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【コラム 江川紹子】ヘイトデモは保守本流から外れた非愛国的行為
2014年09月08日 01:04 JST
■ヘイトスピーチで、PTが発足
特定の民族などを対象にした差別・憎悪表現であるヘイトスピーチを法規制すべきだ、との声が高まっている。安倍首相も、舛添都知事との会談の中で、「(ヘイトスピーチは)日本人の誇りを傷つける。
しっかり対処しなければならない」と述べ、自民党の中でプロジェクトチーム(PT)が発足した。
昨今の排外主義的なデモやインターネット・サイトでの、とりわけ在日韓国・朝鮮人などに対する罵詈雑言や悪意に満ちた差別表現は、目に余り、聞くに堪えない。
「朝鮮人は一匹残らず殲滅せよ」、「殺せ」、「日本から叩き出せ」などといった、存在を根本から否定するような言葉も見聞きする。
明らかな人種差別であり、重大な人権侵害だ。
しかも、こうした言葉が吐かれるヘイト・デモでは、たくさんの日の丸や旭日旗がはためく。日本のシンボルが汚されているようで、日本人の一人として本当に耐え難い。
こうした差別・憎悪表現は、憲法で保障されている「言論」ではなく、厳しく取り締まるべし、という声に、私も心情的には大いに共感するし、与党のPT発足は大きな前進と思う。
ただ、刑事罰を伴う規制法の制定には、軽々に賛同できない。
法律を執行する官憲の裁量の幅は大きい。集合住宅の共用部分にある郵便受けへのポスティングも、ピザ屋のチラシなら何のおとがめがないのに、反戦ビラだと住居侵入罪で逮捕され、有罪判決を受けたりする。
ヘイトスピーチを処罰する法律ができれば、拡大解釈されたり恣意的な適用がされ、政府などに対する抗議や批判の際、ちょっと言葉が荒くなったり語気が強くなっただけで犯罪として取り締まられる可能性は、考えておかなければならない。
よほど要件を厳格に定めなければ、表現・言論活動の規制に使われかねない。だが、縛りをかけ過ぎると、抜け穴だらけになって、現実のヘイトスピーチ対策としてはあまり役に立たないだろう。
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