06/06/08 21:25:21 10me9JyP
うめやる気ないじゃんかwじゃ俺も書く
私は自分の手の中にあるビデオテープの感触を実感していた。
思い切って衝動の赴くままに行動した結果
拍子抜けするほどあっさりと手に入った忌まわしい記録の箱。
適当に貼られたラベルに小さく書かれた「美-1」という文字
「見るべきか見ざるべきか」
もしかしたら偽物を掴まされた可能性もある。
弁護士は私が確認できないようであればそれを行っても良いと言った。
弁護士には守秘義務があるし、腕の良い信頼できる人物だとも思える。
しかし、しかし私は美穂の獣のような姿を第三者に見せる事に抵抗を覚えた。
見なければならない。
私は美穂のもうひとつの姿を自分自身の目で確認しなければならないのだ。
私は掲示板に「自分の会社で見ます」と書き込んで部屋を出た。
しかし足が思うように動かないというか、
フワフワとした頼りない足取りが思うように進んでくれない。
「あなた」
不意に私の背後で美穂の声がした。
美穂は私が抱えたバッグの中にある物をハッキリと意識しながら
「あなた、お願いだから家にいてください」と声を絞り出した。
「お前、俺が今から何をするのか伝えたはずだろう」
「わかってます」
「だったら」
「私を一人にしないでください。こんなお願い出来た義理じゃないけど
このままどうにかなってしまいそうで怖いんです。
もしも私が壊れてしまったら」
「壊れてしまったら・・・何なんだ?」
「貴方の手で私を殺してください」
長い永遠に続くかと思うほど長い沈黙の後
私は美穂を廊下に残したままリビングに戻り、ビデオデッキの電源を入れた。
(続く)