06/04/09 10:07:33 GOqFchxh
>>578
勝負の裏には、意地と怨念が幾重にも絡み合っているという話なのか。
中日-巨人1回戦は、巨人のエース上原が投げに投げ、
それに応えるように中日のエース川上が血の小便を流すような熱投を見せる投手戦となった。
ここで同点の8回、立浪和義三塁手(36)は、上原の何の変哲もないゴロを
小学生のキャッチボールのように悪送球、一気に大ピンチを招いてしまう。
エース対決で終盤の1点をめぐる緊迫した凌ぎあいの場面、
かつては「名手」と呼ばれながらも、
だんだんと引退の足音が背後に迫るプロ19年生の立浪にとっては、
背筋の凍るような一瞬である。
しかし、勝負は下駄を履くまでわからない。
エース川上憲伸は、落ち着いて次打者・清水を併殺に打ち取った。
立浪にすれば、自分でこしらえた借金を後輩に代わりに立て替えてもらった心境ですよ。
そして9回。立浪はここで、日本球界に百年語り継がれる離れ業を演じて見せた。
それまで手も足も出なかった上原相手に井端弘和遊撃手のヒットから始まる連打で
気づけば1死満塁の大チャンス、ここで立浪は、先ほどの借りをちゃーんと返して見せた。
上原の渾身の内角ストレートをはっしと叩くと、
打球はそのまま広い広いナゴヤドームの右翼席まで一直線に飛び込む
サヨナラ満塁ホームラン。
そしてこの一打はまた、「打撃の神様」川上哲治の残した歴代10位の安打数に並ぶ、
通算2351本目の安打となった。
最後まで勝負を捨てない、野球人生を諦めない大ベテランに、最後の最後で微笑む―
野球の神様は見ているんだなあ。そんな野球の神様の粋な計らいに、
社会の荒波にもまれ続ける同年代の会社人間としては、ただただ唸るしかない思いである。