07/01/25 21:12:01 FNjqribw
251ページの挿絵をご覧頂きたい。
騒動はひとまずの終結を見、望・耕太・ちずるが一つのベッドで川の字になって
安らかに眠っている。狼少女を抱えて眠るとはなんたるナイスセクハラか。
就寝時の川の字の真ん中は、言うまでもなく両親に挟まれた子供のポジションだ。
けれど耕太がここにおさまっているからといって、退行だなんだとヒステリックに
騒ぎ立てる必要は、もはや、ない。
何もかもに白黒をつけて克服する必要はなく、ある程度までなら母性となあなあの
関係でも立派にやっていけるのが、この国の―善悪とは別次元にある―特性なのだ。
目を覚ました耕太は梱包作業に戻ることもなく、蓮と藍の訪問を受けた。
実母不在の彼女らは、ちずるから受けたぬくもりに母性を感じ「ママ」と甘え、
ママが愛する男を「パパ」と認めた。
こうして耕太は父親という新属性を付与された。
ちずるは耕太との関係で既に母親属性を得ているが、蓮・藍との親子関係はまた違った
ものになるに違いない。何しろ今回はより強固な、配偶者の存在する関係なのだから。
息子で孫で兄で恋人で夫で父な耕太と、娘で姉で恋人で妻で母なちずる。
あまりに混沌としすぎて進んでいるのか戻っているのか分からない二人だが、
彼らの物語が綴られ続ける限りとうてい目を離すことなどできそうにない
。
そしてどうか「Kanokon」が無事出版されますように。
英語でかのこんを読むことになる人々が西野の思いを知ったとき、
世界は少しだけ優しくなれるはずだから。