05/11/11 05:04:26 OxCV8lh+
「あと10年若かったら」というのが口癖の男がいた。
何かにつけ、「ああ、10年前に戻れればなあ。すべてをやり直せるのに。」
などと嘆いてばかりいた。
その日も知人と飲みながら、「10年前に戻れれば、今の生活を捨てて人生やり直せる。」
と愚痴り始めた。「ああ、10年前に戻りたい。」
するのその知人は男の肩に手をやり、こう言った。
「きっとお前は10年後にも同じことを言っているよ。」
それを聞いた男は、はっとして目を輝かせた。「そうか、今10年後から戻ってきた
と思えばいいんじゃないか。そうだ。まだ間に合うぞ。」
次の日、男は会社を辞めた。そして、事業を始めた。
10年後。
男の事業は失敗していた。借金にまみれ、妻子には逃げられ、悪事に手を染めたため
警察の手も伸びていた。
八方ふさがりの中、一本の電話がかかってきた。あの知人からだ。
あいつならまたいいアドバイスをくれるかもしれない、と思って男は電話にすがりついた。
知人は一言こう言った。
「ほらね」