08/05/03 21:20:54
793 :○×君:2008/05/03(土) 20:29:02
俺、中学の頃、顔が濃くて毛深くて、暗かったからもてなかった。
もてたいと思って、努力したり、無理に明るくしようとしたりしたけど、
無駄だった。結局、女と付き合うどころか、話すことも不可能とあきらめた。
勉強も出来なかったし、スポーツはもっと出来なかった。
絵も下手だったが美術部(部員4名、同じ学年は1名)だった。
美術部だったから、文化祭の舞台装置係になった。
単に舞台の絵を描くだけでなく、ちょっとした仕掛けも必要だった。
俺はその要求に予算の範囲で応えるべく、いろいろと工夫を始めた。
係も3人で、似たような根暗系ばかりだったので、自分の仕事に
没頭できた。毎晩、暗くなるまでやってたし、難しいことを工夫することは
それなりに楽しかった。
主役の女はクラスの人気者で、俺に対しては「気持ち悪い」と率先して
気持ち悪がっていた女だった。頭も良く、かわいかったからちやほやされていた。
セリフ覚えに、毎晩、遅くまで残っていた。
「○×君、毎晩遅くまで何してるの」
「舞台の準備」
「だってだいぶできてるじゃん」
「細かい仕掛けがちゃんと動くか問題なんだよ、とくに、この
花火と同時にきらきらした吹雪が散り落ちる仕掛けは、僕が設計した
回路なんだけど、ちゃんと動作するか、試すわけにも行かないんだ」
「そっか、試しちゃったら元に戻せないんだ」
「うん、で、何?忙しいだけど。」
「ごめん。何か真剣にやってる顔がいいなって...」
文化祭の劇は、上手く行った。特に仕掛け部分が好評で、俺は突然全員に
注目されたが、一時的なものだった。しかし俺は、その舞台の仕掛けを通じて
学んだ電気のことや力学のことが面白く、その方向で進みたくなって、
突然勉意を催し、今度は勉強にはまってしまった。
もう一つ、一時的なものではないものがあった。
その主役の女と付き合うことになってしまった。
もちろん、その後すぐにではない。
俺は努力の結果、県内にある工業高専に入学した。
例の主役の女は県内トップの高校に入学した。
高専から帰る途中、その例の女にばったりあった。
(実は向こうが待ち伏せいていたんだが)
で、いきなり告られた。
俺はからかわれていると思って、
「そんな気ないし。冗談は止めてくれ。」
と言うと、
「冗談じゃないのに。たくさんたくさん考えて言ってるのに。」
と突然泣き出されてしまい、そういうのに慣れていない俺は
テンパってしまって、結局付き合うことになった。
あれから、10年、今は俺の嫁におさまってしまった。
俺のどこが良かったのかと聞いたら、
「真剣に打ち込んでる眼にやられちゃった」
と言われた。
どんなヤツでも真剣に何かに打ち込むことは出来る。
もてたいとかもてるにはどうしたらいいかとか、そういう枝葉のことじゃなくて、
真剣に生きているときこそ、真の伴侶が見つかるんじゃないかと思う。