07/01/13 00:29:42 fy4a2dnn
今期を振り返ってみると、1年ぶりに出た七姫4、綺麗に完結した銀盤と空鐘、
シリーズものではBBB6、文学少少女2.3、戦う司書4、狼と香辛料3と
なかなか粒ぞろいで5つに決めるのも迷うところではある。
しかし、もうラ板大賞も今回で13回目を数え、第1回から参加している私としても普通に選ぶのに飽きがきてきた。
ラ板大賞の企画はお祭りだ。大賞に推薦するのも只の良作というものではなく、祭りに相応しいものが必要ではないか。
それで今回は5作品を選別するのではなく、1作品に思いのたけをつめこむことにした。
● 大賞、イチオシ賞
○ <<ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン>>
【著:新井輝、築地俊彦、水城正太郎、師走トオル、田代裕彦、吉田茄矢、あざの耕平
/絵:駒都えーじ、さっち、しのざきあきら、村崎久都、緋呂河とも、若月さな、深山和香 /レ:富士見ミステリー文庫】
富士見ミステリーの最終兵器である。どんな兵器であるかは名言しない。
20:2/5
07/01/13 00:31:26 fy4a2dnn
とにかく、この小説は尋常ではない。なにしろリレー小説の文庫なのだ。
7人の著名作家が血と汗と涙と魂と愚痴を込めて書き上げた一冊だ。
当然ながら'ネコのおと'を読む場合は各作者の作品を先に読んでいた方がより楽しめる。
富士ミスの「ROOM No. 1301」「東京タブロイド」「タクティカル・ジャッジメント」「キリサキ」「BAD×BUDDY」「Dクラッカーズ」
それから富士見Fの「BLACK BLOOD BROTHERS」も忘れてはいけない。(「まぶらほ」は忘れていいです)
これらの作品のキャラが次々と出てきたり出てこなかったり、イラストにはいるのに本編にいなかったりと大騒ぎなわけです。
それを7人のイラストレーターが丁寧に挿絵を書いたりしてるわけです。豪華絢爛です。
7人の作家に7人のイラストレーター!(原稿料とか印税とか分配すると1人あたり儲けなさそうだとかは思ってはいけません)
21:3/5
07/01/13 00:33:08 fy4a2dnn
物語の内容についても少し触れておきましょう。ただ、どうも説明しづらく、あまり突っ込むとネタばれになるので抽象的ですがご容赦ください。
話の中心は「ネコノート」という1冊の日誌です。
このネコノートの特性については本文を読んでもらうとして、不思議な力を持つこの日誌を巡る物語を7人の作家がリレーしていくのです。
まずは新井輝。無難なスタートです。「ROOM No. 1301」のキャラを使い、本編とは少し違う設定でネコノートを絡ませ、
ネコノートの特性の説明であるとか、大まかな世界観やルールを提示していきます。
無難すぎてROOM番外編として通用しちゃうんじゃないのという感じですが、手堅い出来です。
サッカーで言えばキックオフから自分で敵陣にドリブルで切り込み、敵味方の位置を確かめつつ前方へショートパスという感じです。
2人目は築地俊彦。まぶらほのキャラを使った短編です。それだけです。
サッカーで言えば新井輝からのパスを手で拾いグランド外に逃げた感じです。
3人目は水城正太郎。
サッカーで言えば築地が逃げたのを横目に審判と相撲を取り始めました。
4人目は師走トオル。タクティカル・ジャッジメントでもお馴染みの裁判ミステリー。
物語は中盤。謎が謎を呼ぶというか、何が謎なのか、話が今どうなってるか分からないのに、手堅く話を進めます。
サッカーで言えば・・・もう例えられません。助けて。
22:4/5
07/01/13 00:34:15 fy4a2dnn
5人目は田代裕彦。平井骸骨シリーズ、キリサキシリーズと富士ミスで唯一の本格ミステリー作家です。
先輩達が無茶苦茶にした物語をなんとかしようと頑張ってるのが涙を誘います。
6人目は吉田茄矢。7人の中で1番キャリアが短いのにラス前です。可哀相です。
「BAD×BUDDY」のキャラのホンダを使い事件を解決に導こうとするのですが、余計に自体は混乱しつつラストのあざのへ。
しかし、先輩方が好き勝手にやった物語にある程度の方向性を持たせて最後にパスを渡したのは見事。敢闘賞ものでしょう。
先の読めないあやふやとしたリレー小説に方向性がつき、物語も佳境へ。話としてはかなり盛り上がってきます。
7人目はあざの耕平。人気アニメ化作家が大トリです。アニメ化で仕事量が激増してる真ん中に締め切りを置いてまで頑張ってくれました。
吉田からの難しいが面白いパスを完璧に受けて、流石としかいいようのない大円団を決めました。
ぶっちゃけ、吉田とあざのが居なければ企画失敗です。
もう、最後の魂の叫びは熱くて痺れます、泣けます、笑えます。
かくも混沌した物語。こんな小説はもう今後は出ないでしょう。(作家も編集も懲りたと思いますし)
さすがは富士見ミステリーの最終兵器。(どんな兵器であるかは名言しない)
あなたも騙されたと思って読んでみてください。
ただし、その前に「ROOM No. 1301」「東京タブロイド」「タクティカル・ジャッジメント」「キリサキ」「BAD×BUDDY」「Dクラッカーズ」「BLACK BLOOD BROTHERS」を読んでおくのは読者の嗜み。
富士ミスの過去作品を50冊以上読んで、富士ミススレの過去スレを初代スレから読んでおけば、面白さ100倍。
ネコのおとを読む頃にはいい具合に頭がほぐれていると思います。
なお、騙されたと思った方は「ロクメンダイス」をお読みください。
PS.あざの先生、変な企画に巻き込まれて大変だったと思うけどBBB頑張って
23:5/5
07/01/13 00:34:53 fy4a2dnn
●ベストキャラクター賞
{{吉田茄矢}}(ネコのおと)
作者本人も頑張ったけど、キャラとしての吉田茄矢は頑張った。彼女の大活躍なくしては話がまとまらんし盛り上がらなかったよ。
というか、ネコ耳メイドの眼鏡っ子ですから。ネコ耳メイドの眼鏡っ子ですから。
そんなキャラいたら票入れるしかないでしょう。
24:大賞集計人 ◆EhNsesBBnU
07/01/13 00:46:39 ymfU/ZAo
今期はあまり読めなかったなあ……。
でも、だからこそ大賞が楽しみ。
○<<“文学少女”と繋がれた愚者>> 【著:野村美月/絵:竹岡美穂/レ:ファミ通文庫】
今回はこれ以外ありえない。
畳み掛けるような怒涛の展開、あまりにも青臭くて悲しい登場人物たち、最後に訪れるどんでん返し……。
巻を追うごとにキュートになる遠子先輩の魅力もさることながら、『武蔵野』をモチーフにした構成もいつもながら圧巻。
3巻にして物語も山場に差し掛かり、盛り上がりも最高潮。
『飢え乾く幽霊』の方も捨てがたかったけど、読んだばかりで印象が鮮烈なのでこっちに。
いや、本当に2巻とも素晴らしかったです。
前回この作品を教えてくれた大賞に、感謝の意もこめてのイチオシ。
<<空の鐘の響く惑星で (12)>> 【著:渡瀬草一郎/絵:岩崎美奈子/レ:電撃文庫】
完結記念。
果たして無事にまとめられるのかハラハラしたけど、見事に期待に応えてくれた。
あまりに大団円的な例のアレは賛否両論だったけど、改めて読み直すとこれしかなかったと感じる。
そして何よりもパンプキン。カボチャ。南瓜。あの素敵なミドル、パン・プ・キン。
もう、最後の最後で何全てを持っていってんだよ、畜生w
<<狼と香辛料 III>> 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
何でこの人は、巻を追うごとに物凄い勢いで上手くなっていくんだい?
今までは商人として戦ってきたロレンスが、初めて女のためにガチンコのバトルに挑む第3巻。
とはいってもやはりその手段は商売。
最後の、圧倒的な絶望から一転してのどんでん返しは、見事の一言でした。
そしてやはり、ホロ可愛いよホロ。