作者が・・・げふんげふん)深い事を考えないタイプとか。w

275:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:16:06 SdKiG2vs
>>274
戻りたくないというパターンもいくつかあるな。
あと、普通に戻れるから気にしていない人もいたような。

276:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:17:42 Rl2G6Vlq
>272
チョッパーだったら取り敢えずちぃ姉さまの病気を治そうとしてくれるだろ。
その後でルフィ達の所に戻ろうとするとは思うけど。

277:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:22:32 l64lYMuL
召喚じゃなくてクマにハルケギニアまで吹っ飛ばされたことにしよう

278:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:30:21 OhgIOnci
>>277
そうなるとハルケギニアがいまだ発見されていない未知の大陸ということに…なるのか?

279:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:34:34 SdKiG2vs
>>277
飛ばされたタイミングで召喚。
本人は飛ばされたと思い込んでいる、でどうだ?

280:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:37:57 6KubN9Ry
>>278
グランドラインの異常性を考えるとあながち大丈夫のような
でも海軍とか一部の海賊は把握してそう、ハルケギニアも一部だけがしってるとか

281:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:41:29 wLA3oQbx
ミラー二等兵が召喚されました

282:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:48:06 n9VFvzla
予約ありますか?なければ投下しようと思います

283:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 20:50:45 n9VFvzla
なければ投下します

避難所とどちらにしようか迷いましたが、結局こちらを選びました。


284:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 20:51:58 n9VFvzla
 イゼルローン要塞のプラス1809レベルには森林公園がある。
 人工天体内の人工森林であるため、その生態系は人間の管理下に置かれている。このた
め蚊などの人間が害虫と呼んで忌み嫌う生物が存在しない。これを不自然な歪んだ環境と
いう者もいるし、「昼寝するには最高だ」と評した者もいる。具体的には、この要塞の元司
令官。
 その男が昼寝場所に決め込んだ場所には、別の人物の姿があった。亜麻色の髪を持つ若
者は、かつて彼の師父の昼寝場所だったベンチに腰を降ろし、空になったスナック菓子と
飲み物を脇に置いていた。そして彼を遠くからみつめる人影もあった。
 厳密に言うと、それが人影と呼べるかどうかは分からない。何故なら、その影はあまり
にも大きかったから。ジーンズの上下を着込み、スニーカーを履いている男性、と言えば
いいのだろうか。服装は平凡なものなのだが、サイズが人間の範疇になかった。それは身
長2.5mはあり、丸いボールをつなぎ合わせたような筋肉が体中に盛り上がり、圧倒的
な威圧感を周囲にまき散らしていたから。
 その人物はしばらくの間ウロウロと考え込みながら歩きまわった後、意を決してベンチ
へと歩き出した。そして若者の前に立った時、携帯端末を取り出し、襟にマイクを取り付
けた。
「あの、ユリアン・ミンツ司令官殿ですね?」
 その人物が、正確には携帯端末から呼びかける声が投げかけられた時、ユリアンは別段
驚かなかった。彼の事は事前に知っていたからだ。彼は頭部に巻き貝のようにねじれた角
を持ち、突き出た口からは涎が垂れ下がっていた。そんな異様な頭部を持った人物は、ユ
リアンは一人しか知らない。そして彼がイゼルローンで様々な治療を受けている最中だと
いう事も報道から知っていた。
「そうです。ですけど、もう司令官ではありませんよ。それに僕は軍を退いたのです。え
と、たしか、ラスカルさんでしたか?」
「…ラルカスです。どうしてみなさん私の名をラスカルと間違えるのでしょうね」
「すいません。でも、どうしてでしょう?」
 そういって若者は恥ずかしげに笑う。涎を垂らし続ける男も、鼻と口から荒く息を吐い
た。笑っているらしい。巨人というに相応しい牛頭の男は穏やかに元司令官と言葉を交わ
していた。
 巨人は一般的にミノタウロスと呼ばれる外見をしていた。



     特別編     魔法使い達



 その時、自動翻訳をしていた携帯端末からピリリリ…とアラームが鳴る。神話世界の幻
獣は科学の産物たる携帯端末を硬く太い指で操作し、モニターから幾つかのデータを表示
させた。
「失礼、薬の時間ですので」
「どうぞ。事情は承知してますので、気になさらずに」
 ラルカスと名乗るミノタウロスは別のポケットから小さなケースを取り出し、モニター
の表示に従って幾つかを大きな口の中に放り込んでいく。
 大きなゲップを吐き出しながら、ラルカスは再び語り出した。
「銀河帝国の人々は皆、医療はメイジに限る、と言います。ですが、そんな事はありませ
んよ。
 ミノタウロスの肉体に脳移植をした人間の私の理性を守ってくれているのは、間違いな
く科学で作られた薬です。あえて脳の機能を制限する事で脳の暴走を抑える抗精神病薬。
これが無ければ、とっくに私は身も心もミノタウロスになって、今も人を襲い、喰らい続
けていたでしょう」
 人を襲い、喰らう。その言葉を聞いた時、ユリアンの眉は僅かに歪んだ。その事にラス
カルも気付き、慌てて牛の頭と両手を左右に振る。
「ああっ!すいません、無神経な事を言ってしまって。もちろん私は自分の罪を必ず償う
つもりです。そのためにも私は自分の肉体と水魔法と知識を銀河帝国に提供しているので
す」
 謝罪された若者も慌てて頭を下げた
「いえ、こちらこそすいません。その辺の事情も承知しているのですから、僕の方が気を
使うべきでした」


285:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:53:12 +Wq2BFWS
どちらか迷ったなら、普通の神経してれば避難所行くよね支援

286:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:54:10 UUE2FdbY
ファイエル。あそこらへんに支援。
(ブリュブリュブリュブリュ)

287:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 20:54:10 n9VFvzla
 そう、ユリアンは知っていた。ミノタウロスの彼は人間の脳を持つ事を。かつては優秀
な水のメイジだったが、不治の病に冒された肉体を捨て、ミノタウロスに脳移植した。そ
の後、ミノタウロスの肉体に脳を冒され、理性を失い人を襲う怪物へ成り下がりつつあっ
た。その後ガリアで掴まり、イゼルローンへ送られた。

 お互いが相手の謝罪を受け入れた後、ユリアンは再び静かに神話の獣へ言葉をかける。
「ところで、今は病院を出ても大丈夫なのですか?」
 その問に牛の頭が上下に揺れる。
「主治医から外出許可は得ています。また、ミノタウロスとしての本能が高まった場合の
ため、この薬…超高濃度リスパダールをもらってますよ。もともと強力な抗精神病薬です
が、私のために更に濃縮してくれたそうです」
 と言って巨大なジーンズのジャンパーのポケットから取り出したのは、その大きな手の
平の上では小さく見える緑色のボトル。さらに襟をめくり、首筋の皮膚に取り付けてある
小さな機械を示した。
「そして、これ。センサーも付いてるんです。これはミノタウロスの細胞が活性化した時
に、人間では使用されない鼻腔の器官である鋤鼻器官(じょびきかん:嗅覚でなくフェロ
モン様物質を受容する器官。高等霊長類では機能せず、鼻腔内に痕跡が残るのみ)も活性
化するのを利用してるそうです。
 ミノタウロス細胞活性化により私が理性を失いそうになれば、まず電撃で私を気絶させ
ます。同時に警報が病院と警察、そして軍に警報が送られます。私の皮膚は硬いし、魔力
は水のスクウェアですが、帝国軍なら殺すのに苦労はしないでしょう」
「そうですか…それは良かった、と言って良いのかどうか、僕には分かりませんが、とも
かく安心はしました」
 ミノタウロスは頷きながら薬をポケットに戻して服を整える。
「安心して良い事ですよ。何より、私自身が安心しているのです。これでもう自分が人を
襲う事はない、と。
 ガリアで捕縛された時、理性が残っているうちに死罪にして欲しい、と訴えました。で
もシャルロット女王様は私のような怪物にすら情けをかけてくれました。私を銀河帝国へ
送ってくれたのです。
 そしてこの世界の人々は、私を単なる実験動物として扱わず、私の治療のために本当に
頑張ってくれています。遺伝子治療によるミノタウロス細胞の不活化、薬物投与による脳
神経細胞保護と、ドーパミンやグルタミン酸やセロトニン等の神経伝達物質補給…と、す
いません。この辺は勉強中で、よく分からないのですが」
「いえ、この宇宙に来て一年もないのに、そこまで学んで理解出来ているなんて、驚きま
した」
 これはお世辞でも何でもなく、事実ユリアンは驚いていた。
 確かに脳移植すら行うほどの水メイジであるため、もともと医学に関してはそれなりの
知識をもっていただろう。だがハルケギニアは魔法世界。その出身者が医学限定とはいえ
専門用語を口にするのは驚きだ。第一、だらだらと涎を垂らした牛の幻獣が科学用語を並
べると、さすがに凄まじい違和感がある。

 通訳をしていた携帯端末が、今度はプルルル…と音を立てる。
「すいません、病院に戻る時間になってしまいました。せっかくミンツ殿とお話が出来た
のに、残念です」
「いえ、これからもお話し出来る機会は必ずありますよ」
「そう願います。かのヤン殿のご子息と出会えたなど、一生の自慢ですから。長々と大事
な時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした」
 そういってミノタウロスは携帯端末を畳んで大きな胸ポケットにしまう。そして深く頭
を下げ、今度は自分の大きな口でたどたどしい帝国語を語った。
「サヨウナラ。マタアイマショウ」
 ジーンズ姿のミノタウロスは、その重量で小道に大きな足跡を残しながら公園の入り口
へ向かって歩いていった。

 彼が向かう先、人口森林を囲む壁の一角には、沢山の窓が並んだところがある。それは
イゼルローン中央病院。この一年で新設された巨大な総合病院兼生命科学研究所。公園に
面した区画を利用しているのは、患者のストレスを軽減する為に、病室の窓から見える風
景を開放感ある爽やかさに演出するため。森林公園ブロックの、雲の浮かぶ青空が投影さ
れる天井近くまで、病室の窓が5階分くらい積み重なっている。


288:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:55:36 gnWpjvfD
さて時流に取り残されたゼロ魔キャラ達は何してるのやら支援

289:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 20:58:24 UUE2FdbY
ヤン・バレンタイン提督支援

290:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 20:58:30 n9VFvzla
「さてと、僕もそろそろ行かなきゃな・・・」
 誰に言う出もなく、ユリアンは呟く。
 ベンチから立ち上がり、お尻を払いながら周囲を見渡す。そして空になった菓子袋に飲
み物の容器を突っ込み小さく丸めてベンチ横のゴミ箱に向けて投げる。その袋は空中でカ
ツンと音を立てて跳ね返り、ゴミ箱の中に落ちた。
 ユリアンはベンチや小道全体を覆っている透明な強化ガラスを二回ほどコツコツ叩いて
から歩き出す。それは最近設置されたガラスの小道。
 ここは森林公園。イゼルローン要塞内部の人工森林。当然、そこにいる生物は全て科学
の管理下にある。そして人間は管理外ゆえ、公園に立ち入れないようガラスの小道のみ歩
く事を許された。
 だから、ガラスの向こうに立つ木も、降り注ぐ陽光も科学で制御されている。木々の間
を飛び回る鳥―20世紀初頭に乱獲のため絶滅したはずのリョコウバトも。水辺の岩の
上でひなたぼっこする、やたら大きくて真っ赤で尻尾からチロチロと火を上げているトカ
ゲ―サラマンダーも。エアコンが起こすそよ風にぷかぷかと宙を漂う目玉のお化け―
バグベアーも。木の上で毛繕いをしている、イタチに似てはいるが大きくて青い潤んだ瞳
を持つ生き物―ハルケギニアでは偉大なる古代の幻獣と呼ばれたエコーも。
 小さくて大人しい個体ばかりを選んで、ではある。だがそれでも科学の範疇から外れて
いるはずの幻獣達が、直径60kmの人工天体イゼルローン要塞内部にある森林公園で、の
んびりと穏やかな時を過ごしていた。


 イゼルローン要塞。それは一年ほど前までは銀河帝国に抵抗する共和主義者達が死闘を
繰り広げた最前線。
 だが今は別の意味を持っていた。
 それは、魔法世界への窓口。科学と魔法を融合させる最先端の研究施設。第二地球から
連れてきた様々な生物が銀河帝国側の生物と生態系に与える影響を調査する実験機関。昨
年捕獲した召喚門を管理する『アインシュタイン・ローゼンの橋』監視観測司令所、通称
『ゲート』の運営拠点。第二地球調査研究機構本部。etc...
 そして今、イゼルローン要塞は銀河帝国ローエングラム王朝初代皇帝ラインハルト一世
と民主共和制の中心人物ヤン・ウェンリーによる戦争終結宣言より一周年を記念する式典
の会場として準備が進められていた。




「ちょっとユリアン!どこほっつき歩いてたのよ!」
 自室に戻ってきたユリアンは、玄関の扉を開けたとたんに甲高い女性の怒声で迎えられ
た。
「おーう、お帰り、元司令官殿。お前さんの被保護者は一緒じゃないのかい?」
 廊下の奥からは鉄灰色の髪とソバカスの男性がヒョコッと顔を出した。
「元司令官って言うのは止めて下さい、アッテンボロー元中将」
「はは、そう呼ばれると昔を思い出すな。もう一度、帝国相手に大暴れしてみるか」
 そんな焦臭い事を言う男が開いたままの携帯端末を手にして部屋から出てくる。その後
ろから青いTシャツにショートジーンズを着た女性がついてくる。
「バカ言ってないで、早くはいんなさいよ。もう、こいつのインタビューの相手はウンザ
リよ」
「これは申し訳ありません、レディ。これもジャーナリストの職責ゆえ、お許し下さい」
 なんて口では謝罪するアッテンボローだったが、態度は全然詫びれてない。軽口を後ろ
の女性に投げかけつつ、玄関へやってきた。その後ろからも女性が来る。長いピンクの髪
を揺らす小柄な女性だ。
 ユリアンは女性に軽く頭を下げた。
「すいません、ルイズさん。無理を言ってインタビューに応じてもらって」
「まったくだわ。こんなの、もうハッキリ言って飽きたわよ。ユリアンの頼みじゃなかっ
たら絶対聞かなかったんだからね!」
 そういってルイズは頬を膨らましてプイッとそっぽを向く。

 もっとも、ユリアンもアッテンボローもルイズが別に怒っていない事は知っている。こ
ういう言い方をする人だという事は、アッテンボローの先輩かつユリアンの養父から聞か
されていたから。


291:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:01:22 n9VFvzla
 ルイズは翻訳機の合成音ではなく、自分の肉声で流暢な同盟公用語の話を続ける。
「それで、肝心のヤンは主ほったらかして、どこ行ってるの?」
 部屋に入って思い思いに椅子に座る三人。ソファーに腰掛けたルイズに聞かれたユリア
ンは少し首を傾げて考える。
「司令部ですね、フレデリカさんも一緒だったはずです。式典の予定とか予行演習とかの
ためにキャゼルヌさんに狩り出されるんだ…と、嫌そうな顔してました。まだ戻っていな
い所を見ると、長引いてるようですね。
 確か、アッテンボローさんも呼ばれていたはずですが?」
「俺は黒幕に徹するのだ」
 不良中年は胸を張ってサボる事を宣言した。
「それに、そんな儀式より大事な事がある。是非ともルイズお嬢様からハルケギニアにお
ける先輩の真実を聞き出さねばならないんだ。
 というか、先輩だったら、もっと醜態を晒したはずなんだ。あんな安物TVみたいに格
好良くない!ようやく念願のジャーナリストになったんだ。絶対、絶対に、低俗なマスコ
ミによる真実の隠蔽・事実の捏造に抵抗してやる!」
 そういって、敬愛する先輩にして歴史的偉人と化したヤン・ウェンリーの評判を落とす
べく決意を新たに拳を振り上げる。横で聞いてるルイズとユリアンは苦笑いしながら目を
合わせてしまう。
 ルイズは机のリモコンで立体TVをONにした。
「その捏造というのは、このドラマのことね」
 立体映像は中世ヨーロッパの城はバックに、目鼻立ちの整った役者達が仰々しい演技を
している。その中には収まりの悪い黒髪にベレー帽をのせた、とても美男子で引き締まっ
た肉体を持つ男性が軽やかにユニコーンを駆る姿があった。
「確かにひどい捏造ですね」
 ユリアンも同意する。そしてアッテンボローの先輩にして元上司に対する罵詈雑言は更
に続いた。先輩はこんな美男子じゃないだの、もっと体はたるんでるだの、格好付けた台
詞なんか絶対言えないだの…。さらにはルイズまで一緒になって、あいつ私の下着を洗お
うとしてボロボロにしてくれたんだから、とか、ヤンが来てから私まで寝坊の常習者にさ
れたんだから、とか。
 それを聞かされているユリアンは、一緒になって笑うべきか養父の名誉のため怒るべき
か、脳の左右で両意見が戦わされていた。

 彼等が話しているのは、数ヶ月前から始まったTVドラマシリーズ。題を「異邦人」と
いう三部作だ。第二地球に迷い込んだ人々の冒険物語を元にした、一応はフィクションと
いう扱いになっている。銀河帝国の人々へハルケギニア世界を伝えるための素材として、
舞台はリアルに徹している。ただし、アッテンボローが言うように、脚色やら演出やらが
酷い。
 第一部はオイゲン・サヴァリッシュのサクセスストーリー。ハルケギニアの片田舎タル
ブの村を舞台にした、苦難と挫折から這い上がり成功を手にした男の物語。これは元々が
ハッピーエンドで終わるため、さほどの脚色はない。平和な片田舎で起きる涙と笑いの人
情模様が中心だ。もちろん村を襲う悪いメイジが荷電粒子ライフルで狙撃されたり、悪徳
商人を科学知識と勇気で懲らしめるシーンはある。そんな事実はないが、入れないと盛り
上がらないので追加された。
 第二部はヨハネス・シュトラウスの冒険物語。本人は異世界を逃げ回り、放浪の果てに
絶望と共に死んだ。だがドラマでは、行く先々で悪と戦い弱きを助け平和を守り風のよう
に去っていく謎のヒーローにされてしまった。オスマンと出会う前に盗賊達を倒した話な
どは、ハルケギニアを裏から支配する邪教集団をたった一人で壊滅させ、その首領と一騎
打ちの末に相打ちになる…メチャクチャな誇張がされた。ラストは『オスマンに匿われて
表向き死んだ事にされた彼は、タルブから迎えに来たオイゲンに連れられて静かな余生を
過ごした。だがハルケギニアに悪のはびこる時、再び彼は銃を手に立ち上がるだろう』と
いうエピローグ付き。これを見たヤンは何も言わなかったが、これは開いた口が塞がらな
かったという類だろう。
 そして第三部は、当然ながらヤンの物語。ヤンはドラマの筋書きに口を出したりはしな
かったし、第二部を見た後はドラマ製作スタッフとの面会にも応じなかった。そして今、
放映中のドラマを見ようともしない。たまにCMでドラマの予告など流れようものなら即
座にチャンネルを変える。ドラマを見た元部下や友人達は、「本人が見たら製作会社に怒鳴
り込むんじゃなかろうか」と、内心期待していた。
 ちなみにルイズは第三部を欠かさず録画して、見るたびに腹を抱えて大爆笑。


292:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:03:38 fjT0Xuhn
避 難 所 で や れ ! !

293:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:04:25 IKsntG8r
いや、ごめん。流石にこれは支援出来ない……

294:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:05:07 n9VFvzla
「・・・というわけで、俺は必ず先輩の真実の姿を報道してみせるのだ!だから、是非と
も協力をお願い致します、ルイズ様」
「うむ、まっかせなさーい」
 へりくだって頭を下げるアッテンボローの申し出に、ルイズは満足そうに快諾した。
 そんな二人にユリアンは目の前に差し迫った問題を思い出させる。
「まぁまぁ、そういう話はとりあえず置いておいてですね、もうすぐ皇帝もイゼルローン
に到着するんだから、ちゃんと服とか式典用のスピーチとか考えておきましょう。
 それと、ルイズさんは久しぶりの里帰りなんですから、荷物やお土産がまだまだ増える
でしょう?」
「そーなのよね。持ち込み禁止にならない物を選ぶのって大変だわ。メックリンガー高等
弁務官って、本当に融通の利かない人ね」
「あの人は第二地球の文化と文明と生態系を守るために全力を尽くしているんですよ。あ
の人がサハラに駐在していなければ、とっくに第二地球は僕たちの文化に汚染されていま
したよ」
「そうだよな、俺もその点は賛成だ。というか、あの人は本当に命を賭けて高等弁務官を
やってるよ。帝国軍人で、あそこまで皇帝に意見反論するヤツは中々いないぜ」
 ユリアンの言葉にアッテンボローは二つ返事で同意する。

 事実、メックリンガーは銀河帝国の使者として高等弁務官の肩書きで第二地球のサハラ
に降りたって以来、己の運命を第二地球の調査と保護に見定めたかのように職務に没頭し
ていた。科学の産物をほとんど身につけず、衣服はエルフと同じ物を着用している。移動
も馬や風竜を使っている。朝起きるのに目覚まし時計も使わない徹底ぶりに、『トイレはサ
ハラの砂漠で済ませ、砂を紙の代わりにしている』というジョークが広まった。そして後
日、本人の口から、それが真実だと語られた。
 そんな風に雑談をしながら、三人は式典の準備とお土産選びをしていくのだった。




 式典準備が進むイゼルローン要塞、流体金属に覆われた白銀の人工天体を戦艦の窓から
見つめる双眸が多数存在していた。白い流線型の戦艦、ブリュンヒルトの一室から、一組
の双眸がベッド上から眺めている。その隣にいる女性はイゼルローンではなく、窓の外を
眺める人物を見つめていた。
「・・・終わりました。体の具合はどうですか?」
 長い金髪を頭上でまとめ、長い耳を堂々と周囲に示しているエルフの女性は少し心配そ
うにベッドに寝る男性の横顔を見つめる。その言葉は、口から直接に語られるのはハルケ
ギニア語だが、襟元の機械からは帝国語が流れてくる。帝国語の方は翻訳機越しの合成音
声。しかし、意味を理解出来ないはずのハルケギニア語の方が鈴の音のように耳に心地よ
い。
 アイスブルーの瞳は焦点を人工天体からエルフの女性に移した。
「良好だ。いつも済まないな、テファ」
「いえ、私は大したことはしていません。全ては母から譲られた指輪の力です、ラインハ
ルト様」
 そういって頭を下げてくるラインハルトに、ティファニアはいつものように恐縮して頭
を下げる。同時にとっても大きな胸が揺れる。隣で控える従卒のエミールは顔を赤くしな
がら見て見ぬふりしようと努力している。努力してるが、チラチラと視線がティファニア
の胸に行ってしまう。
 そんな思春期の悩ましさには気付かぬ風を装って、室内にいるもう一人の人物はエルフ
の女性に尋ねる。
「それで、ティファニア様。その指輪ですが、あとどれくらい使えそうですか?」
「そうですねぇ…」
 銀の台座にはまる水の精霊の力を込めた指輪を眺めながら、あれこれと考える。
「陛下の発作が今の頻度と症状で起き続けるのであれば、3年くらいは保つと思います。
確実とは言えませんが」
 その予想に軍服姿の男性は右手を顎に当てて思考を巡らす。同時に腰に当てた左腕から
は、僅かに駆動音が聞こえてくる。
「それだけ時間を稼げるなら、陛下の治療法を確立するには十分でしょう。例え足りなく
なっても、ラルカス氏に頼むなり第二地球から新たな水系メイジを呼び寄せるなり出来ま
すし」
 その予想に皇帝も満足そうに頷く。

295:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:06:10 eLDg+rYx
>>60で避難所に投下する、対応も読者任せと言っておきながら
全力で無視するアホの書くゼロ魔蹂躙貴族ヘイト俺様マンセーSSなど質の良し悪しに関わらず
ありとあらゆるゼロ魔SSの中で最低最悪のSSだろう
そのへんを自覚できない彼もやはり最低最悪のSS書きもどきなのです

296:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:07:48 n9VFvzla
「うむ、全く魔法の力とは素晴らしいな。どうだ、ワーレンも左腕を治してもらうといい
のではないか?」
 その言葉にワーレン上級大将は恐縮したように慌てて首を振る。
「とんでもありません!陛下の治療にティファニア様が提供して下さる貴重なマジックア
イテムを、私などのために使うなど、勿体ない限りです。
 それに、もう左腕は痛みませんし、この義手も気に入っています。何より、いかな水の
精霊の力を凝縮した魔法の指輪でも、まさか腕が生えてきたりはしないでしょう?ラルカ
ス氏でも無理だそうですが」
 ワーレンの予想にティファニアは、申し訳なさそうに口を開いた。
「はい…すいません。いくらなんでも無くした腕までは、ちょっと…」
「さすがに、そうであろうな。だが、今後の研究次第ではわからんぞ?」
 ラインハルトは知的好奇心に目を輝かせながら、今後予想される医学の発展について述
べた。
「魔法の発見により、僅か一年で医療は飛躍的に進歩した。イゼルローンにいるラルカス
の助力を得れば、単純な外傷によって死ぬ者は事実上ゼロだからな。即死しない限り、ほ
ぼ確実に助かるのだ。
 ゴールデンバウム王朝時代に封印されたり失伝した生命工学も復活させている。予はも
しかしたら、宇宙を統一した偉業より、科学と医療を飛躍的に発展させた皇帝として歴史
に名を残すやもしれん」
 遠くイゼルローンを眺めながら語る皇帝の未来像に、室内の人々も頷く。

 ラインハルトの言葉は真実だった。
 どんな傷でも跡も残さず治してしまう治癒魔法。それは既に医療の現場で活用されてい
た。具体的にはイゼルローンにて治療を受けている水のスクウェア、ミノタウロスの肉体
を持つラルカスだ。彼は確かに実験動物としての地位にある。だが同時に最大限の努力を
もって彼の人間の脳はミノタウロス細胞から守られていた。彼の水魔法を治療に活用する
ために。
 彼の魔力を持ってすれば、いかなる治療困難な傷も治る。皮膚まで完璧に再生させてし
まうので傷痕も残らない。おまけにミノタウロスの肉体を持っているため、信じがたいタ
フネスさで臨床の現場に臨める。
 また、彼は一人しかいないが、実際に彼が全ての患者を完全に治す必要はない。心臓・
脳・膵臓等の重要な器官や主要動脈のみ魔法で癒してもらえばいい。魔法に頼るまでもな
い残りの治療は通常の医学で対応すればいいのだ。それだけで大幅に手術の成功率も治療
効率も上がる。ラルカスの魔力も節約出来る。入院・治療期間が大幅に短縮される。財政
における医療福祉関連予算が浮く。
 ラルカスがイゼルローンに送られ、人間の理性を保てる目処が立っただけで医療の現場
は飛躍的に進歩した。


 そんな明るい未来像を思い浮かべる彼等の元に、通信が届いた。
 デスクのモニターに現れたのは主席秘書官だった人物。今はローエングラム王朝初代皇
后。名をヒルデガルド・フォン・ローエングラムという、体内に新たな命を宿らせ国母に
なる予定の女性だ。
 だが、モニターに映る表情には母になる喜びは無い。その美貌に相応しくない、浮かな
いものだった。国母となるべき伴侶の憂鬱な顔に、皇帝は僅かに眉をひそめる。
「どうしたのだ、カイザーリン(皇妃)よ。何かあったのか?」
 皇妃と呼ばれてから少し躊躇った後、ヒルデガルドは簡略に事実を伝えた。
「彼が…死にました」
 彼。名を伝えず、ただ彼と言った。そしてラインハルトには誰の事なのか、即座に理解
出来てしまった。青い瞳に驚愕と悲しみが満ちる。
「…死因は、何だ?」
「自殺です」
「今さら強いたのではあるまいな?」
「いえ。確かに自殺との報告です」
 その報告を聞いた時、ティファニアは思わず顔を背けてしまった。ワーレンも顔を曇ら
せてしまう。
「そう、か…だが、何故にオーベルシュタインでなく皇妃が自ら報告するのだ?このよう
な報告、お腹の子供にも良くないだろう」
「それは、私が陛下に伝えねばならない事だと思いましたから。そして、テファにも」
「そうか、そうだな…」

297:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:08:41 +Wq2BFWS
人の迷惑顧みずやりたい事だけやるのはさぞかし楽しいでしょうね支援

298:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:10:21 n9VFvzla
 呟くように同意した皇帝は後ろを振り向く。そこには顔を伏せて口を手で覆い、瞳に魔
涙を浮かべるティファニアの姿があった。
「すまぬ、テファよ。貴女の努力を無にしてしまった。私の責任だ」
「いえ、陛下が謝る必要はありません。陛下は最善を尽くされました」
 そう言ってラインハルトを気遣うティファニアだったが、その口からは嗚咽が漏れる。


 ティファニアは銀河帝国に来て、公式行事や会見の合間を縫って行った仕事があった。
もちろんラインハルトの発作を抑えるというものはある。だが、ラインハルトが彼女に頼
んだのは、自分の治療ではない。自分を暗殺しようとした男を助けて欲しい、というもの
だ。その人物はヴェスターラントの生き残りで、ヴェスターラントの虐殺を故意に見逃し
たラインハルトを憎んでいた。
 旧帝国ゴールデンバウム朝の門閥貴族勢力は、旧帝国暦488年のリップシュタット戦役
において、自らの領地であるヴェスターラント内で核攻撃を行った。民衆の反乱を虐殺に
よって制したのだ。ラインハルトは事前に情報を得ていたが、「この暴挙を黙認し、全宇宙
に広く公表する事で門閥貴族派の人望を失墜させるべし」というオーベルシュタインの進
言を採用した。
 結果、目論見通りに門閥貴族派は瓦解した。戦役は三ヶ月は早く集結し、戦死者も一千
万は少なく済んだと見られている。だが同時に、ラインハルトは罪の意識に苛まされる事
になった。
 ヤンがイゼルローンに帰還した後、ハルケギニアからの客人を引き連れて帝国の新首都
として選定されたフェザーンに戻ったラインハルトは、彼に暗殺されかかった。即座に取
り押さえられた彼は、本来なら死罪だった。だがラインハルトは「もうヴェスターラント
で誰も殺してはならぬ」と処刑をさせなかった。代わりにティファニアへ頼んだのだ。も
しも彼が望むならば、彼の憎悪と復讐の記憶を彼女の虚無の魔法によって消してくれない
か…と。 
 エルフとして襲撃者に怯え続け、長引く内乱に家族を失った孤児達を世話してきたティ
ファニアは、この件を他人事とは思えなかった。皇帝の依頼を承諾し、暗殺者と面会し記
憶の抹消を申し出た。結果として暗殺者はラインハルトへの憎悪を消す事を拒んだが、戦
乱に翻弄され続けた美しいエルフ、ティファニアとの話には応じた。ラインハルトも一時
の罪悪感から彼の自分への憎しみを魔法で消そうと考えた事を後悔した。せめて彼が新し
い人生を送れるように支えてもらえないだろうか、とティファニアに頭を下げて頼み込ん
だ。
 その後、ティファニアは指輪によるラインハルトの治療と暗殺者へのカウンセリングに
時間を費やしていた。


 だが今回、イゼルローンでの式典に出席するため彼女は皇帝と共にフェザーンを離れて
いた。その時を待っていたかのように彼は自殺してしまった。室内の男と少年にも彼女の
胸の内は理解出来る。自分が彼の傍から離れた為、彼を死なせてしまったのではないか、
と自責の念を抱いていると。
「テファよ。彼の死は決して貴女の責任ではない。明らかに予の罪なのだ」
 ラインハルトはベッドから立ち上がり、嗚咽する彼女の背に手を置く。だが彼女の涙は
止めどなく流れ落ち続ける。
「済まぬ、テファ。今は部屋で休んでくれ。ワーレン、彼女を部屋へ」
「承知しました」
 義手の将は泣き崩れそうなエルフを支えながら、ラインハルトの私室を後にした。後に
残るラインハルトとエミールは黙って視線を床に落とす。
「…魔法も決して全能ではない。そんな事は分かっていたはずだ。予は結局、度し難い愚
か者なのだ」
「そんな事はありません!陛下は、最善を尽くされました」
 ラインハルトの弱音を聞いたエミールは、必死に皇帝を慰める言葉を投げかける。しか
し皇帝は黙ったまま顔を伏せる。
 ふと彼は視線をあげ、イゼルローンを見つめた。
「あの男なら、何と言うだろうな」
 皇帝が考えている人物が誰なのか、エミールにはすぐ分かった。宇宙広しといえど、皇
帝の相談相手となりうる人は極めて限られるから。




299:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:12:25 gnWpjvfD
やはり続きは正直気になる支援

300:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:13:37 eLDg+rYx
ブリミルを愚神とか狂宴とかいっといて魔法をきっちり利用するなんて
なんと下劣な

301:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:13:37 n9VFvzla
「いや~、そんな事を僕に聞かれても分からないよ」
 ラインハルトの脳裏に浮かんでいた相談相手は、気の抜けた返事を返した。ただしそれ
はラインハルトの苦悩に答えたものではない。
「分からないって事はないだろ?だって、お前さんの剣じゃないか」
 問われたヤンは傍らの壁に立てかけていた長剣を手にして抜き放つ。そして剣に向かっ
て自分に向けられた質問を投げかけた。
「もう何度目か分からないけど、また説明してくれるかい?君がどこでどうやって考えて
話しているのか」
「んなもんしらねーって!何度言わすんだよ。キャゼルヌさんよ、いい加減飽きてるんだ
よ、そういう質問は」
 長剣はツバをカチカチ打ち鳴らしながら答える。正しくは剣のツバ近くに取り付けられ
た翻訳機から不平不満が流れる。キャゼルヌと呼ばれた男性も明らかに不満そうだ。顎に
手を当てて考え込む。
「ふぅ~む。それじゃ、しょうがない。イゼルローン要塞副司令の権限を活用して、お前
さんの剣を接収して分解してみるか」
「や、やめて、分解しないで」
 長剣は怖がっているかのようにカタカタ震える。横で聞いてるヤンも、この手の会話に
はさすがにウンザリしていた。
「とにかくデル君は僕の剣ですから。例え帝国軍といえど、我が家の家宝を勝手に持ち去
るなんて許さないからね」
「しょうがない。ならお前さん達、一つだけ答えてくれ」
「何です?」「んだよ?」
「お前さん、毎晩鼻歌を歌いながら剣を磨いてるって、本当か?」
「ああ、本当だぜ。あんな下手な歌を聴かされるこっちの身にもなれってんだ。ホントに
おでれーたぜ、こいつ歌まで下手なのな」
 ヤンが答えるより早く長剣が答えた。不名誉な追加情報付きで。ヤンはかつての部下で
ある友人に向かって口をモゴモゴさせてしまう。

 アレックス・キャゼルヌ。ヤンが士官学校在学時は同校の事務次長で、デスクワークの
達人としてヤン艦隊の後方勤務と事務処理を一手に引き受けた人物。その実力を見込まれ
て帝国軍に請われ、イゼルローン要塞副司令兼要塞事務監の地位に就いた。というか、ヤ
ンの帰還から現在に至るまで、まるでなし崩しのようにイゼルローン要塞の運営を任され
続けていた。
 イゼルローン要塞は同盟が亡びヤンとラインハルトの会見がなった後は帝国へ引き渡さ
れている。だが、軍事施設としての機能が不要になった代わりに魔法研究機関・各種実験
施設等の、更に煩雑で複雑な用途が次から次へと追加された。『ゲート』建設時から同要塞
の実務を仕切り続けたキャゼルヌを放逐する事は、銀河帝国にとって悪夢以外の何物でも
なかった。
 というわけで、ヤンはイゼルローンの影の支配者たるキャゼルヌ副司令に副司令室へ呼
び出され、彼が一番嫌いな長いスピーチを練習させられていた。

「せっかく軍から退けたのに…ルイズの執事っていう仕事だってあるのに…なんだって僕
がこんな目に…」
 もちろん「2秒スピーチ」の異名を持つヤンにとっては、いかに重要な式典とはいえ長
いスピーチは拷問以外の何物でもない。さっきから彼の口からは、ぼやきばかりが漏れて
いた。
「お前さん、そりゃあれだ、厄介事を押しつけられるのはヤンという存在の運命なんだろ
う」
「おう!そいつは間違いねーな。ヤンの剣である俺ッチが保証するぜ」
 もちろんヤンはそんな運命を保証されても嬉しくなかった。
「第一、皇帝陛下が直々に来るんだから、僕は必要ないんだじゃないかなぁ。あの閣下の
横じゃ、僕なんか誰も見ないよ」
 往生際の悪すぎる元上司の姿に元部下は大袈裟に肩をすくめる。
「あのな、皇帝に銀河帝国への憲法導入と議会開設を勧めたのはお前だろ。その発表式典
で、なんでお前が欠席するんだ」
「そーだそーだ、俺は横で聞いてたからな。おでれーたねぇ、今さら自分が言いだした事
を知らんぷりする気かよ」
「うう…」


302:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:13:43 DSmCKFWf
誰になんと言われようと、自分が正しいと信じたのなら、それを貫くべきです支援

303:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:14:35 7dK11T5j
>>256
ハート様じゃねえかw

304:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:14:49 IKsntG8r
地震だ!

305:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:15:15 +Wq2BFWS
自分が正しいと信じた道が、他人を傷つけると気付かないのならまさに正義そのもの、即ち独善ですね支援

306:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:15:42 eLDg+rYx
>>302
自分を信じるのと人の意見を聞かないのはまったくの別物だぜ
こいつは明らかに人の話を聞いてねー

307:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:16:39 n9VFvzla
 ヤンが観念して諦めの呻きを上げた時、副司令室のインターホンが来客を告げるチャイ
ムを鳴らした。入ってきたのは紺色のスーツを着込んだフレデリカ。そしてその後ろにも
う一人、青く長い髪を腰まで垂らしたワンピース姿の女性。トレードマークの光るおでこ
をツヤツヤさせている。
 まるで救世主でも見つけたかのように、ヤンは来訪者を満面の笑みで出迎えた。
「やあ、イザベラさん。妻とご一緒でしたか。さささ、こちらへどうぞ」
「ヤン、ヒサシブリ。アリガトウ」
 イザベラは翻訳機を使わず、たどたどしい帝国語で礼を言ってヤンが勧める椅子に座っ
た。そのふんぞり返って椅子に座る姿勢は、謙虚とか礼儀とかとは縁が無さそうだ。だが
室内の人々はイザベラが本物の王女だったことは知っているので、僅か一年で腰が低くな
るとは期待していなかった。
 フレデリカはイザベラの横を通り過ぎ、夫が手に持つスピーチの原稿用紙へ視線を向け
る。
「あなた、ちゃんと練習してた?」
 その瞬間、彼等はヤンを業苦から救う救世主ではなかった事をヤンは悟った。ガックリ
と肩を落としてしまう。
「そんな、フレデリカ…せっかく久しぶりにイザベラさんと会えたんだから、ほら、旧交
を温め合うとか何とかあるだろう?」
「気ニスルナ、学校ノ帰リダ。コレカラ病院ヘ行ク。途中、フレデリカニ会ッタカラ立チ
寄ッタ」
「病院ですか。ラルカスさんの助手をしていると聞きましたが」
 ヤンの問いかけにイザベラは小さく頷く。
「ソウダ。夜マデ、オペガ5件入ッテル。時間無イ。父ハ、ラインハルトト共ニ来テイル
カ?」
 イザベラの質問に答えたのはキャゼルヌ。申し訳なさそうに首を横に振った。
「いえ、来ていませんよ。やはり公の場には一切出ないつもりのようです」
「ソウカ。邪魔シタ」
 父と会えないという事実に、イザベラはさほど残念そうな顔はしなかった。淡々と礼を
して部屋を後にした。ジョゼフとイザベラがガリア王族時代、広大な宮殿の中で顔を合わ
す事も話をする事も皆無だった事は周知の事実だった。なので、希薄な親子関係について
ヤン達は不憫だとは思っても不思議には思わなかった。



308:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:18:07 n9VFvzla
 イザベラはイゼルローンで学校に通っている。もちろん通常の授業ではなく、科学や社
会、何より一般常識を最初から懇切丁寧に教える特別カリキュラムだ。ルイズやティファ
ニアも、場所は違うが同じカリキュラムを受けている。彼等の習得具合を見て、今後の第
二地球からの来訪者、希望あれば移住者への授業を改良する予定だ。彼等はそのためのテ
ストケースでもある。
 そしてイザベラは水系統の魔法を使えるため、ラルカスと共に病院で医療に携わってい
る。もちろんスクウェアであるラルカスに比べれば大した治癒魔法ではない。が、それで
も医学では不可能な奇跡じみた事が出来る。魔法による治療を受けるため全宇宙から訪れ
る患者達への治療に忙しいのも周知の事実だった。
 そしてジョゼフはミョズニトニルンと共に宇宙の片隅で隠遁していた。以後、彼等の情
報は全く流れてきていなかった。


「やれやれ、残念だねぇ。せっかくの終戦一周年記念式典なんだから、第二地球からの来
訪者も全員揃ってくれるとよかったんだけど。里帰りの機会なんだし」
 溜息混じりの夫の言葉に妻も賛成した。
「本当ですわね。戦争が終結したのは彼等の協力あってのことなのですから。せっかくの
里帰りの機会なのですし」
「しょうがあるまいよ。ガリア王家の三人は、ほとんど亡命なんだから。残りのメンバー
が揃っただけで良しとするしかないさ。
 俺としては、昔の仲間が集まれなかった方が残念だな。ま、旧同盟軍の最高幹部が昔の
拠点に集まったりしたら、帝国軍に何と言われるかわからんからなぁ」

 シェーンコップ・メルカッツ・ポプラン等の元イゼルローン共和政府重鎮達は、ほとん
どが要塞に来なかった。彼等が集結する事は帝国の人々にいらぬ刺激を与える、という配
慮からだ。
 これとは別に、ヤンはキャゼルヌの残りのメンバーという言葉に少し首を傾げた。そう
いえば残りの二人の顔を見ていないな、と。
 その疑問にはキャゼルヌが答えた。辟易した様子で。
「あいつらだったら、またシャフトのおっさんとやりあってるぜ。毎度毎度懲りないこっ
たなぁ」
「おでれーたなぁ、本当に話が噛みあわねーのな、あいつら」
 デルフリンガーのセリフにヤン夫妻も苦笑いしてしまう。そして次の言葉で、ヤンだけ
が更に苦笑いしてしまう。己の責務を必死で誤魔化すために。
「ともかく、今は他人の事より自分の事を考えるべきです。それじゃ、スピーチの練習を
しましょうか」
「い、いや、ほら、ね、フレデリカ。僕にはルイズの執事っていう大事な仕事があってだ
ね」
 だが人間二名と剣一本は誤魔化されなかった。
「ルイズさんには今はユリアンがついていますわ。だから、あなたは自分の職務に集中し
て下さって結構です」
「そだな。それに、おでれーたぜ?おめー、執事の仕事の大半を嫁さんに取られてんじゃ
ねーか。ハッキリ言って、ヤンは執事として役に立ってないわな」
「そういうわけだ。諦めな、ヤン。妻と長剣の告発があった以上は申し開き出来ないぞ。
観念して練習しろ」
 かくして、かつて始祖ブリミルを呪ったヤンは、ブリミルへの八つ当たりも追加する事
にした。 





309:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:19:15 eLDg+rYx
イザベラ程度の水魔法で役に立つとか帝国の医療技術は低いんだ、現代以下か

310:名無しさンッ!@お腹いっぱいッ!
08/11/22 21:19:48 fjT0Xuhn
>>60で言ってた話はなンだったンですかッ!
結局自分達は騙されてたって事なンですかッ!

311:ゼロな提督:特別編①
08/11/22 21:21:59 n9VFvzla
特別編①、終了


批判は1~31話を書き進める間にも受けていました
今後も様々に受けるでしょう。
それら全てを受け入れる事も書き手の役目と覚悟しています

312:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:22:49 0ycTRHWI
>>311
あなたの覚悟はどうでもいい
スレは作者の所有物じゃない
悲劇の主人公によって楽しいですか?

313:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:23:43 eLDg+rYx
>>311
受け入れてないだろ、避難所でやっても迷惑なのは変わりないが避難所行けよ

314:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:24:11 DSmCKFWf
正直、因縁つけるような人が前々からいたしなぁ…
そうじゃなくても、言い方によってはそう言う人達と同一視されるから気をつけましょう
とりあえず、乙でした、続きも、お体壊さない程度に頑張ってください

315:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:24:33 IKsntG8r
>>311
見苦しいです……

316:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:25:30 0woJ/rQV
faithの十周年特価のハードディスク買えなかった
実におしい、くやしい

317:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:26:13 3OqG/aN4
う~む、「晩節を汚す」ってやつ?

318:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:27:00 iuQDod6n
悪いが君は今回で踏み越えてはいけない線を越えたぞ
増長するのもいい加減にしたまえ


319:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:27:39 vDoxvq7J
>>310
匿名の有象無象の発言だから自分とは関係ないってことじゃないの?w

320:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:28:13 xfMK7V7G
そんなにぐちぐち言わなきゃならない内容かなぁ……?
まあいいや、とにかく投下乙です

321:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:28:21 CoYsRDWn
>>316
お前もかw
あの価格は、あり得ないよな……

>>311
貴方の覚悟は立派ですが、荒れるのが分かっててやるのは荒らしですよ。

322:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:28:25 Z7URB2MG
よく読んでね

>・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!

323:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:29:48 retmQ04r
避難所でやれって言ってる奴らの大半が毒吐きでやれって内容なのは新手のギャグか

324:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:30:24 qljQCJDi
興味のないSSはスルーできるが、
有害なSSはスルーできん……

325:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:30:58 +Wq2BFWS
内容では無く本人の対応に問題があると言っている

326:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:31:47 fjT0Xuhn
それでも荒れる事が予測出来たんだから、配慮位はするべきだろう

327:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:32:02 iuQDod6n
>>320
内容に文句なぞ言ってる奴はいないのだが?
当人の無礼な態度が問題だ


328:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:32:08 nbRIf6/K
開き直りと受け入れる覚悟は違いますよ、ましてや自分も問題があると自覚しての投下ですから自重して欲しいですよ

329:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:32:32 06OJk2df
まぁ…なんだ。
一度言ったことを覆す位なら最初から言うなと
話は面白いのでOK。
あと言いたい事のある奴は俺と一緒に毒吐き行こうぜ。
スレを荒らすのもアレだし。


330:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:32:44 vHMd0qOm
>>311
あなたが覚悟するのは勝手だが、それによって他の作者や住人が迷惑を受けることは無視ですか?

331:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:33:24 JJXh1DhW
ちょっと心配だねぇ
これからハルケギニアと提督の世界が合わさった世界観のクロス超えたお話を節目ごとに投下する危険を感じた。

332:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:33:27 vDoxvq7J
対応は読者任せって言ったなら避難所に行く流れだな。
自分を批判する奴は読者じゃないって思うなら本スレでどうぞw

333:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:33:44 vk8nJ6DU
どうせ、確信犯なんだろ?
話しても仕方ない

334:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:34:04 0XD6QLnT
以下毒吐きで

335:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:34:05 P4Ps+FY4
>>322
今回ばかりはSSの内容じゃなくて作者の態度が気に入らないって人が多いかと

336:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:38:14 k5s9fXvo
ああ。SSの内容そのものには文句とかは別にない。
でも>>311の発言は、ほんっとーに拙かったとおもう。
投下中は静観してたけど、続きをここに投下されると
確実に荒れると分かってる以上は避難スレに移ってほしい。
それでも投下するっていうなら、作者も荒らしと大差ない。

337:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:39:14 gnWpjvfD
>>311
お願いだからワルドとウェールズとアンリエッタの三人の後日談書いて欲しい
正直、ルイズ達よりこの三人の方が気になる

338:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:39:54 06OJk2df
提督の人、次回から避難所に行かれる事をお勧めします。
さすがに今回はフォロー不可です。
あと言いたい事のある方は毒吐きで存分にお願いします。


339:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:44:39 Ysl/IJv2
>>337
あの三人の話には興味あるよね。
こういう面白い話は落ち着いて読みたいので避難所で掲載した方が良いよ。
静かに読みたいんだ。

340:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:46:20 +nUAjvMl
避難所に投下すると言っといて、本スレに投下する奴って馬鹿なの? 死ぬの?

341:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:49:56 vHMd0qOm
>>338
言い捨ての罵倒と一緒にするな

342:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 21:49:58 vqkjbuER
すいません。投下良いですかね?
よけりゃ10時くらいからさせていただきます。

343:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:51:00 vHMd0qOm
おお、救いの主よ!
救スレ主があらわれたぞ!

344:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:51:56 JgO9J3Vn
>>342
私はあなたを尊敬します支援

345:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:55:40 CoYsRDWn
>>342
この微妙な空気を払拭してくれ!支援!

346:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:56:04 k5s9fXvo
全力で支援させていただく

347:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:56:15 4atZlqmR
久保みたいに幼稚な内容のが受けるってこった

348:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 21:57:54 vqkjbuER
24.『子供向けのアヌの伝記』と『人類の誕生以前』、それと古の種族について

マーティンが竜の上のルイズに声をかけた。
なんとも言えず悲しそうな顔をするルイズだったが、
彼女は気を取り直してマーティンに手を振った。

「どうしたの?聞いてなかったとか」
「うううるさいわね。それじゃ、また後でね!」

キュルケとの会話を乱暴に終わらせて、
彼女は竜から降りてマーティンに近づく。

「何か、あったのかい?」
「何にもないわ。ええ、何にもね」

そうか。とマーティンは何も聞かずにルイズが歩く方へ付いていった。
竜から少し離れた所で止まり、彼女は口を開いた。

「ところでさっきの話なんだけど」
「ああ、伝記の話かい?」

ルイズは首を横に振る。

「あなたが帰る事が出来るかって話よ。皇帝なんだから早く帰らないと大変でしょ?」
「ああ、その事なんだけどね。難しいからもうしばらくかかるそうなんだ」

実際は違っていた。


『お前はもうニルンに帰る事は許されぬ』

静かにノクターナルは言った。驚きもせずにマーティンは問う。
ここがどこかを聞いたときにある程度予想はついていた。

「何故か、教えていただけますか?」

『あの時、確かにお前の体は竜となりデイゴンを打ち倒した。
そして石となった体から抜け出した魂は、
本来ならそのままエセリウスに行く事になっていたのだ。
だが、あるデイドラの主が悪巧みか何かでお前をここへ運ばれる様に仕向けた。
あの娘の魔法がお前を対象とする様にな』

「では、この体は?」

『そやつはアカトシュを説き伏せたらしい。
あの娘が死ぬかお前が死ぬか。その時が来たるまで、
お前を定命の存在として生かす事を許可させたのだ。
その証が左手にルーンとして刻まれている』

という事はやはりここの創造にはかの竜神が関わっているということか。
しかし、そんな事をするデイドラとは一体誰だ?
サングインならやりかねないが、もう縁は切ったはずだ。

来る者拒まず去る者追わず、が基本のデイドラ教団から抜けたマーティンは、
自身にそこまで親身になるデイドラなんて、どこにもいないと考えている。

友達であるシロディールの英雄が、デイドラの主になるという可能性なんておもいつきもしない。
そもそも人がデイドラになりうる事自体ありえないのだから。
と、今まで培ってきた固定観念により最初からその可能性ははずしていた。

349:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 21:58:42 vqkjbuER
『後からデイドラの主になった者の考えなぞ、我には理解できぬ。
竜の子よ。これが定命の存在として最後の生だ。思うがまま生きるが良かろう』

定命の、というフレーズがどうにも気にかかった。
マーティンは少し嫌な予感がしつつも聞き返す。

「プリンス・ノクターナル、その言葉の意味は…?」

『タロスと同じかそれ以上の事を為し遂げたお前を、
九大神教団の者達が見逃すと思うか?お前は称えられ、
何があっても新たにエイドラの神々に加えられる事であろう』

欠伸をして続ける。夜の女王の異名もあって夜行性なのだろうか。

『本来なら既に祭り上げられているところを、
アカトシュが教団の者達の夢枕に立って待つよう命じたのだ。
それを考えれば、早々に死んだ方が良いのかもしれぬ』

死ぬのもどうかと思うが、まだ皇帝の方が楽じゃないのかそれは。
左手で額を抑えつつ、マーティンは目を閉じてため息をついた。

『案ずるな。神なぞ案外暇な物だ。それ故いくらかのデイドラ王子や主は、
暇つぶしに変革を起こしたがる。タムリエルのどこかに穴が無いかを探し遊ぶのだ。
我は闇の中、まどろみに浸れば年月が過ぎるのだがな』

だから物を盗られるのではないのでしょうか。
とも言えず、自身の今後について何が起こるのだろうか。
そんな事を考えながらノクターナルとの会話を終え、
マーティンはルイズの方へと向かった。


「へぇ。制約って面倒ね」

この地にある制約が邪魔をして帰る事が出来ない。
とマーティンは嘘をついた。ルイズは彼が死んだ事を未だに信じていないし、
これを話したとしても冗談とされるだろう。

ここの東の地に行くのも悪くは無いだろうし、
しばらくは休養として(その割には案外物騒な世界だが)
休ませてもらう事にしよう。そうマーティンは考えた。
彼の中でのタムリエルは現在平和になっているから大丈夫。
本当にそうかは、現在最高責任者のオカート総書記官が良く知っている。

「ああ、けれど戻ることが出来ると分かったなら問題はないさ」

そう言って嘘がバレないように笑顔を作る。ルイズはあまりこういった事への勘が鋭く無い。
すんなりと信じたらしかった。

「なら、さっき言ってた伝記を話してくれる?」

マーティンは笑って答え、子供達に何度も話した物語を語り始めた。

350:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:59:09 JgO9J3Vn
支援

351:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 21:59:37 vqkjbuER
「むかしむかし、まず最初にアヌとパドメイという兄弟がいた。
彼らが何もない『虚無』と呼ばれる空間に存在してから、時が動き出したんだ」

「ねぇその『虚無』って」

伝説の、とルイズが言おうとしたがマーティンが先に口を開いた。

「いや、あくまで何もない状態を表した言葉だよ。だからここの『虚無』とは意味が違う。話を戻そう。」

彼ら二人がやって来た事で時が動き、それによって光と闇が混ざってニーアが生まれました。
アヌとパドメイは彼女の出現に喜びましたが、彼女が愛したのはアヌでした。
パドメイは傷心のまま行方をくらまします。

「いきなり過ぎるわ。いくらなんでも」

もうちょっとこう何か無いの?とルイズは尋ねたが、マーティンは首を横に振った。

「まぁ、子供向けだからね。ニーアがいたかどうかすら私は知らないし」
「え!?」
「さて、それはこの物語を話してからゆっくり語るとして、続きを言うよ」

ルイズが質問しながら物語は続き、佳境に入った。

ニーアを殺したパドメイは、彼女が産んだ「創造」にまで手にかけました。
ずたずたに引き裂かれたそれを救おうと、アヌはパドメイと戦います。
アヌが勝利し、パドメイは死んだと思われたので捨て置かれました。

アヌが「創造」をニルン、すなわちタムリエルにすることによって救おうと試みる中、
未だ生きていたパドメイがアヌに襲いかかります。
彼の死に際の一撃はアヌの胸を貫きました。
瀕死のアヌはパドメイごと「時」の外へと身を投げてニルンを救いました。

「…三角関係の末にそこまでこじれるのかしら」

恋愛って怖いわね。ルイズはそんな事を思いながら、
大いに帝国至上主義が混じった一文の続きを聞いた。

パドメイの体から流れた血はデイドラとなり、アヌの血は星になりました。
ふたつの血が混ざり合うと、エイドラが生まれました。
(そのため、エイドラは善にも悪にもなれるのです。
「創造」とのつながりがないデイドラよりも、
エイドラのほうがこの世の出来事に深く関わっているのもうなずけます)

「前にエイドラはほとんど人前に出てこないって言ってなかったっけ?」

善悪の概念なんて神にはない。あくまで人にとっての善し悪しなのだが、
子供向けなのでそんな事は無視してある。帝国で親しまれている事もあって、
この物語は随分とエイドラ寄りだ。エイドラの神々である九大神が、
本当に善い連中かどうかはハッキリ言って微妙である。

「うん。けれど神々は奇跡として病気の治療を無料で行ってくれるんだ。
他にも点在する祠を巡ってそこで祈れば色々と目に見えた御利益がある。
残念だけど重病は治してくれないんだ。君のお姉さんみたいな人も、おそらくは」

以前何かの話で病気の話題になった時、ルイズはマーティンの治癒呪文に期待したが、
いわゆる一般的な、誰でも罹る病気以外治す事が出来ないと聞いてがっかりした経験がある。

352:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 21:59:52 yJmyhE4N
>>347
ゼロ魔をダシ程度にしか考えてないファン(笑)が喜ぶようなゼロ魔世界蹂躙モノが受けるんだろw
後はクロス先マンセー内容にすれば、頭の中身の無い馬鹿な連中は食いつくw

353:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 22:00:27 vqkjbuER
神様と言っても万能じゃないのね。ハァとルイズはため息を付いた。

「このお話は続きがあるけど、今関係があるのはここまでだね」
「なら、これを下地にして聞くんだけど本当は何があったの?」

マーティンはにっこりと答えた。

「分からない」
「えー」

ルイズはブーイングの声を上げた。マーティンは口を開き、弁明する。

「もっと詳しく書かれた『人類の誕生以前』という本にも書いてあるんだけど、
タムリエルに王朝が出来る前の年代は神話や伝説、
または私が信じている九大神教団の教義を通してしか知る事が出来ないんだ。
本当かどうかは分からない。前に教えてもらったブリミルの伝説のようにね」

始祖ブリミルは6000年前に四の使い魔と共に現れ、
悪魔であるエルフ達を『虚無』の魔法で倒し、
ハルケギニアに平和をもたらした存在である。
また、その血は今も王家に残っている。
故に、トリステイン・アルビオン・ガリアの三国は、神より王権を預かった神聖なる国である。
また、ロマリアは始祖を奉るという重要な役割を担う国であり、王家と同じく神聖である。

まとめればそんな話をルイズは母から伝え聞いた。あの頃はまだ子供だったからエルフが怖い物という事と、
ブリミルは凄いメイジであった事、それと自分は立派な国に生まれたという事しか分からなかった。

今考えてみれば、この物語も本当かどうか怪しいわよね。すんなり信じた子供時代とは変わって、
自国の神話を本当かどうか分からない、と言い切った男の話を聞き、ルイズの思考に変化が芽生えた。

「とりあえずさっき言ったから話すけど、輪をかけて分からなくなると思うよ」

とりあえずルイズは聞く事にした。


宇宙はアヌとパドメイのオルビス(混沌、もしくは全体)から形成された。
アカトシュが生まれ、「時」が始まった。故にこの神は「時の竜神」とも呼ばれる。
そして神々(霊 et'Ada)が生まれ、ロルカーンはそれらを説き伏せ、
(または欺き)定命の次元、ニルンを創造させた。

創造の許可を得たのはロルカーンだったが、
実際にニルン創造の設計を担当した中心的存在は、
マグナスと言われる魔法の神であったとも言われる。
魔法使いの杖の形に象徴される事もある彼は、
ニルンを創った際の多大な犠牲に嫌気がさして、
大多数のエイドラと共にエセリウスへと去った。

「話の筋がほぼ違う気がするのだけど。さっきのあの人の話とも何か違うわ。というよりロルカーンて誰。宇宙って何よ」

天文学がそれほど発達していない世界の人である彼女としてもっともな意見だろう。
そうとは知らないが、マーティンも昔は良く分かっていなかったので、
分かりやすくなるよう、言葉を選びながら言った。

354:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:00:50 UUE2FdbY
なにか湧いてるが支援

355:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 22:01:21 vqkjbuER
「うん。これらも正確な事が分かっていないからとしか言えないんだ。ごめんよ。
ロルカーンの事だけど、彼は大抵の神話や宗教で、
アカトシュと対の存在として崇められる創造の神様の事だよ。
ニルンを創った時に色々と問題があったらしくて、
罰として他の神々に殺されてしまったんだ」

さっきのアレが神様なのよね一応…そりゃ問題も起こすわね。
ルイズの中の神様像が音を立てて崩れる中、マーティンは話を続ける。

「創造の契約でエイドラは死ぬと言われているんだけれど、
私はロルカーンが死んだから、
エイドラは死ぬと言われているんじゃないかと思う。
宇宙と言うのはええと、星々の間にある空間の事だよ。
それと星を合わせてムンダス界と言うんだ」

ドワーフ製の精巧な太陽系儀。彼が魔法を学んだアルケイン大学にそれはあり、
これを用いた授業にマーティンは参加した事があった。


一般的な帝国領内の文化レベルは、現在のハルケギニアより遅れている部分が多々ある。
野蛮な闘技場で賭け事をする事も、闘技会に参加して日銭を稼ぐ事もでき、
またかの国には銃が無く、未だ弓矢で戦っているのだ。
誰もが魔法を使える為、遠距離戦は魔法を使えば良いと思っているのかもしれない。

勝っているかもしれない点として挙げられる物の一つは、
新聞が発行され、シロディールの各地に配達されている事。
しかしそれは「帝国の支援」により市民は無料で読む事が出来る。
つまり、ある記者のペンネームを少々借りて言えば、
「ペンは黒檀の剣よりも弱し」と言う他ない。

しかし、そんなタムリエルにはエルフ族である超魔法文明のアイレイドと、
やはりエルフの一種である、超魔法機械文明のドワーフの遺産がある。

現在帝国で「インペリアル」として知られるシロディール人は、
元々アイレイドの奴隷であり、彼らの文化を模倣して今に至っている部分がある。
本来エルフの神であるアカトシュを九大神の主神として扱い、
他の神々以上に奉っている事等がそれの代表格と言えるだろう。
しかし、様々な理由により古代エルフの一種である、彼らの魔法技術はほとんど失われてしまった。

ドワーフはというと、今はダークエルフとして知られているダンマー、
それの古代種族との「赤き山(Red Mountain)」での戦いで敗れ、絶滅したと「されている」。
実際は、いつだって儀典の方がより正しいものだ。それが優しい嘘かどうかは、
騙されたダークエルフ達が決める事であり、他種族が口を出す事ではない。

この地下に住む事から深き者(Deep Ones)として知られるドワーフ達は魔法と機械技術を組み合わせ、
帝国や、ハルケギニアのどの国でも太刀打ちできない技術力を持っていた。

彼らは歯車と蒸気機関によって動く機械兵士や、見事な装飾細工、
それと何千年経ってもまるで固定化でもかかったかの様に変わらない、
特殊な合金を造った事で知られている。
この合金で造られた機械兵士の装甲板は、
それをはぎ取って身につけても重装として今も実用に耐える事が出来るほどだ。

ドワーフ研究家であり、遺跡発掘で多大な成果を上げた、
ロナルド・ノードセンに言わせてみれば「古代の機械人間の強化外骨格にすぎない」
(『ケメル・ゼーの廃墟』6p)物を鎧として着る様を想像すると、笑わずにはいられないらしい。

356:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 22:02:11 vqkjbuER
これらの遺産は、一般人が作動させる事すら不可能な物も多く、
簡単に扱える武具等を除き、彼らの技術を一部でも正しく活用するには、
独学で研究書を漁るか相応の研究機関、一般的には各領土に置かれてあるメイジギルドや、
それに準ずる地域毎の研究機関等で修練を積むしか方法は無い。

もう滅びてしまったアイレイドと、絶滅したとされるドワーフが造り出した罠や装置は、
数千年以上経過しているものの未だ活動を続けている物も多い。
モロウウインドにはドワーフが造り出した遺跡が今も残っている。
彼らが地下に造ったその遺跡は未だに蒸気パイプ網が機能し、
蒸気と歯車で動く機械人形が遺跡にやってくる冒険家を、
いまかいまかと待ちかまえている。

シロディールに残るアイレイドの遺跡も同様で、
敵対者用の罠が遺跡の財宝を狙う冒険家に向かって作動することも珍しくない。


金属音を立てつつ暗い密室の中、ニルンとその周りにある星を模した球状の物体が回る様は、
最初こそ何とも思わなかった。しかし段々と辺りの色が変わり、
天井や周りが星々の光を映し出していくと、幻想的なその光景に驚きと感動を覚えた。
そう言えば、今はどうなっているのだろう。
故障して現在立ち入り禁止になっている事を知らない彼は、そんな事を思った。


ルイズは頭を抱えて一言呟く。まとめられるかしら?不可能にも程があるわね。
さっき聞いたマラキャスだの何だのの話も一切無かった事もあり、
ため息を一つ吐いて言った。

「神話ってちゃんと理解しようとすると大変なのね…」

『ああまったくだ。定命の者達は一々理屈をこねて理解せねば気がすまぬ。
先に言うが、それらが真と思わぬ事だ。ならば何が真かと問われても、
我も覚えてはおらぬ。お前とて赤子の頃を覚えてなどおらぬだろう?』

ルイズの影からひょいと現れたのは夜の女王。
ひ、とルイズは後ずさる。マーティンはノクターナルが誰かを抱えていることに気が付いた。

「アンリエッタ姫…?」
『そうだ竜の子よ。あの奪いし者に忠告しておけ。デイドラ王子を使役する事がどれほど無謀な事かをな』

夜の女王の領域を経由して、アンリエッタはタルブにやって来た。
よく見れば気絶している。何の覚悟も無くオブリビオンに入ったのだから、当然と言えるのかもしれない。

「姫さま…」

ルイズは何ともいえない顔で彼女を見ている事しか出来なかった。

357:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 22:02:57 vqkjbuER
「あの人が例のヴァリエールさんですか。ところで、チュレンヌさんはどうかしたのですか?」

お説教が終わって、多数の盗賊達とティファニアは移動して現在、
盗賊ギルドタルブ支部、村内にある拠点の一室に戻っていた。
二階には現在気絶した王と王子がベッドに寝かされて治療を受けている。
目覚めるまでもうしばらくかかるらしい。

今、誰かに言われるでもなく灰色狐がドアの前で番をしている。
それを何の表情も無くマチルダは見ていた。

「い、いえ、き、聞いていなかったものですから」
「それ以前に教えていませんわ。チュレンヌ様」

シエスタがああ、この男は本当にこの方以外眼中に無かったのですね。
とでも言いたげに言った。どこから聞きつけたのかは知らないけれど、
どうやら王家とその次に偉い一族の娘が来る事までは調べきれなかったらしい。

「ど、どうしましょうモット殿!もし私たちの事が王宮に知れたら…」

「いや、うろたえてはならんぞチュレンヌ。姫殿下がギルドを頼ったということは、
彼女も我ら二人と同じということだ。それにヴァリエール家の娘をアルビオンへ行かせた事が知れたら、
『烈風』はさて、どう動くか…」

何故そこに烈風が?ティファニア以外はそう思ってモットを見た。
ティファニアは烈風を知らないので、モットが何を言っているのか分からない。

「知らんのか?ヴァリエール殿の奥方はかの『烈風』カリン殿だぞ。
いくら彼女が王家に固く忠誠を誓おうとも、それはあくまで忠を尽くすだけの価値があってこその話。
かの女傑は規律違反を最も嫌う。今回の一件は烈風にしてみれば王家がヴァリエールを裏切った。
と捉えかねん。いかに王家に忠を尽くす彼女といえども、貴族である前に母親だ。
果たして、その様な事をされて未だ忠誠を誓っていられるかどうか…」

もしかしたら、いや、忠心が強いからこそ尚更反乱でも起こしかねんぞ。
モットは、そう言われて震えが止まらないチュレンヌに対し、楽天的に笑った。

「なに、心配する事はない。ルイズ殿とアンリエッタ姫は幼い頃からの友人だ。
あの二人の間柄ならその様な問題も起こらぬだろうて。さて、ティファニア様。
帰ってきた夜の女王と来賓の方々をそろそろお迎えに行きませんと」

王宮内の事については相当な情報通らしい。モットの言葉を聞いてチュレンヌは安心した。
何なんだこの雲の上の会話は。盗賊達はそんな事を思いながら、
気まずい雰囲気になっているだろう、二階の二人を誰が呼びに行くかについて、
ティファニアとシエスタが出て行った部屋の中で話す事にした。


投下終了。専門用語ばっかりで本当にすいませんです。
前作やっていたら『The Monomyth』と内容違うとか言われるかもしれませんけれど、
シロディールで入手出来ないんでマーティンの口から出る話はこれで納得して下さい。
それじゃまた次の投下まで。毒とかルール分かって無くてすいません本当に。

358:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:07:02 JgO9J3Vn
エルダーの人、乙。

359:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:07:35 qljQCJDi
投下お疲れ様です。


360:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:07:51 CoYsRDWn
投下乙です!
実は今回初めて読んだのですが、面白かったです!
これから第一話を読みに行きます。

361:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:10:30 RZNo6RZW
遅レスだが提督作者の対応は確かにまずかったな…
応援してるだけに自分で叩かれる材料を作っちゃったのが…

しかし前々から提督に限らず、蹂躙だ何だと湧いてる奴らは何様なんだ?
自分では書きもしないROM専のくせに、与えられる餌が嫌ならスレから消えろと

362:ジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア ◆to3bNwX3cw
08/11/22 22:10:55 vqkjbuER
支援と乙の声どうもありがとうございます。
それではおやすみなさい。

363:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:19:56 iuQDod6n
>>361
書いてるし、投稿してるが何か文句あるかw?

364:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:20:36 DSmCKFWf
乙でありました~!

>>363
どのお話?

365:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:20:42 CoYsRDWn
>>363
落ち着けばいいよw

366:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:22:00 iuQDod6n
>>365
そうだな、NG突っ込んで黙るわw

367:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:23:51 RZNo6RZW
>>363
特に誰だと指定したわけじゃないぜ
そういうの最近目立つからさ…
自分も何も書いてないから言えた義理じゃないが

368:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:25:20 VSoEWIyA
提督乙お久しぶり。
こうして読んでると提督に限らず、他の作品も後日談というシチュエーションで読んでみたくなるなあ。
しかし神話論とか宗教学あたりの話をハルケギニアで頑張るのは、いろんな意味で難しそうだなと感じさせてくれる。

369:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:25:47 KsyPdIMv
というかだな、んな喧嘩腰な言葉で応対されても
ただ煽りたいだけに見えてしまうから困る



370:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:28:38 3kImyC0h
どっちもけんか腰だが、ID:RZNo6RZWはついでに少し頭が緩かったなw

371:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:29:12 /9J3FJlf
いい具合に荒れて住みやすそうなスレですね

>>363
全面的に支持しますよ!!! もっと頑張ってくださいね!!!

372:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:32:19 WABibZk0
>>369に同意。

文句が出るのは仕方がないにしても、もう少し言葉を選べよと言いたい。
どんなに筋が通っていたとしても、それでは荒らしと同レベルになってしまう時がある。

久保の人にやたら噛み付く人とかね。


373:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:34:01 y05yCNxL
>>361
・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
>>1にあるテンプレにこういうのがあるから、これに触れたらROM専とか関係無いよね。
あと、そういう口調で荒れる原因を作るのなら毒吐きに言ってね。

>>354
そういう煽り交じりのも毒吐き向けだって分かって言ってる?

374:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:37:13 CoYsRDWn
もうこの話題は擁護もそれ以外も、全部毒吐きでやればいいよ!
というか、これ以上やったらスレが壊れちゃうぅ!

375:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:39:05 vHMd0qOm
そういう言い方をされると、「いいよ、壊れちまえ!」と言いたくなるw

376:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:40:03 y05yCNxL
お前は次に「俺が死んできます」と言う

377:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:42:37 TG4ybpfv
普通に面白かったし、どっちかのクロスを馬鹿にしたわけでもない
別に18禁展開でもないし、ここに投下するのって何か問題あるのかなぁ?

378:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:43:59 y05yCNxL
単発さんが、これまでのログ読んでないのは分かったよ。

379:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:44:01 retmQ04r
「俺の気に入らない作者は本スレくんな」って人が湧いてるだけだろ

380:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:46:39 eLDg+rYx
>>377
>六千年にわたる、愚神を讃える狂宴が終わった。
この一文だけでもうね

381:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:49:34 TFMYZXQ8
. .,⌒ γ⌒., .    
. [皿 ・´] . 
. ⊂| |つ   . そして時が流れた! 
. [ ヽ_,rァ .  
. 丿 λ   、´ヾゝ .      
. """ """ .



382:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:51:23 lSWJIU5h
提督グッジョブです。
聖地のゲートは完全に地球起源人類の管理下に置かれたようで、めでたしめでたし。
こっちの言葉を学習したイザベラもいいな。

マチルダさんとヤンの子供はどうしてるのかな?

383:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 22:53:08 r0nsjlFQ
さて、では②行きます

384:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 22:53:40 r0nsjlFQ
 その頃、ヤン達に「話が噛み合っていない」と評された人物達がお互いに向けて自分の
意見を投げつけ続けていた。
「だーかーらー!分からんと言っとるんだ!」
 奇しくもヤンと同じ意見を吐いたのはシャフト。
 場所はイゼルローン要塞に近い宙域にある『アインシュタイン・ローゼンの橋』監視観
測司令所、通称『ゲート』。そのラウンジで三人はテーブルを囲み議論を戦わせている。既
に禿げた男は、もうすぐハゲ仲間になる予定の男と、その隣に座るハゲそうにない長い金
髪の男に怒鳴っていた。
「ビダーシャル君、君が言う精霊の力については仮説を立ててある。超弦理論で言う所の
『M理論』の応用だ」
 シャフトが語ろうとする理論を二人の男はとりあえず黙って聞く事にした。
「本来この世界は縦・横・高さに時間を加えた四次元時空ではなく、これに7つの次元を
加えた11次元で構成されている。だが第五以上の次元は展開される事無く極微の世界に
丸め込まれて封印されている。それが『M理論』だ。この封印された空間の形状について
は『カラビ=ヤウ空間』等の予想がなされているが、この点は関係ないので今は置いてお
く。
 この五次元以上の次元が展開されていると各ブレーン同士が、つまりパラレルワールド
が重なりやすくなる。重なれば両ブレーンは対消滅する。また宇宙の物理法則も不安定で
星も生物も存在出来ない。
 だが君たちの宇宙は、封印されるはずの五次元以上の次元が僅かに展開されたまま存在
し続ける事が出来たのだろう。そこから生まれる力と存在を君たちは『精霊』として感じ
ていると見る事が」
「全く、お前達の頭の固さには恐れ入る」
 ビダーシャルがシャフトの解説に口を挟む。
「どうしてお前達は何もかもを理屈で、頭で考えて理解しようとするのだ?何故に大きな
視点で物事を体感しようとしない。
 確かにこの宇宙は精霊の存在が希薄だ。風石の欠片も生成されないほどだ。だがそれで
も精霊は確かに存在している。ただ声が小さく微かなため、聞き取りにくいだけでしかな
い。
 お前達が『大いなる意思』を受け入れ、精霊達の囁きに耳を傾けさえすれば、精霊の声
はお前達の耳にも届くだろう」
「だから、それが分からんと言っとるんだ!我々は君たちエルフや亜人とは違うんだ。精
霊の声とやらを聞き取るための器官それ自体が体に備わっていないんだよ。聞き取れるは
ずがないだろうが」
「まぁまぁ、お二人とも、少し落ち着きましょうぞ」
 もうすぐ完全なハゲ仲間になりそうな頭髪の寂しい男、コルベールが二人の間に割って
入る。
「ビダーシャル殿。以前から言っている通り我々には精霊の声が聞こえんのですぞ。これ
は多分、聞く意思があるか否かの問題ではありますまい。
 生まれた時から盲目の人に光や色を話しても理解してもらえないのと同じでしょう。耳
の聞こえない人に音楽の素晴らしさを語っても分からないのです。
 ここはやはり精霊の声を聞くためのアイテムを開発するのが相互理解のための近道と思
うのですぞ」
「コルベール君、簡単に言わんでくれ。私達には魔法が使えない。研究が始まったばかり
の現状では科学で魔力を再現することもできない。そのため魔力を必要とするアイテムの
一切を作る事が出来ない」
「それは誤解であり、君達の知恵と力を卑下する思考だ。あらゆる命が『大いなる意思』
のもとに生きている事、どちらの宇宙でも変わりはない。君とて『大いなる意思』に包ま
れている。要はその自覚が」
「いやいや、それは無理ですぞ。やはり魔力というインターフェイスを間に挟む事で円滑
な知覚を」
「それが出来ないって言ってるんだよ!系統魔法は遺伝子由来じゃないか。ただの人間の
私たちには今のところどうしようもない」


385:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:54:43 UUE2FdbY
なッ…… ここであえて「続けて投下する」だとッ!?
なんという勇気だッ

386:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:54:55 JgO9J3Vn
あんた、ある意味で凄いよ……

387:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:55:10 BTA6/tjr
読み手様が暴れてるようだが支援!

388:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:55:34 x6rvw3u8
よくわからんがアンチキモイ

389:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 22:56:12 r0nsjlFQ
 『ゲート』のラウンジに三人の声が周囲を憚らず響いている。バーテンダーもウェイト
レスも他の客も、科学・魔法・精霊の三つの立場から生まれる意見の相違は簡単に埋まり
そうもないな、と感じざるを得なかった。
 そんな人々の思惑とは関係なく、ラウンジの窓からは戦艦の列に捕獲されたままの召喚
門が輝いているのが見えていた。




 人々の悲喜こもごもが織り成す中、ブリュンヒルトは無事にイゼルローンへ入港した。
歓呼の叫びで迎えられた皇帝ラインハルトは、ティファニアや部下達を引き連れて出迎え
のイゼルローン高官達の前に降り立つ。ただ皇帝は無駄な装飾や過剰な警備を嫌うと周知
徹底されていたため、楽団の荘厳なファンファーレ等の無意味な演出はなく、簡単な出迎
えだった。
 その様子は全宇宙に報道された。イゼルローンから遠く離れた銀河の反対側、フェザー
ンにも。

 フェザーン。
 かつては帝国の自治領ながら実質的独立を守り、同盟との中継貿易を行い莫大な利益を
上げていた商業国家。その資金力と、フェザーンを背後から操る地球教の力により、両国
の戦乱を制御下に置き宇宙を支配していた。軌道エレベーターが設置されているのもこの
星だけである。
 帝国領に併合後、皇帝ラインハルトの遷都令によって、新帝国の帝都となった。旧帝国
領と旧同盟領の双方を支配下に置いたローエングラム王朝にとって、両者の何れとも交通
の便がよくインフラも整っているフェザーンは新帝都として絶好の地であった。

 そんな帝国新首都に集い帝国の政治経済軍事を担う内閣の構成員、国務尚書をはじめと
した各尚書とその部下達は、彼らが忠誠を誓う皇帝の姿をTVで優雅に眺めていた。
「ふむ、無事に到着なされたか」
「出迎えにはヤンも立っている。これで新領土の共和主義者どもへの示しもつくな」
「銀河帝国の政体をヤンが受け入れられたと示されれば、新領土のテロやデモもさらに減
る事だろうよ」
「だが気をつけねば。『銀河帝国を民主共和制が乗っ取った』などと勘違いする輩が調子付
くかもしれんから」
 そんなテーブルを囲む閣僚達の話の中に、一人の部下が控えめに意見を差し入れた。
「原理主義的共和主義者も気になりますが…ゼーフェルト博士、今はこちを気にしては頂
けませんか?」
 そう言って部下は中央のデスクに置かれた端末を操作し、あるデータを表示させた。目
の前で表示された内容に、学芸尚書であるゼーフェルトはかなり大袈裟に眉をしかめてし
まった。
 その様子に他の高官もTVから視線を移す。
「どうされたのです?ゼーフェルト博士」
「ブラッケ殿、どうもこうも…またメックリンガーですよ」
 メックリンガーの名を聞いたとたん、室内の不快指数が80%程上昇した気がする。不快
指数が100%を超えていそうな 学芸尚書は舌打ち混じりにデータの内容を要約して皆に伝
えた。
「あいつ、第二地球第二次調査隊メンバーに、また口出ししてきおった。おまけに双月上
の港湾施設建設は認められない、と。なんと予定地を恒星の重力圏を離れた宙域まで移動
させろと言うのだ」
 とたんに、これで何度目のメンバー変更だ、双月に拠点を作らなかったら調査船の運用
に支障が出るじゃないか、急いで研究施設建設をしなきゃならんのに、もう無人機だけで
の調査は限界が出てるのだぞ、第二地球以外の星系へも進出したいってのに、全くあいつ
は何を考えてるんだ、まさか第二地球の権益を独占する気では…、といった様々な不平が
湧き出してくる。


390:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:56:33 CoYsRDWn
いや、ちょっと……

391:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:57:18 qljQCJDi
もうやめて!スレのライフはもう0よ!

392:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 22:58:03 r0nsjlFQ
 そんな中、まぁまぁ落ち着いて…と皆をなだめる声がする。だがゼーフェルトの不満は
なだめられなかった。
「まぁまぁ落ち着いて、と言われてもリヒター殿。こう何度もパラレル・ワールドへの調
査に口出しされては話が進みませんぞ。それにあなたも以前から、財務尚書として『ゲー
ト』関連予算が増大しすぎるのは看過出来ない、と不満をこぼしておいでだったじゃない
ですか」
 その不満にリヒター財務尚書は一応の理解を示した。
「確かに『ゲート』関連予算が急速に増大しているのは事実です。戦争終結により浮くは
ずだった軍事予算が『ゲート』へ流れてる状況ですから。港湾予定地変更は予算上認めら
れない、と伝えます。
 ただ…その、言いにくいのですが…メンバー変更の件は、メックリンガーの胸中も、と
いうか、怒りの程を察するべきではないか…と」
 その言葉に他の高官達も口をつぐむ。そして小声で「第一次が、あれだから…」「何故に
陛下はヤツを選んだんだ?」「本人の強い希望です」「陛下は確かに常勝の天才だが、人事
だけは…」と呟きが漏れる。
 丁度その時モニターの報道番組は場面が変わり、話題の中心である第一次調査隊の動向
のニュースが報じられていた。そしてそのニュースの内容を見たとたん、高官達は溜息と
ともに目を覆い頭を抱えた。

 モニターには、第一次調査隊隊長の誇らしげな姿が映っていた。ナレーションが映像の
詳細を解説し始める。
「それでは第二地球調査隊のレポートです。本日、現地時間正午に調査隊は火竜山脈最高
峰への登頂に成功しました。
 この火竜山脈は第一地球におけるアルプス山脈に相当し、六千メートル級の活火山が連
なる危険な地域です。加えて名が示すとおり火竜の生息地でもあるため、登山道もない人
跡未踏の地でした。また、高等弁務官メックリンガー上級大将より現地調達した機材のみ
使用を許可され、ビーム銃の携帯すら許されない、危険極まりない登山計画を余儀なくさ
れました。
 ですがこのたび調査隊はトリステインとガリアからのメンバーを加えた合同チームを結
成し、苦難の末に登頂を成し遂げたのです。また登山ルート上にある火竜と極楽鳥の生息
地へも学術的調査がなされました。この調査結果により、第二地球研究が更に進展すると
期待されています。
 この調査隊にガリアから参加したリュリュ女史、及びトリステインより参加したエレオ
ノール女史は山頂にて、ビッテンフェルト隊長と共に喜びの表情で記念撮影を撮り…」
 山頂の写真が写っていた。
 その写真には確かに山を制した男の顔をするビッテンフェルト上級大将が、ローエング
ラム王朝旗である大きなゴールデンルーヴェ(黄金獅子旗)を山頂に突き立てて翻してい
る姿が映っていた。その左右には女性がいる。右にはルイズの姉であるエレオノールが、
左にはガリア出身の参加者と紹介されたリュリュという若い女性が映っていた。二人とも
長い髪を後ろで束ね、顔は泥で汚れ、かなり日焼けしている。登山用の衣服もメイジの証
であるマントもボロボロだ。
 ただ、ナレーションに言うとおり喜びの表情で、というのは微妙だった。何故なら、左
右の女性二人はビッテンフェルトに抱きつきながら、引きつった笑みで睨みあっていたか
ら。

「…他に写真は無かったのか?」「第二地球への過度な干渉は勅命を持って禁じられている
というのに旗まで立てやがって」「おまけに現地女性と親しくなるとは、悩ましい」「だめ
だあいつ、早く更迭しないと」「なんというか、相変わらず自重という言葉を知らないイノ
シシだな」
 銀河帝国の国政を預かる人々の苦悩は、今日も深い。





393:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:58:11 UUE2FdbY
そこにしびれて憧れるがスレは荒れそうだ支援

394:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:58:16 eLDg+rYx
あっひゃっひゃっひゃっひゃw
もう笑うしかないw

395:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:58:57 IROVLtZQ
すげー、提督TUEEEEEEEEEEEEEE!
かっこいいまでの自分本位!

396:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:59:27 CoYsRDWn
あの……投下予告は……?

397:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 22:59:45 Ns1bPD0+
内容の是非は読んだ後で言うが…
とりあえず、この状況で投下できる鋼の精神に敬意を評し

支援

398:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:00:06 lSWJIU5h
支援
シャフトとビダーシャルという「異なる技術の専門家」の議論は面白いな

399:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:00:06 SDMtx0j5
さっさとくたばれ

400:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:00:25 r0nsjlFQ
 日付が変わり場所は戻ってイゼルローン要塞。吹き抜けの広大なフロアを埋め尽くす数
万人の群衆が壇上に立つ人達へ視線を集中させていた。壇上にいるのはラインハルトとヤ
ンとルイズ、ティファニアにイザベラ、イゼルローン司令官ワーレンと副司令官キャゼル
ヌに警護兵達など。
 まず第二地球を代表して濃紺のブレザーに身を纏ったルイズが、次に素っ気ないスーツ
姿のヤンがスピーチをしていた。「2秒スピーチ」の二つ名に似合わぬ長いスピーチ、と当
人は感じていたろう。だがそれでも、このような重要な式典では有り得ない短く簡単なス
ピーチ。そしてそんな短いスピーチすら、顔を赤らめ頭をかき四苦八苦している。聞いて
る方が恥ずかしくなる程に。
「・・・とまあ、えと、そんなワケでして、今回の帝国憲法起草委員会の設置と、あので
すね、憲法発布後5年後を目処とした帝国議会開設の提案を受け入れて下さった皇帝陛下
には、ええ、最大限の、その、謝辞をですね、はい」
  ボカッ
 いい音と共にヤンの尻に蹴りが入れられた。
「痛っ!な、何をするんだ、ルイズ」
「いーかげんになさい!あんた恥ずかしいのよ。もう下がって、陛下に譲りなさい!」
 かくて英雄と呼ばれた男は全宇宙に中継される式典で、ルイズにズルズルと引きずられ
て後ろに下げられてしまった。観衆からは様々な声があがる。5割は失笑、4割は突然の
事に驚いたどよめき、残りはTVや報道で見た英雄の真実の姿に落胆した溜め息という所
だろうか。

 ラインハルトが前に出るまでのしばしの間、会場からは小声での会話があちこちで交わ
されている。そしてその中に、特に若い男性同士の間では共通の話題が熱く戦わされてい
た。
「・・・やはり、ティファニアだよな」
「ああ。あの胸は確かに魔法だ、奇跡だ。大きさもさることながら、何よりあの張りと形
が素晴らしいぜ。おっとりした喋り方とか優しい笑顔とかあるけど、何と言っても胸だよ
な」
「ハルケギニアにはブラジャーが無いという話だから、あれがずっとノーブラだったとい
うわけ?信じられねえ」
「畜生、どうして俺はサウスゴータに生まれなかったんだ」
「そういやティファニアって、使い魔いないんだよな?」
 その瞬間、男達の目に妖しい光が宿る。
「つ、使い魔って、主と一心同体…なんだよな?」
「その契約はキスから始まり、以後は寝食を共にするんですよ。実際ドラマではヤン提督
とルイズは、ずっと同じ部屋で暮らしてたって…」
「と、いうことは…」
 男達の口に押し殺した下品な笑い声が漏れる。
 そんな、女性の価値を貶めるがごとき品評と、邪な欲望に満ちた未来像を想像する連中
は、周囲のご婦人からの冷たい眼光に睨まれて慌てて口を閉ざした。黙って前方へ視線を
戻す。
 壇上ではラインハルトが聴衆へ向けて口を開く所だった。





401:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:02:20 lSWJIU5h
支援
帝国はハルケギニア宇宙へ進出するか!!
メイジは永遠に地面にはいつくばっていればいいww

402:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:02:43 r0nsjlFQ
 ラインハルトから全宇宙に向けて語られるメッセージ。帝国憲法・帝国議会導入、帝国
と旧同盟とフェザーンの安定、魔法文明保護と秩序ある交流…。皇帝が描くのは明るい未
来像。
 だが、そんなモニター上に映る生気溢れる美貌の皇帝の姿に舌打ちをする者達がいた。
「金髪の小僧め。宇宙の支配者気取りか」
「魔法まで手に入れて、神にでもなったつもりだろうよ。身の程知らずな若造が」
 暗い部屋の中、彼等は手にした武器弾薬等の装備品を整えつつ、卓上の小さなモニター
に映るラインハルト・ヤン・ルイズが舞台上の机に置かれた共同宣言書に調印する姿を睨
み付けていた。
 そんな毒と闇を練り固めたような悪意に満ちた室内に一人の男が入ってきた。三十歳を
過ぎたばかりの痩せた鋭角的な印象の男を目にすると同時に、武器を手にしていた男女は
床に膝を付いて傅いた。
 痩せた男は右手を宙に泳がせる。
「確かに皇帝ラインハルトは神でも支配者でもない。一介の平凡な人間に過ぎぬ。そして
世界の真のありようも理解せぬ盲目の羊に過ぎぬ」
 その男は、あたかも自らが平凡な人間ではなく世界の真のありようを理解しているかの
ように語り出す。その言葉を傅く男女は神の御言葉のごとく賜っている。
「ゆえに我等は世界の真実を回復せねばならぬ。そのために我等は彼の地へ向かわねばな
らぬのだ」
 痩せた男の後に続いて、黒衣をまとった老人が室内に入ってきた。痩せた男をはじめと
して、室内全ての人々が更に平伏する。
「総大主教(グランド・ビショップ)猊下…」
 誰からともなく声が漏れる。
 皺だらけの老人は、意外と張りのある声を発した。
「地球をわが手に」
 他の者達も同じ言葉を唱和する。




 式典を終えて舞台を降りるラインハルトに数名の部下が駆け寄ってきた。
「陛下、ハイネセンのロイエンタール元帥から緊急通信です」
 部下の一人が取り出した機械のパネルを開き映像を表示させる。そこに映っているのは
右目が黒で左目が青の長身の男。彼は手早く報告をした。ラインハルトと、その後ろにい
るヤンの神経を逆撫でするに十分な内容の報告を。
  《マイン・カイザー(我が皇帝)、地球教の残党がイゼルローンへ向かっています》
 ラインハルトには、怒声を上げる暇はおろか眉をしかめる時間すら、残念ながら無かっ
た。何故ならその報告を皇帝が聞くと同時に足下から轟音と震動が伝わってきたから。


「商業区のカフェテラスで爆発です!現在、消防隊・憲兵隊・レスキュー隊が向かってい
ます!」
「森林公園のゴミ箱の一つが爆発しました!死者はいませんでしたが、付近にいた数名の
吸血鬼と黒翼人が破片を受けて負傷しました!」
「港湾に停泊していた船が自爆!被害甚大!同区画内に停泊した艦船も巻き込まれていま
す!死傷者多数!」
 平和な未来を描く祭典は、突如死と破壊の饗宴へと姿を変えた。矢継ぎ早にラインハル
トは消火・救助・犯人の捜索を指示していく。ワーレンは皇帝の命を受け、要塞司令室へ
と駆け出す。キャゼルヌもラインハルト以下の式典出席者へ待避を促した。
「地球教の標的は皇帝陛下でしょう。急ぎ待避して頂きますよう」
 だがラインハルトは動かなかった。そしてヤンも。考え込んだまま動かない
 二人の間で視線を往復させたキャゼルヌは、もう一度皇帝へ非難を促そうとする。
 それより早く、ルイズが口を開いた。

「囮、ね」


403:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:02:54 TFMYZXQ8
泣きながら投下していると聞いてwwww

404:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:03:42 IROVLtZQ
ここまで自分に自信を持っているとさぞ人生楽しいだろうなぁw
そんな性格になりたいとも思わないがw

405:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:03:44 lSWJIU5h
ノーブラ支援

406:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:03:49 OE11V/Xg
提督の大将、あまり言いたくないがそいつは「スレの私物化」って言うんですぜ?
……頼むから24時間以上開けてから投下しろよや(#゚Д゚)ゴルァ!

407:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:04:22 r0nsjlFQ
 後ろからティファニアが不安そうに彼等へ寄ってくる。大きな大きな胸の前で汗に濡れ
た手を組んでいる。
「囮って、どういうことでしょうか?」
「分かりやすい陽動ってことよ。もしくは脅しって所かしら?」
 ルイズの予想にヤンは頷いた。
「その通りさ。皇帝陛下が狙いなら、この式典を狙うのが常套手段だ。なのに彼等は全然
関係ない所を爆破したんだ」
 その後の予測をラインハルトが続ける。
「式典の警備が厳しく、爆弾を仕掛けられなかった事もあるだろう。だが、無関係な場所
を爆破する必要はない。予への警備が強固となるため、暗殺が更に難しくなるからだ」
「ナラ、何ガ本当ノ目的ダ?」
 普段から光るおでこを今は汗で光らせるイザベラの問いにはルイズが答えた。
「間違いなく、『ゲート』だわ」
 その答えにラインハルトとヤンは頷き、イザベラとティファニアは目を丸くする。そし
てキャゼルヌは「あっ!」と声を上げた。
「地球教の連中…まさか、サハラへ逃げる気か!?いや、逃げるだけじゃない。征服する
気だ!
 召喚門を拡大させて艦船で門をくぐるか、そのまま小型機で門に突っ込む気だ。だが陛
下を暗殺したら帝国は絶対に奴等を許さない。命に替えても通過させない。何より強迫す
るはずの相手を殺したら、交渉が出来ない」
 その通りだ、と通信機からロイエンタールの冷静な声が響いてくる。その時、他の部下
の胸元から発信音がした。取り出した通信機越しにワーレンの姿が現れる。司令部へ向か
うエレベーターの中で、彼は一つの文書を読み上げた。

  《地球教からの犯行声明文と要求が送られてきました。
   イゼルローン要塞の各所に爆弾を仕掛けた。召喚門を通過した後に設置場所と解除
  コードを伝える、との内容です》

 その内容を聞いた時、皇帝のバージンスノーをを固めたような皮膚の下で血が沸騰し始
めているのが周囲の人々には良く分かった。そして英雄と呼ばれた男はボリボリと頭を掻
きながら面倒そうに口を開く。
「やれやれ、分かりやすい嘘だなぁ。
 爆弾を解除した後、帝国の追跡隊がサハラに飛んで来るじゃないか。あの魔法惑星のど
こへ逃げようと観測衛星や無人探査機の監視網から逃げられるわけがない。即座に掴まっ
てしまうよ」
 ラインハルトも口から言葉を紡ぐ。ただし、炎を纏うかのような激情と共に。
「死に損ないのクズ共めっ!
 全く、ヤンの言うとおりだ。奴等は間違いなく、通過した瞬間に召喚門を捕獲する艦船
を破壊する。そうすれば門が閉じ、すぐには追う事が出来ないからだ。その間に観測衛星
や無人機を破壊し、第二地球の何処かに降り立つのだ。現地人に紛れれば、もはや追跡は
不可能だからな!
 通過する直前にゼッフル粒子でもまき散らして爆破する気だ。解除コードなぞ最初から
伝える気はない!」
 キャゼルヌも悔しそうに呻いてしまう。
「くそ、式典で大量の民間船と出席者が訪れ、しかも皇帝陛下への警護に意識が集中して
しまう今を狙われたか。警護の人数や帝国兵が増えても、陛下への警護以外は手薄になっ
てしまうからなぁ。オマケに戦争が終結して一年で気も緩んでるし、戦時並みの警備体制
は敷いてないぞ。
 今イゼルローンには、船は軍と民間あわせて数万隻、人間は二百万以上。搬入される大
量のコンテナや手荷物なんか、全部はチェックし切れていない。この巨大な要塞内と船と
人の群れの中から、誰がどこに爆弾を仕掛けたかなんて、何の情報も無しじゃ見つけるの
は不可能に近い」
 事件の概要と地球教残党の意図について推理を巡らしながらも、皇帝と副指令は自らの
職務を怠らせたりはしていない。部下達がつなぐ通信機を通じて、様々な部署に指示を飛
ばしていく。


408:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:04:30 Yz05Vixh
ルールは守れよ、予告くらいしろよ。
コレ、荒らしじゃないのか?

409:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:04:40 xfMK7V7G
うーん……さっきは擁護したけど……この反応の直後で……
とりあえず支援

410:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:04:54 UUE2FdbY
好きなものは紅茶と各個撃破と雲古
支援

411:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:05:06 P4Ps+FY4
投下するなとは言わないが、スレのルールは守ろうよ

412:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:05:38 lSWJIU5h
支援
ルイズごときが正しい判断してる!?
信じられん

413:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:05:43 TFMYZXQ8
 .,⌒ γ⌒.,     
  [皿 ・´]  
⊂|      |つ    そして時が流れた。
 [      ヽ_,rァ  
 丿  λ  、´ヾゝ      
 """   """



414:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/22 23:06:00 UUE2FdbY
一応>>383で投下予告はしているぜ

415:ゼロな提督:特別編②
08/11/22 23:06:48 r0nsjlFQ
 そしてイザベラも自前の通信端末から流れる声に耳を向けていた。
「呼ビ出シ。緊急オペ。行ッテクル」
 その言葉を聞いた皇帝はイザベラの警護を部下の一人に命じる。イザベラは青く長い髪
を振り乱して屈強そうな警護兵と共に走っていった。

 そして普段はボンヤリしているヤンも今はボンヤリしていなかった。まだロイエンター
ルと繋がったままの通信機に飛びつく。
「いきなりすいません、新領土総督。実は、差し障りがなければ教えて欲しいのです。先
ほどの地球教徒に関する情報は、どこから得たのものですか?」
 その問いにロイエンタールは一瞬沈黙する。ただし口の端を釣り上げた、人の悪い笑み
を浮かべて。その表情を見たヤンは回答を聞くまでもなく、自分の予想が当たっている事
を理解した。
 横目で見ていたラインハルトが口にした。ヤンが予想した答えを。
「トリューニヒト、だな」
 その名前を聞いた時、ルイズとティファニアはどういう事か分からなかった。ヤンがい
きなり顔を紅潮させ、ラインハルトが嫌悪の感情を浮かべ、通信機越しのロイエンタール
が皮肉めいた笑みを浮かべたままだったから。一体その人物が何なのか、異邦人の二人は
知らなかった。
「よーよー、それって誰なんだ?」
 尋ねてきたのは、ようやく駆けつけてきたユリアンとフレデリカ、ではなくユリアンが
持っているデルフリンガー。だが、その場の誰もトリューニヒトが誰かを二人と一本に説
明しなかった。

 ヨブ・トリューニヒト。それは新領土総督となったロイエンタールの高等参事官の名。
旧自由惑星同盟の最後の首班。舞台俳優のような優れた容姿と、国民の心をつかむ演説の
才能から、40代半ばで自由惑星同盟の元首の座を得るなど、政治家としての人気取り能力
は卓越した人物。
 そして、旧同盟を帝国に売り渡して滅亡に導いた張本人。にも関わらず帝国に仕官し自
分が売り渡した同盟領に高等参事官として任官した厚顔、とうより鉄壁の面の皮を持つ人
物。腐敗した民主主義の象徴、扇動政治家の具体例、保身のみに長けた政治業者、妖怪と
呼ばれた男…。
 つまり、口にしたくもないほどラインハルトとヤンが毛嫌いしている人物。なおかつ、
かつては地球教徒を味方にしていた人物。




「・・・では解除コードを伝えます。一つめ、男子トイレのは『cogito, ergo sum』、二つめ
の女子トイレのものは『De omnibus dubitandum』です」
 ワーレンはモニター上の痩せた男が目を閉じてそらんじた言葉を記録する。
「分かった、入力させる。少し待て」
 司令室のデスクに座るワーレンに、通信機のスピーカーから港湾にある二カ所のトイレ
において爆弾解除に成功した旨を告げる兵士の声が響いてきた。同時に、その爆薬の中身
は二つとも花火用の黒色火薬でしかなかったことも。

  《イゼルローン要塞に多数の爆弾を仕掛けた事、全爆弾の解除コードを私が記憶して
  いる事、信じてもらえましたか?》



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