07/09/25 23:37:18 0Q5KWAC1
羽村隆夫様
先生、私は今急いでこの手紙を書いています。
とても急いでいるのに、何から書いていいのか困っています。
14の時、そう14の時私のお父さんは、お父さんじゃなくなった。
不思議なことにその時はとても漠然としていて、
ただ大きな波に押さえつけられているようで。
少し息苦しいけど、それでもどこか自然の流れのようで。
それがいつか、いつか不意に歪んで見えて。
お母さんが、死ぬ時に見せた私に対する強い憎しみの目。怖かった。
とても怖くて、それは、そのまま私がしている事の怖さに変わって。
私、先生と普通の恋がしたかった。
普通に出会って、手をつないで、おしゃべりをして、
時々はやきもちも焼くの。
春がきて、夏がきて、秋がくる。
ちょっとづつ、ちょっとづつ、二人の間に同じ雪が積もる冬がきて。
バカだね、私。自分はちっとも普通じゃなかったのにね。
私はお父さんと、あの人と遠くに行きます。
あの人は少なくても私が必要なの。
そう、いつも思っていたことがあるの。
人が周りにいないからじゃなくて、
自分を分かってくれる人がいないから、寂しくなるんだね。
先生も時々寂しそうだったね。
できれば、私がずっとそばにいたかったな。
いつか先生に恋人ができたら、きっと私のことは忘れちゃうね。
けど、私は忘れないでもいい?
先生から聞いたペンギンの話や、朝顔の話。
忘れないでもいいよね。
さよなら さよなら 羽村先生