06/11/23 23:55:40 IburWEul
そっちのが荒らしって繰り返し出没するやつがいる
201:名無しのオプ
06/11/24 01:04:42 l+PBDGFe
>>200
逆に聞くけど貴方は嵐の相手をしてる奴らも同罪だと思わないの?
202:名無しのオプ
06/11/24 07:11:16 GX/1zDgi
んなもん同罪だ
「そっちのが荒らし」は要するに荒らしてるやつ以上に荒らしにか変わってるやつが悪いという意味不明な理屈だな
ほっておけばよいんでいちいちこんなことことさらにいうまでもない
同罪と騒いでる時点で自分も同罪って気づけ
ってことでおれは以下沈黙
203:名無しのオプ
06/11/24 07:11:59 GX/1zDgi
か変わってる → 関わってる
204:名無しのオプ
06/11/24 14:49:31 l+PBDGFe
>>202
「同罪だ」と注意することは必要だろ
それすら駄目なら結局ヒーロー気取りを勘違いさせたままになるし
一度目の注意を同一視するのは詭弁だと思う
205:名無しのオプ
06/11/24 20:16:33 AMXOT9x0
「真鍮の栄光」 ジョン・エヴァンズ
私立探偵ポール・パインの第三作目。
今回も主人公殴られまくりで、その境遇に自分で一人ツッコミしてるのには笑った。
古風なハードボイルドに見せて、バリバリのフーダニット+大どんでん返しなのは相変わらず。
今回も最後にとんでもない結末が待ち構えていて驚かされる。が、この解決は賛否両論だと思う。
個人的には否定派。理由はメル欄だから。伏線も今回は少し苦しい感じか。
206:読後感
06/11/25 00:19:32 Fq2b6hm6
「ペンギンは知っていた」スチュアート・パーマー(新樹社)
課外授業で生徒達を連れて水族館に来ていたミス・ウィザーズは
そこで大事なハットピンを落としてしまう。
生徒を総動員で捜させた結果無事見つかったのだが、
発見されたのはそれだけではなかった。生徒の一人が
ペンギンの水槽に漂う死体に見入っていたのだ!
ミス・ウィザーズは持ち前の正義感と好奇心から
警察に協力を申し出るが―。
プロットは特に珍しくもなくありがちで犯人もわかりやすい。
ただ、第2の殺人のトリックは少し興味を引いた。
主人公は「強い女性」ではあるが、男性作家の手によるせいか
フェミ臭さはなく好感が持てる。
207:読後感
06/11/25 16:30:36 Fq2b6hm6
「黄金」ディック・フランシス(早川書房)
再婚に反対したため長らく父と絶縁状態であったアマ騎手イアンは、
突如父に呼び出される。再婚相手であったモイラは少し前に
何者かに殺されていたのだが、今度は彼自身が狙われているという。
護衛として同行することになったイアンは愛憎渦巻く一族の中で
犯人探しを行うことになるのだが……。
フーダニットだが分厚い割にプロットは単純で、
推理も多分に心理的なもの。
見所は主人公と断絶して家族との絆の再生にある。
どれだけ敬遠迫害されても家族の繋がりを信じ続ける主人公という
この厳しくも理想的な作風が現代のおとぎ話として好まれるのだろう。
ミステリーとして特に読むべきものではなかった。
208:読後感
06/11/26 18:49:49 QoO0J7Ll
「アプルビイの事件簿」マイケル・イネス(東京創元社)
これから出るらしいので予習として。
ライヴァルたちの括りにされているが活躍時期は大分ズレてます。
話の筋は良さげなんですが、読むとイマイチ印象に残らないというか
…文体のせいでしょうか?
左右違う靴を履いている男を目撃したことから始まる「死者の靴」や
放置自動車と雪崩によって立往生したアプルビイ夫妻が宿を借りた
古城で起こる伝説通りの殺人を描いた「終わりの終わり」など。
他にショートショートもあり。
209:名無しのオプ
06/11/26 22:07:41 b6UMloCl
「蜘蛛の巣」ピーター・トレメイン(東京創元社)
7世紀のアイルランドを舞台にした歴史ミステリー。
当時のアイルランドは5王国に分かれており、事件の舞台は、
そのうちのモアン王国。
ケルト教会の修道女で、ドーリィー(法廷弁護士)であり、
アンルー(上位弁護士、裁判官)の資格を持つフィデルマが
主人公。
古代アイルランドはブレホン法という法律があり、女性の地位
も比較的高かったらしい。
因習に満ちた谷の村で、氏族の族長が殺され、その後も殺人が
起こる。容疑者とされたのは、盲目で耳も聞こえない若者。
乗り込んだフィデルマは、強い意志力でもって、裁判官として
の自分を認めさせ、真犯人を見つけ出す。
古代のアイルランドが、現代の法治国家とにたような仕組みを
確立していたのは驚きで、新鮮だった。
注意深い観察と深い洞察力による推理で、次々に真相を暴き出す
フィデルマは、まるでポワロのよう。
日本のものでは、「犬神家の一族」を思わせる雰囲気もある。
上下2分冊だが、おもしろい。一気に読める。
210:名無しのオプ
06/11/27 09:41:11 7WJTJ99l
読後感のつまらん報告はいい加減やめてほしいな。
211:名無しのオプ
06/11/27 22:13:13 +mjSFvuo
自分で感想書かないクズはグダグダ言うな
212:名無しのオプ
06/11/28 00:49:58 J7OOTCZJ
いつも楽しく読んでいます。読後感さん応援してます。がんばって。
213:名無しのオプ
06/11/28 20:29:15 7Tjmdvp0
「殺人四重奏」 ミッシェル・ルブラン
その手のミステリとしては高名らしい作品。
連城三紀彦の某作品のインスパイア元みたいな感じがする。
いかにもフレンチミステリといいたくなる内容で、終盤の無茶苦茶な展開が非常に面白かった。
ただ、この邦題は問題。これのせいで五割くらい面白さを減じているような気がするのだが・・・。
214:読後感
06/11/28 23:47:32 /jX8mlKr
「孔雀の羽根」カーター・ディクスン(東京創元社)
マスターズ警部に届いた一通の手紙。
それによると今夜とある廃屋に十客のティーカップが出現するという。
手紙を見て警部は顔色を変えた。何故なら2年前にも似た内容の
手紙が届き、それが殺人事件に発展したからなのだ。
しかも犯人は捕まっていなかった。そして夜、指定の場所で
一人の男が射殺される。至近距離から撃たれていたにも関わらず
屋内には忍んでいた警官と被害者しかいなかった。
そして現場には十客のティーカップと
孔雀模様のテーブルクロスが残されていた。
果たして犯人はどうやって入りどうやって殺しどうやって出たのか?
勿論警官が犯人じゃないよ。
中々の良作だと思った。謎の不可解性は抜群だし、
怪奇趣味の理由付けもマル。トリックは強引な部分もあるが
古典本格ならば許容範囲であれかし。ストーリー性が薄いので
ロマンスで犯人が絞られちゃうとお嘆きの方も安心して読めるかと。
細かいページ付きの解明もGood。「吸血の家」のインスパイア元かな。
珍しくイキイキとした悪女が出てくるのも印象的。
ただ、尋問する場面で不自然な箇所があったようだ。
215:読後感
06/11/29 18:50:57 9jc2Rnmd
「マッターホルンの殺人」グリン・カー(新樹社)
戦時中諜報活動をしていた経験を持つシェークスピア俳優
リューカーの所へ旧知の秘密情報部チーフクレイベリーがやって来る。
彼はあるフランス人政治家について当人がどのような思想を
持っているか探り出して欲しいと頼みに来たのだった。
そのフランス人は今登山のためスイスに滞在しており、
それは奇遇にもリューカーがこれから休暇を過ごそうとしている
場所だった。旧友の頼みを引き受けたリューカーだったが……。
やっぱ山岳ミステリーつったらカーしかいないよね、うんうん。
期待外れでした。
51年の作品なのに筋書きも道具立てもオーソドックスだし
プラス思わせぶり過ぎる地の文のせいで
早くに犯人の見当がついてしまいます。
紹介されなかったのもむべなるかな。
216:名無しのオプ
06/11/29 19:28:55 dCe+y+Dk
「ババ・ホ・テップ」 ジョンRランズデール
ミステリマガジンの今月号
老人介護施設で余生を送るエルビス・プレスリーが主人公。
過去から蘇ったミイラにケツの穴から魂を吸われるところを
エルビスに助けてもらった自称ケネディ大統領(黒人)と共に
そのミイラとの闘いを描いた短編。
とにかく下品で面白く、こんなに笑った小説も久しぶりだ。
それでいて男の生き様を見せられたりしてで
読後は満足感でいっぱいになった。
217:名無しのオプ
06/11/29 19:37:04 48G+a5Fm
「メソポタミアの殺人」 アガサ・クリスティー
イラクの遺跡発掘隊を舞台としたポアロものの一作。
衆人環視の不可能犯罪。クリスティーらしからぬ豪快なトリックで、なんだかカー作品みたい。
よくよく考えてみると、失敗する可能性が高そうなうえに、実行現場を誰かに見られかねない
非常に危険な犯行だと思うのだが、それはそれということか。
解決編での論理性は低く、あまりカタルシスを得られなかったのは少々不満。
218:読後感
06/12/02 11:58:37 IMLCywVy
「死体のない事件」レオ・ブルース(新樹社)
不良青年ロジャーズが酒場に入って来るや殺人を犯したことを告白し、
その直後毒を飲んで死亡した。そこに居会わせたビーフ巡査部長は
ロジャーズが詳細を明かさずに死んだため死体探しをすることになる。
やがてこの奇妙な事件が世間を騒がせ始めると、ヤードから
スチュート警部がやって来てビーフ達を指揮し
活発な捜査を進めていく―。
前作「三人の名探偵のための事件」は凝ったプロットとパロディが
詰まった傑作だったが、本作は死体探しという趣向が珍しいという
以外は前作より優れた点は無いように思えた。初心者で無い限り
冒頭でからくりがある程度読めるし、展開と真相は前作の焼き直しの
様に感じられる。また解説にある通りかなりアンフェアな部分もある。
更に言えば斜に構える余り物語性を軽視しているのも個人的には-。
219:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/03 00:22:53 WxofN7+Q
ミスヲタには縁遠い話であろうが、レフ・トルストイ「戦争と平和」の新訳が
岩波文庫から刊行されている。
初読時は、工藤精一郎先生(以下、工藤ちゃんと略す)の訳による新潮文庫版で
あったが、今回読んだ岩波版は活字のポイント、訳文等、
内実共にかなり読み易くなっているやに思う。
安手のミステリを読み漁っているミスヲタもこの機にこの世界的な文学を
手に取ってみたらどうであろうか、
灯下親しむべき候、気分はまさに往年の旧制高校生である。
まあ、正直言うて無理な注文だとは思うが(w
久々の再読してみたが、ナポレオンのロシア侵攻、形勢逆転による
逃げるナポレオン率いるフランス軍、追うロシア軍、
(作者レフは、ナポレオン軍の敗退を俗に言われる冬将軍にその主因を求める
ことはせず、糧秣の確保等占領政策の失敗により、本格的なロシアの冬が到来する
前に既にその敗退は始まっていたとする見解が慧眼である)
これにピエールとアンドレイという2人の貴族とヒロインのナターシャを中心とした
ロシア上流階級のロマンスが絡む、作者自身がホーマーの叙事詩の如きものを意図して
いたというだけあって、これを戦争冒険小説と言わずして何と言おうか。
本作の最大の主眼は、作者レフの史観呈示(「歴史に英雄無し」)にあることは
言うまでもないが、そもそも同時代人たちは本作を現代の日本人がシバリョウを
読むかのように楽しんでいた向きもあったのではなかろうか。
220:読後感
06/12/03 03:15:31 hkkASva1
「死の相続」セオドア・ロスコー(原書房)
恋人ピートの遺産相続のため中南米ハイチに赴いた貧乏画家カート。
2人はピートの叔父の屋敷で様々な使用人達と共に遺言を聴くが、
その内容は、1~8番目まで候補者が指定され、もし候補者が
24時間以内に屋敷を離れたら相続の権利を失い権利が次の候補者に移る
という実に奇妙なものであった。
その後埋葬を済ませ各々が寝室に引き取った直後最初の殺人が起き、
更に第2、第3の犠牲者が……。
「夢果つる館の殺人」といい「奇妙な遺言」というのは
古典のパターンなのかな? あまり知らないけど。
いやはや、凄かった! 頭ん中グングニルした。正に怪作!
まず舞台となるハイチという国。中国の武侠作家金庸が
中国にミステリーが根付かなかった理由を訊かれて
「中国では法の執行が健全ではないから」と答えていたが、
独裁国家でブードゥー信仰が盛んなハイチは正にその典型なわけで、
名探偵の推理も華麗にスルーされそうな予感がひしひし伝わって来る。
というかまず探偵がいるかも分からないんだけど……。
とにかく24ばりに連続殺人が怒涛の勢いで進行して圧倒される。
中盤からは更に加速しまるでサイコホラーに転換したかのような
無茶苦茶な展開になり本格だという認識は銀河の彼方にすっ飛んで
終いには孤軍奮闘大立ち回りでもう何が何だかわからなくなる。
こんなもんどう決着付けるんだ絶対無理だろと思っていると……
あ~ら不思議! ビシャリと収まる。こりゃ傑作だよ。
221:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/03 23:38:54 qGrH5hFP
G・ガルシア=マルケス「わが悲しき娼婦たちの思い出」を読んだ。
川端康成「眠れる美女」にインスパイアされた作とのことだが、
巻末の訳者解説にもあるとおり、似たシチュエーションながらも
全く異質な殺人も有りな濃いサスペンス・ストーリーが展開されてゆく。
途中までは悲劇の予感を漂わせながらも、いかにもラテン系らしい「性と生」に
対する前向き、かつ。肯定的なハッピーエンディングが楽しい。
「満90歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと
考えた」、この過激なインパクトある冒頭の書き出しから、
ガルシアのマジック・リアリズムの世界が始まっているのだと言い得る。
222:名無しのオプ
06/12/04 20:55:17 DYbF7v2H
「サンタクロース殺人事件」 ピエール・ヴェリー
なんとも変なミステリ。
探偵役が口にする解決の糸口も含めて、全体的に奇妙なメルヘン風味が漂っている。
ほとんど手がかりが提示されない点は不満に感じたが、事件は複雑に構成されていて、
探偵役の語る解決編ともども、予想以上にテクニカルで感心させられた。
ただ、原文からそうなのか翻訳の問題なのか、妙に読みづらいのは困ったところ。
急な場面転換が頻繁に起こるので、読みにくさは倍増してるし。
223:名無しのオプ
06/12/05 01:22:34 YKXZrwJe
「サンタクロース殺人事件」は読みたいなーと思ってたら中学の図書館に置いてあってビックリした覚えがある
あの図書館、クリスティとかは置いてないくせに中国迷路とか十三角関係とか乱歩賞のマイナーな奴とか変なのが置いてあったなぁ
224:読後感
06/12/06 00:21:19 zAo8nWR4
「飢えた海」ウィルバー・スミス(文藝春秋)
大企業に成長させた海運会社のトップの座を奪われ、
絶世の美女であった妻も寝取られ、最愛の息子までも失ってしまっい
絶望のどん底に叩き落とされたニック。
隠居料として半ば押し付けられた子会社は多額の負債を抱えていた。
そんな彼の乗る船に突然舞い込んだSOS通信。それは難破した
豪華客船からのもので、オーナーはあの憎い敵であった。
ニックは沸き上がる復讐の念を胸に救助に向かうことになるが…。
勿論救助は前半の展開で、その後は主人公を取り巻く
人間関係の愛憎を中心としたストーリーになる。
全体的に類型的で、それはいいのだが悪役が少々薄っぺらいのが残念。
ドンパチやらで簡単に人が死んだりすることがないのが意外だった。
225:読後感
06/12/06 00:41:03 zAo8nWR4
「ティー・パーティー」チャールズ・L・グラント(早川書房)
婚約者の浮気相手を殺して失意のダグは服役後逃げる様に
田舎へとやって来た。そこには長らく廃虚と化している屋敷があり、
住人から呪われた場所として恐れられていた。
ところが屋敷を買い取るとの情報が流れ始め、その頃からダグや
他の住民達の身に不可解な現象が相次ぐ。
そして不審に思う彼等の許へ屋敷への招待状が届けられた―。
とあるガイドブックで★4つだったから読んでみたんだけど、
別になんてこたない凡作だった。
筋立てはキング(未読)みたいな感じだが前フリが長すぎる。
パーティーをもっと中盤に持って来て終盤にもう一山欲しかった。
一応仕掛けめいたものがあるけど切れ味はイマイチな印象。
226:名無しのオプ
06/12/08 20:34:57 1KU2gVpy
「もの言えぬ証人」 アガサ・クリスティー
ポアロものの一作。
妙な構成が目を引くものの、クリスティー文庫版の解説にもあるように事件そのものに相当の無理が
見られるし、ポアロの語る真相にも論理的な穴が多く、出来はいまひとつな感じ。
生前の被害者が交霊会において、後光が差したり口からエクトプラズムを出したりしていた、という
奇怪な事件の真相はユニークで実にインパクト大。実現可能かどうかは別として、強く印象に残る。
227:読後感
06/12/09 00:34:01 mSvB1U22
「真鍮の栄光」ジョン・エヴァンズ(早川書房)
私立探偵ポール・バインの今回の依頼は都会に出ていき行方知れず
となった娘の捜索。彼女は出発前何故か全ての写真を破棄したという。
バインは彼女の友達もまた同じような状況にあると知り、
そちらからもアプローチしていくが、関係者が次々と殺されていく。
果たして彼女達に隠された秘密とは?
「シリーズ物は順番に読みましょう」
小鷹さんが三部作中最も衝撃の真相と言ってらっしゃいましたが
正にその通り! これは予測出来ませんでした。ガツンと来ました。
あと本作はミスディレクションが複数ばら撒いてあるようで
僕も見事に嵌ってしまいました。
(メル欄)はちょっと有り得ないと思いますけど、
話が成立しないわけではないからいいか。
228:名無しのオプ
06/12/09 20:57:34 4ev+Sv67
「九人と死人で十人だ」 カーター・ディクスン
H・M卿もの。
船上での殺人劇という「盲目の理髪師」を思わせる設定ながら、こちらは喜劇要素が非常に少なく、
いないはずの人間が一人増えたという不可能趣味が前面に押し出されている。
とにかく提示される謎が非常に魅力的で、読ませる内容。大戦の雰囲気を伝える点でも興味深い。
ただ冷静に考えてみると、あの状況でこの事件自体が成立しえないような気もするのだが・・・。
229:名無しのオプ
06/12/10 19:26:48 BP2W121e
「誘拐」 ビル・プロンジーニ
名無しのオプシリーズの一作目。
タイトルのとおり、主人公が子供の誘拐事件に巻き込まれるいう物語。
事件の構造は少々ひねくれているものの、目新しさも特になく、全体的に平凡な内容だと思う。
パルプマガジンの収集が趣味という主人公の造形、それと終盤での奇怪な論理が楽しめれば・・・
という感じだろうか。
230:読後感
06/12/11 03:41:54 gW+VC2RB
「タイムマシンの殺人」アントニー・バウチャー(論創社)
おしどり探偵ひくトミー。
ミステリー評論家でありながら実作ではSF・ホラーを多く
手掛けた人って結構珍しいのでは。
読んだ感想としては何かこう所々はしょってる感がして
イマイチ設定・展開が呑み込めなかった話がいくつかあった。
筆が先走り過ぎてる部分があるのかなーと。
読解力不足と言われればそれまでだが一応書いとく。
お気に入りはラストの「たぐいなき人狼」。
恋はスリルショックサスペンスでした。
次点は「悪魔の陥穽」。これらのシリーズだけで1冊編んで欲しい。
それ以外だと、「人間消失」のトリックや表題作の論理が面白かった。
P.S.夏に買ってすぐ実家のちゃぶ台に放置したきりの
「シャーロキアン殺人事件」が無くなってませんように…
231:読後感
06/12/14 00:48:09 39apm+P5
「淫獣の幻影」フィリップ・ホセ・ファーマー(光文社)
標的の尾行中相手の男と共に失踪した相棒コルベンの行方を
追っていた私立探偵チャイルドは警察に呼び出され
あるフィルムを観せられる。そこには裸で寝かされ
足を広げさせられたコルベンが映っていた。
そして彼は現れた男女にペニスを噛み千切られ殺されてしまったのだ!
その時チャイルドは観た。女の股間で蠢く何かを。
事件を探るチャイルドは伝手を通じて幽霊屋敷にたどり着くが
そこで彼が見たものは紛れもない女の幽霊だった!
エログロハードボイルドって感じ。ふんだんに官能シーンがあるけど
個人的には人と人との健全な交わりにしか興奮を見い出せないもので、
本書のエログロはちょっときつかった。殊に催淫座薬打ち込まれて
豚女に犯されるとこなんか斜めどころか平行読みしたぐらい。
とにかくエログロの雰囲気に嵌れる人でないと辛いと思う。
自分はあまり嵌れなかったけど気になる終り方だったんで
続編が邦訳されてるなら読んじゃいそうだ…。
232:読後感
06/12/15 21:03:05 s805kxS4
「無頼の掟」ジェイムズ・カルロス・ブレイク(文藝春秋)
叔父たちと銀行強盗をして逮捕されたソニーは成り行きで
警官を殺してしまい刑務所へ送られる。そこから何とか脱獄し、
叔父たちの許に戻ったソニーは、ふたたび強盗を繰り返すが、
息子を殺した男の脱獄を知った老刑事は復讐のため彼を追うのだった。
面白いというか読みやすい。続きが気になってどんどんいっちゃう。
翻って見ると別に大したプロットじゃないなと思うんだけども、
読んでる最中はそんなこと全然頭にないんだよね。
暴力描写に眉をしかめつつもページを繰る手は止まらない。
ただどれもこんな感じならその内飽きるだろうな…。
とりあえず次はアラムルチ読みます。
233:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/16 19:42:49 /a9WmpUN
ポール・アルテ「赤髯王の呪い」を読んだ。
このミス、文春のランキングをはじめとしてスルー状態な作品集、
出来栄えを見ればこれは致し方ないものがあるが、
怪奇探偵小説好きなら意外に楽しめるかと思う。
大好評な全話講評行ってみよう!
「赤髯王の呪い」
執筆されたのは本作(私家版)が先ではあるが、オチはあのヒット作の二番煎じであり、
連続不可能犯罪の謎解きはあっけないか、強引である。
前半は怪談話絡みの怪奇探偵小説そのものだが、終盤は一転、フランスの作家らしい
ムーディな心理サスペンスとなってゆくので、
トマス・クックの記憶シリーズの愛読者などには一読の価値はあるかもしれぬ。
「死者は真夜中に踊る」
実話「動き廻る棺」を想起させるような話で、怪奇な館ものの雰囲気は良し。
ジョン作品というよりは、名探偵コナンレベルの謎解きを気軽に楽しめるか否かで、
読後の感想も変わってこようかと思う。
「ローレライの叫び」
孔雀の羽根はやはりオマージュか?
本作もローレライ伝説に材を取った怪奇な雰囲気の盛り上げは巧みだが、
肝心の謎解き部分が「いつか来た道」に過ぎないのが残念。
「コニャック殺人事件」
この作者には珍しい超自然現象ネタを絡ませない不可能犯罪もの。
ゆえにすっきりした出来にはなっているものの、本質はぎりぎりバカミスになるかどうか
といったところか。
234:名無しのオプ
06/12/16 21:17:16 zGnYYex+
「金蝿」 エドマンド・クリスピン
半世紀近く昔の翻訳であるせいか、めちゃくちゃ読みにくい。新訳出してくれ。
肝心の中身はカーのような雰囲気ながら、なんだか今ひとつ。
幽霊話を持ち出して色々と煽るわりには物語に絡んでこないし、明かされる真相には困惑する。
ついでに探偵役が、関係者の証言を嘘と見抜く理由もよく分からない。そういえば金蝿の指輪に
関する理由付けも謎だった。
235:名無しのオプ
06/12/17 05:54:35 jUfOWDWC
ケン・フォレット『大聖堂』(上中下、SB文庫)【9点】
12世紀のイングランド。大聖堂建設の夢を持つ建設家、禁欲的な修道院長、
零落貴族の姉弟、成り上がりの傲慢貴族、野心溢れる司教など魅力的な人物が
織り成す大河歴史物語。
久しぶりに読み応えのある小説だった。冒頭の赤毛の若者の絞首刑のシーンが
一応ミステリー的な要素としてラスト近くで解決されるが、中心となるのは
あくまでキングスブリッジにおける大聖堂建立の物語。さまざまな事件や苦難が
次々に襲い掛かり、読者の興味を逸らさない。どの登場人物も欠点をかかえており、
それが物語を奥深いものとしている。
やや長いのが難ですが、それだけに冬休みの読書にうってつけ。
新潮文庫版がブッコフで並んでいるのをよく見かける。
236:名無しのオプ
06/12/18 19:47:02 g/uQr+dm
「赤い右手」 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
片田舎で殺人鬼が跋扈するというお話。
かなり妙ちくりんな作品。時制が飛び飛びになっているうえ、けったいな文章のせいもあり、
途中からアル中の日記でも読んでるような感じになってくる。
なぜここまで無茶な犯行を行わなければならないのかという疑問は残るし、ロジックは飛躍
どころかワープするしと、かなり八方破れな作品なのだが、逆にそこが魅力なのだと思う。
強引な力技が気に入らない人には合わない作品とは思うけど。
どうでもいいが、「コペルニクス的転回」という惹句は少しズレてるような気がする。
237:読後感
06/12/18 23:45:03 4iXM6c9/
「荒ぶる血」ジェイムズ・カルロス・ブレイク(文藝春秋)
大物ギャングの下で殺し屋として働いていたジミーはある時
一人の女に出会い、心を奪われる。一時の逢瀬を楽しむ二人。
しかしそれは突然終りを告げる。彼女に執着するメキシコの牧場主が
殺し屋を差し向け奪い去って行ったのだ!
ジミーは仲間と共に恋人奪還に向かうが…。
まあ、予想通り前作と構成はまるで同じw
ただリーダビリティだけは一級品。抜群にある。
プロット自体は大したことなし読後何も残らないけど。
例えるなら釣りで散々引っ張っといて漸く釣り上げたら
何も変わってなかった、みたいな感じかな?
このミス3位は高いような気がするけど、年一で楽しむ分にはいいかも。
238:読後感
06/12/21 00:14:16 TLB0aVqi
「魔性の森」ハーバート・リーバーマン(角川書店)
新しい相続人のため、土地確認の森歩きをする測量人と周辺住民たち。
しかし突如測量人が発作で倒れ、皆は森の中で迷子になってしまう。
見当を付けて歩き回るが深みにはまるばかり。やがてじわじわと
人間関係にも亀裂が入って来る……。
当スレからのセレクト。ひたすら道に迷うというだけの話。
読みやすかった。誰にも感情移入出来ない所が良い。
ラストは意味不明だけど…。
239:読後感
06/12/21 00:16:13 TLB0aVqi
「太陽の殺意」M・K・プレストン(ソニー・マガジンズ)
久し振りに故郷へ帰って来たチャンタリーンの目的は
濡衣を着せられてリンチにあった父親の汚名を晴らし
殺害犯達を見付けるためだった。皆の前で高らかにそう宣言する
彼女だったが、その直後仇の一人と思われる男が殺され、
容疑者になってしまう。若手弁護士ドルーの助けを借りて
チャンタリーンは調査を続けるが―。
300弱と短いのだけが取り柄。やたらダラダラしてて
ろくに調べようとしないし小説としてのまとまりも悪い。
こんなんがノミネートされるなんてクラーク賞はレベルが低すぎる。
日暮さん仕事選びなよ…。
240:読後感
06/12/21 09:37:45 TLB0aVqi
「海のオベリスト」C・デイリー・キング(原書房)
航海中の豪華客船で短い停電の最中に起こった殺人。
被害者は心臓を撃たれて即死しており、体内から2個の弾丸が
摘出された。しかし、銃声は一度しか聴こえなかったのだ!
ピストルを持っていた男が取り調べを受けるがそこから放たれた
弾丸は他の場所から発見され、更に解剖の結果被害者は
毒殺されていたことが明らかとなる。
この混乱した事態に乗客である4人の心理学者達はそれぞれ独自の
推理を披露して犯人を指摘するのだが―。
オベリスト三部作シリーズスタート。
本書の特徴は「多重推理」と「巻末の手掛り索引」である。
一人が答えを示し、それが違うようだと判明して次へ進むのだが、
その否定の方法が論理的に矛盾を突いたりして崩していくのではなく、
作中で制定された「明確な物差し」によってなされており、
読者としては結論に一抹の不安を覚えながらも頭を悩ますことなく
次に進んでいける。ここは物足りなさを感じる人も
いるかも知れないが、読み進みやすいことは間違いない。
また、手掛り索引については少々細か過ぎる気がした。
こういうのは少数の要領を得たポイントを指摘するべきだと思う。
間違っても「ロートレック荘事件」のようににならないよう…。
真相に関してはごしゃごしゃやり過ぎて意外性が削がれた感あり。
241:名無しのオプ
06/12/22 01:47:57 WbbSNsXH
クリストファー・プリースト『魔法』(ハヤカワFT文庫)
爆弾テロに巻き込まれた報道カメラマンのグレイは、記憶をなくし病院で治療を受けていた。
彼のもとを訪ねてくる自称「元恋人」のスーザン。
スーザン、グレイ、スーザンの恋人ナイオール、彼らの奇妙な三角関係の行方は……
『奇術師』がこのミスや文春でベストテンに選出されたプリーストの代表長編。
やっぱりボーダレスな小説で、恋愛、幻想、SF……など多彩な要素を含む。
「奇才プリーストが語り(=騙り)の技巧を遺憾なく発揮して描いた……」とあらすじにあるように、叙述要素が物語の仕掛けに組み込まれている。
解説にある激賞の言葉ほど面白いとは思わないが、第五部からとんでもない方向へ話がずれていく様子や、ラストで明らかになる仕掛けは、なかなかの見ものだった。
ちなみに解説は法月綸太郎。
242:名無しのオプ
06/12/23 23:53:09 Q4Hcy7ra
「私が見たと蝿は言う」エリザベス・フェラーズ
本格は感傷でしか読まないんだけど久しぶりに。
安アパートの一室から殺人に使われた凶器が見つかり
住人の誰かが犯人ってことになるんだけど
それぞれの住人が面白い。本格好きにはちょっと
物足りないかもしれないけど(十分楽しめるレベル)
おれみたいに謎がどうより人間模様を楽しみたい人にはいいと思う。
面白かったなぁと思ったら「猿来たりなば」の人なんだね
243:読後感
06/12/24 00:28:31 yTEQKdaw
「鉄路のオベリスト」C・デイリー・キング(光文社)
アメリカ大陸を横断中の豪華列車内のプールで男が死んでいるのが
発見された。状況からみて溺死と思われたが、解剖の結果
違うことが判明する。続いて第2の事件が発生し一人が殺され
一人が危うく生き延びた。列車に乗り込んでいたロード警部補は
旧知の心理学者と共に捜査に乗り出すのだが―。
シリーズ2作目。鮎哲訳。この人のマイナー作家に対する情熱の
お陰で本書や「殺意のトリック」を読むことが出来てありがとう。
今回は前作と比べて《多重推理》という型はぐんと薄まった感じ。
心理的推理に因る所が多い上に結論が安直。ただ、読みやすさは増した。
プラス、意外性も確保出来ていたかな。あらあらこんな
夜明け前よりミエミエな、と思っていたら見事にハズレちゃった。
前作よりもミステリーぽかったな。
あ、刊行順に読んでね!
244:注! 前宣伝のルールに変更点があります
06/12/25 19:45:49 Wf2c/Oqd
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245:読後感
06/12/31 04:55:57 16RpEECi
「空のオベリスト」C・デイリー・キング(国書刊行会)
サンフランシスコ行きの旅客機内で外科医が殺された。
被害者は国務長官の緊急手術をする予定であり、日時まで指定された
殺人予告を受け取っていた。そして予告通りの時刻に酔い止めの
カプセルを服用したきり目を覚まさなかったのだ!
しかもカプセルは護衛のロード警部が渡したものだった……。
原題カコイイ。オベリストよ、高く翔べ!
シリーズの特徴であったはずの多重推理はすっかり形骸化している。
その代わりというか本書はエピローグを冒頭に持ってきてプロローグで
締めるという仕組みが採られており、こういうの新本格以外では
Pマクの「ライノクス殺人事件」しか知らない。さて、どれほどの意味が
あるのかと思いきや、あまりなかった。
自分はプロローグを前にしてもう一度エピローグに戻りそれから
プロローグを読んで手掛り索引に当たり解説(この空気の読めなさは
異常)を読んだが、イマイチよく呑み込めなかった。犯人は解った
けど、じゃあ「あれ」をやったのは誰か? ロードの推理が正しい
のか? ならば(メル欄1)と(メル欄2))の説明は?
ここから一人の人物が導き出される気がするのだが……。謎だ。
ちなみに中盤のサプライズは薄々見当ついた。
246:名無しのオプ
06/12/31 11:44:57 CL2iYDUP
P.ボアロー『殺人者なき六つの殺人』(講談社文庫)
『悪魔のような女』の片割れ。サスペンスではなくがちがちの密室もの。
パリのアパルトマンで銀行家夫婦が狙撃される、という事件を筆頭に、タイトル通り6つの殺人事件が起こる。
真相が暴かれてみると、因果関係が連鎖しているので、6つもある殺人はすべて必然であることがわかる。
ただし、全体で250Pしかないため、次から次へ事件が起こって慌しい。
ひとつの事件を反芻する時間がないので、不可能性の強調も足りていない。
一番いけないのは、形として容疑者が存在しないことだ。
犯人の可能性があるのは一人しかなく、読者にとっては簡単に先が読めてしまう。
殺人の因果関係については、よく練られていると思うだけに惜しい。
小説としての面白みはほとんどないが、古典本格マニアであれば読む価値あり。
247:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
06/12/31 18:36:22 CzHikJAp
今冬は、アガサ・クリスティのマイナーな作を取り上げてみたく思う。
「愛国殺人」を読んだ。
スパイ・スリラーの著作も相当数あるアガサらしいエルキュールものだが、
やはり本格ミステリはエスピオナージ等が絡まない館もの等の方が
雰囲気にマッチするやに思われる。
犯人の犯行は、アガサらしい間隙を突くアクロバティックなものだが、
歯科医のスキルを簡単に見過ぎている点が気にかからぬでもない。
大きな可も不可も無い凡作といった評価が妥当かと思う。
248:読後感
06/12/31 20:58:23 16RpEECi
「屍衣の流行」マージェリー・アリンガム(国書刊行会)
私立探偵キャンピオンの妹でデザイナーのヴァルは若き実業家
アランに想いを寄せていた。しかしアランは人気女優ジョージアに
心を奪われており、ジョージアの夫レイモンドは妻そっくりの
モデルとデートをしていた。そんな中キャンピオン自身も
旧知の女性と婚約してしまう!!
迷走する恋模様の中失踪していたジョージアの元恋人が白骨死体で
発見され、更にレイモンドが飛行機内で死亡する。スキャンダルを
恐れた関係者達は隠蔽を計るが事はやがて漏洩しヴァルにも危険が!
のりりん曰く「森博嗣風ラブコメの原点」。しかしどこにコメが?
コメが主食の日本人としてこれは辛い。
つーか無駄になげーよ。大仰で持って回った言い回し、長ったらしい
比喩、その場その場で語られる男性・女性観など読書意欲を削がれて
参った。これもっと刈り込んでスマートにして欲しい。
大体プロットも大したことない。温い本格orサスペンスって感じ。
犯人の意外性もないし(これは解説でも消極的に認められている)、
このトリックのどこが凄いのかもさっぱり解らん。
ロマンスも唐突で腑に落ちない。解説者(=訳者)は褒めすぎ。
それでは皆さん、よいお年を。
249:名無しのオプ
07/01/01 15:24:52 IbXXBdhW
読後感は出て行けや。つまらん主観を押し付けて読書の楽しみを奪うなボケ。
250:名無しのオプ
07/01/01 15:36:00 HrTtkK4O
下劣なコテハン叩きはルール違反ですよ。
251:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/01 21:52:44 xXMhNOYc
「ポケットにライ麦を」
一般のミステリファンには十分にマイナー、エルキュール・シリーズと比較して作品数が
圧倒的に少ないジェーン・シリーズということもあって、
アガサファンには、結構、読まれているのがこの辺の作かと思う。
アガサ作品にありがちな若い男女の安手なラブロマンスが無く、
横溝風のいずれも一癖ある人物たち(一族)が集う館ものという設定は、
謎解きミステリのお膳立てとしては申し分が無いものがあるのだが、
いかんせん「売り」であるマザー・グース絡みの見立て殺人に無理が有り過ぎで、
必然性が感じられない点が弱い。
252:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/02 22:04:15 jv2425Sn
「ヒッコリー・ロードの殺人」
アガサファンでないと読んでいなさそうなエルキュールもの。
日本で例えれば、学生下宿(本作では入居者全てが学生というわけではないが)を
舞台にした奇妙な盗難、そして殺人が描かれる。
読者の興を惹き易い「館もの」等でも書けそうなストーリー
(アーヤならそうしてしまうかも(w )ながら、
殊更に怪奇な設定はしないアガサは、ロンドンの大通り裏のハウスを舞台に巧みな
ストーリーテリングで事件に広がりも持たせた上で、それなりに満足がゆくミステリに
仕上げているのはさすがである。
253:名無しのオプ
07/01/02 22:43:45 YldQyTb1
快調なペースで読書してるね。
その調子その調子。
254:名無しのオプ
07/01/03 19:56:47 fZM/ErZo
「最上階の殺人」 アントニイ・バークリー
素人探偵ロジャー・シェリンガムのシリーズ作品。
簡素な問題編とそれに対する多重解決という、いかにもバークリーらしい内容。
全編に渡って炸裂するロジャーの推理(というか妄想)が楽しく、そこが一番の見所だろう。
ただ、セイヤーズ言うところの典型的なロジャー・シェリンガム式の作品なので、着地点が
マンネリ気味という気がしなくもない。
最後の一行で思わず吹いたし、十分に面白い作品だとは思うのだけど。
255:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/03 21:12:46 GYptbuIY
スティーブン・キング「ミザリー」を読んだ。
正式にはホラーはSF板の担当なのだが、本作は恐怖小説ではあるが超自然現象が
描かれた怪奇小説ではないため、作品全体に仕掛けられた趣向は勿論のこと、
アニーの犯罪工作など見ても、キング作品中でもSFやホラーの好き読者よりも、
ミステリファン好みの一編と言い得る。
ヒーローは交通事故で重傷を負った寝たきりの中年作家、
ヒロインは人三化七を絵に描いたようなナース上がりのキティなオバン、
メインキャラはこの2人のみであり、この設定で、一読巻を置かせぬ面白い長編を書いてしまうのは、さすがのスティーブンである。空想力が逞しいこと、極限状態でさえ創作意欲を抑えられないこと等、
主人公のキャラが説得力を持って十分に活きているのも本作に精彩を与えている因である。
256:名無しのオプ
07/01/03 22:03:03 E9YqkwBn
>>227
的確な批評だね。
いつもさんくすこです。
257:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/04 21:35:27 aui0jNTG
「ロリータ」の新訳(文庫版)を読んだ。
大久保康雄氏の訳書は、端整で読み易いものであったが、
(この点は、新訳を担当した若島正先生(京大院文学研究科教授)も認めている
ようである。
大久保先生の筆による(?)ロリータが主人公ハンバート・ハンバートが
評する「ニンフェット」そのものの印象なのに対して、若島先生描くところ(?)の
ロリータ像は、話し方ひとつにもフィッツ作品に描かれるフラッパーの後裔ていうか、
不良性を帯びて読めるのが面白い)
それゆえに、「言葉」に凝る傾向が強いウラジミールらしさが感じられないという評
もあった。
今回の若島版ロリータは、原文の雰囲気を重視したものとなっているため、
時には読者サイドにとっては多少の読み難さとなっている点は否めない。
内容的には、「ミステリとして読める作」ていうか、訳者あとがきに記されているとおり、
「ミステリそのもの」かもしれぬという作品全体に「謎」が仕掛けられている
やもしれぬ作なのである。
この辺の事情も十分に意識して新訳されている27章以降の展開は熟読吟味する必要が
あろう。特に普段から低俗な新書ミステリに耽溺しているミスヲタは、
この世紀の名作に取り組むに当たって、この点は十分に心しておけ。
258:名無しのオプ
07/01/05 00:21:49 pcDRbWp+
ナンシー・ピカード『恋人たちの小道』(ハヤカワ文庫)
市民財団長ジェニー・ケインシリーズの第1作。
財団のせいで息子が死んだ、とジェニーをなじった男が、港開発のセレモニーに車で突っ込んでくる。
自暴自棄の行動と思われたが、ブレーキに細工がされてたらしい……。
ユーモラスなタッチのライトなミステリ。婉曲的な表現が多いため慣れるまで読みづらいかも。
はた迷惑なジェニーの父親など、キャラがしっかり書き分けられており面白い。
ただしタイトルで損をしているような……。
ジェニー&ジェフの恋の行方と、作中の地名ラヴァーズ・リープに引っ掛けた邦題と思うのだが、全体の印象からすると微妙。
259:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/06 00:12:45 g68scssk
アガサ・クリスティ「蒼ざめた馬」を読んだ。
テレフォースによる連続遠隔殺人の謎に挑むひとりの青年学者、
古ぼけた館「蒼ざめた馬」に住むマクベスの魔女を想起させるような女たちの登場・・
アガサ長編には珍しい怪奇探偵小説風のノンキャラ作品であり、
J・Dならここぞとばかりに怪奇性を強調してゆき、登場人物たちもどっぷりと
このムードに呑み込まれてゆくところであろうが、
本作の登場人物たちは事件の怪奇性に途惑いながらも常に懐疑的であるのが
アガサ作品らしいものがある。
脇キャラながら作者本人の投影と思われるオリヴァ夫人が、
呪法による殺人を書くことを薦められた時の返答、
「わたしはごくありふれた殺人しか扱わないのです」という言葉に
アガサの基本的執筆姿勢が顕著に読み取れるやに思う。
(訳者も、あとがきで「ありふれた殺人を神秘化させるところにこの作家の才能がひそんでいるのだろう」と述べている)
本作はエスピオナージではないが(英国作家らしくアガサはこの手のものも書いている)殺人方法は、偶然にもタイムリーそのものであり、あらためてこの作家の着眼点の良さに
感心したが、ストーリーには御都合主義による偶然性の不自然さが目立ち過ぎ、
アガサ作品中でも、ミステリとしても中の下レベルの域を出ないものに止まっている
のは、いささか(注 伊佐坂先生ではない(w )残念な感はある。
260:読後感
07/01/06 18:33:39 IQZ8TVgG
「マイアミ弁護士ソロモン&ロード」ポール・ルバイン(講談社)
仕事を選ばないお陰で成功とは程遠い弁護士ソロモン。彼は今
若き新米検事ヴィクトリアに心を奪われていたが彼女はソロモンに
負けたせいでクビになってしまう。その後彼女は弁護士として
知り合いの富豪の怪死に関する裁判を担当しようとするが、
甥の親権を守るため金が必要なソロモンはそこに強引に割り込む。
果たして彼等は勝訴することが出来るのか?そして二人の関係は―。
シリアスなリーガル・サスペンスではなく、
ロマンティック・ユーモア・サスペンスといった感じ。笑える。
裁判よりもロマンスに力点が置かれているからその辺好みが別れるかも。
でも「弁護士は奇策で勝負する」とか好きなら大丈夫だと思う。
あと「アリー・my・ラブ」とか。
ロマンスに関して言えば引っ張り過ぎだし、障害児を餌にするのも
あざとくてマイナスかな。でも続編邦訳されたら読むと思うw
261:名無しのオプ
07/01/07 00:24:33 9lRLGMTe
R.D.ウィングフィールド
『クリスマスのフロスト』(創元文庫)【8.5点】
クリスマスの直前、町の幼女が行方不明になった。
指揮を執る警部フロストは多発する大小の事件に奔走するが・・・
世評高いがなぜか長期間積読状態だった本作に挑戦。
赤川次郎の大貫警部みたいなキャラかと思っていたが、
もっと親しみある人柄でしたね。事件は派手でないが、展開が上手く
あれよあれよという間に一気読み。ラストにもうひとひねり有るかな、
と思ったが、充分に面白かったです。
262:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/07 21:27:33 PPp8uhL+
ノーマン・ベロウ「魔王の足跡」を読んだ。
世界の不思議といった類の書籍に取り上げられることが多い実話「英国における
雪上の謎の足跡」をネタとし、
(有名どころではフランク・エドワーズの「世にも不思議な物語」に採録され、
同名のテレビ番組によりこのエピも映像化されオンエアされている)
ミステリ・サークル的な解決の呈示を試みた、まさにジョン張りのコテコテな
怪奇探偵小説である。
本格ミステリ倶楽部ではある程度の評価を受けた作とはいえ、結局、この程度の謎解き
を読んで喜んでいるのは、毎週お茶の間で欠かさず「名探偵コナン」を手に汗握って
鑑賞し、稲垣金田一シリーズのオンエアを心待ちにして、
「稲垣メンバーの金田一キター!」と正月早々から絶叫した末、御近所から不審者として
通報されてしまうようなレベルのミスヲタに過ぎないという感がある。
この奇想天外とは言わぬまでも奇抜なトリックを看破するのはそれこそ不可能事だと
しても、(先に翻訳されたタルボット作品を想起させる面があるのも気にかかる)
普通に読んでゆくと犯人の目星は割りと簡単に付くのも難、
とにかく本作の評価は、否定的な意味合いを強く込めた漫画ちっくの一言に尽きる。
森英俊氏のあとがきによると、本作と同じ主人公の警部が登場する作品が他にも
4作(未訳)あり、この作者の代表作とされているらしいが、
記されたあらすじを読む限りでは、いずれも本作より面白そうに見えるのは皮肉である。
263:名無しのオプ
07/01/08 19:13:16 n0hPrNC7
M.J.トロー『霧の殺人鬼』(ハヤカワ文庫)
切り裂きジャック事件後のロンドンで、レストレイド警部が、殺人を見立てた詩を送りつける無差別殺人鬼を追う。
彼を主役にしたパスティーシュのアイデアが面白い。
オスカー・ワイルドやデュー警部など、同時代の著名人が次々に現れるさまは、まるでキム・ニューマン『ドラキュラ崩御』のよう。
ただ作品としては微妙である。
連続無差別殺人なので、事件がブツブツ途切れてしまうし、謎解きの興味も薄い。
作者は、ホームズ作品中の警官が腰抜けに書かれてあるのに憤慨しこれを書いたそうだ。
なるほどホームズはコカイン狂、ワトスンは駄目医者として、チョイ役で登場する(ちなみに別にドイルも出る)。
だが、こんなホームズファンに喧嘩を売るような書き方より、「会話には出てくるけど登場はしない」というような演出の方が、スピンオフっぽくて面白かったのではないか。
(なお訳では、ホームズもワトスンも、自分のことを「わし」と言う……あかんやろ)
264:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
07/01/10 06:40:29 GcKz2KGv
マックス・アフォード「魔法人形」を読んだ。
おなじみ国書刊行会の世界探偵小説全集の1冊だが、なんとなく積ん読していた作。
呪いの人形の謎、いわく因縁付きの館、ここに集ういずれも一癖ある人物等、
森英俊氏はオージーのジョンと評しているが、むしろ前半部分は本邦の横溝作品を
想起させるような作品だが、警察が動き出し犯人探しが本格化する後半に入ると、
一転、怪奇性は影を潜め出し、緻密な捜査と論理的な推理が中心となる。
内容的には作者がラジオ作家ということもあってか、御都合主義な偶然性が目立ち過ぎるのが難、また、丁寧に読めば犯人を当てることは難しくはない。
あとがきでアウトラインが紹介されているこの作者の他の作品の方が面白く
感じられるのは、前述した「魔王の足跡」と同様であった。
(奇しくも、「魔王の…」の元ネタとなった英国における雪上の謎の足跡が本作の最後の方で簡単に紹介されている)