ライトノベルでクロスオーバーSSを作ってみようat MAGAZIN
ライトノベルでクロスオーバーSSを作ってみよう - 暇つぶし2ch2:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 15:10:51 677kdDmp
つ【チラシの裏】

3:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 15:14:10 jZLMb78P
そこらへんの臭い同人二次創作SSHPの中ででもやってろ

4:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 15:15:27 vCGhyckY
スレリンク(magazin板)
これと重複か。

5:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 15:36:37 AU+XNhAV

                            終劇

6:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 16:19:57 ggf2pkyX
>>1が率先してやるなら読むぐらいはしてやる

7:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 16:29:28 2TSJjybR
ローカルルールを読まないばかりか自分で書かずに人まかせか

8:イラストに騙された名無しさん
05/11/07 19:00:19 +KaBnWvL
重複です。移動してください。

もしもライトノベルのキャラが一つの学校にいたら
スレリンク(magazin板)
もしもライトノベル作家が一つのクラスにいたら 4
スレリンク(magazin板)
ラノベ・ロワイアル Part7
スレリンク(magazin板)

9:イラストに騙された名無しさん
05/11/09 22:16:04 w8QklaTL
ここ、うまく使えば、少しだけ名スレになる気がする。

…そう、0.001割くらいの確率で。

10:イラストに騙された名無しさん
05/11/11 23:08:10 ylDrIFn2
学校の番外編スレにするとか。

11:イラストに騙された名無しさん
05/11/11 23:11:29 OiiInh8/
>10
学校の現状を考えるとな…

12:イラストに騙された名無しさん
05/11/14 20:16:31 F3uW4OlG
ヒント:吸血大殲

13:イラストに騙された名無しさん
05/11/16 13:48:39 B18k1MHV
誰もいない?
いつ投下になるかわからないけど、書いてみるよ。

戯言×され竜とか

禁書×ムシウタとか



14:イラストに騙された名無しさん
05/11/16 14:04:36 GQM0kUcA
そういうことは実際に書いてからsageで言え。
骨は拾うフリをしてやるから。

15:イラストに騙された名無しさん
05/11/16 14:30:01 C6zT/Eag
>>13
きもい

16:イラストに騙された名無しさん
05/11/16 15:09:40 MihSrTRM
>>13
チョイスがうんこ臭いよ。

17:イラストに騙された名無しさん
05/11/16 16:47:21 0sePwMkR
>13
こいつはくせえッー!
ゲロ以下のオサレ臭がプンプンするぜッ─ッ!

18:イラストに騙された名無しさん
05/11/16 18:13:51 WlMqth0z
>>13
あーあ…。

19:イラストに騙された名無しさん
05/11/17 01:14:56 CB6dEf/g
戯言×され龍。
鬱展開ってか

20:イラストに騙された名無しさん
05/11/23 15:46:16 1pBjovdH
戯言×バキなら見たことがある。
でも片方がラノベじゃないしなあ・・・

21:イラストに騙された名無しさん
05/11/26 12:02:56 Mj+Vdk6s
ドラスタをネタにSS書いてみようとおもた

22:イラストに騙された名無しさん
05/11/26 20:17:47 m0CTxgeS
書きたい人は書いてください。
ぜひ読ませていただきます。
ただし、運動会ネタは学校のほうでお願いします。m(__)m

23:イラストに騙された名無しさん
05/11/26 21:32:00 X1YxWJfu
※ライトノベル板のルール※

●板違いの話題は移動ないし削除されることがあります。
 あなたの話題にしたいことに応じた板を選びましょう。
 ★ライトノベル以外の本の話題―
  【文学板】【ミステリー板】【SF・Fantasy・Horror板】【一般書籍板】【絵本板】【児童書板】
 ★ネット小説・同人誌―【創作文芸板】【同人板】
 ★成人指定な本―【エロ漫画・小説板】【801板】など。



24:イラストに騙された名無しさん
05/12/30 11:07:12 77iRVqcI
くそすれさらしあげ

25:イラストに騙された名無しさん
06/01/31 11:08:07 vNoif1xV
今日の依頼人も一風変わった依頼人だった。
「本来ならぼく一人でもやるんですけどね」
射的の的をあしらったようなパーカーとズボン、生きた魚の目をした青年。
「どうも流れの咒式士が関わってる事件みたいなんで、頼みたいことがあるんです」
「で、何をだ?『いーちゃん』さんよ」
「捜査協力を頼みたいんですよ、ガユス・レヴィナ・ソレルさん」
「しかしなぁ……」
「依頼料金なら、糸目はつけませんが」
「乗った」
今日も常時のごとく日は悪く、我が事務所の経営状態はもっと最悪らしい。
咒式がらみなんて最悪の依頼だ。咒式がからむから咒式士事務所に来るのだろうが。


26:イラストに騙された名無しさん
06/01/31 11:47:11 7NYBxKNJ
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~~~

27:イラストに騙された名無しさん
06/01/31 22:19:40 W/NkiIWy
おぉっ!?まじで戯されきたよ。
読むよ?読ませていただきますよ?

…ここdat落ちしてなかったんだなあ…

28:イラストに騙された名無しさん
06/01/31 22:25:56 x10yQiuL
カンフーファイタースレのカンフーファイターVSドクロちゃんが未完なのが残念だ。

29:イラストに騙された名無しさん
06/02/01 14:09:00 zljbItQl
メル欄に続かないってかいてんじゃん。
リレーでもやるか?

30:イラストに騙された名無しさん
06/02/01 23:30:02 X4caeNmc
前に某スレで、灼眼のシャナに出てくる坂井悠二のポジションが
終わクロの佐山と入れ替わったら、というネタがカキコされてたが、
誰かこのスレで一本書いてみる猛者はおらんか?

31:…誰か続きヨロ
06/02/02 01:37:01 bUhrZgPS
「ふ~ん♪ふふふ~ん♪」
上条当麻は機嫌が良かった。銀髪シスターに邪魔されず、ビリビリ電撃娘に喧嘩を売られることなく、超高級黒蜜堂最高級プリンを頬張っていたからだ。
「んにゃ~こいつはうまいぜよ」
「わは~!土御門!お前ホントいい奴だな!」
実は級友の土御門元春が奢ってくれたモノなのだが。
「んでかみやん、頼みがあるのだぜよ」
「なんだい、元春くん?喜んで承ろうじゃないか」
久々に幸せメーターの降りきった上条は、自分の不幸頻発体質を省みず言った。
「ちょいと正義の味方を」
「へ?」
と、言ったとき、窓のガラスが破れた。
「……………へ?」
昆虫みたいな、生き物。
「…………へぇ?」
ただし、めっさデカイ。
「………はぁ!?」
しかも上に人乗ってる。
「ほんじゃなーかみやんー。そいつを追って変な奴来るけど、引き渡しといてやー」
「アホー!?!出来るかー!!」
ぎろり、と虫の上の少年が上条を睨みつけた。土御門は消えている。
「アンタも……アンタも邪魔すんのかぁ!」
「わ、わ、わ!待たんかってば!」
逃げる上条。店の外へ連れだして助けを……
ズドン!!
「う、うわっ………!」
大砲の轟音。虫に穴があいたのか体液がだくだくと流れている。
「手間をかけさせるなよ、三下が」
声の元を見ると漆黒のコートを着た少年が、これまた虫がくっついたようなグロテスクな銃をぶら下げていた。

それは最強の虫憑き・かっこうと
異端の能力者・幻想殺しの線が交わる、
絶好で絶悪のハードボイルドストーリー!!

32:イラストに騙された名無しさん
06/02/02 18:21:01 IMJ4jQ2F
>30 シャナはアニメしか知らないがこうか?
「これは……」
佐山の視界に暗闇が降りる。闇の中で人々はその活動を止めていた。先ほどまで話していた暴力夫婦も風見がマウントパンチの体制をとったまま静寂の一音。
「ふむ」
出雲の顔に油性マジックで馬鹿と書いてみる。だが動かない。
「何が起きた? 確かに常々私は世界の中心であると自覚はしていたがこのような世界など私は望んでいないのだがね」
商店街の中、どうやら動いているのは彼だけのようだ。不思議なことだ、突然世界が死に絶えたとでもいうのだろうか。
その時だ。路地の向こうからズシンズシンと地響きが聞こえた。
「ふむ…」
状況が不透明である以上この場を動くことは得策ではない。だが地響きは近づいてきている。動くべきかどうか。その判断の基準を佐山は祖父から受け継いでいた。
「―佐山の姓は悪役を任ずる、か」

33:イラストに騙された名無しさん
06/02/02 23:38:02 snO1PejX
>>32
おお、GJ。続きが読みたい。

34:イラストに騙された名無しさん
06/02/04 10:05:58 9xrr0pgD
○○と●●が入れ替わったら………か。










ますたぁ、上条と佐山が学園都市的に入れ替わったら、でも一つ。

35:イラストに騙された名無しさん
06/02/04 20:31:51 sJ4M6v+v
佐山・スィリー&アイネスト・いーちゃんと同じ部屋に入れられたキョンとかどうか。
誰も聞いてなくても勝手に延々と喋り続ける連中にひたすらツッコミを入れ続ける哀れな男。

36:イラストに騙された名無しさん
06/02/04 20:37:06 Pm3Aj4OL
だったら平和島静雄と同じ部屋に佐山といーちゃんをぶち込んでみたい

37:イラストに騙された名無しさん
06/02/05 10:04:44 q7kx081g
佐倉くんとドクロちゃんが尊秋多学院に入学して生徒会に……的な【撲殺クロニクル】を書いてるんだが……

38:イラストに騙された名無しさん
06/02/05 12:53:48 89APoc6p
アルティメットファクターとウィザーズブレインと機甲都市伯林でひとつ。


39:イラストに騙された名無しさん
06/02/05 14:50:57 WBCq/ccH
>>37
是非ともよみたい

40:37
06/02/05 23:11:49 sKUkKZ80
AHEADシリーズ
撲殺クロニクル


序章「訪れの始まり」

 上空にあるのは澄みきった紺碧の色のみだった。そこに雲はなく、ただ原色のような色を広げている。
 その空の下、満開の花々に彩られた桜並木がある。道の始まりにある門柱には〝尊秋多学院〟との文字が刻まれていた。
「確か、このあたりのはずだったけど……」
 呟く声は変声期を終えたばかりのような、僅かな高さの残るテノール。
 少年の名前を、草壁桜と言った。
   ●
「うわ~、やっぱりすごいおっきいね~」
「……ドクロちゃん、どうしてあなたはここにいるの?」
 ドクロ、と呼ばれた少女は頬に手を当て、
「……こ、高校デビューを記念して公開野外プレイ?」
「どんな記念だよ! 野外ってチクチクするって雑誌に書いてたじゃないか! それにどうしてドクロちゃんがここにいるの!?」
「やだな~桜くん、ボクも一緒に高校受験したじゃんっ」
 言われて桜が思い出したのは、私立高校受験日翌日の新聞の一面だった。尊秋多学院で行われた普通科一般受験の面接教官が、ことごとく行方不明になったという内容だった。
 後日、答案に名前しか書いていなかった筈のドクロが首席で合格した直後に、行方不明だった教官が山中で発見された。
 ……世の中って力さえあればどうにでもなるのかなぁ。
「桜くん、桜くん。あの人たちじゃないかなっ」
 隣の廃テンション馬鹿天使が指差すのは、図書館の前に広がる芝生だった。中央あたりに座るのは男子の制服と女子の制服が一人ずつ。
 五人の中央に展開されているのは大きめの重箱が一つ。
 両サイドに白髪の特徴的な髪型をした男が重箱から角煮を摘み、口に入れる寸前で目が合った。
「……おや、もしかして草壁・桜君かね」
「は、はい」
 別に脅されているわけではないが、言葉に詰まる。なんとなく、他の人にない雰囲気を持った人だ。
「私は佐山・御言。尊秋多学院の生徒会会長にして世界の中心だ。ああ、別に私が高貴だからといって卑屈になる必要はない。楽にしたま……」
「ごめんね。この人、頭がかなり変だからあんまり真面目に聞かないでね? ボクは新庄・運切、生徒会の副会長をしてます」

41:37
06/02/05 23:14:08 sKUkKZ80
本文が長すぎます
長すぎる行があります
orz
ところでヒオと美影って何歳だっけ?

42:37
06/02/06 18:51:48 nwUAqqgd
とりあえず、ヒオを原川の一つ二つ下(=桜とタメ)、美影を佐山と同い年って設定で逝きます。ツッコミ、感想頼む。

43:イラストに騙された名無しさん
06/02/06 18:59:27 NphlzB8V
>>37 感想
面白かったですよ、ハイ。
まだ撲殺シーンがないので少し楽しみでございますよ。
桜君は概念戦闘に巻き込まれても多分あの調子なんでしょうけど。
機殻金棒『エスカリボルグ』が出るのだろうかなぁ。

44:フレイムヘイズと戯言遣い
06/02/06 23:36:55 r6/RyxfM
「…あれ」
不意に、ぼくの周囲の全てが、止まった。
紅い陽炎のような、奇妙なドーム状の壁の中で、ぼく以外の全てが、動きを止めていた。
「これは…操想術、かな?」
いや―違う、これはむしろ―
「―空間製作に近い」
突如現れた異形の化け物を凝視しながら、ぼくは呟いた。

45:44
06/02/06 23:40:30 r6/RyxfM
短いが作ってみた。
まだ考えてるネタはあるが、バラッバラな断片にしかならないと思う…orz。



46:イラストに騙された名無しさん
06/04/05 22:00:48 SwSvim46
カキテハドコダ?

47:イラストに騙された名無しさん
06/04/12 22:32:42 w2TJisXV
過疎ってる!
書き逃げはヤメテクレー――――

48:イラストに騙された名無しさん
06/04/13 15:15:54 l1oUc1fQ
ごめん、その中で捨てネタ。しかも無意味にヨーコと終わクロだ。電波振ってきちゃったので撒き散らすよ。

「幽霊?」
「うん、そうなんだよ佐山くん。ほら、校庭のオブジェわかる? あの卵型してるヤツ」
新庄の話に、佐山は頷きながら新庄のボディラインをチェック。
うむ、今日も新庄くんは素晴らしい。
「ああ、消滅したかと思われたご老体が憎らしいことに帰ってきたその日に校庭に設置したあの卵型だか何かわからないものだね。
 生徒会にも何件かアンケートが寄せられているよ。
 『ジャマだ』『消えろ』『頼むから副会長を大人しくさせてください』『XYZ─校舎の前にて待つ』
 ははは、なかなかオリジナリティにあふれているね?」
「ごめん佐山くん、そのアンケートは多分関係ない」
そうかね、と答えつつ佐山はネクタイを締める。
やはり新庄の前ではいつも真面目でいなければなるまい。
「つまり─その卵型のようにうるわしい赤ちゃんが欲しいのだグァ」
「ああごめん佐山くん、ネクタイが緩んでたみたいだったから」
息苦しい視界の中で新庄の笑顔は晴れ晴れと輝いている。
「とにかくそのオブジェの前に人が現れたとか消えたとか騒ぎが起きてるんだよ。
 風見さんたちにも相談したけどわからないみたいだし」
「ふむ」
新庄の絞首刑から解放されて一息。
「では飛場と美影くん、原川とヒオくんで調査をしてもらおうか」





49:44
06/04/21 00:46:13 Vu8dtU5F
書きかけで放置してスマン。
シャナ1巻が手元に来たら続き書くからそれまで落ちないでくれよ…

50:イラストに騙された名無しさん
06/04/24 02:08:11 E0ohtp73
 

51:イラストに騙された名無しさん
06/04/28 18:30:09 ouA2Mpjv
ラノベキャラが一つの学校にいたらスレが落ちて焦っている。
というわけで保守。

52:イラストに騙された名無しさん
06/04/30 00:25:46 fJN23kis
「我々UNCLET一行は突然正体不明の敵の攻撃を受k・・・」
カメラ目線でモノローグを始めた女子中学生(のようなもの)にビキニタイプの甲冑
を纏った猫耳少女が突っ込みを入れる
「エーックス!わざとらしい説明セリフはやめろt・・・」
そこに合いの手を入れるのはライダースーツの少女と車椅子の少女
「おい、内輪もめしてる場合じゃねえぞ」
「どうやら新手が来たようです」
見上げた空から鬣と羽を生やした黄金像が降下してくる
「オシリス殿、一体何の騒ぎです?」
黄金像が話しかけたのは腰から下が球根状になった全身緑色の美女だ
「あからさまに怪しい連中が山に入ってきたので正体を確かめようとしたのだがな」
予想外に手強くて難儀していると語る植物美女の言葉に黄金像も緊張した雰囲気になる
「容易ならぬ相手のようですね・・・」
植物美女が触手を伸ばし黄金像が目から怪光線を放つ
猫耳少女が大剣を振り回し車椅子がホバリングダッシュしながらミサイル発射
爆煙と火柱が交錯する修羅場から少し離れた場所にスーツ姿の美女と学生服の少年がいた
「みんな楽しそうですねえ首領」
「あれは本気で戦ってますよ!大体ただのピクニックのはずだったのに何であんなのが
出てくるんですか!?!」

53:イラストに騙された名無しさん
06/05/01 09:46:30 3EiBWZEt
>>32
今更ながらワロス。
てか終わクロのキャラでシャナやるってのも面白そうだな。そのときは

シャナ・・・新庄、フリアグネ・・・ブレン

てことになるのか?

54:イラストに騙された名無しさん
06/05/08 14:08:14 xxbX3Mi1
>>32
暗闇の中を駆ける佐山は、己の判断を明確にするべく、走る。
一息をつくとともに浮いた身に緊張をみなぎらせ、着地とともに飛び、また大地を蹴る。
その動きは疾走というよりもベクトルをただ進行のみに振り絞った跳躍に近い。
「先ほどから聞こえる地響き…こちらか」
この空間、先ほどからすれ違う人々は全く身動きもせず固まっている。
時の停止した世界? ならばなぜ自分は動ける?
脳裏に浮かんだ疑問は保留して、走ること数分。
暗闇の中に仄かに明るい影が二つ。
一つは、巨大な赤ん坊のごとき丸々とした物体、それはもう一つの影へと駄々をこねるようにパンチを繰り出している。
もう一つの影は、少女だった。
長身痩躯のその身は揺らめく炎のごとき灼い髪をなびかせ、そして手にはその身の丈もありそうな日本刀が握られている。
日本にこのような人物がいたとは佐山は聞いたことがない。その少女は身軽に、人間とは思えぬ跳躍を繰り返しながら『赤ん坊』の攻撃をかわしている。
だが、決定打になっていない。そしてまた少女は怪物の攻撃をかわす。
「どきたまえ!」
一喝。対峙する互いの動きが一瞬停止。佐山はその一瞬の間に、少女の腕をつかむと、そこを軸に身を回した。
「な、何するのよ…っ!」
ここまでの走力を変換した運動エネルギーは慣性の法則とともに発揮され、変形の回し蹴りが怪物をビルへ吹き飛ばす。
「無事かね?」
「お、オマエ一体…」
「自己紹介はあとにしよう。あのジャパニメーションが生んだと思われる怪物、弾力がありすぎて格闘では埒が明かない」
「!」
「よければその刀を貸して欲しい。」
「ダメ、これはあんたなんかに扱えるものじゃない」
「ならば、きみにトドメを頼もう」
応答の間に赤ん坊がガラガラとビルの中から這い上がってくる。
「彼は困ったことに元気満点のようだ、あと五秒で答えたまえ。あれはなんだ?5・4・3・2・1・0・1・2・3・4・5、いかん十秒数えてしまった」
己の聡明な頭を抱える佐山にあきれるように半眼になりながら、灼眼の少女は問いをつむいだ。
「…オマエ、一体なに?」
「─悪役を希望している」


55:イラストに騙された名無しさん
06/05/08 20:22:43 eFkez9a6
>>54
終わクロは知らんがおもしろいなw
しかし惜しむらくは外見年齢11かそこらのシャナ(だから高校生になりすますのは実は相当無理がある)が「長身」と記述されている点だ。
でもアニメしか知らなくてここまで書けるのはすごい。
…なんか偉そうでスマソ。

56:イラストに騙された名無しさん
06/05/09 00:10:12 1szVlRkX
>>54
GJ!! 待ってた甲斐があったね、続きも楽しみにしていますよ。

57:イラストに騙された名無しさん
06/05/09 03:19:23 Oyteyque
>>44
その日。
思えばその日、絵本さんと待ち合わせをして家を出たとき―
例によってフレンチクルーラーを買って店を出たとき―
恐らくぼくは、とっくに人間ではなかったのだろう。
或いはぼく自身ですら、なかったのだろう。
言葉通り文字通り、これまで吐いてきた戯言の通りに。


58:イラストに騙された名無しさん
06/05/09 03:22:08 Oyteyque
>>57
それは2、3メートルはある巨大なキューピー人形と、大量のマネキンの首でできたボールだった。
それらの口が開くとともに、停止したまま燃え上がる人々。
奇怪な人形たちはそれを、さながら落語の題目か何かのように、
―ただし吹き消すのではなく―吸い上げた。
明らかに、「喰って」いるように見えた。
「戯言、だろ」
いくらなんでもこれは―インパクトが有り過ぎだ。
痩せ細り弱っていく灯りの中に、ぼくは完全に取り残されていた。
だが人形どもはどうやら、こちらに気づいたようだった。
話の内容からすると、興味を持ったらしかった。
というか、喋っている。人形が。
キューピーの巨大な腕が、ぼくの身体を鷲掴みにする。
「いただきま――す!!!」
ぱっくりと開いた大口を瞬きもせずただ見据えるぼくの目の前にその時、

紅蓮の火球が、墜ちて来た。


59:イラストに騙された名無しさん
06/05/09 03:23:44 Oyteyque
>>58
刹那、キューピーの腕ごと斬り飛ばされて地面に叩き付けられるぼく。
「ぐえ」
まだ腕に掴まれたままなので、受身どころじゃない。
ま、緩衝材の役割をしてくれたのは有難かったが。
バウンドしてそのままごろごろと転がる。
むせながら、どうにか解けた指を押しのけて起き上がる。
―と、ぼくの目に映ったのは、
火の粉を散らして燃え立つ、赫く目映い、長い髪。
次の瞬間ぼくは、他のあらゆる感覚も状況も忘れて、
黒衣を纏い佇むその圧倒的な存在に、
小柄な体躯に不釣合いな大太刀を提げたその少女に、
何よりそのあまりに神々しい灼熱の双眸に、
ただただ、魅入られて―見入って、いた。
「君は、誰」
ぼくは問う。
「私は、フレイムヘイズ」
彼女は答えて、躊躇なく容赦なく刀を振り下ろした。
勿論ぼくは、目を閉じることはなかった。


60:イラストに騙された名無しさん
06/05/11 15:36:44 P8FnSwWE
>>54

「悪役…?」
「まだあくまで悪役希望でしかないがね。」
口ぶりに不機嫌と焦燥を瞳に宿らせる少女を佐山は無視。今は彼女と見つめあうよりもすることがある。
四つんばいになった怪物がこちらを見ている。
心の中で佐山はふむと頭をひねる。この不思議空間、特に重力が変わっているわけでもない。だがこのような場所を作るということは彼らにとって有益があるに違いない。
(それはおそらく、この時間停止ということだろう……ならばなぜ自分は動ける?)
情報がないこの状態では思考は堂々巡りにならざるをえない、佐山は空間の不備は自身には及んでないとだけ結論づける。
「おまえぇぇ、なんだぁ~?」
問いを投げかけてくる怪物に答える義理はない。一度背後の少女に眼をむければ彼女はしっかりと両手で刀を握っている。
「オマエ!燐子(ソレ)はあんたなんかが相手にできるやつじゃない! 引っ込んでて!」
「そうはいかない」
答えて、前に出る。
物質が不可解な燐光を発するこの空間、己と、少女と、怪物だけが動く。
怪物にはこちらの格闘はたいした効果を与えられず、少女はもしかしたら自分ごと怪物を叩ききるかもしれない。
難儀なことだ、実に難儀だ。だが、歩みは止めない。
「ここでならば、私は全力を出せるかもしれないのだから」
「このやろぉ、こたえろよぉ~」
気の抜けた声とともに赤ん坊が動く。その身は声に反して、いや質量に反して軽快だ。
四つんばいだというのにまるで風のようにこちらに向かってくる。その怪物に、佐山はある動作をとった。
背を向けたのだ。
「!? オマエ! 何してるの!」
何かの手品か火を纏う少女のほうへと、佐山は手を振り、笑顔を見せる。
「なんだぁ、降参かぁ?」
「いいかね、これより彼に痛い目を見せる」
怪物が音をたてて向かってくる。
「動きを止めたら、斬りたまえ」
地響きが近づいている。風の音がする。
「つぶれちゃえ!」
佐山のその身を背後から巨大な短い腕が押しつぶした。

61:イラストに騙された名無しさん
06/05/11 15:37:42 P8FnSwWE
>>60
「つぶれた、つぶれたぁ」
ケラケラと笑う赤ん坊、その手は先ほどまで青年がいた場所を張り手で押しつぶしていた。
「…! アイツ!」
「えへへぇ、次はオマエの番だぞぉ、フレイムヘイズぅ~」
「フン、あんたなんかにワタシがやられるものか! ……アイツもね!」
「なんだ…ぉぅ!?」
少女の声に合わせるように、大砲の音にも聞き間違えそうな蹴音が響いた。
のけぞる赤ん坊、その下には
「─斬りたまえ!」
スーツのトップスを脱ぎ捨てた黒髪に白のメッシュの青年。
「フンッ!」
面白くなさそうに少女は大太刀『贄殿遮那』を両手で構えて跳躍。
相互の距離を一瞬で無きものとした少女は、大きく空中で赤子の腕を斬断する。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!! うで、うでぇぇ~~」
ぼぅ、と裂け目から炎が走る。
「よくやった、素早い判断を下してくれたことに感謝する」
振り返ればそこに、拍手をこちらに捧げる青年の姿。
「だが、とどめは刺さないのかね?」
「オマエは黙ってて! こいつには聞くことがあるの!」
フムと少年は一息しながら破けた上着を拾い上げる。
彼は攻撃の刹那で上着を脱ぎ捨てながら背後に下がったのだ。そうして懐に飛び込んだ上で腹部に蹴りを放って仰け反らせた。
一つ間違えればそれこそ死に値する行為、それをやりとげた佐山もだが、その行為に気づく少女の眼力も常人の域を超えている。
「オマエ! 主人の名前はなんというの!」


62:61
06/05/11 15:44:12 P8FnSwWE
最後の一行なかったことにしてくれ<「オマエ~~~

>>33
>>53
>>56
感想ありがとう、頑張れるところまで頑張ります。
>>55
ごめん、長身痩躯→小柄な人影に脳内修正してくれ


63:終わクロVs9S
06/05/13 22:02:54 yCJkY5TV

 堅牢な扉があった。
 その前に立つのは二人の人影。
 片や白のワンピースを纏う少女、片や黒で統一された服を纏う中世的な男性。
 少女が男性を見ると、彼は意図を察したのか前へ一歩歩き、扉の横につけられたインターホンを鳴らす。
 間を置かずして機械からは声が返り、男性は機械越しにいくつか応答をすると元の立ち位置に戻った。
 一呼吸置いて、扉が音を立てて開きだす。
 少女は満足そうにそれを眺め、男性は少女の様子を見て小さく嘆息する。
 扉が完全に開くと少女は足を踏み出す。
 それを迎えたのは眩いほどの光だった。



64:終わクロVs9S
06/05/13 22:03:36 yCJkY5TV
「なっ……なにっ!?」
 真目麻耶が扉を潜り、屋内に最初の一歩を踏み入れた途端、襲い掛かってきたのは目を開けていられないほどの光。
罠だったのかと身構えるが、次に飛んできたのは銃弾でも刃物でもなく、言葉だった。
「あぁっ、しまったっ! フラッシュを炊きすぎて目を瞑られてしまったぞ! も、もう一回だけ! もう一回だけチャンスを! あの子の生写真を撮るチャンスなんて一生に一回あるかないかだからーっ」
 最前列にいた者たちが哀願するように声を出すが、彼らは前に出ようとする2列目のもの達によって後ろに放り投げられて。
「うるせぇ! それは誰だって同じなんだよっ。さぁさぁ退いた退いたっ、戦場では一瞬一秒が大切なんだからな」
「まったくその通り。前も同じ状況だったというのに、君達は学習能力がなくていかんなあ。まあ一番最初の初々しさというのもいいんだが、それを撮るには高度な技量が必要故、やっぱり凡人のわしらは2枚目で勝負」
 前に出てきた2列目の者達、その中央に立つ、一際目立つ白衣の老人が呟くと周りのものが同意するように頷く。みなの同意を得られたことに気を良くしたのか彼は微笑を浮かべながら対戦車砲と見まがえる巨大なレンズをつけたカメラをこちらに向ける。
 ようやく麻耶は混乱から冷静を取り戻すと、自分が置かれている立場を理解する。自分は取引相手の本拠地に招かれ、そして何故か今撮影をされているということを。
「というわけで気を取り直して、2枚目に行かせてもらうでな~」
 老人の言葉と共に、前に出たものたちが姿勢を変える。自分達がもっとも得意とする撮影の姿勢に。
 ファインダー越しの視線が集約してくると麻耶は息を飲み、
「ちょ、ちょっとお待ち―」
「はい・ち~ず」
 反射的に麻耶が背筋を伸ばすと同時に、先ほどよりは控えめのフラッシュ、そしてシャッター音が鳴り響いた。
 巨大なカメラを持つ老人は嬉しそうに笑みを浮かべて、手に持ったカメラを下ろし、
「ははは、驚かせてすまんなあ。真目家のご令嬢、ようこそ日本UCエッ―ぐほっ」
 何かを言おうとして、前に出てきた3列目の者達によって奥のほうへと追いやられていった。


65:終わクロVs9S
06/05/13 22:04:36 yCJkY5TV
「……怜、ここは確か……」
 この異常な状況になれたか、麻耶は後ろに控えている自分のお目付け役に言葉を発する。
「はい……遺産に関わっていない、かつ真目家とも関わりを持っておらず、しかし協力関係を結ぶことで我々の利となる可能性のある組織ということで選出しました日本UCATです」
 その言葉に嘆息すると、来る前に目を通してきた資料を彼女は思い出す。
「……ここのトップは―」
「普段から奇行が絶えず……、それが組織全体の風潮になりつつある、でしたね」
 自分の言葉を代弁してくれた怜を一瞥してから、前を向きなおす。
 3列目にいた者たちがカメラを構え、1・2列目のもの達が指をくわえながらこちらを見ている。
「つまり……あれが私達がこれから協力関係を結ぼうと思っている日本UCATの大城一夫なのですわね……」
 シャッター音とフラッシュの中、床に倒れ、男達の列から足だけを腰らに晒している老人を、見ると麻耶は大きく溜息をついた。

66:終わクロVs9S
06/05/13 23:47:59 yCJkY5TV
って、推敲したやつじゃなくて第一稿載せちゃってる……orz

誤字だらけ・゚・(つд`)・゚・

67:イラストに騙された名無しさん
06/05/14 02:45:49 bZEUk6br
いや~書き手が増えて嬉しいですね、マターリしつつ次を待ってますよ。

68:イラストに騙された名無しさん
06/05/14 13:34:03 ilTPf73P
書く人は書く、
書かない人は読み、ちゃんとレスをし、かつスレが落ちないよう
あんまり早すぎると職人さん達が続きものの書きづらくなるから加減して
ままーりスレを盛り上げるべきだと思うがどうだろう。

スレの趣旨自体は悪くないんだからさ

69:イラストに騙された名無しさん
06/05/14 22:34:23 gWD9eq7r
いや、趣旨自体は板違いだから、無理に盛り上げないでひっそりやってくれ。

70:イラストに騙された名無しさん
06/05/15 21:43:29 sxMoPm8z
そーだな。どっちかっつたらこれは…どこでやればいいんだろ?
とりあえずラ板管轄じゃあないが、一つの学園でとかのスレもあるしとりあえずここでやってくれ。
あとこういうの嫌いな人も居るから極力ageない様にした方がいいかもね。

71:イラストに騙された名無しさん
06/05/17 13:24:28 vGQLQjvK
禁書と終わクロのクロスオーバーキボン

72:イラストに騙された名無しさん
06/05/25 00:21:06 6Y305x6q
禁書も終わクロも読んでないからわかんないな。
他の作品にも目を掛けてください。

73:イラストに騙された名無しさん
06/05/25 00:35:12 DMOIZM6D
イリヤ、戯言、悪魔のミカタから良い表現パクって書いてみる。

74:イラストに騙された名無しさん
06/05/25 00:38:25 DMOIZM6D
とおもったけどやっぱやめた。

75:イラストに騙された名無しさん
06/06/01 09:10:45 aXvsBHCZ
大学生な9Sキャラが見たい

クロスしてないな

76:イラストに騙された名無しさん
06/06/05 07:25:39 b1W7M2p7
保守

77:イラストに騙された名無しさん
06/06/09 20:13:10 XpLEsxp/
腐上

78:イラストに騙された名無しさん
06/06/14 16:39:55 WaAVoDhz
スレリンク(anichara板)l50
アニメ版の、シャナとハルヒのクロスオーバー。

79:イラストに騙された名無しさん
06/07/02 20:30:34 BVqs+LEE
保守

80:イラストに騙された名無しさん
06/07/10 20:59:25 OYSL2tsp
シャナと終わクロ書いてた人帰ってきてくれー!

81:イラストに騙された名無しさん
06/07/13 20:10:13 pTYGK5Jf
佐山は改めて周囲を見回す。
相変わらずの暗い世界。その中でもやけに輝いているのは少女の髪だ。
(炎のように赤い髪……明らかに光を放っているのはこの不思議現象を関係があるのだろうか)
「アラストール、どう?」
「ふむ、徒ではないな。ただの燐子だ」
「なら、主の名くらいは聞かせてもらおうかしら」
赤ん坊の前で刀を突きつけながら少女が何かを話している。
その声の中には明らかに少女とは違う質のものが混じっている。
大刀を振るう少女の周囲には誰もいない。とすれば、
「いかんな、このような歳から空想と会話するなど……精神病院通いか。ふむ……
 少女、白い家、サナトリウム、満天の星……」
「うるさいわよオマエ!」
空想少女の声で妄想が引き裂かれる。
少女がこちらに向けているのは大刀だ。健全な市民にまで凶器を振るうとは、よほど通院歴が長いに違いない。
見れば、既に刀を振るった後なのか、先ほどの赤ん坊はズダズダに千切れ散乱している。
だが、見かけがそれほどグロテスクでないのは、
「……骨も何もない? これはどういうことかね」
「”燐子”は存在の力を食らいて生きる常世の理ならぬもの。紅世の徒の作り出した下部だ」
目の前の少女から声がする。
よく見ればその少女の胸にぶらさがっているものがある。
宝石と二つのリングの交差で作られているそれは傍目から見ても高価なものだ。
ましてやうっすらと光を放ち、声も放つ。
「意思ある宝石…と見てよいのかね、相当の年季を感じる声だ」
「オマエ! さっきからぶつぶつとうるさい!」
いかん、さすがに無視しすぎたか。ならあ挨拶といこう。
「ごきげんよう、少女よ。私の名は佐山御言、世界の支配者である」
発言した瞬間に風が首元をなぎ払った。

82:イラストに騙された名無しさん
06/07/13 20:11:48 pTYGK5Jf
>61
っていれるの忘れた。
>>80
元の本買ってきて遅れた上に、ここのこと忘れてた。
これからまた頑張るよ。

83:イラストに騙された名無しさん
06/07/17 23:25:31 Xq7i2Dff
GJ!
もはや読み手は俺しかおらんかもしれんが、頑張ってくれ!

84:イラストに騙された名無しさん
06/07/18 01:04:40 CQYahHY2
読むだけならここにも一人。

85:イラストに騙された名無しさん
06/07/18 09:08:50 Mwdscy8i
読むだけならここにも

ノシ

86:イラストに騙された名無しさん
06/07/27 07:27:01 c9eLhmDh
そろそろここも落ちるときが来たか

87:ドクロちゃんのバラッド。
06/07/31 17:08:06 RRCpxVuh
その少女は突然あらわれた。
「あなたは もうすぐしんでしまう。」
雪のように真っ白な少女だった。右の肩にへんな黒猫が乗っていて、手には大きな鎌を持っていた。
「へっ?」
と僕が変な声を出すと、彼女はこう言った。
「わたしにはなにもできない。けど、」
「?」
「あなたはきっと、たいせつなものをまもれるとおもう。だって、」
「ちょっと待ってよ」
さっきから、何を言っているのかわからない。僕は、彼女と鼻がくっつきそうになるぐらい近寄って、
「僕はそんな、いきなり突拍子もなく…」
とそのとき、後ろからどす黒いオーラと共に、
「さぁ~くぅ~らぁ~くぅ~ん」
というこえが……
「ド、ドクロちゃんッ!?」
「何でそんなにお顔を近付けていたのっ!?だいたい、ボクずっと部室でまっていたんだよっ!
それなのに、ボクをほっといてここでなにやってるのさ!その女の子とへんなことしてたのっ!?」
「いやいやいやいやいやっ!これはちがいますっ!」
よくみると、彼女は給食着をきて木工ボンドをもっています。


88:ドクロちゃんのバラッド。
06/07/31 17:37:36 RRCpxVuh
87のつづき
 「ボク、ずっとさみしかったんだから……ッ」
ドクロちゃんは給食着のそでで涙をぬぐった彼女が僕に向けたのは鋼鉄バット『エ
スカリボルグ』。刹那、僕のカラダは<ズドン>という音をたてて、グズグズの原
形をとどめない肉塊になりながら遠くまでトンでいきマッス。
少女が泣いていました。少女の肩の黒猫が目をおおっていました。
「サクラくん!」


     ぴぴるぴるぴるぴぴぴるぴ~♪
 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「へ~、モモは死神なんだ。僕は草壁サクラ。よろしくね。さっきは怖がらせて
ごめんね?ドクロちゃんってあんな人なんだ」
「そうなんだ。でも、サクラ君は強いね」
「なんで?」
「だって、ドクロちゃんのような人と毎日過ごしていて精神異常をおこさないで
いられるのは、サクラ君だけだとおもう」
そう言うと、モモはとても綺麗に笑いました。その綺麗な笑顔をみながら、僕は
ふと、人を撲殺するドクロちゃんより、モモの方が天使みたいだと思いました。
そして、
「ドクロちゃんの方が、死神みたい……」
そのこえをスルドク聞き付けたドクロちゃんは、
「サクラ君のバカ~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!!!!!!」
   


     ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪

                               バネ足END

89:ドクロちゃんのバラッド。
06/07/31 17:39:09 RRCpxVuh
>>87~88 駄作だなーオイ   ダメダメだなこりゃ

90:イラストに騙された名無しさん
06/08/05 13:56:21 fWhA0VpD
いいすれだな。ageろよ。

シフトとかで一献書けないかな、俺

91:イラストに騙された名無しさん
06/08/15 10:43:37 ReKiWa/E
さて、誰かこないかと思ったんでageるよ

92:イラストに騙された名無しさん
06/08/24 16:16:37 WaBenKqg
 佐山は大太刀をスウェーバックで回避すると、かすった顎を抑えながら少女に言葉をかける。
 「さすがに今のは私も死を覚悟したよ…いい振り切りだった」
 「かわすんじゃない!」
 なかなか無茶を言う少女がさらなる斬撃を放つ前に、佐山は掌をまっすぐと突き出した。
 「待ちたまえ」
 声に、少女は止まらない。
 だが、この場にいるのは、少女と彼だけではない。
 「待て、この者の話を聞こう」
 「アラストール!?」
 ─”アラストール”。そう呼ばれた”声”が少女の動きを制した。
 「この者、封絶の中でこうして動いている。
  徒でもなく、フレイムヘイズでもないものがこのように何の意も介さずに正気を保っている。
  興味がある、一度話を聞いてみてもよかろう」
 「…アラストールが、そう言うなら」
 渋々と少女はその刃を構えたまま、だが一応攻撃姿勢をといて見せた。
 よほどこの”声”には逆らいがたい恩義があるのだろう。あるいは、契約か。
 「口添え感謝する、ご老人……で、よいのかね?」
 「構わぬ。人間、佐山といったな。いい胆力を持っている」
 「なに、山猿に自然の中でしごかれて何度か死にかけている。これくらいはどうということはない。
 そういえばあの山猿め、人間の生活を忘れさせてやろうと
 蜂蜜をまぶして熊の巣に縄でまいて落としたというのに、まだ生きているのだから困ったものだ」
 「…アラストール、コイツ、やっぱり変」
 そうつぶやく少女に、宝石から「同感だ」との声があがるのを佐山ははっきり耳にした。

93:イラストに騙された名無しさん
06/08/24 16:33:58 WaBenKqg
 「とりあえずこの空間はどうにかならぬのかね。
  暗いとも明るいとも言いがたいので新手のお化け屋敷のように思うのだが」
 尋ねると、少女と宝石はなにやら言葉を交わす。
 「アラストール、徒の気配は?」
 「付近にはないな。だが、佐山、お主が元いた場所はどこになる?」
 「この商店街を抜け出た尊秋田学園の三階だが」
 !?
 少女の顔に明らかな驚きが走った。
 それは、封絶の不自然な大きさへの驚きでもあるが、それだけではない。
 (コイツ……そんな場所からわざわざココへ来たの?)
 「…お主が突然いなくなったということになるが、構わぬか?」
 「私の特技に瞬間移動が増えてうれしい限りだ。構わぬよ」
 「ならば、よかろう」
 宝石からの声に明らかな肯きが含まれると、少女がコクリと肯いた。
 やがて、ビルの瓦礫に巻き込まれたらしい母娘の姿を見つけると、何事かをつぶやいてから指先を空にかざした。
 「この二人、もう助からないわ。この二人でいいわね」
 ─何のことだ?
 佐山が疑問に思うよりも早く、先ほどの怪物がしたと同じこと。
 ほのかな”火”が親子の体から抜け出て少女の指先に集まってゆく。
 やがて、小さな粒子となった”火”が周囲を舐めるように燃え移ると、先ほど崩れたビルなどが元通りに修復されてゆく。
 「これは……」
 「修復が済み次第、封絶を解除する。
  人気のない場所へ移動したほうがよかろう」
 厳然としたアラストールの声に、佐山は軽く息を吐いた。
 「全ての話はその後か。ならばよい場所がある、人がなぜか来ない特等席が」
 「なら、そこでいいわ」
 少女が移動に窮屈なためか、大太刀を外套に収めながら了承したのをみて、佐山は続けた。
 「私の部屋だ」

94:イラストに騙された名無しさん
06/08/24 16:38:08 WaBenKqg
そしてまた>>81>>82を入れ忘れた32です。
時間がないとかいうよりも、展開が上手くいかなくて困った。
佐山をトーチにするか否かで悩んでたので、仕方なくこんな方法を取ってみましたよ。
アラストールが変人に会って興味を覚えるかは微妙だよなぁと思いつつ続きます。

95:イラストに騙された名無しさん
06/08/26 23:38:12 nR/GRicx
楽しみにしてるよ(`・ω・´)

96:イラストに騙された名無しさん
06/08/27 13:33:28 QluGYMf2
ある程度はオリジナル展開でもいいんじゃない?
おいらも楽しみにしてるよ。

97:イラストに騙された名無しさん
06/08/28 14:06:29 RQmwJTjE
尊秋田学園の昼休み。
生徒たちは一部を除いて学生食堂へと駆けて行く。
その廊下を往来する途中で、英語教師である女性はどうしたものかと小首をかしげていた。
今日の昼から登校するはずの転入生が来ないのだ。
確か予定では母とともにこちらへ来るとのことだったが…。
「心配ですねぇ……」
「何を心配しているかね、大樹先生」
びびくっ、と背筋を震わせて教師が振り返ると、そこには端正な顔の少年の姿。
「び、びっくりしたなぁもうっ。いきなり何ですか、佐山くん」
「その前に先生、いったいいつの生まれかね。確か帰国子女ではなかったか?」
「えへん、先生は勉強熱心なのです」
そうか、ご苦労なことだと佐山は応える。
「あー、そういえば佐山くん、さっき授業時間中に何したんですか? 風見さんと出雲くんが騒いでましたよ」
「あの二人が騒いでいるのはいつものことなので気にしなくていいではないか」
それもそうか、と女教師はうなずく。
「それよりも何か心配事があるようだったが、自分の成績の悪さに飛び降り自殺でも考えていたのならやめておきたまえ。
教師として先生は尊敬される対象であるべきだ」
「目の前にいる生徒がまったく尊敬していないように見えるのは気のせいですか~?」
「尊敬する必要があったのかね?」
はぁ、と大樹は息をつく。
「新学期も始まったばかりからその芸風ですか。よく続きますねー」
「あいにく生涯この芸風で通すつもりなのでね、心配はいるまい」
「はぁ、優秀な生徒をもって先生は幸せです」
ため息をつく教師を通り過ぎようとしたところで、ふと気づく。
「ああ、そうそう.。すまないが本日の授業は早退させてもらうよ」
「? 何かあったんですか? お家のことで?」
佐山の家庭環境は把握している。確か祖父を亡くして以来、『警備会社』の家にひきとられていたはずだ。
「家のことといえば家のことだな、ともあれ今日の授業はこれで失礼させてもらおう」
「何かごまかされてる気がしますけれど、先生、口で佐山くんに敵いそうにないからそれでいいです」
「理解していただければ幸いだ」
そういって佐山が横を通り過ぎていったあと、大樹は佐山が向かったのが家ではなく、寮のほうだということに気が付いた。

98:イラストに騙された名無しさん
06/08/28 14:10:05 RQmwJTjE
>>93
です。
ここで完全に終わクロとは分岐。佐山の悪役定義もしたかったけど、文字数オーバーしすぎたのでなし。
なのに川上スレに誤爆してしまったorz
次回からはシャナの本筋に絡んでいくはず。

99:イラストに騙された名無しさん
06/08/29 13:19:55 An5S2LcF
佐山知らないけど、いいキャラだなw

俺も暇があったら何か書いてみるかな……。

100:イラストに騙された名無しさん
06/08/29 13:34:15 kz3KYxIq
>>98
「アラストール、なんであんなヤツの言うとおりにしてるの? アイツ、なんか嫌い」
「落ち着くのだ」
ここは尊秋田学園、その学生寮の一室。佐山一人に割り当てられた二人部屋だ。
見晴らしもよく、快適そのものの部屋の一室には現在来客である少女の姿がある。
ただ、少女の髪と目は”封絶”の中と違い黒の色をたたえている。
「あの人間、佐山の胆力と身体能力は中々のものだ。それに封絶の中へと紛れ込んだ」
「”トーチ”でもないみたいだった。それにすっごく変」
「単なる人間か、それとも特殊な道具、あるいは何らかの徒と関係している可能性がある。もしかすると紅世の王に作られた特別製のトーチかもしれぬ」
「……アラストール、その場合どうなる?」
「もしそうならば彼奴の近辺に創造者がいるはずだ。それを探す為にもこの町にしばらくいたほうがよかろう」
「ああ、それで」
それで、”滑り込ませ”たんだ、と少女は納得する。
話は終わった。だから少女は黙り込む。
彼女は必要以上に話をしない、必要以上に言葉や思いを話さない。
彼女の王たる“天壌の劫火”アラストールの刃であり道具、それがフレイムヘイズ”炎髪灼眼の討ち手”のあるべき姿。
少しの静寂と休息の中で、少女は景色と一体化する。
陽の光の中で、黒髪の少女が壁に背を預けるその姿は不思議と絵になっていた。

101:イラストに騙された名無しさん
06/08/29 13:39:48 kz3KYxIq
「さて、待たせてすまなかったね」
野暮用だといって出て行った佐山が戻ってきたのはほんの五、六分ほど後だ。
ずかずかと入ってきて購入物らしき袋を置くとすかさず少女の前に座り、
「さぁ、お客人、まずは尋問といこうか」
「アラストール、コイツ切りたい」
「ははは、物騒だね、少女よ」
今にも外套の中から先ほどの大太刀を取り出しそうな少女に、佐山は大笑を返す。
その動作があまりに癪に障るので、少女は大太刀を本当に取り出してやろうかと思った。
「だが佐山よ、その前に一つ知りたい」
「ふむ、何かなご老人」
あくまで態度を崩さない佐山に対し、その何倍の生を生きるものは一つの問いかけを行う。
「お前はなぜ、われらと関わろうとする?」


102:イラストに騙された名無しさん
06/08/29 13:43:38 kz3KYxIq
>>99
過疎スレですし、是非どうぞ~
まぁ、板違いなんだけれど!

>>100
>>98じゃないよ、>>97だよorz

次スレも立たないだろうし、こちらも本当書きたいから書いてるだけ。
しかしシャナがシャナらしいところを書けなくて困る……次回こそは、シャナらしさをと願ってやまない32でした。

103:イラストに騙された名無しさん
06/08/29 13:46:38 kz3KYxIq
ゲゲーッ! sage忘れたーーーっ!
ごめんなさいごめんなさい、堪忍してください。ご勘弁を。お慈悲を。

104:イラストに騙された名無しさん
06/08/29 17:34:26 tFExnv1M
あいつら欲しいですね。


ほら、私立葵学園のガン細胞w

105:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 11:58:32 siq0x0Mc
戯言と終わクロをクロスさせてみた。
続くかどうかは未定。

―――――――――――――――

 
人生はただ歩き回る影法師、哀れな役者だ。
出場の時だけ舞台の上で、見栄をきったりわめいたり、そしてあとは消えてなくなる。―シェークスピア


106:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 12:00:08 siq0x0Mc
 何故空は青いのか?
 こんなだれもが子供の頃戯れに、しかし真剣に考えたことがあるであろう疑問に対して、
光の粒子について語って聞かせることに、果たしてどんな意味があるだろう。
 たとえどれだけ詳しく蒼天や紅夕について語ったとしても、そんなものは所謂無駄知識に過ぎないばかりか
むしろ補足トリビア程度の扱いでしかない。
 なぜなら―そんなことは至極明白で、今更語るべき価値もない無駄な意見に過ぎないのだが―
そんなことを知っていても、生きるうえにおいてなんの価値もないからだ。
 「空が青い」なんてことは当たり前のことであって、今更取り立てて騒ぐようなことではない。
 たとえ「空は青いんだ!」と街中で主張したとしても「へぇ、そうだったんだ」なんて思う人間はひとりもいるはずがなく、
十人中十人が「そんなのは当然だろう」と思うであろうことは想像に難くない。
 しかし何故、空が青いことが当然なのだろうか。
 空は、青い。
 水は、流れる。
 氷は、冷たい。
 リンゴは、落ちる。
 生きていれば、死ぬ。
 それらに因果や運命なんてものを引き合いに出すのはいささか大仰過ぎるだろう。
 何故? と問われたら答えは一つしかない。

 そういうものだから。

 そこにはどんな物理法則も介入する余地はなく、そのため人々はそれに抗うこともできない。
 当たり前のこととだから、そうなるのは当然だから、それはそういうものだから、どうしようもない。
 そんな力のことを、なんと言うか知っているだろうか?
 ただ一人として抗えず、ただそういうものだからと否応無く納得させられる絶大な力。
 人はそれを、概念と呼ぶ。

107:sage忘れスマソ
06/08/30 12:01:16 siq0x0Mc
 だからこれは、概念の物語だ。
 当たり前のことを当たり前にこなすだけの、なんの味気も無い、淡白で無味乾燥な詰まらない物語だ。
 誰一人の行動としてそこに意味は無く。全ての事象に複線なんてものは潜んでいない、
 数多の概念がひしめき合う世界で、ただ当然のように生きる人たちの物語だ。

 しかしその、『当然そうであること』が崩れ去ってしまったとき。
 ぼく達はいったいどうすればいいのだろう。
 当然そこにあるべき物が、当たり前のように消失してしまった時、ぼくはどうなってしまうのだろう。
 そもそも、そんな問いに意味はあるのだろうか?
 だって、『そこにあるはずのものがそこにない』なんて矛盾した存在が有り得るわけ、無いのだから。

 そう、愚かしいことに、そのころのぼくは、そんな幻想を疑うことなく、まるで狂信者のように信じていたのだ。
 この後世界が、概念の重みで転覆してしまうことも知らずに―

108:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 12:02:14 siq0x0Mc
第一章「始まりの交わり」


  0

 鳥が飛んでる。
 違う、あれは空に向かって落ちてるんだよ。格好つけてね。


  1

 哀川潤。
 人類最強の請負人。
 しかしそれは、どの世界の人類のことなのか。
 それは言うまでも無く、彼女の属する世界の人類を指すのだろうが。
 ということはつまり、別の世界において、彼女は最強ではないのだろうか?
 いや、そもそもその世界が人類の支配する世界ではないかもしれない。
 街行く人々全てが人外。そんな世界があるかもしれない。
 まぁそんな世界があったとして、この人がそう簡単に負けるわけ無いのだろうが。
 そもそもこの人が負ける姿を想像できない。
「ドラゴンとかロボットにすら、素手で立ち向かいそうだからな、この人は」
「なんか言ったか?」
 左隣、運転席から聞こえた赤い声に、ぼくは嘘をつく。
「いったいこの車、どこに向かっているんですか?」
 現在ぼくは車上の人。哀川さん所有のコブラによって高速道路を爆走中だ。
 前方を走る車をビュンビュン追い抜いていくこの車は、確実に法定速度を超過していること間違いない。
 哀川さんはその顔に満面の笑みを浮かべながら言った。
「東京」
「あぁなるほど、日本の首都ですねって えぇ!?」

109:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 12:03:13 siq0x0Mc
 東京。
 いわずと知れた日本一の大都市。
 東京タワー、六本木ヒルズ、フジテレビ、100メーター道路。
「最後のは名古屋だ」
「アレ? そうでしたっけ。……って!勝手に人の心を読まないでください! つーかなんで東京なんですか、いきなり人を拉致しておいて!」
 深い深い睡眠から目覚めたとき、すでにぼくはコブラの助手席に乗り込んでいた。理由を聞いたぼくに哀川さんは一言「拉致した」ってアレ? 前にもこんなことがあったような? 記憶がいまいち定かではない。
「正確には東京奥多摩、IAI東京総合施設」
「IAIって……あの絶対売れなさそうな新製品ばっかり開発してるのになぜか大儲けしてる大企業ですか?」
「出雲航空技研。まぁ裏があるっちゃぁ裏がある企業だな」
「裏……ですか?」
「あぁ、じきに分かるよ」
 言って、哀川さんは前を向く。
 って、この人今までよそ見しながらこのスピード出してたのかよ!
 なんとも恐ろしいドライブだ。これならぼくが運転した方が幾分マシに思えてくる。
 哀川さんはさらにスピードを上げ、頬に刻んだ笑みをさらに深くする。
 なにも口にしないと言うことは、もうこれ以上話すことはないと言うことだろうが、
しかしぼくの方にはまだ話すべき事柄が山ほどある。

110:またsage忘れ……吊ってくる
06/08/30 12:04:10 siq0x0Mc
「依頼者は?」
「IAI」
「依頼内容は?」
「IAI内で発足した極秘プロジェクトへの協力。詳しくは同社東京総合施設内で」
「報酬は?」
「前金としてこれだけ、プロジェクト終了時にはさらにこれだけ」
 言って、指を閉じたり広げたりする哀川さん。
「……そんな大金、どこが出すんですか?」
「そりゃ、IAIだろ?」
「それぜったいアブナイ仕事ですよ。哀川さ―潤さんともあろう方がどうしてそんな依頼を」
「貸しがあるのさ」
 そこで哀川さんは、顔にシニカルな笑みを貼り付けたままフっと遠い目をする。
 ぼくの知らない、哀川さんの過去。
 少し気にならなくも、ない。
「貸し?潤さんがたかが一企業に貸しを作るとは思えませんが。逆ならともかく―」
 ぼくの言葉をさえぎり、哀川さんは言う。
 昔を慈しむように、彼女にはまったく似合わない、過去を夢見るような瞳で、哀川さんは、前方を睨んだ。
「ちげーよ、貸しがあるのはIAIじゃねぇ」
 そこで哀川さんは、言葉を区切る。
 芝居がかった口調で、愉しそうに、悦しそうに、続けた。
「悪役の姓を持つものに、さ」
 

111:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 12:06:11 siq0x0Mc
とりあえずこれだけ
設定としてはネコソギ後
請負人になったいーちゃんの話です

一応終わクロ一巻と戯言読み直してきますが、変な部分があったら言ってください

112:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 12:07:02 siq0x0Mc
だからなんで毎回sageチェックはずすのかと……orz

113:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 12:11:37 nS+0JDNc
いーちゃんと佐山の駆け引きがすごいことになりそうだw

114:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 14:53:56 oZFKUGcq
何故我らと関わろうとする、か。
佐山は己の中で問いを反復する。
「確かに、正気の沙汰ではないかもしれないね。
 所詮私は騒ぎに巻き込まれたものであり、元々君たちと何の関わりも持たないはずだった」
だが、
「既に私は関わってしまったのだよ。
 あの時間の停止した空間─”封絶”というのかね、あの中で私は動いていた。」
「何かの偶然かもしれぬぞ、その偶然でお主は人生を捨てるというのか」
 宝石からの意思の声に、佐山はかぶりをふった。
「ご老人、偶然とは仮想の定義だ。起こってしまったことはこういうのだよ、必然とね。」
 加えて言う。
「それに仮に偶然だとしよう。
 喋る宝石に、自分の背丈以上の刀を振るう少女、そして時間の止まったずれた空間に、巨大な赤ん坊……
 ははは、まるで映画のような光景だね。
 上映会社には慰謝料を請求せねばならんね。私に対する人的被害を含めて一億四千万程だ」
「アンタ、いちいち話が長い。なぜ関わるのか、アラストールが言うのだからそれだけ答えればいいのよ」
「私は予備知識が欲しいだけだよ、少女、そしてご老人」
 話が長くなったのは詫びよう、と佐山は座った姿勢で頭を下げる。
「世の中困ったことに一度前例があると二度目三度目がありうる。臆病な私はそれらに備えておきたい」
「……なるほど」
 宝石の声には納得の頷きを含んでいた。
 だが、少女はじろりと佐山を睨み上げる。
「なにかね?」


115:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 14:55:57 oZFKUGcq
 アラストールとと共にある少女は小さな肢体とは裏腹な威圧感をもって視線で佐山を責めた。
 それは、佐山というこの男がくどくどとうるさいことからの嫌悪感もあるが、ほんの少しだけ違う意味合いが混じっていた。
「アンタ、まだ一つ言ってない」
 ふむ、と首を小さくかしげる青年に苛立ちをぶつけるように声を出す。
「あのときの言葉、あれはどういう意味なのか」
「悪役を希望している、と言っていたことかね」
 少女は肯いた。
 フレイムヘイズの役割とは、他でもない。
 己の欲望のために存在の力を食い、世界を歪ませていく紅世の徒
 ─その存在を定義するならば悪とよべる輩を阻み、大いなる災厄が訪れぬようにすることだ。
 そのフレイムヘイズたる少女の前で彼は言ったのだ。悪役を希望するものだと。
 人間の悪など本来些細なものだ、紅世の徒に比べれば相手にするまでもない。だが、
 (もしアラストールのいうとおりに、こいつが徒の作り出したやつだったら、ここで始末する。)
 少女は外套の下で拳を握り締め、彼の答えを待つ。
 張り詰めた空気が、寮室を満たしている。

116:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 14:59:02 oZFKUGcq
>>101
32です
め、メロンパンをシャナに食べさせたいっ!今すぐ食べさせたいっ。
でも話の展開がさせてくれない苦しみ。
あと一回分書いたらようやくメロンパンを食べられそうだと思ってます。
よければもうちょっとだけお付き合いください。
終わクロって最初から書くと佐山だけでも行数食って仕方ないなぁ…下手なだけか。

117:イラストに騙された名無しさん
06/08/30 19:50:35 2AgFgH5R
>102
99でいってた人かな。
先が気になる展開なので続きをよろしく頼む。

118:イラストに騙された名無しさん
06/09/04 22:41:02 jC/dZBBA
まとめって需要あるかな?

119:イラストに騙された名無しさん
06/09/05 08:00:11 sW7l9M5q
datが残ってる間は不要

120:32
06/09/05 11:56:39 3evIENSj
緊迫した空気の中で、佐山が動く。
彼はやれやれ、と眉根を寄せると、苦笑してみせた。
「なるほど、誤解を受けているようだね、私は」
そう、誤解だ。
何事かわからぬが、彼女は誤解をしている。
その誤解は佐山の知ることではないところからの先入観、あるいは思惑からくるものなのだろう。
ならば、彼のとるべき行動は一つ。
「率直に言おう」
少女の真剣な目線をしっかりと見据え、彼は言った。
「─馬鹿め」

─バカにして!
少女は、どこかでこの男を信じていたことを心底恥じた。
外套から大太刀を取り出す選択は一瞬。
だが、その間にも言葉が続く。
「一度では足りぬなら、二度目も告げよう。馬鹿め、と」
「っ!」
二度目の言葉、だがそれは少女の誇りを傷つけるのではなく、哀れみをもった目線で差し向けられている。
いいかね、と佐山は前置きする。
「私はあくまで情報の交換を持ちかけている。
 先ほどまでに開示した情報で足りぬのならば、私も語りようがある。
 だが、君は私が知りえぬ、あるいはわかりえぬ推測と知識を元にこちらを疑っている。
 私がいかなる弁明をしようとも、最終的に君は私を殺すだろう。
 そのような相手を馬鹿と呼んで何が悪いかね!」
的を射た発言だった。
それは、確かに少女の行動を的確にとらえたものであった。
佐山は続ける。
「君たちがどこの誰であるのかも明かさぬまま、一方的にこちらから情報を搾取し、最後には殺す。
 そのような状況で語る言葉など、時間の無駄に過ぎない」
「アラストールを─」
「ならば名乗りたまえ!」

121:32
06/09/05 11:57:18 3evIENSj
>>120
続くはずの文句が佐山の、ただの人間の一喝で雲散霧消する。
フレイムヘイズ、誇り持つ炎の護り手は、完全にこの場の主導権が人間に移ったことをようやく理解した。
この男の論説、これだけの弁論能力が発揮されていれば、逆にこちらだけが情報を搾取されていた可能性を、知ったのだ。
「……我らの負けだ、佐山」
胸の奥から響く声が、改めて少女に状況を認識させた。
「無礼を詫びよう、佐山御言。
 誠意をもってこちらの質問に答えたお主を信じようともしなかったことを許して欲しい。この者もこういった物言いには慣れていないのだ」

屈服させられた─。
誇り高きフレイムヘイズと、王たるアラストールが、人間に詫びるなどもってのほかだ。
「お主も詫びるのだ」
……これは、王の命令だ。
そう、王に詫びるような手間をかけさせた私への詫びだ、人間への詫びではない。
そうだ、私は人間には詫びない。
「ごめんなさい…」
深深と頭を下げた。申し訳ないという思いを込めて、だがアラストールへと詫びる。すると、
「─」
何か、動く音がする。
それは、文字で現すならばカシャという音であり、加えて言えばこの音を少女は聞いたことがある。
(シャッター音…?)
顔を上げると、佐山が何か満足そうに笑顔を向けていた。
「うむ、寛大な私は写真一枚で許そう」
─写真?
すごくいやな予感が、フレイムヘイズとしてではなく、失ったはずの人間の直感が届いた気がした。


122:32
06/09/05 12:03:26 3evIENSj
前回は>>115
字数を気にすると前回レスを忘れやすい32です。
ちょっと今回佐山の論がキツいですがシャナファンの方にはご容赦を。
ようやく次回はシャナとメロンパン。

123:32
06/09/05 13:29:03 3evIENSj
>>118さん
119さんと同様、datがある間は不要だと思います。
でもまとめるときがあれば、訂正して欲しい表現が山ほどあります…



124:イラストに騙された名無しさん
06/09/05 13:35:26 CYGpxIzj
今回の佐山の行動で
将来的に変態成分が出る事も
確約されたようなもんなんで気にしないw

125:イラストに騙された名無しさん
06/09/05 23:46:34 G1OCrjYk
ここ予告だけってありなの?

126:イラストに騙された名無しさん
06/09/06 03:33:30 p+2gEI4B
シャナと佐山か
佐山つえー

127:イラストに騙された名無しさん
06/09/06 04:56:30 kQTbgkek
終わクロはクロスさせやすいのか
それとも佐山のキャラゆえか

128:イラストに騙された名無しさん
06/09/08 15:26:30 SML+PGOL
>121
「では仲直りの証というわけではないが、昼食はいかがかね。
 私も多少空腹だ」
そういうと、佐山は先ほどから横にあった袋からいくつかの食物を取り出す。
先ほど佐山が部屋からでていたのは購買へ行くためだったようだ。袋から転がり出てくるのは掌ほどの大きさのメロンパンが二つに牛乳が二つ。
「君がメロンパンを頼んだので私も、」
 サッ
 佐山が言葉を紡いでいる間に、シャナが二つのメロンパンを手元に寄せる。
「二つとももらうわ、ありがとう」
 言うが早いか、一つを懐にしまいこむともう一つの包装を破り、満面の笑みで食しはじめる。
 かぷり。
「……アラストール王、これはどのような仕打ちかね」
 もぐもぐ。
「佐山、このコはこの食物に本当に眼がないのだ。すまぬ」
 んくんく。
「アンタが買ってきたわりには。……ん、なかなか美味しいわ、このメロンパン。あむ。」
 一回に口に入れる量はそれほど多くはないのだが、次々と口にいれていく。
 小さな口の中に精一杯にパンを食む姿はなんとなくリスのそれに似ている。
「……仕方が無い、私は後でまた何か食べるとしよう」
 佐山がメロンパンを諦めたことを尻目に少女は次々とその丸い菓子パンを腹に収めていく。
 ごくり。んぐんぐ。
「まぁ、このコなりの仕返しもあるのだろう。
 我も先ほどの物言い、王として何も傷つかなかったわけではない。特に我がフレイムヘイズは気難しいのでな」
 ぷは。もくもく。
「王ならばいつまでもそのようなもの引きずるのではなく飲み込みたまえよ。
 しかしこうしてみているだけだと思春期真っ盛りの少女だね。美味そうに食べる。」
 んまんま。
「メロンパンは…あむ…ん、やっぱりこのカリカリとほくほく感がいい。…あむ。」
 これまでの憤りなどを忘れて少女はメロンパンを独り占めにしていた。

129:イラストに騙された名無しさん
06/09/08 15:31:31 SML+PGOL
32です。
メロンパン食べさせるためだけに書きました、満足。
これを機会に今度はシャナたちが主導権を握…るはず。
>124
そういってもらえればありがたい。
佐山の変態はある意味物語を一変させますので、今後も張り切ります

>125
いいのでは。むしろそういう場所でしょう。板違いだけど。
>126
屁理屈防御と詭弁攻撃が佐山の武器なのです。
>127
佐山のキャラのせいかと。

130:イラストに騙された名無しさん
06/09/09 17:17:42 gSAZRke+
ワッフルワッフル

131:イラストに騙された名無しさん
06/09/09 17:42:07 X7awyKzk
ワッフルワッフル!


ところで、物凄くマイナーな作品をクロスさせるのって正直どう思う?

132:イラストに騙された名無しさん
06/09/09 19:39:01 FDIU1zYR
ライトノベルなんて元々マイナーなんだからガンガンやってくれ
てかここはそういうスレだろ





でも踏み台だけはかんべんな

133:イラストに騙された名無しさん
06/09/09 21:47:39 6Y7m2aT5
「畜生、今度ばかりは年貢の納め時かな?」
「ヴァラキアのイシュトヴァーンともあろう者が随分と弱気なことを言う」
「でもねえグイン、この状況は洒落にならないと思うよ」
そう、実際三人は絶対絶命だった
グインは言うに及ばずイシュトヴァーンも、そして普段はお調子者のマリウスも剣を持てばなまなかの騎士など相手にしない腕である
だが今三人を追い詰めているのは体格はグインにも匹敵し鋭い爪と牙、短い毛の生えた尻尾を持ったイシュトヴァーンが評するところの
「セムとラゴンの相の子」のような半獣人の集団だった
彼らの武器は先端に尖った石をはめ込んだ粗雑な木の棍棒だが獣人の腕力をもってすればマリウスの細剣など一撃でへし折れてしまう
じりじりと包囲を狭める獣人から距離を保つべく後退を続ける三人はとうとう壁際に追い込まれた
壁を背にしたグインの剣を構えていない方の手がせめて隙間か亀裂でもないかと壁を探る
その時不気味な唸りをあげ壁が-彼らが壁と思っていた巨大な古代機械が-作動を始めた
洞窟内に稲妻が飛び交いエーテルの嵐が吹き荒れる
ひときわ眩い閃光にその場にいた全員が目を瞑って蹲り光と音の洪水がピタリと止んだとき
(ここは何処じゃ?)
耳に心地よい、しかし偉そうな女性の声が聞こえた。というより直接頭の中に届いた
そこにいたのは全身緑色で腰から下が植物の根のように枝分かれした触手になった目の醒めるような美女だった

134:半月×銀盤
06/09/20 22:41:00 9mENr6rZ
「ねぇ、裕一………」
「ん?」
「フィギュアスケートって、カッコいいね」
それはまた異なることを。
里香は時々、説明もなしに妙なことを口走る。
林檎を剥くという慣れない作業をしていた手を休め里香を見ると、
里香は、僕がごみ置き場から拾って修理した古めのテレビに釘付けだった。
「あぁ、そうか。もうすぐトリノオリンピックだね」
「裕一」
「………ん?」
嫌な予感がする。
そりゃあこの所、里香の体調は良いし、普通に学校に通えるほどには体力がついてきた。
生来の明るさやお転婆さも同時に出てきた、のだが。



「あたし、この桜野タズサって人に会いたい」
「………え?」
「行こうよ」
「………どこに?」
「トリノ」

これが、僕と里香の、なんでもなくない旅行の始まりだった。

135:イラストに騙された名無しさん
06/09/21 07:10:27 EdGWt9Fa
ほす

136:イラストに騙された名無しさん
06/09/23 21:55:17 gBRVVBhs
それは見るからに珍妙な、あるいは悪夢的と言ってもいい一行だった。
傭兵と吟遊詩人、この組み合わせは珍しくはあるがまだ人知の及ぶものだ。
だが豹頭の巨人とくれば少なくとも見る者は我が目を疑うだろうし
緑の肌の植物美女に至っては不幸な目撃者は土下座して神に祈りを捧げ出すこと請け合いである。
「ねえグイン、彼女どこまでついてくる気なんだろうねえ?」
「さて、俺には何ともいえん。只我々の命の恩人である以上素気無く扱うわけにも行くまい。」
それに腕ずくで追い払おうとすればこちらが只では済まんしなと告げる豹頭の戦士の顔は大真面目だ。
実際オシリスと名乗った植物女-名前以外は思い出せないそうだ-の力は地下迷宮の戦いで目に焼付いている。
謎の古代機械の力で何処からともなく転送されて来た異形の姿にパニックに陥った獣人は一斉に棍棒を投げつけた。
だがしかし、オシリスの触手から瞬時にして生えた葉が盾となって棍棒を弾く。
(無礼者が!)
さらにヒドラの如く鎌首をもたげた触手の先端から紫色の光線が放たれる。
それはあまりに一方的、光線が命中すると獣人も石作りの床も等しく異臭を放ちながら溶け崩れ崩れていく。
あっという間に獣人を追い払ったオシリスはここは陰気臭くて気に入らんと言うが早いか目の前の石の壁を触手でもって
それこそバターにナイフを入れるように穿ち始めあれよあれよと言う間に地上への出口を開通させてしまったのだ。

137:イラストに騙された名無しさん
06/09/24 09:36:52 WKWF4x6b
保守。
ある程度書き上げたら投下しようと思います。

138:イラストに騙された名無しさん
06/09/27 23:32:29 BDlsjEEK
URLリンク(d.hatena.ne.jp)

139:イラストに騙された名無しさん
06/09/28 14:15:34 O2hjD605
確かにクロスオーバーだがageてまで直リンすんな。

140:イラストに騙された名無しさん
06/09/29 13:19:23 3zBME/xe
ビールと蓬莱学園とじぱんぐのクロスオーバーを読みたいのう


141:32
06/10/10 15:55:56 xa3cKbi9
少女が居住まいを正し、もう一度佐山と向き合う。
宝石から意思が響く。そしてその声に少女も続く。
「改めて名乗ろう。我が名はアラストール、常世(ここ)とは別の世界、紅世の王”天壌の劫火”アラストール」
「私はそのフレイムヘイズ、燐子や他のフレイムヘイズからは”炎髪灼眼の討ち手”、あるいは”『贄殿遮那』のフレイムヘイズ”と呼ばれることもある」
ふむ、と佐山はこちらも居住まいを正し、
「遠方からのお客、この世界の代表として歓迎しよう。
 アラストール王と─ふむ」
 <フレイムヘイズ>を呼ぼうとした佐山はやや思索する。今の言い分から察するに、少女の他にもフレイムヘイズという存在がいるようだ。
 となればこの名前は呼び名にふさわしくはない。
「アラストール王、彼女には名前はないのかね?」
 何か呼び名を探そうとするこちらに、少女は口を挟む。それは、高音で、しかし氷壁のように他者を寄せ付けない声で、
「フレイムヘイズに名前なんていらない。私たちはただの討滅の道具なのだから」


142:32
06/10/10 15:57:04 xa3cKbi9
「そうか、道具かね?」
コクリと少女は頷く。
「……くだらない。私はただのフレイムヘイズ、それで十分。名前なんていらない」
己の存在を確かめるように、しかし他者を拒絶する。
そう、フレイムヘイズはそうしたものだ。
常世を乱し己のために動く紅世の徒を倒すために人間であることを捨て、王とともに生きる討滅のために生きる存在(モノ)。
「では、君のことはシャナと呼ぼう。贄殿遮那のフレイムヘイズなのだから、シャナと」
「! オマエ!」
「何かまずかったかね?」
 冷笑が佐山の顔に張り付いている。みくびるな─。
「人の話を聞いてるの? 私は名前なんていらない!」
 むかつく、コイツムカツク。
 ずけずけと人の言葉を無視して、私を笑いものにして……許せないっ。
 今すぐに斬ろうとしたそのときに、また、佐山の言葉は響いてくる。
「道具ならば、名を受けることもあるのだよ、シャナくん。
 いいかね、道具とは人に左右されるものだ。愛でられることもあり、あるいは暴力の解消に使われることもある。
 シャナくん、君の持ち主、アラストール王は前者ではないかね。
 そして大切にされた道具は意思をもつ、わかるかね?
 私はアラストール王が大事にされている宝物たる君が、他のものと同じものとされるのとても不便なので、愛称をつけようと申し出たのだよ。
 シャナ、という愛称はいかがかね?」


143:32
06/10/10 15:57:38 xa3cKbi9
 まただ。
 この男は口から先に生まれたのではないだろうか。
 そんな疑問が浮かぶほどに、またペラペラと喋る。その理屈は論理的な屁理屈で、こちらの闘志を削っていく。
 この理屈でいえば、少女に反論はできない。
 彼は何も否定をしていない。
 彼女を道具と肯定し、その彼女の意思はアラストールが大切にされたから持つことができたものだと続けた。そしてアラストールに敬意を込めて道具に名をつけた。
 つまり、この名前は少女に送られたものだというのに─アラストールが判断するべきことなのだ。
 また、この人間に、フレイムヘイズは負けるのだろうか。そう思った数瞬後。
「佐山、その言葉は詭弁だ」
アラストールの声がきっぱりと佐山の申し出をなぎ払った。

144:32
06/10/10 15:59:04 xa3cKbi9
アラストールは語る。
「佐山、お前のその論調には二つの問題がある。一つ、その理屈は我がフレイムヘイズをシャナと名づける理由にはならないということ。そしてもう一つは、お前の論理ではフレイムヘイズという存在を何にも結論付けていないことだ」
「アラストール、どういうこと?」
「この話は、それこそ受けるに値せんということだ」
 佐山の語ったことは理屈は通っている、だがその論は名前の可能性の示唆から始まったが、最後に”佐山が名前をつけてもいい”というものにシフトしている。
 そればかりではない。話は少女の意思を認めているのかと思えば道具のように扱い意思がないかのように結んでいる。
 これまでの佐山がまるで当然かのように話していたため、引き込まれかけていたが、何のことはない。ただの屁理屈である。
「佐山、暴論が過ぎるぞ。その程度の言葉遊びで我らを縛り付けるつもりであったのか」
「これはすまない。素直に非を認めよう。アラストール王、誠に失礼した」
 そういって佐山は頭を下げ、そのまま三秒待機。そして面を上げる。
「……佐山、もし我がフレイムヘイズを呼ぶのならば、別にふさわしき名前がある」
「別の…名?」
 少女も、その言葉に疑問符を浮かべる。自分に名前などあっただろうか。
「ほう、では、教えていただけないだろうか。その名前とは?」
 佐山の問いに一拍を置き、
「”新庄・運切”という人間の名だ」
 アラストールの言葉が深い重みをもって響いた。

145:32
06/10/10 16:06:11 xa3cKbi9
32です。
シャナの名前を使おうと、出そうと四苦八苦。
でも考えたのがあまりに暴論だったのでアラストールに抑えてもらいました。
この名前を予想してた人もいるかと思われます。
ああ、でもシャナって名前をどこかで使わないと灼眼のシャナにならないorz

>>133・136さん
グイン・サーガと……何のクロスオーバーでしょう;
あんまり判断できませんが、楽しみにしてます。

>>134さん
ちょ、タズサのせいでww
続きマダァー?

>>138さん
おお、面白そうだ

ではスレがおちなければまた書きに参ります。

146:イラストに騙された名無しさん
06/10/10 17:28:38 bTJIVk+W
ちょっと気になったこと。
”~~~”→“~~~”
じゃないかな? ”~~~”の方でも間違っていなかったらゴメン。


しかし、まさかシャナの名前がそうなるとは思わなかった!
でも佐山が「新庄」と呼ぶとそっちの方が先に思い浮かんでしまって混乱するな……w

147:イラストに騙された名無しさん
06/10/10 17:34:07 L2KCeGIi
まだ決めつけるのは早計だぞ、と。

148:イラストに騙された名無しさん
06/10/13 22:45:51 JhXGm6Fm
ほしゅあげ

149:イラストに騙された名無しさん
06/10/18 21:45:02 UWARFnp0
キノの旅公式サイトより

公開は07年の4月。今回は、他の電撃作品―『灼眼のシャナ』、『いぬかみっ!』と共に豪華三本立てです。見事に散らばったジャンル
ですね(一緒にやるよと話を聞いた最初は、『電撃春のまんが祭り! シャナvsいぬかみっ!vsキノ 主人公達ガチンコバトル!』とか想
像してワクワクしましたが、当たり前ですが全然違いました。それぞれ個別です)。


150:32
06/10/19 10:41:35 xXnizVIq
「「新庄・運切……」」
奇しくも佐山と少女は同時にその名を呟いた。
二人の胸に去来するのは、懐古の思い。
佐山は、胸の奥の欠片を埋める何かを感じた。己の欠けた半身を見つけたかのような哀愁。
だが、少女にとってはそれは懐かしいと感じるとともに、不透明な拒絶の名だった。
認めてはいけない感覚、そして懐かしさ。これはどういうことだろうかと少女は己に問う。
「…アラストール王、シャナくんには聞き覚えがなさそうだが」
「佐山、フレイムヘイズと人には違いがある。常世と紅世の違いと同様、その過去にも触れてはならぬものがある。
 そして、名前を話したというのにまだシャナと呼ぶのか、佐山よ」
「ふむ、実のところ自分でつけておいて気に入ってしまったのだよ。さすが私だ、世界一のネーミングセンスだね!」
「…さて、佐山、そろそろお前の望むことに答えよう」
関わるだけ損だと理解したアラストールは、そう区切りをつけると、佐山に機会を与えた。
「心配性なお主の知識欲を満たそうではないか。佐山。お主の聞きたいことを問うてみせよ」
、そして佐山とアラストールは質問という名の互いの駆け引きを始める。
それはフレイムヘイズと紅世、そして彼らの敵たる紅世の徒についての話でありながら、相手をどこまで縛るか、相手をどこまで己の思うように動かすかの心理戦であった。
 その一方で、少女─『新庄』は心中で彼女の王に問う。
なぜ名前をアラストールが知り、そしてアラストールはその名で彼女のことを呼ばぬのか。


151:32
06/10/19 10:43:30 xXnizVIq

「ふむ─迷惑なものだね」
十数分ほどの質疑応答の最後に、佐山はそう切り捨てた。
「あまりに迷惑な話だ。ここは徒とやらの遊び場などではない。好き勝手をされては困るのだよ」
<だからこそ、我らは徒を追い、討滅する。これで理解したか、佐山>
うむ、と佐山は頷く。
「そしてこれが最後の質問となるだろう」
そう前置きをおくと、視線をアラストールではなく『新庄』へと向けた。
力を込めた視線に、『新庄』も力を込めて跳ね除けようとする。
問いがくる。
「王よ、先ほどの話の中で紅世のものは生きるためですら”存在の力”を使うといっていた。
ならば君も混乱を招くのではないかね」
「その心配はないわ」
 そのためのフレイムヘイズなのだから、と『新庄』は返す。
「そうだろうね、でなければ名目が成り立たない……」
そして、これからが最後の問いだ、と佐山は少女に視線を交錯させる。


152:32
06/10/19 10:47:18 xXnizVIq
不思議な少女だ。
佐山は思考する。
この体からあふれているのは表現のしようもない美だ。いや、美というにはなにかもどかしい。何か表現はないだろうか。
それはともかく、恥じらいも恐れもないようにとりつくろう姿は実に素晴らしい。先ほどの土下座などは慎み深い一面でありながら心中の吐露が見て取れる。それを先ほどカメラで入手した私も実に素晴らしい。
まったくもって残念だ。
思考をつなげながら、佐山は口を開く。
「そう、私が聞きたいのは─」
部屋の皆が息を飲む。
フレイムヘイズとは何か─。
「シャナくんのスリーサイズだ」

黒髪をゆらめかせて少女の鉄拳がボディに入った。
続けて三発、いずれもレバー狙い。いいパンチだ。
「ま、待ちたまえ! これは本能が理性を凌駕しただけであり」
「うるさいうるさいうるさい!」
「佐山、弁護のしようがない。そして我からも告げよう。……天罰と思え」
その声色に許可の意思を感じ取ったか、いい一撃が佐山に痛烈に入る。
ロックのリズムで佐山というドラムが鳴り響いている。
空は雲ひとつない青の色、寮からの騒音は高く遠く後をひいて響いてゆく。
その空に、一点の影がある。
その形は人のようだが、子供にも満たないサイズ。
それは人形だ。可愛らしい小さな人形。
人形にはまった漆黒のボタンが眼下に見下ろす建物を写し出す。
そこにいるのは、馬乗りになりながらこれまでのストレスを晴らすかのように、下の者を殴り散らす首に宝石をかけた少女。
そしてその下で真剣な問いを続けようとしつつ、これもまた一つの快感の形かとほくそえむ青年。
彼らの上空から、危機は迫っていた。

153:32
06/10/19 10:52:51 xXnizVIq
>>146さん
“~~~” で正しいはずです。
”は出るのですけどもう一つのほうの出し方を知らないため””でくくっていました。
今後は気をつけますね。

>>147さん
平井ゆかりの名もつかいたい、とだけいっておきます。

>>149さん
ちょww 東映まんがまつりwww

次回は舞台を少し移す予定。他の人にもいい加減目を向けなければ。

154:イラストに騙された名無しさん
06/10/22 15:57:15 QIABQ3Ip
片方が漫画ならネタあるけどダメかな?

155:イラストに騙された名無しさん
06/10/23 18:56:31 H9g9c7RN
ダメダヨ

156:イラストに騙された名無しさん
06/10/24 09:35:14 xIbdNNfc
ほす

157:イラストに騙された名無しさん
06/10/24 20:25:56 TW+A15xe
>>155 じゃあしょうがないか…

158:イラストに騙された名無しさん
06/10/25 20:44:08 eTRdnLNe
>>154>>157
ひょっとして、「涼宮ハルヒの憂鬱」と「桜蘭高校ホスト部」のクロスオーバー?

159:イラストに騙された名無しさん
06/10/25 22:09:07 MMBqITR2
「それ見ろ、だから言わないこっちゃないんだ」
どのような状況であろうと辛らつな台詞を吐かずにはいられないのがイシュトヴァーンであり
「あんた何か言ったっけ?」
ほとんど条件反射でツッコミを入れてしまうのがマリウスである
「止めておけ、二人とも」
そして険悪な表情で対峙する両名をいさめるグイン
三人のやり取りは地下牢に押し込められていても普段と全く変わらない
そして一行がこのような扱いを受ける原因となったオシリスは我関せずといった風情で天窓から差し込む僅かな陽の光に身を晒し
光合成を行っていた
「出ろ、領主様がお会いになる」
グイン達を連行する兵士が多少どころではなく腰が引けているのは四人-特にグインとオシリス-の暴れっぷりが伝わっているからだろう
広間に通された一行を待っていたのは年の頃は三十代半ば、まだまだイケてるやんごとなき御婦人だった
「衛士達の話では見事な活躍振りだったそうですね?」
一応恐縮してみせる三人(無論オシリスはふんぞり返っている)
まあ街の入口で検問に引っ掛ったのはグインとオシリスの風体を見れば無理もないと思うが化物呼ばわりされたことに腹を立てたオシリスが
番兵を半殺し(正確には八割殺し)にしてしまったのはいささかやり過ぎというものだろう
「実はあなたがたの腕を見込んで頼みたいことがあるのです」
貴婦人の依頼とは先王の遺児である二人の甥を幽閉先から助け出して欲しいというものだった
「で、甥子さんの命を狙っているのは誰なんです?」
「先王の弟にして現国王、グロスター公リチャードⅢ世ですわ」
「ちょっ!!ラノベ板で『薔薇戦争』ネタ!?!」
正気か、俺?

160:イラストに騙された名無しさん
06/10/26 21:53:31 bi7OmTNB
>>158 期待を百八十度裏切ってすまんが 
「シャナ」と「ジョジョ(四か五部)」という荒れること間違いなしのクロスオーバーだ


161:イラストに騙された名無しさん
06/10/27 01:01:03 wp5PF1se
5部ならフーゴ大活躍のノベルがある

162:イラストに騙された名無しさん
06/10/27 21:28:12 HRwdThGF
>>161 4部も乙一が書いたやつがあったな。
どっちも読んだことないが5部はフーゴが大量殺戮するわ流れが無茶苦茶だわ
最悪のノベルと聞いたが…

163:イラストに騙された名無しさん
06/10/27 23:41:53 3PejCaku
>>161
7つ上の板にできそうなところがある

164:イラストに騙された名無しさん
06/10/30 01:24:29 p7VxKWel
(20XX 12/24)

(0:17)―〇市中心地ビル街にて円錐形の濃霧発生、規模約半径:1000m、高さ:300m
〇市内の北北東支部ビルとの通信隔絶を確認

(0:30)―警察職員が濃霧の中突入をするも侵入不可能。虫による現象とし特環に要請

(0:54)―濃霧の内部から戦闘によると思われる散発的な閃光を確認

(1:12)―本部、超大型の特殊型の"虫"による大規模制圧と断定
      (以後濃霧を"ツリー"と仮称)

(1:43)―"ツリー"にて閃光が鎮静化

(2:11)―"ツリー"頂点から"アマアシ"の虫が脱出、記録ディスク確保
『異種五号指定局員"アマアシ"ゴーグル記憶音声』
    #1外部との通信及び脱出を図るが失敗、原因究明に着手
    #2巡回局員が不審な集団と遭遇、むしばね残党の疑いありと応援要請
    #3巡回局員、「見えない"虫"が」との報告後連絡が途絶える
    #4応援部隊交戦、攻撃対象を人間に変更するも戦局はきわめて不利
    #5頂上から虫のみ集中突破型の能力で脱出可と判明、外部に報告を試みる

(2:30)―全中央支部長緊急招集、特別合同突入部隊の編成を決定

(2:42)―突入部隊各支部から陸自ヘリによる空輸開始

(3:00)―突入部隊全班目標上空到達、侵入ポイントに全火種局員が攻撃
      修復前に突入開始

通信隔絶を確認、記録は一時中断、以後待機状態に入る
・・・」
記録編纂・中央本部秘種二号局員"C"

165:イラストに騙された名無しさん
06/10/30 01:26:44 p7VxKWel
クリスマスのこの日、〇市ビル街に突如現れた濃霧。
それは冗談のように巨大な霧のクリスマスツリーだった。
特環は事態の解決と内部の局員救出の為突入を敢行。
虫憑き達を待ち受けていたもの、それは――

『畜生っ!なんだあの"虫"は!いや"虫"なのか!』
名も無き虫憑き達の足音が聞こえる

「殺らなきゃ殺られるんだ!だいたいお前らからやってきたんだろ!」
"敵"達の叫びに見えぬ者達が呼応する

『ここは蜘蛛の巣?いやワイヤー状の…ひぃっ!黒いなにか!影がツッ』
次々と連絡を断つ局員達

「本物の悪魔め!来るな!来るな!止めっがぁぁぁ!」
容赦無き戦場においては等しく悲鳴を上げる
最悪のすれ違い、事態はお互い望まぬ道に進む

―――ただ一部を除いては

「見えねぇなら全部壊しゃいいんだよ、そこで指くわえて見てな」
「この霞王様の独壇場をな!」

「ぎょうさん虫がおるな、しっかし悪の組織の戦闘員ってかんじや、んっ?」
「何や、何や!面白そうな奴がおるやないか!」

「僕達は戻れないかもしれない、でもここには奴がいる。利菜…」
「キミの仇をここで殺してみせる」

―――歓喜を挙げる者

166:イラストに騙された名無しさん
06/10/30 01:27:30 p7VxKWel
「何故こんな事が起きたんだ?予定と違うだろ」
「喜びなよ、これは僕達の計画が原因に決まってるんじゃないか!」
「んっ予測してたか?自慢じゃないけど正直想定外なんだよね、ああ叫ぶなよ」

「ここじゃ主役も脇役も関係ねーわね、ただ勝つか負けるかだわ」
「でもまぁグズ達には分からんわね、何に勝つかって…ねぇ"コノハ"」

「私はあなたの為に死ぬ覚悟はあるわ」
「例えあなたが何者でなくなったとしても」

―――策略を巡らす者

「ハァハァ…有夏月は行ったか…おい忠告してやるよ…お前達は負ける、何故なら俺達には…」
「東中央支部には"あいつ"がいる」

「あんたらはもっと恐ろしい物を見るぜ、そいつは俺のマスターにして」
「最高のダチだ」

―――希望を託す者

さらに一つの発見により舞台は

『こちら"カラス"敵の所持品からやばそうなの出てきたよん、多分このカプセル』


『ドラッグだと思う』
最終幕を上げる

167:イラストに騙された名無しさん
06/10/30 01:35:05 p7VxKWel
「ハハハ!ようやく見るぜ!今俺は過去最高に気分がいいんだよ!」
「《鮫使い》!この"カプセル"ってのは実に最高じゃねーか!弱っちいあいつも使えばいい!」

「ずいぶん温いじゃねえか、"奴"にはまだまだ足りねえな」
「ささっと来やがれ!もっと熱くしてやるぜ!《包帯野郎》!」
魔人と狂犬がぶつかりあい――

『中央本部殲滅部隊が戦闘区域に到着、他局員は避難せよ!繰り返す!』

『……なんでこんな所に樹海が』
「「「さあ"建国"の始まりだ」」」
誰が味方か敵か混迷を極め――

「あなたの夢は美味しそうね、その静かに燃える夢、よく似てるわ自分の居場所を探す」「あのアリアの子に」
「私は貴方を気に入ってます、いずれ招待しましょう」
「あの方との王国へ」
遂に介入し始める人外の魔物達――
今宵のクリスマスディナーは正気がチップ、メニューは狂気のフルコース
夢を喰らい、薬を飲み、虫と悪魔は滅びを辿るのか
脱出不可能、この蠱毒の聖夜の勝者とは――

「馬鹿にしないで芋虫野郎!あたしは虫だって悪魔にだって!」
「正々堂々人間として勝ってみせる!」

「合格、いい答えだね名探偵」
そして……

168:イラストに騙された名無しさん
06/10/30 01:35:52 p7VxKWel
――『ムシウタアナザー』夢蝕む悪魔達――

それは、最高で最悪なディナータイム





    「ようこそウィザードの塔へ、君の名は?」


    「東中央支部所属火種一号指定局員」
       「《かっこう》」

次回公開(しない)


169:イラストに騙された名無しさん
06/10/30 21:01:05 J3b7uIBr
GJ!!と思ったが


・・・・・・生殺しですかド畜生!!

170:イラストに騙された名無しさん
06/10/31 21:56:59 7d7oQA6f
ラ・ロッシュ・ギュイヨンは静かだった
無人の村のように静かだった
だが村の背後の丘陵にそびえ立つ城館のあちこちにはかがり火が焚かれ
城内を巡回する歩哨の姿が影絵となって城壁のステージで無言のパフォーマンスを演じている
と、その時
暗がりから躍り出た巨大な影が歩哨の一人をあっという間に自分が出てきた闇の奥に引っ張り込む
物音を聞きつけて相棒を捜しに来た歩哨の片割れは目の前に現れた豹頭の大男の姿を見てごくまっとうな反応をした
すなわち180度方向転換して逃走を図ったのである
だがしかし
前をよく見ていなかった歩哨はなにか柔らかくて気持ちのよいものに“むにっ”と顔から突っ込んでいた
(無礼者!!)
豊かな胸の谷間に顔を埋めた歩哨をオシリスの触手が殴り飛ばす
歩哨は場外ホームランとなって夜空に消えた
「おい、こいつはグインの手にも余るぜ」
中庭に通じる門に取り付いたイシュトヴァーンは頑丈な鉄製の閂にお手上げといった声をあげる
(まかせるがよい)
オシリスの右手が紫色に輝く
「シャイニングフィンガー!?!」
意味不明なマリウスの叫びをスルーしてオシリスが右手をかざすと堅牢そのものの鋳鉄製の閂がグズグズと腐食していく
普段は光線として撃ち出す「見えざる水銀」の力を右手に纏わせているのだ
門を突破した一行が中庭に侵入すると頭上から大樽が降って来た
すかさずオシリスが触手を振るうと空中で破壊された樽から飛び出した液体がオシリスに降り注ぐ
「いかん!」
いち早くその「匂い」に気付いたグインが叫ぶと同時に火矢が放たれる
(きゃああああああ!!)
全身に油を被ったオシリスは松明のように燃え上がった

171:イラストに騙された名無しさん
06/11/05 17:50:13 JCvWnh6e
定期アゲ

172:イラストに騙された名無しさん
06/11/07 08:37:41 nH1rb6Q9
そろそろまとめサイトとかほしいね

173:イラストに騙された名無しさん
06/11/18 17:31:47 gtqLA9CP
保守

174:イラストに騙された名無しさん
06/11/22 21:00:37 jQQZ/INA
 騒がしい着信音により、蒼珠冬樹は目を覚ました。幾度か瞬きをし、それから億劫そうに携帯を手に取った。
「はい」
 ただ耳に当てただけで、通話ボタンすら押していないのに、
「仕事だ―今、話題となっている件だ」
 と、相手の声が聞こえてきた。
 蒼珠は眉をひそめた。無論、“今、話題となっている件”についてだ。
「なんだそれは?」
「寝起きか? テレビをつけろ」
 言われた通り、蒼珠はリモコンに手を伸ばした。電源を入れるスイッチを押す。
 ほんの少しの遅滞の後、テレビに映像が映し出された。
「みなさま見えますでしょうか、海上にそびえる巨大な建築物が。
 直径525メートル、日本の、そして世界の未来をかけて作った巨大研究施設スフィアラボが、何者かによって占拠されました」
 リポーターが興奮を隠しきれない声で、報道をする。
 スフィアラボ―天才マッドサイエンティスト、峰島勇次郎の技術をふんだんに使い作られた、完全閉鎖型での自然環境の循環を再現した研究所である。
 言わば地球のミニチュア版だ。太陽の光と海流のエネルギーだけで施設をまかなっている。
 その施設が、占拠された。
 峰島勇次郎の発明、遺産と呼ばれる物を狙った事件はいくつかあるが、今回の事件はかなりの規模である。
「すでに事件発生より十七時間経過していますが、いまだに犯人グループからの―」
 ――。
 テレビのスイッチを切り、再び蒼珠は携帯に意識を戻した。そして疑問を口にする。

175:イラストに騙された名無しさん
06/11/22 21:06:21 jQQZ/INA
「LC部隊はどうした?」
 LC部隊―遺産犯罪対策部隊。その名の通り、今報道されているような、遺産絡みの犯罪の時に出動される。
 本来ならば、蒼珠のような人間がそのような“一般の事件”に関わることはないはずだ。
「“向う側”が犯人グループに混ざっていてな」
 なるほど、と蒼珠は納得した。
「詳しいことは移動中にだ。外に出ろ」
「分かった」
 それだけ言って、蒼珠は携帯を切った。ニ、三度首を回してから、動き出した。
 玄関へ―ではなく、洗面所だ。
 蒼珠は洗面台の前に立った。鏡に男の顔が映し出されている。
 髪はぼさぼさ、それに無精ひげ。それだのに、顔立ちは整っているから、見る者はなんとも言えないだろう。
 冷水で顔を洗うと、ひげ剃りを取り出した。綺麗さっぱり剃ってからは、くしで髪をとかす。
 一通り終えると、鏡には先程とはまったくの別人が映っていた。
 身だしなみの整えを終えると、服の着替えに移った。それもすぐに済ませ、そして美青年は玄関を出た。


「遅かったですね」
 アパートの階段を下りると、そこには一人の若者が立っていた。体つきはかなりいい。微笑を浮かべてこちらを見ている。
 顔は笑っているが、しかしその目は、見る者に畏怖を与えるほどの深い闇の色をしている。蒼珠と“同種”の人間だ。
 どこかで会ったか? ―しかし蒼珠は思い出せなかった。
「……寝起きだ。こんな時間に、いきなり仕事を持ってきた“上”に言え」
 若者は「ははは」と笑った。が、すぐにそれを消す。
「急ぎましょう、こちらへ」
 若者が道路へ歩き出す。蒼珠も付いて行く。
 道の脇に一台の乗用車があった。若者は運転席に、蒼珠は助手席に乗った。
 そして二人を乗せた車は走り出した。

176:イラストに騙された名無しさん
06/11/22 21:08:28 jQQZ/INA


「名前は?」
 まず初めにその質問をすると、
「志木です」
 と、名乗った。
 やはり知らない名前だったので、この若者とは初対面だ、と蒼珠は思うことにした。
「スフィアラボまでは?」
「まずはこの車でヘリの待機している場所へ。その後はヘリで一直線ですね」
「なるほど」
 と、そこで蒼珠は車の速度メーターを見た。
 100kmオーバー。
 多分、一般人が乗っていたら、「降ろしてくれ!」と泣き叫ぶだろう。なぜならここは、高速道路でもない一般道なのだから。しかも、車は少ないがないわけではない。
 しかし二人には心配する様子がまるでない。凄まじい速度を保ったまま、無茶なカーブをしても、眉一つ動かさない。
 信号が赤になっている。しかし車は無視をして爆走だ。前に他の車がある場合は、反対車線に出て追い越すという荒業で進んでいる。
 蒼珠としては、もっとゆっくり行けと思ってはいたが、急ぎなのだから仕方ないと割り切っている。
 やがて、細い道に入った。さすがに速度は落としていた。住宅地をいくらか進むと、
「着きました」
 二人は車を降りた。酔っている風もないのは、“彼ら”なのだから当たり前だ。
 そこは、空き地だった。
 なにもない。

177:イラストに騙された名無しさん
06/11/22 21:11:10 jQQZ/INA
「おい」
 蒼珠は相方に呼びかけた。
「ヘリはどうした?」
「あるじゃないですか」
 と、笑って答えた。
 なにかが“ある”。しかし見えないのだ。蒼珠は空き地の中央に意識を集中させた。
 うっすらと、ヘリの形が見えた。
「よくできた迷彩だな」
 少し感心したように、蒼珠は言った。
「我々の技術力の結晶ですよ」
「これを一般人が見たら、遺産だと騒ぐかもな」
「さて」
 いつの間にか無表情に戻っている志木は、肩をすくめた。
「早くお乗りください」
 なにも見えない空き地の中央から、声だけがした。蒼珠と志木はそこへ向かい―消えた。
 二人はヘリに搭乗したのだった。
 やがてほんの少しの、よく耳を凝らさなければまったく聞こえないほどの音が空気を伝わり―それもすぐ消え去った。



178:イラストに騙された名無しさん
06/12/08 15:14:31 3dpIp2Kj
保守

179:イラストに騙された名無しさん
06/12/27 11:25:53 MFE6B9XL
定期保守

180:イラストに騙された名無しさん
07/01/02 17:43:10 aEWwWBPG
age

181:イラストに騙された名無しさん
07/01/10 20:22:23 9onalRh0
あげ

182:イラストに騙された名無しさん
07/02/01 20:11:43 RY3jjvKD
ほしゅ

183:イラストに騙された名無しさん
07/02/04 23:45:18 NZEnKZSV


184:イラストに騙された名無しさん
07/02/12 19:55:38 hlc2aP9K
シャナとAHEADクロス職人さんもう来ないのん?

185:32
07/02/14 00:44:03 RbM3hTfL
>>152
 さて、とそう前置きして佐山が勢いよく起き上がる。
 その顔や腹には打撲の痕があるが、それを意にも介さぬように両の手を大きく広げた。
「話を続けようか」
 その様子にフレイムヘイズとその王は疑問を投げかけあう。
「アラストール、こいつ本当に徒じゃないの?」
『うむ……お主が加減をしていたわけではないのだな?』
 起き上がるまでに五分ほど意識を失していたとはとても思えないきびきびとした様子だ。
 これまでの鬱憤を晴らすかのように─実際晴らしていたのだが─、
 先ほどまで殴っていた少女はジロリと胸の宝石に視線を投げ返す。
「あんな変人相手に加減なんてするわけない」
「失礼な、私は変人ではなく聖人だよ?
 なにしろ生まれは聖夜なのだからね」
 大げさな身振り手振りを交えてみせる少年の声に、意外な反応が返ってきた。
「聖夜?」
 なんのことだろう、と長髪の少女は少し興味を持つ。
 目の前の人間は明らかに変わったヤツだ。だからコイツには興味はない。
 けれど、聖なる夜とはなんだろう?
「クリスマスを知らないのかね?」
 コクリと頷き返す。


186:32
07/02/14 00:46:46 RbM3hTfL
「ふむ」
 佐山は少し考える。これは絶好のシャッターチャンス、いやそうではない。
 確かに今この部屋に仕掛けられた盗撮器具(主に自分の状態把握(常に健全)に使用)の使用は可能だ。
 この素直に頷く少女という最高の画像は撮れるだろう。
(だが…それは今ではなくてもよい)
 考えるのは少女の背景。”シャナ”あるいは新庄運切と呼ばれもしなかった『フレイムヘイズ』。
 その心には聖夜という光景がない。
(戦いだけの生き方であったか、あるいはそれ以外を押し込めた生き方なのか)
 前者と後者の違いは大きい。それは強制されたか、自らが選んだことかの違いだ。
 それだけに、ここを見誤ってはならない。
 佐山はその意思を強く持つと、
「ク」
『クリスマスとは、常世の休日の一つだ。
 街は活気ににぎわい、人は贈り物をすることで互いの好意を伝え合う。』
「そうなんだ」
『うむ、……どうした佐山。口を開けたままで』
思い切り出だしをつぶされた。


187:32
07/02/14 00:52:05 RbM3hTfL
>>164-168
か、格好いい・・!

って、公開しないことに絶望した!

>>170
? ネタ元がわからないけど、参加者おめ。

>>174-177
これまたネタ元がわからないけれどいいですねぇ。

……最近小説全然読んでねぇよorz

>>184さん
存在証明。
一応まだ書いてはいるということでちょっとだけ書きました。
続きがいつになるかまだわかりませんが、もし待っててもらえるのならば…
がんばります。

188:184
07/02/14 01:18:11 dWRHOxir
キター!!!
いくらでも楽しみに待っていますとも!!
頑張ってください
できるだけ保守してみますw

189:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/14 23:59:18 dWRHOxir
ホッシュ

190:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/16 00:52:20 cAX335xF
華麗なる補習

191:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/16 23:25:06 cAX335xF
保守

192:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/17 21:43:04 hNu3dTl9
ほっしゅ


193:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/18 14:46:26 /tyNm5Wo
ほしゅ

194:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/19 02:26:06 BKCZLlWn
さらに保守

195:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/21 22:56:51 L8KdAr4z
ほしゅ


196:名無しさん@公民館でLR変更検討中
07/02/22 18:55:40 hBLpB2Cx
ほしゅ
しかし保守って何度もやる必要あるんだっけ?


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