06/01/22 14:46:36 2sfxJS9L
エド・マクベイン原作“キングの身代金"を小国英雄、
菊島隆三、久板栄二郎、黒澤明が共同で脚色、黒澤明
が監督した刑事もの。黒澤明監督の現代劇では最高傑作
と思われる。前半の権藤邸で繰り広げられる密室劇から
後半のジェットコースタームービーのような展開への巧妙
な転換が素晴らしい。内容的にも怨恨が目的でなく羨望、
嫉妬が直接の犯行原因になっている点が普通の誘拐事件
よりも一層恐ろしい感じがすると同時に事件に複雑さを
加味している。また、犯人、被害者、警察関係者のみなら
ずナショナルシューズの経営陣や債権者、捜査協力者達の
ディティールまでもが着実に描写されている事が超一流の
サスペンスドラマへと昇華した理由ではないかと考えさ
せられる。更に映像面でも疾走する急行列車の窓からの
鞄の投下、煙突の煙のパートカラー、伊勢佐木町根岸屋
の麻薬受渡し、黄金町の魔窟、靴屋のウィンドウ前での
権藤と竹内の邂逅、腰越の待伏せ等、非情に印象的な場
面を幾つも挿入している。これほど歴史的名シーンの多
い映画も珍しい。
この大傑作について語り合おうぜ。