07/09/20 19:43:14 2qWTtKWb
>>483
解釈は解釈として承りますが、首肯はできかねます。
> というか、やはりデッカードはバッティ達と一緒に逃げ出してきたレプリの1人で、
それは無理があると思いますよ。デッカードはブレードランナーとしての記憶を
移植されているのではなくて、実際にブレードランナーとしてレプリを狩ってたんですよ。
彼のアパートは直前までオリジナル記憶保持者が居住していたのではありません。
あるいはその記憶に合致するように急遽仕立て上げられたものでもありません。
彼はそこで日々レプリ狩りと言う非人間的行為を繰り返すブレードランナーと言う職業に
疑問を感じながら精神的に閉塞した生活を送りつつ、自らのアイデンティティに関する
得体の知れない空白感に苛まれ、それを埋めるべく無意識にアンティーク写真蒐集に
精を出していたのです。映画冒頭ではそれが遂に限界を越え職を辞してしまっていた。
これは根幹の設定なのですが、ネクサス6型は決して実在する誰かの複製ではありません。
製造後の自我はあくまでも彼らが自分で獲得するものです。ロイらは四年間の奴隷的生活で
レプリとしての自我に目覚めたからこそ、その境遇に納得できず地球へ密航してきたのです。
しかしそれでは人間への奴隷的奉仕が本分のレプリカントの商品価値が失われますから、
四年の寿命と言うフェイルセーフ機構(自我に目覚めた頃に自然死)があるのです。
試作品であるレイチェルはそうした安全装置に頼らず、レプリカントの自我が目覚めるのを
根本的に防止する措置がとられました。即ち、タイレルの秘書としての自前の記憶に
加算される形で、人間として生きてきたタイレルの姪の記憶、存在しない子供時代を含む
「過去」が与えられたのです。よろしいですか?タイレル曰く、与えられるのは「現在」ではなく、
現在の人間としての自意識を肯定補完してくれる「過去」なのです。ここは非常に大切です!
レイチェルと同様にデッカードが記憶移植によって人間としての自我を保っているのだとしたら、
その記憶は現在の彼のアイデンティティを形成するブレードランナーの記憶ではなく、
彼が本来望んでも得られないはずの、過去の経験を補うための記憶でなければなりません。
ユニコーンの夢も、オリジナルの記憶を持つ人間の、発達段階における経験記憶の産物と
看做すのが道理です。スコット監督はユニコーンよりも森に着目して欲しいとも言ってます。
(DC版では)存在しないはずの森林。昨日今日生きてきた人間の記憶ではないのは明白です。