06/11/19 21:13:28 ZIZlaCL9
「Ωの聖餐」(短編集『独白するユニバーサル 横メルカトル』より)
平山夢明 光文社
ラノベかは微妙だし、これは本物の名作かもしれないが・・・読み終えて気分悪ィので紹介。(注・グロ)
主人公はかつて数学者の卵であったが、人を過失で殺してしまったことで未来が断たれ、
犯罪組織に属して糊口をしのぐ身分にまで堕ちていた。
ある日、主人公の友人かつ直属の上司であるスナギモという男が、内輪の問題で処分される。
怯える主人公に、組織の幹部であるテバは言った。
「お前がこいつの仕事を引き継げ」
否応なく連れて行かれた先で主人公が見たものは、裸で横たわる巨大な肉だった。
「Ωだ。これでも人間だ」
体重400キロはありそうなその怪物の世話が、主人公の引き継いだ仕事。
具体的には、排泄物の処理と食料の「調理」である。主人公と二人になり、Ωは言った。
「スナギモなるそこの君の友人を解体したまえ。まずレアで食べる」
Ωは組織の殺した屍体の始末役でもあった。彼の食料は人間である。
知能は恐ろしく高い。彼に言わせると、人間の脳を食べるからだという。
主人公はこの怖ろしい仕事に慣れていったが、あることがきっかけで野心が再燃することになる。
彼はΩに頼む。未だかつて誰も解けなかった数式の証明をしてくれ、と。
それが自分の手柄になれば、日の当たる世界に戻れるばかりか、名が歴史に残るだろう。
Ωは答えた。「数学者の脳が必要だ。それに只ではできない」
Ωの持ちかけた取引を主人公は呑み・・・
こんな話。