06/12/28 11:33:00 rA3OLiw1
「こらぁーさっさと立たんかい!ボケェ!」
親父の怒声が俺に突き刺さる。俺はヨロヨロになりながら何とか立った。
「よーし、それでいいんじゃぁ。よし、三分休憩な」
俺はその場にへたりこんだ。
まだ外が暗い夜明け前からの練習に、俺らきょうだいはヘトヘトやった。
親父のトレーニングは容赦がない。最初、俺らはこんなことが
一体何の役に立つんかわからんかった。
しかし親父は偉かった。ちゃんと先を見越して俺らを鍛えてたんや。
その証拠に俺ら家族を取材に多くのマスコミが押しかけるようになった。
日本中の人がそれをテレビで見て嬌声を上げる。観客もいっぱい俺らを見に来る。
そして俺らはますます練習に身が入る。やっぱウチの親父はよう考えとるわ。
マスコミの中には、俺ら家族のことを騒ぎすぎやと言うモンもおるが、
そんなことは知ったこっちゃない。
俺らきょうだいは、親父が必死でひいた道を走りぬけるだけや。
その日、親父は俺に言った。
「今日も客は大入りやが、お前はいつも通りやればええ」
「わかっとる」
「ええか!この勝負はな、結局は最後に立ったモン勝ちや。それを忘れんなや」
「おう、いったるわ!」
俺ら家族は連なって通路を進む。目の前がぱあっと明るくなると同時に、
歓声が四方から響き渡る。
「キャー、キターー!風太クーン!ユウタちゃーん、風花ちゃーん、可愛いーー」