08/07/25 09:09:54 ZZNZDCtE
舞台は、主人公 イワン・イリッチの死のニュースから始まる。
彼は45歳で中央裁判所の判事として死んだのだが、その訃報を知った知人たちが
第一番に考えたのは、その死のために生ずる自分たちの勤務上の異動や変化だけであった。
現に健康体のまま生きている彼らにとって、 イワン・イリッチの死はあくまで自分自身とは
関わりのないものであり、そればかりか死そのものさえ、
イワン・イリッチ特有の変事で自分自身には起こり得ないものと考えたのである。
イワン・イリッチの親友ピョートル・ イワーノヴィッチも例外ではなかったが、
彼は敏感にも、棺に横たわる イワン・イリッチの死の表情に、生きている者に
対する非難や注意のようなものを感じた。
しかし、その注意の色がこの「生」の世界には不似合いなもの、
不快なものとさえ思ってしまうのである。
やがて彼は、ひと時考えた死に対する陰鬱で恐ろしい想像を振り払うように、
快い現実の世界-友人たちとカードの勝負をしたりして愉快に楽しむ世界-に
舞い戻っていくのであった・・・。
「イワン・イリッチの死」について
URLリンク(www.bioethics.jp)